平成14(行ケ)302行政訴訟 特許権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成15年1月30日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法29条2項2回 民事訴訟法62条1回
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キーワード |
審決6回 特許権1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成14年(行ケ)第302号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 平成15年1月30日
判 決
原 告 ハイピリオン・カタリシス・インターナショナ
ル・インコーポレイテッド
訴訟代理人弁理士 川 口 義 雄
同 井 上 満
同 一 入 章 夫
同 大 崎 勝 真
同 相 馬 貴 昌
被 告 特許庁長官 太 田 信一郎
指定代理人 酒 井 美知子
同 松 本 悟
同 森 田 ひとみ
同 大 橋 良 三
同 涌 井 幸 一
同 一 色 由美子
主 文
1 特許庁が異議2000-73748号事件について平成14年1月28
日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
1 原告の請求
(1) 主文1項と同旨。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1) 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「導電性シート」とする特許第3029115号の特
許(平成1年7月21日出願,平成12年2月4日設定登録,以下「本件特許」と
いい,その発明を「本件発明」という。)の特許権者である。
本件特許に対し,請求項1及び2につき,特許異議の申立てがあり,その申
立ては,異議2000-73748号事件として審理された。原告は,この審理の
過程で,平成13年12月14日,本件特許の出願に係る願書の訂正の請求をし
た。特許庁は,上記事件につき審理し,その結果,平成14年1月28日,「訂正
を認める。特許第3029115号の請求項1,2に係る特許を取り消す。」との
決定をし,同年2月18日に,その謄本を原告に送達した(附加期間90日)。
(2) 決定の理由
決定の理由は,要するに,本件特許(請求項1及び2に係る発明の特許)
は,特許法29条2項の規定に違反して登録されたものである,とするものであ
る。
(3) 原告は,本訴係属中の平成14年11月18日,本件特許の出願の願書に添
付された明細書の訂正をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正
2002-39244号事件として審理し,その結果,平成14年12月26日に
上記訂正をすることを認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし,これが
確定した。
(4) 訂正審決による訂正の内容のうち,特許請求の範囲に係る部分は,次のとお
りである。
(ア) 訂正審決による訂正前の本件特許の特許請求の範囲
「【請求項1】直径0.0035~0.5μmで長さが直径の少なくとも5
倍以上である中空状の炭素フィブリルを5~60重量%含有して成り,厚みが10
μm以上200μm以下である導電性シートであって,該炭素フィブリルは規則配
列した黒鉛状炭素原子の連続的な多重層からなる外側領域と,0.002μmより
大きい直径の中空状の内側コア領域からなり,該内側コア領域がフィブリルの中心
線に沿って外側領域と同心に配置された該外側領域の炭素原子ほど規則的ではない
炭素原子を含んでおり,該炭素フィブリルが電気絶縁性高分子材料中に分散してお
りかつ該シート面に平行に配列している炭素フィブリルを含むことを特徴とする導
電性シート。
【請求項2】前記導電性シートが,前記炭素フィブリルの形状の充填材を含
む電気絶縁性材料から製造される請求の範囲第1項に記載の導電性シート。」
(イ) 訂正審決による訂正後の特許請求の範囲(下線部が訂正された箇所であ
る。)
「【請求項1】直径0.0035~0.5μmで長さが直径の少なくとも5
倍以上である中空状の炭素フィブリルを10~50重量%含有して成り,厚みが1
0μm以上200μm以下である電池用集電体シートであって,該炭素フィブリル
は規則配列した黒鉛状炭素原子の連続的な多重層からなる外側領域と,0.002
μmより大きい直径の中空状の内側コア領域からなり,該内側コア領域がフィブリ
ルの中心線に沿って外側領域と同心に配置された該外側領域の炭素原子ほど規則的
ではない炭素原子を含んでおり,該炭素フィブリルが電気絶縁性高分子材料中に分
散しておりかつ該シート面に平行に配列している炭素フィブリルを含むことを特徴
とする電池用集電体シート。
【請求項2】前記電池用集電体シートが,前記炭素フィブリルの形状の充填
材を含む電気絶縁性材料から製造される請求の範囲第1項に記載の電池用集電体シ
ート。」
3 当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実によれば,本件特許については,特許法29条
2項の規定に違反して登録された特許であることを理由に特許を取り消した決定の
取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求の範囲の減縮を含む訂正
の審決が確定したということになり,決定は,結果として,判断の対象となるべき
発明の要旨の認定を誤ったものとなる。この誤りが決定の結論に影響を及ぼすこと
は明らかである。したがって,決定は取消しを免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官 山 下 和 明
裁判官 設 樂 隆 一
裁判官 高 瀬 順 久
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