平成15(行ケ)112特許取消決定取消請求事件
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成16年7月26日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法113条2号1回
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キーワード |
審決6回 訂正審判1回 特許権1回 優先権1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成15年(行ケ)第112号 特許取消決定取消請求事件(平成16年7月12
日口頭弁論終結)
判 決
原 告 株式会社日本スペリア社
訴訟代理人弁理士 濱 田 俊 明
被 告 特許庁長官 小川 洋
指定代理人 三 浦 悟
同 綿 谷 晶 廣
同 一 色 由美子
同 伊 藤 三 男
主 文
特許庁が異議2001-72269号事件について平成15年2月1
8日にした決定中,特許第3152945号の請求項1ないし3に係る特許を取り
消すとの部分を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
(1) 原告は,名称を「無鉛はんだ合金」とする特許第3152945号発明
(平成11年3月15日特許出願〔特願平11-548053号〈以下「本件特許
出願」という。〉,平成10年3月26日にした特願平10-100141号並び
に同年10月28日にした特願平10-324482号及び特願平10-3244
83号〉に基づく優先権主張,平成13年1月26日設定登録,以下,この特許を
「本件特許」という。)の特許権者である。
平成13年8月17日,同年9月21日及び同年10月3日,本件特許に
つき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2001-72269号事件とし
て特許庁に係属したところ,原告は,平成14年3月11日,本件特許出願の願書
に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等を訂
正する旨の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。
特許庁は,同特許異議事件について審理した上,平成15年2月18日,
「訂正を認める。特許第3152945号の請求項1ないし3に係る特許を取り消
す。同請求項4に係る特許を維持する。」との決定(以下,同決定中『特許第31
52945号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。』との部分を「本件決
定」という。)をし,その謄本は,同年3月10日,原告に送達された。
(2) 原告は,本件決定の取消しを求める本訴を提起した後,平成16年4月9
日,本件明細書の特許請求の範囲の記載等を訂正する旨の訂正審判の請求をしたと
ころ,特許庁は,同請求を訂正2004-39071号事件として審理した上,同
年6月10日,上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)を
し,その謄本は,同月22日,原告に送達された。
2 特許請求の範囲の記載
(1) 設定登録時の特許請求の範囲の記載
【請求項1】Cu0.1~2重量%,Ni0.002~1重量%,残部Sn
からなることを特徴とする無鉛はんだ合金。
【請求項2】好ましくはCuが0.3~0.7重量%の範囲である請求項1
記載の無鉛はんだ合金。
【請求項3】好ましくは,Cu0.3~0.7重量%,Ni0.04~0.
1重量%の範囲である請求項2記載の無鉛はんだ合金。
【請求項4】Sn-Cuの溶解母合金に対してNiを添加した請求項1~3
の何れか記載の無鉛はんだ合金。
【請求項5】Sn-Niの溶解母合金に対してCuを添加した請求項1~3
の何れか記載の無鉛はんだ合金。
【請求項6】請求項1~3の何れかに対して,さらにGe0.001~1重
量%を加えた無鉛はんだ合金。
(2) 本件訂正請求に係る訂正後の特許請求の範囲の記載(下線が訂正部分。)
【請求項1】Cu0.3~0.7重量%,Ni0.04~0.1重量%,残
部Snからなることを特徴とする無鉛はんだ合金。
【請求項2】Sn-Cuの溶解母合金に対してNiを添加した請求項1記載
の無鉛はんだ合金。
【請求項3】Sn-Niの溶解母合金に対してCuを添加した請求項1記載
の無鉛はんだ合金。
【請求項4】請求項1に対して,さらにGe0.001~1重量%を加えた
無鉛はんだ合金。
(3) 本件訂正審決に係る訂正後の特許請求の範囲の記載(下線が訂正部分。な
お,二重下線は,上記(2)との相違部分である。)(編注 二重下線は太字斜体で代
用)
【請求項1】Cu0.3~0.7重量%,Ni0.04~0.1重量%,残
部Snからなる ことを特徴
とする無鉛はんだ合金。
【請求項2】Sn-Cuの溶解母合金に対してNiを添加した請求項1記載
の無鉛はんだ合金。
【請求項3】Sn-Niの溶解母合金に対してCuを添加した請求項1記載
の無鉛はんだ合金。
【請求項4】請求項1に対して,さらにGe0.001~1重量%を加えた
無鉛はんだ合金。
3 本件決定の理由
本件決定は,本件訂正請求に係る訂正を認め,本件訂正請求に係る訂正後の
特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載(上記2(2)【請求項1】~【請求項
3】)によれば,上記各請求項に係る発明は,平成10年1月28日にした特願平
10-16141号の出願の時に出願されたものとみなされる特願平11-200
44号(以下「先願」という。特開平11-277290号公報〔本訴甲3〕は,
その公開特許公報)の願書に最初に添付した明細書に記載された発明と同一である
と認められ,かつ,本件特許出願に係る発明の発明者が先願に係る発明者と同一で
はなく,また,本件特許出願の時において,その出願人が先願の出願人と同一でも
ないから,請求項1ないし3に係る発明についての特許は,特許法29条の2の規
定に違反してされたものであって,特許法113条2号に該当し,取り消されるべ
きものであるとした。
第3 当事者の主張
1 原告
本件決定が,特許請求の範囲の請求項1ないし3記載の発明の要旨を本件訂
正請求に係る訂正後の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(2)【請求項1】~【請
求項3】)のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記
載が上記第2の2(3)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになる。そして,
この瑕疵は本件決定の結論に影響を及ぼすものであるから,本件決定は違法として
取り消されるべきである。
2 被告
本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正された
ことは認める。
第4 当裁判所の判断
本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2
の2(3)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって,特許
請求の範囲が減縮されたことは明らかである。
そうすると,本件決定が,特許請求の範囲の請求項1ないし3記載の発明の
要旨を,本件訂正請求に係る訂正後の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(2)【請
求項1】~【請求項3】)のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに
帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定
は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。
よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決
する。
東京高等裁判所知的財産第2部
裁判長裁判官 篠 原 勝 美
裁判官 岡 本 岳
裁判官 早 田 尚 貴
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