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平成13(行ケ)566行政訴訟 実用新案権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成15年7月9日
事件種別 民事
法令 実用新案権
実用新案法3条2項2回
キーワード 審決81回
無効8回
刊行物4回
実施4回
実用新案権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成13年(行ケ)第566号 審決取消請求事件(平成15年6月25日口頭弁
論終結)
          判        決
原      告   株式会社エアックス
          (旧商号)   フジ産業株式会社
       訴訟代理人弁理士   新 井 一 郎
       被      告   オリオン機械株式会社
       訴訟代理人弁護士   渡 辺 正 造
       同    弁理士   稲 木 次 之
       同          加 藤 和 彦
          主        文
      特許庁が無効2001-35118号事件について平成13年11月
8日にした審決中,実用新案登録第2150012号の請求項4に係る考案につい
ての実用新案登録を無効とするとの部分を取り消す。
 原告のその余の請求を棄却する。
      訴訟費用は,これを4分し,その3を原告の負担とし,その余を被告
の負担とする。
          事実及び理由
第1 請求
   特許庁が無効2001-35118号事件について平成13年11月8日に
した審決を取り消す。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
   原告は,名称を「ドレン排出装置」とする実用新案登録第2150012号
考案(平成5年2月25日出願,平成10年8月21日設定登録,以下「本件実用
新案登録」という。)の実用新案権者である。
 被告は,平成13年3月27日,本件実用新案登録を無効にすることについ
て審判の請求をし,無効2001-35118号事件として特許庁に係属した。
 原告は,平成13年7月16日付け訂正請求書により本件実用新案登録出願
の願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲等の訂正を請求した(以下,上
記訂正に係る明細書を「本件明細書」という。)。
 特許庁は,同事件について審理した上,同年11月8日,「訂正を認める。
実用新案登録第2150012号の請求項1ないし4に係る考案についての実用新
案登録を無効とする。」との審決をし,その謄本は,同月20日,原告に送達され
た。
 2 本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載
【請求項1】空気圧縮機から吐出される圧縮空気を通過させるアフタークー
ラ,エアタンク,エアドライヤ等のドレンを排出する機器に夫々ドレントラップを
設けて,夫々のドレントラップをドレン集合管に連通させたドレン排出装置におい
て,ドレン集合管の流路の出口開口をドレン集合管中にドレントラップから排出さ
れてくるドレンが溜まるような高い位置としてドレンをドレン処理装置に流入さ
せ,ドレン集合管中のドレンの流れに関し,ドレン集合管の最も上流側又はその連
通部に対して,間欠又は一時的にドレン集合管中のドレンを一掃する圧縮空気を送
り込むための圧縮空気送り込み手段を備えたことを特徴とするドレン排出装置。 
【請求項2】上記ドレントラップはドレン集合管中のドレンの流れに関し,ド
レン集合管の最も上流側へドレンを排出するドレントラップを電気式ドレントラッ
プとし,それ以外のドレントラップをフロート式ドレントラップとし,電気式ドレ
ントラップがこの電気式ドレントラップ手前に溜ったドレンを排出後更に圧縮空気
を通過させドレン集合管中のドレンを排出する制御装置を設けたことを特徴とする
圧縮空気送り込み手段を備えた請求項1に記載のドレン排出装置。
【請求項3】上記ドレントラップはドレン集合管中のドレンの流れに関し,ド
レン集合管の最も上流側及びそのすぐ下流側へドレンを排出するドレントラップを
電気式ドレントラップとし,それ以外のドレントラップをフロート式ドレントラッ
プとし,電気式ドレントラップがこの電気式ドレントラップ手前に溜ったドレンを
排出後更に圧縮空気を通過させドレン集合管中のドレンを排出する制御装置を設け
たことを特徴とする圧縮空気送り込み手段を備えた請求項1に記載のドレン排出装
置。
【請求項4】ドレン集合管中のドレンの流れに関し,ドレン集合管の最も上流
側又はその連通部と空気圧縮機の吐出側を配管で連通してこの配管に電磁弁を設
け,電磁弁を間欠して開弁するか,空気圧縮機停止時に開弁する制御装置を有する
圧縮空気送り込み手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のドレン排出装
置。
(以下【請求項1】~【請求項4】に係る考案を「本件考案1」~「本件考案
4」という。)
 3 審決の理由
   審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,本件考案1は,a(以下「a」と
いう。)作成の証明書(本訴甲4,審判甲3,以下「甲4証明書」という。)添付
の1991年(平成3年)8月印刷の「フクハラ エア・コンプレッサ専用ドレン
駆逐処理装置 ドレンデストロイヤー」のカタログ(以下「第3カタログ」とい
う。)記載の「レシプロ又はスクリューコンプレッサから吐出される圧縮空気を通
過させるエアタンク,アフタークーラー,ドライヤー,フィルター等のドレンを排
出する機器に夫々スーパートラップ等のドレントラップを設けて,夫々のドレント
ラップをドレン集合管に連通させたドレン排出装置において,ドレン集合管と連通
した流路の出口開口を,ドレン分離槽内のドレンが溜まることができる最大値のX
ラインより高い位置としてドレンをドレン分離槽に流入させ,ドレン集合管中のド
レンの流れに関し,ドレン集合管の一番川上側に対して,2分~30時間(可変)
ごとに2秒~60秒間(可変)ドレンを排出し,ドレンをドレン分離槽まで自動的
に流れこむようにしたドレン排出装置」の考案(以下「引用考案1」という。)及
び従来周知の技術事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができた
ものであり,本件考案2は,同「引用考案1において,上記ドレントラップはドレ
ン集合管中のドレンの流れに関し,ドレン集合管の一番川上側へドレンを排出する
ドレントラップを電磁式のスーパートラップとし,それ以外のいくつかのドレント
ラップをフロート式ドレントラップとしたドレン排出装置」の考案(以下「引用考
案2」という。)及び従来周知の技術事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案
をすることができたものであり,本件考案3は,同「引用考案1において,上記ド
レントラップはドレン集合管中のドレンの流れに関し,ドレン集合管の一番川上側
及びそのすぐ下流側へドレンを排出するドレントラップを電磁式のスーパートラッ
プとし,それ以外のドレントラップをフロート式ドレントラップとしたドレン排出
装置」の考案(以下「引用考案3」という。)及び従来周知の技術事項に基づいて
当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり,本件考案4は,同
「引用考案1と同じドレン排出装置」の考案(以下「引用考案4」という。)及び
従来周知の技術事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたも
のであるから,いずれも実用新案法3条2項の規定に違反し
て実用新案登録をされたものであり,同法37条1項1号(注,「平成5年法律第
26号による改正前の同法37条1項1号」の趣旨と解される。)の規定により無
効とすべきものであるとした。
第3 原告主張の審決取消事由
 審決は,刊行物の公知性の認定を誤り(取消事由1),引用考案1~4の認
定を誤り(取消事由2),本件考案1と引用考案1との一致点の認定を誤り(取消
事由3),本件考案1と引用考案1との相違点イについての判断を誤り(取消事由
4),同相違点ロについての判断を誤り(取消事由5),本件考案2~4の容易想
到性の判断を誤った(取消事由6~8)ものであり,違法として取り消されるべき
である。
 1 取消事由1(刊行物の公知性の認定の誤り)
(1) 審決は,a作成の証明書(本訴甲2,審判甲1,以下「甲2証明書」とい
う。)添付の1988年(昭和63年)1月印刷の「フクハラ エア・コンプレッ
サ専用ドレン駆逐処理装置 ドレンデストロイヤー」のカタログ(以下「第1カタ
ログ」という。),同証明書(本訴甲3,審判甲2,以下「甲3証明書」とい
う。)添付の同年3月印刷の「フクハラ ドレン処理装置 エア・コンプレッサ専
用」のカタログ(以下「第2カタログ」という。)及び第3カタログについて,本
件考案に係る実用新案登録出願(平成5年2月25日)前に頒布されたものと認定
したが,誤りである。
(2) aが第1,第2カタログ(甲2,3添付)を入手した時期について,甲
2,3証明書では平成2年1月以前とされているのに対し,平成9年異議第746
58号事件において平成10年3月25日に実施された証人aの証人調書(甲5,
以下「a証人調書」という。)では,異議申立人(本訴被告)代理人の質問に答え
る形で,平成4年の4月と訂正したが,このように入手時期を訂正することは,通
常の状況では考えられないことである。同証人調書では,窪田が第3カタログ(甲
4添付)を入手した時期は同年12月以前であり,証言当時においても保管してい
るとされているが,同カタログは,技術名称ドレン処理装置(商標名ドレンデスト
ロイヤー)及び技術名称ドレントラップ(商標名スーパートラップ)を販売するた
めに用いるカタログであり,平成5年に被告が株式会社フクハラの製品と同等の製
品を出すようになった後は,aが勤務する長野オリオン販売株式会社(以下「長野
オリオン販売」という。)においては,同カタログをほとんど必要としなかったは
ずである。一方,上記異議事件における株式会社フクハラの平成10年5月12日
付け上申書(甲7)添付の株式会社海南岡谷支店長b(以下「b」という。)作成
の陳述書(以下「b陳述書」という。)によれば,aは,平成9年5月ころ,第3
カタログと同様のカタログをbから入手しているのであるから,aのa証人調書に
おける証言及び同人作成の甲2~4証明書の信憑性は疑わしいものというべきであ
る。
2 取消事由2(引用考案1~4の認定の誤り)
 審決は,第3カタログ(甲4添付)には,引用考案1~4が記載されている
と認定した上,引用考案1について,A室に立設した筒の上端は,本件考案1の
「ドレン集合管と連通した流路の出口開口」と同一であり,同出口開口が,「ドレ
ン分離槽内のドレンが溜まることができる最大値のXラインより高い位置」と認定
したが誤りである。第3カタログの「動作フローシート」(3頁)の記載によれ
ば,ドレン分離槽へ送りこむ配管は,アフタークーラからスーパートラップ,ドレ
ン配管,管接手,弁,逆止弁①を介してドレン分離槽の底に連結し,「1/2B」
と記載された弁の手前の管接手でドレン配管は終わる。スーパートラップから逆止
弁①までがドレンを排出するためのドレン排出用の配管であり,逆止弁①からドレ
ン分離槽のA室の筒の上方の開口まではドレン分離槽が有する入力配管(流入管)
であり,ドレン排出用の配管内圧力が入力配管内圧力よりも低い状態では逆止弁①
は閉じており,両者は連通していない。また,ドレン分離槽は,A室内に立ち上る
筒の下方からドレンが入り,A室の右隣の室に立設した筒の下方からドレン処理後
の油エマルジョンから流出する。そうすると,A室内に立ち上っている筒の上端
は,ドレン分離槽内のドレンの流路の途中であり,ドレン分離槽に属する。そし
て,ドレン分離槽の流路の入口は,ドレン分離槽の底にあり,ドレン分離槽の底が
ドレン分離槽の出口であって,A室に立設した筒の上端は流れの途中である。した
がって,A室に立設した筒の上端を「ドレン集合管と連通した流路の出口開口」と
認めることはできないから,引用考案1~4が,第3カタログに記載されていると
いうことはできない。
 3 取消事由3(本件考案1と引用考案1との一致点の認定の誤り)
 本件考案1と引用考案1とは「ドレン集合管に係る流路に高低差が設けてあ
って,ドレンをドレン処理装置に流入させ」(審決謄本12頁〈一致点〉)る点で
一致するとした審決の認定は誤りである。本件考案1の「ドレン集合管の流路の出
口開口をドレン集合管中にドレントラップから排出されてくるドレンが溜まるよう
な高い位置として」とは,配管形態によってドレンが溜まるようなドレン集合管を
意味し,ドレン集合管に高低差を設けてドレンをドレン処理装置に流入させている
ものである。これに対し,引用考案1では,室Aは加圧下にあり,逆止弁①には室
Aの圧力が加わっているため,スーパートラップと逆止弁①間の配管には,配管の
形態に関係なくドレンは溜まったままである。上記ドレン分離槽のA室に開口して
いる筒は,ドレン分離槽の筒(流入管)であって,流入管の上端が高い位置にある
のは,ドレンから分離した油水が,流入するドレンにより乱され再び混合されない
ようにするためのものにすぎず,このような効果は,当業者に顕著な事実として知
られている。
4 取消事由4(本件考案1と引用考案1との相違点イについての判断の誤り)
 審決は,本件考案1と引用考案1との相違点イとして,「本件考案1では,
『ドレン集合管の流路の出口開口をドレン集合管中にドレントラップから排出され
てくるドレンが溜まるような高い位置としてドレンをドレン処理装置に流入させ』
としているのに対し,引用考案1では,『ドレン集合管(ドレン集合管)の流路の
出口開口を,ドレン分離槽(ドレン処理装置)内のドレンが溜まることができる最
大値のXラインより高い位置としてドレンをドレン分離槽(ドレン処理装置)に流
入させ』としている点」(審決謄本12頁〈相違点〉イ,以下「相違点イ」とい
う。)を認定し,同相違点について,「引用考案1において,ドレン集合管の流路
の出口開口をドレン集合管中にドレントラップから排出されてくるドレンが溜まる
ような高い位置とすることを妨げる特段の事情も見当たらない。してみると,相違
点イに係る本件考案1の構成要件は,引用考案1の実施に際し,当業者が必要に応
じて適宜実施できた単なる設計的事項というべきである」(同13頁第2段落)と
判断したが,誤りである。引用考案1のドレン分離槽において,A室内の筒の上端
をXラインよりも上方に位置させているのは,Xラインまで溜まっているドレンを
可及的に撹拌しないようにするためであり,ドレン分離槽にドレン配管をどのよう
に配置してもドレン分離槽は正常に機能するから,機器間の配管の形態は自在に選
択可能である。
5 取消事由5(本件考案1と引用考案1との相違点ロについての判断の誤り)
(1) 審決は,本件考案1と引用考案1との相違点ロとして,「本件考案1で
は,『ドレン集合管中のドレンの流れに関し,ドレン集合管の最も上流側又はその
連通部に対して,間欠又は一時的にドレン集合管中のドレンを一掃する圧縮空気を
送り込むための圧縮空気送り込み手段を備えた』としているのに対し,引用考案1
では,『ドレン集合管(ドレン集合管)中のドレンの流れに関し,ドレン集合管
(ドレン集合管)の一番川上側(最も上流側)に対して,2分~30時間(可変)
ごとに2秒~60秒間(可変)ドレンを排出し,ドレンをドレン分離槽(ドレン処
理装置)まで自動的に流れこむようにした』としている点」(審決謄本12頁〈相
違点〉ロ,以下「相違点ロ」という。)を認定し,同相違点について,「引用考案
1においても,スーパートラップにおける電磁バルブを開き続ける時間を調整する
ことにより,ドレン集合管中のドレンを一掃することが可能であると解され
る・・・相違点ロに係る本件考案1の構成要件は,引用考案1及び従来周知の技術
的事項に基づいて当業者がきわめて容易に想到できた」(同13頁「ロ.相違点ロ
について」)と判断したが,誤りである。上記「引用考案1においても・・・可能
であると解される」理由は不明である。引用考案1には,スーパートラップを開き
続ける時間を調整することによりドレン集合管中のドレンをを一掃することは示唆
されていないから,ドレン集合管中のドレンを一掃することを発想することはでき
ない。
(2) 審決は,特開昭55-63096号公報(甲10,以下「甲10公報」と
いう。)を引用して,「圧縮機を利用した技術分野において,配管中のドレンが凍
結すると配管を破損すること及びその防止手段としてドレンを抜き去ることが従来
周知の技術的事項」(審決謄本13頁下から第4段落)であると認定した。しか
し,甲10公報には,2頁左上欄に空気圧縮機の電源遮断後は弁を開き放しにして
圧縮空気とドレンを放出してしまうことは記載されているが,凍結防止手段として
装置運転中に装置内のドレンを抜き去ることの記載はないから,審決の上記認定は
誤りである。本件考案1の作用は,空気圧縮機の稼働中にドレン集合管中のドレン
を一掃するものである。
(3) また,審決は,特開昭61-1882号公報(甲11,以下「甲11公
報」という。)を引用して,「ドレンの移送を動力ポンプ等の動力を使うことなく
ドレンと共に排出される圧縮空気により行うことが・・・従来周知の技術的事項で
ある」(審決謄本14頁第1段落)と認定した。しかし,甲11公報には,ドレン
を「圧縮空気の圧力によって」(1頁「特許請求の範囲」)送ること,「除湿装置
から分離されるドレンと共に排出される同伴圧縮空気のエネルギーを利用すること
により,除湿装置から排出された油分を含むドレンをその圧縮空気圧により直接油
水分離装置へ送」(2頁左上欄~右上欄)ることが記載されているから,ドレント
ラップから,ドレンと圧縮空気は同伴する程度に排出され,ドレンは同伴圧縮空気
の圧力により送られることが開示されている。これに対し,本件考案1において
は,ドレン集合管中のドレンを一掃する際は,ドレントラップの弁手前側に溜まっ
ているドレンが開弁したドレントラップから全部排出した後も,更に開弁を続け
て,今回排出したドレンも,先に排出してドレン集合管に溜まっているドレンも,
送り込まれる圧縮空気の圧力でドレン集合管中から押し出すものである。すなわ
ち,ドレン集合管中ではドレン(空気が混在している)が先行し,圧縮空気がこの
ドレンに続いているのであって,甲11公報の装置のように,ドレンが圧縮空気を
同伴しているものではない。したがって,甲11公報を引用して,「ドレンの移送
を動力ポンプ等の動力を使うことなくドレンと共に排出される圧縮空気により行う
ことが・・・従来周知の技術的事項である」との審決の上記認定は誤りであり,こ
の誤った認定を根拠として,「被請求人(注,原告)の主張ト(注,『本件の出願
時点では,トラップから圧縮空気をできるだけ出さないようにすることが常識であ
った。』〔審決謄本4頁下から第2段落〕)に係る事実をもって,圧縮空気をドレ
ンの一掃に利用することを妨げる特段の事情があるとすることができない」(同1
4頁第1段落)とした審決の判断は誤りである。
6 取消事由6(本件考案2の容易想到性の判断の誤り)
(1) 本件考案2は,本件考案1を引用する考案であるところ,上記取消事由1
~5に主張したとおり,審決の本件考案1についての認定判断が誤りであるから,
本件考案2の容易想到性の判断も誤りである。
(2) さらに,審決は,本件考案2と引用考案2との相違点ニとして,「本件考
案2では,『電気式ドレントラップがこの電気式ドレントラップ手前に溜ったドレ
ンを排出後更に圧縮空気を通過させドレン集合管中のドレンを排出する制御装置を
設けた』としているのに対し,引用考案2では,それが不明である点」(審決謄本
15頁〈相違点〉ニ,以下「相違点ニ」という。)を認定し,同相違点について,
「引用考案2は,電磁式のスーパートラップ(電気式ドレントラップ)のタイマー
の設定値を調整することにより『2分~30時間(可変)ごとに2秒~60秒間
(可変)ドレンを排出』するものであって,また,引用考案2においても,スーパ
ートラップにおける電磁バルブを開き続ける時間を調整することにより,ドレン集
合管中のドレンを一掃することが可能であると解される。そして,引用考案1(引
用考案2も同様)に接した当業者にとって,ドレンが凍結する環境下において使用
する必要があるとき,ドレンが配管に凍結しないように,ドレンを排出する頻度と
時間を調整することが,きわめて容易に想到できることは,前示のとおりである。
してみると,相違点ニに係る本件考案2の構成要件は,引用考案2及び従来周知の
技術的事項に基づいて当業者がきわめて容易に想到できた」(同16頁「ニ.相違
点ニについて」)と判断したが,誤りである。審決は,相違点ニの検討に際して,
「制御装置」に関する判断をしていない。第3カタログ(甲4添付)記載の「スー
パートラップ」における電磁バルブを開き続ける時間をドレン集合管中のドレンを
一掃するように調整することは,本件考案2の制御装置に含まれる機能であるか
ら,「引用考案2においても,スーパートラップにおける電磁バルブを開き続ける
時間を調整することにより,ドレン集合管中のドレンを一掃することが可能である
と解される」と判断しているとも解される。しかしながら,このように解するに
は,ドレン集合管中のドレンを一掃するように圧縮空気を送り込むとという技術的
思想が前提でなければならないところ,第3カタログにはこのような技術的思想は
ないから,本件考案2の「電気式ドレントラップがこの電気式ドレントラップ手前
に溜ったドレンを排出後更に圧縮空気を通過させドレン集合管中のドレンを排出す
る制御装置を設けた」点を想起することは不可能である。
  また,凍結防止手段として空気圧縮機の稼働中にドレンを抜き去ることが
従来周知の技術的事項ではなく,甲10公報を根拠として,運転中の空気圧縮機に
係るドレン集合管のドレンが配管に凍結しないように,ドレンを排出する頻度と時
間を調整することが到底想到できることではないことは上記のとおりであるから,
「引用考案1(引用考案2も同様)に接した当業者にとって,ドレンが凍結する環
境下において使用する必要があるとき,ドレンが配管に凍結しないように,ドレン
を排出する頻度と時間を調整することが,きわめて容易に想到できる」ということ
はできない。
7 取消事由7(本件考案3の容易想到性の判断の誤り)
(1) 本件考案3は,本件考案1を引用する考案であるところ,上記取消事由1
~5に主張したとおり,審決の本件考案1についての認定判断が誤りであるから,
本件考案3の容易想到性の判断も誤りである。
(2) さらに,本件考案3には,本件考案2の相違点ニと同様の相違点があるの
で,取消事由6と同様の取消事由がある。
8 取消事由8(本件考案4の容易想到性の判断の誤り)
(1) 本件考案4は,本件考案1を引用する考案であるところ,上記取消事由1
~5に主張したとおり,審決の本件考案1についての認定判断が誤りであるから,
本件考案4の容易想到性の判断も誤りである。
(2) 審決は,本件考案4と引用考案4との相違点ヘとして,「本件考案4で
は,『ドレン集合管の最も上流側又はその連通部と空気圧縮機の吐出側を配管で連
通してこの配管に電磁弁を設け,電磁弁を間欠して開弁するか,空気圧縮機停止時
に開弁する制御装置を有する圧縮空気送り込み手段を設けた』としているのに対
し,引用考案4では,それが不明である点」(審決謄本19頁〈相違点〉ヘ,以下
「相違点ヘ」という。)を認定し,同相違点について,「動力ポンプ等の動力を使
うことなく,ドレンをドレンと共に排出される圧縮空気により,直接油処理槽等の
ドレン処理槽に送ることが従来周知の技術的事項であること(例えば,平成8年3
月18日の実用新案異議申立てに甲第1号証として提出された特開昭61-188
2号公報〔注,甲11公報〕参照)に照らせば,引用考案4において,ドレントラ
ップ(ドレントラップ)から排出されたドレンは,結局,レシプロ又はスクリュー
コンプレッサ(空気圧縮機)から吐出される圧縮空気によってドレン分離槽まで自
動的に流されていると解することができる。また,圧縮空気の送り込みにより,液
体や固体等の態様に拘わらず,異物や排出物をその目的を満足する程度に一掃する
ことは,例を挙げるまでもなく従来周知の技術的事項である。さらに,引用考案4
において,ドレン集合管の最も上流側等にレシプロ又はスクリューコンプレッサ
(空気圧縮機)の吐出側を配管で連通してこの配管に電磁弁を設ける等して,排出
されたドレンをドレン処理槽に送るのを補助するようにしたり,主体的に送るよう
にすることを妨げるような特段の事情も見当たらない。してみると,相違点へに係
る本件考案4の構成要件は,引用考案4に従来慣用の手段を適用することにより,
当業者がきわめて容易に想到できた」(同20頁「ヘ.相違点ヘについて」)と判
断したが,誤りである。
(3) 上記のとおり,甲11公報には,ドレンは同伴圧縮空気の圧力により送ら
れることが記載されているから,審決でいう「ドレンと共に排出される圧縮空気に
より行う」は,「同伴圧縮空気のエネルギー」により行うものであることは明らか
である。また,審決は,上記のとおり,「圧縮空気の送り込みにより,液体や固体
等の態様に拘わらず,異物や排出物をその目的を満足する程度に一掃することは,
例を挙げるまでもなく従来周知の技術的事項」と認定したが,例えば,エアーガン
を用いて配管の掃除をして配管中の異物や排出物を掃除することは周知であるとし
ても,圧縮空気を送り込んで空気圧縮装置自体を掃除することは周知ではない。本
件考案4は,間欠又は一時的にドレン集合管に圧縮空気を送り込んでドレン集合管
中のドレンをほぼ全部ドレン処理装置に送り込むという技術的思想であり,単なる
掃除の発想ではない。パイプへの圧縮空気の送り込みにより,異物や排出物を清掃
目的のために一掃することは,従来周知の技術的事項であるとしても,引用考案4
の構成に基づいて,ドレン集合管の最も上流側又はその連通部と空気圧縮機の吐出
側を配管で連通して,この配管に電磁弁を設け,間欠又は一時的に圧縮空気を送り
込んでドレン集合管中のドレンを一掃する構成とすることは,従来慣用の手段を適
用することによりきわめて容易に想到し得るものではないから,相違点ヘについて
の審決の上記判断は誤りである。
(4) 被告は,実公平5-3749号公報(乙1,以下「乙1公報」という。)
には,ドレン集合管に連通するドレンの流れに関し,空気圧縮機の吐出側を配管で
連通してこの配管に電磁弁を設け,電磁弁を間欠して開弁する構造が開示されてい
ると主張する。しかし,乙1公報において,配管に電磁弁を設けている点に相当す
るのは,処理水給送用空気配管37に三方切換電磁弁38を設けている点である
が,同公報には,「水貯槽室11の上部空間の圧縮空気室12に一端が開口し他端
が例えばエアタンク3の上部,或いは送気管4の途中に連通する処理水給送用空気
配管37が設けられ,該配管37には開閉弁と逃し弁を併せた三方切換電磁弁38
が介装され」(4頁左欄)と記載されており,これに対し,本件考案4は,「ドレ
ン集合管中のドレンの流れに関し,ドレン集合管の最も上流側又はその連通部と空
気圧縮機の吐出側を配管で連通してこの配管に電磁弁を設け」る構成を有するの
で,乙1公報の「処理水給送用空気配管37」は本件考案4と何の関係もない事項
である。
第4 被告の反論
   審決の認定判断は正当であり,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
 1 取消事由1(刊行物の公知性の認定の誤り)について
 aが甲2~4証明書を作成したのは,平成9年9月14日である。同人が勤
務していた長野オリオン販売は,株式会社海南から株式会社フクハラの製品を仕入
れて,これを販売していた関係から,株式会社フクハラの製品のカタログなどを株
式会社海南から入手していた。窪田は,第1,第2カタログ(甲2,3添付)の入
手時期は平成2年1月以前と記憶していたが,その後,その入手を確認したのは平
成4年4月ころであることを想起したものである。第1カタログは昭和63年1月
印刷,第2カタログは同年3月印刷,第3カタログは平成3年8月印刷に係り,株
式会社フクハラが製品の販売促進のため作成,配布するものであって,現に,その
作成後顧客に多数頒布されていた。したがって,第1~第3カタログが本件実用新
案登録出願前に頒布されたものであることは明らかである。
2 取消事由2(引用考案1~4の認定の誤り)について
 ドレン分離槽のA室の筒は,その上方の開口まではドレン集合管と連通して
おり,ここからドレンが流出するものである。ドレンの流れはドレンを排出する機
器からドレン処理装置に向かうものであり,逆止弁があっても,この流れの方向で
はドレンは遮断されず,ドレン集合管はドレン分離槽A室の上方開口まで連通して
いるものである。ドレン分離槽のA室に開口する筒は,審決が認定した「ドレン集
合管と連通した流路の出口開口」と実質的に同一であり,審決の引用考案1~4の
認定に誤りはない。
 3 取消事由3(本件考案1と引用考案1との一致点の認定の誤り)について
 ドレンをドレン処理装置に流入させる位置に関しては,「ドレン集合管」に
高低差を設けても,「ドレン処理装置内にドレンの出口開口」を設けても効果に差
はなく,単なる設計事項というべきであるから,原告の取消事由3の主張は失当で
ある。
4 取消事由4(本件考案1と引用考案1との相違点イについての判断の誤り)
について
 「ドレン集合管の流路の出口開口」と「ドレン集合管と連通した流路の出口
開口」とは実質的に同一であって,ドレン集合管から流出するドレンの出口開口が
ドレン処理装置内において開口していても,それは設計的事項にすぎないから,審
決の判断に誤りはない。
5 取消事由5(本件考案1と引用考案1との相違点ロについての判断の誤り)
について
(1) 引用考案1において,スーパートラップにおける電磁バルブを開き続ける
時間を調整することによりドレン集合管中のドレンを一掃することが可能である。
さらに,甲10公報によれば,圧縮空気を利用する技術分野において配管中のドレ
ンが凍結すると配管を破損すること,その防止手段としてドレンを抜き去ることが
周知の技術的事項と認められるから,本件考案1と引用考案1との相違点につい
て,「当業者がきわめて容易に想到できたものである」とした審決の判断に誤りは
ない。
(2) 本件明細書(甲19)の段落【0029】には,空気圧縮機1を停止させ
るように押ボタンスイッチPB2を押すと,一定時間圧縮空気が流入してドレン集
合管14中のドレンは送り出されることが記載されているから,本件考案1も,空
気圧縮機の稼働中のみではなく,その停止状態における動作を含んでいる。したが
って,甲10公報を引用して,「圧縮機を利用した技術分野において,配管中のド
レンが凍結すると配管を破損すること及びその防止手段としてドレンを抜き去るこ
とは従来周知の技術的事項」(審決謄本13頁下から第4段落)であるとした審決
の認定に誤りはない。
6 取消事由6(本件考案2の容易想到性の判断の誤り)について
(1) 審決に,原告主張の取消事由1~5の誤りはないから,これを前提とする
原告の取消事由6(1)の主張は理由がない。
(2) 相違点ニの制御装置については,第3カタログ(甲4添付)の「電磁式の
スーパートラップ(電磁式ドレントラップ)のタイマーの設定値を調整することに
より2分~30時間(可変)ごとに2秒~60秒間(可変)ドレンを排出する」と
の記載及び実開平1-149096号公報(乙3,以下「乙3公報」という。)に
記載された周知技術から,当業者がきわめて容易に考案をすることができたもので
ある。
7 取消事由7(本件考案3の容易想到性の判断の誤り)について
(1) 審決に,原告主張の取消事由1~5の誤りはないから,これを前提とする
原告の取消事由7(1)の主張は理由がない。
(2) また,本件考案3は,本件考案2と比較すると,「ドレン集合管の最も上
流側へ」と「ドレン集合管の最も上流側及びそのすぐ下流側へ」との差であり,単
なる設計の変更にすぎない。
8 取消事由8(本件考案4の容易想到性の判断の誤り)について
(1) 審決に,原告主張の取消事由1~5の誤りはないから,これを前提とする
原告の取消事由8(1)の主張は理由がない。
(2) 乙1公報には,密閉式油処理槽8の圧縮空気室12とエアコンプレッサで
生成した圧縮空気源とを結ぶ処理水給送用空気配管37を設け,当該配管に三方切
換電磁弁38を介装して,処理水を強制的に油吸着槽19に送る構造が開示されて
おり,本件考案4とは,ドレントラップの動作に関係なく水貯槽室11内の処理水
を電磁弁で圧縮空気を送って強制的に排出できる構造において共通するものであ
る。したがって,この種の機器において,エアタンクからの圧縮空気を利用するこ
とは,周知の技術であり,本件考案4について,圧縮空気の送り込みによりパイプ
内の異物や排出物をその掃除の目的を持って一掃することは例を挙げるまでもなく
周知の技術であるとした審決の認定に誤りはない。
第5 当裁判所の判断
 1 取消事由1(刊行物の公知性の認定の誤り)について
(1) 原告は,aのa証人調書(甲5)における証言及び同人作成の甲2~4証
明書の信憑性は疑わしく,第1~第3カタログ(甲2~4添付)について,本件考
案に係る実用新案登録出願(平成5年2月25日)前に頒布されたものとした審決
の認定が誤りであると主張するが,上記カタログ中,審決が,本件考案1~4の実
用新案法3条2項該当性の判断に当たって採用した引用考案1~4は,いずれも第
3カタログに記載された考案であり,第1,第2カタログについての頒布時期は,
審決の結論を左右しないから,第3カタログについてのみ検討することとする。
(2) 確かに,a証人調書(甲5)によれば,平成9年異議第74658号事件
において平成10年3月25日に実施された証人尋問において,aは,異議申立人
(本訴被告)代理人の質問に答える形で,甲2,3証明書では平成2年1月以前と
されている添付の第1,第2カタログを入手した時期について,「私が確認したの
は平成4年の4月です」(8頁29項)と訂正する証言をしたことが認められる。
しかしながら,上記調書によれば,aは,上記訂正の理由について,同人が長野オ
リオン販売の諏訪支店に転勤したのは平成4年4月であり,同転勤後に上記確認を
行ったと証言していることが認められるところ,同訂正理由に不自然,不合理な点
はなく,上記訂正があるからといって,直ちに,aのa証人調書における証言及び
同人作成の甲4証明書が信憑性を欠くということはできない。原告は,b陳述書
(甲7添付)によれば,aは,平成9年5月ころ,第3カタログと同様のカタログ
をbから入手しているとして,上記証言等の信憑性を争うが,そうであるとして
も,aが平成4年12月以前に第3カタログを入手したとの証言及び甲4証明書の
記載の信憑性を何ら左右するものではない。加えて,第3カタログ(甲4添付)に
は,「1991年8月印刷」と記載されているところ,製品カタログは,一般に,
当該製品の販売促進のために作成し,配布するものであって,特段の事情のない限
り,印刷後直ちに顧客に配布するものであるから,特段の事情をうかがわせる証拠
がない本件においては,第3カタログは,印刷がされた平成3年8月より後,遅く
とも本件実用新案登録出願日である平成5年2月25日より前に頒布されたものと
推認するのが相当である。したがって,第3カタログについて,本件考案に係る実
用新案登録出願前に頒布されたものとした審決の認定を誤りであるということはで
きず,原告の取消事由1の主張は理由がない。
2 取消事由2(引用考案1~4の認定の誤り)について
 原告は,第3カタログ(甲4添付)の「動作フローシート」(3頁)の記載
によれば,A室に立設した筒はドレン分離槽に属するものであるから,同筒の上端
を「ドレン集合管と連通した流路の出口開口」とし,同出口開口が,「ドレン分離
槽内のドレンが溜まることができる最大値のXラインより高い位置」とした審決の
認定は誤りであると主張する。しかしながら,上記「動作フローシート」の記載か
ら,A室に立設した筒は,ドレン分離槽に立設したものであるが,その上方の開口
までドレン集合管と連通し,ここからドレンが流出するものであることが明らかで
ある。したがって,A室に立設した筒の上端は,本件考案1の「ドレン集合管と連
通した流路の出口開口」と同一であり,これを「ドレン集合管と連通した流路の出
口開口」とし,かつ,同出口開口が,「ドレン分離槽内のドレンが溜まることがで
きる最大値のXラインより高い位置」とした審決の認定に誤りはない。原告は,ス
ーパートラップから逆止弁①までがドレンを排出するためのドレン排出用の配管で
あり,逆止弁①からドレン分離槽のA室の筒の上方の開口まではドレン分離槽が有
する入力配管(流入管)であって,排出用配管内圧力が入力配管内圧力よりも低い
状態では逆止弁①は閉じており,両者は連通していないとも主張するが,上記「動
作フローシート」において,逆止弁①のスーパートラップ側は,アフタークーラ中
の圧縮空気圧のため,通常の作動状態ではドレン分離槽側より圧力が高くなってお
り,ドレンはドレン排出用配管からドレン処理装置に流れるものであるから,逆止
弁は機能せず,A室に立設した筒は,その上方の開口までドレン集合管と連通して
いるものと認められるから,原告の上記主張は採用することができない。
 以上によれば,審決の引用考案1~4の認定の誤りをいう原告の取消事由2
の主張は理由がない。
 3 取消事由3(本件考案1と引用考案1との一致点の認定の誤り)について
 原告は,本件考案1は,配管形態によってドレンが溜まるようなドレン集合
管としたものであり,ドレン集合管に高低差を設けてドレンをドレン処理装置に流
入させているのに対し,引用考案1では,逆止弁①には室Aの圧力が加わっている
ため,スーパートラップと逆止弁①間の配管にドレンは溜まっており,流入管の上
端が高い位置にあるのは,ドレンから分離した油水が,流入するドレンにより乱さ
れ再び混合されないようにするためのものにすぎないから,「ドレン集合管に係る
流路に高低差が設けてあって,ドレンをドレン処理装置に流入させ」る点を一致点
とした審決の認定は誤りであると主張する。しかしながら,引用考案1の逆止弁が
通常の作動状態では機能しないのは前示のとおりであるから,本件考案1が配管形
態によってドレンが溜まるようなドレン集合管としたものであるとしても,引用考
案1も配管形態によってドレンが溜まるものということができ,引用考案1の流入
管に高低差が設けられていることは,第3カタログ(甲4添付)の「動作フローシ
ート」(3頁)の記載から明らかである。そうすると,引用考案1のドレン集合管
及び流入管の形態と本件考案1の配管形態に差異があるとはいえないし,また,本
件考案1のドレン集合管と引用考案1のドレン集合管及びこれに連通する流入管
を,「ドレン集合管に係る流路」として,これらの上位概念で表すことに誤りがあ
るとはいえないから,「ドレン集合管に係る流路に高低差が設けてあって,ドレン
をドレン処理装置に流入させ」る点を両考案の一致点とした審決の認定を誤りとい
うことはできない。したがって,原告の取消事由3の主張は理由がない。
4 取消事由4(本件考案1と引用考案1との相違点イについての判断の誤り)
について
 原告は,引用考案1において,A室内の筒の上端をXラインよりも上方に位
置させているのは,Xラインまで溜まっているドレンを可及的に撹拌しないように
するためであり,機器間の配管の形態は自在に選択可能であるから,相違点イを単
なる設計的事項とした審決の判断は誤りであると主張する。しかしながら,引用考
案1の流入管に高低差が設けられているから,配管形態によってドレンが溜まるも
のといえること,本件考案のドレン集合管と引用考案のドレン集合管及びこれに連
通する流入管とが,上位概念で共通することは前示のとおりであるところ,引用考
案1において,ドレン集合管の流路の出口開口をドレン集合管中にドレントラップ
から排出されてくるドレンが溜まるような高い位置とすることを妨げる特段の事情
を認めるに足りる証拠はない。そうすると,相違点イに係る本件考案1の構成と引
用考案1の構成に格別の差異があるとは認められないから,設計的事項にすぎない
というべきであり,原告主張の引用考案1の目的は,同判断を何ら左右しない。し
たがって,これと同旨をいう審決の判断に誤りはなく,原告の取消事由4の主張は
理由がない。
5 取消事由5(本件考案1と引用考案1との相違点ロについての判断の誤り)
について
(1) 原告は,審決が「引用考案1においても,スーパートラップにおける電磁
バルブを開き続ける時間を調整することにより,ドレン集合管中のドレンを一掃す
ることが可能であると解される」(審決謄本13頁「ロ.相違点ロについて」)と
した理由は不明であると主張する。確かに,第3カタログ(甲4添付)にはドレン
集合管中のドレンを一掃することが可能であることは明示されていないが,他方,
「フクハラ製ドレントラップは空気室で排出されますので,多少の立ち上りがあっ
てもドレンはドレン分離槽まで自動的に流れこみます」(3頁(注意事項)欄
6),「フクハラのドレントラップは強力電磁式なので確実にしかもこまめにドレ
ンを排出します」(6頁最上段) ,「HL形は2分~30時間(可変)ごとに2秒
~60秒間(可変)ドレンを排出する」(6頁「スーパートラップ仕様」欄)と記
載され,特に,ドレンの排出時間を2秒~60秒間と30倍の時間範囲において可
変としていることからすれば,上限近くの時間中ドレンを排出すると,ドレンは一
掃できるものと認められる。したがって,「スーパートラップにおける電磁バルブ
を開き続ける時間を調整することにより,ドレン集合管中のドレンを一掃すること
が可能である」とした審決の理由が不明であるということはできない。なお,本件
実用新案登録の出願時より後の発行に係る実用新案登録第2529998号公報
(甲6)には,「アフタークーラ3のドレン配管6,即ち,ドレン集合管14の流
れに関し,上流側のドレン配管6には電気式ドレントラップ26と逆止弁26′が
介装されている。この電気式ドレントラップ26はサイクルタイマーにより,予め
定められた間隔でもって,タイマーを動作させ一定時間開弁してドレンを通過させ
て後更に若干時間圧縮空気を送り出し閉弁するようにしてある。・・・この電気式
ドレントラップ26は動作する間隔は2~60分に調節でき,開弁時間は2秒~6
0秒に調節できるようになっている」(段落【0046】),「上記ドレンの排出
作用においてドレントラップ12,13はドレンのみを排出する。電気式ドレント
ラップ26はドレンを排出した後,一定時間圧縮空気を送り出す。・・・これによ
ってドレン集合管14中のドレンは一掃される。従ってドレン集合管14内のドレ
ン凍結によるドレン集合管14の破裂,閉塞が生ずることがない」(段落【005
0】)と記載され,同記載の空気圧縮機1の電動機出力は22KW,55KW,1
10KWであって,第3カタログ記載の「スーパートラップ」の電動機出力(22
~220KW)と変わりがなく,電気式ドレントラップ26の開弁時間も上記「ス
ーパートラップ」と同じ2秒~60秒であることが認められるから,この点から
も,審決の上記判断が裏付けられるところである。
(2) 原告は,甲10公報には凍結防止手段として装置運転中に装置内のドレン
を抜き去ることの記載はないから,これを引用して,「圧縮機を利用した技術分野
において,配管中のドレンが凍結すると配管を破損すること及びその防止手段とし
てドレンを抜き去ることは従来周知の技術的事項」(審決謄本13頁下から第4段
落)であるとした審決の認定は誤りであると主張する。しかし,甲10公報には,
「寒冷期にはドレーンが凍結して配管を破損せしめ,又配管内を塞ぎ翌朝圧縮空気
の使用に支障をきたしている。本発明は上記缺点をなくすため,空気圧縮機稼働中
はドレーンを周期的に一定の短時間排出し,電源遮断后は,弁を開き放しにして圧
縮空気とドレーンを皆無にしてしまうことが最も合理的であると考え,同時に施設
を経済的ならしめるため,電器継電器を排除し,経済的な繰返しバイメタルサーマ
ルタイマーと限時常用バイメタルサーマルタイマーにより,直接常開電磁弁を制御
して,周期的に一定の短時間ドレーンを排出し,電源遮断后は弁を開き放しにし
て,圧縮空気とドレーンを放出してしまうようにしたものである」(2頁左上欄)
と記載され,「圧縮機を利用した技術分野において,配管中のドレンが凍結すると
配管を破損すること及びその防止手段としてドレンを抜き去ること」が開示されて
いる。したがって,審決の上記認定を誤りということはできない。なお,原告は,
本件考案1の作用は,空気圧縮機の稼働中にドレン集合管中のドレンを一掃するも
のであると主張するが,本件明細書(甲19)の段落【0029】には,空気圧縮
機停止後に,一定時間圧縮空気を流入させてドレンを一掃することが記載され,実
用新案登録請求の範囲の請求項1には,「間欠又は一時的に」ドレンを一掃すると
記載されているから,空気圧縮機の稼働中に間欠的にドレンを一掃するものだけで
なく,空気圧縮機の停止時に一時的にドレンを一掃するものをも含むものであるか
ら,原告の上記主張は本件明細書の記載に基づかないものである。
(3) 原告は,甲11公報を引用して,「ドレンの移送を動力ポンプ等の動力を
使うことなくドレンと共に排出される圧縮空気により行うことが・・・従来周知の
技術的事項である」との審決の上記認定は誤りであり,この誤った認定を根拠とし
て,「被請求人(注,原告)の主張ト(注,『本件の出願時点では,トラップから
圧縮空気をできるだけ出さないようにすることが常識であった。』〔審決謄本4頁
下から第2段落〕)に係る事実をもって,圧縮空気をドレンの一掃に利用すること
を妨げる特段の事情があるとすることができない」(同14頁第1段落)とした審
決の判断は誤りであると主張する。しかし,甲11公報には,ドレントラップか
ら,ドレンと圧縮空気は同伴する程度に排出され,ドレンは同伴圧縮空気の圧力に
より送られることが開示されていることは原告の自認するところであるから,甲1
1公報を引用して,「ドレンの移送を動力ポンプ等の動力を使うことなくドレンと
共に排出される圧縮空気により行うこと」が従来周知の技術的事項であるとした審
決の認定を誤りということはできない。審決は,原告の,「本件の出願時点では,
トラップから圧縮空気をできるだけ出さないようにすることが常識であった」との
主張に対し,ドレン排出装置においては,取り出したドレンを処理するためにドレ
ン処理装置まで移送することが不可欠であって,このようなドレンの移送をドレン
と共に排出される圧縮空気により行うことが甲11公報により従来周知の技術的事
項であったこと,同周知技術においては,ドレンと圧縮空気は同伴しているとして
も,トラップから圧縮空気を出していることは明らかであるから,原告の主張に係
る事実をもって,圧縮空気をドレンの一掃に利用することを妨げる特段の事情があ
るとすることができないとしたものであり,その判断は首肯するに足りる。
(4) 以上検討したとおり,原告の取消事由5に係る主張はいずれも採用するこ
とができない。
6 取消事由6(本件考案2の容易想到性の判断の誤り)について
(1) 上記第2の2の本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載によれば,本
件考案2は,本件考案1の構成を前提とするものということができるが,上記説示
のとおり,本件発明1に係る取消事由1~5は理由がないから,これを前提とする
原告の取消事由6(1)の主張も理由がないことに帰する。
(2) 原告は,審決は,相違点ニの検討に際して,「制御装置」に関する判断を
しておらず,また,第3カタログ(甲4添付)記載の「スーパートラップ」にドレ
ン集合管中のドレンを一掃するように圧縮空気を送り込むとという技術的思想がな
いから,本件考案2の相違点ニの構成に想到することは不可能であると主張する。
しかしながら,本件考案2は,制御装置に関して,「電気式ドレントラップがこの
電気式ドレントラップ手前に溜ったドレンを排出後更に圧縮空気を通過させドレン
集合管中のドレンを排出する制御装置を設けた」と機能で特定しているが,その具
体的な構成を特定しているものではない。そして,審決は,引用考案2のスーパー
トラップは,タイマーの設定値を調整することにより「2分~30時間(可変)ご
とに2秒~60秒間(可変)ドレンを排出」するものであり,また,前示のとお
り,スーパートラップにおける電磁バルブを開き続ける時間を調整することによ
り,ドレン集合管中のドレンを一掃することが可能であること,当業者にとって,
ドレンが凍結する環境下において使用する必要があるとき,ドレンが配管に凍結し
ないように,ドレンを排出する頻度と時間を調整することがきわめて容易に想到す
ることができることを説示して,引用考案2に,本件考案2と同じ機能を有する制
御装置を設けることは,きわめて容易であると判断したものであり,その判断は首
肯するに足りる。したがって,本件考案2と引用考案2との相違点ニについての審
決の判断を誤りということはできない。
(3) 以上のとおり,原告の取消事由6の主張は理由がない。
7 取消事由7(本件考案3の容易想到性の判断の誤り)について
 上記第2の2の本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載によれば,本件
考案3は,本件考案1の構成を前提とするものということができるが,上記説示の
とおり,本件発明1に係る取消事由1~5は理由がないから,これを前提とする原
告の取消事由7(1) の主張も理由がないことに帰する。また,原告は,本件考案3
は,本件考案2の相違点ニと同様の相違点があるので,取消事由6と同様の取消事
由7(2)があると主張するが,上記説示のとおり,本件考案2に係る取消事由6の主
張は理由がないから,これを前提とする原告の取消事由7(2) の主張も理由がない
ことに帰する。
 以上のとおり,原告の取消事由7の主張は理由がない。
8 取消事由8(本件考案4の容易想到性の判断の誤り)について
(1) 上記第2の2の本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載によれば,本
件考案4は,本件考案1の構成を前提とするものということができるが,上記説示
のとおり,本件発明1に係る取消事由1~5は理由がないから,これを前提とする
原告の取消事由8(1)の主張も理由がないことに帰する。
(2) 原告は,パイプへの圧縮空気の送り込みにより,異物や排出物を清掃目的
のために一掃することは,従来周知の技術的事項であるとしても,引用考案4の構
成に基づいて,ドレン集合管の最も上流側又はその連通部と空気圧縮機の吐出側を
配管で連通して,この配管に電磁弁を設け,間欠又は一時的に圧縮空気を送り込ん
でドレン集合管中のドレンを一掃する構成とすることは,従来慣用の手段を適用す
ることによりきわめて容易に想到し得るものではないから,相違点ヘについての審
決の上記判断は誤りであると主張するので,検討する。審決の認定した引用考案4
は,「引用考案1と同じドレン排出装置」(審決謄本10頁【引用考案4】)であ
るところ,引用考案1は,「ドレン集合管中のドレンの流れに関し,ドレン集合管
の一番川上側に対して,2分~30時間(可変)ごとに2秒~60秒間(可変)ド
レンを排出し,ドレンをドレン分離槽まで自動的に流れこむようにしたドレン排出
装置」(同【引用考案1】)である。そして,第3カタログ(甲4添付)によれ
ば,「2分~30時間(可変)ごとに2秒~60秒間(可変)ドレンを排出」する
のは,スーパートラップ仕様のHL形であり,また,「フロート式,差圧式等のド
レントラップではドレン分離槽内の空気室の圧力をあげることが出来ませんのでス
ーパートラップを1台のコンプレッサに対して必ず1台以上装備してください。ス
ーパートラップの形式はHL形が望ましい」(3頁(注意事項)欄2),「スーパ
ートラップの出口配管の位置はドレン集合管の一番川上側に接続してください」
(同欄3)と記載されているから,引用考案4において,ドレントラップから排出
されたドレンは,レシプロ又はスクリューコンプレッサから吐出され,電磁式のス
ーパートラップから噴出する圧縮空気によってドレン分離槽まで自動的に流される
ものと認められる。そうすると,引用考案4においては,ドレンの排出はスーパー
トラップから噴出される圧縮空気により行っているのであるから,さらに,ドレン
集合管の最も上流側又はその連通部と空気圧縮機の吐出側とを,電磁弁を設けた配
管で連通して,圧縮空気を送るようにする必要性はない。したがって,審決が,
「引用考案4において,ドレン集合管の最も上流側等にレシプロ又はスクリューコ
ンプレッサ(空気圧縮機)の吐出側を配管で連通してこの配管に電磁弁を設け
る・・・ことを妨げるような特段の事情も見当たらない」(審決謄本20頁「ヘ.
相違点ヘについて」)と判断したことは,誤りというほかなく,この誤りが審決の
結論に影響を及ぼすことは明らかである。
(3) 被告は,乙1公報には,密閉式油処理槽8の圧縮空気室12とエアコンプ
レッサで生成した圧縮空気源とを結ぶ処理水給送用空気配管37を設け,該配管に
三方切換電磁弁38を介装して,処理水を強制的に油吸着槽19に送る構造が開示
されており,本件考案4とは,ドレントラップの動作に関係なく水貯槽室11内の
処理水を電磁弁で圧縮空気を送って強制的に排出できる構造において共通するもの
であるから,この種の機器において,エアタンクからの圧縮空気を利用すること
は,周知の技術であり,本件考案4について,圧縮空気の送り込みによりパイプ内
の異物や排出物をその掃除の目的を持って一掃することは例を挙げるまでもなく周
知の技術であるとした審決の認定に誤りはないと主張する。しかしながら,乙1公
報には,三方切換電磁弁38の機能に関して,「エアタンク3,アフタークーラ
5,ドレンセパレータ6,ドライヤ7で凝縮したドレンはドレントラップ28,2
9,30,31から排出され,該ドレンは集合ドレン配管32で集められて,給送
ドレン配管33をとおり油処理槽8の油浮上分離室10に入る。油浮上分離室10
においてドレンは比重差で油Fと水Wに分離され,油Fは水W上に浮上する。水W
は通口13をとおり,連通しているので水貯槽室11に入る。ドレンの油浮上分離
室10への流入がつづくと,油浮上分離室10の液位が上昇すると共に水貯槽室1
1の液位は上昇する。液位上昇に伴って圧縮空気室12の空気Aは三方切換電磁弁
38を通って大気中へ逃げる。水貯槽室11の液位が上限水位に達するとフロート
スイッチ35が検知した上限水位信号は制御装置36に送られ,制御装置36は三
方電磁弁38を今までポートB,C間を連通し,ポートA,B間を遮断していたの
をポートCを閉止しポートA,B間を連通するように切換える。これによって例え
ばエアタンク3から圧縮空気が三方切換電磁弁38を介装した処理水給送用空気配
管37を通じて圧縮空気室12に導入される。油処理槽8は密閉槽であり,給送ド
レン配管33には逆止弁34が設けられているので水Wは油吸着槽19との連通管
20をとおり,油吸着槽19に入り,油吸着材22中の圧力降下に抗して油吸着材
22中を上昇し,その間に水Wに含まれている残留油分等が油吸着材22に吸着さ
れ,清澄水となる。そして先に送られて油吸着槽19の上部にある清澄水は押し出
されて清澄水放流管23から放流され,或は必要により更に次の水処理設備に送ら
れる。かくして水貯槽室11の水位は低下し,下限水位となるフロートスイッチ3
5は下限水位信号を発し,制御装置36は三方電磁弁38を切換えてポートA,B
間を遮断し,ポートB,C間を連通し,圧縮空気室12中の残留圧縮空気は大気と
連通して逃がされ,大気圧となる」(4頁右欄)と記載されている。上記記載によ
れば,乙1公報には,ドレントラップの動作に関係なく水貯槽室11内の処理水を
電磁弁で圧縮空気を送って強制的に排出できる構造が記載されているとはいえる
が,圧縮空気は三方切換電磁弁38を介装した処理水給送用空気配管37を通じて
圧縮空気室12に導入されるのであって,圧縮空気をドレン集合管に流すものでは
なく,また,圧縮空気室12中の水Wを油吸着槽19に送るのであって,ドレン集
合管中のドレンを一掃することの記載はない。そうすると,乙1公報には,本件考
案4の構成と関連する記載があるということはできず,被告の上記主張は採用する
ことができない。
(4) したがって,原告の取消事由8の主張は理由がある。
9 以上のとおり,原告主張の取消事由1~7はいずれも理由がないが,取消事
由8は理由があるから,審決中,実用新案登録第2150012号の請求項4に係
る考案についての実用新案登録を無効とするとの部分を取り消し,原告のその余の
請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官  篠  原  勝  美
    裁判官  岡  本     岳
    裁判官  早  田  尚  貴

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