平成14(行ケ)517行政訴訟 特許権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成15年4月30日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法29条2項1回
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キーワード |
審決6回 訂正審判1回 特許権1回 分割1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成14年(行ケ)第517号 特許取消決定取消請求事件(平成15年4月16
日口頭弁論終結)
判 決
原 告 日本碍子株式会社
訴訟代理人弁理士 渡 邉 一 平
同 木 川 幸 治
同 樋 口 武
被 告 特許庁長官 太 田 信一郎
指定代理人 後 谷 陽 一
同 石 井 良 夫
同 小 曳 満 昭
同 宮 川 久 成
同 伊 藤 三 男
主 文
特許庁が異議2002-70479号事件について平成14年8月1
6日にした決定を取り消す。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
(1) 原告は,名称を「自動車排ガス浄化用吸着材」とする特許第320267
6号発明(平成3年10月23日原出願〔国内優先日・平成2年11月9日〕,平
成10年2月13日分割出願,平成13年6月22日設定登録,以下,この特許を
「本件特許」といい,その特許発明を「本件発明」という。)の特許権者である。
その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2002-7
0479号事件として特許庁に係属した。特許庁は,上記事件につき審理した結
果,平成14年8月16日,「特許第3202676号の請求項1ないし3に係る
特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同
年9月9日,原告に送達された。
(2) 原告は,平成14年10月9日,本件決定の取消しを求める本件訴えを提
起した後,平成15年1月24日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下
「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等及び図面の訂正(以下「本件
訂正」という。)をする旨の訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂
正2003-39015号事件として審理した上,同年3月18日,本件訂正を認
める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その謄本は,同月28日,
原告に送達された。
2 本件明細書の特許請求の範囲の記載
(1) 本件訂正前のもの
【請求項1】Si/Al比が48以上の高シリカゼオライトを含み,HC
(炭化水素)を吸着することを特徴とする自動車排ガス浄化用吸着材。
【請求項2】請求項1記載の吸着材に触媒を担持させてなる自動車排ガス浄
化用吸着材。
【請求項3】請求項1又は2記載の吸着材を,多数の貫通孔を有するハニカ
ム構造体に被覆した自動車排ガス浄化用吸着材。
(2) 本件訂正に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。)
【請求項1】Si/Al比が48以上,アルカリ金属含有量が0.1重量%
以下,1100℃で5時間加熱された場合のBET比表面積(㎡/g)が少なくと
も30(㎡/g)である高シリカゼオライトであって,HC(炭化水素)を吸着す
ることを特徴とする自動車排ガス浄化用吸着材。
【請求項2】請求項1記載の吸着材に触媒を担持させてなる自動車排ガス浄
化用吸着材。
【請求項3】請求項1又は2記載の吸着材を,多数の貫通孔を有するハニカ
ム構造体に被覆した自動車排ガス浄化用吸着材。
3 本件決定の理由
本件決定は,本件発明の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲の
記載のとおり認定した上,本件発明は,特開平2-75327号公報,特開平2-
135126号公報及び「東ソ-研究報告」33巻2号155~165頁に記載さ
れた発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法2
9条2項の規定により特許を受けることができず,本件特許は拒絶の査定をしなけ
ればならない特許出願に対してされたものであるから,特許法等の一部を改正する
法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条2項の規
定により取り消されるべきであるとした。
第3 原告主張の審決取消事由
本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲の
記載(上記第2の2の(1))のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により本件
明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2の(2)のとおり訂正されたため,誤り
に帰したことになる。そして,この瑕疵は本件決定の結論に影響を及ぼすものであ
るから,本件決定は違法として取り消されるべきである。
第4 被告の主張
本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記のとお
り訂正されたことは認める。
第5 当裁判所の判断
本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2
の2の(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許
請求の範囲が減縮されたことは明らかである。
そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許
請求の範囲の記載(上記第2の2の(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りで
あったことに帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるか
ら,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。
よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用は,原告の申
立て等本件訴訟の経緯にかんがみ,原告に負担させることとして,主文のとおり判
決する。
東京高等裁判所第13民事部
裁判長裁判官 篠 原 勝 美
裁判官 長 沢 幸 男
裁判官 早 田 尚 貴
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