ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成24(行ケ)10436 審決取消請求事件
裁判所 | 請求棄却 知的財産高等裁判所 |
---|---|
裁判年月日 | 平成25年8月9日 |
事件種別 | 民事 |
当事者 | 被告特許庁長官 原告エヴォリューションロボティクス |
対象物 | 反射光源を使用する位置推定方法および装置 |
法令 |
特許権 特許法29条2項2回 |
キーワード | 審決63回 実施8回 進歩性7回 優先権1回 |
主文 | 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。第1 請求特許庁が不服2011-7706号について平成24年8月16日にした審決を取り消す。第2 前提事実 1 特許庁における手続の経緯訴外エヴォリューション ロボティクス インコーポレイテッド(以下「訴外エヴォリューション」という)は,発明の名称を「反射光源を使用する位置推定方法および装置」とする発明につき,平成17年3月25日に国際特許出願(優先権主張日:平成16年(2004年)3月29日(米国),特願2007-506413号。以下「本願」という。)をし,その後,平成18年11月30日付け,平成22年10月13日付けでそれぞれ手続補正をしたが,同年12月16日,拒絶の査定を受けたので,平成23年4月12日,不服の審判(不服2011-7706号)を請求し,併せて手続補正をした(以下「本件補正」という。)。特許庁は,平成24年8月16日,本件補正を却下した上で,「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をし,同月28日,その謄本を訴外エヴォリューションに送達した。訴外エヴォリューションは,その名称をフューチャー ヴィジョン ホールディングス インコーポレイテッドに変更した上,本願に係る特許を受ける権利を原告に譲渡し,原告は,平成24年12月12日,本願に係る特許を受ける権利を承継した旨を特許庁長官に届け出た。 2 特許請求の範囲の記載本件補正前後の特許請求の範囲(請求項の数は12である。)の請求項1の記載は次のとおりである(以下,本件補正前の請求項1の発明を「本願発明」といい,本件補正後の請求項1の発明を「本願補正発明」という。)。(1) 本件補正前の請求項1の記載「物体の位置を推定するための位置推定システムであって,上向きに光を放射してある面に少なくとも2つの光スポットを投射するための1つまたはそれ以上の光源と,前記少なくとも2つの光スポットからの反射光を検出するように前記物体に取り付けられた検出器と,前記少なくとも2つの光スポットの場所に基づいて前記物体の位置および姿勢を測定するためのデータ処理装置とを備え,前記少なくとも2つの光スポットのうちのある1つの光スポットは,第1の変調パターンで変調された光によって投射される一方,前記少なくとも2つの光スポットのうちの他の1つの光スポットは,前記第1の変調パターンとは異なる第2の変調パターンで変調された光によって投射され,前記検出器を備えた前記データ処理装置は,少なくとも第1の変調パターンおよび第2の変調パターンに基づいて2つの光スポットを識別するように構成される位置推定システム。」(2) 本件補正後の請求項1の記載「物体の位置を推定するための位置推定システムであって,上向きに光を放射してある面に,光反射部材を介することなく少なくとも2つの光スポットを投射するための1つまたはそれ以上の光源と,前記少なくとも2つの光スポットからの反射光を検出するように前記物体に取り付けられた検出器と,前記少なくとも2つの光スポットの場所に基づいて前記物体の位置および姿勢を測定するためのデータ処理装置とを備え,前記少なくとも2つの光スポットのうちのある1つの光スポットは,第1の変調パターンで変調された光によって投射される一方,前記少なくとも2つの光スポットのうちの他の1つの光スポットは,前記第1の変調パターンとは異なる第2の変調パターンで変調された光によって投射され,前記検出器を備えた前記データ処理装置は,少なくとも第1の変調パターンおよび第2の変調パターンに基づいて2つの光スポットを識別するように構成される位置推定システム。」(下線は補正箇所を示す。) 3 審決の理由(1) 審決の理由は,別紙審決書写しのとおりであり,その要点は次のとおりである。本願補正発明は,特開平5-257527号公報(甲1。以下「引用例1」という。)に記載された発明(以下「引用発明」という。)及び特開2002-82720号公報(甲2。以下「引用例2」という。)に記載された技術事項(以下「引用例2記載の技術事項」という。)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。したがって,本件補正は却下すべきものである。本願発明は,引用発明及び引用例2記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。(2) 審決が認定した引用発明,引用発明と本願補正発明の一致点及び相違点,引用例2記載の技術事項は,次のとおりである。ア 引用発明の内容「無人車20の現在位置及び方向を検出するためのシステムであって,天井に配設され,複数の光Eiを発するための複数の蛍光灯Liと,前記複数の光Eiを検出するように無人車20に搭載されたITVカメラ21及び受光ユニット22と,前記複数の光Eiの座標giに基づいて前記無人車20の位置P及び方向(姿勢)δを演算するための演算回路CPU33とを備え,前記複数の光Eiは,互いに異なる変調周波数Fiで変調され,前記ITVカメラ21及び受光ユニット22を備えた前記演算回路CPU33は,変調周波数Fiを照明灯データメモリ34のテーブルと照合して完全画像Li´に対応する実像が前記複数の光Eiであることを特定するように構成された無人車20の現在位置及び方向を検出するためのシステム。(ここで,i=1~Nである。)」イ 一致点「物体の位置を推定するための位置推定システムであって,少なくとも2つの光を形成するための1つ又はそれ以上の光源と,少なくとも2つの光を検出するように前記物体に取り付けられた検出器と,前記少なくとも2つの光の場所に基づいて前記物体の位置及び姿勢を測定するためのデータ処理装置とを備え,前記少なくとも2つの光のうちのある1つの光は,第1の変調パターンで変調される一方,前記少なくとも2つの光のうちの他の1つの光は,前記第1の変調パターンとは異なる第2の変調パターンで変調され,前記検出器を備えた前記データ処理装置は,少なくとも第1の変調パターンおよび第2の変調パターンに基づいて2つの光を識別するように構成される位置推定システム。」ウ 相違点本願補正発明では,「上向きに光を放射してある面に,光反射部材を介することなく少なくとも2つの光スポットを投射するための1つまたはそれ以上の光源と,前記少なくとも2つの光スポットからの反射光を検出する・・・」とあるように,上向きに光を放射する光源により,光反射部材を介することなく投射することで光スポットがある面に形成され,該形成されたスポットからの反射光を検出するようにしているのに対し,引用発明では,「天井に配設され,複数の光Eiを発するための複数の蛍光灯Liと,前記複数の光Eiを検出する・・・」とあるように,光Eiは,天井(本願補正発明の「ある面」に相当。)に配設された複数の蛍光灯Li(光源)により形成され,該形成された複数の光Eiを,ITVカメラ21及び受光ユニット22(検出器)が検出している点。要するに,本願補正発明は,光源から上向きに光を投射して,ある面に形成されたスポット光からの反射光を検出するのに対し,引用発明は,天井(ある面)に配設された蛍光灯からの直接光である光Eiを検出するものである点。エ 引用例2記載の技術事項「レーザーポインターを照射して床面上に光の目印(スポット)を形成し,該光の目印(スポット)を移動体に設けたセンサーユニットにより検出し,該光の目印(スポット)の相対座標を算定することにより移動体の位置を推定する技術。」第3 原告主張の取消事由審決には,本願補正発明の認定の誤り(取消事由1),引用発明の認定の誤り(取消事由2),引用例2記載の技術事項の認定の誤り(取消事由3),本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定の誤り(取消事由4)があり,その結果,本願補正発明の進歩性判断の誤り(取消事由5)があるから,審決は違法であり,取り消されるべきである。 1 取消事由1(本願補正発明の認定の誤り)本願補正発明の位置推定方法は,ある面に任意に投射された少なくとも2つの光(光スポット)からの反射光を検出し,当該反射光に基づいて光スポットに対する物体の相対的な位置および姿勢を推定するものであって,環境における物体の絶対的な位置を推定するものではない。審決は,この点を看過しており,本願補正発明の認定を誤っている。 2 取消事由2(引用発明の認定の誤り)(1) 審決は,引用発明について,「無人車20の現在位置及び方向を検出するためのシステム」と認定している。しかし,引用例1に記載された位置推定システムは,当該システムが天井に固定的に設けられた蛍光灯の座標をあらかじめ保有することを前提に,かかる座標に基づいて無人車の位置を推定するものであるから,推定される位置は,蛍光灯に対する相対的な位置ではなく,環境内における絶対的な位置である(引用例1の【0009】,【0012】,【0017】~【0022】,【0029】,図4)。審決の上記認定は,この点を看過しており,誤りである。(2) 審決は,引用発明について,「前記複数の光Eiを検出するように無人車20に搭載されたITVカメラ21及び受光ユニット22」を備えると認定している。しかし,引用例1に記載されたITVカメラ21は,光を検出するものではなく,蛍光灯の完全画像を撮影するものである(引用例1の【0012】,【0017】,【0018】,図4)。したがって,審決の上記認定は誤りである。(3) 審決は,引用発明について,「前記複数の光Eiの座標giに基づいて前記無人車20の位置P及び方向(姿勢)δを演算するための演算回路CPU33」を備えると認定している。しかし,上記(1)のとおり,引用例1に記載された位置推定システムは,当該システムにあらかじめ与えられた蛍光灯の座標及び蛍光灯の完全画像に基づくものであり,当該蛍光灯から発せられる光の座標に基づくものではない(蛍光灯の座標は蛍光灯から発せられる光の座標とは無関係である。)。したがって,審決の上記認定は誤りである。 3 取消事由3(引用例2記載の技術事項の認定の誤り)審決は,引用例2には,「光の目印(スポット)の相対座標を算定することにより移動体の位置を推定する技術」が記載されていると認定している。しかし,引用例2における移動体の位置の推定は,反射光に基づいて行われるものではなくシステムがあらかじめ目標位置の座標情報を保有することを前提に,移動体が当該目標位置に到達することにより,当該目標位置の座標として特定されるものである(引用例2の【0066】,【0095】,【0096】,【0099】)。引用例2に記載された移動体は,反射光を検出することにより移動体に対する目標位置の相対座標を算定するものではあるが,これは,移動体から光の目印までの距離,方向を算定するものにすぎず,かかる算定により目標位置に対する移動体の位置を推定することはできない。したがって,審決の上記認定は誤りである。 4 取消事由4(本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定の誤り)審決は,本願補正発明と引用発明との以下の相違点2及び3を看過しており,一致点の認定に誤りがある。(1) 相違点2の看過について本願の特許請求の範囲の「光スポットの場所に基づいて」は「光スポットの反射光に基づいて」と解釈されるべきである。したがって,本願補正発明と引用発明とは,本願補正発明が光スポットの反射光に基づいて物体の位置を推定するものであるのに対し,引用発明では蛍光灯から発せられる直射光であり,また,同直射光に基づいて無人車の位置を推定するものではなく,あらかじめ与えられた蛍光灯の座標及び蛍光灯の完全画像に基づいて無人車の位置を推定するものである点において相違する(相違点2)。審決は,「前記少なくとも2つの光の場所に基づいて前記物体の位置及び姿勢を測定するためのデータ処理装置とを備え」を一致点として認定しているが,この認定は,相違点2を看過してなされたものであり,誤りである。(2) 相違点3の看過について本願補正発明と引用発明とは,本願補正発明が物体の相対的な位置を推定するものであるのに対し,引用発明はあらかじめ規定された座標軸における物体の絶対的な位置を推定するものである点において相違する(相違点3)。審決は,「物体の位置を推定するための位置推定システム」を一致点としているが,この認定は,相違点3を看過してなされたものであり,誤りである。 5 取消事由5(本願補正発明の進歩性判断の誤り)(1) 相違点1についてア 審決は,引用例2には,「レーザーポインターを照射して床面上に光の目印(スポット)を形成し,該光の目印(スポット)を移動体に設けたセンサーユニットにより検出し,該光の目印(スポット)の相対座標を算定することにより移動体の位置を推定する技術」が記載されていると認定し,この認定を前提として,本願補正発明の進歩性判断をしている。しかし,前記3のとおり,審決の上記認定は誤りである。引用例2記載の技術事項は,反射光こそ使用しているものの,光スポットとの関係で移動体の座標位置(x,y)および姿勢を測定するものではない。イ 審決は,引用発明は,引用例1に記載された従来技術を踏まえたものであるから,引用発明の光源は天井照明灯である必要はないとして,この認定判断を前提として本願補正発明の進歩性判断をしている。しかし,引用発明は,システムが高価になるという欠点を克服するために天井照明灯という既存の設備を用いてシステムを安価に構築しているものであるから,引用発明において天井照明灯は必須の構成であり,これを他のものに代替したのでは目的を達成しない。ウ 審決は,①引用例1と引用例2が共に無人車の位置を検出するという同一の産業上の利用分野に属するものであること,②引用例1と引用例2が共に無人車に設けられたカメラにより光学的に位置を検出する技術に関するものであること,③引用例2記載の技術事項は,光照射装置としてレーザーポインター以外に蛍光灯を用いてよいものであること,以上の点から,引用発明の蛍光灯に代えて引用例2の反射光を用いることは容易であると結論付けている。しかし,①については,過度に産業上の利用分野を抽象化しており,②については,検出方法が同じであれば検出対象は何でもよいということにならず,③については,上記アのとおり,前提において誤りがある。エ 引用発明の光源(天井照明灯)は既に天井に設けられており,引用発明において障害物により光の検出が妨げられるという課題は存在しない。したがって,天井照明灯に替えて,光源から光を上向きに投射し,投射された光スポットの反射光を検出する構成を採用する動機付けは存在しない。また,引用発明で反射光を使おうとすれば,反射光の位置を正確に位置決めしなくてはならず,また,反射光の場所をシステムに入力しなくてはならない。このような煩瑣なステップを経てまで反射光を使おうとする動機付けは存在しない。オ 引用例2の反射光は,移動体の移動面上に照射するものであり,引用例1のように,移動体の移動面(床)と反対側にある天井に照射することが想定されたものではない。移動面上の反射光の検知による位置の検出と,移動体と反対側にある反射光の検知による位置の検出方法は,次元を異にするものであり,一例を挙げれば,前者ではチルト角は問題にならないのに対し,後者ではこれが必須である。したがって,引用例2の反射光を引用発明に適用して天井に照射し,これを床にある無人車で検知するなどというのは,非常に乱暴な議論であり,引用例1に引用例2を組み合わせて本願補正発明に至るものではない。(2) 相違点2について引用例2には,反射光に基づいて移動体の位置を推定する技術は開示されていない。したがって,引用発明に引用例2記載の技術事項を組み合わせたとしても本願補正発明の構成は想到し得ない。(3) 相違点3について引用例2には,移動体に対する目標位置の相対座標を推定する技術が記載されているのみであり,目標位置に対する移動体の相対座標を推定する技術は記載されていない。したがって,引用発明に引用例2記載の技術事項を組み合わせたとしても本願補正発明の構成は想到し得ない。第4 被告の反論 1 取消事由1(本願補正発明の認定の誤り)に対し審決は,本願補正発明を特許請求の範囲の請求項1に記載のとおり認定しており,その認定に誤りはない。原告の主張は,特許請求の範囲の記載に基づかないものである。また,原告の主張は,本願明細書の記載とも整合しない。本願補正発明の具体的な目的の一つは,室内を自律的に移動して床掃除を行うロボットにおいて,ロボットが自己充電用のドックステーションに移動することであるが,ドックステーションに対するロボットの位置を推定するためには,光スポットと環境(例:ドックステーション)の位置関係を座標情報として保有していなければならない(甲5の【0003】~【0006】,【0011】,【0045】~【0047】,【0057】~【0067】,【0079】参照)。 2 取消事由2(引用発明の認定の誤り)に対し引用例1の演算回路(CPU33)は,ITVカメラが撮影した蛍光灯像(明領域)の像中心の画素アドレスに基づいて,無人車から見た像中心のチルト角及びパン角を得て,蛍光灯に対する無人車の位置及び方向を特定するとともに,受光ユニットによる蛍光灯の特定に基づいて,照明灯データメモリから像中心の座標を読み出し,無人車の位置及び方向を特定する(甲1の【0017】~【0022】,図4,図6)。したがって,引用発明は,無人車20の現在位置及び方向を検出するためのシステムである(同【0001】,【0005】)。また,引用発明のITVカメラ及び受光ユニットは,複数の光Eiを検出するように無人車20に搭載されたものであり(同【0016】~【0019】),引用発明の演算回路CPU33は,複数の光Eiの座標giに基づいて前記無人車20の位置P及び方向(姿勢)δを演算するためのものであって(同【0020】~【0022】),審決の認定に誤りはない。 3 取消事由3(引用例2記載の技術事項の認定の誤り)に対し引用例2には,移動体が,移動体上に搭載したカラーCCDカメラ等の視覚装置を用いて,レーザーポインターの照射により移動面上に形成された光の目印(レーザポインターの反射光)を検出し,画像処理によって,光の目印で示された目標位置と移動体の現在位置との相対位置関係を算出する構成が記載されている(甲2の【0069】~【0073】,【請求項2】)。審決の認定に誤りはない。 4 取消事由4(本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定の誤り)に対し(1) 相違点2の看過をいう点について「場所」は「位置」を意味し,また,「反射光」は「物にあたってはねかえった光」を意味するから,両者の意味は異なる。したがって,「場所」を「反射光」に置き換えて,本願の特許請求の範囲の「光スポットの場所に基づいて」を「光スポットの反射光に基づいて」と解釈することは,特許請求の範囲の記載を離れて本願補正発明の要旨を特許請求の範囲に記載されたものとは異なるものに解釈することとなるから,許されない。そもそも,特許請求の範囲の「光スポットの場所に基づいて」の記載は,その記載が意味するとおりのものとして明確に理解でき,これと異なる意味に解釈すべき特段の事情は存在しない。また,引用発明の演算回路(CPU33)は,複数の蛍光灯からの複数の光の座標に基づいて前記無人車の位置及び方向を演算する。したがって,「前記少なくとも2つの光の場所に基づいて前記物体の位置及び姿勢を測定するためのデータ処理装置とを備え」を一致点とする審決の認定に誤りはない。(2) 相違点3の看過をいう点について本願補正発明の位置推定システムは,物体の光スポットに対する相対的な位置および姿勢を推定するためのものとは特定されていない。むしろ,本願明細書の記載によれば,本願補正発明の位置推定システムは,あらかじめ規定された座標軸における物体の絶対的な位置(環境に対する物体の位置)を推定するものである。審決の一致点の認定に誤りはない。 5 取消事由5(本願補正発明の進歩性判断の誤り)に対し(1) 相違点1についてア 原告は,引用例2記載の技術事項は,反射光こそ使用しているものの,光スポットとの関係で移動体の座標位置(x,y)および姿勢を測定するものではないと主張する。しかし,前記3のとおり,引用例2には,移動体の視覚装置がレーザポインターの反射光を検出し,光の目印で示された目標位置と移動体の現在位置との相対位置関係を算出する構成が記載されている。イ 原告は,引用発明において天井照明灯は必須の構成であり,これを他のものに代替したのでは目的を達成しないと主張する。しかし,天井照明灯が,人間の観点から見た天井照明灯である必要はなく,無人車のITVカメラが天井を撮像して照明灯(あかり)として像(明領域)を認識でき,像中心のチルト角及びパン角が得られるものであれば蛍光灯以外のものでもよいことは,引用例1に記載された先行技術文献(乙1)の無人倉庫の例を参照すればもちろんのこと,蛍光灯に求められる機能に関する引用例1の記載内容それ自体からみても明らかである。ウ 原告は,①審決は,過度に産業上の利用分野を抽象化している,②審決は,引用発明と引用例2記載の技術事項が共に無人車に設けられたカメラにより光学的に位置を検出する技術に関するものであることを指摘しているが,検出方法が同じであれば検出対象は何でもよいということにならない,③審決は,引用例2記載の技術事項は,光照射装置としてレーザーポインター以外に蛍光灯を用いてよいものであると認定しているが,その前提において誤りがあると主張する。しかし,①については,引用例1と引用例2の記載からみて,審決が認定した「無人車の位置を検出する」という産業上の利用分野は,妥当なものである。②については,引用発明の無人車と引用例2記載の技術事項の移動体は,ともに,無人車に設けられたカメラにより光学的に位置を検出するという機能において共通するものであり,しかも,その検出対象が,無人車に設けられたカメラが光学的に位置を検出可能とされた高輝度かつ高コントラストの像である点でも共通する。両者は,像を形成する照明が直接的なものであるか間接的なものであるかの点で相違するにすぎないものである。③については,レーザーポインターであっても,蛍光灯であっても,移動体の視覚装置が認識可能な光を放射する能動ビーコンである点において変わりがない。なお,技術革新により,本願の優先日(平成16年)頃までには,移動体の視覚装置が認識可能な光スポットの光源としては,蛍光灯よりもレーザーポインターの方が,輝度や大きさ等の性能面において遙かに有利な状況に至っていた。エ 原告は,引用発明の天井照明灯に替えて,光源から光を上向きに投射し,投射された光スポットの反射光を検出する構成を採用する動機付けは存在しないと主張する。しかし,引用発明の場合,蛍光灯の像中心の位置を計測する等して予め調べ,また,蛍光灯のインバータ回路の周波数を個別に調整し,これらの情報を照明灯データメモリにテーブルとして格納しておかなければならない。また,天井照明灯の配置は(追加の天井工事をしない限り)所与のものである。これに対して,少なくとも引用例2の優先日時点において,レーザーポインターによる光スポットをITVカメラが視認可能であったことは明らかであり,しかも,レーザーポインターによる光スポットならば,天井工事はもちろん,天井の蛍光灯のインバータ回路の周波数調整を個別に行うコストも発生せず,光スポットの配置も自在である。少なくとも本願の優先日の時点において,無人倉庫のように人間に対する照明を必要としない場合には,当業者は,引用発明の蛍光灯に替えて,積極的にレーザーポインターによる光の目印の構成を採用したはずである。オ 原告は,移動面上の反射光の検知による位置の検出と,移動体と反対側にある反射光の検知による位置の検出方法は,次元を異にするものであり,前者ではチルト角は問題にならないのに対し,後者ではこれが必須であると主張する。しかし,移動面の光スポットの位置を検出する場合であっても,天井面の光スポットを検出する場合であっても,チルト角を求めて三角測量と同様の原理に基づいて測定すれば足り,両者の違いは,単に,チルトが,見下ろす角度であるか,見上げる角度であるかの違いにすぎない。(2) 相違点2及び3に関する原告の主張について相違点2及び3は存在しないから,この点に関する原告の主張は,前提に誤りがあり失当である。第5 当裁判所の判断当裁判所は,原告主張の取消事由はいずれも理由がないものと判断する。その理由は以下のとおりである。なお,取消事由1(本願補正発明の認定の誤り),取消事由2(引用発明の認定の誤り)及び取消事由4(本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定の誤り)は,いずれも審決の本願補正発明と引用発明との相違点の認定に誤りがあり,これが重要な相違点の看過となり,当該看過した相違点についての審決の判断が存在しないことから,これが審決の本願補正発明の容易想到性の判断の誤りを惹起するものとなって,初めて審決の取消事由となるものであるから,取消事由1,2及び4については,独立の取消事由としてはまとめて1個のものであると解されるので,項をまとめて判断する。 1 取消事由1(本願補正発明の認定の誤り),取消事由2(引用発明の認定の誤り)及び取消事由4(本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定の誤り)について(1) 本願補正発明の認定の誤り(取消事由1)について審決は,本願補正発明を本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載のとおりに認定しており,本願補正発明の認定に誤りはない。原告は,本願補正発明の位置推定方法は,ある面に任意に投射された少なくとも2つの光(光スポット)からの反射光を検出し,当該反射光に基づいて光スポットに対する物体の相対的な位置および姿勢を推定するものであって,環境における物体の絶対的な位置を推定するものではないとして,審決はこの点を看過していると主張する。しかし,原告の上記主張は,特許請求の範囲の記載に基づかないものである。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。(2) 引用発明の認定の誤り(取消事由2)についてア 引用例1の記載について引用例1(甲1)には,次の記載がある。「【0001】【産業上の利用分野】本発明は,誘導線や磁気テープ等のガイド線を設けない無人車システムにおいて用いられるガイドレス式無人車の位置・方向検出方法に関する。【0002】【従来の技術】この種の無人車の現在位置および方向の検出方法としては,例えば天井に光反射板を張りつけ,無人車に搭載したレーザ発振器から上記光反射板へレーザスポットを投影し,このレーザスポットを地上に設けたITVカメラ等の視覚装置で撮影してその画像データから無人車の現在位置および方向を検出する方法がある。【0003】しかし,この方法では,天井の全面に光反射板を張りつけなくてはならない上,ITVカメラも複数台配置する必要があるので,システムが高価になる欠点がある。【0004】【発明が解決しようとする課題】この欠点を解消するため,例えば,特開昭60-89213号公報に記載されているように,天井照明灯を利用する検出方法が提案されているが,この検出方法は,ITVカメラ等の視覚装置で撮影した天井の一部の画像を,予めメモリに格納した天井全体の画像と比較するパターンマッチング方法であるため,既存の天井照明灯を利用できる利便さはあるが,ソフトウエア処理が複雑であり,天井照明灯の配列が規則的である場合や視覚装置の視野に入る天井照明灯の数が少ない場合には不正確になる恐れがある。【0005】本発明はこの問題を解消するためになされたもので,天井照明灯を利用してシステムを安価に構築することができ,位置検出のための演算は簡単な演算で済み,確実に,かつ高い精度をもって無人車の位置・方向を検出することができる無人車の位置・方向検出方法を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため,請求項1では,天井照明灯をガイドレス式無人車の位置検出指標とする無人車の位置検出方法において,各天井照明灯がそれぞれ個別に識別可能な特徴を持つ発光を行い,無人車側では,上記天井に向けた受光素子の出力の上記特徴から当該受光素子が受光している天井照明灯を特定する構成とした。」「【0012】【作用】本発明では,撮影した天井画像内の天井照明灯像の画像データから当該天井照明灯の無人車に対するチルト角とパン角が検出され,受光素子がこの天井照明灯へ向けられ,その出力を索引にして天井照明灯の特定と位置の検出が行なわれ,この位置とチルト角に基づき無人車の位置が演算される。【0013】【実施例】以下,本発明の1実施例を図面を参照して説明する。【0014】図1において,10は工場の建屋,11は建屋10の水平な天井,L1~LN は天井11の内面に配設された蛍光灯である。20は建屋10内を走行するガイドレス方式の無人車であって,ITVカメラ21および受光ユニット22を搭載している。【0015】蛍光灯L1 ~LN はインバータ蛍光灯であって,各々が異なる周波数F1 ~FN で変調された変調光を発生する。図4にその1例を示す。同図において,12は電源,13はタイオード整流器,14は平滑コンデンサ,15は発振回路,16は蛍光管である。【0016】ITVカメラ21は天井11の一部を視野に収めうるように,ある仰角をもって取付けられており,また,受光ユニット22は,図2に示すように,受光素子23,左右および上下回動駆動機構24および制御装置25を有し,受光素子23の無人車20に対するチルト角αおよびパン角β(図3に示す)を調整可能に設けてある。【0017】図4は,ITVカメラ21が撮影した画像であり,ITVカメラ21からの画像信号は図2に示すように2値化回路31で2値データ(明〔1〕と暗〔0〕)に変換されたのち,画像メモリ32に格納される。図5の(A)はITVカメラ21の視野の縦断面を示し,図3(判決注・図5の誤記と認められる。)の(B)はITVカメラ21の視野の水平断面を示す。図2の33は演算装置CPU,34は照明灯データメモリである。この照明灯データメモリ34は蛍光灯番号L1 ~LN ,周波数F1 ~FN および蛍光灯の座標g1 ~gN のテーブルを格納している。34Aは演算装置CPU33の演算結果を格納するデータメモリである。【0018】(1)演算装置CPU33では,画像メモリ32に格納された1フレーム分の画像データの蛍光灯像(明領域)L1' ~L4' のうちの完全画像L1' とL2' の像中心G1 ,G2 の座標G1 (i1 ,j1 ),座標G2 (i2 ,j2 )を演算する。像中心G1 ,G2 の画素の位置は像中心G1 ,G2 をずらすことによりずれるので,像中心G1 ,G2 の画素の,全画素中の位置すなわち横方向画素アドレスおよび縦方向画素アドレス)は無人車20から見たチルト角α1 ,α2 およびパン角β1 ,β2 に対応する。このチルト角α1 ,α2 およびパン角β1 ,β2 はデータメモリ34Aに格納される。【0019】(2)このチルト角α1 とパン角β1 およびチルトα2 とパン角β2 を受光ユニット22の制御装置25へ入力し,先ず,受光素子23をその受光面が蛍光灯L1 に向く姿勢へ制御して,蛍光灯L1 からの光を受光させ,受光素子23の出力を周波数検出回路35に入力して変調周波数F1 を検出する。続いて,受光素子23の受光面が蛍光灯L2 に向く姿勢へ当該受光素子23を制御し,受光素子23の出力を周波数検出回路35に入力して変調周波数F2 を検出する。【0020】(3)演算回路CPU33は,このようにした求めた変調周波数F1 とF2 を照明灯データメモリ34の上記テーブルと照合して,画像L1' とL2' に対応する実像が蛍光灯L1 とL2 であることを特定する。【0021】(4)演算回路CPU33は,蛍光灯L1 とL2 の座標g1g2 を照明灯データメモリ34から読み出し,座標g1 とデータメモリ34Aから読み出したチルト角α1 とから図6に示す円O1 を演算し,同様に,照明灯データメモリ34から読み出した座標g2 とチルト角α2 とから図6に示す円O2 を演算する。無人車20はこの2つの円O1 とO2 の周上の交点AまたはB上に位置していることになり,パン角β1 とβ2 の大小関係(G1 とG2 の左右関係)で無人車20の位置Pを特定する。【0022】(5)無人車20の方向(姿勢)δを検出する場合には,このようにして特定した無人車20の位置Pと蛍光灯L1 の位置g1 (もしくは蛍光灯L2 の位置g2 )から図7に示す基準方向Xに対する角度γを演算し,角度γとパン角β1 (もしくはパン角β2 )との和から,無人車20の方向δを演算する。」「【0030】【発明の効果】本発明は以上説明した通り,天井照明灯をガイドレス無人車の位置(および方向)検出指標とする場合に,各天井照明灯の発光にそれぞれ固有の変調周波数を持たせ,この変調周波数から天井照明灯の位置を特定する構成としたことにより,天井照明灯を利用してシステムを安価に構築することができ,位置検出のための演算は簡単な演算で済み,確実に,高い精度をもって無人車の位置および方向を検出することができる。」引用例1の上記記載によれば,引用例1には,審決が認定した引用発明(「無人車20の現在位置及び方向を検出するためのシステムであって,天井に配設され,複数の光Eiを発するための複数の蛍光灯Liと,前記複数の光Eiを検出するように無人車20に搭載されたITVカメラ21及び受光ユニット22と,前記複数の光Eiの座標giに基づいて前記無人車20の位置P及び方向(姿勢)δを演算するための演算回路CPU33とを備え,前記複数の光Eiは,互いに異なる変調周波数Fiで変調され,前記ITVカメラ21及び受光ユニット22を備えた前記演算回路CPU33は,変調周波数Fiを照明灯データメモリ34のテーブルと照合して完全画像Li´に対応する実像が前記複数の光Eiであることを特定するように構成された無人車20の現在位置及び方向を検出するためのシステム。(ここで,i=1~Nである。)」)が記載されているものと認められる。イ 原告の主張について(ア) 原告は,引用例1に記載された位置推定システムは,当該システムが天井に固定的に設けられた蛍光灯の座標をあらかじめ保有することを前提に,絶対的な位置を推定するものであるから,推定される位置は,蛍光灯に対する相対的な位置ではなく,環境内における絶対的な位置であるとして,審決の「無人車20の現在位置及び方向を検出するためのシステム」との認定はこの点を看過しており誤りであると主張する。しかし,引用例1の上記【0017】ないし【0022】の記載と引用例1の図4及び6を併せると,引用例1に記載された演算回路(CPU33)は,ITVカメラが撮影した蛍光灯像(明領域)の像中心の画素アドレスに基づいて,無人車から見た像中心のチルト角及びパン角を得て,蛍光灯に対する無人車の位置及び方向を特定するとともに,受光ユニットによる蛍光灯の特定に基づいて,照明灯データメモリから像中心の座標を読み出し,無人車の位置及び方向を特定するものであると認められる。したがって,審決の「無人車20の現在位置及び方向を検出するためのシステム」との認定に誤りはない。原告は,引用例1の位置推定システムによって推定される位置は,蛍光灯に対する相対的な位置ではなく,環境内における絶対的な位置であると主張する。しかし,本願補正発明の進歩性判断における引用発明の認定は,引用例1の記載に基づいて本願補正発明との対比に必要な限度で行えば足り,本願補正発明が,請求項1において「物体の位置および姿勢」について,相対的な位置とも,絶対的な位置とも規定されていない以上,あえて,引用例1の位置推定システムによって推定される位置が環境内における絶対的な位置であることを認定する必要はない。(イ) 原告は,引用例1に記載されたITVカメラ21は,光を検出するものではなく,蛍光灯の完全画像を撮影するものであるから,審決の「前記複数の光Eiを検出するように無人車20に搭載されたITVカメラ21及び受光ユニット22」との引用発明の認定は誤りであると主張する。しかし,上記(ア)で説示したとおり,引用例1に記載された演算回路(CPU33)は,ITVカメラが撮影した蛍光灯像(明領域)の像中心の画素アドレスに基づいて,無人車から見た像中心のチルト角及びパン角を得て,蛍光灯に対する無人車の位置及び方向を特定するとともに,受光ユニットによる蛍光灯の特定に基づいて,照明灯データメモリから像中心の座標を読み出し,無人車の位置及び方向を特定するものであるから,引用例1に記載されたITVカメラは,蛍光灯からの光を二次元の像で検出しているといえる。なお,本願補正発明は,CCD撮像装置により光スポットを(画像として)撮像してその重心をwiとして測定する態様を含むものであり(【0030】,【0041】,【0045】,図3),本願補正発明と引用発明における光の検出は,実施態様において同一である。したがって,原告の上記主張は理由がない。(ウ) 原告は,引用例1に記載された位置推定システムは,当該システムにあらかじめ与えられた蛍光灯の座標及び蛍光灯の完全画像に基づくものであり,当該蛍光灯から発せられる光の座標に基づくものではない(蛍光灯の座標は蛍光灯から発せられる光の座標とは無関係である。)から,審決の「前記複数の光Eiの座標giに基づいて前記無人車20の位置P及び方向(姿勢)δを演算するための演算回路CPU33」との認定は誤りであると主張する。確かに,引用例1に記載された位置推定システムは,蛍光灯から発せられる光の座標に基づくものではない。しかし,上記(ア)で説示したとおり,引用例1に記載された演算回路(CPU33)は,ITVカメラが撮影した蛍光灯像(明領域)の像中心の画素アドレスに基づいて,無人車から見た像中心のチルト角及びパン角を得て,蛍光灯に対する無人車の位置及び方向を特定するとともに,受光ユニットによる蛍光灯の特定に基づいて,照明灯データメモリから像中心の座標を読み出し,無人車の位置及び方向を特定するものであるから,引用例1に記載された位置推定システムは,蛍光灯を無人車の位置検出指標とするものであり,光を発する各蛍光灯の像中心の座標を用いているものであり,引用例1に記載された演算回路CPU33は,「前記複数の光Eiの座標giに基づいて前記無人車20の位置P及び方向(姿勢)δを演算するための」ものであるといえる。したがって,原告の上記主張は理由がない。(3) 本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点の認定の誤り(取消事由4)についてア 前記(1)及び(2)のとおり,本願補正発明及び引用発明に係る審決の認定に誤りはないから,本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点に係る審決の認定に誤りはない。イ 原告の主張について(ア) 相違点2をいう点について原告は,本願補正発明の請求項1の「光スポットの場所に基づいて」は「光スポットの反射光に基づいて」と解釈されるべきであり,本願補正発明と引用発明とは,本願補正発明が光スポットの反射光に基づいて物体の位置を推定するものであるのに対し,引用発明では蛍光灯から発せられる直射光であり,また,同直射光に基づいて無人車の位置を推定するものではなく,あらかじめ与えられた蛍光灯の座標及び蛍光灯の完全画像に基づいて無人車の位置を推定するものである点において相違する(相違点2)と主張する。しかし,「場所」は「位置」を意味し,また,「反射光」は「物にあたってはねかえった光」を意味するから,「光スポットの場所」と「光スポットの反射光」とでは意味が異なる。本願補正発明の「光スポットの場所に基づいて」を「光スポットの反射光に基づいて」と解釈することは,特許請求の範囲の記載を離れて本願補正発明の要旨を特許請求の範囲に記載されたものとは異なるものに解釈することになり許されない。また,引用発明(甲1)の演算回路(CPU33)は,複数の蛍光灯からの複数の光の座標に基づいて無人車の位置及び方向を演算するものであるから,審決が「前記少なくとも2つの光の場所に基づいて前記物体の位置及び姿勢を測定するためのデータ処理装置とを備え」を一致点と認定したことに誤りはない。したがって,原告の上記主張は理由がない。(イ) 相違点3をいう点について原告は,本願補正発明と引用発明とは,本願補正発明が物体の相対的な位置を推定するものであるのに対し,引用発明はあらかじめ規定された座標軸における物体の絶対的な位置を推定するものである点において相違する(相違点3)と主張する。しかし,本件補正後の請求項1は,「前記少なくとも2つの光スポットの場所に基づいて前記物体の位置および姿勢を測定する」と規定しているだけであり,本願補正発明の位置推定システムは,物体の光スポットに対する相対的な位置及び姿勢を推定するためのものとは特定されていない。かえって,本願明細書(甲5)の実施形態には,本願補正発明を具現化する位置推定システムとして,あらかじめ規定された座標軸における物体の絶対的な位置(環境に対する物体の位置)を推定することが記載されている。したがって,原告の上記主張は理由がない。(4) 小括よって,審決には本願補正発明と引用発明との相違点の看過はなく,原告主張の取消事由1,2及び4は理由がない。 2 取消事由3(引用例2記載の技術事項の認定の誤り)について(1) 引用例2の記載について引用例2(甲2)には,次の記載がある。「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,移動体の目標位置教示方法,移動制御方法,光誘導方法および光誘導システムに関し,さらに詳細には,移動ロボットなどの各種の移動体を誘導する際に用いて好適な移動体の目標位置教示方法,移動制御方法,光誘導方法および光誘導システムに関する。」「【0004】ここで,上記した移動体の座標位置は,一般には,移動体の走行距離データに基づいて求めることができる。【0005】しかしながら,移動体の走行距離データに基づいて座標位置を求めるだけでは,当該移動体の走行車輪の加工精度の限界や,当該移動体が環境内を移動する際における走行車輪の滑り(空回り)などにより,移動体の走行距離データに基づいて求められる当該移動体の座標位置と当該移動体が実際に存在する座標位置との誤差が蓄積されることになるという問題点があった。【0006】このため,環境内において移動体が存在する位置を正確に特定するためには,移動体の走行距離データに基づいて得られた座標位置を,センサーとして機能するソナー,ジャイロスコープあるいはカメラなどを利用したり,環境内に存在する目標物を利用したりして補正する必要があった。【0007】一方,環境内における移動体の動作制御に関する公知の手法としては,例えば,環境内における移動体の座標位置と環境内に存在する目標物の座標位置とをそれぞれ算定し,当該算定により得られたそれぞれの座標位置を当該環境を示す環境モデル内に表すという共通座標システムによるものが知られている。」「【0019】【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記したような従来の技術に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,上記したような従来の技術とは異なる手法により,移動ロボットなどの移動体が移動する際の目標位置を教示することのできる移動体の目標位置教示方法,移動制御方法,光誘導方法および光誘導システムを提供しようとするものである。」「【0022】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために,本発明のうちの請求項1に記載の発明は,所定の環境内を移動可能とされた少なくとも1以上の移動体を有する移動体の目標位置教示方法において,光照射装置により移動面上に光の目印を形成することにより,移動体が移動すべき目標位置を指し示すようにしたものである。」「【0054】この図1ならびに図2に示す移動体の光誘導システムは,この移動体の光誘導システムの全体の動作の制御を行う制御装置10と,環境内に存在する移動体としての全方向に移動可能な少なくとも1以上の移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-n(ただし,「i」ならびに「n」は正の整数であり,かつ,「1≦i≦n」である。)と,当該環境内において当該移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-nが移動可能な移動面たる床面14上にレーザー光を照射して光の目印を形成するための光照射手段たる光照射装置としてのレーザーポインター16とを有して構成されている。【0055】この実施の形態においては,レーザーポインター16は天井に固定的に設置されている。」「【0058】ここで,レーザーユニット16aは,床面14上における所望の領域に所定の色彩のレーザー光のビームを照射して,床面14上における所望の領域に所定の色彩の光の目印を形成するものである。そして,こうして形成された光の目印は,移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-nが床面14上を移動する際の目標位置を示すものでる(判決注・誤記と認められる。)」「【0069】次に,移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-nについて説明すると,これら移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-nはそれぞれ,環境内において移動のタスクを遂行するものであり,センサーユニット12aと,サーボユニット12bと,通信ユニット12cと,コントロールユニット12dとを有して構成されており,コントロールユニット12dによってセンサーユニット12a,サーボユニット12bならびに通信ユニット12cの動作が制御されている。【0070】ここで,センサーユニット12aは,床面14上に形成された所定の色彩の光の目印を検出するものであり,例えば,カラーCCDカメラなどにより構成することができる。そして,センサーユニット12aは,移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-nのフレームと環境内における目標物との間の相対距離を測定して,床面14上の所定の色彩の目印の相対座標を算定するとともに,共通座標システムに関する移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-nの座標を推定するためのための(判決注・誤記と認められる。)視覚データを供給する。【0071】そして,コントロールユニット12dはマイクロコンピューターにより構成されており,センサーユニット12aの検出結果に基づいて,センサーユニット12aの検出対象とされた光の目印が存在する位置の相対座標を特定する処理を行うものである。【0072】即ち,コントロールユニット12dは,センサーユニット12aが収集したデータ(センサーユニット12aがカラーCCDカメラもしくはPSDカメラである場合には,視覚データである。)を処理し,所定の色彩の光の目印が存在する位置の相対座標を特定する処理を行う。また,コントロールユニット12dは,移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-nの移動に必要な方位,位置および速度の算定によって目標位置を追跡するための制御コマンドを生成するものである。【0073】一方,サーボユニット12bは,コントロールユニット12dにより生成される制御コマンドを実行するものであって,コントロールユニット12dにより特定された相対座標に応じて,サーボユニット12bが配設された移動ロボット12-1,・・・,12-i,・・・,12-nを移動させるものである。」「【0116】また,上記した実施の形態においては,光照射装置としてレーザーポインター16を用いたが,これに限られるものではないことは勿論であり,光照射装置としては,LED,水銀灯あるいは蛍光灯などを用いることができる。【0117】また,上記した実施の形態においては,光の目印を形成して移動ロボットに目標位置を教示するレーザーポインター16を天井に設置するようにしたが,これに限られるものではないことは勿論であり,ユーザー(人間)が把持して自由に照射位置を変更することのできる小型のレーザーポインターを用いるようにして,ユーザーが手元で移動ロボットに目標位置を教示するようにしてもよく,また,移動ロボット自体がレーザーポインターを有するようにして,他の移動ロボットに目標位置を教示するようにしてもよい。さらには,ロボットマニピュレータにレーザーポインターを搭載し,ロボットマニピュレータの動作を制御することにより,レーザーポインターの光の光軸を変更するようにしてもよい。」引用例2の上記記載によれば,引用例2には,審決が認定した引用例2記載の技術事項(「レーザーポインターを照射して床面上に光の目印(スポット)を形成し,該光の目印(スポット)を移動体に設けたセンサーユニットにより検出し,該光の目印(スポット)の相対座標を算定することにより移動体の位置を推定する技術。」)が記載されているものと認められる。(2) 原告の主張について原告は,引用例2に記載された移動体は反射光を検出することにより移動体に対する目標位置の相対座標を算定するものではあるが,これは,移動体から光の目印までの距離,方向を算定するものにすぎず,かかる算定により目標位置に対する移動体の位置を推定することはできないから,審決の「光の目印(スポット)の相対座標を算定することにより移動体の位置を推定する技術」との認定は誤りであると主張する。しかし,引用例2の上記【0069】ないし【0073】の記載によれば,引用例2記載の移動体は,移動体上に搭載したカラーCCDカメラ等の視覚装置を用いて,レーザーポインターの照射により移動面上に形成された光の目印(レーザポインターの反射光)を検出し,画像処理によって,光の目印で示された目標位置と移動体の現在位置との相対位置関係を算出するものであると認められる。したがって,審決の「光の目印(スポット)の相対座標を算定することにより移動体の位置を推定する技術」との認定に誤りはない。(3) 小括よって,原告主張の取消事由3は理由がない。 3 取消事由5(本願補正発明の進歩性判断の誤り)について(1) 本願補正発明と引用発明とは,審決が認定した相違点,すなわち,本願補正発明が,「上向きに光を放射する光源により,光反射部材を介することなく投射することで光スポットがある面に形成され,該形成されたスポットからの反射光を検出するようにしている」のに対し,引用発明は,「光Eiは,天井(本願補正発明の「ある面」に相当。)に配設された複数の蛍光灯Li(光源)により形成され,該形成された複数の光Eiを,ITVカメラ21及び受光ユニット22(検出器)が検出している」点において相違する(以下,「上向きに光を放射する光源により」を相違点Aと,「光反射部材を介することなく投射する」を相違点Bと,「光スポットがある面に形成され」を相違点Cと,「該形成されたスポットからの反射光を検出する」を相違点Dという。)。上記相違点に係る本願補正発明の構成は,以下のとおり,引用例1に記載の従来技術及び引用例2記載の技術事項に基づき当業者が容易に想到し得るものである。ア 相違点A,C及びDについて引用例1には,前記のとおり,従来技術として,無人車の現在位置及び方向の検出方法として,天井に光反射板を張りつけ,無人車に搭載したレーザー発振器から,この光反射板へレーザスポット(反射光)を投影し,このレーザスポットを地上に設けたITVカメラ等の視覚装置で撮影して,その画像データから無人車の現在位置及び方向を検出する方法があることが記載されている(甲1【0002】。以下「引用例1に記載の従来技術」という。)。この引用例1に記載の従来技術は,光源からの光を上向きに投射し(相違点A),天井(ある面)に光スポットを形成し(相違点C),形成された光スポットからの反射光を検出する(相違点D)ものであり,相違点A,C及びDに係る構成が開示されている。そして,引用例1に記載の従来技術は,引用例1に記載された引用発明と密接に関連する従来技術であるから,引用発明において,蛍光灯Liの直射光に代えて,光源からの光を上向きに投射して,ある面(例えば天井)に光スポットを形成し,その反射光を検出するとの構成(相違点A,C及びDの構成)を採用することは,当業者にとって容易なことである。イ 相違点B及びDについて引用発明と引用例2記載の技術事項とは,無人車の位置を検出するという同一の産業上の利用分野に属し,その位置検出手法も,無人車に設けられたカメラにより光学的に測定する点で共通している。したがって,引用発明及び引用例1に記載の従来技術の位置検出方法と引用例2に記載された位置検出方法とは,同一又は関連する技術分野に属するものといえるから,引用発明に相違点A,C及びDに係る引用例1に記載の従来技術を適用した構成のものに,引用例2記載の技術事項を用いることは,当業者であれば容易である。そして,引用例2には,移動体の移動面にレーザーポインターにより光の目印を形成し,そこからレーザーポインタの反射光を検出し,画像処理により,光の目印で示された目標位置と移動体の現在位置との相対位置を算出するとの技術事項が開示されていることは前記認定のとおりであり,引用例2においては,光反射部材を用いていないことも明らかである(甲2)。したがって,引用例2には,レーザーポインターにより光スポットが移動体の移動面に形成され,「光反射部材を介することなく」(相違点B),「該形成されたスポットからの反射光を検出する」(相違点D)との構成が開示されているものであり,引用発明に相違点A,C及びDに係る引用例1に記載の従来技術を適用した構成のものに,引用例2に記載された相違点B及びDの構成を用いて,本願補正発明のような構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得たことであるといえる。(2) 原告の主張についてア 原告は,引用例2記載の技術事項は,反射光こそ使用しているものの,光スポットとの関係で移動体の座標位置(x,y)及び姿勢を測定するものではないと主張する。しかし,前記2(2)のとおり,引用例2には,移動体の視覚装置がレーザポインターの反射光を検出し,光の目印で示された目標位置と移動体の現在位置との相対位置関係を算出する構成が記載されている。したがって,原告の上記主張は理由がない。イ 原告は,引用発明は,システムが高価になるという欠点を克服するために天井照明灯という既存の設備を用いてシステムを安価に構築しているものであるから,引用発明において天井照明灯は必須の構成であり,これを他のものに代替したのでは目的を達成しないと主張する。確かに,引用発明において,天井照明灯を用いる目的は,既存の設備である天井照明灯を用いることによりシステムを安価に構築することである。しかし,位置推定システムにおいて,天井照明灯は技術的に必須のものではなく,他の事情を考慮して引用例1に記載の従来技術としても示されている反射光を採用することは,当業者であれば容易に想到し得ることである。したがって,原告の上記主張は理由がない。ウ 原告は,①審決は,過度に産業上の利用分野を抽象化している,②審決は,引用例1と引用例2が共に無人車に設けられたカメラにより光学的に位置を検出する技術に関するものであることを指摘しているが,検出方法が同じであれば検出対象は何でもよいということにならない,③審決は,引用例2記載の技術事項は,光照射装置としてレーザーポインター以外に蛍光灯を用いてよいものであると認定しているが,その前提において誤りがあると主張する。しかし,①については,引用例1及び引用例2の記載からみて,審決が認定した「無人車の位置を検出する」という産業上の利用分野は,適切なものといえる。②については,引用発明の無人車と引用例2記載の技術事項の移動体は,共に,無人車に設けられたカメラにより光学的に位置を検出するという機能において共通するものであり,しかも,両者は,その検出対象が,無人車に設けられたカメラが光学的に位置を検出可能とされた高輝度かつ高コントラストの像である点でも共通する。両者は,像を形成する照明が直接的なものであるか間接的なものであるかの点で相違するにすぎず,検出対象を異にするものではない。③については,レーザーポインターであっても,蛍光灯であっても,移動体の視覚装置が認識可能な光を放射する能動ビーコンである点において変わりはない。レーザーポインターの方が輝度等の性能面において蛍光灯より有利であるとしても,蛍光灯での実施は可能である。レーザー光を用いるか,蛍光灯を用いるかは,当業者が適宜に変更し得る程度の事項にすぎない。原告の上記主張はいずれも理由がない。エ 原告は,引用発明の天井照明灯に替えて,光源から光を上向きに投射し,投射された光スポットの反射光を検出する構成を採用する動機付けは存在しないと主張する。確かに,引用発明は天井照明灯を用いているから,引用発明自体には,障害物により光の検出が妨げられるという課題は存在しないといえる。しかし,上記(1)アで判示したとおり,引用例1には,従来技術として天井の反射光を用いることが示されており,天井のレーザスポット(反射光)を用いるか,天井照明灯(直接光)を用いるかは,置換可能な技術手段である。また,天井の反射光を用いる場合,障害物により光の検出が妨げられるということはないから,天井の反射光を用いることと天井照明灯を用いることは,障害物により光の検出が妨げられるという課題を解決する構成として同等の作用効果を奏するものであるといえる。そして,従来の技術に着目してその適用(転用)を試みることは,当業者が容易に着想し得ることであるから,引用例1には,障害物により光の検出が妨げられるという課題が開示されているといえる。したがって,原告の上記主張は理由がない。オ 原告は,移動面上の反射光の検知による位置の検出と,移動体と反対側にある反射光の検知による位置の検出方法は,例えば,前者ではチルト角は問題にならないのに対し,後者ではこれが必須であるなど,次元を異にするものであると主張する。しかし,移動面の光スポットの位置を検出する場合であっても,天井面の光スポットを検出する場合であっても,チルト角を求めて三角測量と同様の原理に基づいて測定すれば足り,両者の違いは,単に,チルトが,見下ろす角度であるか,見上げる角度であるかの違いにすぎない。したがって,原告の上記主張は理由がない。(3) 小括よって,原告主張の取消事由5は理由がなく,審決の容易想到性の判断に誤りはない。なお,審決においては,引用発明と引用例2記載の技術事項から本願補正発明が容易に想到し得たと記載されているものの(審決書12頁「ウ」),実質的には,これに引用例1に記載の従来技術も加えて,本願補正発明が容易に想到し得たものであると判断しているものであり(審決書10~11頁「イ」),本判決は,審決の容易想到性の判断の論理をより明確にして説示したにすぎない。 4 まとめ以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,審決に取り消すべき違法はない。第6 結論よって,原告の請求は,理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官 設 樂 一裁判官 西 理 香裁判官 田 中 正 哉 |
事件の概要 | 1 特許庁における手続の経緯 訴外エヴォリューション ロボティクス インコーポレイテッド(以下「訴 外エヴォリューション」という)は,発明の名称を「反射光源を使用する位置 推定方法および装置」とする発明につき,平成17年3月25日に国際特許出 願(優先権主張日:平成16年(2004年)3月29日(米国),特願20 07-506413号。以下「本願」という。)をし,その後,平成18年1 1月30日付け,平成22年10月13日付けでそれぞれ手続補正をしたが, 同年12月16日,拒絶の査定を受けたので,平成23年4月12日,不服の 審判(不服2011-7706号)を請求し,併せて手続補正をした(以下 「本件補正」という。)。 特許庁は,平成24年8月16日,本件補正を却下した上で,「本件審判の 請求は成り立たない。」との審決をし,同月28日,その謄本を訴外エヴォリ ューションに送達した。 |
本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。
特許裁判例 実用新案裁判例 |
意匠裁判例 商標裁判例 |
不正競争裁判例 著作権裁判例 |
特許判例 実用新案判例 |
意匠判例 商標判例 |
不正競争判例 著作権判例 |
3月4日(火) - 東京 港区
3月4日(火) -
3月4日(火) -
3月4日(火) -
3月5日(水) -
3月5日(水) -
3月6日(木) -
3月6日(木) - 東京 品川区
3月6日(木) -
3月6日(木) - 東京 港区
3月6日(木) -
3月7日(金) -
3月7日(金) - 東京 港区
3月7日(金) -
3月7日(金) -
3月4日(火) - 東京 港区
大阪府大阪市中央区北浜3丁目5-19 淀屋橋ホワイトビル2階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング
〒330-0846 埼玉県さいたま市大宮区大門町3-205 ABCビル401 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング
大阪市天王寺区上本町六丁目9番10号 青山ビル本館3階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング