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昭和40(あ)155業務上横領、有価証券偽造、同行使、詐欺

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裁判所 最高裁判所第二小法廷
裁判年月日 昭和40年6月3日
事件種別 民事
法令 商標権
キーワード
主文 本件各上告を棄却する。
判示事項 有価証券の偽造に当るとされた事例。
事件の概要 A株式会社の社員ではあるが、同会社を代表または代理して同会社名義の約束手形を振出す権限のない甲野太郎が、約束手形の振出人欄に、「鹿児島市a町b A株式会社鹿児島出張所」および「甲野太郎」ときざんだゴム印をそれぞれ押し、かつ甲野太郎の名下に「甲野」ときざんだ丸印を押した約束手形を作成する行為は、有価証券の偽造に当る。

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判決文

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人中山福蔵の上告趣意について。
 所論は、判例違反をいう点もあるが、そのいうところは、要するに、第一審判決
挙示の各証拠によつては共謀の事実が認められないのにかかわらず、共謀の事実を
認定した第一審判決を是認した原判決には、事実誤認があるというに帰するもので
あつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
 弁護人榊純則の上告趣意第一について。
 所論は、事実誤認および単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告
理由に当らない(なお、他人の代表者または代理人として約束手形を振出す権限の
ない者が、ほしいままに、普通人をして、他人を代表もしくは代理してするものと
誤信させるに足るような表示をして約束手形を振出すときは、有価証券偽造罪が成
立するものと解すべきところ、被告人は、A株式会社の社員で、同会社を代表しま
たは代理して同会社名義の約束手形を振出す権限がないのにかかわらず、振出人欄
に、「鹿児島市a町b「A株式会社鹿児島出張所」および「甲野太郎」ときざんだ
ゴム印をそれぞれ押し、かつ甲野太郎の名下に「甲野」ときざんだ丸印を押した約
束手形を作成したものであつて、このような約束手形は、その会社名の記載がゴム
印であることおよび会社名のうえに会社の商標がつけられていることなどに徴し、
普通一般人をして、被告人が会社を代表または代理して振出した約束手形と誤信さ
せるに足るものであるから、有価証券偽造罪を構成するものといわなければならな
い。)。
 同第二は、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
  昭和四〇年六月三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奧   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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