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平成8(ワ)11946民事訴訟 実用新案権

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裁判所 大阪地方裁判所
裁判年月日 平成12年8月24日
事件種別 民事
法令 実用新案権
キーワード 実施17回
実用新案権12回
侵害4回
新規性3回
無効2回
差止2回
刊行物1回
損害賠償1回
主文
事件の概要

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判決文

平成八年(ワ)第一一九四六号 実用新案権侵害差止請求事件
判   決
原       告 【A】
原       告 象印チエンブロック株式会社
右代表者代表取締役    【B】
右両名訴訟代理人弁護士  谷  口  由  記
右補佐人弁理士      【C】
同          【D】
被       告    バイタル工業株式会社
右代表者代表取締役    【E】
右訴訟代理人弁護士    下  垣  邦  彦
同            上  田     隆
  右補佐人弁理士      【F】
  主   文
  一 原告らの請求をいずれも棄却する。
  二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第一 請求
 一 被告は、別紙イ号ないしハ号物件目録記載の建方補助具を製造し、販売して
はならない。
 二 被告は、右建方補助具を廃棄せよ。
 三 被告は、原告【A】に対し、金九六〇万四二〇〇円及び内金三七九万七六四
〇円に対する平成八年一一月二八日から、内金五八〇万六五六〇円に対する平成一
一年一二月二五日から支払済みまでそれぞれ年五分の割合による金員を支払え。
 四 被告は、原告象印チエンブロック株式会社に対し、金二七〇五万〇九〇六円
及び内金八五五万四〇七五円に対する平成八年一一月二八日から、内金一八四九万
六八三一円に対する平成一一年一二月二五日から支払済みまでそれぞれ年五分の割
合による金員を支払え。
第二 事案の概要
   本件は、「建方補助具」の考案の実用新案権者及び専用実施権者である原告
らが被告に対し、被告の製造、販売する建方補助具は同考案の技術的範囲に属する
と主張して、その差止め等と損害賠償を請求した事案である。
 一 争いのない事実
  1 原告【A】(以下「原告【A】」という。)は、次の実用新案権(以下
「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」、その実用新案登録出願の願
書に添付した明細書を「本件明細書」という。)を有している。
   (一) 実用新案登録番号 第一九七〇一九二号
   (二) 考案の名称 建方補助具
   (三) 出 願 日 昭和六一年六月一一日(実願昭六一―八九六八三号)
   (四) 出願公告日 平成四年九月一八日(実公平四―三九九五九号)
   (五) 設定登録日 平成五年六月一〇日
   (六) 実用新案登録請求の範囲(第1項)
 レバーブロックに係止フックを軸支し、同係止フックの先端を内側に大きく楔状
に突出し、又前記レバーブロックと組合わせて使用するリンクチェンの一端に略L
形状フックを取付け、同フックの基端に長尺の棒を脱着自在に取付けたことを特徴
とする建方補助具。
  2 本件考案の構成要件を分説すれば次のとおりである。
   A レバーブロックに係止フックを軸支し、
   B 同係止フックの先端を内側に大きく楔状に突出し、
   C 又前記レバーブロックと組み合わせて使用するリンクチェンの一端に略
L形状フックを取付け、
   D 同フックの基端に長尺の棒を脱着自在に取り付けたこと
   E を特徴とする建方補助具
  3 原告象印チエンブロック株式会社(以下「原告会社」という。)は、平成
八年五月二三日、原告【A】から、本件実用新案権につき範囲を次の(一)ないし
(三)とする専用実施権の設定を受け、同年七月二二日にその旨の登録をした。
   (一) 地域 製造に関しては日本全域、販売に関しては九州全県を除く日本全

   (二) 期間 本件実用新案権存続期間満了まで
   (三) 内容 製造及び販売
  4 被告は、別紙ロ号物件目録及びハ号物件目録記載の建方補助具(以下それ
ぞれ「ロ号物件」、「ハ号物件」という。)を製造し、販売しており、少なくとも
過去においては、別紙イ号物件目録記載の建方補助具(以下「イ号物件」といい、
イ号ないしハ号物件を併せて「被告物件」という。)を製造し、販売していた。
  5 別紙イ号ないしハ号物件目録記載の被告物件の構成c、eは、それぞれ本
件考案の構成要件C、Eを充足する。
 二 争点
  1 被告物件は、本件考案の構成要件Aの「係止フック」を備えているか。ま
た、レバーブロックに係止フックを「軸支」する構成を備えているか。
  2 被告物件は、本件考案の構成要件Bの「係止フックの先端を内側に大きく
楔状に突出し」との構成を備えているか。
  3 被告物件は、本件考案の構成要件Dの「略L形状フックの基端に長尺の棒
を脱着自在に取付けた」との構成を備えているか。右の点で被告物件が本件考案と
異なるとしても、被告物件は本件考案と均等なものとして本件考案の技術的範囲に
属するか。
  4 本件考案は、出願前の公知技術により新規性がなく、登録が無効とされる
べきものか。
  5 損害の発生及び額
第三 争点に関する当事者の主張
 一 争点1について
  〔原告らの主張〕
  1 被告物件にはL字形部材3と腕杆10が存在し、右二部材からなる構成が本
件考案の構成要件Aの「係止フック」に該当する。
    被告は、本件考案にいう係止フックは、明細書の考案の詳細な説明及び図
面の記載に照らして一枚板からなるものであるのに対して、被告物件ではL字形部
材3と腕杆10の二部材からなるから、被告物件は係止フックを具備しない旨主張す
る。しかし、登録実用新案の技術的範囲は明細書の実用新案登録請求の範囲の記載
に基づいて定められるべきであり、明細書添付の図面は一実施例を示したものにす
ぎず、本件明細書には係止フックの説明に関し一枚板とか二枚板とかを問題にした
記載はない。
    本件考案にいう係止フックは、建方補助具のレバーブロック側の一端を、
継手部材や土台に挟み込む作用効果を有するフック形状をした部材を指すものであ
るから、明細書の実施例に限定されず、一部材か二部材かとか、一枚板か二枚板か
とかの差異があっても、すべて本件考案にいう「係止フック」に該当する。
 被告物件は、L字形部材3と腕杆10の二部材で、レバーブロック側の一端を継手
部材や土台に挟み込むものであるから、本件考案の係止フックを具備している。
  2 イ号物件では構成a1のとおり、ロ号物件及びハ号物件ではそれぞれ構成
a1、2のとおり、レバーブロック2に腕杆10が回転可能に支持される構成を備え
ているところ、「軸支」とは軸にある部材が周方向に回転可能に支持される状態を
いうから、被告物件はいずれも本件考案の構成要件Aの「レバーブロックに係止フ
ックを『軸支』し」を充足する。
    なお、イ号物件の回転部材21なるものはレバーブロックの仕様上取り付け
られているもので、わざわざ建方補助具用として取り付けたものではなく、たとえ
回転部材21を介していたとしても、レバーブロックに腕杆が軸支されていることに
変わりはない。
  〔被告の主張〕
  1 本件考案の構成要件Aにいう「係止フック」がいかなるものを意味するか
は、本件明細書の考案の詳細な説明と図面を参酌して理解すべきであり、それらの
記載からすると、係止フックは一部材のコの字形をした一枚板からなるものと解す
べきである。
 被告物件は、二枚板で形成される水平部25と一枚板で形成される垂直部24からな
るL字形部材3と、腕杆10とからなり、腕杆10の長手方向中央部にL字形部材3の
水平部25側端部を回動ボルト23によって回動可能に取り付けた構成であるから、本
件考案の「係止フック」に該当しない。
  2 本件考案においては、係止フック自体がレバーブロックに「軸支」される
構成であるのに対し、イ号物件では、レバーブロック2に回転部材21が回動自在に
取り付けられ、この回転部材21には腕杆10がボルト止めされており、また、ロ号及
びハ号物件は、必要に応じて、腕杆10の基端に開けた穴27にレバーブロックのフッ
ク8を引っかけて使用するものであり、いずれも係止フックがレバーブロックに軸
支されていないから、本件考案の構成要件Aの「レバーブロックに係止フックを
『軸支』し」の構成を充足しない。
 二 争点2について
  〔原告らの主張〕
  1 被告物件のL字形部材の先端部9の内側には、イ号ないしハ号物件目録の
部分拡大図記載のとおりの形状の突出部が存在するところ、これらの突出部の形状
は、本件考案の構成要件Bの「大きく楔状に突出し」に当たるから、被告物件は構
成要件Bを充足する。
    本件考案の係止フックの先端を内側に「大きく楔状に突出」させる意義
は、係止フックを土台にかませるときに、突出部で係止フックを土台に引っかけ
て、その後リンクチェンの緊張とともに突出部を土台に食い込ませ、レバーブロッ
クをしっかりと固定し、安定した作業ができるようにすることにある。この点被告
物件においても、L字形部材と腕杆で挟むものではあるが、L字形部材の先端部
は、土台に引っかけて、その後リンクチェンの緊張とともに土台に食い込ませる作
用効果を奏するから、本件考案と同じである。
    被告は、被告物件のL字形部材の先端は土台に「突き刺すように形成」さ
れていないと主張する。しかし、本件明細書には、係止フックの先端を土台に「突
き刺すように形成」するというような記載はない。本件明細書の考案の詳細な説明
の欄には、係止フックの先端を土台に少し打ち込むといった説明があるが、係止フ
ックの先端を少し打ち込んで使用するか、打ち込まずに使用するかは、使用方法の
優劣の問題であって、明細書の記載は好ましい使用方法を記載したものであるか
ら、先端を少し打ち込んで使用できる形状のものであれば、本件考案の「大きく楔
状に突出」を満たす。
  2 被告は、本件考案の出願経緯及び願書に添付された図面を根拠に、「大き
く楔状に突出」の意義を限定して解釈すべき旨を主張するが、出願人である原告
【A】が行った補正は技術的範囲の限縮ではなく、不明瞭な記載の釈明であり、
「楔状」という言葉が審査官には一見明白ではないために、「係止フックの先端を
内側に大きく楔状に突出し」と明確にしたものであり、図面の変更も行ってはおら
ず、当初の図面の形状の表現を明確にしたにすぎないのであって、右補正の経緯
は、考案の技術的範囲を減縮して解釈する理由にはならない。
  〔被告の主張〕
  1 本件考案の出願時には、実用新案登録請求の範囲中の係止フックの先端の
形状に係る部分は「係止フックの先端が楔状に形成され」とされていたが、平成三
年一二月二六日付けで拒絶理由通知がされたことから、出願人は、平成四年四月四
日付けの手続補正書により、「内側に大きく楔状に突出し」との限定を加えて補正
するとともに、同日付け意見書において、「本願考案のフックの一方は先端を内側
に大きく楔状に突出し、基礎の桁材に突き刺すようにして固定するので滑りなく確
実に固定できる。」と主張し、右補正及び主張を受けて、本件考案は出願公告の決
定に至ったものである。
    右出願経緯に照らせば、本件考案における係止フックは、先端が内側に大
きく楔状に突出することが必須の構成要件であり、しかも、この係止フックは基礎
の桁材に突き刺して固定する作用を有するものでなければならない。
    さらに、本件考案では、出願時には単なる「楔状」であったものが、後に
「内側に大きく楔状に突出」と補正されたものであるが、当初明細書には係止フッ
クを「内側に大きく楔状に突出」させることについては記載されておらず、ただ願
書に添付された図面に記載されていたにすぎない。したがって、右補正が要旨変更
に当たらないとすれば、補正後の右文言は図面に示された形状に基づいて限定され
るものと解される。しかるところ、本件考案の図面に記載される係止フックの先端
の楔状部は、係止フック全体の約一五パーセントに及ぶ長さを有し、尖角度が三〇
度に形成され、しかも先端が鋭く尖った形状であり、これ以外に、係止フックの先
端部の技術的手段の内容について説明する具体的記載はない。したがって、本件考
案の係止フックの先端の形状は右形状に限定されるべきである。右のような形状で
あるが故に、係止フックを基礎の桁材に突き刺して固定することができるのであ
る。
  2 イ号物件のL字形部材の形状は、イ号物件目録のイ号部分拡大図のとおり
であり、L字形部材3の先端部9の先端26は丸く形成されていて、土台に突き刺す
ようには形成されていない。
    ロ号及びハ号物件のL字形部材の形状は、ロ号及びハ号物件目録の各部分
拡大図のとおりであり、L字形部材3の先端部9の内面には、先端部9の幅のわず
か約五分の一の突出高さを有する突部26が形成されているにすぎないもので、しか
も突部26の先端角度は約九〇度に形成されているものであって、楔状を呈しておら
ず、土台に突き刺すようには形成されていない。
    したがって、被告物件は、いずれも「内側に大きく楔状に突出」するとの
構成を具備していない。
 三 争点3について
  〔原告らの主張〕
 被告物件の構成dは、本件考案の構成要件Dを充足する。被告物件においては、
略L字形状フック4の基端に一本目の長尺の棒20を溶接により固着し、長尺の二本
目の棒28と三本目の棒29をそれぞれ着脱自在に取り付けた構成であるから、文言上
は構成要件Dの「略L形状フックの基端に長尺の棒を脱着自在に取付け」たものに
該当しないとしても、次のとおり、被告物件は本件考案と均等なものとして本件考
案の技術的範囲に属するというべきである。
  1 均等の成立要件の一つである「対象製品と考案の構成との差異が考案の本
質的部分でない」とは、本質的部分に関する構成に差異があるか否かという観点で
判断すべきではなく、対象製品が考案の技術思想の範囲内にあるか否か、あるい
は、考案の課題の解決原理と同一の原理を採用しているか否かという観点で判断す
べきである。右観点から見れば、本件考案の本質的部分は、① リンクチェンが組
み合わされるレバーブロックに先端が内側に大きく楔状に突出した係止フックを軸
支する構成によって、部材の継手を容易に結合させることができ、また、柱の転び
を短時間で簡単に修正できること、② 略L字形状フックに長尺の棒を脱着自在に
取り付けた構成によって、フックを高い軒桁に容易に取り付けられ、しかも、運
送・保管の時には分離でき取扱いが容易であること、の二点にある。一本目の長尺
の棒を略L形状フックの基端に取り付けるか否かは本件考案の非本質的部分に属す
る。
    被告物件は、略L字形状フック4の基端に一本目の長尺の棒20が固着され
ているが、同フック4の長辺と一本目の長尺の棒20の長さの合計と、長尺の二本目
の棒28、三本目の棒29とほぼ同じ長さとし、二本目の棒28、三本目の棒29を着脱自
在にすることによって、右②の課題解決の原理ないし技術思想を実現しているので
あるから、考案の本質的部分は本件考案と同一である。
  2 本件考案の長尺の棒の脱着位置を被告物件におけるものと置き換えても、
本件考案の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏するものである。
    長尺の棒を構成要件とするのは、略L字形状フックを地面から高所(軒
桁)引っかけることができるという作用効果を奏するためであるが、長尺の棒のす
べてを右フックに固着させていないのは、使用時には必要な長尺の棒が保管や運搬
の際に邪魔になるからである。
 被告物件においては、一本目の長尺の棒20を同フック4の基端に取り付けるにつ
き、固着した場合と着脱自在に取り付けた場合のいずれの場合でも、同フック4の
長辺の長さと一本目の長尺の棒20の長さの合計が、二本目の棒28及び三本目の棒
29の長さとほぼ等しいことから、長尺の棒を取り付けた使用時と、取り外して保管
ないし運搬する時とで、物品の長さはほぼ同じになり、長尺の棒の取付け及び取外
しによる作用効果は全く同じである。
    したがって、一本目の長尺の棒20を同フック4に固着したものに置き換え
たとしても、考案の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏することにな
る。
  3 被告物件の長尺の棒の着脱位置を前記のようにすることは、当業者であれ
ば製造の時点において容易に想到することができたものである。
    被告物件の右のような構成は被告において案出したものではない。原告ら
は、略L字形状フック4の基端に一本目の長尺の棒20を溶接で固着しても、長尺の
二本目の棒28、三本目の棒29を分離してそれらを梱包した場合の商品の大きさはそ
れほど変わらず、使用時及び保管運搬時ともに支障はなかったことから、被告が製
造販売する以前から、右構成で製造販売していたものである。被告は、原告らによ
る右構成の実施品をそのまま模倣して、被告物件を製造、販売しているにすぎな
い。
  4 被告物件の構成は、本件考案の実用新案登録出願時における公知技術と同
一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではない。
    本件考案の出願時において、本件考案のようなリンクチェンが組み合わさ
れるレバーブロックを必須の構成とする公知技術はなかったし、当業者が公知技術
から容易に推考できたものではないから、被告物件は、本件考案の出願時における
公知技術とは同一ではなく、また、当業者が、本件考案の出願時に容易に推考でき
たものでないことは明らかである。
  5 本件考案の出願手続において、被告物件のように略L字形状フックの基端
に一本目の長尺の棒を固着する構成のものが意識的に除外されたなどの特段の事情
もない。
  〔被告の主張〕
  1 被告物件においては、略L字形状フック4の基端に一本目の長尺の棒20が
溶接により固着されており、着脱自在にはなっていないから、本件考案の構成要件
Dを充足しない。
  2 本件考案の本質的特徴は、一直線上に離れて配置された部材の継手を結合
する使用態様(本件公報第6図参照)と、柱の転び(傾き)を修正する使用態様
(本件公報第5図参照)のいずれにも対応できる建方補助具である点にある。
    右本質的特徴からすれば、本件考案の構成要件中の本質的部分は、① 係
止フックを軸支したレバーブロックのリンクチェンの一端の略L形状フックと、長
尺の棒とが脱着自在であること、及び、② 係止フックの先端が内側に大きく楔状
に突出していること、の二点にある。
    被告物件は、略L字形状フック4の基端で一本目の長尺の棒20を溶接によ
り固着しているから、柱の傾きを修正するという使用態様には対応できるが、一直
線上に離れて配置された部材の継手を結合する使用態様に対応するものではなく、
そのような使用態様に使用されている事実もない。仮に被告物件を右使用態様で用
いた場合には、溶接された一本目の長尺な棒が作業の邪魔になる。このことは、被
告物件の略L字形状フック4の短辺12の内側に軒桁の側面に密着させるための当て
板があることからも明らかである。
    したがって、被告物件は、本件考案の本質的部分において本件考案と構成
が相違しており、また、右の差異により、本件考案とは作用効果も相違している。
  3 被告物件は、次のとおり、本件考案の出願前の公知資料である実開昭六〇
―五五六五九公報(乙一一の1、2)記載の技術から、きわめて容易に考案し得た
ものである。
   (一) 被告物件のレバーブロックの部分が、右公知資料の物件においては、
張線器となっているが、張線器もレバーブロックの一種であり、共に二つの部材を
引き寄せる作用をする用具であり、いずれも当業者に広く知られた用具であるか
ら、単なる用語の置換にすぎない。
   (二) 被告物件のチェンの部分が、右公知資料の物件においては索条となっ
ているが、いずれも引張り力を伝達する巻取り可能な部材として広く知られている
ものであって、単なる素材の選択にすぎない。
   (三) イ号物件においては略L字形状フックの基端に、ロ号及びハ号物件は
レバーブロックの基端にそれぞれチェンを連結しているのに対し、右公知資料にお
いては、把手杆の基端に索条を連結しているが、索条ないしチェンの一端を長尺な
棒のいずれの端に連結したかの相違にすぎないもので、当業者がきわめて容易に選
択し得る事項である。なお、リンクチェンが組み合わされるレバーブロックは、本
件考案の出願前から周知の技術である。
   (四) 被告物件は、一本目の長尺の棒に二本目、三本目の長尺の棒を着脱自
在としているのに対し、右公知資料においては棒を着脱自在とするものではない
が、離れた所に届かせる用具を運搬等に便利なように継ぎ構造にすることは、釣り
竿等に見られるごとく本件考案の出願前に周知の技術であるから、当業者がきわめ
て容易に選択し得ることである。
 四 争点4について
  〔被告の主張〕
 本件考案出願前の公知資料である実開昭六〇―五五六五九号公開実用新案公報及
びマイクロフィルム(乙一一の1、2)には、「家屋の立て起し作業用具」につい
ての考案が開示されているところ、右公知資料と本件考案とを対比すると、右公知
資料の「張線器」が本件考案の「レバーブロック」に、「索条」が「リンクチェ
ン」に、「フック」が「略L形状フック」に対応し、右公知資料の「把手杆」が本
件考案の「長尺の棒」に対応する。唯一、右公知資料のクランプと本件考案の係止
フックとが相違しているが、これについて、原告らの主張するように、被告物件の
L字形部材と腕杆からなる構成(クランプ)が本件考案の係止フックに対応すると
するならば、本件考案は、その出願前に全部公知の技術であって、実用新案法三条
一項三号の新規性の規定に違反して登録されたものであり、その登録は無効とされ
るべきものとなるから、このような新規性を有していない権利の行使は、権利の濫
用として認められるべきではない。
   また、仮に本件実用新案権を有効なものと扱わなければならないとするなら
ば、被告物件は、右公知資料に記載された技術と同じ技術を実施したものにすぎな
いというべきであるから、本件実用新案権は被告物件には及ばない。
  〔原告らの主張〕
 被告主張の公知資料における張線器は、そもそも索条(ワイヤーロープ)を牽引
するものであり、レバー操作によりリンクチェンを緊張させるレバーブロックとは
明確に区別される。したがって、右公知資料には、柱の転びを修正するために、リ
ンクチェンと組み合わせて使用するレバーブロックを使用するという考えは、一切
記載されていない。
 五 争点5について
  〔原告らの主張〕
  1 原告【A】の損害
   (一) 被告は、平成八年四月二二日から、本件実用新案権について原告会社
に専用実施権を設定した同年七月二二日までの間に、イ号物件を二四〇台製造し
た。
     原告【A】が本件実用新案権の実施品であるフッカーMⅡ―50を製
造、販売することにより得られる利益は、一台につき八八八〇円であるから、これ
に被告の右販売台数を乗ずると、被告の右販売に伴う原告【A】の損害は二一三万
一二〇〇円となる。
   (二) 被告は、同年七月二三日から平成一一年一一月一二日までの間に、次
のとおり被告物件を合計一九九一台製造、販売した。
      販 売 期 間     イ号物件  ロ号物件  ハ号物件
    H8・7・23~H9・3・31  四八台  七〇〇台   三一台
    H9・4・1~H10・3・31       五七三台   一七台
    H10・4・1~H11・3・31       三四八台   一三台
    H11・4・1~H11・11・12       二四六台   一五台
     被告の右侵害行為がなければ、原告【A】は原告会社から一台につき三
〇〇〇円の実施料を取得できたから、これに被告の右販売台数を乗ずると、被告の
右販売に伴う原告【A】の損害は五九七万三〇〇〇円となる。
   (三) 原告【A】が本件訴訟の提起、遂行に要した弁護士費用、弁理士費用
としては、一五〇万円が相当である。
   (四) 以上合計 九六〇万四二〇〇円
  2 原告会社の損害
   (一) 被告は、原告会社が本件実用新案権について専用実施権の設定を受け
てから、前記1、(二)記載のとおり、被告物件を製造、販売した。
 原告会社が、本件考案の実施品を製造、販売することにより得られる一台当たり
の純利益の額は、ハ号物件に対応するMⅡ―80型フッカーについては二万四五五
六円、イ号物件及びロ号物件に対応するMⅡ―50型フッカーについては、平成八
年七月二三日から平成九年三月三一日までは一万一八九二円、平成九年四月一日か
ら平成一〇年三月三一日までは一万〇一九六円、平成一〇年四月一日から平成一一
年一一月一二日までは一万三三七九円であった。
     そうすると、専用実施権登録後の平成八年七月二三日以降の被告の侵害
行為がなければ得られたであろう原告会社の損害は、右期間中の平均純利益額に、
同期間に対応した被告の販売台数を乗じた金額であり、合計二四五五万〇九〇六円
となる。
   (二) 原告会社が本件訴訟の提起、遂行に要した弁護士費用、弁理士費用と
しては、二五〇万円が相当である。
   (三) 以上合計 二七〇五万〇九〇六円
  〔被告の主張〕
   原告らの右主張は争う。
 原告らは、本件考案の実施品を製造、販売しておらず、公知技術である乙一一な
いし一三の各1、2に記載された家屋の立て起こし作業用具をほとんどそのまま実
施した製品を製造、販売しているにすぎないから、損害額は実施料相当額とされる
べきである。
第四 争点に対する判断
 一 争点3(構成要件Dの充足性及び均等)について
  1 被告物件は、各構成dにおいて「略L字形状フック4の基端に一本目の長
尺の棒20を溶接により固着し、同フックの長辺と一本目の長尺の棒20の長さの合計
とほぼ同じ長さの長尺の二本目の棒28及び三本目の棒29をそれぞれ着脱自在に取り
付けた」ものであり、一本目の長尺の棒20が略L字形状フックの基端に着脱自在に
取り付けられていないから、本件考案の構成要件Dのように「略L形状フックの基
端に長尺の棒を脱着自在に取り付けた」ものではなく、両者では長尺の棒の脱着位
置に差異がある。したがって、被告物件の構成dは、文言上は本件考案の構成要件
Dを充足するとはいえない。
  2 そこで、この差異が均等であるとして本件考案の技術的範囲に含まれると
いえるかについて検討する。
  実用新案権侵害訴訟において、明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された
構成中に、相手方が製造等をする製品(以下「対象製品」という。)と異なる部分
が存する場合であっても、(1) 右部分が考案の本質部分ではなく、(2) 右部分を
対象製品におけるものと置き換えても、考案の目的を達することができ、同一の作
用効果を奏するものであって、(3) 右のように置き換えることに、当該考案の属す
る技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、対象
製品の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、(4) 対象製
品が、考案の実用新案出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願
時にきわめて容易に推考できたものではなく、かつ、(5) 対象製品が考案の実用新
案出願手続において実用新案登録請求の範囲から意識的に除外されたものに当たる
などの特段の事情もないときは、右対象製品は、実用新案登録請求の範囲に記載さ
れた構成と均等なものとして、考案の技術的範囲に属するものと解するのが相当で
ある(最高裁平成一〇年二月二四日判決・民集五二巻一号一一三頁参照)。
  3(一) 甲二によれば、本件明細書の考案の詳細な説明及び図面には次のよう
な記載があることが認められる。
   (1) 「産業上の利用分野」の項に「本考案は建屋の建方の際、部材の継手を
結合したり本締めの前に柱の転びを修正して建入れを行うとき等に使用する建方の
補助具に関する。」(別添実用新案公報1欄一三ないし一五行目)と記載され、本
件考案の建方補助具が、建方の際に、① 部材の継手を結合する場合と、② 柱の
転び(傾き)を修正する場合、の二つの場合に使用されるものであることが明示さ
れている。
   (2) 「従来の技術」の項に「建屋等の建方の途中で部材の継手が手で引寄せ
るだけではどうしても結合できない場合や建方が済んで各部の緊結をする前に柱の
転びを修正する必要のある場合がある。」(1欄一七ないし二〇行目)と記載され
ているほか、前記①の従来技術として「従来、この離れた継手を結合するときは木
槌で部材の端を叩いて結合していた。」(1欄二一ないし二二行目)と記載され、
②の方法に関する従来技術も具体的に記載されている(1欄二二行目ないし2欄五
行目)。
   (3) 「考案が解決しようとする問題点」の項に、前記①の使用方法の従来技
術の問題点として「この従来の部材の端を木槌で叩いて継手を結合するものでは力
に限りがあって容易に継手が合わない場合があるし、しかも足場の悪い高所での作
業ではバランスを失って危険であるという問題点があった。」(2欄一一ないし一
五行目)と記載され、また、②の方法の従来技術の問題点も具体的に記載されてい
る(2欄一六行目ないし3欄二行目)。
   (4) 「問題点を解決するための手段」の項に「本考案は……その目的とする
ところは、部材の継手を容易に結合させることができ、又、柱の転びを短時間で簡
単に修正することができ……る補助具を提供することにあり」(3欄一〇ないし一
五行目)、「そのための技術的手段として本考案の建方補助具では、レバーブロッ
クに係止フックを軸支し、同係止フックの先端を大きく楔状に突出し、又前記レバ
ーブロックと組み合わせて使用するリンクチェンの一端に略L形状フックを取付
け、同フックの基端に長尺の棒を脱着自在に取付けたことを特徴とする建方補助具
とした。」(3欄一五ないし二二行目)と記載されている。
   (5) 「作用」の項に「本考案の建方補助具では、部材の継手を結合するとき
レバーブロックに軸支した係止フックをその開口部から一方の部材に挿入すると共
に楔状に形成した先端を継手側に向けて部材の側面に少し打ち込む。(以下略)」
(3欄二四ないし四〇行目)と前記①の部材の継手を結合するときの作用が、ま
た、「柱の転びを修正するときは、係止フックをその開口部から外側に倒れた柱の
反対側の土台上面に挿入して先端を同土台側面に少し打込む。(以下略)」(3欄
四一行目ないし4欄六行目)と前記②の柱の転びを修正する場合の作用が記載され
ている。
   (6) 「実施例」の項に、本件考案の建方補助具を用いて、柱の倒れを修正す
るときと、部材の継手を結合させる場合の使用方法が説明されており、図面第5図
に前者の、第6図に後者の使用態様が図示されている。
   (7) 「考案の効果」の項に「本考案によれば……建家の建方のとき継手がき
つい部材を容易に合わせることができる。又柱の転びを素早く修正することができ
る。」(6欄一七ないし二〇行目)と記載されている。
   (二) 本件明細書及び図面の右記載に照らせば、本件考案は、① 部材の継
手を結合する場合と、② 柱の転び(傾き)を修正する場合の両方に使用し得るよ
うにすることを目的として、従来技術の問題点を解決するための手段を提供したこ
とに特徴を有する建方補助具であるということができる。
   (三) 本件考案の出願前の公知資料を検討すると、証拠(乙五、一一の1、
2、一三の1、2)によれば、本件考案の出願前に頒布された刊行物である特開昭
五三―七八六三三号公報(乙五)、実開昭六〇―五五六五九公報(乙一一の1、
2)及び実開昭五三―五八四三〇公報(乙一三の1、2)には、いずれも土台をフ
ックないしアンカーで固定し、軒桁をフックで固定し、右土台固定部と軒桁固定部
の間を綱、索条、管などで繋ぎ、その距離を引っ張るなどして調整し、柱の転びを
修正する建方補助具の発明ないし考案が記載されていることが認められる。
     このうち、実開昭六〇―五五六五九公報について見ると、その実用新案
登録請求の範囲第1項は、「木造家屋の柱を垂直状態に矯正するためのものとし
て、先端部に回動自在のフックが枢着された一定長さの剛性な把手杆と、その把手
杆の基端部に連繋された一定長さの可撓な索条と、その索条に一端部が係脱自在に
係止され且つ他端部にクランプが連繋されたレバー操作可能な張線器との組合わせ
から成り、その把手杆に対するフックの回動角度範囲を約九〇度に規制すると共
に、上記索条に複数の長さ調整環を設けたことを特徴とする家屋の立て起し作業用
具。」というものである。本件考案と右公知資料とを比較すると、本件考案のレバ
ーブロック、チェンが、それぞれ張線器、索条となっているが、いずれも二つの部
材の間を索条ないしチェンで繋ぎ、その距離を、張線器ないしレバーブロックで調
整するものであり、柱の転びを修正するという使用方法においては、機能的に同等
の役割を有している。しかし、右公知技術においては、フックが枢着された把手杆
の基端に索条を連結しているから、部材の継手を結合するという使用方法に用いる
ことはできず、右公知技術の公報にも、部材の継手を結合するという使用
方法についての記載はない。
     右公知技術との対比からいっても、本件考案の建方補助具は、柱の転び
(傾き)を修正する使用方法のみを目的としたものではなく、右使用方法に加え
て、部材の継手を結合する使用方法を可能にしたことに、従来技術にはない特徴が
あるものというべきである。
   (四) 本件考案の構成要件Dは、「略L形状フックの基端に長尺の棒を脱着
自在に取付けた」構成であるが、甲二によれば、右のような構成を採ったことによ
り、長尺の棒の先端を略L形状フックに固定して、棒で同フックを持ち上げ、高い
位置にある柱の軒桁に同フックを取り付けて(別添公報第4図)、柱の転びを修正
する作業ができ、他方で、部材の継手を結合させるときには、同フック基端から長
尺の棒を取り外すことにより、低い位置での継手結合作業をすることも可能とした
ものと認められるから、略L形状フックの「基端」に長尺の棒を脱着自在に取り付
けるという構成は、本件考案特有の課題解決手段を基礎付け、本件考案特有の作用
効果を奏するための特徴的部分であるというべきである。そうすると、右部分は、
本件考案の本質的部分に当たる。
     原告らは、本件考案の本質的部分は、① リンクチェンが組み合わされ
るレバーブロックに先端が内側に大きく楔状に突出した係止フックを軸支する構成
によって、部材の継手を容易に結合させることができ、また、柱の転びを短時間で
簡単に修正できること、② 略L形状フックに長尺の棒を脱着自在に取り付けた構
成によって、フックを高い軒桁に容易に取り付けられ、しかも、運送・保管の時に
は分離でき取扱いが容易であることの二点にあり、一本目の長尺の棒を略L形状フ
ックの基端に取り付けるか否かは非本質的部分であると主張するが、本件考案にお
ける部材の継手を結合するという使用目的の重要性とその使用態様を顧慮しないも
のであって、採用できない。
   (五) 被告物件においては、略L字形状フック4の基端に一本目の長尺の棒
20を溶接により固着しているから、部材の継手を結合する使用方法で用いた場合、
固着された一本目の長尺の棒は全く不要であって作業の邪魔になり、とりわけ低所
においては、一本目の長尺の棒が地面に当たり、事実上、部材の継手を結合すると
いう使用方法を実施することは著しく困難となるといわざるを得ない。したがっ
て、被告物件は、部材の継手を結合する使用方法を予定したものとは認められな
い。
   (六) そうすると、被告物件は、本件考案の本質的部分において本件考案と
差異があり、また、右差異により、本件考案の目的を達することができず、同一の
作用効果を奏するものではないから、置換可能であるともいえない。
     よって、被告物件は、前記均等の要件の(1)、(2)を具備しないから、本
件考案と均等なものとして本件考案の技術的範囲に属するものということはできな
い。
 二 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はい
ずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結の日 平成一二年六月一五日)
  大阪地方裁判所第二一民事部
     裁 判 長 裁 判 官   小  松  一  雄
       裁 判 官   阿  多  麻  子
       裁 判 官   前  田  郁  勝
別 紙
          イ 号 物 件 目 録
a1 レバーブロック2に枢支ピン22によって回転部材21が回動自在に取り付けら
れ、この回転部材21に腕杆10の端部をボルト8によって軸支し、
 2 腕杆10の長手方向中央部には、2枚板で形成される水平部25と1枚板で形成
される垂直部24からなるL字形部材3の水平部25側端部が回動ボルト23によって回
動可能に取り付けられ、
b L字形部材3の他端先端部9の内側には、別紙イ号部分拡大図記載のとおりの
形状の突出部を有し、
c レバーブロック2と組み合せて使用するリンクチェン16の一端に略L字形状フ
ック4を取り付け、
d 略L字形状フック4の基端に一本目の長尺の棒20を溶接により固着し、同フッ
クの長辺と一本目の長尺の棒20の長さの合計とほぼ同じ長さの長尺の二本目の棒
28及び三本目の棒29をそれぞれ着脱自在に取り付けた
e 建方補助具
  イ号図面 イ号部分拡大図
別 紙
          ロ 号 物 件 目 録
a1 レバーブロック2は回動自在に取り付けられたフック8を有し、
 2 腕杆10の端部には穴27が開いており、レバーブロック2のフック8が挿通す
ることが可能となっており、
 3 腕杆10の長手方向中央部には、2枚板で形成される水平部25と1枚板で形成
される垂直部24からなるL字形部材3の水平部25側端部が回動ボルト23によって回
動可能に取り付けられ、
b L字形部材3の他端先端部9の内側には、別紙ロ号部分拡大図記載のとおりの
形状の突出部を有し、
c レバーブロック2と組み合せて使用するリンクチェン16の一端に略L字形状フ
ック4を取り付け、
d 略L字形状フック4の基端に一本目の長尺の棒20を溶接により固着し、同フッ
クの長辺と一本目の長尺の棒20の長さの合計とほぼ同じ長さの長尺の二本目の棒
28及び三本目の棒29をそれぞれ着脱自在に取り付けた
e 建方補助具
  ロ号図面 ロ号部分拡大図
別 紙
          ハ 号 物 件 目 録
a1 レバーブロック2は回動自在に取り付けられたフック8を有し、
 2 腕杆10の端部には穴27が開いており、レバーブロック2のフック8が挿通す
ることが可能となっており、
 3 腕杆10の長手方向中央部には、2枚板で形成される水平部25と1枚板で形成
される垂直部24からなるL字形部材3の水平部25側端部が回動ボルト23によって回
動可能に取り付けられ、
b L字形部材3の他端先端部9の内側には、別紙ハ号部分拡大図記載のとおりの
形状の突出部を有し、
c レバーブロック2と組み合せて使用するリンクチェン16の一端に略L字形状フ
ック4を取り付け、
d 略L字形状フック4の基端に一本目の長尺の棒20を溶接により固着し、同フッ
クの長辺と一本目の長尺の棒20の長さの合計とほぼ同じ長さの長尺の二本目の棒
28及び三本目の棒29をそれぞれ着脱自在に取り付けた
e 建方補助具
  ハ号図面 ハ号部分拡大図

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