平成29(ネ)10050損害賠償請求控訴事件
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裁判所 |
控訴棄却 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所
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裁判年月日 |
平成29年6月27日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
控訴人X 被控訴人株式会社リコー
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対象物 |
カツター装置付きテープホルダー |
法令 |
実用新案権
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キーワード |
侵害17回 実用新案権5回 損害賠償5回
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主文 |
本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。 |
事件の概要 |
本件は,考案の名称を「カツター装置付きテープホルダー」とする考案に係る本
件実用新案権を有していた控訴人が,原判決別紙1の別紙共通目録記載の「侵害対
象物A」,「侵害対象物B」及び「侵害対象物C」は,実用新案登録請求の範囲の考
案の技術的範囲に属し,被控訴人がこれらの侵害対象物を製造販売する行為(「侵
害対象物A」につき,昭和50年10月1日から昭和56年6月13日までの間に
おける,当初の122台の製造販売の行為。「侵害対象物B」につき,上記期間に
おける,当初の10台の製造販売の行為。「侵害対象物C」につき,上記期間にお
ける,当初の15台の製造販売の行為。)は,控訴人の本件実用新案権を侵害する
と主張して,被控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償金合計1094万880
0円及びこれに対する不法行為の後である昭和56年6月14日から支払済みまで
民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 |
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判決文
平成29年6月27日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成29年(ネ)第10050号 損害賠償請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所平成29年(ワ)第8057号)
判 決
控 訴 人 X
被 控 訴 人 株 式 会 社 リ コ ー
主 文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,1094万8800円及びこれに対する昭和5
6年6月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
4 仮執行宣言
第2 事案の概要(略称は,原判決に従う。)
本件は,考案の名称を「カツター装置付きテープホルダー」とする考案に係る本
件実用新案権を有していた控訴人が,原判決別紙1の別紙共通目録記載の「侵害対
象物A」「侵害対象物B」及び「侵害対象物C」は,実用新案登録請求の範囲の考
,
案の技術的範囲に属し,被控訴人がこれらの侵害対象物を製造販売する行為(「侵
害対象物A」につき,昭和50年10月1日から昭和56年6月13日までの間に
おける,当初の122台の製造販売の行為。「侵害対象物B」につき,上記期間に
おける,当初の10台の製造販売の行為。「侵害対象物C」につき,上記期間にお
ける,当初の15台の製造販売の行為。)は,控訴人の本件実用新案権を侵害する
と主張して,被控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償金合計1094万880
0円及びこれに対する不法行為の後である昭和56年6月14日から支払済みまで
民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は,控訴人の本件訴えは,不適法でその不備を補正することができないもの
であるとして,却下したため,控訴人が,原判決を不服として,本件控訴を提起し
た。
第3 当裁判所の判断
当裁判所も,控訴人の本件訴えは,不適法でその不備を補正することができない
ものであるから,却下すべきものと判断する。
その理由は以下のとおりである。
1 前提となる事実
前提となる事実は,原判決2頁3行目「一件記録」から25行目のとおりである
から,これを引用する。
2 判断
⑴ 控訴人は,平成13年訴訟において,被控訴人は,原判決別紙2の別紙イ号
製品目録記載の「イ号製品」,別紙ロ号製品目録記載の「ロ号製品」及び別紙ハ号
製品目録記載の「ハ号製品」を製造販売し,本件実用新案権を侵害したとして,被
控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めたが,かかる訴えは,訴
権の濫用に当たる不適法なものとして却下されたものである。一方,控訴人は,本
件訴えにおいて,被控訴人は,原判決別紙1の別紙共通目録記載の「侵害対象物
A」「侵害対象物B」及び「侵害対象物C」を製造販売し,本件実用新案権を侵害
,
したとして,被控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めている。
そして,被控訴人が製造販売したと控訴人が主張する物品を比較すると,「侵害対
象物A」「侵害対象物B」及び「侵害対象物C」は,それぞれ「イ号製品」「ロ号
, ,
製品」及び「ハ号製品」と実質的に同一の製品であると認められる。
また,控訴人は,被控訴人が製造販売した複写機の部品により,本件実用新案権
を侵害されたとして,多数回にわたる損害賠償請求訴訟又は不当利得返還請求訴訟
を提起し,その全てが,請求棄却判決又は訴え却下判決で終了している。
そうすると,本件訴えは,平成13年訴訟等において認められなかった請求及び
主張を蒸し返すものであるから,信義則に反し訴権の濫用に当たる不適法なもので
あって,その不備を補正することができないものというべきである。
⑵ これに対し,控訴人は,本件訴えにおいて,被控訴人が製造販売したと主張
する物品は「ロール紙を切断するカッター装置を施した本体」であり,平成13年
訴訟における当該物品は「複写機」であるから,実質的に同一の製品ではない旨主
張するものと解される。しかし,平成13年訴訟において,被控訴人が製造販売し
たと主張していた物品は,前者に相当する物品であると認められるから,控訴人の
上記主張は採用できない。控訴人は,その他るる主張するが,いずれも上記判断を
左右しない。
3 結論
よって,本件訴えを却下した原判決は相当であるから,口頭弁論を経ないで本件
控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 髙 部 眞 規 子
裁判官 山 門 優
裁判官 片 瀬 亮
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