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平成4(行ケ)143行政訴訟 商標権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成14年5月30日
事件種別 民事
法令 商標権
商標法50条2回
商標法50条1項2回
キーワード 審決9回
商標権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成4年(行ケ)第143号 審決取消請求事件
     判    決
 原 告 バレンチノ グローブ ベスローテン フェンノートシャップ
 訴訟代理人弁理士 杉村興作、末野徳郎、復代理人弁護士 服部成太
 被 告 A
 被 告 B
 被 告 C
 上記被告3名訴訟代理人弁護士 田澤繁、弁理士 河野昭
 被 告 D
 訴訟代理人弁護士 竹内澄夫、得丸大輔
     主    文
 特許庁が昭和63年審判第14565号事件について平成4年2月27日にした
審決を取り消す。
 訴訟費用は被告らの負担とする。
 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
 主文第1項同旨の判決。
第2 事案の概要
 1 特許庁における手続の経緯
 原告は、登録第972813号商標(昭和45年4月16日商標登録出願、同4
7年7月20日設定登録。本件商標)の商標権者である。本件商標は「VALEN
TINO」の文字を横書きして成り、旧第21類「宝玉、その他本類に属する商
品」を指定商品とする(平成2年6月25日、指定商品中「かばん類、袋物」につ
き一部放棄による抹消登録)。
 イタリア国のEは、昭和63年8月10日、原告を被請求人として、商標法50
条に基づく本件商標の登録の取消しを求める審判請求をし(予告登録・昭和63年
9月9日)、昭和63年審判第14565号事件として審理されたが、平成4年2
月27日、「登録第972813号商標の登録は、取り消す。」との審決があり
(出訴期間90日付加)、その謄本は同年3月18日原告に送達された。Eは19
91年(平成3年)1月31日死亡し、被告らはその相続人である。
 2 審決の理由の要点
 (1) 原告(被請求人)の主張
 原告は、審判請求不成立の理由として次のように述べた。本件商標は、通常使用
権者である「株式会社式会社ヴァレンティノブティックジャパン」(東京都千代田
区(以下略))によって、その指定商品中、少なくとも「ブレスレット、イヤリン
グ、ブローチ」に1979年(昭和54年)より現在に至るまで、その住所におい
て使用されているところであり、このことは審判乙第1号証ないし審判乙第5号証
によって明らかであるから、商標法50条1項により、その登録が取り消されるべ
きものではない。
 (2) 審決の判断
 請求人Eの本件審判請求についての利害関係の有無をみるに、請求人は、「Va
lentino」の欧文字を筆記体にて横書きした商標を、商品の区分「第21
類」に出願(商願昭51-87844)したところ、本件商標を引用した拒絶査定
がなされ、現在、昭和63年審判第14432号として特許庁に係属中であるか
ら、その利害関係を有する。
 そこで本案に入るに、商標法50条による商標登録の取消審判の請求があったと
きは、同条2項により、その審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定
商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人において立証し
ない限り、その商標登録の取消しを免れないとされるところ、本件審判請求の登録
は昭和63年9月9日である。また、登録商標の使用の事実の立証は、新聞、雑誌
等への広告の事実、通常の取引において使用された納品伝票等の取引書頼の呈示、
その他登録商標の使用が事実であることを客観的に理解し得るような資料によって
なされるのが相当と解される。
 審判乙第1号証は、株式会社ヴァレンティノブティックジャパンの課長Fの捺印
をも有する書面であるところ、該書面中に「添付致しました資料は、当社が197
9年より現在に至るまで取り扱っておりますアクセサリーの写真に相違無きこと、
ここに申し述べます。」と記載されているが、これは前記会社(通常使用権者であ
るという)の一課長が、当事者のみしか知り得ない事柄を一方的に述ベたにすぎな
いものであって、取引の事実を客観的に理解し得るように示したものとはいえない
から、この書面によっては、審判乙第2号証ないし審判乙第4号証に係る写真に示
された「ブレスレット、イヤリング、ブローチ」につき本件商標を使用したとする
時期が、本件審判の請求の登録前3年以内であるということを確認することができ
ない。また、審判乙第1号証ないし審判乙第4号証によっては、本件商標に関する
「ブレスレット、イヤリング、ブローチ」について、実際に取引が行われたという
ような事実を確認することができない。さらに、審判乙第5号証(枝番を含む)に
係る「世界の一流品大図鑑」には、本件商標の指定商品について何らその使用の事
実を示していない。
 してみれば、原告の提出に係る審判乙各号証をもってしては、本件商標をその指
定商品につき、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用した事実を客観
的に立証したものとは認め難いといわざるを得ない。
 したがって、本件商標は、商標法50条1項により、その登録を取り消すべきも
のとする。
第3 原告主張の審決取消事由
 株式会社ヴァレンティノブティックジャパンは、本件商標が付され本件商標の指
定商品に属するブレスレット、イヤリング、ブローチを、昭和60年~63年の間
に日本国内で販売した。本件商標の専用使用権者である三井物産株式会社が輸入し
た上記商品が、通常使用権者である株式会社ヴァレンティノブティックジャパンに
よって販売されたものである。
 以上の事実により、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使
用された事実は明らかである。
第4 審決取消事由に対する被告らの反論
 否認する。原告主張の事実は、客観的な証拠によって立証されていない。
第5 当裁判所の判断
 甲第12~第23号証並びに弁論の全趣旨によれば、三井物産株式会社等の出資
によって昭和49年に設立された株式会社ヴァレンティノブティックジャパンは、
イタリアの著名デザイナーValentino Garavaniの衣料品(アパレル)、身飾品(ア
クセサリー)その他の関連製品の日本国内の卸売及び小売販売を主目的として設立
されたこと、同社は、本件商標の通常使用権者として、本件商標が付されたブレス
レット、イヤリング、ブローチを三井物産株式会社から仕入れ、その額が昭和60
年から63年までの間は年間3000~4000万円であったこと、株式会社ヴァ
レンティノブティックジャパンは、これらの仕入れ商品をその当時も日本国内にお
いて販売をしていたことを認めることができる。
 甲第25~第27号証は、平成元年2月10日ころ、株式会社ヴァレンティノブ
ティックジャパンの直営店であるヴァレンティノブティックに陳列され、本件商標
の付されたブレスレット、イヤリング、ブローチの写真であるが、これらが、昭和
60年から同63年までの間同社において販売した上記商品の一部と同一のもので
あることが、甲第4~第7号証、第13号証及び弁論の全趣旨によって認められる
ところである。
 以上の事実に弁論の全趣旨を合わせれば、本件審判請求の登録日である昭和63
年9月9日前3年以内に、本件商標の通常使用権者である株式会社ヴァレンティノ
ブティックジャパンが、指定商品に本件商標を付して本件商標を使用していたこと
が明らかであり、本件審判請求は成り立たない。以上に反する審決の認定、判断は
誤りである。
第6 結論
 したがって、原告主張の審決取消事由は理由があり、原告の請求は認容されるべ
きである。
(平成14年4月9日口頭弁論終結)
 東京高等裁判所第18民事部
         裁判長裁判官    永   井   紀   昭
            裁判官    塩   月   秀   平
裁判官    古   城   春   実

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