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平成12(行ケ)214行政訴訟 特許権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成13年4月11日
事件種別 民事
法令 特許権
特許法29条2項1回
民事訴訟法61条1回
キーワード 審決6回
特許権3回
訂正審判1回
主文
事件の概要

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判決文

平成12年(行ケ)第214号 特許取消決定取消請求事件(平成13年3月28
日口頭弁論終結)
          判         決
       原      告   三菱マテリアル株式会社
       訴訟代理人弁理士   志 賀 正 武
       同          高 橋 詔 男
       同          青 山 正 和
       同          鈴 木 三 義
       被      告   特許庁長官 及 川 耕 造
       指定代理人      中 村 達 之
       同          小 林   武
       同          桐 本   勲
       同          大 野 覚 美
       同          内 山   進
          主         文
      特許庁が平成9年異議第74760号事件について平成12年5月8
日にした決定中、特許第2597449号の請求項11、12に係る特許を取り消
すとした部分を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は、名称を「研磨ヘッド及びリテイナの使用方法」とする特許第25
97449号発明(以下、この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。
    本件特許は、平成4年12月21日にサイベック・システムズが特許出願
をし、平成9年1月9日に設定登録を受けた後、サイベック・ナノ・テクノロジー
ズ・インクが特許権の譲渡を受けて同年7月28日にその旨の移転登録を受け、さ
らに、平成11年6月24日に原告が特許権の譲渡を受け、同年9月14日にその
旨の移転登録を受けたものである。
    本件特許の特許請求の範囲の請求項1~3、11~14につき特許異議の
申立てがされ、平成9年異議第74760号事件として特許庁に係属したところ、
サイベック・ナノ・テクノロジーズ・インクは、平成10年7月30日、明細書の
記載を訂正する旨の訂正請求をし、さらに、平成11年7月9日、原告が訂正請求
書の補正をした。
    特許庁は、同特許異議の申立てにつき審理した上、平成12年5月8日に
「特許第2597449号の請求項11、12に係る特許を取り消す。同請求項1
ないし3、13、14に係る特許を維持する。」との決定(以下「本件決定」とい
う。)をし、その謄本は、同月29日、原告に送達された。
  (2) 原告は、平成12年6月22日、本件決定中、特許第2597449号の
請求項11、12に係る特許を取り消すとした部分の取消しを求める本件訴えを提
起した後、平成13年1月15日、明細書の記載を訂正する旨の訂正審判の請求を
したところ、特許庁は、同請求を訂正2001-39006号事件として審理した
上、同年3月6日、上記訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」といい、訂正審
決に係る訂正を「本件訂正」という。)をし、その謄本は、同月16日、原告に送
達された。
 2 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項11及び同12の記載
 【請求項11】下端面にウエーハが支持されるキャリアと、上記キャリアの周囲
を覆うリテイナとを有する研磨ヘッドを用い、上記ウエーハ表面を研磨盤面と接触
させる動作を含む方法によりウエーハの表面を研磨する間、ウエーハに作用する横
方向の力に抵抗するため、上記キャリアの下方に、上記リテイナで囲まれたポケッ
トを形成するための、上記リテイナの使用方法であって、
  (a)上記接触の間、上記ウエーハの表面と上記研磨板面との間で上記リテイナが
上下に動くことを許容する工程と、
  (b)上記ウエーハ表面が上記研磨板面と接触していないときに上記ポケットを形
成させるために上記リテイナを上記研磨ヘッドに支持させる工程とを含むことを特
徴とするリテイナの使用方法。
 【請求項12】上記リテイナの動きを許容する工程は上記接触の間は上記リテイ
ナの位置がフローティングすることを許容する工程を含むことを特徴とする請求項
11に記載のリテイナの使用方法。
 3 本件訂正によって訂正された特許請求の範囲の請求項11及び同12の記載
(下線部が訂正個所である。)
 【請求項11】下端面にウエーハが支持されるキャリアと、上記キャリアの周囲
を覆うリテイナとを有する研磨ヘッドを用い、上記ウエーハ表面を研磨盤面と接触
させる動作を含む方法によりウエーハの表面を研磨する間、ウエーハに作用する横
方向の力に抵抗するため、上記キャリアの下方に、上記リテイナで囲まれたポケッ
トを形成するための、上記リテイナの使用方法であって、
  (a)上記接触の間、上記ウエーハの表面と上記研磨盤面との間の角度変化に対応
するために、上記リテイナが下方向に動くように空気又は他の流体の所定の圧力に
維持された正圧を作用させ、かつ上記リテイナが上下に動くことを許容する工程
と、
  (b)上記ウエーハ表面が上記研磨盤面と接触していないときに上記ポケットを形
成させるために上記リテイナを上記研磨ヘッドに支持させる工程とを含むことを特
徴とするリテイナの使用方法。
 【請求項12】下端面にウエーハが支持されるキャリアと、上記キャリアの周囲
を覆うリテイナとを有する研磨ヘッドを用い、上記ウエーハ表面を研磨盤面と接触
させる動作を含む方法によりウエーハの表面を研磨する間、ウエーハに作用する横
方向の力に抵抗するため、上記キャリアの下方に、上記リテイナで囲まれたポケッ
トを形成するための、上記リテイナの使用方法であって、
  (a)上記接触の間、上記ウエーハの表面と上記研磨盤面との間の角度変化に対応
するために上記リテイナが上下に動くことを許容する工程と、
  (b)上記ウエーハ表面が上記研磨盤面と接触していないときに上記ポケットを形
成させるために上記リテイナを上記研磨ヘッドに支持させる工程とを含み、
  上記リテイナは、研磨ヘッドの主要部にダイヤフラムで結合されており、
  上記リテイナの動きを許容する工程は上記接触の間は上記ダイヤフラムの両側
の空間に圧力差を付与してリテイナが下方向に動くように空気又は他の流体の正圧
を作用させ、かつ上記リテイナの位置がフローティングすることを許容する工程を
含むことを特徴とするリテイナの使用方法。
 4 本件決定の理由
   本件決定は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~3、11~14に係る
各発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~3、11~14記載のと
おり認定した上、①請求項11、12に係る各発明は特開昭56-146667号
公報(審判甲第2号証、本訴甲第3号証)に記載された発明に基づいて、当業者が
容易に発明をすることができたものであるから、請求項11、12に係る特許は、
特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである、
②特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の特許請求の範囲の請求項
1~3、13、14に係る特許を取り消すことはできないとした。
第3 当事者の主張
 1 原告
   本件決定が、特許請求の範囲の請求項11、12に係る各発明の要旨を本件
訂正前の特許請求の範囲の請求項11、12記載のとおり認定した点は、訂正審決
の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたため、誤りに帰した
ことになるので否認する。
   本件決定が特許請求の範囲の請求項11、12に係る各発明の要旨の認定を
誤った瑕疵は、その結論に影響を及ぼすものであるから、本件決定は、違法として
取り消されるべきである。
 2 被告
   訂正審決の確定により特許請求の範囲の請求項11、12の記載が上記のと
おり訂正されたことは認める。
第4 当裁判所の判断
   訂正審決の確定により、特許請求の範囲の請求項11、12の記載が上記の
とおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって、新たな構成要
件が付加されたことにより、上記各請求項に係る特許請求の範囲が減縮されたこと
は明らかである。
   そうすると、本件決定が、特許請求の範囲の請求項11、12に係る各発明
の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の請求項11、12記載のとおりである旨認
定したことは、結果的に誤りであったことに帰し、この要旨認定を前提として、請
求項11、12に係る各発明が特開昭56-146667号公報(甲第3号証)に
記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたと判断したこ
とも、誤りであったものといわざるを得ない。そして、この誤りが、本件決定中、
特許第2597449号の請求項11、12に係る特許を取り消すとした部分の結
論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件決定の上記部分は、瑕疵があるも
のとして、取消しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事
件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第13民事部
    裁判長裁判官  篠   原   勝   美
            裁判官   石   原   直   樹
            裁判官   宮   坂   昌   利

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