ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成13(行ケ)483 行政訴訟 特許権
| 裁判所 | 東京高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 平成14年12月11日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 法令 |
特許権 特許法113条2号1回 |
| キーワード | 刊行物22回 審決5回 訂正審判1回 特許権1回 分割1回 優先権1回 |
| 主文 | |
| 事件の概要 |
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平成13年(行ケ)第483号 特許取消決定取消請求事件(平成14年11月2
日口頭弁論終結)
判 決
原 告 フォトスター リミテッド
訴訟代理人弁護士 熊 倉 禎 男
同 田 中 伸一郎
同 竹 内 麻 子
同 弁理士 西 島 孝 喜
被 告 特許庁長官 太 田 信一郎
指定代理人 高 橋 美 実
同 高 橋 泰 史
同 小 林 信 雄
同 宮 川 久 成
主 文
特許庁が異議2000-71994号事件について平成13年6月5
日にした決定を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 (1) 原告は,名称を「自動写真撮影方法」とする特許第2977533号発明(1989年〔平成元年〕2月28日に連合王国においてした特許出願に基づく優先権を主張して平成2年2月27日に特許出願された特願平2-503952号の一部につき平成10年6月16日分割出願,平成11年9月10日設定登録,以下「本件発明」といい,その特許を「本件特許」という。)の特許権者である。その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2000-719号事件として特許庁に係属した。原告は,平成12年11月8日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の訂正を請求し,平成13年3月5日,同訂正請求の補正をした。特許庁は,上記事件につき審理した結果,同年6月5日,「特許第2977533号の請求項1ないしに係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同年7月2日,原告に送達された。
(2) 原告は,同年10月26日,本件決定の取消しを求める本件訴えを提起した後,平成14年9月13日,本件明細書の特許請求の範囲の記載の訂正(以下「本件訂正」という。)をする訂正審判の請求をし,特許庁は,同請求を訂正20-39191号事件として審理した結果,同年10月25日,本件訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし,その謄本は,同年11月7日,原告に送達された。2 本件明細書の特許請求の範囲の記載
(1) 本件訂正前のもの(以下【請求項1】~【請求項25】に係る発明を「本件発明1」~「本件発明25」という。)【請求項1】被写体に含まれる使用者が撮影帯域内に位置し,前記使用者が記憶可能な電子情報の形態の画像出力を発生する電子画像作成カメラを起動し,前記カメラで撮影された被写体の映像をディスプレイ装置に表示させ,プリント作成のために使用する前に使用者が使用者制御装置を操作して該映像を容認または拒絶し,前記容認された電子情報の画像を記憶し,該記憶された電子情報の画像を処理し,前記記憶され,処理された電子情報に対応するプリントを作成することを特徴とする自動写真撮影方法。【請求項2】前記カメラによる撮影に際して,前記カメラが位置調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動写真撮影方法。【請求項3】前記使用者がコンソールを操作することによって前記カメラにより被写体を撮影するようになったことを特徴とする請求項1または2のいずれかの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項4】前記撮影帯域に存する被写体の全身を撮影するようになったことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つの請求項に記載の写真撮影方法。【請求項5】前記カメラが走査ビデオカメラであることを特徴とする請求項から4のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項6】前記プリンターがディジタルデータ制御カラープリンターであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項7】前記プリンターがインクジェットプリンターであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項8】前記カメラで撮影された被写体の映像をプリント作成する前に使用者が前記使用者制御装置を操作することによって該映像を拡大,縮小および/または歪めることを特徴とする請求項1から7(注,8とあるのは誤記と認める。)のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項9】前記カメラで得られる被写体の映像を鏡像により使用者が見ることができるようになっていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項10】前記カメラで得られる被写体の映像を電子的に反転させた画像を使用者が見ることができるようになっていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項11】前記カメラで得られる被写体の映像を前記ディスプレイ装置により使用者に表示するようになっていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項12】使用者が所定の操作を行った後において,前記制御手段による電子情報の記憶が所定時間経過後に自動的に行われるようになっていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項13】前記制御手段による電子情報の記憶がカウントダウン動作の後に自動的に行われるようになっていることを特徴とする請求項12に記載の自動写真撮影方法。【請求項14】1種類あるいは複数種類の電子的に記憶された補助的画像が準備されており,前記プリント作成用電子情報が,この補助的画像上に撮影された電子情報を重ね合わせた複合写真に対応することを特徴とする請求項1から13のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項15】前記カメラにより得られる映像と装飾とを重ね合わせた複合電子画像をディスプレイ装置に表示し,使用者の選択に基づいて前記複合電子画像を前記制御手段に記憶させ,その後前記複合電子画像をプリントすることを特徴とする請求項1から14のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項16】複数の前記補助画像が前記ディスプレイ装置上に表示され,前記カメラによって撮影された被写体の映像を重ね合わせるための補助的画像を使用者が選択することを特徴とする請求項14または15のいずれかに記載の自動写真撮影方法。【請求項17】一連の異なる補助的画像が交換可能な記憶装置から提供される請求項14ないし16に記載の自動写真撮影方法。【請求項18】一連の異なる補助的画像が遠隔のデータ記憶源から提供される請求項14ないし17に記載の自動写真撮影方法。【請求項19】前記映像を選択された前記補助的画像に重ね合わせて前記ディスプレイ装置上を表示し,前記映像の補助的画像に対する位置および/あるいは大きさを使用者が前記使用者制御装置を操作することによって調整することを特徴とする請求項14ないし18のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項20】前記撮影帯域に,あらかじめ定められたクローマ特性を有する背景境界面を設け,クローマキイフィルタを設けることにより被写体がカメラにより撮影される前記映像中において背景境界面から分離されることを特徴とする請求項1から19のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項21】硬貨,硬貨類似代用品,紙幣またはクレジットカードにより起動されることを特徴とする請求項1から20のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項22】さらなる硬貨,硬貨類似代用品,紙幣またはクレジットカードに基づく操作により追加のプリントを作成するようになったことを特徴とする請求項21に記載の自動写真撮影方法。【請求項23】前記使用者が起立状態でコンソールを操作することによって,撮影が行われることを特徴とする請求項1から22のいずれか1つの請求項に記載の自動写真撮影方法。【請求項24】前記コンソールが使用者によって操作されるタッチパネルであることを特徴とする請求項23に記載の自動写真撮影方法。【請求項25】前記コンソールが使用者によって操作されるスイッチボタンを備えていることを特徴とする請求項24に記載の自動写真撮影方法。
(2) 本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。)【請求項1】被写体に含まれる使用者が撮影帯域内に位置し,前記使用者が記憶可能な電子情報の形態の画像出力を発生する電子画像作成カメラを起動し,前記カメラで撮影された被写体の映像をディスプレイ装置に表示させ,プリント作成のために使用する前に使用者が使用者制御装置を操作して該映像を容認または拒絶し,前記使用者制御装置は,使用者が該映像を拒絶した場合には,その映像ではなく他の映像を撮影するように指示し,前記容認された電子情報の画像を記憶し,該記憶された電子情報の画像を処理し,前記記憶され,処理された電子情報に対応するプリントを作成することを特徴とする自動写真撮影方法。【請求項2】~【請求項25】の記載は,上記(1)と同一である。3 本件決定の理由の要旨(以下,本件決定の記載に従い,いずれも本件原出願前頒布の刊行物である実願昭59-124522号(実開昭61-40069号)のマイクロフィルムを「刊行物1」,実願昭56-145927号(実開昭58-50571号)のマイクロフィルムを「刊行物2」,特開昭62-149287号公報を「刊行物3」,米国特許第4804983号明細書及び図面を「刊行物4」,特開昭57-145号公報を「刊行物5」,実願昭62-33386号(実開昭63-1405号)のマイクロフィルムを「刊行物6」,特開昭62-269579号公報を「刊行物7」,特開昭61-177872号公報を「刊行物8」,実願昭59-6号(実開昭60-181739号)のマイクロフイルムを「刊行物9」,特開昭63-76581号公報を「刊行物10」,特開昭63-290753号公報を「刊行物11」という。) 本件決定は,本件発明の要旨を,本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲記載のとおりと認定した上,本件発明1は,刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明2は,刊行物1,4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明3は,本件発明1,2のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明4は,刊行物1,4,5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明5は,上記本件発明1~4のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明6は,刊行物1,4,5,7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明7は,上記本件発明1~6のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明8は,上記本件発明1~7のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明9は,刊行物1,4,5,7,8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明10は,上記本件発明1~9のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明11は,上記本件発明1~10のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明12は,刊行物1,4~9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明13は,上記本件発明12についての判断と同様であり,本件発明14は,刊行物1,2,4~9に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明15は,上記本件発明1~14のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明16は,刊行物1,2,4~10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明17は,上記本件発明14~16のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明18は,刊行物1~10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明1は,刊行物1~11に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明20は,上記本件発明1~19のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明21は,上記本件発明1~20のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明22は,上記本件発明21についての判断と同様であり,本件発明23は,上記本件発明1~22のいずれか一つの発明についての判断と同様であり,本件発明24は,上記本件発明23についての判断と同様であり,本件発明25は,上記本件発明24についての判断と同様であるから,本件発明1~25に係る特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,特許法113条2号に該当するので,取り消すべきものであるとした。
第3 原告主張の決定取消事由
本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲記載(上記第2の2の(1))のとおりと認定した点は,訂正審決の確定により特許請求の範囲が上記第2の2の(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになる。本件決定は本件発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されなければならない。
第4
(被告の主張)
訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたことは認める。
第5 当裁判所の判断
訂正審決の確定により,特許請求の範囲の記載が上記第2の2の(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって,特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を,本件訂正前の特許請求の範囲の記載(上記第2の2の(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部 裁判長裁判官 篠 原 勝 美 裁判官 岡 本 岳 裁判官 宮 坂 昌 利
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