平成14(行ケ)224行政訴訟 商標権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成14年11月25日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
商標権
商標法4条1項16号8回 商標法10条1項1回
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キーワード |
審決43回 優先権1回 拒絶査定不服審判1回
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主文 |
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事件の概要 |
1 特許庁における手続の経緯
原告は、1996年(平成8年)11月1日付けアメリカ合衆国を第一国出願と
する商標登録出願を基礎としたパリ条約に基づく優先権を主張して平成9年4月1
5日に商標登録出願された平成9年商標登録願第106794号を原登録出願とす
る商標法10条1項の規定による商標登録出願として、平成10年12月9日、別
紙審決書の写し(以下「審決書」という)の後記「本願商標」のとおり、図形とそ
の中に「Tahitian」及び「NONI」の文字を二段に併記する構成からな
る商標(以下「本願商標」という)について、指定商品を商品及び役務の区分第3
2類の「果実飲料」として、商標登録出願(平成10年商標登録願第105000
号)をしたところ、特許庁は、平成11年10月22日に拒絶査定をした。 |
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判決文
平成14年(行ケ)第224号 審決取消請求事件(平成14年10月21日口頭
弁論終結)
判 決
原 告 モリンダ・インコーポレーテッド
同訴訟代理人弁護士 小 泉 淑 子
同 鳥 海 哲 郎
同 菅 尋 史
同 鈴 木 学
同 弁理士 小 林 ゆ か
被 告 特許庁長官
太 田 信 一 郎
同指定代理人 大 島 護
同 大 橋 良 三
同 林 栄 二
同 涌 井 幸 一
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と
定める。
事実及び理由
第1 原告の請求
特許庁が不服2000-790号事件について平成13年12月17日にした審
決を取り消す。
第2 前提となる事実(争いのない事実)
1 特許庁における手続の経緯
原告は、1996年(平成8年)11月1日付けアメリカ合衆国を第一国出願と
する商標登録出願を基礎としたパリ条約に基づく優先権を主張して平成9年4月1
5日に商標登録出願された平成9年商標登録願第106794号を原登録出願とす
る商標法10条1項の規定による商標登録出願として、平成10年12月9日、別
紙審決書の写し(以下「審決書」という)の後記「本願商標」のとおり、図形とそ
の中に「Tahitian」及び「NONI」の文字を二段に併記する構成からな
る商標(以下「本願商標」という)について、指定商品を商品及び役務の区分第3
2類の「果実飲料」として、商標登録出願(平成10年商標登録願第105000
号)をしたところ、特許庁は、平成11年10月22日に拒絶査定をした。
そこで、原告は、平成12年1月20日、拒絶査定不服審判の請求をして(不服
2000-790号事件)、本願商標の指定商品について、「タヒチ島産の果実を
原料として含む果実飲料」と減縮する補正をしたところ、特許庁は、平成13年1
2月17日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とし、出訴期間として90日
を附加する審決をし、その謄本は平成14年1月15日に原告に送達された。
2 審決の理由
審決書に記載のとおり、審決は、「本願商標は、その構成中に「タヒチ産の植物
ノニの果実」の意味合いを認識させる「TAHITIAN NONI」の文字を有
してなるものであるから、「タヒチ産の植物ノニの果実を原料とする果実飲料」以
外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるか
ら、商標法4条1項16号に該当するものであり、これと同旨の原査定は取り消す
べき限りでない」旨認定、判断した。
第3 原告主張の審決取消事由の要点
審決は、本願商標がその構成中に「タヒチ産の植物ノニの果実」の意味合いを認
識させる「TAHITIAN NONI」の文字を有してなるものである旨誤って
認定し(取消事由1)、また、本願商標を「タヒチ産の植物ノニの果実を原料とす
る果実飲料」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせる
おそれがある旨誤って認定、判断したものである(取消事由2)。審決は、これら
の結果、本願商標が商標法4条1項16号に該当すると誤って判断したものであ
り、違法であるから、取り消されるべきである。
1 取消事由1(本願商標の構成中の「Tahitian NONI」標章の意
義についての認定の誤り)
(1) 原告による「Tahitian NONI」標章等の採択について
本願商標の構成中の「Tahitian NONI」の文字(以下「「Tahi
tian NONI」標章」という。)又は「NONI」の文字は、原告が創作し
た造語であり、これらを商標として指定商品に初めて使用したのも原告である。
すなわち、原告は、「モリンダ・シトリフォリア」という果実のタヒチ産のもの
を原料として含む果実飲料の商品を「TAHITIAN NONI(Tahitia
n NONI)」との商標を付して製造、販売するために1996年に設立された
米国の会社であり、原告の上記の商品(以下「原告商品」という。)の1年目の売
上げは、6.28百万米ドル、2年目は、64.12百万米ドル、3年目は、12
5.79百万米ドルに達している。このように、原告会社は、原告商品の高い品質
が消費者の潜在的需要を掘り起こした結果、年々急成長を遂げている企業である。
また、このような米国における成功の下で、世界中において原告商品のマーケット
の拠点が設置されており、日本マーケットにおける拠点である原告の日本支社も1
999年(平成11年)に設立された。
(2) 原告による原告商品の宣伝、販売活動について
原告は、他の商品開発を行わずに、「モリンダ・シトリフォリア」を原料として
含む果実飲料「TAHITIAN NONI」を主力商品として、その販売促進に全
力を傾けており、この原告商品の独自性及び有用性を一般消費者に理解、浸透させ
るため、原告及び原告の日本支社は、本願商標ないし「TAHITIAN NON
I」、「タヒチアン ノニ」又は「NONI」、「ノニ」の商標(以下「本願商標
等」という。)を付して、原告商品の大々的な宣伝広告活動を行なっている。
すなわち、「モリンダ・シトリフォリア」を原料として含む果実飲料は、原告が
製造販売するまでは日本の市場には全く存在しなかったため、より多くの人に原告
商品を知ってもらう必要があった。そのために、原告の日本支社は、日本における
設立から現在までに、本願商標等を付して、原告商品の宣伝広告を行なうために、
平成11年(1999年)は、約2億3400万円、平成12年(2000年)
は、約2億3000万円、平成13年(2001年)は、約3億3800万円とい
う費用を投じている。
原告は、このような莫大な宣伝広告費をかけて、多数の人が行き交う新幹線、私
鉄、地下鉄、JR等の路線の主要な駅で、本願商標等を使用した原告商品を紹介す
る看板、ポスターを貼付した(甲第2号証ないし第51号証参照。なお、書証番号
の枝番については省略することがある。)。
また、原告は、原告商品を雑誌等の印刷媒体においても、本願商標等を付して積
極的に宣伝広告している。すなわち、原告は、本願商標等を使用する原告商品の宣
伝広告を、平成11年(1999年)から平成14年(2002年)にかけて、1
回の発行部数が約72万部に達する「週刊新潮」や発行部数が約50万部に達する
「an・an」等多数の雑誌において、継続的に行なっている(甲第59号証ない
し第94号証参照)。
以上の原告による本願商標等を使用する原告商品の宣伝広告では、原告商品の原
料が「モリンダ・シトリフォリア」という果実であることを説明している(甲第5
0号証の1ないし3、第60号証ないし第62号証、第65、第66号証、第69
号証ないし第71号証、第74号証、第76、第77号証、第80号証、第92号
証)。また、原告商品に関する説明的な語句を伴って「TAHITIAN NON
I」、「タヒチアン ノニ」の標章を使用する場合には、「TM」又は「 」の表
示を「NONI」又は「ノニ」の文字に併記し、これが普通名称ではなく、原告の
登録商標であることを明示し(甲第65、第66号証、第69号証ないし第71号
証)、他方、原告商品の製造販売の主体として原告の名称を明記しているために
(甲第50号証の1ないし3、第60号証ないし第62号証、第65、第66号
証、第69号証ないし第71号証、第78号証、第81号証ないし第91号証、第
93、第94号証)、本願商標の構成中の「Tahitian NONI」標章
が、原告の業務に係る商品を表示するものであることは、一般の需要者が容易に理
解することができるものであった。
そして、上記のとおり、原告及び原告の日本支社が、本願商標等を使用した原告
商品をより多くの人に知らしめるために、積極的に電車、地下鉄、新幹線等不特定
多数の人が目にする広告スペースを利用して継続的に宣伝広告を行い、また、雑誌
等の印刷媒体においても積極的に広告を掲載したことに加え、原告商品が従来市場
に存在しなかった斬新なものであり、潜在的需要を掘り起こすに足りる非常に高い
品質を持っていたことなどから、本願商標等が使用された原告商品は、市場におい
て高い評価が与えられ、その結果、原告及び原告の日本支社の日本における本願商
標等を使用した商品の売上げは、平成11年度(1999年度)は、約88億円、
平成12年度(2000年度)は、約156億円、平成13年度(2001年度)
は、約164億円と急激に増加しており、その約85%は、果実飲料である原告商
品が占めている(甲第99号証ないし第101号証)。
上記の原告商品の売上げは、主として日本におけるディストリビュータに対する
販売によるものであるが、日本の新規のディストリビュータの数も毎月約4000
人づつ増加し、平成11年2月の日本での営業開始直後は約10,000人であっ
た登録ディストリビュータの数が、平成12年度は115,610人、平成13年
には155,005人にまで達しており、原告の日本におけるビジネスが非常に成
功を収めていることがわかる(甲第102号証の1、2)。また、甲第254号証
ないし第267号証は、原告がディストリビュータに配布した本願商標を付した指
定商品「タヒチ島産の果実を原料として含む果実飲料」についてのカタログ、パン
フレットの一例であるが、これらのカタログ、パンフレットのうち、例えば、甲第
255号証のカタログは、甲第253号証の2に示すように、17万部、甲第25
6号証のカタログは同じく14万3千部印刷されて配布されていることから、これ
らのカタログ、パンフレットは、多数のディストリビュータ及びかかるディストリ
ビュータから購入する一般消費者の目に触れる機会があったものである。
また、世界における「モリンダ・シトリフォリア」を原料として含む果実飲料の
原告のマーケットシェアは95%以上である(甲第103号証の1の44頁)。既
に確立していたトマトジュース系野菜飲料の市場全体の売上が約500億円(平成
11年)、果汁ミックス野菜ジュースの市場全体の売上が約780億円(平成11
年)であったこと(甲第103号証の2)と比較すると、原告1社の単体の商品の
売上げがいかに巨額で、かつ爆発的な伸びであるかは一目瞭然である。
以上のように、原告が莫大な費用をかけて行った宣伝広告及び販売活動によっ
て、本願商標等を使用した原告商品は、東京を中心に爆発的な人気を得ることがで
き、また、近年の健康食品ブームの中において、原告商品は、食生活の乱れやスト
レスに悩む現代人に必要な栄養素を含むという点からも、一般的な消費者の圧倒的
な支持を得ている。
したがって、原告商品に付された本願商標等について、一般需要者が原告商品の
原材料であると認識する可能性や原材料の普通名称であると認識する可能性、及び
他の多くの同業者が提供する同種製品をも表示するものであると認識する可能性
は、いずれも全く存在しないのであって、原告による原告商品の宣伝広告によっ
て、本願商標等は、自他商品識別機能を特別顕著性を有するに至るほど強力に取得
し、「NONI」又は「ノニ」の商標は、原告商品を表示するものとして一般消費
者の間で周知となっていたのである。
(3) 競合他社の「NONI」標章の使用について
しかしながら、他方、競合他社が、原告商品に付された「Tahitian N
ONI」標章や「NONI」、「ノニ」の文字に化体したグッドウィルにフリーラ
イドして自己の商品を販売すべく、これらの文字商標を含む名称を自己の商品に付
して、あたかも原告商品と類似する商品であるかのごとく販売を行うような事態が
発生してしまった。
すなわち、本願商標等を使用した「モリンダ・シトリフォリア」を原材料とする
原告商品は、原告の登録商標「NONI」(登録第4347138号)の出願を行
なった平成11年1月28日の時点及び本願商標の出願を行なった平成9年(19
97年)4月15日の時点においては、日本の市場に全く存在せず、米国において
も、平成9年(1997年)に原告が「NONI」を原告商品についての商標とし
て採択するに際し、インターネットにおいて検索を行なったが、その当時から原告
のディストリビュータであった者のホームページが検索されただけであった(甲第
104、第105号証)。このように、原告が米国及び日本において会社を設立
し、原告商品の販売を開始したころは、競合他社が「モリンダ・シトリフォリア」
を原料とする果実飲料について「NONI」と表示していた事実は全く存在せず、
またはかかる果実飲料の原料その他その品質を示すものとして「ノニ」という言葉
が通常に用いられていたという事実は全く存在しなかった。
しかるに、審決は、原告及びその日本支社が、米国及び日本においてそれまで市
場に全く存在しなかった斬新な原告商品を販売するために多額の宣伝広告費用を費
やし、新商品の普及に努力したという事情を全く考慮せず、原告及びその日本支社
が確立した信用に只乗りしようと試みる会社が原告に無断で「NONI」又は「ノ
ニ」の商標を使用している事実のみをとらえて、「NONI」又は「ノニ」の商標
は、原告商品を示すものではなく、「植物ノニ」の意味合いを認識させるという誤
った認定をしたものである。
しかしながら、本願商標中の「Tahitian NONI」標章又は「NON
I」若しくは「ノニ」の文字標章が原告の果実飲料商品を示す周知な商標となった
結果、「ノニ」という言葉により取引者及び需要者が想起する概念は、「モリン
ダ・シトリフォリア」と称される植物ではなく、まさに「原告商品」そのものとな
っているのである。このように、取引者・需要者にとっての「ノニ」と「モリン
ダ・シトリフォリアという植物」との概念の結びつきは、原告商品がモリンダ・シ
トリフォリアを原料とする飲料等のほぼ唯一の商品であるという事実に起因する間
接的なものにすぎないことに留意すべきである。
(4) 以上のとおり、本願商標の出願時のみならず本件の審決時において
も、本願商標の指定商品の需要者及び取引者が「モリンダ・シトリフォリア」につ
いて「NONI」又は「ノニ」と認識していた事実はなく、「NONI」の文字を
もって構成される本願商標は、指定商品に使用された場合であっても、自他商品の
識別機能を果たし、商品の品質を示す語ということはできない。
したがって、本願商標をその指定商品のうちの「タヒチ産の果実」である「モリ
ンダ・シトリフォリア」以外の果実を原料として含む果実飲料に使用しても、本願
商標は、商標法4条1項16号には該当しない。
2 取消事由2(商品の品質について誤認を生じると判断した点の誤り)
(1) 本願商標の全体の構成について
上記1のとおり、本願商標の本件の審決時においても、本願商標の指定商品の需
要者及び取引者が「モリンダ・シトリフォリア」について「NONI」又は「ノ
ニ」と認識していた事実はないのであるから、本願商標中の「Tahitian
NONI」の文字がタヒチ島産の果実である「モリンダ・シトリフォリア」を示す
ことにはならず、もちろん「植物ノニの果実」を示すことにもならないため、本願
商標中の「Tahitian NONI」の文字部分は自他商品の識別機能を果た
し、単に商品の品質を示すものと認識されることはないが、この点に加え、本願商
標中の「Tahitian NONI」の文字部分は、特徴のある記載がなされて
おり、流れるような筆記体で書かれた「Tahitian」の「h」の上にはタヒ
チの花を思わせる花のモチーフが施され、やわらかなイメージで記載されている一
方、「NONI」は太くどっしりとした字体で記載されており、しかも最初の
「N」はその後に続く「ONI」より少し大きく書かれ、夫々の「N」の文字の右
下がり部分には溝をつけて「NONI」の文字を印象づけている。
したがって、本願商標中の「Tahitian NONI」の文字部分は、その
特徴ゆえに、自他商品の識別機能を果たすことは明らかであり、これが単に商品の
品質を示している文字であると需要者及び取引者が認識するとは到底考えられな
い。
(2) さらに、本願商標は、上記(1)の構成文字のみならず、タヒチの男
性をイメージさせる男の人がほら貝で作った笛を吹いている図形と、その背景に
は、タヒチをイメージさせる南国の海と島の図形とから構成されている。そして、
特にこのタヒチの男性をイメージさせる男の人が、ほら貝で作った笛を吹いている
図形は、原告商品に対する思いが込められているのである。すなわち、タヒチ島に
おいては元来、大切な情報をいち早く知らせるため、ほら貝を吹いて島民に情報を
伝える習慣があったため、原告は、本願商標にほら貝を吹いている男の人の図形を
使用することにより、「モリンダ・シトリフォリア」の果実のすばらしさを世界中
の多くの人々に伝えていくという原告の決意を表しているのである。また、原告は
このタヒチの男性をイメージさせる男の人に「フレッド」という愛称をつけている
が、これも、原告が本願商標の構成中において特にこの図形を重要な部分であると
考えているからである。
また、前記1の(2)のとおり、原告による原告商品の宣伝、販売活動の結
果、本願商標は全体として、その指定商品である「タヒチ島産の果実を原料として
含む果実飲料」を示す原告の商標として、東京を中心に全国にわたって取引者及び
需要者の間に広く知られることとなったものであるから、現実の取引においても、
本願商標のうちの上記文字部分のみをことさら抜き出して、需要者及び取引者が商
品の品質を誤認することはないというべきである。
(3) したがって、審決が本願商標の全体の構成を一切考慮せずに、単に本
願商標の「Tahitian NONI」の文字部分のみにことさら注目して、こ
れが単に商品の品質を示している文字であると判断したことは誤りである。すなわ
ち、本願商標の全体の構成から需要者及び取引者に商品の品質誤認を生ずるか又は
生ずるおそれがあるか否かを判断すべきであり、本願商標においては、上記のとお
り、「Tahitian NONI」の文字部分のみならず、図形部分からも、指
定商品との関連において、商品の品質誤認を生じさせることにはならない。
第4 被告の反論の要点
審決の認定・判断は、正当であり、審決に原告主張の違法はない。
1 本願商標は、文字と図形によって構成されているところ、その文字部分は、
「Tahitian」と「NONI」の文字と容易に認識し得るものである。そし
て、該文字は、「タヒチ産の植物ノニの果実」の意味合いを認識させるものである
から、特許庁では、指定商品である「タヒチ島産の果実を原料として含む果実飲
料」の中でも、「「タヒチ島産の植物ノニの果実を原料とする果実飲料」以外の商
品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある」とし
て、商標法4条1項16号に該当する旨の拒絶理由を通知した。
これに対して、原告は、「「ノニ」と呼ばれているのはほんの少しの地域にすぎ
ず、我が国においても別な呼び名が存在する」、「「NONI」という文字を含む
商標を見ても、この言葉が商品の原材料を表しているとは認識しない」との意見書
を提出して、本願商標の指定商品を「タヒチ島産の植物ノニの果実を原料とする果
実飲料」に相応する商品に補正することをしなかったために、本件の審決に至った
ものである。
2 審決は、我が国でも、「NONI」あるいは「ノニ」の語が指定商品の原材
料である果実の普通名称として使用されていることを示すことで、この言葉が商品
の原材料を表すものとして認識されることを明らかにしている。
具体的には、まず、「パイナップル果汁、梨果汁、葡萄果汁」とともに「ノニ果
汁」を原料とした瓶入りジュース「ハワイアン アイランド ノニジュース」が、
輸入元として有限会社ノニノニインターナショナルによって取引されている事例を
示している。
次に、審決は、6件のインターネットのホームページ情報を示している。乙第1
号証の2ないし7は、その写しであり、それぞれの右下にある年月日と時刻は、同
情報をコンピュータから出力した時期を示すものであり、審決時の前に、これらの
情報がインターネットのホームページに掲載されていたことは明らかである。
これらは、ノニのジュースやエキスに関するものであり、上記各乙号証には、原
料の果実を「ノニ」と称している審決説示の表示が掲載されているほか、瓶のラベ
ルに大きく「NONI」の文字が表示された商品の写真も多く表示されている。
3 「NONI」あるいは「ノニ」の語に関しては、上記に加え、以下のよう
に、「ノニ」の情報が掲載され、果実の名称として「ノニ」の語が用いられてお
り、これをみても、「NONI」あるいは「ノニ」の語が商品の原材料を表すもの
として認識されることは明らかである。
(1) 審決前の情報としては、以下の事実が認められる。
ア 株式会社主婦の友社発行「健康」平成13年7月号(乙第2号証)
では、「「ノニ」で血糖値が下がった、不眠症が治った」と題する記事が掲載さ
れ、「みなさんは「ノニ」という名前の果物をご存じでしょうか。ノニは・・・万
病に効果があると、現在各方面で最も注目されている果物です。」と記載されてい
る。
イ 株式会社わかさ出版発行「わかさ」平成13年10月号(乙第3号
証)では、「脂肪減らしの強力な酵素の働きで月に10キロ15キロやせる人が続
出する南国の果実[ノニ]ジュース」と題する記事が掲載され、「「ノニ」は、イ
ンドネシアをはじめとする東南アジアや、グアム島、タヒチなどの太平洋に広がる
熱帯の島々に自生する植物です」と記載されている。
ウ 株式会社小学館発行「女性セブン」平成13年10月18日号(乙
第4号証)では、「話題のミラクルフルーツ「NONI」の実力」と題する記事が
掲載され、「万病に効くほか、美肌やダイエットにも効果抜群といわれる南国産フ
ルーツ「ノニ」。5年ほど前から米国で大ブームになり、日本でもいま脚光を浴び
ている。・・・ノニは、学名「モリンダシトリフォリア」というアカネ科の熱帯性
植物」と記載されている。
エ 乙第5号証1、2のインターネットのホームページ情報において
も、「ノニ」の情報が掲載されており、いずれにおいても、果実の名称として「ノ
ニ」の語が用いられている。
(2) さらに、審決後の情報(作成時期が不明のものを含む。)ではある
が、以下の事実が認められる。
ア 「現代用語の基礎知識2002」(乙第6号証)には、「ノニ(n
oni) 南太平洋の島々やマレーシア、インドなどに生育する果物。血圧降下作
用・・・」と記載されている。
イ 平成14年6月20日付け「健康産業流通新聞」(乙第7号証)に
は、「参入相次ぐモリンダC.市場」の見出しの下、「業界を牽引する大型素材と
して期待されているモリンダ・シトリフォリア(以下モリンダC.)。「ノニ」の
通称で広く親しまれ・・・」とはじまる記事が記載されているとともに、該記事の
下には、「ノニ」を扱う各社の広告が掲載され、それらには、「・・・利用されて
きたノニ果実(モリンダシトリフォリア)は、過酷な熱帯地方の人々の健康、活力
を支えてきた貴重なフルーツ。・・・」、「ノニはサモアやタヒチなどのポリネシ
アの島々で「奇跡のフルーツ」と呼ばれ、古来より飲用されている果物。」、「当
社のタヒチ産のノニ(原料)は、一滴の水も加えない独特の製法で・・・」、「マ
レーシアの大自然に育まれた驚異の果実、ノニ。」などと記載されている。
ウ 「南太平洋の希少な薬用植物 POLYNESIAN NONI
ポリネシア産ノニ」(乙第8号証)では、果実を「ノニ」として、該果実に関して
紹介している。
エ 乙第9号証の1ないし4のインターネットのホームページ情報にお
いても、「ノニ」の情報が掲載されており、いずれにおいても、果実の名称として
「ノニ」の語が用いられている。
以上のアないしエは、審決後のものであるが、これらによっても、「NONI」
「ノニ」の語が学術名では「モリンダ・シトリフォリア」という植物の果実を意味
する語として、現在でも日本国内において広く使用されているということができ、
上記(1)の事実を補完する事実といって差し支えないものである。
(3) 以上によれば、本願商標中の「NONI」の文字は、指定商品の原材
料となっている果実の普通名称であって、取引者、需要者をして、商品の原材料を
表示するものと認識せしめること明らかであり、上段の「Tahitian」の文
字と合わせれば、「タヒチ島産の植物ノニの果実」の意味合いを認識せしめるか
ら、本願商標は、指定商品中、「タヒチ島産の植物ノニの果実を原料とする果実飲
料」以外の商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該商品がタヒ
チ島産の植物ノニの果実を原料とする果実飲料であるかの如く、商品の品質につい
て誤認を生ずるおそれがある。
4 なお、原告は、本願商標とほぼ同一の商標について、第5類の商品を指定商
品として商標登録出願しているが、当該案件において、特許庁は、「「タヒチなど
のポリネシア諸島に育つハーブの一種で、鎮痛・鎮静等作用のある成分が含まれて
いる植物のノニ(学名:モリンダ・シトリフォリア)」の意味合いを認識させる
「TAHITIAN NONI」の文字を有してなるものであるから、これをその
指定商品中、「タヒチ産のノニを原材料として含む食餌療法用飲料,タヒチ産のノ
ニを原材料として含む食餌療法用食品」以外の「タヒチ産の果物を原材料として含
む食餌療法用飲料,タヒチ産の果物を原材料として含む食餌療法用食品」について
使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある」として、商
標法4条1項16号に該当する旨の拒絶理由を通知した。
そして、出願人である原告は、指定商品を「タヒチ産のノニを原材料として含む
食餌療法用飲料,タヒチ産のノニを原材料として含む食餌療法用食品」と補正し、
拒絶理由通知に応じたために、該商標を登録すべき旨の審決があり、登録第454
4295号として商標登録されている(乙第10号証の1ないし5)。
第5 当裁判所の判断
1 本願商標の構成及び指定商品について
本願商標は、審決書の後記の「本願商標」のとおり、図形とその中に「Tahi
tian」及び「NONI」の文字を二段に併記する構成からなるものであり、そ
の指定商品を「タヒチ島産の果実を原料として含む果実飲料」とするものである。
本願商標の構成において、その構成中の図形部分は、南洋の海及び島と見られる
場所を背景として、上半身裸の男子がほら貝で製作した笛を吹いている姿が大きく
表記されており、また、その構成中の文字部分は、上段には、筆記体で書された
「Tahitian」の文字が表記され、「h」の文字の上には花がデザインさ
れ、その下段には、「NONI」の文字が太い書体で、かつ、最初の「N」の文字
が、それに続く「ONI」の文字より少し大きく書され、また、それぞれの「N」
の文字の右下がり部分には溝が付されて表記されている。
しかして、上記の「Tahitian」及び「NONI」の文字部分は、上記図
形標章の上部に、上記笛を吹く男性の絵とほぼ重なることなく、大きく表記されて
いるものであるから、本願商標の指定商品の取引者、需要者において、この文字標
章を独立して看取することは極めて容易であると認められ、また、この文字標章を
「Tahitian」及び「NONI」の欧文字が表記されたものと直ちに認識
し、観念することができるものと認められる。
そして、本願商標の文字標章のうち、上段の「Tahitian」の文字部分が
「タヒチ(タヒチ島)産の」という意味を表す英語であり、本願商標の指定商品の
取引者、需要者において、このことを当然に認識することができることは、明らか
である。
2 本願商標の構成中の「NONI」の語の意義について
(1) 「NONI」の語の由来について(甲第124、第125号証、乙第
2、第3号証、第5号証の2、第6号証、第8号証及び弁論の全趣旨)
学術名「モリンダ・シトリフォリア」は、植物分類でアカネ科のモリンダ属に属
する植物であり、フランス領ソシエテ諸島のタヒチ島、ハワイ諸島をはじめとする
ポリネシアの島々に生育している。この植物の名称として、「NONI(ノニ)」
という語は、タヒチ人の多いフランス領マルケサス諸島及びハワイ諸島で使用され
ており、この名前は、よく知られている(乙第8号証及び当裁判所に顕著な「広辞
苑」の「マルケサス諸島」の用語参照)。その果実には、血圧降下作用、抗がん作
用等があり、また更年期障害にも効果があるといわれており(以下、この果実を
「NONI」果実という。)、現地では、「魔法のフルーツ」、「奇跡のフルー
ツ」などと呼ばれ、古来から、その果実、樹皮、根等を自然薬として利用してい
る。この植物は、上記の地域のほかにも、オーストラリア、マレーシア、インド、
中国、沖縄などに生育しており、各地で別名で呼ばれ、日本では、従来から「ヤエ
ヤマアオキ」と呼ばれている。
なお、原告は、「Tahitian NONI」又は「NONI(ノニ)」の語
は、原告の創作による造語である旨主張しているが、上記掲記の各証拠によれば、
「モリンダ・シトリフォリア」は、タヒチ島、ハワイ諸島をはじめとするポリネシ
アの地域で生育する植物であり、これは「NONI(ノニ)」という名前でよく知
られていることを優に認定することができ、原告の上記主張は、到底採用すること
ができない。
(2) 我が国における「NONI」の語ないし「NONI」果実を紹介する
書籍、雑誌記事等の状況
ア 久郷晴彦著「奇跡の鎮痛即効フルーツ」(平成11年8月7日発
行、甲第125号証の10頁、11頁)は、「タヒチ島は、フレンチ・ポリネシア
最大の島ですが、今、この島は、驚異的な治療効果で学会からも注目される奇跡の
自然薬「モリンダ・シトリフォリア(Morinda Citrifolia)」
の生育地として脚光を浴びはじめています。モリンダ・シトリフォリアというのは
植物学上の名前ですが、現地では昔から「ノニ」(ポリネシア語)と呼ばれて親し
まれてきました。」、「モリンダ・シトリフォリアという植物はアカネ科に分類さ
れますが、タヒチ島をはじめとするポリネシアの島々だけでなく、広く中国やイン
ド、ハワイや沖縄にいたる地域にも自生していて、その果実や樹皮や根は、二千年
以上も前から現地の人々に自然薬として使用されてきたと言われています。」と記
載した上で、モリンダ・シトリフォリアの効用、治療効果について紹介しており、
末尾に参考文献として、「ニール・ソロモン「驚異の自然薬 ノニ」(クロスワー
ルト)、「タヒチアンジュース ノニ」(クロスワールト)、「ノニ・あなたの体
をめぐる旅」(クロスワールト)」等を掲記している。なお、同書はその後発行を
重ねており、平成13年6月27日に第13刷を発行している。
イ 久郷晴彦監修「神様からのフルーツ 驚異の体験集」(平成12年
3月31日発行、甲第124号証の13頁)は、「モリンダ・シトリフォリアって
なに?」との小見出しの下に、「モリンダ・シトリフォリアとは、タヒチやハワイ
などのポリネシアに群生するフルーツです。これまで日本人には、まったくなじみ
がありませんでしたが、現地では「魔法のフルーツ」「奇跡のフルーツ」などと呼
ばれ、2千年以上も前から「自然薬」として珍重されているフルーツなのです。モ
リンダ・シトリフォリアは学術名で、現地では「ノニ」と呼ばれています。モリン
ダ・シトリフォリアは、タヒチ島をはじめとするポリネシアの島だけでなく、広く
中国、インド、ハワイ、オーストラリアなどに群生しています。」と記載した上
で、モリンダ・シトリフォリアの効用、治療効果について紹介している。
ウ 株式会社主婦の友社発行「健康」平成13年7月号(乙第2号証)
は、「「ノニ」で血糖値が下がった!、不眠症が治った!」と題する記事を掲載
し、「ノニフルーツが治りにくい病気にも速攻効果」、「活性酸素を除去して、免
疫力を高め糖尿病、高血圧、ガン予防など万病に効果を発揮するノニフルーツのパ
ワー」、「万病に効く南国の不思議な果実ノニ」との見出しをつけて、「みなさん
は「ノニ」という名前の果物をご存じでしょうか。ノニは・・・万病に効果がある
と、現在各方面で最も注目されている果物です。」、「日本では最近になってノニ
を利用したジュースなどの製品が普通に手に入るようになりました。そして、その
高い効果がいまたいへんな注目を集めているのです。」と記載した上で、ノニの効
果について紹介し、また、ノニジュースを飲むことによって治療効果があったとい
う複数の体験記事を載せている。
エ 株式会社わかさ出版発行「わかさ」平成13年10月号(乙第3号
証)は、「脂肪減らしの強力な酵素の働きで月に10キロ15キロやせる人が続出
する」「南国の果実[ノニ]ジュース」と題する記事を掲載し、「「ノニ」は、イ
ンドネシアをはじめとする東南アジアや、グアム島、タヒチなどの太平洋に広がる
熱帯の島々に自生する植物です。この植物の果実はこれらの島々では「神様の贈り
物」と呼ばれ、大昔からケガ、やけど、赤痢、カゼ、痛み、発熱、便秘などあらゆ
る病気の治療に用いられてきたといいます。近年、ノニについての研究が盛んに進
められた結果、ノニにはガンや高血圧、糖尿病などに対する治療効果もあることが
認められてきました。そうした治療効果とともに最近注目されているのが、すばら
しいダイエット効果なのです。果物には多くの酵素が含まれていることが知られて
いますが、ノニには格段に豊富に含まれています。」と記載し、その摂取の方法と
してノニジュースを飲むことが紹介され、また、「わかさ医学研究班」として、ノ
ニジュースを飲んだ場合のダイエット効果を紹介し、複数の体験談を載せている。
オ 株式会社小学館発行「女性セブン」平成13年10月18日号(乙
第4号証)は、「話題のミラクルフルーツ「NONI」の実力」と題する記事が掲
載され、「南国ポリネシアで、2000年も前から伝統医療薬として使われてきた
「NONI(ノニ)」。青汁も真っ青のまずさだが、「そんなに体にいいなら我慢
する」と大ブーム。このミラクル果実、とにかくすごい!」、「万病に効くほか、
美肌やダイエットにも効果抜群といわれる南国産のフルーツ「ノニ」。5年ほど前
から米国で大ブームになり、日本でもいま脚光を浴びている。」、「ノニは、学名
「モリンダシトリフォリア」というアカネ科の熱帯性植物。」と記載した上で、ノ
ニジュースを飲んだ複数の者の治療効果の体験談を紹介している。
カ インターネットのホームページの情報において、医学・生理学博士
ニール・ソロモンが「101の医療的用途をもつトロピカルフルーツ タヒチアン
ノニジュース」と題して、「ノニ(モリンダ・シトリフォリア)は、北アメリカ大
陸の人々の間ではまだほとんど知られていない、非常に優れた治癒力を持つ果実で
ある。ノニはポリネシア、中国、インド、その他の地域で2000年以上にわたっ
て用いられ、その効果を発揮してきた。」、「合衆国では、ノニフルーツは栄養補
助食品としてジュースの形で提供されている。ノニの実はたいへん苦く癖のある臭
いがするが、栄養補助食品としてのジュースには天然のグレープジュース及びブル
ーベリージュースが加えられているため、その味や香りはともにたいへん心地のよ
いものとなっている。」と記載した上で、「タヒチアンフルーツのノニ」の治療効
果等を記載した文章を紹介している(乙第5号証の2)。
キ なお、我が国における翻訳本の発行年月日は不明であるが、リタ・
エルキンス著「ポリネシア産ノニ 南太平洋の希少な薬用植物」(ウッドランド印
刷、2000年(平成12年)発行、乙第8号証)では、学術名「モリンダ・シト
リフォリア」について「タヒチの人々はノノと呼びます。ノニというよく知られた
名前はマルケサス諸島およびハワイで使用されます。」と記載し、「ノニ」の果実
について、「今日の世界ではノニはどこで栽培されていますか?」との小見出しの
下で、「今日、ノニは気候が最適なポリネシア諸島の多くで生育しています。タヒ
チ、ハワイ、およびフランス領ポリネシアのマルケサス諸島はノニ栽培で最もよく
知られています」と記載した上で、「ノニ」の治療効果等を詳しく紹介している。
ク 以上のとおり、本件の審決(平成13年12月17日)の以前にお
いて、我が国においても、学術名「モリンダ・シトリフォリア」の植物ないしその
果実について、「ノニ(NONI)」の名称のものとして、書籍、雑誌、インター
ネットのホームページ情報において広く紹介されてきており、我が国における一般
的な用語事典である「現代用語の基礎知識」の2002年(平成14年)版(株式
会社自由国民社、平成14年1月1日発行、乙第6号証)にも、「ノニ(non
i)」の用語について、「南太平洋の島々やマレーシア、インドなどに生育する果
物。血圧降下作用、抗ガン作用があり更年期障害にも効果があるといわれる。」と
記載され、登載されるに至っている。
ケ なお、本件の審決の以降においても、次のとおり、新聞記事、イン
ターネットにおいて、「NONI」果実について紹介されている。
(ア) 平成14年6月20日付け「健康産業流通新聞」(乙第7号
証)には、「参入相次ぐモリンダC.市場」の見出しの下に、「業界を牽引する大
型素材として期待されているモリンダ・シトリフォリア(以下モリンダC.)。
「ノニ」の通称で広く親しまれ、TV、雑誌、電車の中吊り広告などメディアの露
出も目立つようになった。」とはじまる記事が記載されている。なお、この記事の
下には、「ノニ」を原材料とする果実飲料を発売する原告以外の業者の広告も掲載
されており、それらには、「ノニ果実(モリンダシトリフォリア)は、過酷な熱帯
地方の人々の健康、活力を支えてきた貴重なフルーツ。」、「ノニはサモアやタヒ
チなどのポリネシアの島々で「奇跡のフルーツ」と呼ばれ、古来より飲用されてい
る果物。」、「当社のタヒチ産のノニ(原料)は、一滴の水も加えない独特の製
法」、「マレーシアの大自然に育まれた驚異の果実、ノニ。」などと記載されてい
る。
(イ) インターネットのホームページ情報においても、「ノニ」の
情報が記載され、「ノニ」の果実等の治療効果等を紹介している(乙第9号証の1
ないし4)。
(3) 我が国における「NONI」果実を原料として使用した商品(果実飲
料)の販売状況
ア 原告による販売状況(甲第99号証ないし第101号証、第102
号証の1、2、第103号証の1、2、第284号証及び弁論の全趣旨)
原告は、タヒチ産の「モリンダ・シトリフォリア」の果実を原料として含む果実
飲料の商品を「TAHITIAN NONI(Tahitian NONI)」との
文字標章を付して製造、販売している1996年(平成8年)に設立された米国の
会社であり、世界における「モリンダ・シトリフォリア」(「NONI」果実)を
原料として含む果実飲料の原告のマーケットシェアは95%以上である。原告の日
本支社は、1999年(平成11年)に設立された。
原告及び原告の日本支社の商品の売上げは、平成11年度(1999年度)は、
約88億円、平成12年度(2000年度)は、約156億円、平成13年度(2
001年度)は、約172億円と増加しており、その約85%は、本願商標が付さ
れた原告商品(果実飲料)が占めている。
上記の原告商品の売上げは、主として日本におけるディストリビュータ(販売
店)に対する販売によるものであるが、平成11年2月の日本での営業開始直後は
約10,000人であった登録ディストリビュータの数が、平成12年度は11
5,610人、平成13年には155,005人となっている。
イ 原告と競合する会社による販売状況について
他方、我が国において本件審決の以前に、以下のとおり、原告以外の業者が「N
ONI」果実を原材料として使用する果実飲料の商品について、「NONI(ノ
ニ)」の文字標章を付して販売していることが認められる。
(ア) 「ノニ果汁、パイナップル果汁、梨果汁、葡萄果汁」を原材
料とした瓶入りジュースとして「ハワイアン アイランド ノニジュース」が、輸
入元として「有限会社ノニノニインターナショナル」によって販売されている。そ
の販売パンフレットには、「ノニとは学名モリンダシュトリフォリアという植物
で、2000年前よりハワイを中心に驚異の果実、不思議の木の実、奇跡のフルー
ツとして珍重されてきました」と記載され、瓶のラベルに大きく「NONI」の文
字が表示された商品の写真が掲載されている(乙第1号証の1)。
(イ) 審決が引用するとおり、6件のインターネットのホームペー
ジ情報において、「NONI」果実を原材料として使用する果実飲料(果実エキス
を含む。)の商品について、「NONI」ないし「ノニ」の文字を含む標章が使用
されて販売されている(乙第1号証の2ないし7)。
これらのインターネット情報には、審決書3頁に記載されているように、「ノニ
とは学名モリンダシトリフォリアという植物で、南太平洋の島々で「奇跡のフルー
ツ」「驚異の果実」として2000年前より健康維持のために珍重されてきまし
た。」(同号証の2)、「大自然がくれた驚異のパワーを実感!タヒチの奇跡のフ
ルーツ「ノニ」」(同号証の3)、「天国に一番近い島タヒチから届いた「奇跡の
フルーツ」ノニが、現代人の栄養バランスと健康維持をサポートします。」(同号
証の4)、「「ノニ」はアカネ科の植物で、南太平洋の島々で「奇跡のフルーツ」
と呼ばれ2000年前より健康維持のために珍重されてきました。」(同号証の
5)、「ノニは、ポリネシア地方に自生するフルーツハーブの一種で、2000年
以上も諸島の人々に利用されてきました。」(同号証の6)、「ノニは、ポリネシ
ア地方に自生するフルーツハーブの一種で、2、000年以上も諸島の人々に薬と
して利用されてきました。」(同号証の7)と、それぞれ「ノニ」についての情報
が記載されているほか、瓶のラベルに大きく「NONI」の文字が表示された複数
の果実飲料商品の写真が表示されている。
この他にも、インターネット情報として、「南国の果実ノニはインドネシア諸島
をはじめさまざまな国で「神の薬」と呼ばれてきました。」などと記載して、「果
実ノニ」を原料とした「ノニジュース」として、バリアンズ社の発売する「バリノ
ニジュース」が宣伝広告されている(乙第5号証の1)。
(ウ) 株式会社主婦の友社発行「健康」平成13年7月号(乙第2
号証)は、商品として「ノニジュース」が発売されているとして、インドネシア産
のノニを使用した果実飲料として、「100%バリノニジュース」(バリアンズ、
健康プラザ・パル)、タヒチ産のノニを使用した果実飲料として、「100%ピュ
アノニエキス」、(まるも食品、健康プラザ・パル)、ノニ果汁にブルーベリー果
汁等を配合した果実飲料として、「ロイヤルノニ」(パトス、健康プラザ・パ
ル)、ハワイ産のノニ果汁にパイナップル果汁等を加えた果実飲料として、「ハワ
イアンノニミックスジュース」(ノニノニインターナショナル)、ハワイ産のノニ
果汁にブルーベリー果汁等を配合した果実飲料として、「マウナノニジュース」
(マウナウエスト)の各商品を紹介し、上記の各括弧内の発売先の電話番号を記載
している。
ウ ディストリビュータ(販売店)によるインターネットを利用した原
告商品の販売状況について
前記のとおり、原告商品の売上げは、主として日本におけるディストリビュータ
(販売店)に対する販売によるものであるが、本件の審決前に、ディストリビュー
タ(販売店)によるインターネットを利用した原告商品の宣伝広告において、次の
記載がされており、原告商品の消費者に対する販売活動において、原告商品の原材
料である果実の名称として「ノニ」の語が用いられることがあったことが認められ
る(乙第11号証ないし第13号証及び弁論の全趣旨)。
(ア) 乙第11号証のインターネットのホームページ情報は、「フ
レンチ・ポリネシア諸島とノニの独占輸出販売契約を獲得しました。」、「ノニ
は、「ハーブの女王」「神からの贈り物」として2000年以上も昔からタヒチの
人々に使われ親しまれています。」などと記載した上で、「ノニの内容成分とその
効用」が記載され、「モリンダ日本支社からのメッセージ」の見出しの下に、「モ
リンダはノニそのものの成分を生かし、研究し、商品化して市場に出した最初の会
社です。」と記載している。また、「ノニの果実」として「NONI」果実の写真
を紹介している。
(イ) 乙第12号証のインターネットのホームページ情報は、「2
000年以上も昔、現在のフランス領ポリネシア諸島に住んでいた人々は、この地
で豊富に収穫できるある果実が健康増進に役立つことを発見しました。それがモリ
ンダシトリフォリアと呼ばれる果実です。現地では昔から「ノニ」と呼ばれ、老若
男女を問わず健康の源として親しまれてきました。」、「フレンチポリネシア諸島
で民族伝承され「ハーブの女王」といわれるノニの果汁」、「モリンダ社はフレン
チポリネシア諸島とノニの友好関係を築いています。」などと記載している。
(ウ) 乙第13号証のインターネットのホームページ情報は、「タ
ヒチアン・ノニTMとは?」の見出しの下に、「タヒチアンノニTMジュースの主
原料であるノニの実は学術名、モリンダ・シトリフォリアといい、タヒチでは「ハ
ーブの女王」「神からの贈り物」と呼ばれて2000年以上昔から現地の人々のあ
いだで健康を維持する為に欠かせない伝統的なハーブです。」、「ノニは「捨てる
ところがない」といわれ、実はもちろん、根、皮、葉、種のどこをとっても利用で
きます。」などと記載し、また、「ノニの実」として「NONI」果実の写真を紹
介している。
(エ) なお、本件審決後の乙第14号証のインターネットのホーム
ページ情報においても、「ノニジュースと呼べるのは、モリンダのタヒチアンノニ
ジュースだけです。最高品質のノニ(モリンダシトリフォリア)を使用し、モリン
ダ独自の特許製法により世界で初めて商品化された」、「タヒチアンノニ?ジュー
スの原料である、モリンダシトリフォリアは、一般的に、“NONI(R)”とい
う名で多く知られ、日本名:ヤエヤマアオキと呼ばれる、アカネ科モリンダ属に属
する、熱帯性植物です。」などと記載されている。
(4) 上記(1)ないし(3)に認定の各事実によれば、学術名「モリン
ダ・シトリフォリア」は、フランス領ソシエテ諸島のタヒチ島、ハワイ諸島をはじ
めとするポリネシアの島々に生育している植物であり、「NONI(ノニ)」とい
う名前は、タヒチ人の多いフランス領マルケサス諸島及びハワイ諸島で使用される
ものとして、よく知られていること、その果実(「NONI」果実)には、血圧降
下作用、抗がん作用等があり、また更年期障害にも効果があるといわれており、現
地では、「魔法のフルーツ」、「奇跡のフルーツ」などと呼ばれ、古来から、その
果実、樹皮、根等を自然薬として利用されていたこと、我が国では、本件審決(平
成13年12月17日)の以前においても、上記の「NONI」果実に関して、
「「モリンダ・シトリフォリア」は、タヒチやハワイなどのポリネシアに群生する
植物であり、これは現地では「ノニ」と呼ばれていること、ノニの果実は、様々な
治療効果やダイエット効果を発揮するものであり、ノニの果実を原料とするジュー
スが発売されていること」等について、書籍、健康雑誌、一般女性向け週刊誌及び
インターネットのホームページの情報において、広く紹介されてきていること、そ
して、本件審決がされた翌年の平成14年1月1日に発行された我が国における一
般的な用語事典である「現代用語の基礎知識」の2002年(平成14年)版に
も、「ノニ(noni)」の用語が登載されるに至っていることが認められる。
また、我が国では、本件審決の以前において、「NONI」果実を原料として使
用した果実飲料について、「NONI」、「ノニ」の文字標章を使用した商品が原
告以外にも複数の業者によって販売されており、この販売活動において、「ノニ」
は、南太平洋の島々で「奇跡のフルーツ」、「驚異の果実」として2000年前よ
り健康維持のために用いられており、その商品は、ノニの果実を原材料とする果実
飲料(果実エキス)であることなどが広く宣伝されていたことが認められる。
さらに、原告商品の売上げは、主として日本におけるディストリビュータ(販売
店)に対する販売によるものであるところ、ディストリビュータによる原告商品の
販売活動においても、原告商品について、「ノニは、「ハーブの女王」「神からの
贈り物」として2000年以上も昔からタヒチの人々に使われ親しまれていま
す。」などと記載した上で、原告商品が「ノニの果実」を原材料とするものである
と紹介するものがあることが認められる。
(5) 上記(4)の諸事情を総合すれば、我が国では、本件の審決の以前に
おいて、「NONI」、「ノニ」の語は、タヒチ島を含むポリネシア諸島に生育
し、数々の薬効を有する植物ないしその果実の普通名称として一般的に使用されて
きていること、及び「NONI(ノニ)」果実は、果実飲料(果実エキス)の原材
料として利用され、商品化されていることが広く宣伝され、「NONI」、「ノ
ニ」の文字標章を使用した商品が広く販売されていることを推認することができ、
果実飲料(果実エキス)の商品の取引者及び需要者、特に健康維持、ダイエットに
興味のある需要者層において、これらのことを一般的に認識することができたもの
と認められる。
したがって、本願商標の指定商品である「タヒチ島産の果実を原料として含む果
実飲料」の取引者、需要者は、「NONI」の語について、果実の普通名称である
と理解し、認識し得るものと認めることができる。
(6) 以上によれば、我が国において「NONI(ノニ)」の語は、果実の
普通名称として使用されていない旨の原告の主張は、採用することができず、原告
の取消事由1(本願商標の構成中の「Tahitian NONI」標章の意義に
ついての認定の誤り)の主張は、その前提において失当であり、理由がない。
3 本願商標の商標法4条1項16号の該当性について
(1) 本願商標の構成は、前記1のとおりであり、本願商標の指定商品の取
引者、需要者において、本願商標の構成における「Tahitian」及び「NO
NI」の文字標章を独立して看取することは極めて容易であるものと認められ、ま
た、この文字標章を「Tahitian」及び「NONI」の欧文字が表記された
ものと直ちに認識し、観念することができるものと認められる。
そして、本願商標の文字標章のうち、上段の「Tahitian」の語が「タヒ
チ(タヒチ島)産の」という意味を表す英語であることは、明らかであり、下段の
「NONI」の語は、前記2のとおり、我が国では、本件の審決の以前において、
タヒチ島を含むポリネシア諸島に生育し、数々の薬効を有する植物ないしその果実
の普通名称として一般的に使用されており、本願商標の指定商品の取引者、需要者
においても、そのように認識し得るものであることが認められるから、「NON
I」の語が「Tahitian」の語と共に「Tahitian NONI」とし
て、本願商標の指定商品に使用された場合には、その取引者、需要者において、
「タヒチ島産の植物ノニの果実」という原材料を表すものとして認識する可能性が
高いものと認められ、原告が取消事由2として主張している本願商標の図形部分及
び文字部分の全体的な構成を総合して考慮しても、このことを否定することはでき
ない。
したがって、本願商標を「タヒチ島産の植物ノニの果実を原料とする果実飲料」
以外の商品に使用するときは、その取引者、需要者の間において、商品の品質につ
いて、誤認を生じさせるおそれがあると認められるから、本願商標は、商標法4条
1項16号に該当するものというべきである。
よって、これと同旨の審決の認定、判断に、誤りはない。
(2)ア 原告は、「原告による原告商品の宣伝広告によって、本願商標等
は、自他商品識別機能を特別顕著性を有するに至るほど強力に取得し、「NON
I」又は「ノニ」の商標は、原告商品を表示するものとして一般消費者の間で周知
となっていた」旨を主張しているが、原告の主張を認めるに足りる的確な証拠はな
く、かえって、前記2に認定の各事実に照らせば、原告の上記主張は、到底認める
ことができない。
イ また、原告は、「原告は、莫大な宣伝広告費をかけて、多数の人が
行き交う私鉄、地下鉄、JR等の路線の主要な駅で、本願商標等を付して原告商品
を紹介する看板、ポスターを貼付し(甲第2号証ないし第51号証参照)、また、
原告は、原告商品を雑誌等の印刷媒体において、本願商標等を付して積極的に宣伝
広告しており(甲第59号証ないし第94号証参照)、これらの原告による本願商
標等を使用した原告商品の宣伝広告では、原告商品の原料が「モリンダ・シトリフ
ォリア」という果実であることを説明し(甲第50号証の1ないし3、第60号証
ないし第62号証、第65、第66号証、第69号証ないし第71号証、第74号
証、第76、第77号証、第80号証、第92号証)、さらに、原告商品に関する
説明的な語句を伴って「TAHITIAN NONI」、「タヒチアン ノニ」の標
章を使用する場合には、「TM」又は「 」の表示を「NONI」又は「ノニ」の
文字に併記し、これが普通名称ではなく、原告の登録商標であることを明示してお
り(甲第65、第66号証、第69号証ないし第71号証)、本願商標の構成中の
「Tahitian NONI」標章が、原告の業務に係る商品を表示するもので
あることは、一般の需要者が容易に理解することができるものであった」旨主張
し、それに沿うものとして、上記括弧内の各証拠のほか、原告の宣伝広告の実例等
として、甲第254号証ないし第267号証、第269号証ないし第286号証を
提出している。
ウ しかしながら、原告が原告商品の宣伝広告において、原告商品の原
料につき「モリンダ・シトリフォリア」という果実であることを説明していても、
前記認定のとおり、我が国では、「モリンダ・シトリフォリア」が「NONI」と
呼ばれていることが広く紹介され、「NONI(ノニ)」の語は、タヒチ島を含む
ポリネシア諸島に生育し、数々の薬効を有する植物ないしその果実の普通名称とし
て一般的に使用されてきているものと認められるのであるから、本願商標に接する
本願商標の指定商品の取引者、需要者は、本願商標の構成中の「Tahitian
NONI」の文字部分については、原告主張の字体等の特徴にはそれほど高度の
創作性を認めることはできないことから、本願商標の構成中の特徴のある図形部分
とは異なり、自他商品の識別標識として出所表示機能を備えるものではないものと
理解し、「タヒチ島産の植物ノニの果実」という原告商品の原材料を表すものであ
ると認識することが多いものと容易に推認することができる。
また、原告が主張するように、原告が原告商品の宣伝広告において「TAHIT
IAN NONI」、「タヒチアン ノニ」の文字標章を使用する場合に「TM」又
は「 」の表示を「NONI」又は「ノニ」の文字に併記していても、この点に係
る原告提出の前掲各証拠(甲第65、第66号証、第69号証ないし第71号証、
第254号証ないし第263号証、第265号証ないし第267号証、第269号
証ないし第281号証、第283号証、第285、第286号証)によれば、「T
M」又は「 」の表記は、「TAHITIAN NONI」、「タヒチアン ノ
ニ」の表記と比較して非常に小さいものであると認められ、本願商標の指定商品の
取引者、需要者は、その「TM」又は「 」の表示に特に留意することなく、「T
AHITIAN(Tahitian)」及び「NONI」の用語が本来備えている
前判示の意義を直ちに想起して、本願商標の構成中の「Tahitian NON
I」の文字部分は、「タヒチ島産の植物ノニの果実」という商品の原材料を表示す
るものであると即断することが決して少なくないものと推認することができる。
したがって、原告の上記イの主張及び立証は、上記(1)の本願商標が商標法4
条1項16号に該当する旨の認定、判断を左右するものではない。
(3) 以上のとおり、原告の取消事由2(商品の品質について誤認を生じる
と判断した点の誤り)の主張も、理由がない。
4 結論
以上のとおり、原告主張の審決取消事由はすべて理由がなく、その他審決にはこ
れを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり
判決する。
東京高等裁判所第3民事部
裁判長裁判官 北 山 元 章
裁判官 青 柳 馨
裁判官 橋 本 英 史
別紙 審決書の写し(省略)
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