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平成13(行ケ)503行政訴訟 特許権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成14年11月27日
事件種別 民事
法令 特許権
特許法29条2項1回
民事訴訟法61条1回
キーワード 審決5回
刊行物3回
訂正審判1回
特許権1回
分割1回
主文
事件の概要

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判決文

平成13年(行ケ)第503号 特許取消決定取消請求事件(平成14年11月1
3日口頭弁論終結)
          判         決
       原      告   株式会社三共
       訴訟代理人弁理士   深   見   久   郎
同          森   田   俊   雄
同          塚   本       豊
同          中   田   雅   彦
    被      告   特許庁長官 太 田 信一郎
指定代理人      久   保   竜   一
同          村   山       隆
同          山   口   由   木
同          高   木       進
同          宮   川   久   成
          主         文
      特許庁が異議2001-70908号事件について平成13年9月1
8日にした決定を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は、名称を「遊技機」とする特許第3091723号発明(平成4年
4月30日出願の特願平4-111973号を原出願として平成10年4月10日
分割出願、平成12年7月21日設定登録。以下「本件発明」といい、その特許を
「本件特許」という。)の特許権者である。
    その後、本件特許につき特許異議の申立てがされ、同申立ては、異議20
01-70908号事件として特許庁に係属した。原告は、平成13年8月13
日、本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許
請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載の訂正の請求(以下「本件訂正請求」とい
う。)をした。特許庁は、上記事件につき審理した結果、同年9月18日、「訂正
を認める。特許第3091723号の請求項1乃至4に係る特許を取り消す。」と
の決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は、同年10月9日、原告に
送達された。
  (2) 原告は、同年11月8日、本件決定の取消しを求める本件訴えを提起した
後、平成14年2月22日、本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の
記載の訂正(以下「本件訂正」という。)をする訂正審判の請求をし、特許庁は、
同請求を訂正2002-39055号事件として審理した結果、同年9月6日、本
件訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし、その謄本は、同月1
9日、原告に送達された。
 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載
  (1) 本件訂正請求に係るもの(以下、【請求項1】~【請求項4】に係る発明
を「本件発明1」~「本件発明4」という。)
   【請求項1】遊技領域に遊技球を打込んで遊技が行なわれる遊技機であっ
て、
   複数種類の識別情報を画像表示可能な可変表示部を複数有する画像表示装置
と、
   前記遊技領域に打込まれた遊技球が入賞可能な始動入賞口と、
   前記遊技領域に設けられ、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとっ
て不利な第2の状態とに変化可能な可変入賞球装置と、
   前記始動入賞口に遊技球が入賞したことを条件として前記複数の可変表示部
の表示結果を導出表示させるための可変表示制御を開始させた後、表示結果を導出
表示させる制御を行なう可変表示制御手段とを含み、
   前記画像表示装置は、複数の有効ラインが定められており、該複数の有効ラ
インのうちの2本以上の有効ライン上において同時にリーチ状態が発生可能に構成
されているとともに、前記複数の有効ラインのうちのいずれかにおいて特定の表示
態様が表示結果として導出表示された場合に、前記可変入賞球装置を第1の状態に
制御可能となるように定められており、
   前記可変表示制御手段は、前記リーチ状態が発生する場合に、そのリーチ状
態となる有効ライン上の所定の可変表示部について前記識別情報の表示に加えて目
印画像表示を行なうための目印表示データをセットする処理を行なうことを特徴と
する、遊技機。
【請求項2】前記画像表示装置は、前記可変表示部がマトリックス状に配列
されているとともに、前記有効ラインが行方向有効ラインと列方向有効ラインとを
含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
   【請求項3】前記複数の可変表示部により表示結果として導出表示された識
別情報は、いずれも複数の前記有効ライン上に位置していることを特徴とする、請
求項1に記載の遊技機。
   【請求項4】前記画像表示装置は、前記複数の可変表示部個々について表示
結果として有効な識別情報を1つ表示することを特徴とする、請求項1~請求項3
のいずれかに記載の遊技機。
  (2) 本件訂正に係るもの((1)との相違部分には下線を付す。)
   【請求項1】遊技領域に遊技球を打込んで遊技が行なわれる遊技機であっ
て、
   複数種類の識別情報を画像表示可能な可変表示部を複数有する画像表示装置
と、
   前記遊技領域に打込まれた遊技球が入賞可能な始動入賞口と、
   前記遊技領域に設けられ、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとっ
て不利な第2の状態とに変化可能な可変入賞球装置と、
   前記始動入賞口に遊技球が入賞したことを条件として前記複数の可変表示部
の表示結果を導出表示させるための可変表示制御を開始させた後、時期を異ならせ
て表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段とを含み、
   前記画像表示装置は、複数の有効ラインが定められており、該複数の有効ラ
インのうちの2本以上の有効ライン上において同時にリーチ状態が発生可能に構成
されているとともに、前記複数の有効ラインのうちのいずれかにおいて特定の表示
態様が表示結果として導出表示された場合に、前記可変入賞球装置を第1の状態に
制御可能となるように定められており、
   前記可変表示制御手段は、前記可変表示制御を開始させた後、先に表示結果
が確定するリーチ状態と後に表示結果が確定するリーチ状態とが発生する場合に、
表示結果が確定する順番の来た前記リーチ状態の有効ライン上の所定の可変表示部
について前記識別情報の表示に加えて順次目印画像表示を行なうための目印画像表
示データをセットする処理を行なうことを特徴とする、遊技機。
【請求項2】前記画像表示装置は、前記可変表示部がマトリックス状に配列
されているとともに、前記有効ラインが行方向有効ラインと列方向有効ラインとを
含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
   【請求項3】前記複数の可変表示部により表示結果として導出表示された識
別情報は、いずれも複数の前記有効ライン上に位置していることを特徴とする、請
求項1に記載の遊技機。
   【請求項4】前記画像表示装置は、前記複数の可変表示部個々について表示
結果として有効な識別情報を1つ表示することを特徴とする、請求項1~請求項3
のいずれかに記載の遊技機。
 3 本件決定の理由の要旨
   本件決定は、本件発明の要旨を、本件訂正請求に係る本件明細書の特許請求
の範囲記載のとおりと認定した上、本件発明1は、特開平2-299679号公報
(以下「刊行物1」という。)、特開平4-90777号公報(以下「刊行物2」
という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたも
のであり、本件発明2~4は、いずれも、刊行物1、2及び実願昭62-5795
4号(実開昭63-163877号)のマイクロフィルムに記載された発明に基づ
いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~4は、
特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許
は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるから、特許
法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則14条の規定に基づ
く、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年
政令第205号)4条2項の規定により取り消されるべきものであるとした。
第3 原告主張の決定取消事由
   本件決定が、本件発明の要旨を本件訂正請求に係る本件明細書の特許請求の
範囲記載のとおりと認定した点は、訂正審決の確定により特許請求の範囲が上記の
とおり訂正されたため、誤りに帰したことになる。本件決定は本件発明の要旨の認
定を誤った違法があり、取り消されなければならない。
第4 被告の主張
   訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたこと
は認める。
第5 当裁判所の判断
   訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたこと
は当事者間に争いがなく、本件訂正によって、本件明細書の特許請求の範囲は減縮
されたことが明らかである。
   そうすると、本件決定が本件発明の要旨を本件訂正請求に係る本件明細書の
特許請求の範囲記載のとおりと認定したことは、結果的に本件発明の要旨の認定を
誤ったこととなり、この誤りが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである
から、本件決定は取消しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき
行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
     東京高等裁判所第13民事部
            裁判長裁判官   篠   原   勝   美
               裁判官   岡   本       岳
               裁判官   長   沢   幸   男

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