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平成14(行ケ)586行政訴訟 特許権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成15年9月25日
事件種別 民事
法令 特許権
特許法29条1項3号1回
キーワード 審決5回
分割2回
特許権1回
新規性1回
主文
事件の概要

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判決文

平成14年(行ケ)第586号 特許取消決定取消請求事件
平成15年9月25日判決言渡,平成15年9月16日口頭弁論終結
     判    決
 原   告    ブリヂストンスポーツ株式会社
 訴訟代理人弁理士 小島隆司,重松沙織,小林克成
 被   告    特許庁長官 今井康夫
 指定代理人    藤井俊二,渡部葉子,小曳満昭,林栄二,大橋信彦
     主    文
 特許庁が平成11年異議第74810号について平成14年10月7日にした決
定を取り消す。
 訴訟費用は各自の負担とする。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 主文第1項同旨の判決。
第2 事案の概要
 1 特許庁における手続の経緯
 原告は,本件特許第2910707号「ゴルフボール」の特許権者である。本件
特許は,平成8年11月13日に出願され,平成11年4月9日に設定の登録がさ
れた。本件特許につきされた特許異議の申立て(平成11年異議第74810号)
について,平成14年10月7日,本件特許の請求項1ないし6に係る特許を取り
消す,との決定があり,その謄本は同月28日原告に送達された。
 2 後記訂正前の特許請求の範囲の記載
【請求項1】 半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合することに
より内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形され
たゴルフボールにおいて,ボール表面の上記金型の分割線に当たる部分を赤道,該
赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し,ボール表面に形成された各ディンプルの中心点
をボールの緯度(ラジアン)及び経度で表した座標点(θj,φj)で示すと共に,
そのディンプルの半径をrj,体積をvjとした場合,下記式(1)~(4)から得
られる各シンメトリー指数Vi,Si,Li,Niについて,下記条件(A)~
(D)のうち1又は2以上の条件を満たすことを特徴とするゴルフボール。
【数1】
Σ vjθj
j
体積シンメトリー指数 Vi= …(1)
Σ vj
j
Σ rj2θj
j
面積シンメトリー指数 Si= …(2)
Σ rj2
j
Σ rjθj
j
エッジ長シンメトリー指数 Li= …(3)
Σ rj
j
Σ θj
j
配列シンメトリー指数 Ni= …(4)
Σ1
    j
[条件]
(A)Vi>1(B)Ni>1(C)Li>1(D)Si>1
【請求項2】 上記条件(A)~(D)のうち,少なくとも(A)の条件を満足する
請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】 上記条件(A)を満足し,かつ上記条件(B)~(D)のうち少なく
とも1つの条件を満足する請求項2記載のゴルフボール。
【請求項4】 上記条件(A)~(D)の全ての条件を満足する請求項3記載のゴル
フボール。
【請求項5】 Viの値が1.001~1.025の範囲にある請求項1乃至4のい
ずれか1項に記載のゴルフボール。
【請求項6】 全ディンプルのボール表面に対する表面占有率が65%以上である請
求項1乃至5のいずれか1項に記載のゴルフボール。
 3 後記訂正審決による特許請求の範囲の記載
 【請求項1】 半球状のキャビティを有する一対の割型を分離可能に接合するこ
とにより内部に球状のキャビティを形成するゴルフボール成型用金型によって成形
されたゴルフボールにおいて,ボールの直径が42.7mmであり,ボール表面の
上記金型の分割線に当たる部分を赤道,該赤道を挟んだ両頂点を極と仮定し,ボー
ル表面に形成された各ディンプルの中心点をボールの緯度(ラジアン)及び経度で
表した座標点(θj,φj)で示すと共に,ディンプル数が240~620個であ
り,そのディンプルの半径をrj,体積をvjとした場合,ディンプル直径が2.0
~4.5mm,ディンプル体積vjが0.3~1.5mm3であり,下記式(1)~
(4)から得られる各シンメトリー指数Vi,Si,Li,Niについて,下記条
件(A)~(D)のうち少なくとも(A)の条件を満足し,かつ(B)~(D)の
うち少なくとも1つの条件を満足し,全ディンプルのボール表面に対する表面占有
率が65%以上であり,体積占有率が0.7~0.86%であり,スイングロボッ
トでドライバーを用いてヘッドスピード45m/secにてポール打撃とシーム打
撃とを行った場合,飛距離の差が1m以内であり,ポール打撃とシ
ーム打撃とでほぼ同じ弾道が得られ,ショット箇所による飛び性能にバラツキを生
じないことを特徴とするゴルフボール。
【数1】
Σ vjθj
j
体積シンメトリー指数 Vi= …(1)
Σ vj
j
Σ rj2θj
j
面積シンメトリー指数 Si= …(2)
Σ rj2
j
Σ rjθj
j
エッジ長シンメトリー指数 Li= …(3)
Σ rj
j
Σ θj
j
配列シンメトリー指数 Ni= …(4)
Σ1
   j
[条件]
(A)Vi>1
(B)Ni>1
(C)Li>1
(D)Si>1
  【請求項2】 上記条件(A)~(D)の全ての条件を満足する請求項1記載
のゴルフボール。
  【請求項3】 Viの値が1.001~1.025の範囲にある請求項1又は
2記載のゴルフボール。
 4 決定の理由の要点
 請求項1ないし6に係る発明は,特開平6-114123号公報に記載された発
明であるから,特許法29条1項3号の規定に違反してなされたものであって,取
り消されるべきものである。
 5 訂正審決の確定
 原告は,本訴提起後の平成14年12月24日,本件特許につき,特許請求の範
囲の減縮等を目的として,明細書の訂正をする審判を請求したところ(訂正200
2-39274号),平成15年9月2日,当該訂正を認める旨の審決があって,
その謄本が原告に送達され,訂正審決は確定した。
第3 原告主張の決定取消事由
 決定は,訂正前の請求項に基づき請求項1~6の発明の要旨を認定し,これに基
づき特開平6-114123号公報に記載の発明との対比において請求項1~6の
発明の新規性を否定しているが,特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を認める
審決が確定したことにより,決定は,結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったこと
になり,違法となったものである。
第4 当裁判所の判断
 原告主張の事由により決定は取り消されるべきものであり,本訴請求は理由があ
る。よって,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法62条を適用して,主文の
とおり判決する。
 東京高等裁判所第18民事部
      裁判長裁判官 塚  原  朋  一
         裁判官 塩  月  秀  平
裁判官 古  城  春  実

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