平成13(行ケ)386行政訴訟 特許権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成13年12月27日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法29条2項2回 民事訴訟法62条1回
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キーワード |
審決19回 無効13回 特許権1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成13年(行ケ)第386号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成13年12月20日
判 決
原 告 テルモ株式会社
訴訟代理人弁護士 吉 原 省 三
同 小 松 勉
同 三 輪 拓 也
同 竹 田 吉 孝
訴訟代理人弁理士 中 澤 直 樹
被 告 株式会社 グッドテック
訴訟代理人弁理士 石 田 喜 樹
同 斉 藤 純 子
主 文
1 特許庁が無効2000-35241号事件について平成13年7月
18日にした審決のうち,「特許第2528011号の請求項2,3に係る発明に
ついての特許を無効とする。」との部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
1 原告の請求
(1) 主文第1項と同旨
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1) 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「カテーテル」とする特許第2528011号(平成
1年12月20日出願,平成8年6月14日設定登録,以下「本件特許」といい,
その発明を「本件発明」という。)の特許権者である。
被告は,平成12年5月2日,本件特許に関し,請求項1ないし3の特許を
無効にすることについて審判を請求し,特許庁は,これを無効2000-3524
1号事件として審理した。原告は,上記事件の審理の過程において,同年8月21
日付けで本件特許の願書に添付した明細書の訂正を請求した(以下「本件第1次訂
正請求」という。)。特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成13年7月1
8日,「訂正を認める。特許第2528011号の請求項1に係る発明についての
審判請求は,成り立たない。特許2528011号の請求項2,3に係る発明につ
いての特許を無効とする。」との審決をし,同年8月2日に,その謄本を原告に送
達した。
(2) 審決の理由
審決の理由は,要するに,①本件第1次訂正請求に係る訂正事項は,特許請
求の範囲の減縮及び誤記の訂正に相当し,かつ,特許明細書又は図面に記載された
事項の範囲内の事項であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するもので
もないから,訂正を認める,②本件第1次訂正請求に係る訂正後の請求項1に係る
発明は,審判甲第1号証及び第8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に
発明をすることができたものとは認められないから,これらにより請求項1に係る
特許を無効とすることはできない,③請求項2,3に係る発明は,審判甲第1号証
に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか
ら,請求項2,3に係る特許は,特許法29条2項に違反して登録されたものとし
て,無効とされるべきものである,というものである。
(3) 原告は,本訴係属中,平成13年9月6日付けで,本件特許出願の願書に添
付した明細書の訂正をすることについて審判を請求し,特許庁は,これを訂正20
01-39153号事件として審理した結果,平成13年11月2日に上記訂正を
することを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定し
た。
(4) 本件訂正審決による訂正の内容
(ア) 本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲の請求項2,3
「【請求項2】
内部にルーメンを形成し,先端部に開口を有する超弾性金属管により形成
された本体部と,該本体部の先端に取り付けられたカテーテルを誘導するための誘
導部と,先端部および基端部を有し,該基端部が前記本体部に取り付けられ,該先
端部が前記誘導部または前記本体部の先端部に取り付けられ,前記開口にて前記ル
ーメンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体とを有することを特徴とする
拡張体付カテーテル。」
【請求項3】
本体部と先端部とを有し,先端が開口する第1のルーメンを有する内管
と,該内管に同軸的に設けられ,本体部と先端部とを有し,前記内管の先端より所
定長後退した位置に設けられ,該内管の外面との間に第2のルーメンを形成する外
管と,先端部および基端部を有し,該基端部が前記外管に取り付けられ,該先端部
が前記内管に取り付けられ(判決注・本件審決書(甲第1号証)の請求項3の認定
(4頁1行~10行)及び本件訂正審決書(甲第6号証)の訂正前の請求項3の認
定(2頁下から4行~3頁6行)中に,「該先端部が前記内管に取り付けられ,」
との記載がないのは,誤記(脱落)と認める。),該基端部付近にて第2のルーメ
ンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体と,該内管の基端部に設けられ
た,前記第1のルーメンと連通する第1の開口部と,前記外管の基端部に設けられ
た前記第2のルーメンと連通する第2の開口部とを有し,前記内管および前記外管
の少なくとも一方の本体部は,超弾性金属管により形成されていることを特徴とす
るカテーテル。」
(イ) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲の請求項2,3(下線部が
訂正個所である。)
「【請求項2】
内部にルーメンを形成し,先端部に開口を有し,カテーテルの基端部で与
えた押し込み力の伝達性を高めるために超弾性金属管により形成された本体部と,
該本体部の先端に取り付けられたカテーテルを誘導するための誘導部と,先端部お
よび基端部を有し,該基端部が前記本体部に取り付けられ,該先端部が前記誘導部
または前記本体部の先端部に取り付けられ,前記開口にて前記ルーメンと連通する
収縮あるいは折り畳み可能な拡張体とを有することを特徴とする拡張体付カテーテ
ル。」
【請求項3】
本体部と先端部とを有し,先端が開口する第1のルーメンを有する内管
と,該内管に同軸的に設けられ,本体部と先端部とを有し,前記内管の先端より所
定長後退した位置に設けられ,該内管の外面との間に第2のルーメンを形成する外
管と,先端部および基端部を有し,該基端部が前記外管に取り付けられ,該先端部
が前記内管に取り付けられ(判決注・本件訂正審決書(甲第6号証)の訂正後の請
求項3の認定(3頁8行~18行)中に,「該先端部が前記内管に取り付けら
れ,」との記載がないのは,誤記(脱落)と認める。),該基端部付近にて第2の
ルーメンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体と,該内管の基端部に設け
られた,前記第1のルーメンと連通する第1の開口部と,前記外管の基端部に設け
られた前記第2のルーメンと連通する第2の開口部とを有し,前記内管および前記
外管の少なくとも一方の本体部は,カテーテルの基端部で与えた押し込み力の伝達
性を高めるために超弾性金属管により形成されていることを特徴とするカテーテ
ル。」
3 当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実の下では,本件特許請求の範囲請求項2,3に
ついては,特許法29条2項に違反して登録された特許であることを理由にこれら
の特許を無効とした審決(以下「本件無効審決」という。)の取消しを求める訴訟
の係属中に,特許請求の範囲の文言に係る訂正を含む訂正の審判の請求がなされ,
特許庁は,同請求について,審理の結果,特許請求の範囲の減縮を含むものと判断
した上,同請求を認めるとの本件訂正審決をし,これが確定したということができ
る。本件無効審決は,これにより,結果として,請求項2,3について,判断の対
象となるべき発明を特定すべき特許請求の範囲の文言の認定を誤ったことになる。
この誤りが本件無効審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,
本件特許請求の範囲請求項2,3に係る発明についての特許を無効とした本件無効
審決は,取消しを免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官 山 下 和 明
裁判官 設 樂 隆 一
裁判官 阿 部 正 幸
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