平成13(行ケ)152行政訴訟 特許権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成13年9月27日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
特許権
特許法29条2項2回 民事訴訟法62条1回
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キーワード |
審決8回 特許権1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成13年(行ケ)第152号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 平成13年9月27日
判 決
原 告 トヨタ自動車株式会社
訴訟代理人弁護士 清 永 利 亮
訴訟代理人弁理士 小 林 茂 雄
被 告 特許庁長官 及 川 耕 造
指定代理人 蓑 輪 安 夫
同 鈴 木 久 雄
同 大 野 覚 美
同 大 橋 良 三
主 文
1 特許庁が平成11年異議第70505号事件について平成13年3月1
日にした決定中,特許第2785665号の請求項4(訂正2001-39086
号の審決による訂正前の請求項4であり,同審決による訂正後の請求項1であ
る。)に係る特許を取り消す旨の部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
1 原告の請求
(1) 主文1項と同旨
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1) 特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「自動車用シートベルト装置」とする特許27856
65号の特許(平成5年11月30日特許出願,平成10年5月29日設定登録。
以下「本件特許」という。)の特許権者である。
本件特許につき,特許異議の申立てがなされ,特許庁は,これを平成11年
異議第70505号事件として審理した結果,平成13年3月1日,本件特許の特
許請求の範囲の請求項4に係る特許を取り消す旨が含まれる決定をし,同年同月1
7日に,その謄本を原告に送達した。
(2) 決定の理由
本件特許の特許請求の範囲の請求項4に係る決定の理由は,要するに,同請
求項に係る特許は,特許法29条2項の規定に違反してなされたものであるから,
取り消されるべきである,とするものである。
(3) 原告は,本訴が係属中の平成13年6月4日,本件特許の出願の願書に添付
された明細書の訂正をすることについて審判を請求し,特許庁は,これを訂正20
01-39086号事件として審理した結果,平成13年7月23日に上記訂正を
することを認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし,これが確定した。
(4) 訂正審決による訂正の内容
ア 訂正審決による訂正前の請求項4の特許請求の範囲は,次のとおりであ
る。
「【請求項4】前記シートベルトアンカ(判決注・請求項1に記載された
「自動車のセンタピラーに取り付けられる,複数の部品からなるシートベルトアン
カ」を意味する。)の複数の部品には,前記シートベルトを支持するアンカプレー
トと,該アンカプレートを固定する,頭部を短く形成したボルトと,前記アンカプ
レートに取り付けられるキャップとが含まれ,前記変位許容間隔が前記ボルトの頭
部と前記キャップとの間に形成され,前記吸収手段が前記変位許容間隔内に配置さ
れるか,または前記キャップに設けられる,請求項1に記載の自動車用シートベル
ト装置。」
イ 訂正審決により,請求項4は,請求項1とされたうえ,特許請求の範囲を,
次のとおりにされた(下線部が訂正された箇所である。)。
「【請求項1】自動車のセンタピラーに取り付けられる,複数の部品からなる
シートベルトアンカと,該シートベルトアンカに滑り可能に支持されるシートベル
トとを備える自動車用シートベルト装置であって,前記シートベルトアンカの複数
の部品のうち少なくとも2つの部品の間に形成したエネルギ吸収のための,車室の
内側から車室の外方へ向く変位を許容する間隔と,該変位許容間隔内で車室の外方
へ向けて変位してエネルギを吸収する手段とを含み,前記シートベルトアンカの複
数の部品には,前記シートベルトを支持するアンカプレートと,該アンカプレート
を固定する,頭部を短く形成したボルトと,前記アンカプレートに取り付けられ前
記ボルトの頭部を覆うキャップとが含まれ,前記変位許容間隔が前記ボルトの頭部
と前記キャップとの間に形成され,前記吸収手段が前記変位許容間隔内に配置され
た,前記キャップと一体のリブであって該キャップから前記変位許容間隔内を伸び
るリブからなる,自動車用シートベルト装置。」
3 当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実によれば,本件特許の訂正前の請求項4につい
ては,特許法29条2項の規定に違反してなされた特許であることを理由に特許を
取り消した決定の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求の範囲
の減縮を含む訂正審決が確定したということになり,決定は,結果として,判断の
対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったものとなる。この誤りが決定の結論に影
響を及ぼすことは明らかである。したがって,決定は取消しを免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官 山 下 和 明
裁判官 設 樂 隆 一
裁判官 宍 戸 充
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