平成12(行ケ)152行政訴訟 特許権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成13年12月11日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法29条2項1回 民事訴訟法61条1回
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キーワード |
審決28回 刊行物3回 実施3回 特許権3回 無効2回 進歩性1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成12年(行ケ)第152号 審決取消請求事件
平成13年11月20日口頭弁論終結
判 決
原 告 株式会社アサミ
訴訟代理人弁護士 岡 澤 英 世
訴訟代理人弁理士 森 田 順 之
被 告 株式会社ケンユー
訴訟代理人弁理士 佐 々 木 重 光
主 文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
特許庁が平成10年審判第35376号事件について平成12年3月22日
にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「布地接着方法及び布団」とする特許第203787
8号の特許(平成3年8月9日に特許出願,平成8年3月28日に特許権設定登
録,以下「本件特許」という。)の特許権者である。
被告から,本件特許に関し,請求項1及び2の特許を無効にすることについ
て審判の請求がなされ,特許庁は,これを平成10年審判第35376号事件とし
て審理した結果,平成12年3月22日に,「特許第2037878号発明の明細
書の請求項1および2に記載された発明についての特許を無効とする。」との審決
をし,同年4月10日にその謄本を原告に送達した。
2 特許請求の範囲(別紙図面1参照)
(1) 特許請求の範囲第1項
「台布(12)と取付布(13)端部を接着する方法であって,接着面(1
3d)の幅方向略中央部に沿って接着より強固な取付方法により予め固着された延
出部(13c)を有する取付布(13)を台布(12)の所定接着部(1c)に接
着することを特徴とする布地接着方法。」(以下「本件発明1」という。)
(2) 特許請求の範囲第2項
「表裏の側地(1a,1b)間に隔壁布(2)を格子状に取付けて内部に小
区画室(5)を多数形成し前記小区画室(5)に羽毛等の充填物(6)を充填して
なる布団であって,接着面(2b)の幅方向略中央部に沿って接着より強固な取付
方法により予め固着された隔壁布(2)を側地(1a,1b)内面の所定接着部
(1c)に接着し取付けるとともに,縦または横一列に並ぶ前記小区画室(5)の
隔壁に並び方向に略一直線に配設された充填穴(2c)を設けたことを特徴とする
布団。」(以下「本件発明2」という。)
3 審決の理由
別紙審決書の理由の写しのとおりである。要するに,本件発明1は,本件特
許出願前西独国において頒布された刊行物である西独国特許第3943309号公
開公報(審判における甲第3号証,本訴における甲第4号証。以下「引用例1」と
いう。)記載の発明(引用例1の第1,第2,第6図で示されるもの。以下「引用
発明1」という。別紙図面2参照)から当業者が容易に発明をすることができたも
のであり,本件発明2は,引用発明1及び本件特許出願前国内において頒布された
刊行物である特開昭60-261413号公報(審判における甲第2号証,本訴に
おける甲第5号証。以下「引用例2」という。)記載の発明(以下「引用発明2」
という。)から当業者が容易に発明をすることができたものであり,いずれの発明
も,特許法29条2項に違反して特許されたものである,とした。
第3 原告主張の審決取消事由の要点
審決の理由中,1(出願の経緯・本件発明),2(請求人の主張),3(被
請求人の主張)及び4(甲第2号証および甲第3号証に記載された事項)は認め
る。5(対比.判断)は,5-1(本件発明1について)のうち,4頁23行の
「そして」から32行まで(本件発明1と引用発明1との一致点の認定に係る部
分),4頁33行から5頁5行まで(本件発明1と引用発明1との相違点の認定判
断に係る部分)は争い,その余は認める。5-2(本件発明2について)のうち,
5頁6行から21行まで(本件発明2と引用発明2との一致点・相違点の認定に係
る部分)は認め,その余は争う。
審決は,本件発明1と引用発明1との一致点の認定を誤り(取消事由1),
本件発明2と引用発明2との相違点の判断を誤り(取消事由2),本件発明1,2
の作用効果を看過し(取消事由3)たものであり,これらの誤りは,いずれも,本
件発明1又は同2に係る審決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから,審決
は,全部取り消されるべきである。
1 取消事由1(本件発明1と引用発明1との一致点の認定の誤り)
審決は,本件発明1と引用発明1とを対比して、「後者の「ブリッジ部材の
結合縁(7,7’または8,8’)」が前者における「取付布端部」に相当し、後
者の「結合縁の外面」,「中央部分」が,各々,前者における「接着面」,「延出
部」に相当するものと認められる。・・・後者のブリッジ部材も,結合縁(7,
7’または8,8’)の外面の幅方向中央部に沿って中央部分となる部分が互いに
縫合されたものである。」(審決書4頁23行~29行)と認定した。しかし,こ
の認定は,本件発明1の「取付布」と引用例1の「ブリッジ部材」の構成の相違を
看過したものであり,審決は,一致点の認定を誤っている。
(1) 本件発明1は台布(12)の所定接着部(1c)に取付布(13)端部を
接着する方法であり,取付布は接着面を有する取付布端部と延出部からなり,延出
部は取付布端部に接着より強固な取付方法によりあらかじめ固着されていて,その
固着は接着面(13d)の幅方向略中央部に沿ってなされている。そして取付布端
部(固着された延出部の反対面)には,台布に接着するために熱硬化性の接着剤が
あらかじめ塗布あるいは含浸されており,アイロンあるいは熱圧着機で熱を加え,
しかる後に冷却して取付布端部と台布とを接着する。
他方,引用発明1においては,本件発明1の取付布に相当する「ブリッジ
部材」は,2枚のストラップ(1,2)から形成され,両ストラップは同じ幅Bを
有し,上部縦縁3又は下部縦縁4から間隔Aを持つ線に沿って縫い目5,6により
互いに縫合されており,その上部縦縁及び下部縦縁に,折り曲げることが可能な板
状の結合縁(7と7’,8と8’)を対で有している。結合縁(7と7’,8と
8’)は接着剤又は接着フィルムによって掛け布団の上面又は下面に接着されてい
る。
本件発明1の「取付布」と引用発明1の「ブリッジ部材」の構成を比較す
ると,本件発明1においては,取付布延出部を,あらかじめ固着されている取付布
端部を介して台布に接着させている。取付布端部は取付布延出部を台布に結合させ
るために存在する。すなわち,本件発明1においては,取付布延出部はあらかじめ
取付布端部に固着され,この取付布端部を介在して台布に結合されている。この
「介在部を介在させる考え方」こそが本件発明1の特徴である。
これに対し,引用発明1においては,ブリッジ部材を構成する2枚のスト
ラップは,それぞれストラップ自体の端部である結合縁(7と7’,8と8’)を
掛け布団の上面又は下面に接着させていて,接着のための介在部を介在させていな
い。2枚のストラップは縫製されているが,これも接着のための介在部に固着させ
ているものではない。引用発明1のブリッジ部材は,本件発明1の取付布端部に相
当する接着のための介在部を有しておらず,ブリッジ部材それ自体が,直接,布団
の上面及び下面に接着されているのであって,引用発明1には「介在部を介在させ
る考え方」は開示されていない。
したがって,審決が,本件発明1と引用発明1とを対比して,「後者の
「ブリッジ部材の結合縁(7,7’または8,8’)」が前者における「取付布端
部」に相当し、後者の「結合縁の外面」,「中央部分」が,各々,前者における
「接着面」,「延出部」に相当するものと認められる」(審決書4頁23行~26
行)としているのは,明らかに誤りである。
また,「後者のブリッジ部材も,結合縁(7,7’または8,8’)の外
面の幅方向中央部に沿って中央部分となる部分が互いに縫合されたものである。」
(審決書4頁27行~29行)との認定が,ブリッジ部材は,本件発明1と同様
に,(延出部に相当する)中央部分が(取付布端部に相当する)結合縁に接着面
(13d)の幅方向略中央部に沿って接着より強固な取付方法によりあらかじめ固
着されている,という趣旨であるとすれば,明らかに誤りである。2枚のストラッ
プを縫合する際に結合縁の幅を同じにしてその外面の幅方向中央部に沿って中央部
分となる部分が互いに縫合されているという構成と,延出部が接着のための介在部
である取付布端部の接着面(13d)の幅方向略中央部に沿って固着されていると
いう構成は明らかに異なる。本件発明1では,引用発明1の「中央部分に相当す
る」とされているところの延出部となる部分が互いに縫合されているのではなく,
延出部は,引用例1の「結合縁」に相当するとされているところの取付布端部に縫
合されている。
引用発明1は,掛け布団内の充填物を位置的に安定させ,掛け布団内での
充填物の変移を阻止することを目的としており,同発明の「ブリッジ部材」は,こ
の区画を行うための隔壁となるものである。本件発明1において隔壁となるのは取
付布の延出部であるから,引用発明1の「ブリッジ部材」に相当するのは「取付布
の延出部」である。
(2) 羽毛布団の製造方法に関する,特願平10-38974号に係る特許公報
(甲第6号証)の発明と引用発明1の接着方法は基本的に同じであり,後者におけ
る縫合された2枚のストラップが前者における中央二重構造帯に相当し,後者にお
ける板状の結合縁が前者における糊代面に相当するものである。この特許公報は,
本件発明1について,「この架橋構造は,直接的に架橋用の布を布団地に接着剤で
取り付けないで一旦別の接着布nのみを接着剤層6で取り付け,この接着布nの中
央に間接的に架橋布1の端を縫い付けたものである。」(甲第6号証4欄10~1
3行)と述べ,従来技術として本件発明1を紹介している。
このように,布と布を接着するに際して,一方の布の端を,他の布に直接
接着する接着方法は,たといそれが2枚の布を重合したものであったとしても,接
着布(取付布端部に相当)という介在部を介して間接的に結合させるという接着方
法とは異なる,とするのが,当業者の認識なのである。
2 取消事由2(本件発明2と引用発明2との相違点の判断の誤り)
審決は,引用例1には,「接着面の幅方向略中央部に沿って予め固着された
隔壁布を側地内面の所定接着部に接着し取付けることが実質的に記載さ(れ)てい
るといえる。」(審決書5頁28行~30行),引用例1に「記載された事項も充
填される布団の隔壁布の取付けに関するものであることからみて,甲第2号証(判
決注・本訴における甲第5号証。引用例2)において,隔壁布を側地に縫い付けて
取付ける代わりに,甲第3号証(判決注・本訴における甲第4号証。引用例1)に
記載された隔壁布の取付け手段を採用して,接着面の幅方向略中央部に沿って予め
固着された隔壁布を側地内面の所定接着部に接着し取付けるようにすることは当業
者が容易に想到し得たことと認められる。」(審決書5頁31行~36行)として
いる。しかし,この認定判断は誤りである。
本件発明2は,接着面(2b)の幅方向略中央部に沿ってあらかじめ固着さ
れた隔壁布(2)を側地(1a,1b)内面の所定接着部(1c)に接着し取り付
けるものであり,隔壁布は,隔壁布延出部が隔壁布の端部に接着面の幅方向略中央
部に沿ってあらかじめ固着されているという構成である。
1に記載したとおり,引用発明1の構成は2枚のストラップを縫合する際に
結合縁の幅を同じにしてその外面の中央部分で縫合されるようにするという構成で
あって本件発明1の構成とは異なるから,引用発明2において,隔壁布を側地に縫
い付けて取付ける代わりに,引用発明1の隔壁布の取付け手段を採用しても,接着
面の幅方向略中央部に沿ってあらかじめ固着された隔壁布を側地内面の所定接着部
に接着し取付けるようにすることにはならない。このように,引用発明2に引用発
明1の取付け手段を採用しても,本件発明2の構成には至らない以上,同発明を,
上記両引用発明から容易に推考できるものとすることはできないのである。
3 取消事由3(本件発明1,2の作用効果の看過)
引用発明1のブリッジ部材は,布団の隔壁となるストラップ自体の端部を直
接布団の上面及び下面に接着させるものであるから,ストラップの材料として接着
テープを選択するという余地はない。すなわち,ストラップの結合縁に接着剤また
は接着フィルムでコーティングするという作業過程が必ず必要である。
また,ストラップの折り畳み過程で折り畳み部分の厚みにむらがあると,圧
着加工において過重にむらが生じ,均等な接着ができない。2枚のストラップを互
いに縫合して折り畳むという作業過程にはこの厚みのむらが生じやすい。
他方,本件発明1,2においては,取付布端部の接着面のみが台布または側
地と接着され,取付布延出部又は隔壁布はその端が取付布端部の接着面のほぼ中央
に縫合されればよいことから,取付布端部に接着テープを用いることができる。し
たがって,接着剤または接着フィルムでコーティングするという作業過程を省略す
ることができる。さらに,1枚の取付布延出部あるいは隔壁布からなっているた
め,圧着する際の折り畳まれた部分の厚みにむらが生じにくく,均一な接着が可能
となる。
このような作用効果からみても,引用発明1から当業者が本件発明1,2を
容易に想到することができたとの判断は誤りである。
第4 被告の反論
審決の認定判断は,正当であり,審決を取り消すべき理由はない。
1 取消事由1(本件発明1と引用発明1との一致点の認定の誤り)について
(1) 本件発明1は,従来例においては,接着部に垂直方向の引張力が加わる
と,接着部の一端にのみ剥離力が加わり,使用中に過大な引張力が加わると接着部
の剥離が生じ,ついには布同士が分離する結果となる問題点があったことから,こ
の問題点を解決するため,接着によりながらも取付力が従来の接着方法に比して強
い布地接着方法を提案することを目的としている。
本件発明1は,この目的を達成するために,請求項1記載の構成を採用
し,本件特許に係る明細書及び図面(以下,両者を含めて「本件明細書」とい
う。)には,実施例として,「延出布4の一方の端部4aに沿って前記基布3を接
着面を外方にして合わせ接着部2bの幅方向略中央部で糸15を用いて縫着により
取付け固着して接着端部となす」方法(甲第3号証5欄30行~33行,同号証の
図1(a),(b)及び(c))が記載されている。
本件発明1は,上記構成を採用したことにより,取付布の延出部に引張力
が加わると,接着より強固な取付方法で接着面の幅方向略中央部に固着された部分
の両側の接着部双方に同時に力が加わるので,耐剥離力が強いという効果を奏す
る。
引用例1に記載された発明は,①充填物を掛け布団内で位置的に安定させ
る,すなわち,掛け布団内での充填物の変位を阻止するように,かつ,組立てが簡
単で,しかも作業自動化手段により操作できるように,かつ,この種掛け布団によ
って得られる快適性が損なわれないように,ブリッジ部材を構成すること,②かな
りの機械的荷重の負荷が可能であるように,ブリッジ部材を構成することを目的と
している。
引用例1では,この目的を達成するために,甲第4号証の和訳7頁9行な
いし17行に記載された構成を採用し,その実施例として,図1,2,6で説明さ
れているブリッジ部材(以下「第1例」という。),図3,4,7で説明されてい
るブリッジ部材(以下「第2例」という。),図5,8で説明されているブリッジ
部材(以下「第3例」という。)が記載されており,第3例のブリッジ部材は,
「一体的に形成されている」(甲第4号証の和訳5頁17行~18行。別紙図面2
参照)。このような構成をとることによって,上記目的が達成される。
(2) 本件発明1の目的は,引用発明1の目的と実質的に同一である。
本件発明1では,取付布(13)又はその延出部(13c)の端部それ自
体を折り曲げて広幅の接着面(13d)を形成して,接着面(13d)に加わる垂
直方向の引張力を広幅の接着面(13d)の全面に分散させ,この部分の耐剥離力
を高めていると解することができる(図1(b),(c)。なお,本件明細書にお
いては,広幅とするために端部とはつながっていない「部分」を縫いつけたもので
ある図1(a)も,他の実施例と同様に取り扱われている。)。
引用発明1では,結合縁(7,7’又は8,8’)を広幅にするために,
ストラップ(1)の幅方向端側に上部縦縁(3)と下部縦縁(4)が縫い目(5,
6)によって縫着されている。ストラップ(1)の幅方向端側に形成されている結
合縁(7,7’又は8,8’)は,明らかに広幅にされ,上面(16),下面(1
7)に接着されている。縫い目(5,6)は,結合縁(7,7’又は8,8’)を
水平にしたとき,結合縁(7,7’又は8,8’)の幅方向略中央部に沿って延在
する。
したがって,引用発明1の「ブリッジ部材の結合縁(7,7’又は8,
8’)」が本件発明1における「取付布端部」に相当し、引用発明1の「結合縁の
外面」,「中央部分」が,各々,本件発明1における「接着面」,「延出部」に相
当し,引用発明1のブリッジ部材も,本件発明1の取付布と同じく,結合縁(7,
7’又は8,8’)の外面の幅方向中央部に沿って中央部分となる部分が互いに縫
合されたものであるとした,審決の一致点の認定に誤りはない。
(3) 原告は,本件発明1において,取付布延出部は取付布端部を介して台布に
接着されており,この「介在部を介在させる考え方」こそが本件発明1の特徴であ
り,この点において引用発明1とは異なる旨主張する。しかし,「介在部」という
用語や,「接着面となる取付布の端部が「介在部」である」といったことは,本件
明細書中の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明のいずれにも記載されておらず,
本件発明1では構成要件とされていない概念であり,認めることができない。
原告は,本件発明1は,「介在部」があり,それは,接着面となる,取付
布(13)又は延出部(13c)の端部であると主張する。しかし,本件発明1の
目的を達成するには,取付布(13)又は延出部(13c)の端部の接着面を広幅
とし,この部分に加わる剥離力を分散させればよい。上記目的が達成できるか否か
と,接着面のどこかの部分を「介在部」と呼称することとは,無関係である。
原告は,引用例1のブリッジ部材が2枚のストラップから形成されている
と主張する。しかし,引用例1には,同じ幅の2枚のストラップ(1,2)によっ
て構成されている第1例に限られず,さらに,図3,図4及び図7の第2例,並び
に,図5及び図8の第3例も記載されている(別紙図面2参照)。第2例では,第
1のストラップ1は幅Bを有し,より狭い幅Cを持つ他の2枚のストラップがそれ
ぞれ縫い目5と6とによってこれに結合されている。第3例では,結合縁(7,
8)は1枚のストラップによって一体的に形成されている。本件特許請求の範囲の
欄にも本件明細書の発明の詳細な説明の欄にも,取付布(13)は1枚の布によっ
て構成する旨の明確な記載はないのであるから,取付布(13)を構成する布の枚
数に差異があるとする原告の主張は無意味である。
(4) 甲第6号証について
甲第6号証には,確かに,原告が指摘するような内容が記載されている。
しかし,同号証は本件発明1の出願日(平成3年8月9日)前に頒布された刊行物
ではないから,同号証の記載をもって,本件発明1の出願日前の当業者の認識であ
るとすることはできないものというべきである。
2 取消事由2(本件発明2と引用発明2との相違点の判断の誤り)について
原告は,本件発明2についても,延出部が接着のための介在部である取付布
端部の接着面(13d)の幅方向略中央部に沿ってあらかじめ固着された隔壁布
(2)を側地(1a,1b)内面の所定接着部(1c)に接着し取り付ける構成で
あると主張する。しかし,「介在部」は本件特許請求の範囲及び発明の詳細な説明
のいずれにも記載されていない概念であることは,1で指摘したとおりである。
本件発明2における隔壁布(2)と,本件発明1における取付布(13)と
は,呼称は異なるものの機能は実質的に同じであることが明らかである。本件発明
2における「接着面の幅方向略中央部に沿ってあらかじめ固着された隔壁布を側地
内面の所定接着部に接着し取付ける」ことが引用例1に実質的に記載されていると
いえることは,1に記載したとおりである。ブリッジ部材を構成する布の数につい
ても,1に記載したとおりである。
3 取消事由3(本件発明1,2の作用効果の看過)について
(1) 原告の接着テープの選択・使用及び接着方法に関する作用効果の主張は,
本件明細書に全く記載されていない事項の主張であって,認めることができない。
(2) 本件発明1,2において両面接着テープを独自に調製する際には,布など
のテープ素材に接着剤を塗布する作業過程が必ず必要であり,両面接着テープを使
用することの作業工程の観点からは,本件発明1,2に格別に有利な効果はない。
引用例1には,ブリッジ部材を掛け布団14の上面16及び下面17に接
着する直前に,結合縁7と7’,8と8’に接着剤又は接着フィルムでコーティン
グする旨の記載がある。本件明細書にも記載されているように(甲第3号証2欄8
行~3欄9行),本件の出願日前には,多数の接着テープ,多数の接着剤が市販さ
れていたのであるから,結合縁にコーティングする接着剤又は接着フィルムに代え
て,これら市販されている接着テープ,接着剤の中から適したものを選ぶことは,
当業者にとっては容易に想到できることである。
ブリッジ部材を製造する際には,「…素材が柔軟で撥み性があり,しなや
か…」(甲第4号証の和訳の4頁最下行~5頁第1行)な布地を使用するので,布
地を折り畳む際に折り畳み部分に厚みむらが生じないように配慮するのは当業者の
常識であり,例外的に多少の厚みむらが生じても,熱圧着機による加熱・加圧操作
と,接着効果を左右するほどのものではない。
引用例1の図6,図7および図8には,ストラップを折り畳む際に布の厚
さで正確に折り畳めるような図が記載されており,折り畳み部分の厚みにむらが生
じないように配慮されている。これにより,作業自動化手段を用いて操作できるの
である(甲第4号証の和訳の5頁1行~3行参照)。
第5 当裁判所の判断
1 本件発明1,2の概要
甲第3号証(特許公報)によれば,本件発明1,2の概要は次のとおりであ
ると認められる(別紙図面1参照)。
(1) 技術的課題(目的)
「本発明は,布団等の寝具或いは衣類等の製造に利用して好適な布地接着方
法及び布団に関し,特に強度を向上した布地接着方法及び接着部の強度を向上した
布団に関する。」(甲第3号証2欄3行~6行)
「従来より布を素材とした衣類や寝具等の製造には,永らく用いられてきた
糸による縫着に加えて,接着による布同士の固定,取付けが行われている。」(2
欄8行~10行)
「こうした接着による取付けは,縫着と比較して簡便で熟練を要さず又縫い
目(ミシン目)が布地の表面に出ることも無いため外観も良好であるという利点が
ある。特に布団の製造に用いれば,外表面に針穴が全くなく仕上がるので使用に供
されても布団内にダニ等の虫が入り込むことが無く健康上または衛生上も好まし
い。更に充填物に羽毛を用いた羽毛布団では針穴から羽毛の先が突出して肌触りが
悪化したり生理的不快感を起こさせることもなく長期にわたって快適に使用するこ
とができ(る)製造方法として特に適している。」(3欄10行~19行)
「こうした布地の接着方法を用いた羽根布団及びその製造方法について従来
の一例を図6(a),(b)に沿って以下説明する。図6の羽根布団30は,袋状
の表裏の側地1a,1bの間に所定幅の隔壁布2’・・・を縦横に即ち格子状に前
記表裏の側地1a,1bに取付けて袋内部に介装させて布団内部に多数の小区画室
5・・・を形成しこの各小区画室内に充填物である羽毛6を充填した後側地1a,
1bの縁部を縁布1dを被覆して取付ける等適宜手段で封止して形成されてい
る。」(3欄20行~30行)
「上述した如き形態の布同士の接着または接着による布団に於いては,接着
部と垂直方向に引張力が加わると接着部の一端にのみ剥離力が加わる結果となる。
従って,使用中に過大な引張力が加わると接着部の剥離が生じ,ついには布同士が
分離する結果となり機能が損なわれる。本発明は,このような状況に鑑みてなされ
たもので,接着に依りながらも取付力が従来の接着方法に比して強い布地接着方法
を提案することを課題とする。併せて,この方法を用いるとともに格別の構造の布
団を提案することも課題とする。」(4欄4行~14行)
(2) 構成
「上記課題を解決するための本願発明(判決注・本件発明1)の方法は,台
布と取付布端部を接着する方法であって,接着面の幅方向略中央部に沿って接着よ
り強固な取付方法により予め固着された延出部を有する取付布を台布の所定接着部
に接着するものである。」(4欄16行~20行)
「本願他の発明(判決注・本件発明2)の布団は上述したと同様な接着方法
を用い,表裏の側地間に隔壁布を格子状に取付けて内部に小区画室を多数形成し前
記小区画室に羽毛等の充填物を充填してなる布団であって,接着面の幅方向略中央
部に沿って接着より強固な取付方法により予め固着された隔壁布を側地内面の所定
接着部に接着し取付けるとともに,縦または横一列に並ぶ前記小区画室の隔壁に並
び方向に略一直線に配設された充填穴を設けた構成とする。」(4欄21行~29
行)
(3) 作用効果
「本願の接着方法によれば,取付布の延出部に引張力が加わると接着より強
固な取付方法で接着面の幅方向略中央部に固着された部分の両側の接着部双方に同
時に力が加わるので,耐剥離力が強い。また,第2発明(判決注・本件発明2)の
布団では,表裏の側地間に固定される隔壁布が上述方法同様に接着されているため
取付が強固で壊れることがなく,また略一直線上の隔壁の充填穴から極めて容易に
各小区画室に順に充填物を充填することができる。」(4欄31行~38行)
2 取消事由1(本件発明1と引用発明1との一致点の認定の誤り)について
原告は,審決が,引用発明1の「ブリッジ部材の結合縁(7,7’または
8,8’)」が本件発明1における「取付布端部」に相当し、引用発明1の「結合
縁の外面」,「中央部分」が,各々,本件発明1における「接着面」,「延出部」
に相当する旨認定したのは,誤りである旨主張する。
(1) 甲第4号証によれば,引用例1には,次の記載があることが認められる。
ア 「充填される掛け布団の上面及び下面を結合させるためのブリッジ部
材」(甲第4号証の和訳1頁7行参照)
「充填される掛け布団(14),特に平羽根布団の上面(16)と下面
(17)を結合させるために使用されるものであって,掛け布団の上面および下面
と接着により結合され,且つ掛け布団の上面および下面に対してほぼ平行に延びる
縦長の形状を有し,側面図にて長方形を示し,撥み性のある柔軟な軌道状の繊維材
またはプラスチック材から製造されているブリッジ部材において,ブリッジ部材を
形成するストラップ(1,2)が,その上部縦縁および下部縦縁に,折り曲げ可能
な板状の結合縁(7,7’,8,8’)を対で有し,当該結合縁(7,7’,8,
8’)はその外面を接着剤または接着フィルムでコーティングされていることを特
徴とするブリッジ部材。」(特許請求の範囲第1項,甲第4号証の和訳7頁9行~
17行参照)。
イ 「本発明は,・・・充填物を掛け布団内で位置的に安定にさせ,即ち,
掛け布団内での充填物の変位を阻止するように,・・・,ブリッジ部材を構成する
ことを目的とするものである。さらに,かなりの機械的荷重を負荷可能であるよう
に,このブリッジ部材を構成することをも目的とするものである。」(甲第4号証
の和訳3頁17行~22行参照)。
ウ 「まず図1,図2および図6に図示したブリッジ部材について説明す
る。この種のブリッジ部材を製造するための素材は,2枚のストラップ1と2であ
る。ストラップ1と2は有利には繊維材(メリヤス加工物,編み物,織物)であ
り,同じ幅Bを有し,無端のストラップとして製造されている。両ストラップ1と
2は互いに密接するように並べられ,上部縦縁3または下部縦縁4から間隔Aを持
つ線に沿って・・・縫い目5,6により互いに縫合される。このようにして準備さ
れた無端のストラップは,図6に示すような形状に・・・なる。縫い目5と6によ
って境界付けられる板状の結合縁7,7’または8,8’は一つの面内で互いに離
れるように折り畳まれ,二重壁の中央部分10は平らになるように引っ張られ
る。・・・この折り畳みにより本来背の高いストラップは平坦になり,結合縁7,
7’または8,8’は,接着剤または接着フィルムによってはり合わされる。」
(甲第4号証の和訳4頁12行~25行参照)
エ 「ブリッジ部材は,次に所望の配置に応じて配分され,圧力と熱を作用
させて掛け布団14の上面16および下面17に接着される。」(甲第4号証の和
訳6頁15行~16行参照)
(2) 上記認定の甲第4号証の記載と同号証中の図1,図2,図6(別紙図面2
参照)によれば,引用発明1においては,耐剥離力を強めることを目的とし,この
目的を達成するため,ブリッジ部材の結合縁7と7’(8と8’も同じ)とで連続
した一面として形成される外面を,掛け布団の「上面」又は「下面」に接着される
「接着面」としていること,接着面の略中央部分に沿って,ブリッジ部材を構成す
る部分である「中央部分10」が立ち上がっていること,立ち上がり部分が2枚の
ストラップ1と2の縫い目5,6であること,これら全体が「ブリッジ部材」を構
成していること,が認められる。
上記認定によれば,本件発明1は,耐剥離力を強めるため,ブリッジ部材
の端部である結合縁7と7’及び8と8’を掛け布団の上面及び下面との接着面
7,7’及び8,8’とし,接着面の幅方向略中央部に沿ってブリッジ部材の一部
である中央部10が立ち上がっていること,2枚のストラップ1と2は立ち上がる
部分において縫い目5,6により互いに縫合されることにより,互いに,上記接着
面における接着より強固にあらかじめ固着されており,これら全体がブリッジ部材
を構成していることが明らかである。
上記認定の下では,引用発明1の「ブリッジ部材の結合縁」(7と7’及
び8と8’)は,掛け布団ないし台布に接着される部分である点において,本件発
明1の「取付布端部」に相当し,引用発明1のブリッジ部材の結合縁(7と7’及
び8と8’)の外面は,本件発明1の接着面に相当するということができる。ま
た,引用発明1の中央部分10は,接着面の幅方向略中央部に沿って固着され,立
ち上がっている点において,本件発明1の延出部に相当するものということができ
る。
原告は,本件発明1においては,取付布端部が取付布延出部を台布に接着
する際の介在部として機能しており,この介在部を介在させる考え方が本件発明の
特徴であるのに対し,引用発明1は介在部を介在させていないから,本件発明1と
引用発明1とは構成が異なる旨主張する。
しかしながら,原告の上記主張は,要するところ,本件発明1は,接着部
の一端にのみ剥離力が加わらないように,接着面の中央部に沿って接着力よりも強
固な取付方法により延出部を固着し,延出部に引張力が加わった場合に,固着され
た部分の両側の接着部双方に同時に力が加わるようにすることによって,耐剥離力
を強くすることをその技術的思想としているということを,接着部に「介在部」と
いう名称を与えることによって言い換えているだけのことであり,このような言い
換えをしたところで,本件発明1の実体が上記のものであることに何らの変化も生
じるわけでもないことは,いうまでもないところである。引用発明1の実体は,上
述のとおりであるから,本件発明1につき,取付布端部という介在部を介在させる
ものであるということができるとするならば,引用発明1についても,結合縁とい
う介在部を介在させるものであるとすることができることになるのである。また,
もし,原告のいう「介在部」が上記以上の意味を有するものであるならば,例え
ば,本件発明1における取付布端部と取付布延出部とは固着される前は別体のもの
であることが必要である(別紙図面1の図1(a)参照),とするならば,原告の
主張は,特許請求の範囲に基づくことなく本件発明1を認定せよというに等しいも
のであり,採用できないことが明らかである(別紙図面1の図1(b),(c)参
照)。
原告は,本件発明1の延出部は,引用発明1の中央部分のように互いに縫
合されているのではなく,取付布端部に縫合されている点において,引用発明1の
中央部分と異なる旨主張する。しかしながら,本件発明1の特許請求の範囲は,
「台布(12)と取付布(13)端部を接着する方法であって,接着面(13d)
の幅方向略中央部に沿って接着より強固な取付方法により予め固着された延出部
(13c)を有する取付布(13)を台布(12)の所定接着部(1c)に接着す
ることを特徴とする布地接着方法。」であり,そこでは,取付布端部と延出部との
固着の態様について格別の限定は付されていない。引用発明1のブリッジ部材は,
2枚の布が互いに縫合されて結合縁に固着されており,ブリッジ部材を構成する各
布の中央部分と結合縁部分とは,もともと一体のものでこれ以上ないほど強固に固
着しており,一方の布の中央部分と他方の布の結合縁部分も,互いに縫合されるこ
とによって強固に固着されているものであるから,引用発明1のブリッジ部材の中
央部分は,台布に接着される結合縁にあらかじめ接着よりも強固な方法により固着
されている点において,本件発明1の延出部と同じであるというべきである。原告
の主張は採用することができない。
原告は,引用発明1の「ブリッジ部材」は,掛け布団内での充填物の変移
を阻止するための区画を行うための隔壁となるものであり,本件発明1において隔
壁となるのは取付布の延出部であるから,本件発明1において,引用発明1の「ブ
リッジ部材」に相当するのは「取付布の延出部」である旨主張する。しかしなが
ら,本件発明についての障壁となるのは取付布全体ではなくその延出部である,と
の表現を引用発明1に当てはめれば,隔壁となるのは,「ブリッジ部材」全体では
なくその「中央部分」である,という表現になることは,上述したところに照ら
し,明らかである。
原告の主張は採用することができない。
(3) 原告は,甲第6号証の従来技術の記載(4欄10行~13行)が本件発明
1を紹介しているとして,布と布を接着するに際して,一方の布の端を,たといそ
れが2枚の布を重合したものであったとしても,他の布に直接接着する接着方法
は,接着布(取付布端部に相当)という介在部を介して間接的に結合させるという
接着方法と異なると当業者は認識している,旨主張する。しかしながら,原告が主
張の根拠とする甲第6号証の記載は,「すなわち,この架橋構造は,直接的に架橋
用の布を布団地に接着剤で取り付けないで一旦別の接着布nのみを接着剤層6で取
り付け,この接着布nの中央に間接的に架橋布1の端を縫い付けたものである。」
というものであり,そこで紹介されているのは本件発明1そのものではなく,せい
ぜい,その中の特定のものであるにすぎないことが明らかである。上記記載を,本
件発明1そのものを正確に把握した上でこれを表現したものであるとすることはで
きない。原告の主張は,採用できない。
(4) 以上のとおりであるから,審決の本件発明1と引用発明1との一致点の認
定に誤りは認められない。取消事由1は理由がない。
3 取消事由2(本件発明2と引用発明2との相違点の判断の誤り)について
原告は,本件発明2につき,引用発明2に引用発明1の取付手段を採用して
も本件発明1の構成には至らないとして,「甲第2号証(判決注・引用例2)に記
載された発明(判決注・引用発明2)において,隔壁布を側地に縫い付けて取付け
る代わりに,甲第3号証(判決注・引用例1)に記載された隔壁布の取付け手段を
採用して,接着面の幅方向略中央部に沿って予め固着された隔壁布を側地内面の所
定接着部に接着し取付けるようにすることは当業者が容易に想到し得たことと認め
られる。」(審決書5頁32行~36行)とした,審決の認定判断は誤りである旨
主張する。しかしながら,前記1で述べたところによれば,本件発明2における
「接着面の幅方向略中央部に沿って予め固着された隔壁布を側地内面の所定接着部
に接着し取付ける」という構成は,引用例1に記載されているということができる
から,引用発明2に引用発明1の取付手段を採用すれば,本件発明2の構成に至る
ことは,明らかである。取消事由2は理由がない。
4 取消事由3(本件発明1,2の作用効果の看過)について
原告が本件発明1,2の作用効果として主張する,①取付布端部に接着テー
プを用いることができ,接着剤又は接着フィルムでコーティングするという作業過
程を省略することができること,②圧着する際の折り畳まれた部分の厚みにむらが
生じにくく,均一な接着が可能になること,については,本件特許明細書には何ら
記載がない。記載されていない理由が,これらの作用効果が自明の作用効果である
ことによるのであれば,そのような作用効果が特許権の根拠になり得ないことは,
論ずるまでもないところである。また,自明の作用効果ではないとしても,自明で
ないにもかかわらず開示しないでおいて,これを特許性の根拠とすることは,許さ
れないことという以外にない。いずれにせよ,このような明細書に開示されていな
い作用効果を,本件発明1,2の進歩性の根拠とすることはできない。
取消事由3は,理由がない。
第6 以上によれば,原告主張の審決取消事由は,いずれも理由がなく,その他,
審決の認定判断にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。よって,原告の請求
を棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法6
1条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官 山 下 和 明
裁判官 設 樂 隆 一
裁判官 阿 部 正 幸
※ 別紙図面1として,甲第3号証の図1を,別紙図面2として,甲第4号証の図
面を,別紙として添付する。
別紙図面1 別紙図面2
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