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平成12(行ケ)473行政訴訟 特許権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成13年7月19日
事件種別 民事
法令 特許権
特許法29条2項2回
民事訴訟法61条1回
特許法131条2項1回
キーワード 審決11回
訂正審判1回
特許権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成12年(行ケ)第473号 特許取消決定取消請求事件(平成13年7月18
日口頭弁論終結)
          判         決
       原      告   ハウス食品株式会社
       訴訟代理人弁理士   須 藤 政 彦
       被      告   特許庁長官 及川耕造
       指定代理人      大 高 とし子
       同          田 中 久 直
       同          森 田 ひとみ
       同          宮 川 久 成
          主         文
      特許庁が平成11年異議第73254号事件について平成12年10
月20日にした決定を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は、名称を「ガゼットタイプの食品充填包装袋」とする特許第286
2464号発明(平成5年8月20日出願、平成10年12月11日設定登録、以
下、この特許を「本件特許」といい、本件特許に係る発明を「本件発明」とい
う。)の特許権者である。
    本件特許につき特許異議の申立てがされ、平成11年異議第73254号
事件として特許庁に係属したところ、原告は、平成12年4月4日、願書に添付し
た明細書(以下、単に「明細書」という。)の記載を訂正する旨の訂正請求をし、
さらに、同年10月2日に訂正請求書の補正をした。
    特許庁は、同特許異議の申立てにつき審理した上、同年10月20日、訂
正請求書の補正及び訂正請求をいずれも認めず、「特許第2862464号の請求
項1ないし4に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)を
し、その謄本は、同年11月13日、原告に送達された。
  (2) 原告は、平成12年12月12日、本件決定の取消しを求める本件訴えを
提起した後、平成13年4月11日、明細書の記載を訂正する旨の訂正審判の請求
をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2001-39055号事件として審理し
た上、同年6月25日、上記訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)
をし、その謄本は、同年7月9日、原告に送達された。
 2 設定登録時の明細書の特許請求の範囲の記載
  【請求項1】 ガゼットタイプの食品充填包装袋の上部及び下部のエンドシー
ル部分において、当該包装袋の背面の略中央に位置する背シール部分、及び当該包
装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分を含めて一体にシールさ
れており、かつ底部のエンドシール部分が背シール部分を折り曲げることなく当該
背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部
分の少なくとも一部が底部と接着されていることを特徴とするガゼットタイプの食
品充填包装袋。
  【請求項2】 底部のエンドシール部分の一部が背シール部分を折り曲げるこ
となく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エン
ドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されていることを特徴とする前記請求
項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
  【請求項3】 包装袋の包材が、少なくとも、その内側同士及び外側同士が接
着するヒートシール材質からなることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタ
イプの食品充填包装袋。
  【請求項4】 包装袋の包材が、水蒸気透過性0.5㏄/㎡・day以下の材質か
らなることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
 3 訂正審決によって訂正された明細書の特許請求の範囲(以下「訂正審決に係
る特許請求の範囲」という。)の記載(下線部が訂正部分である。)
  【請求項1】 OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCP
P、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装袋材料
からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋の上部及び
下部のエンドシール部分において、当該包装袋の背面の略中央に位置する背シール
部分、及び当該包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分を含め
て一体にシールされており、かつ底部のエンドシール部分が背シール部分を折り曲
げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当
該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されており、上部及び下部のエ
ンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形され
ていないことを特徴とするガゼットタイプの軽食品充填包装袋。
  【請求項2】 底部のエンドシール部分の一部が背シール部分を折り曲げるこ
となく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エン
ドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されていることを特徴とする前記請求
項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
  【請求項3】 包装袋の包材が、少なくとも、その内側同士及び外側同士が接
着するヒートシール材質からなることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタ
イプの食品充填包装袋。
  【請求項4】 包装袋の包材が、水蒸気透過性0.5㏄/㎡・day以下の材質か
らなることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
 4 本件決定の理由
   本件決定は、①訂正請求書の補正につき、補正事項が訂正請求書の要旨を変
更するものであるから、上記補正は特許法131条2項の規定(注、「平成11年
法律第41号による改正前の特許法120条の4第3項において準用する同法13
1条2項の規定」の趣旨と解される。)により認められないとし、②訂正請求につ
き、訂正に係る明細書記載の発明が特許法29条2項の規定により特許出願の際独
立して特許を受けることができないものであるから、上記訂正は、特許法120条
の4第3項で準用する特許法126条4項の規定が、平成6年法律第116号附則
6条1項の規定によりなお従前の例とされることから適用される、改正前の特許法
126条3項の規定(注、「平成11年法律第41号による改正前の特許法120
条の4第3項において準用する同法126条4項の規定が、平成6年法律第116
号による特許法の改正の際に改正の上同法126条3項から同条4項とされたこと
に伴う平成6年法律第116号附則6条1項所定の経過措置により、上記訂正に対
しなお適用されることとなる同改正前の特許法126条3項の規定」の趣旨と解さ
れる。)に適合しないので認められないとし、③特許異議の申立てにつき、本件発
明の要旨を設定登録時の明細書の特許請求の範囲のとおり認定した上、本件発明
は、実公昭50-28974号公報、特開平2-152630号公報及び昭和63
年3月1日社団法人日本包装技術協会発行の「食品包装便覧」517頁~525頁
及び1544頁~1549頁の各記載に基づいて容易に発明をすることができたも
のであり、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるか
ら、同法113条2号に該当し、取り消されるべきであるとした。
第3 当事者の主張
 1 原告
   本件決定が、本件発明の要旨を設定登録時の明細書の特許請求の範囲のとお
り認定した点は、訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が訂正審決に係る特
許請求の範囲のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになるので否認する。
   本件決定が本件発明の要旨の認定を誤った瑕疵は、その結論に影響を及ぼす
ものであるから、本件決定は、違法として取り消されるべきである。
 2 被告
   訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が訂正審決に係る特許請求の範
囲のとおり訂正されたことは認める。
第4 当裁判所の判断
   訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が訂正審決に係る特許請求の範
囲のとおり訂正されたことは当事者間に争いがないところ、訂正審決に係る特許請
求の範囲は、これを設定登録時の明細書の特許請求の範囲と対比すると、新たな構
成要件が付加され、特許請求の範囲が減縮されたものであることが認められる。
   そうすると、本件決定が、本件発明の要旨を設定登録時の明細書の特許請求
の範囲のとおり認定した点は、結果的に誤りであったことに帰し、この要旨認定を
前提として、本件発明が、実公昭50-28974号公報、特開平2-15263
0号公報及び上記「食品包装便覧」に記載された発明に基づいて容易に発明をする
ことができたものと判断したことも誤りであったといわざるを得ない。そして、こ
の誤りが、本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件決定は、
瑕疵があるものとして、取消しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事
件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第13民事部
    裁判長裁判官  篠   原   勝   美
            裁判官   石   原   直   樹
            裁判官   宮   坂   昌   利

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