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平成17(行ケ)10173特許取消決定取消請求事件

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裁判所 知的財産高等裁判所
裁判年月日 平成19年3月28日
事件種別 民事
当事者 被告特許庁長官中嶋誠
原告インターデイジタルテクノロジー
対象物 多重音声及び/又はデータ信号通信を単一又は複数チャンネルにより同時に行うための加入者RF電話システム
法令 特許権
特許法29条2項2回
キーワード 審決15回
訂正審判3回
刊行物2回
特許権1回
優先権1回
主文 1 特許庁が平成11年異議第71645号事件について平成13年10月23日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 手続の経緯 原告は,発明の名称を「多重音声及び/又はデータ信号通信を単一又は複数 チャンネルにより同時に行うための加入者RF電話システム」とする特許第2 816349号の特許(昭和61年2月26日出願(優先権主張1985年3 , ), 。 「 」 。月20日 米国 平成10年8月21日設定登録 以下 本件特許 という 発明の数は2である )の特許権者である。。 本件特許の特許請求の範囲第1項 第4項に係る発明 以下 それぞれ 本, ( , ,「 件第1発明 本件第2発明 という についての特許に対し 特許異議の申」,「 」 。) , 立てがあり,平成11年異議71645号事件として特許庁に係属した。その 審理の過程において,原告は,平成12年11月22日,本件特許に係る明細 書 以下 本件明細書 という の特許請求の範囲の記載を訂正する請求をし( 「 」 。) た。特許庁は,審理の結果,平成13年10月23日,上記訂正を認めないと した上 特許第2816349号の特許請求の範囲第1項 第4項に記載され,「 , た発明についての特許を取り消す 」との決定(附加期間90日,以下 「本件。 , 決定」という )をし,同年11月12日,その謄本を原告に送達した。。

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判決文

平成19年3月28日判決言渡
平成17年(行ケ)第10173号 特許取消決定取消請求事件
平成19年3月19日口頭弁論終結
判 決
原 告 インターデイジタル テクノロジー
コーポレーション
訴訟代理人弁護士 中 島 和 雄
訴訟代理人弁理士 内 原 晋
同 船 山 武
同 渡 邉 隆
被 告 特許庁長官 中 嶋 誠
指 定 代 理 人 小 池 正 彦
同 大 場 義 則
同 井 関 守 三
同 長 島 孝 志
主 文
1 特許庁が平成11年異議第71645号事件について平成13年1
0月23日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文1項と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 手続の経緯
原告は,発明の名称を「多重音声及び/又はデータ信号通信を単一又は複数
チャンネルにより同時に行うための加入者RF電話システム」とする特許第2
816349号の特許(昭和61年2月26日出願(優先権主張1985年3
月20日 ,米国 ) 平成10年8月21日設定登録。以下「本件特許 」という。

発明の数は2である 。)の特許権者である。
本件特許の特許請求の範囲第1項 ,第4項に係る発明(以下 ,それぞれ , 本

件第1発明」「本件第2発明」という。 についての特許に対し ,特許異議の申
, )
立てがあり,平成11年異議71645号事件として特許庁に係属した。その
審理の過程において,原告は,平成12年11月22日,本件特許に係る明細
書(以下「本件明細書」という。 の特許請求の範囲の記載を訂正する請求をし

た。特許庁は,審理の結果,平成13年10月23日,上記訂正を認めないと
した上, 特許第2816349号の特許請求の範囲第1項,
「 第4項に記載され
た発明についての特許を取り消す。」との決定(附加期間90日,以下,「本件
決定」という。)をし,同年11月12日,その謄本を原告に送達した。
原告は,平成14年3月8日,本件決定の取消を求めて本訴を東京高等裁判
所に提起し(東京高裁平成14年(行ケ )第112号) 本訴は,平成17年4

月1日,当庁に回付された。
2 本件決定の理由
本件決定は,本件第1発明及び本件第2発明は, 電子通信学会論文誌(J6

4−B)第9号」 昭和56年9月25日 ,社団法人電子通信学会発行,101

6頁∼1023頁,「TD−FDMA移動通信方式の検討 」 (本件決定にいう

「刊行物1」 記載の発明及び特開昭54−60806号公報(本件決定にいう

「刊行物2 」 記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたも

のであるから,本件第1発明及び本件第2発明についての特許は特許法29条
2項の規定に違反してされた,というものである。
3 訂正審決の確定
原告は,本訴の提起後,平成14年5月17日,本件明細書の特許請求の範
囲の訂正(以下 ,この訂正を「本件訂正 」という。 を求める審判( 以下「 本件

訂正審判 」という。 を請求した 。特許庁は,これを訂正2002−39123

号事件として審理した上 ,平成15年3月24日, 本件審判の請求は,成り立

たない。」との審決(以下「第1次訂正拒絶審決」という 。)をした。
原告が,平成15年7月4日,第1次訂正拒絶審決の取消を求める訴訟を東
京高等裁判所に提起したところ(東京高裁平成15年(行ケ)第291号 ) 同

裁判所は ,平成16年12月9日, 特許庁が訂正2002−39123号事件

について平成15年3月24日にした審決を取り消す。 との判決をし ,
」 この判
決(以下「第1次取消判決」という 。)は確定した。
特許庁は,第1次取消判決の確定をうけて,本件訂正審判の審理を再開し,
平成17年8月5日 , 本件審判の請求は ,成り立たない 。 との審決(以下「第
「 」
2次訂正拒絶審決」という。)をした。
原告が,平成17年12月12日,第2次訂正拒絶審決の取消を求める訴訟
を当庁に提起したところ(平成17年(行ケ)第10837号 ) 当庁は,平成

18年11月9日, 特許庁が訂正2002−39123号事件について平成1

7年8月5日にした審決を取り消す 。 との判決(以下「第2次取消判決 」とい

う。)をし,この判決は確定した。
特許庁は,第2次取消判決の確定をうけて,本件訂正審判の審理を再開し,
平成19年2月19日,本件訂正を認める旨の審決(同年2月22日送達。以
下「本件訂正審決」という。)をし,この審決は確定した。
なお,本件訂正により,特許請求の範囲の第2項及び第5項が削除され,第
3項,第4項及び第6項が,それぞれ新たな第2項,第3項及び第4項とされ
た。
4 特許請求の範囲
(1) 本件訂正前の本件特許の特許請求の範囲第1項及び第4項の各記載は ,次
のとおりである。
「1 局線(14)経由で並行して受けた複数の情報信号を複数の無線周波数
(RF)チャンネル経由で複数の加入者局に並行して送信するために基地局
で信号処理するディジタル電話システムであって,
前記基地局が,
前記局線(14)からの受信情報信号をディジタル信号サンプルとして扱
う交換手段(15)と,
前記複数の無線周波数(RF)チャンネルのうちの一つに関連づけられ,
前記交換手段(15)から受けた前記ディジタル信号サンプルを圧縮して多
数の個別の圧縮信号を供給する圧縮手段 16 )
( 内蔵の信号圧縮手段 17 )

と,
前記信号圧縮手段(17)に接続され,前記圧縮信号をそれら圧縮信号の
各々が前記無線周波数(RF)チャンネルにそれぞれ対応の送信チャンネル
・ビット・ストリームの中の逐次的時間スロット位置を占めるように送信チ
ャンネル・ビット・ストリームの形に逐次組み上げるチャンネル制御手段
(18)と,
前記送信チャンネル・ビット・ストリームに応答して前記無線周波数(R
F)チャンネル経由で送信用送信チャンネル信号を発生する送信手段 21 )

と,
前記交換手段(15)に含まれ前記受信情報信号を前記信号圧縮手段(1
7)内の信号圧縮手段(16)にそれぞれ接続する切換手段(25)と,
前記局線(14)に結合可能であり前記局線のある一つ経由の呼接続要求
信号に応答して前記圧縮手段(16)のどの一つを前記受信情報信号に関連
づけるかと前記送信チャンネル・ビット・ストリーム中のどの時間スロット
を用いるかとを表すスロット割当て信号を発生する遠隔接続中央処理ユニッ
ト(20)であって,どの時間スロットとどの無線周波数とが割当てずみで
あるかを示すメモリを維持し呼接続要求に応答してそのメモリを調べ他の局
線に未割当ての圧縮手段(16)およびそれと対応の時間スロットへの接続
をもたらすスロット割当て信号を発生する遠隔接続中央処理ユニット 20 )

と,
前記遠隔接続中央処理ユニット(20)に接続され前記スロット割当て信
号に応答してそのスロット割当て信号の指示する接続を前記切換手段 25 )

に形成させる呼切換処理手段(24)と
を含むことを特徴とするディジタル電話システム 。」
「4 局線(14)経由で並行して受けた複数の情報信号を複数の無線周波数
(RF)チャンネル経由で複数の加入者局に並行して送信するために基地局
で信号処理するディジタル電話システムであって,
前記基地局が,
前記局線(14)からの受信情報信号をディジタル信号サンプルとして扱
う交換手段(15)と,
複数の送信チャンネル回路であって,前記無線周波数(RF)チャンネル
の互いに異なる一つに各々が割り当てられ,前記交換手段(15)からそれ
ぞれ受けた前記ディジタル信号サンプルを圧縮して多数の個別の圧縮信号を
生ずる圧縮手段(16)内蔵の信号圧縮手段(17)と,前記圧縮手段(1
6)に接続され前記圧縮信号をそれら圧縮信号の各々が送信チャンネル・ビ
ット・ストリーム内逐次的時間スロット位置を占めるように送信チャンネル
・ビット・ストリームの形に逐次組み上げるチャンネル制御手段 18 ) ,
( と
前記送信チャンネル・ビット・ストリームに応答して被変調副搬送波を生ず
る変調手段(19)とを各々が有する複数の送信チャンネル回路と,
前記被変調副搬送波に応答して前記無線周波数(RF)チャンネル経由送
信用被変調信号を発生する送信手段(21)と,
前記交換手段(15)に含まれ前記受信情報信号を前記圧縮手段(16)
にそれぞれ接続する切換手段(25)と,
前記局線(14)に結合可能であり前記局線のある一つ経由の呼接続要求
信号に応答して前記送信チャンネル回路のどの一つおよびその送信チャンネ
ル回路中の前記圧縮手段(16)のどの一つに前記受信情報信号を関連づけ
るべきかを表すスロット割当て信号,すなわちその情報信号に周波数と時間
スロット位置とを割り当てるスロット割当て信号を発生する遠隔接続中央処
理ユニット(20)であって,前記周波数の各々についてどの時間スロット
が割当てずみであるかを示すメモリを維持し呼接続要求に応答してそのメモ
リを調べ他の局線に未割当ての時間スロットを含む前記送信チャンネル回路
のある一つと前記送信チャンネル回路中の信号圧縮手段であって他の局線に
未割当ての信号圧縮手段とへの接続を形成するスロット割当て信号を発生す
る遠隔接続中央処理ユニット(20)と,
前記遠隔接続中央処理ユニット(20)に接続され前記スロット割当て信
号に応答してそのスロット割当て信号の指示する接続を前記切換手段 25 )

に形成させる呼切換処理手段(24)と
を含むことを特徴とするディジタル電話システム 。」
(2) 本件訂正後の特許請求の範囲第1項及び第3項 本件訂正前の特許請求の

範囲第1項及び第4項に対応する 。 の各記載は,次のとおりである(下線部

は,本件訂正による訂正箇所を示す。 。

「1 公衆通信用電話網の局用交換機から局線(14)経由で並行して受けた
複数の情報信号を複数の無線周波数(RF)チャンネル経由で基地局から複
数の移動加入者局,すなわち各々が前記複数の無線周波数(RF)チャンネ
ルの任意の一つで受信できる複数の移動加入者局に並行して送信するために
基地局で信号処理するディジタル電話システムであって,前記基地局が,
前記局線(14)からの受信情報信号をディジタル信号サンプルとして扱
う交換手段(15)と,
各々が前記複数の無線周波数(RF)チャンネルのうちの選択された一つ
に関連づけられて動作し,前記交換手段(15)から受けた前記ディジタル
信号サンプルを圧縮して多数の個別の圧縮信号を供給する各々が複数の圧縮
手段(16)を内蔵する複数の信号圧縮手段(17)と,
前記複数の信号圧縮手段 17 )
( の各々に接続され ,その信号圧縮手段 1

7)からの前記圧縮信号をそれら圧縮信号の各々が前記複数の無線周波数 R

F)チャンネルのうちの前記選択された一つにそれぞれ対応の送信チャンネ
ル・ビット・ストリームの中の逐次的時間スロット位置を占めるように送信
チャンネル・ビット・ストリームの形に逐次組み上げるチャンネル制御手段
(18)と,
前記送信チャンネル・ビット・ストリームに応答して前記複数の無線周波
数(RF)チャンネルのうちの選択された一つ経由の前記加入者局への送信
用送信チャンネル信号を各々が発生する複数の周波数切換可能な送信手段
(21)であって,前記基地局により選択された前記複数の無線周波数(R
F)の任意の一つでそれぞれ送信できる複数の周波数切換可能な送信手段 2

1)と,
前記交換手段(15)に含まれ前記受信情報信号を前記信号圧縮手段(1
7)内の信号圧縮手段(16)にそれぞれ接続する切換手段(25)と,
前記局線(14)に結合可能であり前記局線のある一つ経由の呼接続要求
信号に応答して前記圧縮手段(16)のどの一つをその呼接続要求信号対応
の前記受信情報信号に関連づけるかと前記送信チャンネル・ビット・ストリ
ーム中のどの時間スロットをその受信情報信号に用いるかとを表すスロット
割当て信号を発生する遠隔接続中央処理ユニット(20)であって,どの時
間スロットとどの無線周波数とが割当てずみであるかを示すメモリを維持し
呼接続要求に応答してそのメモリを調べ他の局線に未割当ての圧縮手段(1
6)およびそれと対応の時間スロットへの接続をもたらす前記チャンネル制
御手段 18 ) すなわち前記スロット割当て信号対応の周波数で動作する前
( ,
記チャンネル制御手段(18)への接続を形成するスロット割当て信号を発
生する遠隔接続中央処理ユニット(20)であって,前記スロット割当て信
号を前記交換手段(15)に供給するとともに,そのスロット割当て信号対
応の割当て時間スロットおよび無線周波数を表す信号を前記チャンネル制御
手段(18)および前記送信手段(21)経由で前記呼接続要求の宛先加入
者局に伝達しその宛先加入者局による所要の時間スロットおよび無線周波数
の設定に備える遠隔接続中央処理ユニット(20)と,
前記遠隔接続中央処理ユニット(20)に接続され前記スロット割当て信
号に応答してそのスロット割当て信号の指示する前記圧縮手段(16)への
接続を前記切換手段(25)に形成させる呼切換処理手段(24)と
を含むことを特徴とするディジタル電話システム 。」
「3 公衆通信用電話網の局用交換機から局線(14)経由で並行して受けた
複数の情報信号を複数の無線周波数(RF)チャンネル経由で基地局から複
数の移動加入者局,すなわち各々が前記複数の無線周波数(RF)チャンネ
ルの任意の一つで受信できる複数の移動加入者局に並行して送信するために
基地局で信号処理するディジタル電話システムであって,前記基地局が,
前記局線(14)からの受信情報信号をディジタル信号サンプルとして扱
う交換手段(15)と,
複数の送信チャンネル回路であって,前記複数の無線周波数(RF)チャ
ンネルの互いに異なる一つに各々が割り当てられ,前記交換手段(15)か
らそれぞれ受けた前記ディジタル信号サンプルを圧縮して多数の個別の圧縮
信号を生ずる複数の圧縮手段(16)内蔵の信号圧縮手段(17)と,前記
圧縮手段(16)に接続され前記圧縮信号をそれら圧縮信号の各々が送信チ
ャンネル・ビット・ストリーム内逐次的時間スロット位置を占めるように送
信チャンネル・ビット・ストリームの形に逐次組み上げるチャンネル制御手
段(18)と,前記送信チャンネル・ビット・ストリームに応答して被変調
副搬送波を生ずる変調手段(19)とを各々が有する複数の送信チャンネル
回路と,
前記被変調副搬送波に応答して前記複数の無線周波数(RF)チャンネル
のうちの選択された一つ経由の前記加入者局への送信用被変調信号を各々が
発生する複数の周波数切換可能な送信手段(21)であって,前記基地局に
より選択された前記複数の無線周波数(RF)の任意の一つでそれぞれ送信
できる複数の周波数切換可能な送信手段(21)と,
前記交換手段(15)に含まれ前記受信情報信号を前記圧縮手段(16)
にそれぞれ接続する切換手段(25)と,
前記局線(14)に結合可能であり前記局線のある一つ経由の呼接続要求
信号に応答して前記送信チャンネル回路のどの一つおよびどの時間スロット
位置およびその送信チャンネル回路中の前記圧縮手段(16)のどの一つに
前記呼接続要求信号対応の前記受信情報信号を関連づけるべきかを表すスロ
ット割当て信号,すなわちその情報信号に周波数と時間スロット位置とを割
り当てるスロット割当て信号を発生する遠隔接続中央処理ユニット(20)
であって,前記周波数の各々についてどの時間スロットが割当てずみである
かを示すメモリを維持し呼接続要求に応答してそのメモリを調べ他の局線に
未割当ての時間スロットを含む前記送信チャンネル回路のある一つとそれら
未割当ての時間スロットの一つと前記送信チャンネル回路中の信号圧縮手段
であって他の局線に未割当ての信号圧縮手段とへの接続を形成するスロット
割当て信号を発生する遠隔接続中央処理ユニット(20)であって,前記ス
ロット割当て信号を前記交換手段(15)に供給し,そのスロット割当て信
号対応の割当て時間スロットおよび無線周波数を表す信号を前記チャンネル
制御手段(18)および前記送信手段(21)経由で前記呼接続要求の宛先
加入者局に伝達しその宛先加入者局による所要の時間スロットおよび無線周
波数の設定に備える遠隔接続中央処理ユニット(20)と,
前記遠隔接続中央処理ユニット(20)に接続され前記スロット割当て信
号に応答してそのスロット割当て信号の指示する前記圧縮手段(16)への
接続を前記切換手段(25)に形成させる呼切換処理手段(24)と
を含むことを特徴とするディジタル電話システム 。」
第3 原告主張の取消事由の要点
本件訂正審決の確定により,特許請求の範囲の記載が遡及的に訂正されるた
め,本件決定は,結果的に本件第1発明及び本件第2発明の要旨の認定を誤っ
たことになるから,取り消されるべきである。
第4 当裁判所の判断
当事者間に争いのない事実(前記2)によれば,本件決定は,本件訂正前の特
許請求の範囲第1項及び第4項の記載に基づいて本件第1発明及び本件第2発明
の要旨を認定し,これを前提に,特許法29条2項の規定にそれぞれ違反して特
許されたものと判断して,本件第1発明及び本件第2発明についての特許を取り
消したものであるところ,本件決定の取消しを求める本訴係属中に,当該特許に
係る特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判が請求され,特許庁はこれを認める
審決(本件訂正審決)をし,これが確定したものである。
そうすると,本件決定は,結果として,特許請求の範囲第1項及び第4項(た
だし,本件訂正前の特許請求の範囲)について判断の対象となるべき発明の要旨
の認定を誤ったことになり,この誤りが本件第1発明及び本件第2発明について
の特許を取り消すべきものとした本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかで
ある。したがって,本件決定は取消しを免れない。
以上によれば,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,訴訟
費用については,本件訴訟の経過にかんがみ,これを原告に負担させるのを相当
と認め,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁 判 長 裁 判 官 三 村 量 一
裁 判 官 古 閑 裕 二
裁 判 官 嶋 末 和 秀

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