平成18(ワ)1305損害賠償請求事件
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裁判所 |
大阪地方裁判所
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裁判年月日 |
平成18年11月28日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
被告スズキ鋳鉄工業株式会社 原告株会ラセスプパィンロル
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法令 |
特許権
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キーワード |
許諾27回 損害賠償9回 実施6回 特許権1回 ライセンス1回
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主文 |
1 被告は,原告に対し,1301万5000円及びこれに対する平成18年2月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 |
事件の概要 |
本件は,後記特許権等を有し,被告との間でその通常実施権許諾契約を締結
していた原告が,被告に対し,同契約上の債務不履行(後記1( )イの許諾数2
量超過分についての原告への製造委託義務違反)に基づき,主文第1項記載の
損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年2月18日か
ら支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を請求した
事案である。 |
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判決文
平成18年11月28日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成18年(ワ)第1305号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成18年10月31日
判 決
原 告 株 会 ラ セ ス プ パ ィ ン ロ ル
式 社 イ ン & ロ テ コ ト ー
訴訟代理人弁護士 村 林 隆 一
井 上 裕 史
訴訟復代理人弁護士 速 見 禎 祥
被 告 スズキ鋳鉄工業株式会社
訴訟代理人弁護士 古 井 戸 康 雄
主 文
1 被告は,原告に対し,1301万5000円及びこれに対する平成1
8年2月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
本件は,後記特許権等を有し,被告との間でその通常実施権許諾契約を締結
していた原告が,被告に対し,同契約上の債務不履行(後記1( 2)イの許諾数
量超過分についての原告への製造委託義務違反)に基づき,主文第1項記載の
損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年2月18日か
ら支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を請求した
事案である。
1 当事者間に争いのない事実等(末尾に証拠の掲記のない事実は当事者間に争
いがない 。)
( 1) 当事者
原告は,知的財産権の保有,運用等を業とする株式会社である。
被告は,上下水道用鋳物鉄蓋の製造販売等を業とする株式会社である。
( 2) 通常実施権許諾契約の締結
原告と被告は,平成17年6月24日,鉄蓋(下水道用のグラウンドマン
ホール,小型グラウンドマンホール等)に関して原告が有する別紙知的財産
権目録記載の各権利の通常実施権の許諾に関する基本契約(以下「本件基本
契約」という。甲1)を締結した。
また,原告と被告は,平成17年6月27日及び同年9月1日に,合意書
に調印して本件基本契約の定める通常実施権を許諾するべき対象事業及び鉄
蓋の品目並びに許諾数量についての合意をした〔以下,同年6月27日付け
合意書(甲2)に基づく合意を「6月27日付け合意 」,同年9月1日付け
合意書(甲3)に基づく合意を「9月1日付け合意」という 。 。
〕
本件基本契約及び上記合意を合わせた原告と被告の通常実施権許諾契約
(以下「本件契約」という 。)の内容は,下記のとおりである(ただし,本
件に関係のない内容は省略している 。 。なお,本件契約の効力は,平成1
)
7年4月20日以降,本件基本契約締結前に被告が製造販売した原告による
実施許諾の対象となった製品にも及ぶ。
ア 契約期間(本件基本契約12条)
本件契約は,契約締結の日から翌年3月末日までの間,有効に存続する
ものとし,期間満了の日の1か月前に,原告又は被告のいずれからも書面
による別段の意思表示のない場合は,本件基本契約の定める条件をもって
自動的に1年間ずつ更新されるものとする。
イ 許諾数量,対価,製造委託義務(本件基本契約6条,4条)
原告は,被告が指定業者となった対象事業を,一契約期間ごとに確認す
るとともに,該当対象事業ごとに,被告が契約期間内に製造し,販売する
ことのできる製品の数量(以下「許諾数量」という 。)について決定する
ものとし,原告と被告は,該当対象事業及び該当対象事業ごとの許諾数量
について,書面に記録し,合意書を取り交わすものとする。
原告は,被告が許諾数量の範囲内において製造し,販売する製品につい
ては,被告に対し,一切の対価を請求しないものとする。
ただし,被告が許諾数量を超えて製品を販売する場合,被告は,その超
過数量相当の製品の製造を原告に委託するものとし,原告は,被告のブラ
ンドを付した製品を被告に供給するものとする(以下,この委託に係る数
量を「委託数量」という 。 。
)
ウ 対象権利(6月27日付け合意4条,9月1日付け合意4条)
別紙知的財産権目録記載のとおり
エ 報告義務(本件基本契約5条1項)
被告は,本件契約の規定に基づいて製造し,販売した製品の数量及び販
売先を5月末,7月末,9月末,11月末,1月末及び3月末ごとに原告
に報告する。
オ 損害賠償(本件基本契約7条,6月27日付け合意5条,9月1日付け
合意5条)
被告が上記イに違反して製品を製造販売した場合,被告は原告に対し,
その違反数量(注,許諾数量超過分から委託数量を控除した数量をいう。
以下同じ 。)に下記の製品タイプごとの損害賠償単価を乗じて算出した額
を支払う。
(ア) グラウンドマンホール(以下「GM」という 。 2万5000円
)
(イ) 小型グラウンドマンホール(防護蓋。以下「防護」という 。)
1万円
( 3) 違反数量
豊橋市及び四日市市における工事で納入された製品を除き,平成17年4
月20日から平成18年3月31日までの期間内に,被告が本件契約の対象
となるGM及び防護を製造販売した数量,許諾数量,委託数量及び違反数量
は,別紙被告製品製造販売目録のとおりであり,違反数量はGMが合計41
7個で,防護が合計102個である。
2 争点
損害賠償の額(豊橋市及び四日市市に納入されたGM及び防護の違反数量)
第3 争点に対する当事者の主張
【原告の主張】
1 豊橋市分について
被告は,平成17年4月20日から平成18年3月31日までの期間内に,
豊橋市に対し,GMを68個販売したところ,その許諾数量は0個であり,委
託数量は32個であるから,違反数量は36個である。
また,被告は,同期間内に,豊橋市に対し,防護を3個販売したところ,そ
の許諾数量,委託数量とも0個であるから,違反数量は3個である。
2 四日市市分について
被告は,上記期間内に,四日市市に対し,GMを32個販売したところ,そ
の許諾数量は0個,委託数量は10個であるから,違反数量は22個である。
また,被告は,同期間内に,四日市市に対し,防護を9個販売したところ,
その許諾数量,委託数量とも0個であるから,違反数量は9個である。
3 損害賠償の額
そうすると,その余の争いのない違反数量を合わせた違反数量の合計は,G
Mが合計475個,防護が合計114個となる。したがって,被告は,下記の
とおり,原告に対して上記違反数量に製品タイプごとの損害賠償単価(第2の
1( 2)オ)を乗じて算出した損害賠償額を支払う義務を負う。
( 1) GM
475個×2万5000円=1187万5000円
( 2) 防護
114個×1万円=114万円
合計 1301万5000円
【被告の主張】
1 豊橋市分について
原告の主張のうち,平成17年4月20日から平成18年3月31日までの
期間内におけるGMの許諾数量が0個であり,委託数量が32個であったこと
は認める。製造販売数量は31個の限度で認め,その余は否認する。したがっ
て,GMの違反数量はない。
2 四日市市分について
原告の主張のうち,上記期間内におけるGMの許諾数量が0個であり,委託
数量が10個であることは認める。製造販売数量は11個の限度で認め,その
余は否認する。したがって,GMの違反数量は1個にすぎない。
第4 争点に対する判断
1 違反数量について
( 1) 豊橋市分について
豊橋市分について,GMの許諾数量が0個であること,委託数量が32個
であることは当事者間に争いがないところ,証拠(甲17の2ないし8の各
1ないし3,17の9。豊橋市関係部局作成の工事関係書類)及び弁論の全
趣旨によれば,被告が平成17年4月20日から平成18年3月31日まで
の期間内に豊橋市に納入したGMの数量は68個であったことが認められ,
これに反する証拠はない(被告提出の乙号各証は被告が原告に対し製造を委
託し ,原告から納入を受けた商品の数量を証するものであり ,上記のとおり ,
同数量は当事者間に争いがなくなった 。)から,GMの違反数量は,その全
部が許諾数量を超過する販売数量68個から委託数量32個を差し引いた3
6個となる。
また ,防護について ,その許諾数量が0個 ,委託数量が0個であることは ,
弁論の全趣旨によって認められる。そして,上記証拠によれば,被告が上記
期間内に豊橋市に納入した防護の数量は3個であったことが認められ,これ
を左右する証拠はないから,防護の違反数量は,3個ということになる。
( 2) 四日市市分について
四日市市分について,GMの許諾数量が0個であること,委託数量が10
個であることは当事者間に争いがないところ,証拠〔甲18の2(四日市市
関係部局作成の平成17年度下水道用資器材使用調書 ),乙1,2の53・
54 。〕及び弁論の全趣旨によれば,被告が平成17年4月20日から平成
18年3月31日までの期間内に四日市市に納入したGMの数量は32個で
あったことが認められ,これに反する証拠はないから,GMの違反数量は,
その全部が許諾数量を超過する販売数量32個から委託数量10個を差し引
いた22個となる。
また,防護については,その許諾数量が0個,委託数量が0個であること
は,弁論の全趣旨により認められる。そして,上記証拠によれば,被告が上
記期間内に四日市市に納入した防護の数量は9個であったことが認められ,
これを左右する証拠はないから ,防護の違反数量は ,9個ということになる 。
( 3) その他
前記第2の1( 3)のとおり,平成17年4月20日から平成18年3月3
1日までの期間内における豊橋市分及び四日市市分を除く違反数量は,GM
が417個,防護が102個であるから,豊橋市分及び四日市市分を含めた
違反数量合計は,GMが475個,防護が114個ということになる。
2 損害賠償の額について
そうすると,被告が原告に支払うべき損害額は,以下の算出式により,GM
に関し1187万5000円,防護に関し114万円の合計1301万500
0円となる。
( 1) GM
475個×2万5000円=1187万5000円
( 2) 防護
114個×1万円=114万円
合計 1301万5000円
3 したがって,原告の本件請求はすべて理由がある。
よって,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 田 中 俊 次
裁判官 西 理 香
裁判官 西 森 み ゆ き
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