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平成13(行ケ)578行政訴訟 実用新案権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成14年4月8日
事件種別 民事
法令 実用新案権
実用新案法3条2項1回
民事訴訟法61条1回
キーワード 審決18回
無効5回
訂正審判1回
無効審判1回
実用新案権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成13年(行ケ)第578号 審決取消請求事件(平成14年3月25日口頭弁
論終結)
          判         決
       原      告   アイリスオーヤマ株式会社
       訴訟代理人弁護士   伊   藤       真
       同    弁理士   畑   中   芳   実
       同          福   迫   眞   一
       被      告   天馬株式会社
       代表者代表取締役   司           治
       訴訟代理人弁理士   日 比 谷   征   彦
          主         文
      特許庁が無効2001-35308号事件について平成13年12月
10日にした審決を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は、名称を「樹脂製収納箱の移動車取付構造」とする登録第2054
523号考案(平成2年8月20日出願、平成7年3月6日設定登録、以下「本件
考案」という。)の実用新案権者である。被告は、平成13年7月11日、本件実
用新案登録の無効審判の請求をし、同請求は、無効2001-35308号事件と
して特許庁に係属した。原告は、同年10月22日、本件実用新案登録出願の願書
に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲等の
訂正の請求(以下「訂正請求」という。)をした。特許庁は、平成13年12月1
0日、「実用新案登録第2054523号の請求項1,2に係る考案についての実
用新案登録を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄
本は、同月20日、原告に送達された。
  (2) 原告は、同月21日、本件審決の取消しを求める訴えを提起するととも
に、本件明細書の実用新案登録請求の範囲等の訂正(以下「本件訂正」という。)
をする訂正審判の請求をし、特許庁は、同請求を訂正2001-39231号事件
として審理した結果、平成14年2月19日、本件訂正を認める旨の審決(以下
「訂正審決」という。)をし、その謄本は、同年3月1日、原告に送達された。
 2 本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載
  (1) 訂正請求前のもの
   【請求項1】上面開口状の容器体と前記上面を覆う蓋体とからなる樹脂製収
納箱の前記容器体下部に、収納箱を移動させるための移動車が設けられた構造にお
いて、前記移動車は、一体成形された複数の車輪と該複数の車輪を連結する車軸と
からなり、前記容器体下部には切り欠きを有する凸部が突設され、前記切り欠き
は、前記車軸より大径状の円形部と、一対の相対向する膨出部の間に形成され、前
記円形部を部分的に前記凸部の周縁に開放する間隙部とを有し、前記円形部には前
記車軸が回転自在に嵌合されたことを特徴とする樹脂製収納箱の移動車取付構造。
   【請求項2】前記双方の膨出部の間隙部と前記凸部の周縁との間に切り欠き
溝が形成され、前記円形部が前記間隙部と前記切り欠き溝とを介して前記凸部の周
縁に開放されたことを特徴とする請求項1記載の樹脂製収納箱の移動車取付構造。
  (2) 本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。)
   【請求項1】上面開口状の容器体と前記上面を覆う蓋体とからなる樹脂製収
納箱の前記容器体下部に、収納箱を移動させるための移動車が設けられた構造にお
いて、前記移動車は、一体成形された複数の車輪と該複数の車輪を連結する車軸と
からなり、前記容器体下部には切り欠きを有する凸部が突設され、前記切り欠き
は、前記車軸より大径状の円形部と、一対の相対向する膨出部の間に形成され、前
記円形部を部分的に前記凸部の周縁に開放する間隙部とを有し、前記円形部には前
記車軸が回転自在に嵌合されているとともに、前記車軸は最も内側の車輪の内側面
より突出する突出部を有し、該突出部は容器体下部に形成された軸受部に受容され
ていることを特徴とする樹脂製収納箱の移動車取付構造。
   【請求項2】の記載は(1)と同じ。
 3 本件審決の理由の要旨
   本件審決は、訂正請求に係る訂正は、平成5年法律第26号附則4条2項に
より読み替えられた同法による訂正前の実用新案法(以下「旧法」という。)40
条2項ただし書各号に規定する要件に適合しないので認められないとし、本件考案
の要旨を訂正請求前の本件明細書の実用新案登録請求の範囲記載のとおり認定した
上、本件考案は、「'90BEST SELECTION FALL&WINTER vol.11表紙、21頁、裏表
紙」(KIKUYA CO.,LTD.平成2年7月発行)、意匠登録第340290号公報、意匠
登録第788275号公報、株式会社バンダイ発売のおもちゃ「ハイコミカルモデ
ル、超時空要塞マクロス:スーパーバルキリー(商品名)」の写真及び遊び方の説
明図表裏、「Newtype(月刊ニュータイプ、創刊号)表紙、目次、135頁、裏表
紙」(角川書店昭和60年4月1日発行)、江崎グリコ株式会社の証明書、実公昭
63-27750号公報及び実公昭35-28014号公報に基づいて、当業者が
きわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件実用新案登録は、実
用新案法3条2項の規定に違反してされたものであり、旧法37条1項1号に該当
し、無効とすべきものとした。
第3 原告主張の審決取消事由
   本件審決が、本件考案の要旨を訂正請求前の本件明細書の実用新案登録請求
の範囲記載のとおりと認定した点は、訂正審決の確定により実用新案登録請求の範
囲が上記のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになる。本件審決は本件考案
の要旨の認定を誤った違法があり、取り消されなければならない。
第4 被告の主張
   訂正審決により本件明細書の実用新案登録請求の範囲が上記のとおり訂正さ
れたことは認める。
第5 当裁判所の判断
   訂正審決により本件明細書の実用新案登録請求の範囲が上記のとおり訂正さ
れたことは当事者間に争いがなく、本件訂正によって、本件明細書の実用新案登録
請求の範囲は減縮されたことが明らかである。
   そうすると、本件審決が本件考案の要旨を訂正請求前の本件明細書の実用新
案登録請求の範囲記載のとおり認定したことは、結果的に本件考案の要旨の認定を
誤ったこととなり、この誤りが本件審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである
から、本件審決は取消しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき
行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官   篠   原   勝   美
            裁判官   長   沢   幸   男
            裁判官   宮   坂   昌   利

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