平成11(行ケ)439行政訴訟 実用新案権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成13年7月12日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
実用新案権
実用新案法3条2項2回 民事訴訟法62条1回
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キーワード |
審決19回 無効4回 実用新案権1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成11年(行ケ)第439号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成13年7月12日
判 決
原 告 コロナ産業株式会社
訴訟代理人弁理士 高 橋 詔 男
同 志 賀 正 武
同 渡 辺 隆
被 告 日本電球協同組合
訴訟代理人弁理士 尾 股 行 雄
同 清 水 千 春
主 文
特許庁が平成8年審判第8905号事件について平成11年10月29
日にした審決を取り消す。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
1 原告の請求
特許庁が平成8年審判第8905号事件について平成11年10月29日にし
た審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1) 特許庁における手続の経緯
原告は,考案の名称を「装飾電球用包装枠」とする実用新案登録第2013
753号の実用新案(昭和63年7月11日出願,平成6年4月6日登録,以下
「本件登録実用新案」といい,その考案を「本件考案」という。)の実用新案権者
である。
被告は,平成8年6月5日,本件登録実用新案を無効にすることについて審
判を請求し,特許庁は,これを平成8年審判第8905号事件として審理した結
果,同年12月3日,「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をした。被告
は,平成9年1月3日に同審決の取消を求める訴えを東京高等裁判所に提起し,同
裁判所は,平成11年6月8日上記審決を取り消すとの判決をし,同判決は確定し
た。特許庁は,上記審判事件につき,再度審理のうえ,同年10月29日に「登録
第2013753号実用新案の登録を無効とする。」との審決をし,同年12月1
日に,その謄本を原告に送達した。
(2) 審決の理由
審決の理由は,要するに,本件登録実用新案は,審判甲第1号証に記載され
た考案に基づいて,当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるか
ら,実用新案法3条2項の規定に違反してなされたものであり,同法37条1項1
号の規定に該当し,無効である,とするものである。
(3) 原告は,本訴が係属中の平成12年9月26日,本件実用新案登録の出願の
願書に添付された明細書の訂正をすることについて審判を請求し,特許庁は,これ
を訂正2000-39112号事件として審理した結果,平成12年11月8日に
上記訂正をすることを認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし,これが
確定した。
(4) 訂正審決による訂正の内容
(ア) 訂正審決による訂正前の実用新案登録請求の範囲
「コードに多数の豆電球が取付けられた装飾電球用包装枠であって,コード
収納用の凹溝と,該凹溝の側壁上縁にほぼ水平方向に連設された電球支持台と,該
電球支持台の基部上側に突設されたフックと,前記電球支持台の先端部に連設さ
れ,箱の側壁に当接する補助板とを有し,剛性のある合成樹脂で一体的に形成され
た,装飾電球用包装枠。」
(イ) 訂正審決による訂正後の実用新案登録請求の範囲(下線部が訂正個所で
ある。)
「コードに多数の豆電球が取り付けられた装飾用電球用包装枠であって,コ
ード収納用の凹溝と,該凹溝の側壁上縁にほぼ水平方向に連設された電球支持台
と,該電球支持台の基部上側に突設された2つの凸片を1組として構成したフック
及び電球支持台の中間部上側に突設された補助フックと,前記電球支持台の先端部
に連接され,箱の側壁に当接するように垂直となっていると共に,前記電球支持台
の上下方向に伸びている補助板とを有し,剛性のある合成樹脂一体的に形成された
装飾電球用包装枠。」
3 当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実によれば,本件実用新案登録請求の範囲につい
ては,実用新案法3条2項,37条1項1号の規定に違反して登録された実用新案
であることを理由に本件登録実用新案を無効とした審決の取消しを求める訴訟の係
属中に,当該登録実用新案の実用新案登録の請求の範囲の減縮を含む訂正の審決が
確定したということになり,審決は,結果として,判断の対象となるべき考案の要
旨の認定を誤ったものとなる。この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らか
である。したがって,審決は取消しを免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官 山 下 和 明
裁判官 宍 戸 充
裁判官 阿 部 正 幸
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