平成14(行ケ)306行政訴訟 特許権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成15年7月31日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法29条2項2回 民事訴訟法62条1回
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キーワード |
審決7回 特許権2回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成14年(行ケ)第306号 特許取消決定取消請求事件
平成15年7月31日口頭弁論終結
判 決
原 告 日本コーリン株式会社
訴訟代理人弁護士 片 山 英 二
同 佐々木 英 人
同 藤 松 文
同 阿 部 佳 基
同 中 川 豊
同 岩 品 信 明
訴訟代理人弁理士 小 林 純 子
同 古 橋 伸 茂
同 青 山 葆
同 河 宮 治
同 石 野 正 弘
同 池 田 治 幸
被 告 特許庁長官 今井康夫
指定代理人 渡 部 利 行
同 大 橋 良 三
同 小 林 信 雄
同 涌 井 幸 一
同 高 橋 泰 史
同 小 曳 満 昭
被告補助参加人 フクダ電子株式会社
訴訟代理人弁護士 出 井 直 樹
同 桐 原 和 典
同 増 井 和 夫
主 文
1 特許庁が異議2001-72335号事件について平成14年5月
21日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
1 原告の請求
(1) 主文第1項と同旨
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1) 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「下肢上肢血圧指数測定装置」とする特許第3140
007号の特許(平成11年5月6日特許出願(以下「本件出願」という。),平
成12年12月15日特許権設定登録。以下「本件特許」という。請求項の数は2
である。)の特許権者である。
本件特許の請求項1及び2のすべてについて,特許異議の申立てがなされ,
その申立ては,異議2001-72335号事件として審理された。特許庁は,審
理の結果,平成14年5月21日に,「特許第3140007号の請求項1ないし
2に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,同年6
月10日にその謄本を原告に送達した。
(2) 決定の理由
別紙決定書の写し記載のとおりである。要するに,本件特許の請求項1及び
2に係る各発明は,いずれも特許法29条2項の規定に該当する,というものであ
る。
(3) 訂正審決の確定
原告は,本訴係属中,平成15年2月13日付けで,本件特許出願の願書に
添付した明細書につき,特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判を請求した。特許
庁は,これを訂正2003-39022号事件として審理し,その結果,平成15
年6月23日に上記訂正を認める審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,こ
れが確定した。
(4) 本件訂正審決による訂正の内容
(ア) 本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲
「【請求項1】生体の下肢における第1血圧値を決定する第1血圧値決定手
段と,該生体の上肢における第2血圧値を決定する第2血圧値決定手段と,該第1
血圧値決定手段により決定された第1血圧値および該第2血圧値決定手段により決
定された第2血圧値とに基づいて下肢上肢血圧指数を算出する下肢上肢血圧指数算
出手段と,該下肢上肢血圧指数を表示する表示器とを備えた下肢上肢血圧指数測定
装置であって,
前記生体の所定の2部位間を脈波が伝播する脈波伝播速度に関連する脈波
伝播速度関連情報を決定する脈波伝播速度関連情報決定手段と,
該脈波伝播速度関連情報決定手段により決定された脈波伝播速度関連情報
を前記下肢上肢血圧指数算出手段により算出された下肢上肢血圧指数と同時に前記
表示器に表示する同時表示手段とを,含むことを特徴とする下肢上肢血圧指数測定
装置」
「【請求項2】前記下肢上肢血圧指数が測定される前記生体を識別する識別手
段と,
該識別手段により識別された生体毎に,前記下肢上肢血圧指数および前記
脈波伝播速度関連情報を記憶する記憶装置と,
前記下肢上肢血圧指数算出手段により算出された今回の下肢上肢血圧指数
および前記脈波伝播速度関連情報決定手段により決定された今回の脈波伝播速度関
連情報と,前記記憶装置に記憶されている該生体の過去の下肢上肢血圧指数および
脈波伝播速度関連情報とを対比可能に表示する経時変化表示手段とを,さらに含む
ものである請求項1記載の下肢上肢血圧指数測定装置」
(イ) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲(下線を付した部分が訂正
に係る部分である。)。
「【請求項1】生体の下肢において足首カフを用いて足首の血圧値を決定す
る第1血圧値決定手段と,該生体の上肢において上腕カフを用いて上腕の血圧値を
決定する第2血圧値決定手段と,該第1血圧値決定手段により決定された第1血圧
値および該第2血圧値決定手段により決定された第2血圧値とに基づいて下肢上肢
血圧指数を算出する下肢上肢血圧指数算出手段と,該下肢上肢血圧指数を表示する
表示器とを備えた下肢上肢血圧指数測定装置であって,
前記生体の所定の2部位間を脈波が伝播する脈波伝播速度に関連する脈波
伝播速度関連情報を決定する脈波伝播速度関連情報決定手段において,前記2部位
のうちの1部位の脈波を検出する第1脈波検出装置と,前記2部位のうちのもう一
方の部位の脈波を検出する第2脈波検出装置とを有し,前記第2脈波検出装置が右
足首に巻回されるカフおよびそれに接続された圧力センサまたは左足首に巻回され
るカフ及びそれに接続された圧力センサによって脈波を検出する装置である,脈波
伝播速度関連情報決定手段と,該脈波伝播速度関連情報決定手段により決定された
脈波伝播速度関連情報を前記下肢上肢血圧指数算出手段により算出された下肢上肢
血圧指数と同時に前記表示器に表示する同時表示手段とを,含むことを特徴とする
下肢上肢血圧指数測定装置」
「【請求項2】前記下肢上肢血圧指数が測定される前記生体を識別する識別
手段と,
該識別手段により識別された生体毎に,前記下肢上肢血圧指数および前記
脈波伝播速度関連情報を記憶する記憶装置と,
前記下肢上肢血圧指数算出手段により算出された今回の下肢上肢血圧指数
および前記脈波伝播速度関連情報決定手段により決定された今回の脈波伝播速度関
連情報と,前記記憶装置に記憶されている該生体の過去の下肢上肢血圧指数および
脈波伝播速度関連情報とを対比可能に表示する経時変化表示手段とを,さらに含む
ものである請求項1記載の下肢上肢血圧指数測定装置」
3 当裁判所の判断
前記当事者間に争いのない事実の下では,本件特許を,請求項1及び2のいず
れについても,それらに係る発明が特許法29条2項に該当することを理由に取り
消した本件決定の取消しを求める訴訟の係属中に,いずれの請求項についても,特
許請求の範囲を減縮することを目的とする訂正の審判の請求がなされ,特許庁は,
同請求を認めるとの本件訂正審決をし,これが確定した,ということができる。本
件決定は,これにより,結果として,いずれの請求項についても,判断の対象とな
るべき発明の認定を誤ったことになる。いずれの請求項についても,この誤りが本
件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,本件決定は,取消
しを免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官 山 下 和 明
裁判官 阿 部 正 幸
裁判官 高 瀬 順 久
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