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平成17(ワ)8362不正競争行為差止等請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所
裁判年月日 平成18年7月31日
事件種別 民事
当事者 被告株式会社トリニティーセキュリティーシステムズ
原告
法令 不正競争
不正競争防止法2条6項5回
不正競争防止法2条1項8号5回
キーワード 差止3回
実施2回
許諾1回
損害賠償1回
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 本件は,原告が,被告に対し,被告において,別紙営業秘密目録記載の原告 の営業秘密 以下 本件営業秘密 という を 原告との間でネットワーク環( 「 」 。) , 境における認証システム等の共同開発事業契約を締結していた会社から,不正 開示行為であることを知りながら取得し,同営業秘密を利用して別紙物件目録 記載1及び2のコンピュータ機器及びプログラムを製造,販売する不正競争行 為(不正競争防止法2条1項8号)を行ったとして,同法3条1項に基づく同 営業秘密の使用の差止め,同法4条に基づく損害賠償500万円(一部請求) 及び訴状送達の日の翌日である平成17年4月29日から支払済みまで民法所 定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

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判決文

平成18年7月31日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成17年(ワ)第8362号 不正競争行為差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成18年6月14日
判 決
神奈川県川崎市多摩区<以下略>
原 告 A
同訴訟代理人弁護士 柳 原 敏 夫
東京都千代田区<以下略>
被 告 株式会社トリニティーセキュリティーシステムズ
同訴訟代理人弁護士 古 谷 誠
同 小 野 寺 良 文
同 大 宮 立
同 市 川 直 介
主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 被告は,別紙営業秘密目録記載の営業秘密を使用して,別紙物件目録記載1
の製品を製造,販売してはならない。
2 被告は,別紙営業秘密目録記載の営業秘密を使用して,別紙物件目録記載2
の製品を製造,販売してはならない。
3 被告は,原告に対し,金500万円及びこれに対する平成17年4月29日
から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,原告が,被告に対し,被告において,別紙営業秘密目録記載の原告
の営業秘密( 以下「 本件営業秘密 」という 。 を ,原告との間でネットワーク環

境における認証システム等の共同開発事業契約を締結していた会社から,不正
開示行為であることを知りながら取得し,同営業秘密を利用して別紙物件目録
記載1及び2のコンピュータ機器及びプログラムを製造,販売する不正競争行
為(不正競争防止法2条1項8号)を行ったとして,同法3条1項に基づく同
営業秘密の使用の差止め,同法4条に基づく損害賠償500万円(一部請求)
及び訴状送達の日の翌日である平成17年4月29日から支払済みまで民法所
定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 前提となる事実等(争いがない事実以外は証拠を末尾に記載する 。)
(1) 原告が代表取締役を務めるジェーシーエヌ株式会社 以下 JCN」という 。
( 「 )
と,日本システムハウス株式会社(以下「NSH」という 。)は,平成14年6
月30日 ,NSHを甲 ,JCNを乙とし , 乙の開発したTAO TIME認知システムに係

る技術( 以下本件技術という )に基づき ,甲乙共同でP2Pネットワーク環境の
下JAVA仕様の認証モジュール製品(以下対象製品という)の開発を行うに先
立ち,乙が甲に本件技術を開示し,対象製品の開発の実現性について協議す
るのに際し ,次のとおり契約を締結する 。 として ,同技術の開示等に関する

契約を締結し(甲7 ),同契約に基づく協議を行った。
(2) 原告,NSH及びJCNは,平成14年9月1日,原告を甲,NSHを乙,JCNを丙
とし , 甲が考案し ,設計し ,丙が管理するTAO TIME認知・認証・管理システ

ムに係る技術を基に,乙が有する技術を利用し,甲乙丙共同で本契約に定め
る対象製品を開発することに関し ,次のとおり契約する 。 として ,これらの

技術を利用した製品の共同開発契約を締結し(甲8,以下「第一次共同開発
契約」という 。 ,同契約所定の共同開発を行った。

(3) さらに,原告,NSH及び株式会社NAD研究所(以下「NAD」という 。)は,平
成15年7月30日 ,原告を甲 ,NSHを乙 ,NADを丙とし , 甲が発明し ,考案

し,設計し,丙がその管理を行うQrAS認知・認証・管理システムに係る技術
(以下本件技術という)を基本に,これに乙の有する技術を加え甲乙丙共同
で本契約に定める対象製品を開発することに関し ,次の通り契約する 。 とし

て,これらの技術を利用した製品の共同開発契約(甲9,以下「第二次共同
開発契約」という 。)及び同契約に基づく覚書を締結し(甲10 ),同契約所
定の共同開発を行った。
同契約7条には , 甲乙丙は本件技術および本件開発並びに対象製品に関す

る技術情報,相手方の営業情報などの機密情報について,第1条の目的以外
には使用せず,本契約の有効期間中および本契約が終了した後といえどもそ
の秘密を保持しなければならない 。」旨の秘密保持義務が定められている。
(4) 被告は,平成16年1月5日,NSHを吸収合併した。
(5) 被告は ,平成16年3月18日 ,別紙物件目録記載1(1)の製品( 正式の製
品名は「IPNセキュア・プラットフォーム ゲートウェイタイプ 」,製品番号
は「IPGWP010」及び「IPGWP020」である。以下,これらを併せて「被告製品
1 」という 。 合計68台( IPGWP010につき31台 ,IPGWP020につき37台 )

を,販売総代理店に1台約20万円で販売した。
(6) さらに ,被告は ,平成16年10月 ,別紙物件目録記載2(1)の製品( 以下
「被告製品2」という 。)を発表し(甲17 ),発売準備を行っている。
また,被告は,被告製品2のソフトウェアタイプとして,別紙物件目録記
載2(2)の製品( 以下「 被告製品3 」という 。 を開発し( 甲57 ) 販売する
) ,
予定である。
2 争点
(1) 本件営業秘密が,不正競争防止法2条6項にいう営業秘密に当たるか(争
点1 )。
(2) 被告が同法2条1項8号の行為を行ったか(争点2 )。
(3) 原告の損害はいくらか(争点3 )。
3 争点についての当事者の主張
(1) 争点1(本件営業秘密が,不正競争防止法2条6項にいう営業秘密に当た
るか)について
(原告の主張)
ア 非公知性
本件営業秘密の内容である認証技術が,原告自らが出願し(特願200
2-184750号 ) 公開された特許出願( 特開2003-101534

号 )に係る公開特許公報( 乙9 。以下「 本件公知例 」という 。 にすべて開

示されており,公知であるとの被告の主張は,争わない。
イ 秘密管理性
第二次共同開発契約の当事者であったNADは ,原告の個人会社であり ,本
件営業秘密は,原告のみがその情報にアクセスできる体制にあるから,秘
密管理性を有する。
ウ 有用性
認証システム製品としては,これまでワンタイムパスワードが主流であ
ったが ,これはハードウェア仕様であったためにイニシャルコストが高く ,
また,認証管理サーバを設置しメンテナンスをしなければならないという
ランニングコストの問題があったところ,本件営業秘密は,これらの問題
を解決するために,ソフトウェア仕様で認証システムを実現し,なおかつ
クライアントがサーバを認証するという双方向認証を実現することによ
り,認証管理サーバを不要にした。さらに,ユビキタス社会に不可欠なP2
P対応のファイル配信ビジネスにおいて ,SOHOユーザ又は個人ユーザにとっ
ても意味があり,有用性を有する。
(被告の反論)
本件営業秘密の内容となる認証技術は,本件公知例(乙9)にすべて開示
されており,公知である。
また,このように公知の技術を秘密として管理することも不可能なので秘
密管理性もない。
したがって ,本件営業秘密は ,不正競争防止法2条6項にいう「 営業秘密 」
に該当しない。
(2) 争点2(被告が不正競争防止法2条1項8号の行為を行ったか)について
(原告の主張)
ア NSHから被告への不正開示行為
原告開発に係る認証アルゴリズムに関する機密情報は,以下の書面の交
付等により ,平成15年5月ないし同年8月ころ ,NSHの事業部長石井一夫
らから被告の開発責任者へ開示された。
(ア) QrAS_C言語仕様書(同年5月ころ原告とNSHの共同作成)
(イ) QrAS_SDK取扱説明書(同上)
(ウ) QrAS_SDK評価キット一式(同上)
(エ) QrAS_SDK Cソースコードプログラム一式(同上)
(オ) QrAS_SDK デバッグツール一式(同上)
(カ) QrAS 自律分散認証アルゴリズムSDK Ver3.0概要仕様書02版 同年

6月16日原告とNSHの共同作成)
(キ) 説明資料「自律分散認証アルゴリズムQrASとは? 」(Ver0.1)(同年
2月19日原告作成)
(ク) 技術解説書「無線LAN企画・n対nバージョン 」(平成14年11月2
1日原告作成)
(ケ) Pure P2P型自律分散認証アルゴリズム論文(同年7月30日原告作
成)
イ 被告は ,ア記載のNSHの行為が第二次共同開発契約7条に定める秘密保持
義務に違反する不正開示行為であることを知りながら ,NSHから ,原告開発
に係る認証アルゴリズムを開示され,平成16年3月に,被告製品1を少
なくとも68台(IPGWP010を31台,IPGWP020を37台)販売した。
このように ,被告が ,原告開発に係る認証アルゴリズムをNSHから開示さ
れ,本件営業秘密を搭載した被告製品1を開発,製造,販売したことは,
不正競争防止法2条1項8号の不正競争行為に該当する。
また,被告は,同年6月から,第二次共同開発契約7条の秘密保持義務
に違反し,原告開発に係る認証アルゴリズムを,同契約1条に定める共同
開発等以外の目的に使用して,本件営業秘密を搭載した被告製品2及び3
を開発し,製造する不正競争行為を行った。
(被告の反論)
ア 原告は,第一次及び第二次共同開発契約に基づき,平成14年6月ころ
から平成15年12月まではNSHに,NSHと被告が合併した平成16年1月
以降同年4月までは被告に,それぞれ常駐あるいはこれと同視できる状況
で,NSH又は被告と共同開発を行っていたのであり,本件紛争に至る以前に,
被告製品1の開発,製造,販売について異議を申し述べたことは一度もな
かった。
そして ,NSH及び被告は ,原告に対し ,平成16年4月30日までに ,第
一次及び第二次共同開発契約に定める対価として,合計3550万円を支
払済みである。
被告は,第一次及び第二次共同開発契約に従って,原告から適法に原告
開発に係る認証アルゴリズムの開示を受けてこれを被告製品1に搭載した
ものである。また,被告は,第一次及び第二次共同開発契約の契約上の地
位をNSHから承継しているので ,同契約に基づいて平成20年7月29日ま
で被告製品1を単独で販売できる権限を有している(甲9,12条1項,
13条 )。
このように,被告による被告製品1の開発,製造,販売は,適法な許諾
に基づくものであって,当該行為が不正競争防止法2条1項8号に定める
不正競争行為に該当することなどあり得ない。
イ 被告製品2及び3においては,認証アルゴリズムとして原告開発に係る
認証アルゴリズムではなく,別途開発された動的パスワード認証方式が使
用されている。
原告は,本件営業秘密が被告製品2及び3のどこに搭載されているのか
具体的に主張していない。
ウ 原告は,不正競争防止法2条1項8号にいう,被告の悪意・重過失も主
張していない。
エ さらに,被告は,別紙物件目録記載1(2)ないし(7)の製品については,
製造も販売も行っていないし,将来これを製造・販売する予定もない。原
告も,これらの製品に対する差止請求権の根拠について,何ら主張をして
いない。
(3) 争点3(原告の損害はいくらか)について
(原告の主張)
ア 被告製品1の開発,製造,販売
被告は,平成16年3月に,被告製品1を少なくとも68台(IPGWP010
を31台,IPGWP020を37台)販売した。
上記販売後,本件訴訟提起までの約1年以上の期間の経過を考えれば,
被告製品1の販売台数が合計で300台を下ることはない。また,その価
格は約20万円である。
他方,第一次共同開発契約9条には実施料の基本が定めてあり,これを
参考にして計算すれば,本件営業秘密の無断使用に基づく被告製品1の開
発,製造,販売による原告の損害は,
20万円×300台×(7+3.5)%=630万円
を下らない。
イ 被告製品2及び3の開発,製造,販売
被告製品2及び3が前記被告製品1と同等の性能であり,にもかかわら
ず,販売価格が約5倍することを考えると,平成16年12月の発売より
約5か月間で,販売台数が30台を下ることはない。
前記被告製品1と同様の計算方法により計算すれば,本件営業秘密の無
断使用に基づく被告製品2及び3の開発 ,製造 ,販売による原告の損害は ,
98万円×30台×10.5%=308万円(万未満切り捨て)
を下らない。
ウ 慰謝料
原告は ,NSH及び被告を ,最も信頼する共同事業のパートナーとして ,原
告が手塩に掛けて発明してきた本件営業秘密を開示し,その事業化の成功
のために運命を共にしてきたにもかかわらず,一方的に裏切られるという
結果となり,なおかつ,本件訴訟提起前の1年にわたる交渉においても,
被告の態度によって原告の被った精神的苦痛は測り難い。それゆえ,原告
の被った精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の金額は,少なくとも100
0万円を下らない。
エ 弁護士費用
原告は,上記の経緯からやむなく本件訴訟を提起したものであり,前記
賠償金額や本件訴訟遂行の難易度等に照らし,弁護士費用は少なくとも5
00万円を下らない。
オ 原告は,被告に対し,これら損害合計2438万円のうち,一部請求と
して,500万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成17年
4月29日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支
払を求める。
(被告の反論)
争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点1(本件営業秘密が,不正競争防止法2条6項にいう営業秘密に当たる
か)について
(1) 本件訴訟は,平成17年4月26日に提起され,同年6月20日に第1回
口頭弁論期日が開かれた後,弁論準備手続に付され,主に原告が主張する営
業秘密の特定をめぐって双方の主張が行われた。そして,原告は,平成18
年6月14日の第8回弁論準備手続期日において,被告の不正競争行為の対
象となる営業秘密について,本件営業秘密のとおり特定した。
上記期日において,被告から,本件営業秘密の内容である認証技術は,本
件公知例にすべて開示され,公知である旨主張されたのに対し,原告は,こ
れを争わないと陳述した。
(2) 不正競争防止法における「 営業秘密 」は , 秘密として管理されている生産

方法 ,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって ,
公然と知られていないものをいう」とされており(同法2条6項 ) 「公然と

知られていない」ものであることが要件とされる。
しかし,本件営業秘密の内容である認証技術が,原告自らが出願した本件
公知例にすべて開示されている公知のものであるとの被告の主張に対し,原
告は,上記のとおり,これを争わないとし,そのほか,本件営業秘密が「公
然と知られていない」ものであることについて何ら主張,立証を行わない。
そうすると ,本件営業秘密は , 公然と知られていない 」ものであるとは認

められず,不正競争防止法2条6項にいう営業秘密には当たらないというべ
きである。
(3) よって,その余の点について検討するまでもなく,原告の主張はいずれも
理由がない。
2 以上のとおりであるから,その余の争点について判断するまでもなく,原告
の請求は,いずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のと
おり判決する。
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 清 水 節
裁判官 山 田 真 紀
裁判官 片 山 信
(別紙)
営業秘密目録
「 1対nによる 」接続形態における「 P to P」機能を実現するための ,下記「 独自
のタイムスタンプ値生成技術」及び「タイムスタンプを元にした認証データ生成/
認証技術」
第1 独自のタイムスタンプ値生成技術
1 クライアントからの要求送信
① クライアントは,サーバに対して要求を送信する。クライアントは,同時
に,
(ⅰ) 前回の「クライアント要求送信タイムスタンプ値」
(ⅱ) 前回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値」
(ⅲ) 前々回の クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値の復号値 」

の3つの値をサーバに対して送信する。ただし,クライアントとサーバが初
めて送受信を行う場合などは,前回あるいは前々回といった過去の通信履歴
を持たないため,値は「0」を送信する。
2 サーバの要求受信
② サーバは,クライアントからの要求を受信する。同時にクライアントから
送信された,
(ⅰ) 前回の「クライアント要求送信タイムスタンプ値」
(ⅱ) 前回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値」
(ⅲ) 前々回の クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値の復号値 」

の3つの値をサーバが保有するデータベースに格納する。
③ サーバは,任意の乱数Sを生成する(又は,コンピュータの現在時刻を示
すシリアル値Sを取得する 。 。

④ サーバは ,③で生成したSと前回クライアントとの通信の際に生成した 共

有値」とを比較し,
・ (前回生成した「共有値」+3)≦Sであれば,Sを今回の「共有値」
とする
・ ( 前回生成した「 共有値 」+3 )>Sであれば , 前回生成した「 共有値 」

+3)を今回の「共有値」とする
・ クライアントと初めて通信する場合などは,前回生成した「共有値」が
存在しないため,Sを今回の「共有値」とする
⑤ サーバは,④で得られた「共有値」をサーバが保有するデータベースに格
納する。
⑥ サーバは ,前々回までのクライアントとの通信における , クライアント応

答受信タイムスタンプ値」と「クライアント要求送信タイムスタンプ値」の
差の合計値である「累積差分」を算出する。ただし,クライアントと初めて
通信を行う場合や,2回目の通信の場合は,前々回までのクライアントとの
通信が存在しないため ,「累積差分」は0とする。そうでない場合 ,「累積差
分」は以下の手順で算出する。
(ⅰ) ②で受信した前々回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠
蔽値の復号値」を利用して,前々回の「クライアント応答受信タイムス
タンプ値の隠蔽値」を生成する際にデータベースから任意に抽出した値
Xを算出する。
(ⅱ) 前々回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」=前々回の「ク
ライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値」-( ⅰ )で算出した値X
の式により,前々回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」を求
める。
(ⅲ) (ⅱ)で求めた前々回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」か
ら,前回通信時にクライアントからサーバへ送信された前々回の「クラ
イアント要求送信タイムスタンプ値」の差を求める。
(ⅳ) 「累積差分」=前回算出した「累積差分」+(ⅲ)で求めた差
の式により「累積差分」を求める。
⑦ サーバは,前回の「サーバ要求受信タイムスタンプ値」を,次の式により
生成する。
前回の「サーバ要求受信タイムスタンプ値」=前回の「共有値」+「累
積差分」
次に,この式により生成した「サーバ要求受信タイムスタンプ値」を,サ
ーバが保有するデータベースに格納する。
⑧ サーバは,今回の「共有値」をクライアントに送信する。
3 クライアントの応答受信
⑨ クライアントは,サーバから応答を受信する。同時にサーバから送信され
た 共有値 」を受信して ,クライアントが保有するデータベースに格納する 。

⑩ クライアントは,過去にサーバと行った送受信の際の「クライアント応答
受信タイムスタンプ値」と「クライアント要求送信タイムスタンプ値」の差
の合計値である「累積差分」を算出する。ただし,過去に送受信を行った履
歴が存在しない場合は , 累積差分 」を0とし ,そうでない場合は ,前回クラ

イアント内で算出した「累積差分」に前回通信の際の「クライアント応答受
信タイムスタンプ値」と「クライアント要求送信タイムスタンプ値」の差を
加算して ,「累積差分」を算出する。
⑪ クライアントは,①で行った今回の「クライアント要求送信タイムスタン
プ値」を,次の式により生成する。
今回の「 クライアント要求送信タイムスタンプ値 」= ⑨で受信した 共
( 「
有値」-1)+⑩で算出した「累積差分」
⑫ クライアントは,今回の「クライアント要求送信タイムスタンプ値」をク
ライアントが保有するデータベースに格納する。
⑬ クライアントは,任意の乱数αを生成する。
⑭ クライアントは,クライアントが保有するデータベースに格納されている
値からランダムに値を抽出する。
⑮ クライアントは,ランダムに抽出した値の位置を示す値βを確定する。
⑯ クライアントは,⑨でサーバからの応答を受信した際のタイムスタンプ値
である今回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」を次の式により生
成する。
今回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」=⑫で生成した「ク
ライアント要求送信タイムスタンプ値」+⑬で生成した乱数α
⑰ クライアントは,今回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」をク
ライアントが保有するデータベースに格納する。
⑱ クライアントは,次の式により,今回の「クライアント応答受信タイムス
タンプ値の隠蔽値」を生成する。
今回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値」=⑯で生成
した今回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」+⑭でランダムに
抽出した値
⑲ クライアントは,⑱で生成した今回の「クライアント応答受信タイムスタ
ンプ値の隠蔽値」と,⑮で確定したランダムに抽出した値の位置を示す値β
をデータベースに格納する。
第2 タイムスタンプを元にした認証データ生成/認証技術
1 「クライアント識別子」の生成
① クライアントは,前回の「クライアント要求送信タイムスタンプ値」と前
々回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」の差分を求める。もしク
ライアントに前回の「クライアント要求送信タイムスタンプ値」が存在しな
い場合,値は0とする。同様に,前々回の「クライアント応答受信タイムス
タンプ値」が存在しない場合,値は0とする。
② クライアントは,次の式により ,「クライアント識別子」を生成する。
「クライアント識別子」=前回サーバから送信された「サーバ識別子」
-①で求めた差分
の式によって求める。前回サーバから送信された「サーバ識別子」が存在し
ない場合は,値は0として計算する。
次に,クライアントは,生成した「クライアント識別子」をクライアント
が保有するデータベースに格納する。
③ クライアントは,②で生成・格納した「クライアント識別子」をサーバに
送信する 。ただし , 第1
「 独自のタイムスタンプ値生成技術 」で述べたタイ
ムスタンプ値生成手順(アルゴリズム)と併せて行われるため,クライアン
トからサーバへ送信されるデータは,
ア 前回の「クライアント要求送信タイムスタンプ値」
イ 前回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値」
ウ 前々回の クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値の復号値 」

エ 「クライアント識別子」
となる。
2 サーバ内部での「クライアント判断子」の生成
④ サーバは,前回の「サーバ要求受信タイムスタンプ値」と前々回の「サー
バ要求受信タイムスタンプ値 」の差分を算出する( 以下「 差分A 」という 。 。

⑤ サーバは , 第1
「 独自のタイムスタンプ値生成技術 」で述べたタイムスタ
ンプ値生成手順(アルゴリズム)に基づいて,③でクライアントから送信さ
れた前々回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値の隠蔽値の復号値」
から,前々回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」を算出する。
⑥ サーバは,③でクライアントから送信された前回の「クライアント要求送
信タイムスタンプ値」と⑤で算出した前々回の「クライアント応答受信タイ
ムスタンプ値」の差分を算出する(以下「差分B」という 。 。

⑦ サーバは,次の式により ,「クライアント判断子」を生成する。
「クライアント判断子」=前回の「クライアント識別子」+(差分A-
差分B)
の式によって求める。
⑧ サーバは,次の方法により,認証を行う。認証は,③にてクライアントか
ら送信された「クライアント識別子」と⑦において生成した「クライアント
判断子」の比較によって行う。
・ クライアント識別子」=「クライアント判断子」であれば認証OK

・ クライアント識別子」<>「クライアント判断子」であれば認証NG

・ 認証OKであれば,引き続き,以下の手順を実施する。
3 「サーバ識別子」の生成
⑨ サーバは,前回の「サーバ要求受信タイムスタンプ値」と前々回の「サー
バ要求受信タイムスタンプ値」の差分を算出する。
⑩ サーバは,次の式により ,「サーバ識別子」を生成する。
「サーバ識別子」=前回の「クライアント識別子」+①で算出した差分
次に,サーバは,生成した「サーバ識別子」をサーバが保有するデータベ
ースに格納する。
⑪ サーバは ,「サーバ識別子」をクライアントに送信する。
ただし , 第1
「 独自のタイムスタンプ値生成技術 」で述べたタイムスタン
プ値生成手順(アルゴリズム)と併せて行われるため,サーバからクライア
ントへ送信されるデータは,
ア 「共有値」
イ ⑩で生成した「サーバ識別子」
となる。
4 クライアント内部での「サーバ判断子」の生成
⑫ クライアントは,前回の「クライアント要求送信タイムスタンプ値」と前
々回の「クライアント応答受信タイムスタンプ値」の差分を算出する。
⑬ クライアントは,次の式により ,「サーバ判断子」を生成する。
「サーバ判断子」=②で生成した「クライアント識別子」+⑫で算出し
た差分
⑭ クライアントは,次の方法により,認証を行う。認証は,⑪にてサーバか
ら送信された「サーバ識別子」と⑬において生成した「サーバ判断子」の比
較によって行う。
・ 「サーバ識別子」=「サーバ判断子」であれば認証OK
・ 「サーバ識別子」<>「サーバ判断子」であれば認証NG
(別紙)
物件目録
1 次のコンピュータ機器又はコンピュータプログラム
(1) 製品名を「IPN Gateway(製品番号:IPNGWP010,IPNGWP020)」とするコンピ
ュータ機器
(2) 製品名を「 IPN Gateway ソフトウェアタイプ 」 又は「 ソフト
, IPN」とする
コンピュータプログラム
(3) 製品名を「IPN-NIC」とするコンピュータ機器
(4) 製品名を「IPN-Chip」とするコンピュータ機器
(5) 製品名を「IPN-Box」とするコンピュータ機器
(6) 製品名を「IPNポリシーサーバLight」とするコンピュータ機器
(7) 製品名を「IPNポリシーサーバStandard」とするコンピュータ機器
2 次のコンピュータ機器又はコンピュータプログラム
(1) 製品名を「IPNTK」とするコンピュータ機器
(2) 製品名を「IPN-WIN」とするコンピュータプログラム

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