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平成13(ネ)1280民事訴訟 意匠権

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裁判所 控訴棄却 東京高等裁判所
裁判年月日 平成13年6月28日
事件種別 民事
法令 意匠権
民事訴訟法67条1項1回
特許法98条1項1号1回
キーワード 意匠権25回
差止3回
実施1回
侵害1回
主文 1 本件控訴を棄却する。2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事件の概要

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判決文

平成13年(ネ)第1280号意匠権侵害禁止請求控訴事件(原審・東京地方裁判所
平成12年(ワ)第17877号)
平成13年5月17日口頭弁論終結
判 決
   控訴人 A
   訴訟代理人弁護士 加 藤 貞 晴
   被控訴人 株式会社日本衛生センター
訴訟代理人弁護士 柳 井 健 夫
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人
 原判決を取り消す。
 被控訴人は,別紙目録1及び2記載の組立て屋根につき,その製造も販売も
販売のための展示もしてはならない。
 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
 この判決は,仮に執行することができる。
2 被控訴人
 主文と同旨
第2 当事者の主張
 本件は,控訴人が意匠権(登録番号第0840906号,登録平成4年3月
27日,意匠に係る物品 組立て屋根。以下その本意匠及び類似意匠に係る意匠権
を「本件意匠権」という。)を譲り受けたと主張して,被控訴人に対し,本件意匠
権に基づき,別紙目録1及び2記載の組立て屋根の製造及び販売並びに販売のため
の展示行為の各中止を求めた事案である。
 当事者の主張は,次のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」の
「第二 事案の概要」及び「第三 争点及びこれに関する当事者の主張」記載のと
おりであるから,これを引用する。
(当審における控訴人の主張の要点)
1 意匠権譲渡の登録は,意匠権譲渡についての効力発生要件であるものと,法
文で定められている。しかし,この原則の下でも,相続や合併などの一般承継につ
いては,登録がなくとも意匠権が移転することは,法文上明らかである。信託によ
る意匠権の移転についても,相続や合併などの場合と同様に,登録がなくともその
効力が生じるものと解すべきである。また,登録により意匠権の譲渡の効力が完成
するとしても,その登録がなされる前でも,一部の権利は移転しており,少なくと
も差止請求権は,移転していると考えるべきである。
2 被控訴人が,本件意匠権について通常実施権の設定を受け,その登録をして
いるとしても,一方で,信託の場合には,信託の登記がなくとも,信託関係を基礎
づける事情を知っていた第三者に対し,信託関係を主張することはできると解すべ
きであり,他方,被控訴人は上記事情を知っていたから,控訴人は,事情を知って
いた第三者である被控訴人に対し,本件意匠権を主張できるものというべきであ
る。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所も,控訴人の本訴請求は,理由がないから棄却すべきものであると
判断する。その理由は,次のとおり付加するほか,原判決の「第二 事案の概要一
 争いのない事実」及び「第四 当裁判所の判断」の一1(一)ないし(五)のとおり
であるから,これを引用する。
1 本件においては,控訴人が小沢工業から本件意匠権を譲り受けた旨の移転の
登録を受けたことについては,その主張もこれを認めるに足りる証拠もない。そし
て,意匠法36条,特許法98条1項1号は,意匠権の移転については,相続その
他の一般承継の場合を除いて,その旨の登録をしなければ,その効力が生じないと
規定しているのであるから,その移転の登録が認められない以上,控訴人が本件意
匠権を譲り受けたとの効力が生じていると認めることができないことは明らかであ
る。したがって,控訴人が本件意匠権を譲り受けたこと,すなわち,被控訴人が本
件意匠権を有していることを前提とする控訴人の被控訴人に対する本件差止請求
は,その余の点について判断するまでもなく,理由がないことが明らかである。
2 控訴人は,信託による意匠権譲渡については,相続や合併の場合などと同様
に移転の登録がなくとも意匠権譲渡の効力が生じるものと解すべきであると主張す
る。しかし,信託による意匠権譲渡が,相続や合併などの一般承継と異なり,特定
承継であることは論ずるまでもないことであり,特定承継である信託による意匠権
譲渡につき,法の明文に反してまで,これを相続や合併などの一般承継と同様に扱
うべき根拠も全く見いだすことができない。したがって,控訴人の上記主張は,到
底採用し得ない。また,控訴人は,意匠権の移転の登録がなされる前でも,意匠権
の一部の権利の移転の効力は生じており,差止請求権等は行使できる旨主張する
が,意匠権の移転の登録がなされる前に意匠権の一部の権利が移転するとの根拠は
全く不明であり,採用することはできない。
3 以上によれば,控訴人の本件請求は,その余の点について判断するまでもな
く理由がないことが明らかであるから,本件控訴を棄却すべきであり,控訴費用の
負担について,民事訴訟法67条1項,61条を適用して,主文のとおり判決す
る。
  東京高等裁判所第6民事部
    裁判長裁判官 山 下 和 明
        裁判官 設 樂 隆 一
        裁判官 宍 戸 充
別紙 目録1
  図面(一)
別紙 目録2
  図面(二)

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