平成18(行ケ)10001特許取消決定取消請求事件
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裁判所 |
知的財産高等裁判所
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裁判年月日 |
平成18年9月20日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
被告特許庁長官 原告旭テクノグラス株式会社
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法令 |
特許権
特許法29条2項1回
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キーワード |
刊行物9回 審決3回 訂正審判1回 特許権1回 優先権1回
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主文 |
1 特許庁が異議2003-73209号事件について平成17年11月17日にした決定のうち,特許第3431279号の請求項2に係る特許を取り消すとの部分を取り消す。
2 訴訟費用は各自の負担とする。 |
事件の概要 |
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判決文
平成18年(行ケ)第10001号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 平成18年9月13日
判 決
原 告 旭テクノグラス株式会社
訴訟代理人弁理士 須 山 佐 一
同 川 原 行 雄
被 告 特 許 庁 長 官
中 嶋 誠
指 定 代 理 人 増 田 亮 子
同 板 橋 一 隆
同 松 本 貢
同 唐 木 以 知 良
同 小 林 和 男
主 文
1 特許庁が異議2003-73209号事件について平成17年11
月17日にした決定のうち,特許第3431279号の請求項2に係
る特許を取り消すとの部分を取り消す。
2 訴訟費用は各自の負担とする。
事 実 及 び 理 由
原告は,「1 主文第1項と同旨。2 訴訟費用は被告の負担とする。」との判
決を求め,請求の原因として別紙のとおり述べた。
被告は,請求棄却の判決を求め,請求原因事実は争わない,と述べた。
上記争いのない事実によれば,原告の請求は理由があるから認容し,訴訟費用
は,本件訴訟の審理経緯にかんがみ,これを各自に負担させるのを相当と認めて,
主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所 第2部
裁判長裁判官 中 野 哲 弘
裁判官 岡 本 岳
裁判官 上 田 卓 哉
(別紙)
請求の原因
1 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「陽極接合に使用する低膨張ガラス」とする特許第3
431279号(平成6年6月6日特許出願〔優先権主張 平成5年6月8日
日本〕。平成15年5月23日設定登録。以下「本件特許」という。)の特
許権者である(請求項1,2)。
本件特許の請求項1,2に係る発明(以下「本件発明1,2」という。)の
特許につき第三者(A)から特許異議の申立てがなされ,特許庁はこれを異議
2003-73209号事件として審理することとなった。その手続の中で,
原告は,本件特許の特許請求の範囲等の訂正を請求したが,特許庁は,平成1
7年11月17日,「訂正を認める。特許第3431279号の請求項1,2
に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その
決定謄本は平成17年12月7日原告に送達された。
2 発明の内容
設定登録時の本件発明1,2の内容は,次のとおりである。
「【請求項1】モル%表示で,実質的に,SiO2:54~68%,Al2O3
:8~18%,B 2 O 3 :3~8%,MgO:1~11%,CaO:0~3
%,BaO:0~3%,ZnO:7~15%,Na2O:0.5~4%,K2
O:0~4%,Na2O+K2O:0.5~6%からなり,実質的にPbO,
As2O3,Sb2O3を含有せず,室温から300℃までの範囲における平均
熱膨張係数が,25~40×10-7/℃の範囲にあることを特徴とする陽極
接合に使用する低膨張ガラス。
【請求項2】モル%表示で,実質的に,SiO2:60~68%,Al2O3
:8~12%,B 2 O 3 :4~8%,MgO:5~10%,CaO:0~3
%,BaO:0~3%,ZnO:7~12%,Na2O:1~3%,K2O:
0~2%,Na2O+K2O:1.5~4%からなる請求項1記載の陽極接合
に使用する低膨張ガラス。」
3 決定の内容
本件決定の内容は,別添「異議の決定」写しのとおりである。
その理由の要点は,本件発明は,下記刊行物1ないし8に記載された発明に
基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,その特許は特許法29
条2項の規定に違反してされたものである,というものであった。
記
・刊行物1:特開平4-83733号公報(審判甲1・本訴甲8)
・刊行物2:特開昭48-38664号公報(審判甲2・本訴甲9)
・刊行物3:特開昭54-55016号公報(審判甲3・本訴甲10)
・刊行物4:特開昭61-151042号公報(審判甲4・本訴甲11)
・刊行物5:特開昭61-281041号公報(審判甲5・本訴甲12)
・刊行物6:特開平5-17176号公報(審判甲6・本訴甲13)
・刊行物7:昭和44年1月30日株式会社朝倉書店6版発行,森谷太郎外
編「ガラス工学ハンドブック」298頁(審判甲7・本訴甲14)
・刊行物8:1985年11月20日株式会社朝倉書店初版第8刷発行,作花
済夫外編「ガラスハンドブック」296,297,574,575頁(審判
甲8・本訴甲15)
4 決定の取消事由
しかしながら,原告は,本件訴訟係属中の平成18年3月1日,本件特許に
ついて訂正審判(訂正2006-39034号)を請求し,これを受けた特許
庁は,平成18年7月25日,請求項2について訂正を認める旨の審決をし,
同審決は確定した。訂正を認められた請求項2に係る発明の内容は,下記のと
おりである。
記
「【請求項2】モル%表示で,実質的に,SiO2:60~68%,Al2O3
:8~9%,B2O3:4~8%,MgO:5~10%,CaO:1~3%,
BaO:0~3%,ZnO:7~12%,Na2O:1~3%,K2O:0~
2%,Na2O+K2O:1.5~4%からなる請求項1記載の陽極接合に使
用する低膨張ガラス。」(下線は訂正部分)
5 よって,上記訂正審決の確定により,本件決定が前提とした本件発明2の認
定は誤りに帰したことになるので,本件決定のうち特許第3431279号の
請求項2に係る特許を取り消すとの部分の取消しを求める。
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