平成15(行ケ)262行政訴訟 特許権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成15年11月27日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法29条2項2回 民事訴訟法62条1回
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キーワード |
審決4回 特許権1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成15(行ケ)第262号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 平成15年11月27日
判 決
原 告 富士ゼロックス株式会社
訴訟代理人弁理士 片 山 修 平
被 告 特許庁長官 今井康夫
指定代理人 瀧 廣 往
指定代理人 荒 巻 慎 哉
指定代理人 高 橋 泰 史
指定代理人 涌 井 幸 一
主 文
1 特許庁が異議2002-70913号事件について平成15年5月
7日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
(1) 主文1項と同旨
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
(1) 原告の請求を棄却する。
(2) 訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「映像データ表示システム」とする特許(特許第32
16810号,平成元年10月5日出願,平成13年8月3日設定登録。以下「本
件特許」といい,その発明を「本件発明」という。請求項の数は3である。)の特
許権者である。
平成14年4月9日,本件特許に対し,請求項1ないし3のすべてにつき,
特許異議の申立てがなされた。特許庁は,これを異議2002-70913号事件
として審理した。原告は,同審理の段階で,平成14年9月9日付けで本件特許の
出願の願書に添付された明細書(甲第2号証は,その内容が記載された特許公報で
ある。以下「本件明細書」という。)の訂正の請求をした。特許庁は,平成15年
5月7日,この訂正(以下「本件第1訂正」という。)を認めた上で,「特許第3
216810号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との決定をし,同年
5月23日に,その謄本を原告に送達した。
2 決定の理由
決定の理由は,要するに,本件発明は,いずれも,甲第4号証(特開昭59
-135680号の公開特許公報),第5号証(特開昭62-57057号の公開
特許公報)及び第6号証(特開昭64-18189号の公開特許公報)に記載され
た発明に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特
許は,請求項1ないし3のいずれについても,特許法29条2項に違反してなされ
たものである,とするものである。
3 訂正決定の確定
原告は,本訴係属中,平成15年8月25日付けで,本件明細書につき,特
許請求の範囲の訂正を含む訂正の審判を請求した。特許庁は,これを訂正2003
-39175号事件として審理し,その結果,平成15年10月20日に上記訂正
(以下「本件第2訂正」という。)をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正
審決」という。)をし,これが確定した。
4 本件第1訂正前の本件特許の特許請求の範囲(甲第2号証・特許公報記載の
もの)
(1) 請求項1
所定の順序で並べられた映像データを記憶する記憶手段と,前記記憶手段
に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選
択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中から映像データを連続的に選
択する第2の映像データ選択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中か
ら前記第1の映像データ選択手段により選択された映像データの直前または直後の
映像データを選択する第3の映像データ選択手段と,前記第1乃至第3の映像デー
タ選択手段により選択された映像データを表示する表示手段と,を備えることを特
徴とする映像データ表示システム。
(2) 請求項2
所定の順序で並べられた映像データを記憶する記憶手段と,前記記憶手段
に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選
択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中から映像データを連続的に選
択する第2の映像データ選択手段と,前記第1の映像データ選択手段または前記第
2の映像データ選択手段により選択された映像データを表示する表示手段と,を備
えることを特徴とする映像データ表示システム。
(3) 請求項3
所定の順序で並べられた映像データを記憶する記憶手段と,前記記憶手段
に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択し,この選択された映像
データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データを連続的に選択する映像
データ選択手段と,前記映像データ選択手段により選択された映像データを表示す
る表示手段と,を備えることを特徴とする映像データ表示システム。
(甲第2号証・特許公報)
5 本件第1訂正後の本件特許の特許請求の範囲
(1) 請求項1
所定の順序で並べられた映像データを記憶する記憶手段と,前記記憶手段
に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選
択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中から映像データを連続的に選
択する第2の映像データ選択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中か
ら前記第1の映像データ選択手段により選択された映像データの直前または直後の
映像データを選択する第3の映像データ選択手段と,前記第1乃至第3の映像デー
タ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と,を備え
ることを特徴とする映像データ表示システム。
(2) 請求項2
所定の順序で並べられた映像データを記憶する記憶手段と,前記記憶手段
に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選
択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中から映像データを連続的に選
択する第2の映像データ選択手段と,前記第1の映像データ選択手段または前記第
2の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手
段と,を備えることを特徴とする映像データ表示システム。
(3) 請求項3
所定の順序で並べられた映像データを記憶する記憶手段と,前記記憶手段
に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択し,この選択された映像
データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データを連続的に選択する映像
データ選択手段と,前記映像データ選択手段により選択された一画面分の映像デー
タを表示する表示手段と,を備えることを特徴とする映像データ表示システム。
(判決注・下線部が訂正部分である。)
6 本件第2訂正後の本件特許の特許請求の範囲
(1) 請求項1
所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と,前記
記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像
データ選択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソル
をずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2
の映像データ選択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中から前記第1
の映像データ選択手段により選択された映像データの直前または直後の映像データ
を選択する第3の映像データ選択手段と,前記第1乃至第3の映像データ選択手段
により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と,を備えることを特
徴とする映像データ表示システム。
(2) 請求項2
所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と,前記
記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像
データ選択手段と,前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソル
をずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2
の映像データ選択手段と,前記第1の映像データ選択手段または前記第2の映像デ
ータ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と,を備
えることを特徴とする映像データ表示システム。
(3) 請求項3
所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と,前記
記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択し,この選択さ
れた映像データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウス
カーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択
する映像データ選択手段と,前記映像データ選択手段により選択された一画面分の
映像データを表示する表示手段と,を備えることを特徴とする映像データ表示シス
テム。
(判決注・下線部が,本件第1訂正後の各請求項との対比において,訂正とな
る部分である。)
第3 当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実の下では,本件第1訂正後の本件特許の請求
の範囲請求項1ないし3について,特許法29条2項に違反して登録された特許で
あることを理由に,その特許を取り消した決定(以下「本件取消決定」という。)
の取消しを求める訴訟の係属中に,特許請求の範囲の文言に係る訂正を含む訂正の
審判の請求がなされ,特許庁は,これを認める審決(本件訂正審決)をし,これが
確定したということができる。
本件取消決定は,これにより,結果として,上記各請求項のすべてについ
て,判断の対象となるべき発明を特定すべき特許請求の範囲の文言の認定を誤った
ことになる。この誤りが本件取消決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
したがって,本件取消決定は,上記各請求項のいずれについても取消しを免れな
い。
以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の
負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴
訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官 山 下 和 明
裁判官 設 樂 隆 一
裁判官 高 瀬 順 久
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