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平成14(行ケ)236行政訴訟 特許権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成15年2月25日
事件種別 民事
法令 特許権
特許法184条の152回
民事訴訟法62条1回
キーワード 審決20回
無効4回
特許権1回
優先権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成14年(行ケ)第236号 審決取消請求事件
平成15年2月13日口頭弁論終結
判          決
原       告     ボード,オブ,リージェンツ,ザ,ユニバ
ーシティ,オブ,テキサス,システム
訴訟代理人弁護士      大   野   聖   二
同             中   道       徹
訴訟代理人弁理士      社   本   一   夫
被       告     イーオーエス ゲゼルシャフト ミット 
ベシュレンクテル ハフツング イレクトロ オプティカル システムズ
訴訟代理人弁理士      後   藤   洋   介
同             池   田   憲   保
同             山   本   格   介
主           文
1 特許庁が平成10年審判第35216号事件について平成14年1
月7日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を3
0日と定める。
事実及び理由
1 原告の請求
(1) 主文第1項と同旨
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1) 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「選択的焼結によって部品を製造する方法」とする特
許第2620353号(米国における1986年(昭和61年)10月17日及び
1987年(昭和62年)10月5日の各出願に基づく優先権を主張して,昭和6
2年10月14日に外国語特許出願により国際出願。平成9年3月11日設定登
録。以下「本件特許」といい,その発明を「本件発明」という。本件発明の数は1
である。)の特許権者である。
被告は,平成10年5月22日,本件特許につき,これを無効とすることに
ついて審判を請求した。特許庁は,これを平成10年審判第35216号として審
理し,その結果,平成11年6月30日,審判の請求は成り立たない,との審決を
した。被告は,同年11月22日,東京高等裁判所に同審決の取消しを求める訴え
を提起し(平成11年(行ケ)第374号),同裁判所は,平成13年3月6日,
同審決を取り消すとの判決をし,同判決は確定した。特許庁は,上記審判事件につ
いて,更に審理し,その結果,平成14年1月7日,「特許第2620353号の
特許請求の範囲第1~5項に記載された発明についての特許を無効とする。」との
審決(以下「本件審決」という。)をし,同年1月18日に,その謄本を原告に送
達した。なお,出訴期間として90日が付加された。
(2) 審決の理由
本件審決の理由は,要するに,本件特許は,国際出願日における国際出願の
明細書,特許請求の範囲又は図面及びこれらの書類の出願翻訳文(審判甲第2号
証,本訴甲第3号証)に記載された発明以外の発明についてなされたものであるか
ら,平成5年法律第26号による改正前の特許法184条の15の規定により,無
効にすべきである,というものである。
(3) 訂正審決の確定
原告は,本訴係属中,平成14年9月18日付けで,本件特許出願の願書に
添付した明細書につき,特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判を請求した。特許
庁は,これを訂正2002-39192号事件として審理し,その結果,平成14
年12月17日に上記訂正を認める審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,
これが確定した。
(4) 本件訂正審決によるの訂正の内容
(ア) 本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
粉末第1層を目標表面に分与し;
前記粉末第1層における部品の第1断面に対応する部分に,その部分の前
記粉末を焼結させるべくレーザビームを選択的に指向させ;
前記レーザビームの選択的指向の後に前記粉末第1層上に粉末第2層を分
与し;
前記粉末第2層における部品の第2断面に対応する部分に,その部分の前
記粉末を焼結させるべく,また前記粉末第2層のその部分において焼結した粉末を
前記第1層中の焼結した粉末に接合させるべくレーザビームを選択的に指向させ;
以後必要な回数だけ連続して,直前の粉末層についてのレーザビームの選
択的指向の後に前記直前の粉末層上に次の粉末層を分与し,分与したその粉末層に
おける部品の断面に対応する部分に,その部分のその粉末層の粉末を焼結させるべ
く,またその粉末層のその部分において焼結した粉末を前記直前の層中の焼結した
粉末に接合させるべくレーザビームを選択的に指向させる工程を反復し,
そして,全工程を通じて目標区域の粉末を焼結温度より低い温度に加熱す
ることにより,焼結したおよび非焼結の粉末の温度を制御し,
部品が製造された後,非焼結の粉末を取り除く,
各工程を含む,粉末から部品を1層ずつ積層的に製造する方法。
【請求項2】
前記制御する工程は,気体を加熱すること及び加熱した気体を前記目標区
域に指向させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の目標区域に指向した加熱気体を,目標区域から排出させることをさ
らに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の加熱気体の排出を目標区域の下方から行う請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分与する工程が,前記目標区域に近接して粉末を分与することを含
み;かつ前記分与する工程数に前記目標区域に沿ってドラムを移動させ;この移動
の間前記目標区域に沿って前記ドラムが移動する方向とは逆の方向にドラムを回転
させ;ドラムが目標区域に沿って移動している間,粉末をこの逆回転ドラムと接触
させ,それによりこの移動の後,粉末層が目標区域上に形成されるようにする請求
項1に記載の方法。」
(イ) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲
本件訂正による特許請求の範囲の訂正は,請求項2及び5を削除し,請求
項3の記載中「請求項2」を「請求項1」と,請求項4の記載中「請求項3」を
「請求項2」とそれぞれ改め,請求項3及び4の番号をそれぞれ請求項2及び3と
改め,かつ,請求項1の文言を次のとおりに改めるものである(下線を付した部分
が訂正に係る部分である。)。
「【請求項1】
粉末第1層を目標表面に分与し;
前記粉末第1層における部品の第1断面に対応する部分に,その部分の前
記粉末を焼結させるべくレーザビームを選択的に指向させ;
前記レーザビームの選択的指向の後に前記粉末第1層上に粉末第2層を分
与し;
前記粉末第2層における部品の第2断面に対応する部分に,その部分の前
記粉末を焼結させるべく,また前記粉末第2層のその部分において焼結した粉末を
前記第1層中の焼結した粉末に接合させるべくレーザビームを選択的に指向させ;
以後必要な回数だけ連続して,直前の粉末層についてのレーザビームの選
択的指向の後に前記直前の粉末層上に次の粉末層を分与し,分与したその粉末層に
おける部品の断面に対応する部分に,その部分のその粉末層の粉末を焼結させるべ
く,またその粉末層のその部分において焼結した粉末を前記直前の層中の焼結した
粉末に接合させるべくレーザビームを選択的に指向させる工程を反復し,
そして,全工程を通じて気体を加熱し,加熱した気体を前記目標区域に指
向させて目標区域の粉末を焼結温度より低い温度に加熱することにより,焼結した
および非焼結の粉末の温度を制御し,
部品が製造された後,非焼結の粉末を取り除く,各工程を含み,前記分与
する工程のそれぞれが,粉末を分与し;前記目標区域に沿ってドラムを移動させ;
この移動の間前記目標区域に沿って前記ドラムが移動する方向とは逆の方向にドラ
ムを回転させ;ドラムが目標区域に沿って移動している間,粉末をこの逆回転ドラ
ムと接触させ,それによりこの移動の後,粉末層が目標区域上に形成されるように
することを含む
粉末から部品を1層ずつ積層的に製造する方法。
【請求項2】
前記の目標区域に指向した加熱気体を,目標区域から排出させることをさ
らに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の加熱気体の排出を目標区域の下方から行う請求項2に記載の方
法。」
3 当裁判所の判断
前記当事者間に争いのない事実の下では,本件特許について,平成5年法律第
26号による改正前の特許法184条の15に該当することを理由にこれを無効と
した本件審決の取消しを求める訴訟の係属中に,特許請求の範囲の減縮を含む訂正
の審判の請求がなされ,特許庁は,同請求を認めるとの本件訂正審決をし,これが
確定した,ということができる。本件審決は,これにより,結果として,判断の対
象となるべき発明の認定を誤ったことになる。この誤りが本件審決の結論に影響を
及ぼすことは明らかである。したがって,本件審決は,取消しを免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官     山   下   和   明
裁判官     設   樂   隆   一
裁判官     阿   部   正   幸

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