平成12(行ケ)224行政訴訟 実用新案権
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裁判所 |
東京高等裁判所
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裁判年月日 |
平成13年1月31日 |
事件種別 |
民事 |
法令 |
実用新案権
民事訴訟法61条1回 実用新案法37条1項1号1回
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キーワード |
審決23回 無効13回 訂正審判1回 無効審判1回 実用新案権1回
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主文 |
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事件の概要 |
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判決文
平成12年(行ケ)第224号 審決取消請求事件(平成13年1月22日口頭弁
論終結)
判 決
原 告 ミサワホーム株式会社
代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁理士 木 下 實 三
同 中 山 寛 二
同 石 崎 剛
被 告 積水化学工業株式会社
代表者代表取締役 B
訴訟代理人弁理士 浜 本 忠
同 佐 藤 嘉 明
同 高 橋 邦 彦
主 文
特許庁が平成10年審判第35118号事件について平成12年5月
8日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
主文と同旨
2 被告
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
(1) 原告は、名称を「プレファブ住宅ユニット」とする実用新案登録第250
0969号考案(平成元年9月26日実用新案登録出願、平成8年3月28日設定
登録、以下「本件考案」という。)の実用新案権者である。
被告は、平成10年3月19日、本件実用新案登録につき無効審判の請求
をし、特許庁は、同請求を平成10年審判第35118号事件として審理した上、
平成12年5月8日、「登録第2500969号実用新案の登録を無効とする。」
との審決(以下「本件無効審決」という。)をし、その謄本は同月29日原告に送
達された。
(2) 原告は、本件無効審決の取消しを求める本訴提起後の平成12年9月29
日、本件実用新案登録出願の願書に添付された明細書及び図面を訂正する旨の訂正
審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2000-39114号事件と
して審理した上、同年11月14日、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正
審決」という。)をし、その謄本は同年12月4日原告に送達された。
2 実用新案登録請求の範囲の記載
(1) 本件訂正審決による訂正前の実用新案登録請求の範囲の記載
予め箱形に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に
設置されるプレファブ住宅ユニットであって、
このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長
さの棒状のコーナ結合材が配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネル
の側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ
結合材を介して連結されてなり、
前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り
金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするプレファブ住宅ユニット。
(2) 本件訂正審決による訂正後の実用新案登録請求の範囲の記載(注、訂正部
分を下線で示す。)
予め複数のパネルにより箱形に組み立てられて一括して吊り上げられるこ
とにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、
このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長
さを有し隣り合う2側面が直交する棒状のコーナ結合材がユニット外側に面して配
置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結
合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてな
り、このコーナ結合材を介して連結される一方の壁パネルの端面が厚み方向に渡っ
て前記コーナ結合材の一側面と当接し、他方の壁パネルの端面が前記コーナ結合材
の他の側面と前記一方の壁パネルとの双方に当接可能なようにし、前記コーナ結合
材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設け
てなることを特徴とするプレファブ住宅ユニット。
3 本件無効審決の理由
本件無効審決は、本件考案の要旨を本件訂正審決による訂正前の設定登録時
の実用新案登録請求の範囲記載のとおりと認定した上、本件考案は、特公昭61-
46624号公報及び特開昭50-98115号公報に基づいて当業者がきわめて
容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法3条2項の規定に該当
し、旧実用新案法37条1項1号(注、平成5年法律第26号附則4条1項の規定
によりなおその効力を有するものとされる同法による改正前の実用新案法37条1
項1号をいうものと解される。)の規定により無効とすべきものとした。
第3 当事者の主張
1 原告
本件無効審決が、本件考案の要旨を本件訂正審決による訂正前の設定登録時
の実用新案登録請求の範囲記載のとおりと認定した点は、本件訂正審決の確定によ
り実用新案登録請求の範囲が前示のとおり訂正されたため、誤りに帰したことにな
る。
本件無効審決が本件考案の要旨の認定を誤った瑕疵は、その結論に影響を及
ぼすものであるから、本件無効審決は違法として取り消されるべきである。
2 被告
本件訂正審決の確定により実用新案登録請求の範囲が前示のとおり訂正され
たことは認める。
第4 当裁判所の判断
本件訂正審決の確定により実用新案登録請求の範囲が前示のとおり訂正され
たことは当事者間に争いがなく、この訂正によって実用新案登録請求の範囲が減縮
されたことは明らかである。
そうすると、本件無効審決が、本件考案の要旨を本件訂正審決による訂正前
の設定登録時の実用新案登録請求の範囲のとおりと認定したことは、結果的に誤り
であったことに帰する。そして、これが本件無効審決の結論に影響を及ぼすことは
明らかであるから、本件無効審決は、瑕疵があるものとして取消しを免れない。
よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事
件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第13民事部
裁判長裁判官 篠 原 勝 美
裁判官 長 沢 幸 男
裁判官 宮 坂 昌 利
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