平成16(行ケ)406特許取消決定取消請求事件
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成17年2月10日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法29条2項1回
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キーワード |
審決6回 訂正審判1回 特許権1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成16年(行ケ)第406号 特許取消決定取消請求事件(平成17年1月27
日口頭弁論終結)
判 決
原 告 東レ株式会社
訴訟代理人弁理士 岩見知典
同 黒澤理弘
被 告 特許庁長官 小川洋
指定代理人 福田裕司
同 杉野裕幸
同 高橋泰史
同 伊藤三男
主 文
特許庁が異議2003-72113号事件について平成16年7月22
日にした決定を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
(1) 原告は,名称を「流量計およびろ過装置」とする特許第3379528号
発明(平成13年1月22日特許出願,平成14年12月13日設定登録,以下
「本件特許」という。)の特許権者である。
本件特許について特許異議の申立てがされ,異議2003-72113号
事件として特許庁に係属し,原告は,平成16年6月2日,本件特許出願の願書に
添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等の訂正
(以下「本件訂正」という。)の請求をした。特許庁は,上記事件を審理した結
果,同年7月22日,「訂正を認める。特許第3379528号の請求項1ないし
3に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄
本は,同年8月13日,原告に送達された(上記訂正により,発明の名称が「蛇口
直結型浄水器」と訂正された。)
(2) 原告は,平成16年9月10日,本件決定の取消しを求める本訴を提起
し,その後,同年11月9日,本件明細書の特許請求の範囲の記載等の訂正を求め
る訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2004-39254号
事件として審理し,同年12月21日,「特許第3379528号に係る明細書及
び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを
認める。」との審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その謄本は,平成1
7年1月7日,原告に送達された。
2 本件明細書の特許請求の範囲の記載
(1) 設定登録時のもの(以下,その明細書を「登録明細書」という。)
【請求項1】流体により回転する羽根車,羽根車に固定された磁石,磁石の回
転を感知する磁気センサおよび磁気センサからの信号が入力される制御部を備えた
流量計と,ろ過材料とを備えた浄水器であって,羽根車は,浄水の通水により回転
するようにろ過材料よりも下流側の浄水送水路に設けられ,かつ,送水方向に平行
に配設された円柱形の回転軸と羽根とを備え,回転軸の一端に支持部材を挿入する
軸穴を,他端に磁石取付穴を設け,磁石を磁石取付穴内に収容し接着剤により封止
固定したことを特徴とする浄水器。
【請求項2】流体により回転する羽根車,羽根車に固定された磁石,磁石の回
転を感知する磁気センサおよび磁気センサからの信号が入力される制御部を備えた
流量計と,ろ過材料とを備えた浄水器であって,羽根車は,浄水の通水により回転
するようにろ過材料よりも下流側の浄水送水路に設けられ,かつ,送水方向に平行
に配設された円柱形の回転軸と羽根とを備え,回転軸の一端に支持部材を挿入する
軸穴を,他端に磁石取付穴を設け,磁石を磁石取付穴内に収容し栓部材により封止
固定したことを特徴とする浄水器。
【請求項3】磁気センサが羽根車を配設した浄水送水路の外周に固定されてい
る,請求項1または2に記載の浄水器。
(以下,上記【請求項1】~【請求項3】に係る発明を「本件発明1」~
「本件発明3」という。)
(2) 本件訂正に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。)
【請求項1】流体により回転する羽根車,羽根車に固定された磁石,磁石の回
転を感知する磁気センサおよび磁気センサからの信号が入力される制御部を備えた
流量計と,送水方向に吸着剤層,複数本の中空糸膜束の順に直列に接続してなるろ
過材料とを備えた蛇口直結型浄水器であって,羽根車は,浄水の通水により回転す
るように前記ろ過材料を構成する複数本の中空糸膜束よりも下流側の浄水送水路に
設けられ,かつ,送水方向に平行に配設された円柱形の回転軸と羽根とを備え,回
転軸の一端に支持部材を挿入する軸穴を,他端に磁石取付穴を設け,磁石を磁石取
付穴内に収容し接着剤により封止固定したことを特徴とする蛇口直結型浄水器。
【請求項2】流体により回転する羽根車,羽根車に固定された磁石,磁石の回
転を感知する磁気センサおよび磁気センサからの信号が入力される制御部を備えた
流量計と,送水方向に吸着剤層,複数本の中空糸膜束の順に直列に接続してなるろ
過材料とを備えた蛇口直結型浄水器であって,羽根車は,浄水の通水により回転す
るように前記ろ過材料を構成する複数本の中空糸膜束よりも下流側の浄水送水路に
設けられ,かつ,送水方向に平行に配設された円柱形の回転軸と羽根とを備え,回
転軸の一端に支持部材を挿入する軸穴を,他端に磁石取付穴を設け,磁石を磁石取
付穴内に収容し栓部材により封止固定したことを特徴とする蛇口直結型浄水器。
【請求項3】磁気センサが羽根車を配設した浄水送水路の外周に固定されてい
る,請求項1または2に記載の蛇口直結型浄水器。
(3) 本件訂正審決に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。なお,2重下線部
分(編注;2重下線部分は太字斜体で置き換える)は,上記(2)との相違部分であ
る。)
【請求項1】流体により回転する羽根車,
羽根車に固定された磁石,磁石の回転を感知
する磁気センサおよび磁気センサからの信号が入力される制御部を備えた流量計
と,送水方向に吸着剤層,複数本の中空糸膜束の順に直列に接続してなるろ過材料
とを備えた蛇口直結型浄水器であって,羽根車は,浄水の通水により回転するよう
に前記ろ過材料を構成する複数本の中空糸膜束よりも下流側の浄水送水路に設けら
れ,かつ,送水方向に平行に配設された円柱形の回転軸
を備え,回転軸の一端に支持部材を挿入する軸穴
を,他端に磁石取付穴を設け,
磁石を磁
石取付穴内に収容し接着剤により封止固定したことを特徴とする蛇口直結型浄水
器。
【請求項2】流体により回転する羽根車,
羽根車に固定された磁石,磁石の回転を感知
する磁気センサおよび磁気センサからの信号が入力される制御部を備えた流量計
と,送水方向に吸着剤層,複数本の中空糸膜束の順に直列に接続してなるろ過材料
とを備えた蛇口直結型浄水器であって,羽根車は,浄水の通水により回転するよう
に前記ろ過材料を構成する複数本の中空糸膜束よりも下流側の浄水送水路に設けら
れ,かつ,送水方向に平行に配設された円柱形の回転軸
を備え,回転軸の一
端に支持部材を挿入する軸穴を,他端に磁石取付穴を設け,
磁石を
磁石取付穴内に収容し栓部材により封止固定したことを特徴とする蛇口直結型浄水
器。
【請求項3】磁気センサが羽根車を配設した浄水送水路の外周に固定されてい
る,請求項1または2に記載の浄水器。
3 本件決定の理由
本件決定は,本件発明1~3の要旨を上記2(2)のとおり認定した上,本件発
明1~3の特許は,いずれも特許法29条2項の規定に違反してされたものである
から,同法113条2項の規定に該当し,取り消されるべきものであると判断し
た。
第3 原告主張の本件決定取消事由
本件決定が,本件発明1~3の要旨を上記第2の2(2)のとおり認定した点
は,本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の
2(3)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになるから,本件決定は,本件発
明1~3の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されるべきである。
第4 被告の主張
本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正
されたことは認める。
第5 当裁判所の判断
本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2
の2(3)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請
求の範囲が減縮されたことは明らかである。
そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を上記第2の2(2)のとおり認定し
たことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼ
すことは明らかであるから,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れな
い。
よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決
する。
東京高等裁判所知的財産第2部
裁判長裁判官 篠 原 勝 美
裁判官 古 城 春 実
裁判官 岡 本 岳
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