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平成30(ネ)10058損害賠償請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所
裁判年月日 平成31年2月14日
事件種別 民事
当事者 控訴人株式会社オフィスカワノ X髙見憲
被控訴人株式会社アイランド森円香
法令 不正競争
キーワード 損害賠償3回
実施2回
侵害1回
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事件の概要 1 本件は,被控訴人が,控訴人株式会社オフィスカワノ(以下「控訴人会社」 という。)において,被控訴人の商品である婦人服の形態を模倣して婦人服を販売 したことが不正競争防止法(以下「法」という。)2条1項3号の不正競争行為に 当たり,控訴人X(以下「控訴人X」という。)は悪意・重過失により控訴人会社 の代表取締役としての任務を懈怠して控訴人会社の上記行為を招いたと主張して, 控訴人会社に対しては法4条,5条1項に基づき,控訴人Xに対しては会社法42 9条1項に基づき,損害賠償請求として損害金2億9098万0962円の一部で ある2億6389万9139円及びうち2億4972万6270円に対する不正競 争行為の後である平成27年7月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合 による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。

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判決文

平成31年2月14日判決言渡
平成30年(ネ)第10058号 損害賠償請求控訴事件(原審 東京地方裁判所
平成27年(ワ)第36405号)
口頭弁論終結日 平成30年12月3日
判 決
控 訴 人 株式会社オフィスカワノ
控 訴 人 X
上記両名訴訟代理人弁護士 鮫 島 正 洋
髙 見 憲
高 瀬 亜 富
被 控 訴 人 株 式 会 社 ア イ ラ ン ド
同訴訟代理人弁護士 板 橋 喜 彦
森 円 香
櫻 井 陽
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
1 原判決のうち控訴人ら敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人の上記取消しに係る部分の請求を棄却する。
第2 事案の概要
1 本件は,被控訴人が,控訴人株式会社オフィスカワノ(以下「控訴人会社」
という。)において,被控訴人の商品である婦人服の形態を模倣して婦人服を販売
したことが不正競争防止法(以下「法」という。)2条1項3号の不正競争行為に
当たり,控訴人X(以下「控訴人X」という。)は悪意・重過失により控訴人会社
の代表取締役としての任務を懈怠して控訴人会社の上記行為を招いたと主張して,
控訴人会社に対しては法4条,5条1項に基づき,控訴人Xに対しては会社法42
9条1項に基づき,損害賠償請求として損害金2億9098万0962円の一部で
ある2億6389万9139円及びうち2億4972万6270円に対する不正競
争行為の後である平成27年7月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合
による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
原審は,被控訴人の請求のうち,1億4044万6980円及び原判決別紙遅延
損害金目録記載の遅延損害金の支払を求める部分を認容し,その余を棄却したとこ
ろ,控訴人らが控訴を提起した。
2 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により認められる事
実),争点及び争点に対する当事者の主張は,次のとおり補正し,後記3~5のと
おり商品形態の実質的同一性(争点(1)ア),善意無重過失の転得者の該当性(争点
(4))及び法5条1項ただし書による推定覆滅の割合(争点(5)エ)についての当審
における当事者の主張を加え,原判決中の「別紙」を「原判決別紙」と改めるほか
は,原判決の事実及び理由欄の「第2 事案の概要」1~3に記載のとおりである
から,これを引用する。
(原判決の補正)
(1) 原判決3頁6行目の「ク」を「キ」に,7行目の「8」を「7」にそれぞ
れ改め,18行目の冒頭から末尾までを削る。
(2) 原判決3頁26行目の「ク」を「キ」に,4頁1行目の「8」を「7」に
それぞれ改め,11行目の冒頭から末尾までを削る。
(3) 原判決4頁13行目の各「8」,15行目の「8」,16行目の「8」をい
ずれも「7」に改め,16行目の「62」を「61」に改め,18行目から19行
目にかけての「別紙「カラー展開比較一覧表」」の次に「1~7」を加える。
(4) 原判決5頁15行目の「アシメトリー」を「アシンメトリー」に改める。
(5) 原判決6頁26行目の冒頭から7頁11行目末尾までを削る。
(6) 原判決8頁26行目の各「8」をいずれも「7」に改める。
(7) 原判決9頁2行目の「別紙「対比一覧表」」を「別紙「対比一覧表(原告
の主張)」の商品1~7」に改める。
(8) 原判決10頁15行目の各「8」をいずれも「7」に改め,16行目の
「なお」から18行目末尾までを削る。
(9) 原判決12頁1行目の各「8」をいずれも「7」に改め,15行目の

(乙18の1ないし6)」を削る。
(10) 原判決14頁2行目の「甲11」を「甲13」に改め,15行目の「6」
の次に「等」を加え,22行目冒頭から15頁12行目末尾までを削る。
(11) 原判決16頁16行目の「,8」を削る。
(12) 原判決18頁9行目の冒頭から末尾まで,20行目の「,原告」から
「10日」まで,20頁22行目の「,被告商品8(甲37の3)」をいずれも削
り,22頁16行目の「8」を「7」に改める。
(13) 原判決25頁15行目の「製造」を削る。
(14) 原判決84頁15行目から16行目にかけての「アシメントリー」,86
頁2行目の「アシメントリー」,111頁2行目の「アシンメントリー」をいずれ
も「アシンメトリー」に改める。
(15) 原判決96頁6行目冒頭から97頁14行目末尾までを削る。
(16) 原判決105頁14行目の「左側」を「右側(着用者から見て右側。以
下,右側又は左側と表記するときは,着用者から見た場合の位置を意味する。 」に,

14行目の各「右側」をいずれも「左側」に,15行目の「左側」を「右側」に,
16行目の「右側」を「左側」に,17行目の「左側」を「右側」に,24行目の
「左側」を「右側」に,25行目の「右端」を「左端」に,26行目の「右側」を
「左側」に,109頁10行目の「右側」を「左側」に,11行目の「右側」を
「左側」に,改める。
(17) 原判決122頁4行目冒頭から124頁23行目末尾までを削る。
3 商品形態の実質的同一性についての当審における当事者の主張
【控訴人らの主張】
(1) 被控訴人商品2及び控訴人商品2について
ア 着こなしの種類の相違
控訴人商品2は,襟及びレース素材のトップスを取り外しができるようにデザイ
ンされており,4通りの着こなしが可能であるのに対し,被控訴人商品2は,1種
の着回しのみが可能であるという点で相違しており,とりわけ,控訴人商品2にお
いて,レース素材を取り外した着こなしや襟を付けた着こなしは,被控訴人商品2
と著しく異なる。
原判決は,控訴人商品2の4通りの着こなしのうち,襟を取り外してレース素材
を付けた着こなしのみを被控訴人商品2とを比較して,両商品の実質的同一性を認
めたが,このような判断手法は誤りである。
イ 光沢又は質感の相違
被控訴人商品2のレース以外の部分の生地はトリアセテート65%,ポリエステ
ル35%の割合であるところ(乙241),トリアセテートは,のびやすくて軽く
てしなやかであり,絹のような光沢がある素材である(乙242)。一方,控訴人
商品2は,ポリエステル95%,ポリウレタン5%の割合であるところ,ポリエス
テルは,強くてしなやかでコシがある素材であり,また,絹のような光沢はない
(乙242)。
このように,被控訴人商品2と控訴人商品2とは,質感や光沢においても相違が
ある。
ウ 以上より,被控訴人商品2と控訴人商品2の形態は,実質的に同一であ
るとはいえない。
(2) 被控訴人商品4及び控訴人商品4について
ア 花柄モチーフの有無の相違
被控訴人商品4の花柄モチーフは需要者に極めて強い印象を与えるものであるが,
控訴人商品4には当該花柄モチーフが存在せず,この点が極めて重要な相違点であ
る。
イ シルエットの相違
(ア) 被控訴人商品4は胸部から肩のあたりが最もスリムで,下部の方がボ
リュームのあるトラペーズと呼ばれるシルエットである(乙236)のに対し,控
訴人商品4は,ほぼ一定の幅を保つストレートのシルエットであるという相違点が
あるが,シルエットは,アパレル商品においては極めて重要な要素である。
(イ) この点,被控訴人は,両商品を裏返して撮影した写真(甲191の
1・2)を根拠に,両商品のシルエットは変わらないと主張する。
しかし,被控訴人商品4は,ドレスの下部に大きな花柄のモチーフが横方向に広
がりを持ってあしらわれているため,ドレス下部にボリュームがあるトラペーズと
呼ばれるシルエットになっている。甲191の1・2は,両商品を裏返しにして,
被控訴人商品4の表面にあしらわれた花柄モチーフがもつ横方向への広がりから目
を逸らせようとしたものである。
ウ 色彩の相違
(ア) 被控訴人商品4と控訴人商品4とでは,色彩が顕著に異なるところ,
アパレル商品において色彩は極めて重要な要素である(乙239)。
(イ) 被控訴人商品4(ネイビー(2色))と控訴人商品4(ヘブンリーブ
ルー)の対比
被控訴人商品4(ネイビー(2色))は,黒と濃紺の2色使いであり,コントラ
ストは控えめにしており,伝統的で,流行に左右されない本物志向のイメージを与
える(乙239)のに対し,控訴人商品4(ヘブンリーブルー)は,パステル調の
青系の2色で,コントラストを利かせた配色とし,さわやかで清楚なイメージを与
える(乙239)。
(ウ) 被控訴人商品4(レッド)と控訴人商品4(ブラッドオレンジ)の対

被控訴人商品4(レッド)は,単色であるため,一見すると平坦な印象を受ける
ところ,下部に大きな花柄モチーフをあしらうことにより立体感を演出しているの
に対し,控訴人商品4(ブラッドオレンジ)は,同系色ではあるものの明度に差が
ある2色の生地を重ねることにより立体感を演出しており,両者はデザインのコン
セプト(立体感の見せ方)が異なる。
エ このように両者は,顕著に異なるところ,原判決が指摘する共通点(2
色のフラウンスによる斜めアシンメトリーなティアードシルエットを有する薄手の
生地のミニ丈のタンクドレスであり,隣り合う生地が原則として異なる色の布地が
使用されている点,背面部における生地の使い方などの点)は,極めて抽象的であ
り,上記相違点に埋没する程度のものである。
オ 以上より,被控訴人商品4と控訴人商品4の形態は,実質的に同一であ
るとはいえない。
(3) 被控訴人商品7及び控訴人商品7について
ア シルエットの相違
(ア) 被控訴人商品7は,パンツ部分は臀部の部分がゆったりとしたデザイ
ンとなっており,足下にいくにつれて急激に細くなっている,ウエスト部分に強め
の絞りが入れられており,臀部にボリュームをもたせている,身頃にあるフラウン
スもウエスト部分を覆わないような長さにデザインされており,ウエスト部分のく
びれを覆い隠してしまうようなことはないという特徴があり,全体的にスリムなシ
ルエットとなっており,特に,トップス部分,パンツ部分,身頃のフラウンスはウ
エストのくびれを印象付けるシルエットになっている。
これに対して,控訴人商品7は,パンツ部分は,臀部にボリュームを持たせてお
らず,足下にいくにしたがって緩やかに細くなるテーパードパンツと呼ばれるシル
エットとなっており,また,身頃のフラウンスが側面部から背面部にかけてウエス
ト部を覆っていることもあり,どの方向からもウエストのくびれを看取することは
できず,このような特徴から,ゆったりとした印象を与えるシルエットとなってい
る。
(イ) このように,被控訴人商品7と控訴人商品7とは,シルエットの点で
顕著に異なるが,アパレル商品では商品のシルエットは極めて重要な要素であり
(乙237,239,240),この点の相違が需要者に与える印象は大きい。
イ 上半身部分の生地,レースの密度・使い方が異なること
被控訴人商品7の方が控訴人商品7よりもトップスに相当する部分の黒い生地又
はレースが占める部分が多く,控訴人商品7は,正面はレース部分の密度が薄く,
背面はシースルーとなっており,生地部分が少ない。暗色は収縮した印象を与える
ことから(乙239),上記の相違により,被控訴人商品7は,スリムな印象を与
えるものとなっているが,控訴人商品7は,スリムな印象を与えるものではない。
ウ 光沢,質感が異なること
被控訴人商品7と控訴人商品7とでは,光沢,質感が異なるが,この点は,前記
(1)イと同様である。
エ フラウンスの相違
被控訴人商品7と控訴人商品7のフラウンスには,以下のとおりの顕著な相違点
がある。
(ア) 長さに顕著な相違
正面において2倍程度,背面において1.5倍~2倍弱,控訴人商品7のフラウ
ンスは被控訴人商品7のフラウンスより長い。
(イ) シルエットの相違
被控訴人商品7においては,フラウンスが胸部から短く前に突き出ているが,控
訴人商品7においては,フラウンスが長いため自重で垂れ下がってほとんど前に突
き出ていない。このフラウンスのシルエットの相違により,被控訴人商品7におい
ては,フラウンスにより強調されたバストの下側からウエストにかけての部分がよ
りスリムに見えるのに対し,控訴人商品7においては,バスト及びそこから下側に
垂れ下がったフラウンスの全体がゆったりとボリュームのあるように見える。
(ウ) 背面における裾の形状の相違
被控訴人商品7においては,フラウンスがサイドから背面中央に掛けて徐々に長
くなっているが,控訴人商品7においては,フラウンスが長いため自重で垂れ下
がって,ほぼスクエアな形状となっている。
(エ) フラウンスの最上部からきっちりとフリルが形成されているか否かの
違い
控訴人商品7の背面のフラウンス最上部にはフリルのような形状がない。
オ 原判決について
原判決は,被控訴人商品7と控訴人商品7との共通点として,①サロペット(胸
当て付きズボン)である点,②首元からバストトップス切替位置までがレース素材
となっている点,③レース素材のすぐ下に大きめのフラウンスが配置され,④その
フラウンスはフリルを形成しながら背面まで連続して続き,かつ背面にいくに従っ
てフラウンスの幅が徐々に広くなり,背面まで斜めにつながっている点を指摘し,
両商品の相違点は,上記の共通点に基づく実質的同一性を否定するものではないと
判示する。
しかし,上記①の点は,抽象的,一般的な衣服の形態を指摘するにとどまり,被
控訴人商品7の特徴的な部分を指摘するものとはいえず,この点が需要者に強い印
象を与えることはあり得ない。
上記②の点は,両商品では,レースの密度の点,被控訴人商品7の首元からバス
トトップス切替位置にはレース素材ではない肩紐が相当部分を占める形で存在して
いる点で異なっているが,原判決は,同相違点を捨象し,極めて抽象的な次元の共
通点を指摘するにとどまる。また,上記②の形状は,被控訴人商品7より前に存在
したものであり(乙28の4),特徴的な形態とはいえない。
上記③については,被控訴人商品7のフラウンスは,前面視において,胸部のみ
を覆う程度の長さであるのに対し,控訴人商品7のフラウンスは,前面視において,
胸部から腹部までを覆う長さである点,被控訴人商品7はフラウンスの折り目やそ
の幅が規則正しく明確に形成されているのに対し,控訴人商品7ではフリルの折り
目やその幅が不規則,不明確である点で大きく相違するのであって,上記③は,こ
のような相違を捨象した抽象的な共通点にとどまる。
上記④については,被控訴人商品7のフラウンスは,ほぼすべての部分がウエス
トより上部にとどまっており,背面の最も長い部分のごく一部がウエスト部分にか
かるにとどまるのに対し,控訴人商品7のフラウンスは,ウエストを超えてさらに
下部に伸び,臀部すべてを覆うような形状となっている点で両者は顕著に異なり,
これにより,被控訴人商品7は全体的にスリムな印象を与えるデザインとなってい
るのに対し,控訴人商品7は全体的にゆったりとした印象を与えるデザインとなっ
ている。また,被控訴人商品7は正面から背後までフラウンスの折り目やその幅が
規則正しく明確に形成されているのに対し,控訴人商品7は,フラウンスの折り目
やその幅が不規則,不明確であるという相違点もある。原判決は,上記の相違点を
捨象し,フラウンスの形状を抽象化した点を指摘するにとどまり,このような抽象
的な形態が,需要者に強い印象を与えることはない。
カ 被控訴人の主張について
(ア) パンツ部分のシルエットに関する主張について
被控訴人は,被控訴人商品7及び控訴人商品7の計測結果(甲187の1・2)
に基づいて主張するが,被控訴人が臀部として計測した部分は,股下付け根部分で
あって,大腿部又は脚部であるから,同部分の計測結果に基づく被控訴人の主張は
誤りである。
(イ) ウエスト部分のくびれに関する主張について
被控訴人は,甲7の1・3に基づき,控訴人商品7のウエスト部分はむき出しの
状態であると主張するが,甲7の1によると,控訴人商品7は,ウエスト部分のく
びれが看取できないが,被控訴人商品7は,明確にウエスト部分のくびれを看取で
きる。
(ウ) 光沢,質感の相違に関する主張について
被控訴人は,ポリエステルであってもシルック(甲78)のように絹のような光
沢をもつ生地で作られているものもあると主張するが,控訴人商品7は光沢を有し
ないポリエステルが主成分であり,シルックを使用していない。
キ 以上より,被控訴人商品7と控訴人商品7の形態は,実質的同一である
とはいえない。
【被控訴人の主張】
(1) 被控訴人商品2及び控訴人商品2について
ア 4通りの着こなしが可能であることに関する控訴人らの主張について
一般的に,先行商品と模倣商品との間に相違点がある場合も,その相違点におい
て,何らの競争上の差異もなく,かつ,当事者が後発商品の模倣時において,容易
に制作し得る程度の相違点である場合には,実質的同一性があるとされている。
そうすると,控訴人商品2は,被控訴人商品2を原型として,脱着式のつけ襟を
付ける,又はレース素材のトップス脱着式とするという,容易に制作し得る変更を
したにすぎないから,実質的同一性は否定されない。このことに加えて,レースの
トップスを付け,つけ襟を外した状態で控訴人商品2を使用することが普通に想定
できるところ,このように控訴人商品2を通常使用する状態において,被控訴人商
品2と酷似している以上,両商品の形態は実質的に同一といえる。
イ 光沢,質感が異なるとの控訴人らの主張について
被控訴人商品2と控訴人商品2は,ポリエステルが少なくとも35%は使用され
ている点で共通するほか,光沢や質感は,素材の違いから自動的に導かれるもので
はない。両商品は,光沢及び質感の点で外形上,一見してその差異を判別すること
が困難であるほど一致している。
このように,被控訴人商品2と控訴人商品2について,商品全体の光沢及び質感
の点で差異はなく,その素材の違いは実質的同一性に影響を及ぼすものではない。
(2) 被控訴人商品4及び控訴人商品4について
ア 花柄モチーフの有無に関する控訴人らの主張について
花柄モチーフの存否という相違点を除けば,被控訴人商品4と控訴人商品4とは
細部まで一致している。控訴人らは,花柄モチーフを取り除くという,手間又は費
用をかけない方向への変更をしたにすぎず,これは婦人服という商品の性質上極め
て容易に変更したにすぎないものといえる。
したがって,花柄モチーフの存否以外の点で被控訴人商品4と完全に同一といえ
る控訴人商品4の形態は,被控訴人商品4の形態と実質的に同一であるといえる。
イ シルエットが異なるとの控訴人らの主張について
証拠(甲4,甲191の1・2)によると,被控訴人商品4と控訴人商品4の各
所の幅,長さはほぼ同一であることは明確であり,このように,各所の幅,長さが
同一である以上,着用した際のシルエットも同一であることは明らかである。
ウ 色彩が異なるとの控訴人らの主張について
被控訴人商品4(ネイビー(2色))と控訴人商品4(ヘブンリーブルー)のコ
ントラストの違いは,その他の共通点に埋没する程度の相違であり,需要者に対し
て「色違い商品」であるとの印象を与える程度にすぎない。
被控訴人商品4(レッド)と控訴人商品4(ブラッドオレンジ)については,単
色とバイカラーという違いはあるが,バイカラーのうち濃い色の布地については
レッド色の被控訴人商品4と一致し,かつこれと薄い色の布地を組み合わせたバイ
カラーの配色は,ベージュ(2色)色の被控訴人商品4やネイビー(2色)色の被
控訴人商品4と同様の同一色相におけるグラデーション配色であることからすると,
色彩は類似しており,他の形態の共通性からは全体の実質的同一性が認められるも
のである。
(3) 被控訴人商品7及び控訴人商品7について
ア パンツ部分のシルエットに関する控訴人らの主張について
被控訴人商品7及び控訴人商品7のウエスト部分,臀部部分,足首部分について
の各幅を計測したところ,被控訴人商品7と控訴人商品7のウエスト部分,臀部部
分,足首部分の幅の長さやそれらの比率はほぼ同等であり,両商品の形態に有意な
差異はない(甲187~189の各1・2)。
イ 控訴人商品7のフラウンスがウエスト部分を覆っているとの控訴人らの
主張について
被控訴人商品7は,その前面,側面のウエスト部分はフラウンスに覆われておら
ず,ウエスト部分はむき出しの状態であり(甲7の1・3),また,背面部分も,
フラウンスがシースルー状であることから,背面から見た場合であってもフラウン
スに覆われた下の本体のシルエットが透けて見えるのであって,ウエスト部分を容
易に看取することができる。
ウ 上半身部分のレース部分が異なるとの控訴人らの主張について
控訴人らは,①レース生地の前面及び背面のいずれにも刺繍模様があるかないか,
②正面におけるレースの密度及びレース脇の黒色部分の幅が相違すると主張する。
しかし,①刺繍模様の有無については,控訴人商品7の生地もレースと同様に下
の肌が透けて見え,需要者の受ける印象に影響はなく,また,レース生地を単に透
け感がある生地に変更するとの改変は,被控訴人商品7に比し,手間や費用を掛け
ない方向での改変であり,かつ婦人服という性質上極めて容易に変更できるもので
あるから,この点は,「背面におけるさほど目立たない違いというべきであり,他
の顕著な共通点に基づく実質的同一性を否定するほどのものではない」と判断され
るべきである。
また,②レース密度,レース脇黒色部分の幅については,より価格の安いレース
に変更し,また制作の手間を省いて構成をより簡単にする変更であって,被控訴人
商品7に比し,費用や手間を掛けない方向に変更したにすぎない。そして,花柄モ
チーフのレースが大きく配置されているという大きな特徴の下では,レース密度や
レース両脇に黒色部分があるか否かといった程度の差は,需要者の受ける印象に影
響を与えるものではない。したがって,この点も,「微差」にすぎないと判断され
るものである。
エ 素材の違いにより光沢,質感が異なるとの控訴人らの主張について
被控訴人商品7と控訴人商品7とは,ポリエステルが少なくとも35%は使用さ
れている点で共通することに加えて,光沢や質感は素材の違いから自動的に導かれ
るものではない。また,ポリエステルによっても絹のような光沢をもつ生地は作ら
れており(代表例としてシルック,甲78),このような生地はトリアセテートと
同様に絹のような光沢をもつ生地の素材であるといえる。
被控訴人商品7と控訴人商品7については,商品全体の光沢や質感が異なるとい
う事実はなく,仮に素材の違いから商品全体の印象がごくわずかに異なるというこ
とがあったとしても,他の顕著な共通点に基づく実質的同一性を否定するほどのも
のではなく,あくまでも「微差」にすぎない。
オ 原判決に対する控訴人らの主張について
(ア) サロペットであることは被控訴人商品7と控訴人商品7の基本的形態
における共通点であり,全体的な印象が同一であるとの印象をもたらす大きな要素
である。
(イ) 首元からバストトップス切り替え位置までがレース素材であるという
点は,被控訴人商品7と控訴人商品7という実物における具体的な共通点であり,
抽象的なアイディアではない。また,被控訴人商品7の販売開始前に,上記の特徴
を備えた商品が販売されていたとしても,その一事を以て,上記の点が,被控訴人
商品7と控訴人商品7の顕著な共通点であることを否定する理由とはならない。
(ウ) 被控訴人商品7と控訴人商品7とのフラウンスの長さの違いは,ごく
わずかな微差にすぎず,また,レース素材のすぐ下に大きめのフラウンスが配置さ
れているという点は,被控訴人商品7と控訴人商品7における具体的な商品形態の
顕著な共通点である。
また,フラウンスの構造は被控訴人商品7と控訴人商品7とで同一である。両商
品のフラウンスはギャザーを寄せて作るギャザーフリルではなく,円フリルという
という手法で作られている(甲190)。ギャザーフリルであれば,ギャザーの寄
せ方により,フリルの折り目や幅を規則的にするか,不規則にするかを構造的に作
出することが可能であるが,円フリルにおいてはフリルの山なりになる度合いを規
則的にするか不規則にするかという違いを構造的に作出することはできない。した
がって,両商品の間で,フラウンスのひだの形状が異なるということはない。
さらに,控訴人商品7においてウエストラインが看取できないということはなく,
全体の印象が異なるということもなく,フラウンスの形状に違いもない。フラウン
スはフリルを形成しながら背面まで連続して続き,かつ背面にいくに従ってフラウ
ンスの幅が徐々に広くなり,背面まで斜めにつながっている点は両商品の重要な共
通点である。
4 控訴人会社が善意無重過失の転得者に当たるかどうかについての当審におけ
る当事者の主張
【控訴人らの主張】
(1) 控訴人商品1について
ア 控訴人商品1は,キャリー社を介して広服貿易から仕入れたものである
が,同事実は,控訴人Xの原審での尋問における供述のほか,以下の事実から明ら
かである。
(ア) 証拠(乙18の1~5)によると,控訴人商品1と同一の形態の商品
が複数の業者により販売されている事実が認められるところ,これらの業者は,こ
の商品を広服貿易又はその卸先から仕入れたものと考えられる。
(イ) 控訴人会社は,控訴人商品2,3については,同商品の販売ページに
おいて,「ガールが企画・制作しているオリジナルドレスです」との表示をしてい
た(甲37の1~3)が,控訴人商品1については,その販売ページに,上記のよ
うな表示はしていない。これは,控訴人会社が,控訴人商品1については,広服貿
易から仕入れた商品であり,全く手を加えていないことを自覚していたためである。
なお,控訴人会社は,控訴人商品7についてもオリジナル商品である旨の表示を
していないが,これは,控訴人商品7の原型となったセラビ株式会社から購入した
商品(控訴人先行商品7。乙26,94)を継続的に販売していたところ,同商品
が廃盤となったため,同商品をカスタマイズした控訴人商品7を継続して販売する
という事情があったからである。
(ウ) 控訴人会社は,自らがデザインの変更を指示した商品には,商品名に
関するロゴに「GIRL ORIGINAL DRESS」等と表示していた(甲
69の2)のに対し,控訴人商品1の商品名に関するロゴには,上記の表示をして
いない(乙243)。このように控訴人会社が表示を変えていたのは,控訴人商品
2は,仕入先に対しデザイン変更を申し出ていたのに対し,控訴人商品1は,仕入
先の既製品をそのまま仕入れていたためである。
(エ) キャリー社の代表者であるA(以下「A」という。)は,陳述書(乙
95)において,控訴人会社が控訴人商品1を広服貿易から購入した経緯について,
控訴人Xの供述に沿う内容の陳述をしている。
(オ) 平成27年10月6日に控訴人会社の本店において検証が実施された
際に(同検証を,以下「本件検証」という。),控訴人Xは,「当社は,中国の企
画会社が企画した商品を仕入れて販売しているため,本件相手方商品について設計
図や指示書を作成したことはない。また,本件相手方商品製造の参考のために収集
した衣料品等も存在しない」と明確に説明しており(甲26),同日,被控訴人に
対し,仕入先として,キャリー社及びティナファッションラウンジ社の名称を開示
している(甲38)。
このように,控訴人Xは,一貫して,控訴人商品1はキャリー社から仕入れてい
た旨述べている。
イ 原判決について
(ア) 原判決は,控訴人会社が,そのホームページ等において,控訴人商品
1~3を自らデザイン,制作した旨記載していることを根拠に,控訴人会社が控訴
人商品1をデザインしたと認定しているが,前記ア(イ),(ウ)のとおり,控訴人会社
はそのような記載をしていない。
なお,控訴人会社の商品販売ページに共通して表示されるテンプレートの中には,
「GIRL QUALITY CONTROL」との表題の下,「ドレスブランド
ガールは,デザインから生地選びまで自社が行い」との表示があるが,これは,平
成27年12月頃,自社でデザインした商品の割合が多くなってきたために商品の
販売ページすべてに表示されるテンプレートとして用意したものであって,控訴人
商品1についてのものではない。
(イ) 原判決は,甲36の雑誌に,控訴人会社が控訴人商品1をデザインし
た旨の記載があるものと考えているようであるが,甲36には,控訴人会社が控訴
人商品1をデザインした旨の記載はない。
すなわち,原判決が認定した甲36の「このドレスは,・・・大人っぽい振る舞
いをしたいと思う女性のために作ったもの」との記載部分は,実際には,「このド
レスは,・・・大人っぽい振る舞いをしたいと思う女性のために作られたもの」と
記載されている。また,甲36の「10年には,・・・オリジナルドレスのライン
ナップも6種類まで増え」との記載と「女性の名前をモチーフに商品名を付けた。
12年の発売以降,現在の看板商品となっている『LuLuDRESS(ルルドレ
ス)』も,その中で生まれた。」との記載は別の項目における記載であるから,両
記載をつなげて読むべきではない。
(ウ) 原判決は,控訴人商品1に控訴人会社のタグが付されていることを,
控訴人会社が控訴人商品1をデザインしたことの根拠としている。
しかし,控訴人Xは,原審での尋問において,「100枚オーダーすると,うち
のタグを作ってくれるんですね。」と明確に供述しており,Aも,陳述書(乙95)
で同旨の陳述をしている。
(エ) 原判決は,「実質的に同一の形態である商品を7種類も販売していた
ものであり,これがすべて偶然であるとは解し難い」と判示するが,上記の7点の
商品は,本件において侵害の成否が争われた期間を通して控訴人会社が扱っていた
商品の1.4%にとどまるところ,同じような商品が複数存在することにより時の
流行が作られるというアパレル業界の実態に鑑みると,上記の割合の商品が,たま
たま模倣品であったということも十分にあり得る。
ウ 被控訴人の主張について
(ア) 被控訴人は,控訴人Xの供述は,控訴人会社がホームページにおいて
「ドレスブランドGIRLは,・・・ドレスを作っています。」と表示していること
と整合しない旨主張するが,控訴人会社が展開するGIRLブランドが「ドレスを
作っています。」との表示は,控訴人会社が仕入れ販売をしていることと両立する
記載であり,被控訴人の主張は失当である。
(イ) 被控訴人は,控訴人Xの被控訴人やグレースコンチネンタルの名前を
知らず,「美人百花」や「and Girl」といった雑誌をほとんど見たことがな
いという供述が不合理であると主張する。
しかし,控訴人会社はインターネット通販を行う会社として創業されたものであ
り,パーティドレスの販売も,そのほとんどがインターネット通販によるものであ
り(甲36),控訴人Xは,このような控訴人会社のビジネスの実態を踏まえ,マ
ーケティング及び模倣品対策として,インターネットを活用して楽天,ヤフー,D
eNA等を主に調査していたのであり,そのため,実店舗での販売がメインである
被控訴人やグレースコンチネンタルを知らず,「美人百花」や「and Girl」
といった雑誌(被控訴人のような実店舗で販売される商品の紹介がほとんどであ
る。)を見ることもなかったのである。
(2) 控訴人商品5について
控訴人商品5は,SKM社から仕入れたものであるが,同事実は,控訴人Xの原
審での尋問における供述のほか,以下の事実から明らかである。
ア SKM社は,婦人服の製造,卸を業とする会社であり,実在する。
イ 控訴人会社による控訴人商品5の当初の仕入枚数は合計●●枚にとどま
り,1色当たりの仕入枚数は●枚である(甲31)から,控訴人会社の依頼に基づ
き,SKM社が控訴人商品5を製造することは,著しく経済合理性に反するもので
あり,あり得ない。
この点,被控訴人は,当初数少ない枚数で製造するということは頻繁に行われて
いると主張するが,同主張は,何の証拠にも基づかないものである。
ウ 控訴人商品5には,SKM社のタグが付されているが,これは,控訴人
会社がSKM社の保有していた在庫をそのまま購入したことを示している。
SKM社が自社ブランドのタグを保有していることは,同社がメーカーとして控
訴人商品5を制作したことを強く推認させるものである。
(3) 控訴人商品7について
ア 控訴人会社は,平成25年6月17日以降,控訴人先行商品7を販売し
ていたが,その後,セラビ株式会社が控訴人先行商品7の取扱いを中止したことか
ら,平成26年6月頃,スカイファースト社と相談して,控訴人先行商品7の一部
を変更し,これに乙96の別紙2のトップスを組み合わせて控訴人商品7を制作し
た。このように,控訴人商品7は,控訴人会社が,独自にデザインしたものであり,
控訴人商品7は,被控訴人商品7よりも控訴人先行商品7との類似性が格段に高い
ものとなっている。
イ そして,被控訴人商品7が雑誌等の広告に掲載されたのは,1度だけで
ある(甲14)ところ,被控訴人商品7と控訴人商品7の形態は相当程度異なるこ
と,控訴人商品7の形態はありふれた形状,デザインの組合せからなること(乙2
8の4,乙96の別紙2)からすると,控訴人会社が,被控訴人商品7の広告(甲
14)等に接し,これに依拠して被控訴人商品7をデザインしたという事実を推認
することはできない。
【被控訴人の主張】
(1) 控訴人商品1について
ア 控訴人らは,乙18の各号の商品は,広服貿易が製造したものであると
主張するが,乙18の各号の商品は,それぞれ完全に同一の商品ではなく,また,
控訴人商品1と同一でもないこと(甲192),乙18の各号の商品を販売してい
る業者が広服貿易又はその卸先から購入したことの立証はないことからすると,控
訴人らの上記主張は理由がない。
イ 控訴人らは,控訴人商品1の販売ページには,控訴人会社のオリジナル
商品である旨の表示がないことから,控訴人商品1は控訴人会社のオリジナル商品
ではない旨主張する。
しかし,控訴人らが,本訴においてオリジナル商品であることを強く主張してい
る控訴人商品7の販売ページにも,同商品がオリジナル商品である旨の表示はない
ことからすると,控訴人らが主張するオリジナル商品である旨の表示は,販売開始
時期やホームページロゴを作成した時期等により,たまたま表示されたのであって,
意識的にオリジナル商品である旨の表示をしているとは考えられない。
また,「GIRL QUALITY CONTROL」という表示があることは
事実である。
ウ 控訴人Xの供述の信用性
(ア) 控訴人Xは,甲36の雑誌には,事実とは異なる虚偽の記載がいわば
偶然にされた旨の供述をする。
しかし,控訴人会社は,ホームページ(甲10,170)などにおいて,「ドレ
スブランドGIRLは,・・・ドレスを作っています。」と表示し,また商品販売ペ
ージ(甲120の1~3)においては,「GIRL QUALITY CONTR
OL」と題して「ドレスブランドガールは,デザインから生地選びまで自社で行い,
自社工場,提携工場を直接コントロールし,縫製など,すべての工程を,熟練した
スタッフが工場で直接確認する事で品質を保っています。」などと記載し,繰り返
し控訴人商品につき控訴人会社が自ら制作していることを宣伝しているから,控訴
人Xの上記供述は信用できない。
(イ) 控訴人Xは被控訴人又はグレースコンチネンタルというブランドを警
告書送付の直前まで知らず,被控訴人の店舗にも行ったことがなく,被控訴人のホ
ームページを1度も見たことはなく,「美人百花」や「and GIRL」といっ
た雑誌もほとんど見たことがないなどと供述する。
しかし,パーティドレスの専門店を自認する控訴人会社の代表取締役である控訴
人Xが,実店舗展開を志す状況下において,オケージョンドレスのリーディングカ
ンパニーであり著名なブランドである,被控訴人やグレースコンチネンタルの名前
を知らず,また,店舗にも行ったことがなく,ホームページも見たことがないとい
うことは想定し難く,また「美人百花」や「and GIRL」といった雑誌もほ
とんど見たことがないということは,通常の企業経営者として不合理,不可解な行
動であるから,控訴人Xの上記供述は信用できない。
(ウ) 仮に,控訴人Xの供述が正しいとすれば,控訴人Xは,偶然,被控訴
人商品1~6の模倣品を購入し,被控訴人商品7については,偶然,被控訴人商品
7と実質的同一と認められるほど類似した商品となってしまったということになる
が,このような偶然が生じる可能性は天文学的な確率である。
エ 控訴人らは,原判決は,甲36の中の「・・・作られたもの」との記載
を「・・・作ったもの」と誤って認定したと主張するが,甲36の上記箇所は,
「・・・作ったもの」であり,原判決の認定に誤りはない。
オ タグは縫製段階から取り付けられるものであるから,控訴人会社名義の
タグが取り付けられていることは,控訴人会社の注文後に商品が製造されたことを
示しており,このことから,控訴人会社の指示の下,控訴人商品1が製造された事
実が認められる。
(2) 控訴人商品5について
控訴人らは,控訴人商品5の商品枚数が少ないことを以て,SKM社に控訴人商
品5を製造させたとは考えられないこと,控訴人商品5にはSKM社のタグが付さ
れていることを理由に,控訴人会社が善意無重過失の転得者である旨主張する。
しかし,製造販売において売れ筋商品となるかどうか判断が難しい場合には,当
初少ない枚数で製造するということは頻繁に行われているから,商品枚数が少ない
からといって,そのことから直ちに転得者であるということにはならない。
また,少ない枚数の製造の場合には控訴人会社専用のタグを別途製作するなどと
いう手間をかけず,既に製造会社に存するタグを使用するという方法をとったもの
であると想定されるから,SKM社のタグが付されていることが,控訴人会社が転
得者であるということを示す事実となるものではない。
(3) 控訴人商品7について
控訴人らは,控訴人商品7は被控訴人商品7に依拠せず独自にデザインをしたも
のである旨主張する。
しかし,控訴人会社がベースとしたと主張する乙96の別紙1及び2の各商品か
らは,控訴人商品7の特徴である,バストトップからの切り替え,バストトップ部
分のレースのあしらいなどを発想することは極めて困難であり,上記の別紙1及び
2の各商品から控訴人商品7を制作することはおよそ不可能である。むしろ,控訴
人会社がスカイファースト社に対して元となる商品の変更を指示して控訴人商品2
~4,6が完成したとの主張や,控訴人商品7について,スカイファースト社に他
社商品を持ち込み,これを参考にしつつ大幅にデザインを変更した商品の制作を申
し出た等の控訴人会社の主張,さらには控訴人会社は,本訴訟において明らかと
なっている限りにおいても,7点以上(スカイファースト社が関与している可能性
がある商品だけでも5点)もの被控訴人商品と実質的同一性を有する商品を販売し
ていることからすると,実際には,控訴人会社は,スカイファースト社に対して,
原型となる商品として被控訴人商品7を持ち込んで示した上で,これに一定の改変
を加えるよう指示をして控訴人商品7を制作させたことが合理的に推認できる。
したがって,控訴人会社は自ら控訴人商品7の制作を行っていたといえるので
あって,控訴人会社は控訴人商品7の転得者ではない。
5 法5条1項ただし書による推定覆滅の割合についての当審における当事者の
主張
【控訴人らの主張】
(1) 控訴人会社は,インターネット通販において被控訴人よりも強いブランド
力を有している。このことは,GoogleやYahooの検索において,控訴人
会社のブランドが被控訴人のブランドより上位に表示される(乙7の1・2)こと
等からも明らかである。
(2) 控訴人会社の「GIRL」ブランドのドレスは,「美人百花」の平成26
年3月号~5月号,「SNIP STYLE」の平成26年12月号,「アイーネ」
の平成26年12月号など多数の雑誌に掲載され(乙247),また,「ロンドン
ハーツ」,「恋愛時代」,「いらこん」,「Qさま」など多くのテレビ番組に衣装
を提供し,さらに,控訴人会社は,楽天株式会社から,度々表彰されている(乙2
48)。
(3) そして,控訴人会社の主な販路がインターネット販売である(乙251)
のに対し,被控訴人の主な販路が実店舗での販売である(乙252)のであるから,
法5条1項ただし書の推定の覆滅に当たっては,控訴人会社のインターネット通販
におけるドレス販売のブランド力を考慮することは必要不可欠であり,法5条1項
ただし書の推定を少なくとも6割は覆滅すべきである。
【被控訴人の主張】
本件において問題となる市場はインターネットにおける販売だけではなく,実店
舗も含めた婦人ドレス市場一般であるから,楽天市場のシェアを以て直ちに推定覆
滅の事由に当たるとはいえない。また,控訴人会社のドレスは多数の雑誌に掲載さ
れ,またテレビ番組に衣装協力を行っている点についても,被控訴人と比して,そ
の掲載や衣装協力の回数は非常に少ないことからすると,この点を以て推定覆滅事
由に当たるとはいえない。
むしろ,婦人ドレスという特性上,同一の需要者であっても購入するドレスの価
格は,その用途などにより幅広いものと考えられるところ,被控訴人商品と控訴人
商品程度の価格差では需要層は相当程度一致するものである。
また,インターネット通販はまさに被控訴人商品の需要者層において広く普及し
ているところ,当該需要者層においては,実店舗もインターネット通販も,いずれ
も重複して使用する層であり,販売態様の違いを以て需要者層が異なる度合いは非
常に低いと考えられる。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,被控訴人の控訴人らに対する各損害賠償請求は,1億4044
万6980円及び原判決別紙遅延損害金目録記載の遅延損害金の連帯支払を求める
限度で理由があり,その余は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由
は,次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第3 争点に対する
判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決48頁1行目の各「1ないし8」をいずれも「1~7」に改める。
(2) 原判決48頁16行目の「イ」の次に「(ア)」を加え,49頁1行目冒頭
から5行目末尾までを次のとおり改める。
「(イ) 控訴人らは,控訴人商品2は,襟及びレース素材のトップスを取り外しが
できるようにデザインされており,4通りの着こなしが可能であるのに対し,被控
訴人商品2は,1種の着こなしのみが可能であるという点で相違する旨主張する。
そこで検討するに,証拠(甲19の1~6,甲49,甲69の1~6,甲87,
甲95の1~3,乙22)によると,控訴人商品2についての販売用のウェブペー
ジには,控訴人商品2の着こなしとして,原判決別紙対比写真の「甲第2号証の1」
~「甲第2号証の3」の形態(以下「本件形態」という。)の他,本件形態に襟を
付けた形態,本件形態からレース素材のトップスを外した形態及び本件形態から
トップスを外して襟を付けた形態の4通りが可能である旨の説明があり,モデルが
控訴人商品2を着用した状態を撮影した写真としては,本件形態と本件形態に襟を
付けた形態のものが掲載されており,襟及びトップスを含めて一つの商品として販
売されていることが認められる。
このように,控訴人商品2は,襟及びトップスを含めた一つの商品として販売さ
れているものであって,襟の有無によって,控訴人商品2から受ける印象が大きく
変わるともいえないことからすると,本件形態の他に三つの着こなしのバリエー
ションが設けられているからといって,控訴人商品2の形態は,被控訴人商品2の
形態と実質的に同一であるとした前記判断に影響しない。」
(3) 原判決49頁6行目の冒頭に「(ウ)」を加え,9行目末尾の次に行を改めて次のと
おり加える。
「(エ) 控訴人らは,被控訴人商品2の生地はトリアセテート65%,ポリエステ
ル35%であるのに対し,控訴人商品2の生地はポリエステル95%,ポリウレタ
ン5%であるから,両商品は,質感や光沢においても相違があると主張する。
証拠(甲19の1・2,甲69の1,甲95の1,乙22,241)によると,
控訴人商品2の生地の素材はポリエステル100%であり,控訴人商品2の販売用
のウェブページにも,素材の表示欄に,上記の点が記載されていること,被控訴人
商品2の生地の素材は,トリアセテート65%,ポリエステル35%であることが
認められ,また,証拠(乙242)によると,トリアセテートは,絹のような光沢
があること,トリアセテート及びポリエステルとも,衣服の素材として一般的に使
用されていることが認められる。
被控訴人商品2と控訴人商品2の生地の素材は,上記のとおりの相違があるが,
生地の素材の違いから,自動的に生地の光沢や質感が異なるとはいえないところ,
トリアセテートを65%,ポリエステルを35%使用した被控訴人商品2とポリエ
ステルを100%使用した控訴人商品2との間に光沢や質感について需要者から見
て明らかな差異が生じることを認めるに足りる証拠はなく,需要者が上記各素材の
違いに着目していると認めるに足りる証拠もないことからすると,上記の素材の相
違が被控訴人商品2と控訴人商品2の形態の実質的同一性の判断に影響するとはい
えない。」
(4) 原判決49頁13行目及び22行目の各「アシメトリー」をいずれも「ア
シンメトリー」に改める。
(5) 原判決50頁4行目冒頭から24行目末尾までを次のとおり改める。
「エ 被控訴人商品4(ネイビー(2色))と控訴人商品4(ヘブンリーブルー)
について
(ア) 証拠(甲4の1~4,甲52の1・2,甲81,甲121の2,甲12
2,甲191の1・2,乙4,58,114)及び弁論の全趣旨によると,被控訴
人商品4の形態は,以下のとおりであると認められる。
a 基本的形態
2色のフラウンスによる斜めアシンメトリーなティアードシルエットを有する,
薄手の生地のミニ丈のタンクドレス
b 具体的形態
(a) 前面
① ミニ丈のタンクドレスの上に,2色の大きなフラウンス(以下
「商品4前面フラウンス」という。)を4枚,斜めアシンメトリーに,一部が重な
るように配置し,その下部に,小さなフラウンスからなる花柄のモチーフを配置し
ている。
② 商品4前面フラウンスのうち,最も上のフラウンス(以下「商品
4前面フラウンス1」という。)は,底部が右側に向かって長くなり,その傾斜角
度は約30度である。商品4前面フラウンス1の右側の最下端は,被控訴人商品4
の肩からドレス最下端までの間の上から約6割の位置まで達しており,左側の最下
端は,被控訴人商品4の肩からドレス最下端までの間の上から3分の1の位置まで
達している。
③ 商品4前面フラウンス1の1枚内側のフラウンス(以下「商品4
前面フラウンス2」という。)は,底部が左側に向かって長くなり,その傾斜角度
は約45度である。商品4前面フラウンス2の左側の最下端は,被控訴人商品4の
肩からドレス最下端までの間の中間の位置まで達している。
商品4前面フラウンス2の色は,商品4前面フラウンス1の色と別の色である。
④ 商品4前面フラウンス2の1枚内側のフラウンス(以下「商品4
前面フラウンス3」という。)は,底部が左側に向かって長くなり,その傾斜角度
は約45度である。商品4前面フラウンス3の左側の最下端は,被控訴人商品4の
肩からドレス最下端までの間の7割~8割の位置まで達している。商品4前面フラ
ウンス3の色は商品4前面フラウンス1の色と同じである。
⑤ 商品4前面フラウンス3の1枚内側のフラウンス(以下「商品4
前面フラウンス4」という。)は,底部が右側に向かって長くなり,その傾斜角度
は,商品4前面フラウンス1より若干急角度となっている。商品4前面フラウンス
4の右側の最下端は,商品4前面フラウンス3より少し低い位置まで達している。
商品4前面フラウンス4の色は商品4前面フラウンス2の色と同じである。
⑥ 商品4前面フラウンス1の左端は,略三角形状に一旦右側に折り
曲がり,さらに略三角形状に左側に折り曲がって縦のラッフルを形成している。同
ラッフルを形成するために,同ラッフル部分の上端部分を折り合わせて縫い取りが
行われている。
(b) 背面
① 商品4前面フラウンス1~4が,それぞれ背面まで続いている。
② 商品4前面フラウンス3と商品4前面フラウンス4は,背面の中
心部で縫い合わされており,同フラウンスの底部は中心部に向かって長くなるよう
に傾斜しており,ドレスの下部が若干見える状態となっている。
③ 商品4前面フラウンス4が背面に続いている部分(右側部分。以
下「商品4背面フラウンス4」という。)は,商品4前面フラウンス2及び4と同
じ色である。
④ 商品4前面フラウンス3が背面に続いている部分(左側部分。以
下「商品4背面フラウンス3」という。)は,上から3分の1の部分が商品4前面
フラウンス2及び4並びに商品4背面フラウンス4と同じ色で,下の3分の2部分
が商品4前面フラウンス1及び3と同じ色である。
⑤ 商品4前面フラウンス2が背面に続いている部分(左側部分。以
下「商品4背面フラウンス2」という。)の底部は,中心に向かって短くなるよう
に緩やかな傾斜がついている。商品4背面フラウンス2の色は,商品4前面フラウ
ンス2及び4並びに商品4背面フラウンス4と同じ色である。
⑥ 商品4前面フラウンス1が背面に続いている部分(右側部分。以
下「商品4背面フラウンス1」という。)の底部は,中心に向かって短くなるよう
に緩やかな傾斜がついている。商品4背面フラウンス1の色は,商品4前面フラウ
ンス1及び3並びに商品4背面フラウンス3の下部3分の2の部分と同じ色である。
⑦ 商品4背面フラウンス1と商品4背面フラウンス2とは,背面で
縫い合わされておらず,両者の間には若干の隙間があり,同隙間から,商品4背面
フラウンス3と商品4背面フラウンス4とが縫い合わされた部分が見える。
(イ) 一方,証拠(甲4の1~4,甲21の1~7,甲51,甲52の1・2,
甲89,乙4,58,114,142)及び弁論の全趣旨によると,控訴人商品4
は,花柄モチーフがないことを除いては,前記(ア)で認定した被控訴人商品4の形
態と細部に至るまで一致することが認められる。
(ウ) 被控訴人商品4の形態は,前記(ア)のとおりであり,花柄モチーフを除い
た部分の形態は,非常に複雑な構造であり,また,後記(3)エのとおり,他に類似
の形態はなく,特徴的であるが,前記(イ)のとおり,控訴人商品4の形態は,被控
訴人商品4と,花柄モチーフの有無を除いて,細部に至るまで一致している。
そして,花柄モチーフは目立つものではあるが,花柄モチーフを除いた被控訴人
商品4の形態も特徴的であり,控訴人商品4は,この特徴的な部分で被控訴人商品
4と一致するのであるから,需要者に対し,被控訴人商品4と同じ印象を与えるも
のと認められる。
以上からすると,控訴人商品4の形態は,被控訴人商品4の形態と実質的に同一
であるというべきである。
(エ) 控訴人らは,被控訴人商品4と控訴人商品4とでは,シルエットが相違す
ると主張するが,前記(ア),(イ)で挙げた各証拠及び甲191の1・2によると,両
商品のシルエットに相違はないものと認められる。
なお,控訴人らは,乙58の写真を根拠に,控訴人商品4は,商品4前面フラウ
ンス2及び3が大きなフリルを描いて広がりを見せている点で,被控訴人商品4と
相違する旨主張するが,前記(ア),(イ)で挙げた各証拠によると,控訴人らが上記の
相違点として指摘する商品4前面フラウンス2及び3の状態は,着用者の着用状態
によっても左右されるものであると認められ(例えば,甲21の4~6の各写真で
は,控訴人らが指摘する商品4前面フラウンス2及び3の広がりは認められない。 ,

相違点ということはできない。
(オ) 控訴人らは,被控訴人商品4(ネイビー(2色))は,黒と濃紺の2色使
いであり,コントラストは控えめにしており,伝統的で,流行に左右されない本物
志向のイメージを与えるのに対し,控訴人商品4(ヘブンリーブルー)は,パステ
ル調の青系の2色で,コントラストを利かせた配色とし,さわやかで清楚なイメー
ジを与えるという点で相違すると主張する。
しかし,後記(2)アのとおり,婦人服における色彩の相違は,需要者に顕著に異
なる印象を与えるような場合以外は,形態の実質的同一性の判断に強い影響を与え
るものではないというべきであるところ,前記(ア),(イ)で判示した被控訴人商品4
の形態と控訴人商品4の形態の一致を前提とすると,控訴人らの主張する上記の相
違が,需要者に顕著に異なる印象を与えるものということはできないというべきで
あり,したがって,同相違によって,前記(ウ)で判示した実質的同一性の判断が左
右されることはない。」
(6) 原判決52頁20行目冒頭から54頁23行目末尾までを次のとおり改め
る。
「キ 被控訴人商品7(ブラック)と控訴人商品7(ノーブルブラック)について
(ア) 証拠(甲7の1~3,甲14,甲24の1~7,甲70の1~7,84,
92,96,117~119,124,125,甲187~189の各1・2,乙
61,150,246)及び弁論の全趣旨によると,被控訴人商品7と控訴人商品
7の形態には,以下のとおりの共通点(以下「商品7共通形態」という。)がある
ことが認められる。この共通点は,具体的な衣服の形態であり,単なる抽象的なア
イデアではない。
① サロペット(胸当て付きズボン)であり,首元からバストトップス
(胸まわり)切り替え位置までの部分(以下「バストトップス部分」という。)の
生地が,その下の部分の生地とは異なり,前面はレースであり,背面は透明感のあ
る生地(レース又はシースルー状の生地)である。
② バストトップス切り替え位置のすぐ下に大きめのフラウンスが,前面
及び背面まで,フリルを形成しながら連続して配置されており,前面中央部から背
面中央部に向かって徐々に長くなっている。
(イ) 本件証拠上,商品7共通形態を備える衣服が,被控訴人商品7の販売前
に存在していたと認めることはできないことからすると,商品7共通形態は特徴的
なものと認められる。
(ウ) ところで,前記(ア)に挙げた証拠によると,被控訴人商品7と控訴人商品
7のフラウンスは,①控訴人商品7は,被控訴人商品7よりも長く(前面中央部で
2倍程度,背面中央部で1.5倍程度の長さである。),背面においては,控訴人
商品7では,フラウンスにより臀部が隠れる程の長さとなっている点,②背面にお
いて,被控訴人商品7のフラウンスは中央で分かれているが,控訴人商品7のフラ
ウンスは1枚である点で相違する。
しかし,上記相違点①及び②は,バストトップス切り替え位置のすぐ下に大きめ
のフラウンスを,前面及び背面まで連続して配置したという特徴的な形態を前提と
して,そのフラウンスの長さと背面のフラウンスが中央で分離しているかどうかが
異なるのみであるから,同相違点の存在が,商品7共通形態を共通することによっ
て需要者が受ける印象にそれほど影響を与えることはないというべきである。
(エ) また,前記(ア)で挙げた証拠によると,被控訴人商品7と控訴人商品7
の形態は,その他に,バストトップス部分の前面のレースの密度,同前面レースの
刺繍模様の形状,バストトップス部分の背面がレースであり,刺繍模様があるか,
それともシースルー状であるか,バストトップス部分の両端の肩紐部分の幅,フラ
ウンスに形成されたフリルの形状や位置等で相違することが認められるが,これら
の相違は些細なものであり,同相違により,両商品の全体的な印象に違いが生じる
とは認められない。
(オ) これらのことからすると,控訴人商品7の形態は,被控訴人商品7の形
態と実質的に同一であるというべきである。
(カ) 控訴人らの主張について
a 控訴人らは,被控訴人商品7は,①パンツ部分は臀部の部分がゆったり
とし,足下にいくにつれて急激に細くなっている,②ウエスト部分に強めの絞りが
入れられており,臀部にボリュームをもたせている,③身頃にあるフラウンスもウ
エスト部分のくびれを覆い隠していないという特徴があり,全体的にスリムで,ウ
エストのくびれを印象付けるシルエットになっているのに対し,控訴人商品7は,
①パンツ部分は,臀部にボリュームを持たせておらず,足下にいくにしたがって緩
やかに細くなるシルエットとなっている,②身頃のフラウンスが側面部から背面部
にかけてウエスト部を覆っていることもあり,どの方向からもウエストのくびれを
看取することはできないという特徴があり,ゆったりとした印象を与えるシルエッ
トとなっている,また,パンツの長さも相違すると主張する。
しかし,前記(ア)に挙げた証拠からは,被控訴人商品7に,控訴人らが主張する
シルエットの特徴を感得することはできない。例えば,甲84,119の被控訴人
商品7の写真からは,被控訴人商品7がウエスト部分のくびれを強調しているシル
エットであると感得することはできず,また,同写真と甲92及び乙150の控訴
人商品7の写真を比較しても,被控訴人商品7がスリムなシルエットであるのに対
し,控訴人商品7がゆったりとしたシルエットであると感得することはできない。
また,証拠(甲84,92,119,乙150)によると,被控訴人商品7と控
訴人商品7との間で,パンツの長さに相違があると認めることはできない。
b 控訴人らは,被控訴人商品7の方が控訴人商品7よりもバストトップ
ス部分の密度が高いから,被控訴人商品7は,スリムな印象を与えるものとなって
いると主張するが,前記(ア)に挙げた証拠からは,控訴人らが主張する上記のよう
な印象の差を感得することはできない。
c 控訴人らは,被控訴人商品7の生地はトリアセテート65%,ポリエ
ステル35%であるのに対し,控訴人商品7の生地はポリエステル95%,ポリウ
レタン5%であるから,両商品は,質感や光沢においても相違があると主張する。
しかし,前記イ(エ)で判示した理由と同様の理由により,上記の素材の相違が被
控訴人商品7と控訴人商品7の実質的同一性の判断に影響するとはいえない。
d 控訴人らは,被控訴人商品7においては,フラウンスがサイドから背
面中央に掛けて徐々に長くなっているのに対し,控訴人商品7においては,背面の
フラウンスはほぼスクエアな形状となっている旨主張するが,控訴人商品7の背面
のフラウンスも,両端から中央部にかけて長くなっていることが認められる(乙1
50の7頁の一番下の写真)から,控訴人らの上記主張は理由がない。
なお,真後ろから控訴人商品7を見た場合は,背面のフラウンスは,ほぼスクエ
アな形状となっているようにも見えるが,この点の相違は些細なものであり,これ
により,全体の印象が異なることはなく,被控訴人商品7と控訴人商品7の実質的
同一性の判断に影響するとはいえない。
e 控訴人らは,被控訴人商品7においては,フラウンスが胸部から短く
前に突き出ているが,控訴人商品7においては,フランスが垂れ下がって,ほとん
ど前に突き出ておらず,この相違により,被控訴人商品7では,バストの下側から
ウエストにかけての部分がスリムに見えるのに対し,控訴人商品7では,フラウン
スの全体がゆったりとボリュームのあるように見える旨主張するが,前記(ア)に挙
げた証拠からは,そのような印象の差を感得することはできない。
f 控訴人らは,バストトップス部分がレース素材である形態は,ありふ
れた形態であると主張するが,特徴的な形態である商品7共通形態は,バストトッ
プス部分のみの形態ではなく,フラウンスの形態も併せたものであるから,被控訴
人商品7と控訴人商品7の実質的同一性の判断に影響するとはいえない。」
(7) 原判決56頁16行目末尾の次に行を改めて次のとおり加える。
「ウ 控訴人らは,被控訴人商品4(レッド)は,単色であるため,一見すると
平坦な印象を受けるところ,下部に大きな花柄モチーフをあしらうことにより立体
感を演出しているのに対し,控訴人商品4(ブラッドオレンジ)は,同系色ではあ
るものの明度に差がある2色の生地を重ねることにより立体感を演出しており,両
商品はデザインのコンセプトが異なると主張する。
しかし,証拠(甲81,89,110,甲121の2,甲122)によると,被控訴
人商品4(レッド)の色彩は,赤色の単色であること,控訴人商品4(ブラッドオ
レンジ)の色彩は,赤色とピンク色の2色からなることが認められるが,上記の証
拠によると,被控訴人商品4には,2色の色彩のものも複数あること,控訴人商品
4(ブラッドオレンジ)で使用されているピンク色と同様の色を使用したものもあ
ること,前記(1)エで判示したとおり,被控訴人商品4の形態と控訴人商品4の形
態は,花柄モチーフを除いて,細部に至るまで一致していることを考慮すると,上
記の色彩の相違は,需要者に顕著に異なる印象を与えるものということはできない
というべきである。また,上記の証拠からすると,両商品の間にデザインのコンセ
プトの相違を感得することもできない。
したがって,被控訴人商品4(レッド)と控訴人商品4(ブラッドオレンジ)と
は,その色彩の相違を考慮しても,その形態は実質的に同一であると認められる。」
(8) 原判決58頁7行目冒頭から17行目末尾までを次のとおり改める。
「ア 前記(1)から(3)で判示したとおり,控訴人商品1~7の形態は,いずれも
被控訴人商品1~7の形態と実質的に同一であり,その類似性の高さからすると,
このような形態の一致が偶然に生じたものとは考え難いというべきである。また,
被控訴人は,平成27年度及び平成28年度には,いずれも90億円を超える売上
げを上げており(甲161,162の各1),被控訴人の存在やその商品は,同業
者の間で相当程度知られていたものと推認されること,被控訴人会社は,被控訴人
商品を含む被控訴人会社の商品について,全国に存在する店舗やインターネットの
ウェブサイトで販売し,また,雑誌やインターネットのウェブサイトで広告等をし
ていたこと(甲11~13,甲121の1~4,甲131の1~4,乙69,70,
乙71の1,乙72,乙73の1,乙81の1・2,乙82,85,乙121の1,
乙122,乙172の1~14,乙173,198,199,乙200の1,乙2
52),被控訴人の平成27年度及び平成28年度の広告費は,いずれも2億30
00万円を超えており(甲132,133),被控訴人の商品の周知のために相当
の広告費が支出されていることを考慮すると,衣服の製造を行う業者が被控訴人商
品を知る機会は十分にあったものと認められる。
したがって,控訴人商品1~7は,いずれも被控訴人商品1~7に依拠して制作
されたものと認められる。
イ これに対し,控訴人らは,控訴人商品7は,控訴人先行商品7に乙96別
紙2(乙93)のトップスを組み合わせて制作した旨主張する。
しかし,本件証拠上,上記トップスがいかなる商品に使用されていたのかなどの
このトップスが存在した経緯は明らかでなく,前記アの判示を覆して,控訴人会社
が,被控訴人商品7に依拠せずに,控訴人商品7を独自に開発したと認めることは
できない。なお,控訴人らは,被控訴人商品7が広告に掲載されたのが1度である
(甲14)と主張するが,被控訴人商品7は,ウェブページにも掲載されており
(甲121の4,乙85),広告等で取り上げられたのが1度のみであると認める
ことはできない。
ウ 控訴人らは,控訴人商品1~6は,第三者から購入したものであるから依
拠がない旨主張するが,この点については後記4で判示する(なお,控訴人らの同
主張を前提とした場合は,依拠性が問題となるのは当該第三者である。。
)」
(9) 原判決58頁19行目冒頭から59頁5行目末尾までを次のとおり改める。
「 前記1(4)のとおり,控訴人商品1~7は,被控訴人商品1~7に依拠して
制作されたところ,後記4のとおり,少なくとも,控訴人商品1~4,6,7は,
控訴人会社が制作したものと認められるから,控訴人会社の代表者である控訴人X
は,同商品の販売が法2条1項3号の不正競争行為に当たることを認識していたも
のと認められる。
また,控訴人商品5についても,後記4のとおり,控訴人会社の代表者である控
訴人Xは,被控訴人商品5の存在を認識していたものと認められる以上,前記1の
とおり,被控訴人商品5の形態と実質的に同一の形態である控訴人商品5の販売が
法2条1項3号の不正競争行為に当たることを認識していたものと認められる。
したがって,控訴人会社には,上記不正競争行為についての故意が認められる。」
(10) 原判決60頁18行目の「37の1及び2,」の次に「甲52の1・2,
甲」を加え,18行目の「乙92,被告X」を「乙92,253,控訴人X(原
審),証人A(当審)」に改め,19行目の「及び被告X」を「,253,控訴人X
及び証人A」に改める。
(11) 原判決61頁22行目「と記載されたタグ」を「及び控訴人会社の電話
番号等が記載されたタグや控訴人商品のブランド名が記載されたタグ」に改める。
(12) 原判決62頁12行目冒頭から64頁7行目末尾までを次のとおり改め
る。
「(2) 以上を前提に検討する。
ア 控訴人商品1~4,6について
(ア) 前記(1)のとおり,控訴人会社は,商品の販売ページにおいて,控訴
人商品のブランドである「ガール」のデザインは,控訴人会社自ら行っている旨記
載していること,雑誌記事の作成に当たって行われたインタビューにおいて,平成
21年秋に初めてのオリジナルドレスを制作し,平成22年には,オリジナルドレ
スのラインナップも6種類に増えた旨述べ,控訴人商品1についても言及しており,
控訴人会社が商品のデザインを自ら行っていることを強調していること,控訴人商
品1~4,6には,控訴人商品のブランド名のタグと控訴人会社の名称及び電話番
号が記載されたタグが付されていることからすると,控訴人商品1~4,6は,控
訴人会社が第三者から購入した第三者制作に係る商品ではなく,控訴人会社が,デ
ザインをして,自ら制作し,又は制作会社に指示して制作させたものと推認される。
(イ) これに対し,控訴人らは,控訴人商品1については,キャリー社を通
じて広服貿易から購入し,控訴人商品2~4,6については,スカイファースト社
から購入した旨主張し,控訴人X及びAは,同主張に沿う陳述又は供述をし(乙9
2,95,253,控訴人X本人尋問(原審),Aの証人尋問(当審) ,また,ス

カイファースト社の代表者の陳述書にも上記主張に沿う陳述がある(乙96)ので,
上記主張について以下検討する。
a まず,以下のとおり,控訴人らは,上記主張に係る取引の存在を裏
付ける客観的証拠を一切提出しておらず,不自然である。
(a) 控訴人らは,被控訴人商品1~4,6は,自らデザインをして第
三者に制作させたのではなく,広服貿易やスカイファースト社から購入したもので
あると主張するのであるから,控訴人らとしては,同購入に関する請求書等を証拠
として提出し,当該請求書等の費目として,工賃等の記載がないことを示し,上記
主張事実を立証することができるにもかかわらず,請求書等を証拠として提出して
いない。この点,控訴人らは,セラビ株式会社から控訴人先行商品7を購入したこ
とを立証するために,平成25年6月17日付けのセラビ株式会社からの仕入伝票
を証拠として提出しており(乙94),このことをも考慮すると,控訴人らが,購
入先からの請求書等を証拠として提出しないのは極めて不自然である。
(b) 控訴人らは,アパレル業界においては,一定数量以上の注文をす
ると,売主の方で,買主の希望するタグを付けてくれるのであり,控訴人商品1~
4,6も,一定数量以上注文したことから,控訴人会社の名称等を記載したタグが
付された旨主張するところ,同主張を前提とすると,通常は,控訴人商品1~4,
6に付されたブランド名を記載したタグ及び控訴人会社の名称等を記載したタグに
記載すべきブランド名をデザイン化したもの及び控訴人会社の名称等を記載した書
面を売主又はその仲介者に送付しているものと考えられる。それにもかかわらず,
控訴人らはこれらの書面の控え等を証拠として提出しておらず,不自然である。
b(a) 次に,Aの陳述及び供述について検討すると,同人は,日本向け
の買付け代行等を業とする会社を経営しており,同会社は,現在も控訴人会社と取
引があるというのであるから,控訴人会社とは利害関係を有している。また,Aの
供述内容について検討してみても,Aは,広服貿易では,1型100枚以上を注文
すれば,無料で発注者の要望するタグを付けるサービスを行っていたと供述するも
のの,同供述に,A作成の陳述書(乙253)を併せて検討しても,上記のタグを
付けるサービスの具体的内容が不明確である(広服貿易は,発注者が持参したタグ
を取り付けるだけなのか,タグのデザインは他の業者が行い,広服貿易がそのデザ
インに基づいてタグの制作をし,その制作したタグを取り付けるのか,タグの制作
費用又はデザイン費用は誰が負担するのかなどが明らかではない。)など,重要な
点で明確性を欠く。
(b) また,スカイファースト社の代表者の陳述書も,被控訴人商品2
~4,6を開発した経緯について一切記載されておらず,また,同商品の取引につ
いての控訴人会社との交渉の経緯もほとんど記載されていないから,信用性が高い
とはいえず,さらに,控訴人Xの陳述及び供述も,広服貿易のショールームの様子,
控訴人商品1を選択した経緯等について具体性を欠き,信用性が高いとはいえない。
(c) したがって,これらの陳述及び供述をもって,前記(ア)の判断を
左右するものということはできない。
c 以上より,控訴人らの上記主張事実を認めることはできない。
(ウ) 控訴人らの主張について
a 控訴人らは,控訴人商品1と同一の形態の商品(乙18の1~5)
が複数の業者により販売されていることから,これらの業者は,これらの商品を広
服貿易又はその卸先から仕入れたものであると主張する。
乙18の2の商品は,上から3段目に丸いパール様の飾りが配置されている点,
及び下から4段目に横に細長いビーズ様の飾りがない点で,控訴人商品1とは明ら
かに異なっており,乙18の3の商品は,下から3段目の飾りの形が丸い点で,控
訴人商品1とは明らかに異なっている。そして,乙18の1・4・5が,控訴人商
品1と同一の形態であるとしても,それが市場に流通するようになった経緯は,本
件証拠上明らかでなく,これらの商品が流通しているからといって前記(ア)の認定
が左右されることはない。
b 控訴人らは,①控訴人会社は,控訴人商品2,3については,同商
品の販売ページにおいて,「ガールが企画・制作しているオリジナルドレスです」
との表示をしていたが,控訴人商品1については,その販売ページに,上記のよう
な表示はしていないこと,②控訴人会社は,自らがデザインの変更を指示した商品
には,商品名に関するロゴに「GIRL ORIGINAL DRESS」等と表
示していたが,控訴人商品1の商品名に関するロゴには,上記の表示をしていない
ことから,控訴人商品1は,広服貿易から購入したものであることが認められる旨
主張する。
しかし,本件証拠上,控訴人会社が,販売ページの記載やロゴについて,いかな
るルールを設けているかは不明であり,控訴人商品1と他の控訴人商品との販売ペ
ージの記載やロゴの差異も,他の理由により生じた可能性もあり得るところであっ
て,控訴人らが指摘する上記の点から,控訴人商品1についての前記(ア)の認定が
左右されるということはない。
c 控訴人らは,平成27年10月6日に実施された本件検証のときか
ら,一貫して,控訴人商品1はキャリー社から仕入れた旨述べていたと主張するが,
本件検証のときから継続して事実に反する主張をしていることもあり得るのである
から,控訴人らの上記主張は,控訴人商品1をキャリー社から購入したことの間接
事実ということはできず,控訴人商品1についての前記(ア)の認定が左右されるこ
とはない。
イ 控訴人商品5について
(ア) 控訴人Xは,原審での本人尋問において,商品を選択する際は,イン
ターネットを使ってドレスのリサーチをしていたと供述し,雑誌記事(甲36)作
成に当たってのインタビューにおいて,「私が得意なのは商品を見つけること」と
発言しており,同雑誌の表紙には,控訴人Xの全身の写真が掲載され,「模倣を超
える」との記載がある(甲170)ことからすると,控訴人会社においては,自社
のドレスのデザインをするに当たっては,他の商品のデザインを研究し,これを参
考にしていたことが認められる。そして,前記アのとおり,控訴人商品1~4,6
は,控訴人会社がデザインをし,前記1(4)のとおり,被控訴人商品1~4,6に
依拠して制作されたものであるところ,このように,控訴人会社は,被控訴人の商
品の中から少なくとも5種類の商品のデザインを模倣したことからすると,控訴人
会社は,被控訴人の商品を模倣対象として十分に研究していたことが推認される。
したがって,控訴人Xは,被控訴人商品5についても,その存在を把握していた
ものと推認される。
(イ) このように,控訴人会社の代表者である控訴人Xは,被控訴人商品5
の存在を把握していたのであるから,仮に,控訴人商品5がSKM社から購入した
ものであるとしても,その購入時には,被控訴人商品5の存在を認識していたもの
と認められ,法19条1項5号ロの適用を受けることはできない。
ウ 控訴人商品7について
控訴人商品7については,控訴人会社が制作したことは,当事者間に争いがない
から,法19条1項5号ロの適用を受けることはできない。」
(13) 原判決76頁20行目の末尾の次に行を改めて次のとおり加える。
「 また,控訴人らは,控訴人会社は,インターネット通販において被控訴人よ
りも強いブランド力を有していること,控訴人会社の「GIRL」ブランドのドレ
スは多数の雑誌に掲載され,多くのテレビ番組に提供していること,控訴人会社は
楽天株式会社から度々表彰されていることを推定覆滅の事情として考慮すべきであ
ると主張する。しかし,前記のとおり,控訴人会社はインターネットで商品を販売
しているのに対し,被控訴人は主に実店舗で販売しているという販売態様の相違を
推定覆滅の事情として考慮しているところ,前記のとおり,被控訴人は,控訴人会
社に比較して,売上高及び宣伝広告費ともはるかに多いのであるから,控訴人らの
指摘する上記事情を更に推定覆滅の事情として考慮することはできない。」
(14) 原判決77頁25行目から26行目にかけての「に依拠して,これらと
形態の実質的同一性を有する」を「を模倣した」に改め,26行目の「製造・」を
削る。
2 結 論
以上のとおり,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却
することとして,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
森 義 之
裁判官
佐 野 信
裁判官
熊 谷 大 輔

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