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昭和33(オ)535特許権侵害行為禁止、損害賠償請求

判決文PDF

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裁判所 最高裁判所第三小法廷
裁判年月日 昭和38年6月25日
事件種別 民事
法令 特許権
キーワード 特許権1回
主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。
判示事項 特許発明明細書の記載中に公知公用の部分が含まれていることの確定は事実審の専権か。
事件の概要 特許出願にあたつて提出される特許発明明細書の記載中に公知公用の部分が含まれていることを確定するのは証拠の解釈につき事実審裁判所の職権行使にほかならない。

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判決文

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人吉住秀吉の上告理由第一点について。
 本件特許権の権利範囲を決定するため、本件特許がいかなる発明に対し与えられ
たかを判定する場合、出願の際の明細書の記載を基準とすべきであることもとより
であるが、当該明細書の記載を解釈するにあたり、他の証拠により、明細書の記載
中に公知公用の部分が含まれていることを確定し、もつて発明の要部を明らかにす
るのは証拠の解釈につき事実審裁判所の有する職権の行使にほかならない。論旨は
右と異なる所見のもとに、原審の専権行使を攻撃するに帰し、採用するに由ない。
 同第二点について。
 原審は、その是認引用する第一審判決挙示の甲第一号証(特許公報)に、判示の
本件特許出願時における技術的進歩の状態等を参酌し、揚げ豆腐の材料たる豆腐片
を容器に収容してこれを揚油中に浸漬し、攪拌作用によつて均一に油揚することは、
本件発明の要部に属せず、むしろ、製造過程中第一次処理の油温において従来一般
より高温(一〇〇度ないし一二〇度C)を採用する結果、第二次処理の油温におい
ては、通常一般より低温である一八〇度Cをもつて足りるとの温度条件こそ、判示
技術的効果に結びつく本件発明の要部であると解釈したのであり、右解釈は相当と
して是認できる。原判決には所論証拠の趣旨の誤解、理由不備の違法はなく、論旨
は理由がない。
 同第三点について。
 原判決が引用する第一審判決挙示の証拠によれば、所論引用の認定は是認できる。
所論は証拠の判断および事実認定に関する原審の専権行使を非難するもので、採用
することができない。
 同第四点について。
 原審の確定したところによれば、本件特許発明は第一次処理の油温を一〇〇度な
いし一二〇度C、第二次処理の油温を一八〇度C前后に保つことで足りるという温
度条件をその要部とするものであるのに対し、被上告人の製造方法の第一次処理の
油温は一〇〇度C以下、第二次処理の油温は二〇〇度ないし二三〇度Cであるとい
うのである(論旨中、検証の結果を援用して、被上告人の製造方法の油温を第一次
では一〇二度ないし一〇〇度C、第二次では一九八度ないし二二五度Cであるとい
う部分が、原審の認定の違法をいう趣旨であれば、事実認定に関する原審の専権行
使を攻撃するものとして、排斥を免れない)。右判決で認定の事実関係のもとでは、
本件特許発明にかかる油温と被上告人の処理油温とが相違するものであつて、これ
を単なる工程上の微差とはいえないとした原審の判断は相当であり、論旨は採用で
きない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊

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