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平成30(行ケ)10103審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 平成30年12月20日
事件種別 民事
当事者 被告株式会社ドワンゴ波田野晴朗
原告エフシーツーインク壇俊光
法令 商標権
商標法50条1項3回
商標法50条2回
キーワード 審決15回
無効1回
商標権1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事件の概要 1 特許庁における手続の経緯等(後掲証拠及び弁論の全趣旨から認められる事 実) (1) 原告は,次の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲 2,8)。 登 録 番 号 第5621414号 登録出願日 平成24年9月13日 設定登録日 平成25年10月11日 登 録 商 標 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 第42類 インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの 設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホ ームページの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インター ネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保 守に関する情報の提供,インターネット等の通信ネットワークにおける 情報・サイト検索用の検索エンジンの提供,インターネット等の通信ネ

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判決文

平成30年12月20日判決言渡
平成30年(行ケ)第10103号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成30年10月23日
判 決

原 告 エ フ シ ー ツ ー イ ン ク

同訴訟代理人弁護士 高 橋 淳
壇 俊 光

被 告 株 式 会 社 ド ワ ン ゴ

同訴訟代理人弁護士 宮 川 美 津 子
波 田 野 晴 朗
高 藤 真 人
同訴訟代理人弁理士 稲 葉 良 幸
右 馬 埜 大 地
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を
30日と定める。
事 実 及び 理 由
第1 請求
特許庁が取消2016-300722号事件について平成30年3月22日
にした審決を取り消す。

第2 事案の概要
1 特許庁における手続の経緯等(後掲証拠及び弁論の全趣旨から認められる事
実)
(1) 原告は,次の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲
2,8)。
登録番号 第5621414号
登録出願日 平成24年9月13日
設定登録日 平成25年10月11日
登録商標


商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務
第42類 インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの
設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホ
ームページの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インター
ネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保
守に関する情報の提供,インターネット等の通信ネットワークにおける
情報・サイト検索用の検索エンジンの提供,インターネット等の通信ネ
ットワークを利用するためのコンピュータシステムの設計・作成又は保
守に関するコンサルティング,インターネット等の通信ネットワークを
利用するプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータにおけるウィ
ルスの検出・排除及び感染の防止・パスワードに基づくインターネット
情報及びオンライン情報の盗用の防止並びにコンピュータにおけるハッ
カーの侵入の防止等の安全確保のためのコンピュータプログラムによる

監視,インターネットサイトにおけるブログ検索用の検索エンジンの提
供,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,
ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,ウェブ
ログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の
提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又
はこれに関する情報の提供,インターネットホームページを閲覧するた
めの電子計算機の貸与,インターネット上で利用者が交流するためのソ
ーシャルネットワーキング用サーバコンピュータの記憶領域の貸与,イ
ンターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供,
インターネット等の通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記
憶領域の貸与
(なお,平成28年7月11日に,上記指定役務中,「ウェブログの運
用管理のための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブロ
グ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲
覧するためのコンピュータプログラムの提供」についての登録を無効と
する旨の審決の確定登録がされた。)
(2) 被告は,本件商標の登録取消審判請求をし,特許庁は,これを取消201
6-300722号事件として審理した。取消審判請求の登録日は平成28
年10月31日である。(甲8)
(3) 特許庁は,平成30年3月22日,「登録第5621414号商標の指定
役務中,第42類「インターネット等の通信ネットワークにおけるホームペ
ージの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおける
ホームページの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネ
ット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守に関
する情報の提供,インターネット等の通信ネットワークにおける情報・サイ
ト検索用の検索エンジンの提供,インターネット等の通信ネットワークを利

用するためのコンピュータシステムの設計・作成又は保守に関するコンサル
ティング,インターネット等の通信ネットワークを利用するプログラムの設
計・作成又は保守,コンピュータにおけるウィルスの検出・排除及び感染の
防止・パスワードに基づくインターネット情報及びオンライン情報の盗用の
防止並びにコンピュータにおけるハッカーの侵入の防止等の安全確保のため
のコンピュータプログラムによる監視,インターネットサイトにおけるブロ
グ検索用の検索エンジンの提供」についての商標登録を取り消す。」旨の審
決(以下「本件審決」という。また,取消しに係る役務を「取消対象役務」
という。)をし,出訴期間として90日を附加した。その謄本は,同月30
日,原告に送達された。
(4) 原告は,平成30年7月23日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提
起した。
2 本件審決の理由の要旨
本件審決の理由は別紙審決書(写し)記載のとおりであり,要するに,原告
の使用する,「ブロマガ」の文字からなる商標は,本件商標と社会通念上同一
の商標とはいえず,商標法50条に規定する「登録商標」に当たらないし,ま
た,原告は,上記原告の使用する商標を「インターネット検索エンジンの提供」
などの取消対象役務に使用していないため,原告が,登録に係る登録商標を取
消審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に取消対象役務に
ついて使用したことの証明がないから,本件商標の取消対象役務に係る登録は
商標法50条により取り消されるべきであるというものである。
3 取消事由
(1) 商標の同一性についての判断の誤り(取消事由1)
(2) 商標の使用役務についての判断の誤り(取消事由2)
第3 取消事由に関する当事者の主張
1 商標の同一性についての判断の誤り(取消事由1)

(1) 本件商標と,「ブロマガ」の文字からなる商標が商標法50条1項所定
の「社会通念上同一と認められる商標」に当たらないとした本件審決の判断
は,次のとおり,誤りである。
(2) 「社会通念上同一と認められる商標」について判断するに際しては,特
定の発音に固執することなく,ある程度幅のある発音を念頭に,日本におけ
る一般的な認識や連想等を含めて総合的に判断すべきであるところ,本件審
決は,本件商標と使用商標との間に書体に変更を加える以上の違いがあるか
という問題のみにこだわり,称呼や観念等を全く検討していない。本件審決
の考え方によれば,2段の商標については書体に変更を加える程度でそのま
ま用いなければ社会通念上の同一性がないということになるが,これは過去
の裁判例の考え方に反するというだけでなく,これまでの2段の商標につい
ての実務を全く否定するものである。
(3) 原告が使用する「ブロマガ」の文字からなる商標と本件商標は社会通念
上同一である。
ア 本件商標と「ブロマガ」は称呼が同一であること
(ア) 日本語では英語やフランス語を全て正確に発音できず,欧文字に接し
た一般人がどのように読むかはある程度の幅があるし,日本語独特の発
音や略音が存在するから,欧文字の称呼については,社会通念の範囲で
ある程度の幅をもって考えなければならない。
欧文字の一般的な読み方として,例えば「HongKong」を「ホ
ンコン」,「Ping-Pong」を「ピンポン」,「Sign」を「サ
イン」,「Foreign」を「フォーリン」と読むように,「g」を
発音しない例がしばしば存在する一方,「KING KONG」はキン
グコングと,英語ではほとんど発音されないにもかかわらず「グ」と発
音する。このように,日本語において,「g」を「グ」と発音するかど
うかは,その後の音とも関連して,ケースバイケースであり,社会の一

般的な表音方法によって決すると言わざるを得ないが,「g」はしばし
ば発音の対象外となる。
また,「エアーコンディショナー」を「エアコン」,「パーソナルコ
ンピュータ」を「パソコン」,「ドラゴンクエスト」を「ドラクエ」,
「キムラタクヤ」を「キムタク」とするように,語呂の悪い語や冗長な
語等を略して使用するのは日本語の特徴の1つであり,このような略語
では,それぞれの語の語頭から二モーラ(二拍)ずつを取るのが基本的
なパターンである。
(イ) 欧文字と片仮名の2段書きの商標は,欧文字とその表音を記載するこ
とが多く,本件商標も,「BlogMaga」が一般的にブロマガと呼
ばれていたことから,表音を示す2段書きの商標として登録された。
すなわち,「BlogMaga」において,「g」(グ)の濁音に続
けて「Ma」(マ)を発音するのは,後者を発音する際に一度口を閉じ
なくてはならないことから語呂が悪く,「ブロマガ」と発音する方が遙
かに簡単である。また,上記(ア)のとおり,「g」は脱落して発音される
傾向にあり,略語には「二モーラ+二モーラ」の4文字読みが多いこと
から,「グ」が脱落した表音を示したのである。
また,社会一般としても「BlogMaga」の表記を「ブロマガ」
と記載していることが多く,これをブログマガと表記していることは皆
無であり,このことは,需要者が「BlogMaga」を「ブロマガ」
と認識していることを端的に示すものである。
イ 本件商標と「ブロマガ」は観念が同一であること
(ア) 「BlogMaga」は造語であるが,「Blog」つまり特定の話
題について書き綴った文章や感想,画像などを時系列順に配置した日記
的なウェブサイトを意味する「Weblog」の略語である「Blog」
といろんなものを盛り込んだものを意味する雑誌の英語「Magazi

ne」の略語である「Maga」が結合され,いろいろなブログを配信
するサービスという観念が生じる。他方,「ブログ」「マガジン」の略
語が結合した「ブロマガ」からも,いろいろなブログを配信するサービ
スであるという観念が生じる。
(イ) 商標の使用が社会的同一性から判断されるのであれば,その判断は需
要者の認識を基礎とするべきであるところ,原告のサービスは, 「ブ
広く
ロマガ」として認識されており,「ブログマガ」とは認識されていない。
すなわち,原告は,平成21年1月にFC2ブログを通じて有料コン
テンツの販売及び購入ができる有料配信サービス「ブロマガ」を開始し,
「ブロマガ」を紹介する書籍も多数発行されている。また,FC2ブロ
グのユーザーはユーザー数データによれば,平成24年12月の時点で
500万人弱(490万621人),FC2ブログは日本のブログ利用
に関するレポートで日本国内第1位となるなど,ブログの分野において
著名であり最大手の1つであるが,FC2ブログのユーザーが利用する
管理画面には常に「ブロマガ」の紹介がされている。「ブロマガ」は原
告の提供するブログの有料配信サービスとしてインターネット上で大き
く取り上げられている。
原告のサービスや「BlogMaga」の欧文字についていずれも「ブ
ロマガ」と称呼又は表示されているのであり,「ブログマガ」の称呼又
は表示がされていることはない。
ウ 以上のとおり,称呼の同一性,観念の同一性,商標の利用実態や社会的
なサービスへの認識からすれば,本件商標と原告が使用する「ブロマガ」
の文字からなる商標は「社会通念上同一と認められる商標」(商標法50
条1項)に当たる。
(4) 「blomaga」の文字からなる商標の使用について
原告は,「blomaga」という文字からなる商標を,FC2ブロマガ

のURL(甲9,10)に用いている。仮に,「ブロマガ」から「Blog
Maga」の欧文字が想起できないとすれば,需要者は,「blomag
a」の欧文字を想起することになる。また,「BlogMaga」と「bl
omaga」は,「g」の欠落という相違はあるが,文字数は一字違いに過
ぎず,その欠落の有無は一見したのみでは気付き難いから,両者の外観は酷
似するし,同一の観念が生じる。そうすると,「blomaga」と本件商
標は,称呼及び観点を共通にするものと認められるのであるから,全体とし
て観察すると社会通念上同一と認められる。したがって,この点からも原告
が本件商標を使用していたことが明らかである。
2 商標の使用役務についての判断の誤り(取消事由2)
(1) 原告が「ブロマガ」の文字からなる商標を使用する役務が,取消対象役務
に含まれないとした本件審決の判断は,次のとおり,誤りである。
(2) 検索エンジンとは「インターネット上のさまざまなコンテンツを探すサー
ビスの総称」であり,検索機能を提供するウェブサイトそのものを検索エン
ジンと呼ぶことがある。
原告が提供する「ブロマガランキング」(甲9,10)には,上部にキー
ワード検索欄,右側にキーワード,ジャンル,価格,表示順で抽出可能な,
月間ブロマガ,単体ブロマガの検索欄,左側には,ジャンル別のブロマガの
一覧,ランキング,注目タグなどの特定のジャンルによって,視聴者が希望
するブログを探せるようになっているから,上部と右側のロボット型が検索
エンジンに該当するのは当然のこと,左側に存在する「ジャンル」「ランキ
ング」も検索エンジンに該当し,ブロマガランキングというページは,検索
エンジンの実行結果を表示したページである。
独立して商取引の対象となるためには,独立して商取引の対象となり得る
ことで足り,独立して商取引されていることを要しない。現代では,サービ
スの内容は高度化・複雑化しており,特にインターネットにおける役務につ

いてはその傾向が著しく,複数の指定役務に属するサービスを組み合わせて,
1つの総合サービスとして運営されていることが通常である。この場合に,
渾然一体となっているのであればともかく,そうでない場合に,このような
サービスを1つの指定役務であるとし,その他のサービスを付随的なものと
することは社会通念に反している。
ブロマガランキングは,ブロマガを購入しようとする者に対して,必要と
するブロマガを早く見つけることが出来るようにするサービスである。ブロ
マガサービスは,視聴者に対するサービスではなく,ブログを有料配信する
ことを希望する者に対してシステムを提供するサービスであるから,ブロマ
ガランキングとブロマガはサービス提供の対象が異なる。また,原告はブロ
グの配信をしているのではなく,ブログの配信システムを「インターネット
におけるブログの為の記憶領域の貸与」としてユーザーに提供し,ブロマガ
ランキングの検索エンジンを購入者に対して提供しているのであるから,取
引の対象も異なる。
さらに,ブロマガランキングには広告枠が設けられており,ブログの有料
配信から独立して収益の対象となっている。ブロマガランキングは,現時点
では自社のシステムを利用したブロマガだけを紹介しているが,技術として
は他社のブログ等も紹介することは可能であり,技術的には全く独立してい
る。
以上のとおり,原告による検索エンジンの提供は,「ブロマガ」サービス
の一環として提供されているが,独立して取引の対象となり得る。
ブロマガランキングのページ自体が検索エンジンなのであるから,当該ペ
ージを示すだけで,「インターネットサイトにおけるブログ検索用検索エン
ジンの提供」であることは自明であり,原告は,「ブロマガ」を「インター
ネットサイトにおけるブログ検索用の検索エンジンの提供」の役務に使用し
ている。

第4 被告の反論
1 商標の同一性についての判断の誤り(取消事由1)について
(1) 本件商標の構成中の「ブロマガ」の片仮名は,特定の意味を理解させると
はいえない造語というべきものであって,これを欧文字で表す場合は,「b
romaga」ないし「blomaga」と表示するのが通常である。他方,
構成中の「BlogMaga」の欧文字も,特定の意味を有しない造語とい
えるものであって,これを片仮名で表す場合は,「ブログマガ」と表示する
のが一般的といえる。したがって,本件商標の「ブロマガ」の片仮名と,「B
logMaga」の欧文字とは同一の称呼及び観念を生ずるものということ
ができず,本件商標からは,その構成各文字に応じて「ブロマガ」部分から
は「ブロマガ」,「BlogMaga」部分からは「ブログマガ」の称呼を
生じ,特定の観念を生じない。
これに対し,原告の使用する「ブロマガ」からは「ブロマガ」の称呼を生
じ,特定の観念を生じない。
したがって,原告の使用する商標は,本件商標につき「平仮名,片仮名及
びローマ字の文字を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ず
る商標」ということができないので,本件商標と社会通念上同一の商標では
ないから,本件審決の判断は相当である。原告は,FC2ブログはブログの
分野において著名であり,ブログのユーザーが利用する管理画面には常に「ブ
ロマガ」の紹介がされていると主張するが,客観的な証拠はない。また,仮
にFC2ブログが著名であったとしても,FC2ブログは原告が「ブロマガ」
を用いて行っている役務とは異なるものであり,原告が「ブロマガ」を用い
て行っている役務について「ブロマガ」の周知性を立証するものではない。
(2) 「blomaga」の使用について
URLでの使用が商標の使用と認められるかという点は措くとしても,
「b

lomaga」と「BlogMaga」は「g」の有無において外観上大き
な違いがあるし,称呼の観点からしても「g」が欠落する「blomaga」
からは「ブログマガ」の称呼は生じない。「blomaga」と「Blog
Maga」のいずれも造語であって特段の観念を生じない。そうすると「b
lomaga」と「BlogMaga」は「書体のみに変更を加えた同一の
文字からなる商標」ではないし,外観及び称呼が異なる点からしても社会通
念上同一とはいえない。
2 商標の使用役務についての判断の誤り(取消事由2)について
(1) 商標法にいう「役務」は,他人のためにする労務又は便益であって,付随
的ではなく独立して市場において取引の対象となり得るものをいう。「検索
エンジン」とは,一般的には,一定の検索条件を定めることにより,インタ
ーネット上に多数存在するウェブサイトの中から,検索条件に該当する情報
を検索する仕組みであると理解され,このような検索エンジンを独立した商
取引の対象となるサービスとして提供するのが「検索エンジンの提供」であ
る。
ウェブサイトを通じてコンテンツを提供するサービスでは,利用者がウェ
ブサイト内の特定の情報を探し出すことを可能にするために,ウェブサイト
上に検索機能を備えていることがあるが,このような検索機能は,特定のウ
ェブサイト内の限られた情報の検索を可能とするものであり,コンピュータ
等の端末装置にプリインストールされているオペレーションソフトウェア
(例
えば,マイクロソフトコーポレイションのOS「ウィンドウズ」)の一機能
である,端末の記憶領域に記憶されたデータの中から,検索キーワードに関
連した情報等を探し出すための仕組み(例えば「ウィンドウズ」の一機能で
ある「エクスプローラー」)と大差ないものであって,このようなソフトウ
ェアの一機能に過ぎない付随的な機能が実装されていることをもって,検索

エンジンが商取引の対象として提供されていると考えるべきではない。コン
テンツ提供等のサービスにおいて付随的に提供される検索機能の提供と, 検

索エンジンの提供」は別個の役務として区別されるべきである。
(2) 原告の役務は,原告の説明によれば,ブログ記事を購入しようとしている
者に対して,必要とするブログ記事を早く見つけることができるようにする
というサービスとのことである。原告のウェブサイトにおける検索機能は,
ブログ記事の配信サービスの提供に際して,利用者がウェブサイト内の目当
てのブログ記事を探し出すことを容易にするという付随的な機能として提供
されているに過ぎず,かかる付随的機能の提供は「インターネットサイトに
おけるブログ検索用の検索エンジンの提供」には該当しない。
第5 当裁判所の判断
1 後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実を認めることができる。
(1) 原告は,「FC2ブログ」という名称のブログサービスを提供している。
原告は,平成21年1月20日,FC2ブログにおいて,ユーザーがブログ
記事に課金設定をして投稿することで,月額購読ポイントを支払った読者だ
けが当該ブログ記事を閲覧できる「ブロマガ」というサービスの提供を開始
した。(甲11~14)
(2) 平成28年4月30日当時,原告のウェブサイト(「FC2ブログ>ブロ
マガランキング」のページ)において,上部に,馬のようなマークの横に太字
のゴシック体風の文字で「FC2」,「ブロマガ」の文字が並べて表示されて
いた。また,本文の最上部に「ブロマガランキング」と表示されていた。この
ウェブサイトのURLには「blomaga」という文字が含まれていた。
上記ウェブサイトの中央部分には,
「ブロマガランキング」の文字の下に,
1位から順にブログのタイトルが列挙され,ウェブサイトの右側部分には,
「ブロマガ検索」との表示の下に「月間ブロマガ」と「単体ブロマガ」を選
択するボタン,「キーワード」,「ジャンル」,「価格」,「表示順」の入

力ないし選択ウィンドウが配置され,最下段には「検索」ボタンが配置され
ていた。
上記ウェブサイトは,上記(1)の「ブロマガ」というサービスの対象である
有料で閲覧できるブログ記事のランキングを示したものであり,「ブロマガ
検索」は,「ブロマガ」というサービスの対象である有料のブログ記事の検
索を行うものであるが,原告が提供するFC2ブログに含まれる有料のブロ
グ記事を対象としたものであって,それ以外のウェブサイトの検索をする機
能は提供されていない。(甲10)
2 商標の使用について
上記1に認定した事実によれば,原告は,平成28年4月当時,電磁的方法
により行う映像面を介した役務の提供に当たり,その映像面に「ブロマガ」の
文字からなる商標(以下「本件使用商標」という。)を表示して役務を提供し
ていたものであるから,原告は要証期間内に本件使用商標を使用していたもの
と認められる。
3 商標の同一性について
(1)ア 本件商標は,前記第2の1(1)のとおり,ゴシック体風の「ブロマガ」
の片仮名とセンチュリー体風の「BlogMaga」の欧文字を上下2段
に配置した商標であり,上段と下段の間は文字の高さの半分程度の間隔が
あり,上段と下段のフォントの大きさは概ね同じで,上段より下段の方が
やや横幅が大きく構成されている。
上段の「ブロマガ」部分からは,「ブロマガ」という称呼が生じる。ま
た,下段の「BlogMaga」部分は,「Maga」が大文字の「M」
で始まること,「dog」,「frog」のような「og」の語尾を持つ
一般的な英語で「g」の発音を省略することはないこと,「Blog」は
ウェブログの省略語として浸透している「ブログ」を想起させることから,
全体として「ブログマガ」という称呼が生じるものと認められる。そうす

ると,本件商標からは,「ブロマガブログマガ」という称呼が生じるとい
える。
また,「ブロマガ」及び「BlogMaga」はいずれも造語であり,
特段の観念を生じるとは認め難く,本件商標からは特段の観念を生じない。
イ 他方,本件使用商標は「ブロマガ」の文字のみからなるものであるから,
本件商標とは使用する文字の一部が共通するものの,外観,観念及び称呼
のいずれについても同一とはいえない。
ウ 以上に照らせば,本件使用商標について,本件商標の「書体のみに変更
を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の
表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外
観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標(本件商標)
と社会通念上同一と認められる商標」ということはできない。
エ また,原告は,原告のウェブサイトのURL中の「blomaga」の
文字の使用について,本件商標と「社会通念上同一の商標」の「使用」に
当たると主張するが,仮にURLにおける「blomaga」の使用が商
標法50条1項所定の「商標」の「使用」に当たるとしても,「blom
aga」は本件商標と外観,観念及び称呼のいずれにおいても同一とはい
えないことは本件使用商標と同様であるから,本件商標と「blomag
a」の文字からなる「商標」が「社会通念上同一」であるとは認められな
い。
(2) 原告の主張について
ア 原告は,欧文字の称呼については,特定の発音に固執せず,ある程度幅
のある発音を念頭に,日本における一般的な認識や連想等を含めて,総合
的に判断すべきであるとして,「HongKong」,「Ping-Pon
g」,「Sign」,「Foreign」のように「g」を発音しない例
がしばしば存在する一方,「KING KONG」では「G」を発音する

という風に日本で欧文字を読む際に「g」を発音する場合と発音しない場
合があること,2語からなる外来語や固有名詞等の略語の生成において各
語の冒頭の二拍ずつ取るのが基本であることから,本件商標の下段の「B
logMaga」部分は「ブロマガ」の称呼を生じると主張する。
しかし,原告が指摘する「g」を発音しない例は「ng」,「gn」と
いう語尾を有するから本件商標の欧文字部分には妥当しないし,造語の欧
文字である「BlogMaga」から原告主張の略語が生じるとも認めら
れない。
さらに,原告は,社会一般では「BlogMaga」の表記を「ブロマ
ガ」と記載していることが多いと主張するが,原告がその立証のために提
出した証拠(甲36~38)から,社会一般において「BlogMaga」
を「ブロマガ」と表記していることは認められない。また,上記(1)アのと
おりの本件商標の構成からは「ブロマガ」が「BlogMaga」の表音
であるとは認め難い。
イ 原告は,「BlogMaga」は,「Weblog」の略語である「B
log」と雑誌を意味する「Magazine」の略語である「Maga」
が結合された造語であり,いろいろなブログを配信するサービスという観
念が生じ,「ブログ」と「マガジン」の略語が結合した「ブロマガ」から
も,いろいろなブログを配信するサービスという観念が生じるから,「B
logMaga」 「ブロマガ」
と から生じる観念は同一であると主張する。
しかし,本件商標の「ブロマガ」は4文字の造語で,同種同大のフォン
トが均等の間隔で配置されていることからすれば,「ブロ」の部分を分離
して観念を想起し得るかは疑問であり,「ブロマガ」からブログとマガジ
ンの略語の結合を想起するとはいえない。したがって,「BlogMag
a」と「ブロマガ」がブログとマガジンの略語が結合したものとして理解
され,同一の観念を生じさせるとは認められない。

原告は,「ブロマガ」と「BlogMaga」がいずれも原告のサービ
スを示すものとして,同一の観念を生じさせるとも主張するが,原告のサ
ービスが「BlogMaga」と認識されていたことを示す的確な証拠は
ないし,原告が需要者の間で原告のサービスは「ブログマガ」とは認識さ
れていなかったと主張していることからしても,原告の上記主張は採用で
きない。なお,原告は,「ブロマガ」は原告のサービスを示すものとして
周知であったとも主張するが,このことから,「BlogMaga」と「ブ
ロマガ」から同一の称呼及び観念を生じることにはならない。
(3) よって,その余の点を判断するまでもなく,原告が,要証期間中に,本
件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたとは認められな
い。
4 以上のとおり,取消対象役務について本件商標の商標登録を取り消すべきで
あるとした本件審決に誤りはなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却す
ることとし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部


裁判長裁判官
鶴 岡 稔 彦


裁判官
高 橋 彩


裁判官
寺 田 利 彦

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A18 研究開発に必要な特許の基本

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