平成12(行ケ)477行政訴訟 特許権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成13年10月30日 |
事件種別 |
民事 |
対象物 |
投影露光装置及び半導体装置の製造方法 |
法令 |
特許権
民事訴訟法62条1回 特許法29条1項3号1回
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キーワード |
審決14回 訂正審判3回 刊行物2回 特許権1回
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主文 |
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事件の概要 |
1 特許庁における手続の経緯
(1) 原告は、発明の名称を「投影露光装置及び半導体装置の製造方法」と
する特許第2908100号の発明(平成4年2月13日特許出願、平成11年4
月2日設定登録。以下「本件発明」という。)の特許権者である。 |
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判決文
平成12年(行ケ)第477号 特許取消決定取消請求事件(平成13年10月4
日口頭弁論終結)
判 決
原 告 三菱電機株式会社
訴訟代理人弁理士 高 瀬 彌 平
被 告 特許庁長官 及 川 耕 造
指定代理人 辻 徹 二
同 高 橋 美 実
同 大 野 覚 美
同 茂 木 静 代
主 文
特許庁が平成11年異議第74781号事件について平成12年10月1
9日にした決定を取り消す。
訴訟費用は各自の負担とする。
事 実
第1 請求
主文第1項と同旨
第2 前提となる事実
1 特許庁における手続の経緯
(1) 原告は、発明の名称を「投影露光装置及び半導体装置の製造方法」と
する特許第2908100号の発明(平成4年2月13日特許出願、平成11年4
月2日設定登録。以下「本件発明」という。)の特許権者である。
本件発明に対して、平成11年12月17日、特許異議の申立てがされ、同申立
ては平成11年異議第74781号事件として特許庁に係属したところ、原告は、
平成12年4月20日に本件発明に係る明細書(以下「本件明細書」という。)の
特許請求の範囲を訂正する旨の訂正請求をした。
特許庁は、同事件を審理した上、平成12年10月19日、「特許第29081
00号の請求項1、2に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」とい
う。別紙1決定書の写し参照)をし、その謄本は、同年11月15日、原告に送達
された。
(2) 原告は、本訴提起後の平成13年1月25日、本件明細書の特許請求
の範囲及び発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の減縮等を目的として訂正す
る訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2001-39012号
事件として審理した上、平成13年8月17日、上記訂正を認める旨の審決(以下
「本件訂正審決」という。別紙2審決書の写し参照)をし、その謄本は、同月29
日、原告に送達され、本件訂正審決は確定した。
2 本件明細書の特許請求の範囲の記載
(1) 本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲の記載
請求項1
「光源と、前記光源から発した光を回路パターンが形成されたマスク上に照射させ
る集光レンズと、
マスクを通過した光をウエハ表面に集光させる投影レンズと、
前記光源と前記集光レンズとの間に配置されると共に前記光源から発した光を成
形するための透過領域とこの透過領域内の中央部に形成された遮光領域とを有する
アパーチャー部材とを備え、
前記アパーチャー部材の透過領域の外径を前記投影レンズの瞳径に対する有効光
源の外径の比σが0.6±0.3となるように設定すると共に有効光源の外径によ
り決定される面積に対する有効光源内部の遮光領域の面積の比により定義される遮
光率を60±35%とし、有効光源及び遮光領域が共に円形である場合には、上記
遮光率を45~95%とすることを特徴とする投影露光装置。」
請求項2
「請求項1に記載の投影露光装置を用いてウエハへの回路パターンの焼き付けを
行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。」
(2) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲の記載(下線部が訂正箇
所である。)
請求項1
「光源と、前記光源から発した光を回路パターンが形成されたマスク上に照射さ
せる集光レンズと、
マスクを通過した光をウエハ表面に集光させる投影レンズと、
前記光源と前記集光レンズとの間に配置されると共に前記光源から発した光を成
形するための透過領域とこの透過領域内の中央部に形成された遮光領域とを有する
アパーチャー部材とを備え、
有効光源が円形であってかつ遮光領域が円形でない場合には、前記アパーチャー
部材の透過領域の外径を前記投影レンズの瞳径に対する有効光源の外径の比σが
0.6±0.3となるように設定すると共に有効光源の外径により決定される面積
に対する有効光源内部の遮光領域の面積の比により定義される遮光率を60±35
%とし、有効光源及び遮光領域が共に円形である場合には、上記σが0.6となる
ように設定すると共に上記遮光率を64%とすることを特徴とする投影露光装
置。」
請求項2
「請求項1に記載の投影露光装置を用いてウエハへの回路パターンの焼き付けを
行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。」
3 本件決定の理由の要旨
別紙1決定書の写しのとおり、本件決定は、上記1(1)の原告の平成12年4
月20日付けの訂正請求は認められないとして、本件発明の要旨を上記2(1)の
本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲に記載のとおりと認定した上で、請求
項1の本件発明は、本件発明の特許出願前に頒布された刊行物(1991年(平成
3年)秋季「第52回応用物理学会学術講演会」講演予稿集№2の601頁下から
13行ないし末行)に記載された発明と同一であり、請求項2の本件発明は、上記
刊行物に記載された発明と実質的に同一であるから、本件発明は、特許法29条1
項3号の規定に該当し、取り消されるべきであるとした。
第3 当事者の主張の要点
1 原告
上記1(2)のとおり、原告の平成13年1月25日付けの訂正審判請求に対し
てされた本件訂正審決による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであ
り、本件発明の特許を取り消した本件決定の取消しを目的とする本件訴訟の係属中
に、本件発明について特許請求の範囲の減縮を目的とする本件訂正審決が確定し
た。
そこで、本件決定が本件発明の要旨を上記2(1)の本件訂正審決による訂正前
の特許請求の範囲に記載のとおりと認定したことは誤りに帰し、この瑕疵は違法で
あるから、本件決定は取り消されなければならない。
2 被告
原告主張のとおり、本件発明について本件訂正審決が確定したことは認める。
理 由
1 本件訂正審決の確定により本件発明について特許請求の範囲が前記のとおり訂
正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって本件発明について特許請
求の範囲が減縮されたことは明らかである。
そうすると、本件決定が本件発明の要旨を本件訂正審決による訂正前の特許請求
の範囲に記載のとおりと認定したことは、結果的に誤りがあることになり、この誤
りは本件決定の結論に影響を及ぼすものとして違法であるから、本件決定は取消し
を免れない。
2 よって、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につ
き、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法62条を適用して、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第18民事部
裁判長裁判官 永 井 紀 昭
裁判官 塩 月 秀 平
裁判官 橋 本 英 史
別紙1 (本件決定書、甲第1号証)
別紙2 (訂正審判の審決書、甲第4号証)
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