平成14(行ケ)153行政訴訟 商標権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成14年11月21日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
商標権
商標法4条1項15号4回 商標法4条1項11号2回
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キーワード |
審決53回 無効4回 商標権3回 無効審判1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成14年(行ケ)第153号 審決取消請求事件
平成14年9月17日口頭弁論終結
判 決
原 告 マルキュー株式会社
訴訟代理人弁理士 清水 修
被 告 有限会社コンチネンタル
訴訟代理人弁護士 末永京子,村田秀人
主 文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 原告の求めた裁判
特許庁が無効2001-35045号事件について平成14年2月20日にした
審決を取り消す。
第2 前提となる事実
1 特許庁における手続の経緯
(1) 本件商標
商標権者 有限会社コンチネンタル(被告)
商標登録番号 第4120516号
商標の構成 別紙審決書の写しの末尾の別掲(1)に示すとおり。
登録出願日 平成8年6月6日(商願平8-62810号)
設定登録日 平成10年3月6日
指定商品 第28類「釣り具」
(2) 本件審判手続
審判請求人 マルキュー株式会社(原告)
無効審判請求日 平成13年2月6日(無効2001-35045号)
審決日 平成14年2月20日
審決の結論 「本件審判の請求は,成り立たない。」
審決謄本送達日 平成14年3月5日(原告に対し)
2 審決の理由
審決の理由は,別紙審決書の写し(以下,「審決書」という。)のとおりであ
る。
要するに,① 商標法4条1項11号違反に関する点については,本件商標と引
用商標1(別紙審決書の別掲(2)に示すもの。登録第1373441号)は,そ
の外観,称呼及び観念のいずれからしても類似しない商標であり,本件商標と,引
用商標2(「マルキュー」の横書き片仮名文字,登録第2019895号),引用
商標3(「MARUKYU」の横書き欧文文字,登録第3051892号)及び引
用商標4(別紙審決書の別掲(3)に示すもの。登録第1495588号)とは,
その外観,称呼及び観念のいずれからしても類似しない商標であり,② 商標法4
条1項15号違反に関する点については,本件商標と引用商標2との関係におい
て,本件商標が,原告(マルキュー株式会社)又は原告と何らかの関係を有する者
の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれ
は認められず,③ 結局,本件商標は,商標法4条1項11号及び同15号に違反
して登録されたものではなく,その登録は,商標法46条1項1号により無効とす
ることはできない,というものである。
第3 原告主張の審決取消事由の要点
1 取消事由1(引用商標1から生じる称呼の判断の誤り)
本件商標から「マルキョー」の称呼が生じることはそのとおりであるが,審決
は,引用商標1からは「ノーキョー(マーク)」(農協印)の称呼,観念を生じる
として,両者の称呼を比較し,非類似であるとし,商標法4条1項11号に該当し
ないとしたが,誤りである。
一定の形態で表示された商標が,どのような称呼を生じるかについては,一義的
には,その外観的表示形態から生じる自然の称呼が採用されるべきである。引用商
標1は,円輪郭と円輪郭内に表示された漢字の「協」とから,「マルキョー」の称
呼を自然に生じるものである。
外観的表示形態から生じる自然の称呼以外の称呼が生じるためには,当該商標が
極めて著名であることが要求される。引用商標1は,高度の周知著名条件を備えた
商標ではない。なお,全国農業協同組合連合会の略称が,審決のいうように「農
協」と称されることは一般的でなく,「全農」「ジェーエー」と称されるのが一般
的である。また,本件商標の登録査定時には引用商標1は使用されていなかったも
のであり,外観的表示形態から生じる自然の称呼とは全く異なる称呼を生じること
はあり得ない。
仮に,引用商標1から「ノーキョー」の称呼が生じるとしても,「マルキョー」
の称呼も生じるものであり,本件商標と同じ称呼を生じるものというべきである。
2 取消事由2(本件商標と引用商標2ないし4との称呼の類否判断の誤り)
引用商標2,3及び4は,いずれも「マルキュー」の称呼を生じるものであると
ころ,審決は,上記称呼と本件商標の「マルキョー」との称呼とを比較し,両者を
それぞれ一連に称呼した場合,その語感,語調が大きく相違し互いに紛れるおそれ
はないとしたが,誤っている。
「マルキョー」と「マルキュー」は,ともに長音を含む4音という同音数からな
るものである。両者は,最も類否識別度の高い語頭音「マル」を同一としており,
しかも,「マ」の音が強音を構成し,同一性を強く印象づけるものである。そし
て,類否識別度の最も低い語尾音において「キョ」と「キュ」の差異を有するもの
であり,しかも,語尾音は,母音三角形における調音位置が近接し,同音行に属す
るわずかの差異があるにすぎない。そのため,「キョ」と「キュ」のわずかな差異
音が両称呼の全体に及ぼす影響は小さなものであって,両称呼を一連に称呼すると
きは,全体から受ける語感,語調が互いに相紛れるおそれがあるものである。
3 取消事由3(本件商標と引用商標2,3との外観,観念の類否の比較をしな
かった違法)
審決は,11頁10行目から12行目において,「また,外観,観念の点につい
てみるに,本件商標と引用商標2ないし引用商標4は,それぞれ別掲(1)及び
(3),並びに上記のとおりであって,」としているが,別掲(1)は本件商標,別掲
(2)は引用商標1,別掲(3)は引用商標4であって,別掲には引用商標2,同3は
全く示されておらず,「上記のとおりのもの」とは何を示すものであるか不明であ
るし,「外観,観念の点について」は,引用商標1以外は審決理由中で何ら検討が
されていない。審決には,引用商標2及び同3が外観,観念の点において本件商標
と類似するか否かについて,審理不尽の違法がある。
4 取消事由4(引用商標2の周知著名性を引用商標4で判断した違法等)
原告は,商標法4条1項15号違反の主張としては,本件商標と引用商標2との
比較を行い,引用商標2が長年の使用により周知著名となったことを主張した。し
かし,審決は,この主張を判断することなく,原告が主張もしていない引用商標4
について何らの根拠も示すことなく判断し,15号違反の主張を排斥したものであ
り,違法である。
なお,審決は,上記引用商標4が本件商標と非類似であることを前提として結論
に至っているが,その前提が誤っている。
また,原告が主張した引用商標2は,原告のハウスマークであるとともに,原告
が指定商品「釣餌」について昭和59年2月ころから今日まで長年にわたり継続的
に使用してきた結果,取引者,需要者間において原告の業務に係るものとして広く
認識され,周知著名であり,仮に,本件商標と引用商標2とが非類似の商標であっ
たとしても,引用商標2は,周知著名であるから,引用商標2の類似範囲は拡大さ
れ,類似範囲の拡大した引用商標2と本件商標とは類似するものである。
したがって,本件商標は,原告又は原告と何らかの関係を有する者の業務に係る
商品であるかのように,その商品の出所について混同を生じるおそれがある。これ
を見過ごした審決は,違法である。
第4 被告の主張の要点
1 取消事由1(引用商標1から生じる称呼の判断の誤り)に対して
引用商標1につき,商標の外観から自然に「マルキョー」の称呼が生じるもので
はない。引用商標1の円弧は,「協」の漢字の下部で途切れており,視覚的に無視
できない印象を与える結果,円輪郭でない構成となっており,この円弧を「マル」
と称呼するものではない。仮に,「マル」と称呼するとしても,引用商標1の外観
は,極めて独特な図形商標と評すべきものであり,特定の称呼を生じないというべ
きである。
商標について,その外観から直ちに自然に読み取れない称呼が生じたとみるべき
か否かは,取引の実態をみて判断されるべきであって,原告主張のような高度の著
名性を必要とする根拠はない。全国農業協同組合は,全国的に著名な組織であり,
現在もなお「農協」として全国的に著名である。引用商標1は,稲を用い,「協」
の文字とも相まって「農協(ノーキョー)」の称呼観念を喚起させ,引用商標1も
全国的な著名性を有するに至っていた。取引の経験則上,引用商標1について,
「ノーキョー」との称呼,農協の観念が生じるとする審決の判断は正当である。
仮に,本件商標と引用商標1との称呼が類似とされる場合であっても,商標の類
否は,出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきである。
そして,そのおそれの有無は,商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与
える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであって,その具体的取引
状況に基づいて判断するのが相当であり,図形と文字の結合商標にあっては,文字
部分をいたずらに重視し,図形部分を軽んずることは特段の理由がない限り許され
ない。本件商標は,結合商標であり,引用商標1とは外観に全く共通性がない。本
件商標は,文字部分が造語であって何ら観念を生じず,引用商標1は「農協」との
観念が生じるのであって,両者は観念において全く共通性がない。取引者,需要者
は,本件商標の特徴ある図形部分から「カジキ」を強烈に印象づけられ,引用商標
1では「農協」を印象づけられる。本件商標と引用商標1とは,外観,観念,称呼
がそれぞれ取引者に与える印象,記憶,連想は全く異なり,出所に誤認混同のおそ
れが生じる可能性は皆無である。
2 取消事由2(本件商標と引用商標2ないし4との称呼の類否判断の誤り),
取消事由3(本件商標と引用商標2,3との外観,観念の類否の比較をしなかった
違法)に対して
「マルキョー」と「マルキュー」との称呼についての審決の判断は正当である。
仮に,両者の称呼が類似すると判断される場合であっても,前記1で主張したこ
とが妥当するのであり,本件商標と引用商標2ないし4の外観,観念,称呼がそれ
ぞれ取引者に与える印象,記憶,連想は全く異なり,出所に誤認混同のおそれが生
じる可能性は皆無である。
指定商品については,本件商標が「釣り具」,引用商標2ないし4が「釣餌」で
あり,その間には,前者が釣り糸,ハリ,竿,リール,ルアーなどを指すのに対
し,後者は専ら食材を用いて製造されるのであって,両者は非類似である。
3 取消事由4(引用商標2の周知著名性を引用商標4で判断した違法等)に対
して
審決は,本件商標と引用商標2の関係において商標法4条1項15号の該当性を
判断した内容であることが明らかであって,原告の指摘する部分の「引用商標4」
という記載は,単なる誤記にすぎない。
本件商標と引用商標2とが非類似であるとする審決の判断は正当であり,また,
引用商標2が周知著名であるとは認められないのであって,さらに,釣餌と釣り具
の市場が重複する関係にはなく,多数の企業において両商品をともに製造する実態
が存在しないなどの業界の実情にもかんがみれば,本件商標を使用した指定商品の
取引者,需要者において,当該商品を引用商標2に係る商品と混同するおそれは皆
無である。
第5 当裁判所の判断
1 取消事由1(引用商標1から生じる称呼の判断の誤り)について
(1) 証拠(甲4-5〔8も同じ〕,21,21-1,21-2)及び弁論の全
趣旨によれば,引用商標1は,全国農業協同組合連合会が商標権者であるが,「農
協マーク」と呼ばれているものであること,この商標は,昭和23年に製作決定が
されたもので,このような構成とされた理由は,「のうぎょう」の「の」と,「協
同組合」の「協」と,「稲の穂」を図案化したものであるとされていること,引用
商標1(甲4-5,審決書別掲(2))をみると,外周にある円弧状の線は,まさ
に「のうぎょう」の「の」という字の形状であって,下部がつながっておらず,円
つまり「マル」ではないことが認められる。
以上によれば,引用商標1は,○印の中に文字などを記載して,「マル・・」と
いう形式で称呼されるタイプの商標とは別物であり,引用商標1の形状をみても,
マル〔○〕は存在しないので,「マルキョー」との称呼が生ずるのが自然であると
いうことはできず,また,上記引用商標1の由来からすれば,商標権者ないし農業
協同組合関係者から「マルキョー」と称呼されるのが普通であるとは予想されない
し,その他,一般に,引用商標1を「マルキョー」と呼ぶ実情があった又はあるこ
とをうかがわせる証拠もない。
引用商標1の称呼としては,前認定のように,「農協マーク」と言われているこ
とからすれば,「ノーキョー(マーク)」(農協印)との称呼,観念が生じるとし
た審決の認定は是認し得るものである。
よって,本件商標と引用商標1とは,その外観,称呼及び観念のいずれからして
も類似しない商標というべきであるとした審決の判断に誤りはなく,原告主張の取
消事由1は理由がない。
(2) 原告は,上記のほか,全国農業協同組合連合会の略称が,「農協」と称さ
れることは一般的でなく,「全農」「ジェーエー」と称されるのが一般的であるな
どと主張するが,前掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,全国農業協同組合連合会の
みならず,その下部の単位組織としての農業協同組合をも含む,広い意味におい
て,「農協」という言葉が使用され,引用商標1は,このような意味で認識され,
使用されていたことがうかがえるのであり,全国農業協同組合連合会の略称の点が
上記(1)の認定を覆し得るものではない。
次に,原告は,本件商標の登録査定時には引用商標1は使用されていなかったも
のであり,外観的表示形態から生じる自然の称呼とは全く異なる称呼を生じること
はあり得ないとも主張するが,そもそも,引用商標1について,原告が外観的表示
形態から生じるという「マルキョー」の称呼が生じることを認めることができない
のであるから,上記主張も(1)の結論を左右するに足りるものではない。
また,原告は,引用商標1の称呼として「マルキョオ」との記載がある甲第10
号証(特許庁ホームページの情報検索)を援用するが,これは「協(マル)」との
構成を前提とする記載であって,前判示に照らせば,前提において採用し得ない
上,上記証拠が本件審決を法的に拘束すべきものでもないので,直ちに(1)の認定
を覆すに足りるものとはいえない。
ちなみに,仮に,引用商標1から「マルキョー」の称呼が生じ得るとしても,本
件商標と引用商標1の外観は,相互に見誤るおそれはなく,これらから生ずる観念
についても比較すべくもないほどである旨の審決の認定は相当であって,これらを
総合すると,両商標は出所の混同の生じるおそれはなく,類似するとはいえないも
のである。
2 取消事由2(本件商標と引用商標2ないし4との称呼の類否判断の誤り)に
ついて
本件商標の「マルキョー」という称呼と,引用商標2,3及び4の「マルキュ
ー」という称呼との類否判断について,審決は,両者をそれぞれ一連に称呼した場
合,その語感,語調が大きく相違し互いに紛れるおそれはないとしたものである。
審決がその理由として説示するところ(審決書10頁22行目ないし11頁9行
目)を検討すると,審決の認定判断は是認し得るものであり,その過程にも違法は
認められない。よって,この点に関する原告の主張は,採用することができない。
なお,本件商標と引用商標2ないし4との外観,観念の点を検討すれば,両者は
外観において見誤るおそれもないし,観念において紛れ得るものともいえないので
あって(この点に関する審決の認定判断も相当である。),外観,称呼,観念など
の事情を総合考慮すれば,一層,両者は類似しないことが明らかである。
3 取消事由3(本件商標と引用商標2,3との外観,観念の類否の比較をしな
かった違法)について
原告は,審決書11頁10行目から12行目の説示において,引用商標2,同3
は,別掲には全く示されておらず,審決の「上記のとおりのもの」とは何を示すも
のであるか不明であるし,引用商標2,同3の外観,観念の点について,審決理由
中で何ら検討がされていないので,審決には,審理不尽の違法がある旨主張する。
しかし,審決は,引用商標2,同3の構成について,審決書10頁25行目ない
し27行目に認定しており,「上記のとおりのもの」がこの部分を指すことは明ら
かであり,これを受けて,外観,観念の点について,審決書11頁12行目ないし
16行目にかけて認定判断をしていることは明らかであって,原告の主張は採用す
ることができない。
4 取消事由4(引用商標2の周知著名性を引用商標4で判断した違法等)につい
て
(1) 原告は,商標法4条1項15号違反の主張につき,審決がこの主張を判断
することなく,原告が主張もしていない引用商標4について何らの根拠も示すこと
なく判断した違法がある旨を主張する。
確かに,審決書11頁20行目ないし25行目においては,「引用商標2」に関
するものとして,原告の主張が引用されているが,これに続く同頁26行目ないし
39行目の判断を示す部分では,専ら「引用商標4」と記載されている(3箇
所)。しかしながら,上記説示部分全体をみれば,判断部分においても「引用商標
2」を判断対象としていることはその内容から明らかであり,「引用商標4」とい
うのは明白な誤記であると認められる。審決の誤記については不注意とのそしりは
免れないが,この誤記が審決の結論に影響を及ぼすものとは認められない。よっ
て,原告の主張は採用の限りではない。
審決が引用商標4と本件商標とが非類似であることを前提として結論に至ってい
る点を誤りであるとする原告の主張も,上記と同様の理由により,採用の限りでは
ない。
(2) 原告は,引用商標2が周知著名であり,仮に,本件商標と引用商標2とが
非類似の商標であったとしても,引用商標2は,周知著名であるから,引用商標2
の類似範囲は拡大され,類似範囲の拡大した引用商標2と本件商標とは類似するも
のであるとも主張する。
しかしながら,本件商標が原告又は原告と何らかの関係を有する者の業務に係る
商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれは認められな
い旨をいう審決の認定判断は,是認し得るものである。審決は,理由として,本件
商標と引用商標2とは,称呼,外観及び観念のいずれからしても判然と区別し得る
非類似の商標であること,他に両商標が出所について紛れ得るとする事由は見いだ
せないこと,たとえ引用商標2が釣餌の商標として,また原告のハウスマークとし
て,需要者,取引者に広く認識されるとしても,この種の商品の需要者一般の注意
力等取引の実情に照らして総合判断すると,本件商標に接する需要者,取引者が直
ちに引用商標2を連想,想起するとみるのは困難であることを挙げているが,その
説示の過程を含め,是認し得るものである(ただし,前記のとおり,「引用商標
4」というのは,「引用商標2」の誤記である。)。原告が引用商標2の周知著名
性について挙げる証拠(甲4-20~42など)を精査しても,上記認定判断を誤
りであるとするには足りず,審決に原告主張の違法は認められない。
5 結論
以上のとおり,原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく,その他審決には
これを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判
決する。
東京高等裁判所第18民事部
裁判長裁判官 永 井 紀 昭
裁判官 塩 月 秀 平
裁判官 田 中 昌 利
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