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平成13(ネ)3137民事訴訟 実用新案権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成13年9月25日
事件種別 民事
法令 実用新案権
民事訴訟法67条1回
キーワード 侵害8回
実用新案権5回
損害賠償2回
主文
事件の概要

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判決文

平成13年(ネ)第3137号損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成1
3年(ワ)第6712号)
平成13年9月11日口頭弁論終結
         判     決
控訴人        X
被控訴人      株式会社リコー
訴訟代理人弁護士 野  上  邦 五 郎
同 杉  本  進  介
同 冨  永  博  之
         主     文
 本件控訴を棄却する。
 当審における訴訟費用は,控訴人の負担とする。
         事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人
 原判決を取り消す。
 本件を東京地方裁判所に差し戻す。
2 被控訴人
 主文と同旨
第2 事案の概要
1 本件は,カッター装置付きテープホルダーに関する実用新案権(原判決のい
う「本件実用新案権」であり,その考案を「本件考案」という。)を有していた控
訴人が,被控訴人に対し,その製造販売に係る物件が,本件考案の技術的範囲に属
し,本件実用新案権を侵害するとして,不法行為に基づく損害の賠償(予備的に不
当利得の返還)を求めている事案である。
2 当事者の主張は,次の3のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」
の「第2 事案の概要」欄記載のとおりであるから,これを引用する(なお,当裁
判所も,「本件実用新案権」,「イ号物件」,「ロ号物件」,「ハ号物件」,「被
告物件」及び「前件訴訟」の語を,原判決の用法に従って用いる。)。
3 控訴人の当審における主張の要点
 原判決添付の別紙「イ号物件目録」,「ロ号物件目録」及び「ハ号物件目
録」を本判決添付の別紙「イ号侵害物(「カッター装置付きテープホルダー」)目
録」(以下「イ号目録」という。),「ロ号侵害物(「カッター装置付きテープホ
ルダー」)目録」(以下「ロ号目録」という。)及び「ハ号侵害物(「カッター装
置付きテープホルダー」)目録」(以下「ハ号目録」という。)に交換的に変更す
る。
 本判決添付のイ号目録ないしハ号目録において記載された各物件は,それぞ
れ原判決におけるイ号物件ないしハ号物件と実質的に同一とはいえないから,本件
訴えは,前件訴訟と同一の紛争を蒸し返すものではないというべきであって,信義
則に反せず,訴権の濫用に当たらない適法なものである。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所も,本訴訴えは,信義則に反し,訴権の濫用に当たり,不適法であ
る,と判断する。その理由は,次のとおり付加するほかは,原判決の「第3 当裁
判所の判断」に記載されたとおりであるから,これを引用する。
1 控訴人は,本判決添付のイ号目録ないしハ号目録は,それぞれ原判決添付の
別紙イ号物件目録ないしハ号物件目録と実質的に同一とはいえない旨主張するが,
本判決添付のイ号目録ないしハ号目録において記載されている各物件は,次に述べ
るとおり,原判決添付のイ号ないしハ号物件目録に記載されているイ号物件,ロ号
物件及びハ号物件とそれぞれ同一の物件であると認められる。
(1) 本判決添付のイ号目録は,その(簡便対比)の欄における,物件について
の「巻回テープ類である・・・装架した構造」(同目録2頁8行~19行)との記
載及び「本体において・・・截断することが〈で〉きる(点で交わる直角切断)」
(同目録3頁6行~9行)(引用文中における〈〉内の文字は,本判決において補
充したものである。以下同じ。)との記載が,原判決のイ号物件目録の(「簡便対
比」)の欄の「巻回テープ類である・・・装架した構造」(原判決8頁3行~14
行)との記載及び「本体において・・・截断するこ〈と〉ができる(点で交わる直
角切断)」(原判決8頁25行~9頁4行)との記載と同一であり,また,本判決
添付のイ号目録の図面として添付されている,物件の全体構造の部材位置を示す図
面は,原判決添付のイ号物件目録に添付されている図面と同一であり,部品の名称
も実質的に同一である。したがって,本判決のイ号目録に記載されている物件は,
原判決のイ号物件と同一の物件であると認められる。
(2) 本判決添付のロ号目録は,イ号目録の記載と図面を援用したうえで,一部
相違する点を記載しており,この相違する点についての記載も原判決のロ号物件目
録の記載と同一であるものと認められる。したがって,本判決添付のロ号目録に記
載されている物件は,原判決のロ号物件と同一の物件であると認められる。
(3) 本判決添付のハ号目録は,その(簡便対比)の欄における,物件について
の「巻回テープ類である・・・装架した構造」(同目録2頁8行~19行)との記
載及び「本体において・・・截断することが〈で〉きる(点で交わる直角切断)」
(同目録3頁6行~9行)との記載が,原判決のハ号物件目録の(「簡便対比」)
の欄の「巻回テープ類である・・・装架した構造」(原判決14頁3行~14行)
との記載及び「本体において・・・截断するこ〈と〉ができる(点で交わる直角切
断)」(原判決14頁25行~15頁4行)との記載と同一であり,また,ハ号目
録の図面として添付されている,物件の全体構造の部材位置を示す図面は,ハ号物
件目録に添付されている図面と同一であり,部品の名称も実質的に同一である。し
たがって,本判決のハ号目録に記載されている物件は,原判決のハ号物件と同一の
物件であると認められる。
2 原判決が認定したとおり,控訴人は,本件実用新案権侵害を理由に,被告物
件を製造販売していた被控訴人に対し,多数の損害賠償請求等の訴えを提起してい
るものであり,前件訴訟についても,同一の紛争を蒸し返すものとして,訴権の濫
用に当たり訴えが不適法とする旨の却下判決が確定しているにもかかわらず,本件
訴えを提起したものである。
  以上によれば,本件訴えは,信義則に反し,訴権を濫用した不適法な訴えで
あるというべきである。
3 よって,本件訴えは,その余の点について判断するまでもなく,不適法とし
て却下すべきであるから,これと同旨の原判決は相当である。そこで,本件控訴を
棄却することとして,当審における訴訟費用の負担について,民事訴訟法67条,
61条を適用して,主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第6民事部
           裁判長裁判官      山  下  和  明
              裁判官      設  樂  隆  一
 
              裁判官      宍  戸     充
別紙
イ号侵害物(「カッター装置付きテープホルダー」)目録   図 
ロ号侵害物(「カッター装置付きテープホルダー」)目録 
ハ号侵害物(「カッター装置付きテープホルダー」)目録   図 

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