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平成13(行ケ)284行政訴訟 特許権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成15年8月26日
事件種別 民事
法令 特許権
特許法29条2項3回
特許法29条1項3号2回
キーワード 刊行物11回
訂正審判5回
実施4回
審決3回
特許権2回
優先権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成13年(行ケ)第284号 特許取消決定取消請求事件
平成15年8月26日判決言渡,平成15年7月17日口頭弁論終結
     判     決
  原  告 ダイアバクト AB
  訴訟代理人弁理士 小田島 平 吉,江 角 洋 治
 被  告 特許庁長官 今 井 康 夫
  指定代理人  竹 林 則 幸,森 田 ひとみ,一 色 由美子,林 栄
二,大 橋 信 彦
     主     文
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 「特許庁が平成10年異議第76135号事件について平成13年1月30日に
した決定のうち,特許第2768559号の請求項1,3,6,7に係る特許を取
り消すとの部分を取り消す。」との判決。
第2 事案の概要
 本件は,後記本件発明の特許権者である原告が,特許異議の申立てを受けた特許
庁により本件特許のうち請求項1,3,6,7に係る特許を取り消す旨の決定がさ
れたため(請求項2,4,5に係る特許は維持),同決定の特許取消部分の取消し
を求めた事案である。
 1 前提となる事実等
 (1) 特許庁における手続の経緯
(1-1) 本件特許
 特許権者:原告
 発明の名称:「ヘリコバクテル・ピロリ(Helicobacter Pylori)の検出のための
診断用調剤」
 特許出願日:平成7年10月17日(優先権主張1994年11月2日スウェー
デン国)
 設定登録日:平成10年4月10日
 特許番号:第2768559号
 (1-2) 本件手続
 特許異議事件番号:平成10年異議第76135号
 訂正請求日:平成11年10月18日付け
 異議の決定日:平成13年1月30日
 決定の結論:「特許第2768559号の請求項1,3,6,7に係る特許を取
り消す。同請求項2,4,5に係る特許を維持する。」(訂正は認めず。出訴期間
として90日を付加。)
 決定謄本送達日:平成13年2月28日(原告に対し)
 (2) 本件発明の要旨(訂正請求前のもの)
【請求項1】ヘリコバクテル・ピロリ(Helicobacter Pylori)の活性により影響を受
けて,呼気空気に伴い,そこで分析される検出可能な反応生成物を生成する同位体
-標識尿素を含む固体の,本質的に水を含有しない組成物から成ることを特徴とす
るヘリコバクテル・ピロリ感染に伴う胃におけるウレアーゼ活性の存在を検出する
ための製薬学的調剤。
【請求項2】固体の水溶性酸を含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の調
剤。
【請求項3】同位体-標識尿素が11C、13C及び/又は14Cで標識されていることを
特徴とする請求の範囲第1又は2項に記載の調剤。
【請求項4】酸がアスコルビン酸,酒石酸,クエン酸及びアシグルミンの1つ又は
それ以上であることを特徴とする請求の範囲第2又は3項に記載の調剤。
【請求項5】酸が胃において4より低いpHを生ずる量で存在することを特徴とする
請求の範囲第2~4項のいずれか1つに記載の調剤。
【請求項6】投与後に胃において迅速に溶解するように調製されていることを特徴
とする請求の範囲第2~5項のいずれか1つに記載の調剤。
【請求項7】同位体-標識尿素が本質的に200μmより小さい,好ましくは20μmより
小さい粒径を有することを特徴とする請求の範囲第2~6項のいずれか1つに記載の
調剤。
 (3) 決定の理由
 決定の理由は,概要以下のとおりである。
 訂正請求に係る請求項1に係る発明は,刊行物1,12,13,17に記載され
た発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29
条2項の規定により,本件出願の際独立して特許を受けることができないものであ
るから,本件訂正は認められない。
 請求項1に係る発明は,刊行物1に記載された発明であるから,特許法29条1項
3号に該当し,特許を受けることができない。
 請求項2に係る発明は,甲第1~5号証に記載された発明に基づいて当業者が容
易に発明することができたものとすることはできない。また,請求項2に係る発明
について,発明の詳細な説明の記載が,当業者が実施できる程度に明確かつ十分に
記載されていないとすることはできない。
 請求項3に係る発明は,刊行物1に記載された発明であり,特許法29条1項3
号に該当する。
 請求項4に係る発明は,甲第1~5号証に記載された発明に基づいて当業者が容
易に発明することができたものとすることはできない。請求項4に係る発明につい
ても,発明の詳細な説明の記載が,当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載
されていないものとすることはできない 。請求項4の発明は明確である。
 請求項5に係る発明は,甲第1~5号証に記載された発明に基づいて当業者が容
易に発明することができたものとすることはできない。請求項5に係る発明につい
ても,発明の詳細な説明の記載が,当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載
されていないものとすることはできない。請求項5の発明は明確である。
 請求項6に係る発明は,刊行物1,2,16及び甲第6~9号証に記載された発
明に基づいて当業者が容易になし得たものであり,特許法29条2項の規定により
特許を受けることができない。
 請求項7に係る発明は,刊行物1,12,13及び17に記載された発明に基づ
いて当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定に
より特許を受けることができない。
 なお,刊行物1(甲第1号証)とは米国特許第4830010号明細書,刊行物
2とは「ヘリコバクター・ピロリ感染症」(医学書院,1994年10月15日発行),刊行
物12とは「The Theory and Practice of Industrial Pharmacy」(LEON LACHMAN他
2名,1986),刊行物13とは「医薬品の開発,製剤の単位操作と機械」第11巻(平
成元年11月10日,株式会社廣川書店発行),刊行物16(甲第2号証)とは「The
Theory and Practice of Industrial Pharmacy」(second edition, LEA & FEBIGER
PHILADELPHIA 1976),刊行物17とは「PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS
vol.1」(Herbert A. Lieberman他1名,1980),甲第3号証とは「The American
Journal of Gastroenterology,vol.86,No.4」(1991),甲第4号証とは「Z
Gastroenterol.,No.29」(1991),甲第5号証とは「医学大事典22」(株式会社講談
社,1982年12月10日第1刷発行),甲第6号証とは特開平5-246861号公報,
甲第7号証とは特開平2-3606号公報,甲第8号証とは特表平1-50193
4号公報,甲第9号証とは特開昭61-191610号公報である。
 2 原告の主張(決定取消事由)の要点
 原告は,本件特許について,平成13年9月17日付けで特許請求の範囲の請求
項1の減縮等を求める訂正審判の請求を行った(訂正2001-39163号)。
 本件訴訟は,上記訂正審判の請求のために提起したものであり,原告は,上記訂
正審判の帰趨に委ねるものであり,上記訂正審判の請求前の本件特許請求の範囲の
記載に基づいてなされた本件決定それ自体については争うものではない。
第3 当裁判所の判断
 1 原告の本件に関する主張は,前記のとおりであって,本件決定について争う
ものではなく,決定取消事由を何ら主張するものではない。
 よって,原告の請求を棄却することとする。
 2 ちなみに,本件には,次のような事情がある(当裁判所に顕著である。)。
 原告は,平成13年9月17日付けで本件特許につき訂正審判の請求をし,訂正
2001-39163号として審理されたが,平成14年8月7日,「本件審判の
請求は,成り立たない。」との審決がされた。原告は,この審決を不服として審決
取消訴訟を提起した。同訴訟は,東京高裁平成14年(行ケ)第623号事件とし
て当部に係属した。本件は,同訴訟の進行を待って,同時並行して審理され,両事
件は,平成15年6月19日に弁論準備手続が終結された。両事件は,同年7月1
7日に口頭弁論が実施されて終結され,いずれも同年8月26日に判決言渡期日が
指定された。
  東京高等裁判所第18民事部
        裁判長裁判官
                   塚   原   朋   一
           裁判官
                   塩   月   秀   平
           裁判官
                   田   中   昌   利

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