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平成15(行ケ)507特許取消決定取消請求事件

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成16年11月25日
事件種別 民事
法令 特許権
特許法29条2項2回
民事訴訟法62条1回
キーワード 審決3回
訂正審判1回
特許権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成15年(行ケ)第507号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 平成16年11月25日
判          決
原      告   三菱製鋼株式会社
訴訟代理人弁理士   酒 井 正 己
    同       小 松   純
   被      告   特許庁長官 小川 洋
    指定代理人      後 藤 政 博
    同       一 色 由美子
    同       中 村 朝 幸
    同       宮 下 正 之
主           文
1 特許庁が異議2002-70891号事件について平成15年9月30
日にした決定中,「特許第3226737号の請求項1に係る特許を取り消す。」
との部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
1 原告の請求
(1) 主文1項と同旨。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1) 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「低脱炭性ばね用鋼」とする特許第3226737号
の特許(平成6年12月21日出願,平成13年8月31日設定登録。以下「本件
特許」という。後記本件第1訂正後の請求項の数は1である。)の特許権者であ
る。
本件特許に対し,請求項1及び2につき,特許異議の申立てがあり,特許庁
は,この申立てを,異議2002-70891号事件として審理した。原告は,こ
の審理の過程で,平成15年6月23日,本件特許の出願に係る願書に添付した明
細書の訂正の請求をした。特許庁は,上記事件につき審理し,その結果,平成15
年9月30日,この訂正を認めた上で(以下「本件第1訂正」という。),「特許
第3226737号の請求項1に係る特許を取り消す。」(以下,取り消された請
求項1に係る発明を「本件発明」という。)との決定をし,同年10月20日,そ
の謄本を原告に送達した。
(2) 決定の理由
要するに,本件発明は,公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすること
ができたものであるから,特許法29条2項の規定に該当する,したがって,本件
特許は,請求項1について,この規定に違反して登録されたものである,というこ
とである。
(3) 訂正審判の確定
  原告は,本訴係属中に,本件特許の出願に係る願書に添付した明細書の訂正
をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2004-39204
号事件として審理し,その結果,平成16年11月8日に訂正(以下「本件第2訂
正」という。)することを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)を
し,これが確定した。
(4) 本件第1訂正後の本件発明の特許請求の範囲
「【請求項1】重量%でC:0.40~0.70%,Si:1.45~2.
50%,Mn:0.40~0.77%,Al:0.005~0.100%,S:
0.008~0.050%およびCr:0.77~1.50%,Mo:0.05~
1.00%,V:0.01~0.50%,Nb:0.010~0.300%のうち
の1種ないし2種以上を含み,さらにNi:0.05~2.50%,Cu:0.0
5~1.00%を含み,残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする
低脱炭性ばね用鋼。」
(5) 本件第2訂正後の本件発明の特許請求の範囲(下線部が本件第1訂正後のも
のと比較した場合の訂正箇所である。)
「【請求項1】重量%でC:0.40~0.70%,Si:1.51~1.
58%,Mn:0.40~0.75%,Al:0.005~0.100%,Cr:
0.78~0.98%,Mo:0.05~1.00%,S:0.008~0.05
0%,Ni:0.06~2.45%,Cu:0.05~0.98%を含み,さらに
V:0.01~0.50%,Nb:0.010~0.300%のうちの一種又は2
種を含み,残部Feおよび不可避的不純物からなり,全脱炭層深さが0.00m
m,フェライト脱炭層深さが0mmであることを特徴とする低脱炭性ばね用鋼。」
3 当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実によれば,本件第2訂正前の特許請求の範囲
(本件第1訂正後の特許請求の範囲)の請求項1の記載に基づき,その発明を認定
し,これを前提に,特許法29条2項の規定に違反して登録された特許であること
を理由に,同請求項について本件特許を取り消した決定の取消しを求める訴訟の係
属中に,当該特許に係る特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判が請求され,特許
庁は,これを認める本件訂正審決をし,これが確定したということができる。
決定は,これにより,結果として,上記請求項1について判断の対象となるべ
き発明の要旨の認定を誤ったことになり,この誤りが上記請求項について決定の結
論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,決定は,上記請求項につき,
取消しを免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所知的財産第3部
    裁判長裁判官   佐  藤  久  夫
  
    裁判官   設  樂  隆  一
   裁判官   若  林  辰  繁

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