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平成14(行ケ)141行政訴訟 特許権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成15年3月20日
事件種別 民事
法令 特許権
特許法29条1項3号1回
キーワード 審決5回
訂正審判1回
刊行物1回
特許権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成14年(行ケ)第141号 特許取消決定取消請求事件
平成15年3月20日判決言渡,平成15年3月13日口頭弁論終結
     判    決
 原 告 神鋼パンテック株式会社
 訴訟代理人弁理士 藤本昇,鈴木活人,薬丸誠一,中谷寛昭,大中実,岩田徳哉
 被 告 特許庁長官 太田信一郎
 指定代理人 石井良夫,西村和美,森田ひとみ,一色由美子,林栄二
     主    文
 特許庁が異議2000-74250号事件について平成14年2月4日にした決
定中,請求項1ないし2,5ないし6に関する部分を取り消す。
 訴訟費用は各自の負担とする。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 主文第1項同旨の判決。
第2 事案の概要
 1 特許庁における手続の経緯
 原告が特許権者である本件特許第3048889号(「活性汚泥処理方法及びそ
のための活性汚泥処理装置」)は,平成7年6月29日に特許出願され,平成12
年3月24日に設定登録された。
 平成12年11月22日,本件特許について特許異議の申立てがあり(異議20
00-74250),原告は平成13年5月28日訂正請求をしたが,平成14年
2月4日「訂正後の請求項1ないし2,5ないし6に係る特許を取り消す」旨の決
定があり,その謄本は同年2月27日原告に送達された。
 原告は,決定の取消しを求める本訴提起後の平成14年11月29日,本件特許
につき特許請求の範囲の減縮等を目的とする訂正審判の請求をし(訂正2002-
39254号),平成15年1月30日に訂正を認める旨の審決(訂正審決)があ
り,確定した。
 2 本件特許の設定登録時の特許請求の範囲(便宜,決定が取り消した請求の範
囲以外も記載した。)
【請求項1】 有機性廃水を処理するための活性汚泥処理装置であって,有機廃水を
好気性生物処理をするための曝気処理装置と,該曝気処理装置で処理された処理液
を処理水と汚泥に固液分離するための第1の沈殿装置と,前記沈殿装置で分離され
た汚泥の一部を曝気処理装置に返送するための環流経路と,前記沈殿装置で分離さ
れた汚泥のうち余剰汚泥を55℃より高い温度で好熱菌による微生物処理で可溶化
するための可溶化処理装置と,前記可溶化処理装置で可溶化された処理液を曝気処
理装置に返送する返送経路とを設けたことを特徴とする活性汚泥処理装置。
【請求項2】 前記沈殿装置で固液分離した汚泥を可溶化槽で可溶化された可溶化処
理液で加温するための熱交換器を,前記沈殿装置から可溶化槽に至る経路に設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理装置。
【請求項3】 前記可溶化処理装置で可溶化された処理液を曝気処理装置に返送する
返送経路に,処理液を曝気処理装置に返送する処理水と余剰汚泥に固液分離するた
めの第2の沈殿装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の活性汚泥処
理装置。
【請求項4】 前記第2の沈殿装置の余剰汚泥の一部を,第1の沈殿装置に返送する
余剰汚泥還流経路を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の活
性汚泥処理装置。
【請求項5】 有機性廃水を処理するための活性汚泥処理方法であって,有機廃水を
曝気処理装置にて好気性生物処理をした後,曝気処理装置にて処理された処理液を
第1の沈殿装置にて処理水と汚泥に固液分離し,前記沈殿装置で分離された汚泥の
一部を,環流経路を介して曝気処理装置に返送し,前記沈殿装置で分離された汚泥
のうち余剰汚泥を,可溶化処理装置にて55℃より高い温度で好熱菌による微生物
処理で可溶化し,前記可溶化処理装置で可溶化された処理液を,返送経路を介して
曝気処理装置に返送することを特徴とする活性汚泥処理方法。
【請求項6】 前記沈殿装置で固液分離した汚泥を,沈殿装置から可溶化槽に至る経
路に設けた熱交換器を介して,可溶化槽で可溶化された可溶化処理液で加温するこ
とを特徴とする請求項5に記載の活性汚泥処理方法。
【請求項7】 前記可溶化処理装置で可溶化された処理液を曝気処理装置に返送する
返送経路に設けられた第2の沈殿装置にて,処理液を曝気処理装置に返送する処理
水と余剰汚泥に固液分離することを特徴とする請求項5又は6に記載の活性汚泥処
理方法。
【請求項8】 前記第2の沈殿装置の余剰汚泥の一部を,余剰汚泥還流経路を介して
第1の沈殿装置に返送することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の活
性汚泥処理方法。
【請求項9】 前記可溶化処理を,50~90℃の温度範囲となるような条件で操作
することを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の活性汚泥処理方法。
 3 訂正審決による訂正後の本件特許の特許請求の範囲(下線が訂正部分)
【請求項1】 有機性廃水を処理するための活性汚泥処理装置であって,
有機廃水を好気性微生物による生物酸化によって無機物に分解するための曝気処理
装置と,該曝気処理装置で処理された処理液を処理水と汚泥に固液分離するための
第1の沈殿装置と,前記沈殿装置で分離された汚泥の一部を曝気処理装置に返送す
るための環流経路と,前記沈殿装置で分離された汚泥のうち余剰汚泥を60℃~7
0℃で下水余剰汚泥から分離した好熱菌による可溶化反応で可溶化するための可溶
化処理装置と,前記可溶化処理装置で可溶化された処理液を曝気処理装置に返送す
る返送経路とを設けたことを特徴とする活性汚泥処理装置。
【請求項2】 前記沈殿装置で固液分離した汚泥を可溶化槽で可溶化された可溶化処
理液で加温するための熱交換器を,前記沈殿装置から可溶化槽に至る経路に設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理装置。
【請求項3】 有機性廃水を処理するための活性汚泥処理装置であって,
有機廃水を好気性生物処理をするための曝気処理装置と,該曝気処理装置で処理さ
れた処理液を処理水と汚泥に固液分離するための第1の沈殿装置と,前記沈殿装置
で分離された汚泥の一部を曝気処理装置に返送するための環流経路と,前記沈殿装
置で分離された汚泥のうち余剰汚泥を55℃より高い温度で好熱菌による微生物処
理で可溶化するための可溶化処理装置と,前記可溶化処理装置で可溶化された処理
液を曝気処理装置に返送する返送経路と,前記可溶化処理装置で可溶化された処理
液を曝気処理装置に返送する返送経路に,処理液を曝気処理装置に返送する処理水
と余剰汚泥に固液分離するための第2の沈殿装置を設けたことを特徴とする活性汚
泥処理装置。
【請求項4】 前記第2の沈殿装置の余剰汚泥の一部を,第1の沈殿装置に返送する
余剰汚泥還流経路を設けたことを特徴とする請求項3に記載の活性汚泥処理装置。
【請求項5】 有機性廃水を処理するための活性汚泥処理方法であって,
有機廃水を曝気処理装置にて好気性微生物による生物酸化によって無機物に分解し
た後,曝気処理装置にて処理された処理液を第1の沈殿装置にて処理水と汚泥に固
液分離し,前記沈殿装置で分離された汚泥の一部を,環流経路を介して曝気処理装
置に返送し,前記沈殿装置で分離された汚泥のうち余剰汚泥を,可溶化処理装置に
て60℃~70℃で下水余剰汚泥から分離した好熱菌による可溶化反応で可溶化
し,前記可溶化処理装置で可溶化された処理液を,返送経路を介して曝気処理装置
に返送することを特徴とする活性汚泥処理方法。
【請求項6】 前記沈殿装置で固液分離した汚泥を,沈殿装置から可溶化槽に至る経
路に設けた熱交換器を介して,可溶化槽で可溶化された可溶化処理液で加温するこ
とを特徴とする請求項5に記載の活性汚泥処理方法。
【請求項7】 有機性廃水を処理するための活性汚泥処理方法であって,
有機廃水を曝気処理装置にて好気性生物処理をした後,曝気処理装置にて処理され
た処理液を第1の沈殿装置にて処理水と汚泥に固液分離し,
前記沈殿装置で分離された汚泥の一部を,環流経路を介して曝気処理装置に返送
し,前記沈殿装置で分離された汚泥のうち余剰汚泥を,可溶化処理装置にて55℃
より高い温度で好熱菌による微生物処理で可溶化し,前記可溶化処理装置で可溶化
された処理液を,返送経路を介して曝気処理装置に返送する活性汚泥処理方法であ
って,
 前記可溶化処理装置で可溶化された処理液を曝気処理装置に返送する返送経路に
設けられた第2の沈殿装置にて,処理液を曝気処理装置に返送する処理水と余剰汚
泥に固液分離することを特徴とする活性汚泥処理方法。
【請求項8】 前記第2の沈殿装置の余剰汚泥の一部を,余剰汚泥還流経路を介して
第1の沈殿装置に返送することを特徴とする請求項7に記載の活性汚泥処理方法。
 4 決定の理由の要点
 平成13年5月28日にした訂正請求は適法であるので訂正を認めるが,その訂
正後の請求項1,2,5,6に係る特許は,特表平6-509986号公報(刊行
物1)に記載された発明に係るものであって,特許法29条1項3号に違反するか
ら,取り消すべきである。
第3 原告主張の決定取消事由
 決定は,訂正審決による訂正前の請求項(平成13年5月28日の訂正請求によ
るもの)に基づき本件発明の要旨を認定し,特許を取り消すべきものとしている
が,訂正審決により特許請求の範囲の減縮等を目的とする訂正が認められたことに
よって,本件発明の要旨を結果的に誤認したことになり違法となったものである。
第4 当裁判所の判断
 原告主張の事由により決定は取り消されるべきものであり,本訴請求は理由があ
る。よって,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法62条を適用して,主文の
とおり判決する。
 東京高等裁判所第18民事部
         裁判長裁判官 塚   原   朋  一
            裁判官    塩   月   秀   平
裁判官    田   中   昌   利

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