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平成27(ネ)10137損害賠償等請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所
裁判年月日 平成28年6月13日
事件種別 民事
当事者 控訴人株式会社DNA
被控訴人株式会社成翔 Y1 Y2近藤明彦
法令 不正競争
不正競争防止法2条1項7号3回
不正競争防止法2条6項1回
キーワード 損害賠償5回
差止1回
主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事件の概要 1 事案の要旨 (1) 本件請求の要旨 本件は,会員組織を利用して栄養補助食品等を販売している控訴人が,控訴人の 元会員である被控訴人らに対し,①被控訴人らが共同して,控訴人の営業秘密(不 正競争防止法2条6項)であるとする原判決別紙「DNA会員名簿」(控訴人名簿) を使用して原判決別紙「商品目録」記載の商品(被控訴人商品。なお,同目録1及 び2記載の商品をそれぞれ「被控訴人商品1」及び「被控訴人商品2」という。)の 販売勧誘をしているとして,[1]営業秘密の不正使用(不正競争防止法2条1項7号) に基づいて被控訴人商品を控訴人名簿記載の者に販売等することの差止め(同法3 条1項)と,[2]同不正競争に基づく平成26年6月から平成27年5月分までの控 訴人の減収分に係る損害賠償金の一部である3000万円の連帯支払(不正競争防 止法4条)をそれぞれ求めるとともに,②被控訴人らが共謀して,控訴人名簿記載 の者に対して虚偽情報の流布等をしているとして,忠実義務違反又は信義則違反の 一般不法行為(民法709条,719条)に基づいて上記同額の損害賠償金の連帯 支払を求める事案である(不正競争防止法に基づく損害賠償請求とは選択的併合)。

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判決文

平成28年6月13日判決言渡
平成27年(ネ)第10137号 損害賠償等請求控訴事件
(原審 東京地方裁判所平成26年(ワ)第16526号)
口頭弁論終結日 平成28年4月13日
判 決

控訴人(一審原告) 株 式 会 社 D N A

訴訟代理人弁護士 黒 木 芳 男

被控訴人(一審被告) 株 式 会 社 成 翔


被控訴人(一審被告) Y1

被控訴人(一審被告) Y2
3名訴訟代理人弁護士 中 村 周 而
近 藤 明 彦

主 文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事 実 及 び 理 由
用語の略称及び略称の意味は,本判決で付するもののほか,原判決に従い,原判決で付され
た略称に「原告」とあるのを「控訴人」に,
「被告」とあるのを「被控訴人」と,適宜読み替え


る。

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人らは,原判決別紙「商品目録」記載の商品を,原判決別紙「DNA
会員名簿」記載の者に対し,譲渡し,引き渡し,又は買受けの勧誘をしてはな
らない。
3 被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して,3000万円を支払え。
4 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。

第2 事案の概要
1 事案の要旨
(1) 本件請求の要旨
本件は,会員組織を利用して栄養補助食品等を販売している控訴人が,控訴人の
元会員である被控訴人らに対し,①被控訴人らが共同して,控訴人の営業秘密(不
正競争防止法2条6項)であるとする原判決別紙「DNA会員名簿」(控訴人名簿)
を使用して原判決別紙「商品目録」記載の商品(被控訴人商品。なお,同目録1及
び2記載の商品をそれぞれ「被控訴人商品1」及び「被控訴人商品2」という。)の
販売勧誘をしているとして,[1]営業秘密の不正使用(不正競争防止法2条1項7号)
に基づいて被控訴人商品を控訴人名簿記載の者に販売等することの差止め(同法3
条1項)と,[2]同不正競争に基づく平成26年6月から平成27年5月分までの控
訴人の減収分に係る損害賠償金の一部である3000万円の連帯支払(不正競争防
止法4条)をそれぞれ求めるとともに,②被控訴人らが共謀して,控訴人名簿記載
の者に対して虚偽情報の流布等をしているとして,忠実義務違反又は信義則違反の
一般不法行為(民法709条,719条)に基づいて上記同額の損害賠償金の連帯
支払を求める事案である(不正競争防止法に基づく損害賠償請求とは選択的併合)。

(2) 原審の判断
原判決は,①被控訴人らが控訴人名簿を控訴人から示された事実及びこれを使用
した事実はいずれも認められないとして,控訴人の不正競争に基づく請求をいずれ
も棄却し,②被控訴人らが控訴人の主張する不法行為をした事実は認められないと
して,控訴人の一般不法行為に基づく請求をいずれも棄却した。

2 前提となる事実
本件の前提となる事実は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」
欄の第2(事案の概要)の「1 前提事実」に記載のとおりである。
① 原判決2頁26行目から同3頁1行目にかけての「被告会社」から同行目末
尾までを削り,同4頁15行目の次に次のとおり加え,同16行目冒頭の「(4)」を
「(6)」に改める。
「(4) 商品の変更
控訴人は,平成26年2月ころ,主力の販売商品を,核酸含有食品『DNA ゴ
ールド』から乳酸菌生産物質濃色液『DNA バイオコンク100』に変更した。
(乙
2,11ないし13,15,原審証人Aの証言,被控訴人Y2の尋問結果,被
控訴人Y1の尋問結果,控訴人代表者の尋問結果)
(5) 被控訴人らの行為
被控訴人会社は,平成26年6月,核酸含有食品である被控訴人商品1の販
売を開始し,その後,被控訴人商品2の販売を開始した。
(乙11,被控訴人Y
1 の尋問結果)」
② 原判決4頁20行目の「文書を送付し,」を「文書を3度にわたって送付し,」
に改め,同21行目の「送付すること」の次に「,控訴人の会員の退会を勧誘
した被控訴人らに対して損害賠償請求訴訟を提起する予定であり,このような
被控訴人らの行為に加担しないこと」を加える。


3 争点
本件の争点は,原判決の「事実及び理由」欄の第2(事案の概要)の「2 争点」
に記載のとおりである。

第3 当事者の主張
当事者の主張は,下記1のとおり原判決を補正し,同2に当審における控訴人の
補充主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第2(事案の概要)の「3
争点に関する当事者の主張」に記載のとおりである。
1 原判決の補正
① 原判決5頁20行目冒頭に次のとおり加える。
「 控訴人名簿が営業秘密に該当することは,争う。また,」
② 原判決7頁26行目の「832万4707円」を「832万4701円」に
改める。
③ 原判決8頁2行目の「308万0141円」を「308万0139円」に,
同行目の「3696万1602円の」を「3696万1602円を下回らない」に
それぞれ改める。

2 当審における控訴人の補充主張
(1) 「使用し」(不正競争防止法2条1項7号)について
会員相互間には緊密な人的関連があるから,被控訴人Y1及び被控訴人Y2は,控
訴人名簿に基づき,下部の会員を通じて控訴人名簿に記載の会員全体の連絡先を把
握できることができる。
(2) 退会届の無断提出について
多数人から同一筆跡による退会届が控訴人に提出されているから,退会届が本人
の意思に反して提出されたことは明らかである。
(3) 本件認定証・本件契約書によって認められる忠実義務・信義則義務違反に

ついて
被控訴人商品1の企画や商品・容器の製造等に必要な期間は,6か月と推定され
るから,被控訴人Y1は,退会前から被控訴人商品1の販売計画を有していたこと
になる。したがって,会員の勧誘も,そのころから始めていたことは明らかである。

第4 当裁判所の判断
当裁判所は,当審における控訴人の主張を踏まえても,被控訴人らが控訴人の営
業秘密を使用したとは認められず,また,被控訴人らが不法行為に該当する行為を
したとも認められず,控訴人の請求は,その余の点について判断するまでもなく,
いずれも棄却すべきものと判断する。
その理由は,下記1のとおり原判決を補正し,同2に当審における控訴人の補充
主張に対する判断を示すほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所
の判断」の1及び2に記載のとおりである。
1 原判決の補正
① 原判決8頁18行目の「原告名簿」を「控訴人名簿それ自体」に改め,同2
0行目から同24行目までを次のとおり改める。
「 そして,控訴人名簿及びその抜粋と認められる被控訴人ら受領のリピーターマ
ップ(以下,両者を併せて「控訴人名簿等」という。)の記載内容は,住所,電話
番号等の連絡先に係る情報を含まないため,これらを使用しても控訴人名簿等に
記載された者に対して連絡を取ることはできない。そうすると,控訴人名簿等に
記載の者に対して連絡をとるためには,別途,それらの者とその連絡先とが関係
付けられている控訴人名簿等以外の情報源に基づくほかない。したがって,それ
らの者との連絡に際しては,控訴人名簿等の有用性は極めて乏しく,その際に控
訴人名簿等は使用されていないと推認される。また,会員名以外の控訴人名簿等
に記載の情報については,控訴人からは,その営業秘密としての有用性について
も,被控訴人らによるその使用についても,具体的な主張立証がなく,その使用

の事実を認める余地はない。
そうすると,仮に,控訴人名簿が営業秘密に該当するとしても,少なくとも,
被控訴人らが控訴人名簿に係る営業秘密を使用したとは認められない。したがっ
て,その余の点について判断するまでもなく,控訴人の不正競争に基づく請求は,
いずれも理由がない。」
② 原判決9頁17行目の「これは」から同20行目の「照らし,」までを次のと
おり改める。
「同陳述書の記載において,被控訴人Y2から上記①ないし②に係る事実を告げら
れて控訴人を退会するよう勧誘されたとすることに関しては,わずか2,3行程
度の分量にとどまり,この記載によって,被控訴人Y2が上記①ないし②に係る
事実を相当数の控訴人名簿記載の者らに対して述べていたことを推認することは
困難である。しかも,被控訴人Y2が同陳述書記載のような勧誘方法を行ってい
たことを否定していること(被控訴人Y2の尋問結果)などにも照らすと,」
③ 原判決11頁6行目から同13行目までを次のとおり改める。
「 以上のとおり,控訴人の主張する不法行為は,いずれもこれを認めるに足り
る証拠がない。
(2) また,控訴人は,被控訴人らが控訴人の会員に対して被控訴人会社の会員と
して加入するよう勧めることが,本件認定証及び本件契約書によって定められ
た義務に違反するかのような主張をするが,根拠を見出し難い。
本件認定証及び本件契約書においては,会員資格を有する間の自己組織又は
同業他社への勧誘の禁止と,会員資格の有無を問わない営業秘密の漏えいの禁
止とが定められているものと解されるが,それ以上に,会員資格を喪失した後
の競業避止義務は定められていない。そして,控訴人が,サケ白子抽出物を成
分とする食品の国内における製造,販売を独占できる地位にあることを認める
に足りる証拠がないばかりか,控訴人の販売する商品と被控訴人商品1とは,
商品名もパッケージも全く相違しており(したがって,両者は「類似品」とは

いえない。,また,被控訴人らが控訴人の営業秘密を使用したと認められない

ことは,前記説示のとおりである。
そうすると,被控訴人らが控訴人の会員に対して退会後に被控訴人会社の会
員になるよう勧めることは,単に,被控訴人らの勧誘先の中に控訴人会社の会
員が含まれる場合があるというにすぎず,自由競争を前提とする通常の経済活
動に含まれるものであって,直ちに違法と評価できないことは明らかである。」

2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
(1) 「使用し」(不正競争防止法2条1項7号)について
控訴人の主張は,会員相互間の人的関連に基づいて各連絡先を把握できるから,
控訴人名簿を使用して勧誘をしたものとみなされるとの趣旨と解される。
しかしながら,自己より下部の会員及び更に下部の会員が誰であるかは,もとも
と被控訴人らの勧誘した結果に基づいて控訴人の会員となっている以上,既知のこ
とであり,これらの人的な関連により,その各々の連絡先を把握できるから,結局,
勧誘に当たり,控訴人名簿を使用すべき必要性は認められない。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。
(2) 退会届の無断提出について
控訴人は,多数人から同一筆跡による退会届が控訴人に提出されている以上,退
会届が本人の意思に反して提出されたことは明らかであると主張する。
しかしながら,上記主張について,どの程度の同一筆跡による退会届が提出され
たのか具体的に明らかではないが,仮に,多数人から同一筆跡による退会届が提出
されたとすれば,当該届出人自らが退会届を記載していないことは推認できるとし
ても,退会届の提出が当該届出人の意思に積極的に反すると直ちに推認できるもの
ではない。前記認定(原判決引用部分)のとおり,控訴人の従業員が複数回にわた
って各会員らに直接意思確認をしたにもかかわらず,退会を翻意した者はいないと
いうのであるから,退会届を記載したのが本人ではないとしても,退会届が本人の

意思に従ったものであることは明らかである。
控訴人の上記主張は,採用することができない。
(3) 本件認定証・本件契約書によって認められる忠実義務・信義則義務違反に
ついて
控訴人は,被控訴人商品1の企画から製造までには6か月を要するところ,被控
訴人会社は平成26年4月2日に退会したにもかかわらず,平成26年6月には被
控訴人商品1の販売を開始しているから,被控訴人Y1は,退会前から被控訴人商
品の販売計画を有していたとの趣旨を主張し,これに沿う証拠として,同種営業を
している会社の担当者作成の新商品スケジュール表が添付された甲第34号証を提
出する。
しかしながら,上記スケジュール表は「錠剤(タブレット)」に関するとだけ記載
されたものであるところ,どのような商品に関する販売計画であるかを問わずに一
律にその開発期間を論じても無意味であるから,甲第34号証により上記主張を裏
付けることは困難である。
控訴人の上記主張は,採用することができない。

3 小括
そのほか,控訴人がるる主張するところも,いずれも採用することができない。
したがって,控訴人の請求は,いずれも理由がない。

第5 結論
よって,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由
がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第2部


裁判長裁判官
清 水 節


裁判官
中 村 恭


裁判官
森 岡 礼 子

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