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平成29(ワ)36506損害賠償請求事件

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裁判所 一部認容 東京地方裁判所
裁判年月日 令和3年5月19日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社フューチャーアイ
被告LINE株式会社
対象物 コンピュータシステムおよびプログラム
法令 特許権
特許法102条3項3回
特許法123条1項2号2回
特許法36条6項1号1回
特許法36条6項1回
特許法36条4項1号1回
特許法36条1回
特許法102条4項1回
キーワード 実施100回
無効30回
侵害21回
損害賠償21回
特許権17回
無効審判14回
許諾9回
分割8回
進歩性8回
優先権2回
刊行物1回
主文 1 被告は,原告に対し,1404万7576円並びにうち78万283
7円に対する平成29年11月7日から,うち78万2837円に対す
30年12月31日から,うち529万1399円に対する令和元年1
2月31日から,うち131万9225円に対する令和2年3月31日
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告の負担とし,その余は
事件の概要 1 原告は,発明の名称を「コンピュータシステムおよびプログラム」とする特許5 権(特許第6206897号(以下「本件特許権」といい,これに係る特許を「本 件特許」という。)の特許権者である原告代表者から専用実施権の許諾を受けて いるところ,本件は,原告が,訴訟承継前被告(以下,特に断らない限り,訴訟 承継前後の被告を区別せず,いずれも「被告」という。)が別紙被告物件目録記 載1のコンピュータシステムを使用し,同記載2のアプリケーションソフトの生10 産,譲渡及び譲渡の申出をすることにより,原告の有する専用実施権を侵害した と主張して,被告に対し,民法709条,特許法102条3項に基づく損害賠償 の一部として3億円及びこれに対する不法行為の後の日である平成29年11 月7日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号 による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。15 なお,原告は,本件及びこれと併合審理されていた当裁判所平成29年(ワ) 第20126号事件において,上記特許以外の特許権(特許第6089190号 〔以下「本件特許1」という。〕,同第5527751号〔以下「本件特許2」 という。〕,同第6186668号,同第6142406号,同第622102

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判決文

令和3年5月19日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成29年(ワ)第36506号 損害賠償請求事件

口頭弁論終結日 令和3年3月31日

判 決

原 告 株式会社フューチャーア イ

Aホールディングス株式会社(旧商号LINE株式会社)訴訟承継人

被 告 L I N E 株 式 会 社

同訴訟代理人弁護士 服 部 誠

中 村 閑

大 西 ひ と み

同訴訟代理人弁理士 中 村 佳 正

主 文

1 被告は,原告に対し,1404万7576円並びにうち78万283

7円に対する平成29年11月7日から,うち78万2837円に対す

る平成29年12月31日から,うち529万1399円に対する平成

30年12月31日から,うち529万1399円に対する令和元年1

2月31日から,うち131万9225円に対する令和2年3月31日

から各支払済みまで年5分の割合による金員及びうち57万9879

円に対する令和2年5月10日から支払済みまで年3分の割合による

金員を支払え。

2 原告のその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告の負担とし,その余は

被告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

1 被告は,原告に対し,3億円及びこれに対する平成29年11月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 訴訟費用は被告の負担とする。3 仮執行宣言

第2 事案の概要

5 1 原告は,発明の名称を「コンピュータシステムおよびプログラム」とする特許権(特許第6206897号(以下「本件特許権」といい,これに係る特許を「本件特許」という。)の特許権者である原告代表者から専用実施権の許諾を受けているところ,本件は,原告が,訴訟承継前被告(以下,特に断らない限り,訴訟承継前後の被告を区別せず,いずれも「被告」という。)が別紙被告物件目録記載1のコンピュータシステムを使用し,同記載2のアプリケーションソフトの生産,譲渡及び譲渡の申出をすることにより,原告の有する専用実施権を侵害したと主張して,被告に対し,民法709条,特許法102条3項に基づく損害賠償の一部として3億円及びこれに対する不法行為の後の日である平成29年11月7日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。なお,原告は,本件及びこれと併合審理されていた当裁判所平成29年(ワ)

第20126号事件において,上記特許以外の特許権(特許第6089190号

〔以下「本件特許1」という。〕,同第5527751号〔以下「本件特許2」という。〕,同第6186668号,同第6142406号,同第6221028号及び同第5665067号。以下,本件特許と併せてこれらの特許を「本件各特許」と総称する。)に係る専用実施権に基づく損害賠償請求もしていたが,本件特許2に係る訴えは訴えの取下げにより,その他の各特許に係る訴えは請求の放棄により,いずれも終了した。2 前提事実(当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定することができる事実)

(1) 当事者ア 原告は,コンピュータシステムやアプリケーションソフトウエアの研究・開発及び販売並びにIT(インフォメーションテクノロジー)の研究・開発及びコンサルタントを営む株式会社である。イ 被告は,インターネット関連事業・ウェブサービス事業を営む株式会社で

5 ある。被告は,令和3年2月28日,LINEのアプリケーションに係る事業を含む全ての事業をLINE分割準備株式会社に吸収分割する会社分割を行い,同社が本件に関する全ての債務を免責的に引き受けた。そして,同日付けで,被告は「LINE株式会社」(以下「旧LINE株式会社」という。)から「Aホールディングス株式会社」に,「LINE分割準備株式会社」は「LINE株式会社」(以下「新LINE株式会社」という。)にそれぞれ商号変更した。新LINE株式会社は,原告の承諾を得た上で,本件訴訟を承継し,訴訟承継前被告は,令和3年3月31日,本訴から脱退した。

(2) 原告の専用実施権原告代表者は,以下の本件特許権を有している。原告は,本件特許権について,原告代表者から,地域,期間及び内容の全部を範囲とする専用実施権の設定を受け,平成29年9月15日付けでその旨の登録を経由した。(甲48,49)特許番号:特許第6206897号発明の名称:コンピュータシステムおよびプログラム原出願日:平成22年9月15日(特願2017-123111号の分割)出願日:平成29年7月15日優先権主張番号:特願2010-29795号優先日:平成22年2月15日優先権主張国:日本国登録日:平成29年9月15日

(3) 特許発明の内容ア 本件特許の特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)の請求項1~4の記載は,別紙「本件特許請求の範囲」記載1~4のとおりである(以下,請求項1~4記載の各発明を符号に従い「本件発明1」などとい

5 い,併せて「本件各発明」という。なお,本件特許出願の願書に添付した明細書及び図面(甲49)を,以下「本件明細書等」という。)。イ 本件各発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,各構成要件を符号に従い「構成要件A」などという。)。(ア) 本件発明1A 現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって,B 互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士が交流できるようにするための複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段と,C ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と,D 前記ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と,E 該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段と,を備え,F 前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行す

5 る一方,G 前記交流先として指定されて互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても前記ポップアップ通知を行わないように制御し,H 前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,I コンピュータシステム。(イ) 本件発明2J 前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行う,K 請求項1に記載のコンピュータシステム。(ウ) 本件発明3L 現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって,M 複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段と,N ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と,

5 O 前記ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と,P 前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段とを備え,Q 前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行し,R 前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行い,S 前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,T コンピュータシステム。(エ) 本件発明4U 現実世界で出会ったユーザ同士がコンピュータを利用して交流を行うためにユーザ端末により実行されるプログラムであって,V 前記ユーザ端末の位置情報を前記コンピュータへ送信する位置情報送信ステップと,W 前記ユーザ端末の報知部を制御する報知制御ステップとを,前記ユーザ端末に実行させ,

5 X 前記報知制御ステップは,X1 複数の交流先のリストを表示するための交流先リスト表示制御ステップと,X2 ユーザが前記表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知ステップと,を含み,さらに,X3 前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末の前記報知部にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行い,Y 前記コンピュータは,Y1 前記位置情報送信ステップにより送信されてきた前記ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と,Y2 該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段と,を含んでおり,Z 前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行い,Γ 前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前

5 記表示部に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,Δ プログラム。

(4) 被告の行為ア 被告は,平成23年6月23日から,別紙被告物件目録記載1のコンピュータシステム(以下「被告システム」という。)を使用し,コミュニケーションアプリケーションソフト「LINE」(以下「被告アプリ」といい,被告システムと併せて「被告システム等」という。)を利用したサービス(以下「被告サービス」という。)の提供を開始し,被告アプリをApp StoreやGoogle Playからユーザに無償で配信している。イ 被告システム等の機能及び作用等の概要は,別紙「被告システム等の機能及び作用等」に記載のとおりである。

(5) 原告が主張する被告システム等の構成原告は,本件各発明と対照した場合の被告システム等の構成につき,以下のとおり主張している(以下,各構成を符号に従い「構成a」などという。)。なお,各構成中の「図」とは,別紙「被告システム等の機能及び作用等」の別紙「被告システム等図面」記載の図を指す。被告は,原告主張の構成d,oの内容及び構成要件D,Oの充足,構成i,tの内容及び構成I,Tの充足,構成vの内容及び構成要件Vの充足,構成wの内容及び構成要件Wの充足については争っていない。また,被告は,原告主張の構成y1につき争うことを明らかにしておらず,上記の諸点につき争っていないことからすると,被告アプリは,構成y1の内容を有し,同構成は構成要件Y1を充足するものと認められる。ア 本件発明1に対応する被告システムの構成a 近くにいるユーザ同士がスマートフォン(2)を操作して友だち登録することによりコンピュータ(14)を利用してコミュニケーションによる

5 交流を支援するコンピュータシステムであって,b コンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士(図4の「カンカン」と「IIJのLine」,図40の「ジャスティス」と図42の「テミスX1」)が交流できるようにするための複数の友だちのリスト(図4の友だち(9人)のリスト,図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)をユーザに表示させるための制御を行うリスト表示機能と,c リスト表示機能により表示された複数の友だちのリスト(図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)のうちからユーザがトークしたい友だちを選択指定してトークボタンをタップすることにより(図5),その友だちとのトークルームが表示され(図6,図45),選択指定した者と選択指定された相手とがスマートフォン(2)を操作してそのトークルームに互いに書き込んだ内容を閲覧してメッセージを送受信できるように該入力内容を前記スマートフォン(2)で報知するための入力内容報知機能(図6,図45)と,d スマートフォン(2)のGPS位置情報を取得し,該GPS位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)を検索する機能(図3,図38)と,e 該検索する機能により前記所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索された場合に,互いのスマートフォン(2)にその検索された相手方スマートフォンのユーザを表示させ(図3の上段と中段,図38),双方がその表示されたユーザを選択して友だち登録に係るボタンを押下する友だち登録操作(図3,図38~図41の操作)が行われたか否か判定し,友だち登録操作が行われたと判定された場合にその友だち登録されたユーザを友だちのリスト(図4の友だち(9人)のリスト,図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)に新たに追加する友だ

5 ちリスト追加処理を行う追加機能と,を備え,f 複数の友だちのリスト(図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)のうちからトークしたい友だちを選択指定してトークボタンをタップ(図5)した者が選択指定された相手に対してトークルームにメッセージを入力して送信する操作を行った場合に(図6,図45),前記選択指定された相手のユーザのスマートフォンにメッセージが入力された旨の通知ポップアップ(図57)を行うための制御を実行する一方,g トークしたい友だちを選択指定して互いにメッセージを送受信できるスマートフォン同士の一方からの要求に応じて(図59~図64),他方のスマートフォンからメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても(図65,図66)前記通知ポップアップを行わないように制御し(図67),h 前記コンピュータ(14)側からの制御に基づいて前記友だちのリスト(図4,図43のユーザ名「ジャスティス」,図44のユーザ名「テミスX1」と「テミス」のアイコン)をスマートフォン(2)に表示させることにより,ユーザ同士がユーザ識別子(被告のサービスを利用する際に被告から個々のユーザに付与される,個々のユーザ固有のデジタル情報)を知らせ合うことなく交流できるようにした,i コンピュータシステム。イ 本件発明2に対応する被告システムの構成j 前記追加機能は,前記検索する機能により所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索された場合に,当該検索されたスマートフォン(2)同士の所持者の内の一方が相手方に対して友だち申請を行い(テミスX1が図39の「追加」ボタンをタップして友だち申請を行うことにより図40の「リクエスト中」となり),相手方が応諾することにより(ジャスティスが図41の「追加」ボタンをタップすることにより),

5 前記友だちリスト追加処理を行う(図42の「友だち登録完了」となり,図43及び図44のように互いの友だちリストに相手が表示される),k 上記a~hに記載のコンピュータシステム。ウ 本件発明3に対応する被告システムの構成l 近くにいるユーザ同士がスマートフォン(2)を操作して友だち登録することによりコンピュータ(14)を利用してコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって,m 複数の友だちのリスト(図4の友だち(9人)のリスト,図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)をユーザに表示させるための制御を行うリスト表示機能と,n リスト表示機能により表示された複数の友だちのリスト(図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)の内からユーザがトークしたい友だちを選択指定してトークボタンをタップすることにより(図5),その友だちとのトークルームが表示され(図6,図45),選択指定した者と選択指定された相手とがスマートフォン(2)を操作してそのトークルームに互いに書込んだ内容を閲覧してメッセージを送受信できるように該入力内容を前記スマートフォン(2)で報知するための入力内容報知機能(図6,図45)と,o スマートフォン(2)のGPS位置情報を取得し,該GPS位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)を検索する機能(図3,図38)と,p 該検索する機能により前記所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索された場合に,互いのスマートフォン(2)にその検索された相手方スマートフォンのユーザを表示させ(図3の上段と中段,図38),双方がその表示されたユーザを選択して友だち登録に係るボタンを押下する友だち登録操作(図3,図38~図41の操作)が行われた

5 か否か判定し,友だち登録操作が行われたと判定された場合にその友だち登録されたユーザを友だちのリスト(図4の友だち(9人)のリスト,図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)に新たに追加する友だちリスト追加処理を行う追加機能とを備え,q 複数の友だちのリスト(図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)の内からトークしたい友だちを選択指定してトークボタンをタップ(図5)した者が選択指定された相手に対してトークルームにメッセージを入力して送信する操作を行った場合に(図6,図45),前記選択指定された相手のスマートフォン(2)にメッセージが入力された旨の通知ポップアップ(図57)を行うための制御を実行し,r 前記追加機能は,前記検索する機能により所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索された場合に,当該検索されたスマートフォン(2)同士の所持者の内の一方が相手方に対して友だち申請を行い(テミスX1が図39の「追加」ボタンをタップして友だち申請を行うことにより図40の「リクエスト中」となり),相手方が応諾することにより(ジャスティスが図41の「追加」ボタンをタップすることにより),前記友だちリスト追加処理を行い(図42の「友だち登録完了」となり,図43及び図44のように互いの友だちリストに相手が表示される),s 前記コンピュータ(14)側からの制御に基づいて前記友だちのリスト(図4,図43のユーザ名「ジャスティス」,図44のユーザ名「テミスX1」と「テミス」のアイコン)をスマートフォン(2)に表示させることにより,ユーザ同士がユーザ識別子(被告のサービスを利用する際に被告から個々のユーザに付与される,個々のユーザ固有のデジタル情報)を知らせ合うことなく交流できるようにした,t コンピュータシステム。エ 本件発明4に対応する被告アプリの構成

5 u 近くにいるユーザ同士がコンピュータ(14)を利用してコミュニケーションによる交流を行うためにスマートフォン(2)により実行される「LINE」のアプリケーションソフト(以下「コミュニケーションアプリ「LINE」」という。)であって,v スマートフォン(2)のGPS位置情報を前記コンピュータ(14)へ送信するステップと,w スマートフォン(2)の表示部を制御する表示制御ステップとを,スマートフォン(2)に実行させ,x 前記表示制御ステップは,x1 複数の友だちのリスト(図4の友だち(9人)のリスト,図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)を表示するためのリスト表示ステップと,x2 表示された複数の友だちのリスト(図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)の内からユーザがトークしたい友だちを選択指定してトークボタンをタップすることにより(図5),その友だちとのトークルームが表示され(図6,図45),該選択指定した者と選択指定された相手とがスマートフォン(2)を操作してそのトークルームに互いに書込んだ内容を閲覧してメッセージを送受信できるように該入力内容を前記スマートフォン(2)で報知するための入力内容報知ステップ(図6,図45)と,を含み,さらに,x3 前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に(図6,図45),前記選択指定されたユーザのスマートフォン(2)の前記表示部にメッセージが入力された旨の通知ポップアップを行い(図57),y 前記コンピュータ(14)は,y1 前記送信するステップにより送信されてきたスマートフォン(2)

5 のGPS位置情報を取得し,該GPS位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)を検索する機能(図3,図38)と,y2 該検索する機能により前記所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索された場合に,互いのスマートフォン(2)にその検索された相手方スマートフォンのユーザを表示させ(図3の上段と中段,図38),双方がその表示されたユーザを選択して友だち登録に係るボタンを押下する友だち登録操作(図3,図38~図41の操作)が行われたか否か判定し,友だち登録操作が行われたと判定された場合にその友だち登録されたユーザを友だちのリスト(図4の友だち(9人)のリスト,図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)に新たに追加する友だちリスト追加処理を行う追加機能と,を含んでおり,z 前記追加機能は,前記検索する機能により所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索された場合に,当該検索されたスマートフォン(2)同士の所持者の内の一方が相手方に対して友だち申請を行い(テミスX1が図39の「追加」ボタンをタップして友だち申請を行うことにより図40の「リクエスト中」となり),相手方が応諾することにより(ジャスティスが図41の「追加」ボタンをタップすることにより),前記友だちリスト追加処理を行い(図42の「友だち登録完了」となり,図43及び図44のように互いの友だちリストに相手が表示される),γ 前記コンピュータ(14)側からの制御に基づいて前記友だちのリスト(図4,図43のユーザ名「ジャスティス」,図44のユーザ名「テミスX1」と「テミス」のアイコン)をスマートフォン(2)に表示させることにより,ユーザ同士がユーザ識別子(被告のサービスを利用する際に被告から個々のユーザに付与される,個々のユーザ固有のデジタル情報)を

5 知らせ合うことなく交流できるようにした,δ コミュニケーションアプリ「LINE」。

(6) 無効審判の請求被告は,特許庁に対し,本訴の侵害論に係る当裁判所の心証開示後である令和元年8月2日,乙42に基づく進歩性の欠如を理由とする本件特許の無効審判の請求をし(無効2019-800056号),令和2年2月21日,乙70を主引例とする本件特許の無効審判の請求(無効2020-800020号)をしたところ,特許庁は,同年10月6日,前者の無効審判請求に係る職権審理結果通知書において,乙42公報に記載の発明及び乙84に記載の技術並びに周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特許は特許法123条1項2号に該当し,無効とすべきである旨の判断をした。

(7) 先行文献本件特許出願に係る優先日(平成22年2月15日)より前に,以下の公刊物が存在した。ア 発明の名称を「出会い支援装置及び出会い支援システム」とする公開特許公報(特開2009-26178号,公開日平成21年2月5日。乙5。以下「乙5公報」といい,同公報に記載された発明を「乙5発明」という。)イ 発明の名称を「管理装置,通信端末,グループ通信システム,グループ管理方法,通信端末の制御方法」とする公開特許公報(特開2009-135869号,平成21年6月18日公開。乙6。以下「乙6公報」という。)ウ 発明の名称を「情報管理装置および情報照会装置」とする公開特許公報(特開2008-176406号,平成20年7月31日公開。乙7。以下「乙7公報」という。)エ 発明の名称を「METHOD AND COMPUTER SYSTEM FOR MATCHING MOBILE DEVICEUSERS FOR BUSINESS AND SOCIAL NETWORKING」とする米国特許公報(US

5 7,310,676 B2,発行日2007年(平成19年)12月18日。乙8。以下「乙8公報」という。)オ 発明の名称を「情報交換システムの動作方法およびシステム」とする公開特許公報(特開2001-117851号,平成13年4月27日公開。乙10。以下「乙10公報」という。)カ 発明の名称を「情報通信方法及び情報通信装置,情報通信システム,並びに記憶媒体」とする公開特許公報(特開2003-169055号,平成15年6月13日公開。乙12。以下「乙12公報」という。)キ 発明の名称を「情報管理装置,通信処理装置,および方法,並びにプログラム」とする公開特許公報(特開2009-295067号,平成21年12月17日公開。乙42。以下「乙42公報」という。)ク 発明の名称を「出会い・連絡支援システム」とする公開特許公報(特開2010-35214号,平成22年2月12日公開。乙43。以下「乙43公報」という。)ケ 発明の名称を「グルーピングシステム,管理装置」とする公開特許公報(特開2009-272951号,平成21年11月19日公開。乙44。以下「乙44公報」という。)コ 発明の名称を「ユビキタスマッチングシステム及び方法」とする公開特許公報(特開2004-328308号,平成16年11月18日公開。乙45。以下「乙45公報」という。)サ 発明の名称を「個人がランデブーすることを可能にするために地理的位置情報,データベースから導き出された相性マッチ,およびユーザ制御を組み合わせるシステム」とする公表特許公報(特表2007-523566号,平成19年8月16日公表。乙46。以下「乙46公報」という。)3 争点

(1) 被告システム等が本件各発明の構成要件を充足するか否か(争点1)

5 ア 構成要件A,L及びU(「現実世界で出会ったユーザ」等)の充足性(争点1-1)イ 構成要件B,M及びX1(「交流先のリスト」等)の充足性(争点1-2)ウ 構成要件C,N及びX2(「メッセージを送受信」等)の充足性(争点1-3)エ 構成要件E,P及びY2(「必要条件」等)の充足性(争点1-4)オ 構成要件F,Q及びX3(「メッセージが入力された旨のポップアップ通知」等)の充足性(争点1-5)カ 構成要件G(「ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,…ポップアップ通知を行わないように制御し」等)の充足性(争点1-6)キ 構成要件H,S及びΓ(「前記コンピュータ側からの制御に基づいて」,「ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく」)の充足性(争点1-7)ク 構成要件J,R及びZ(「一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行う」等)の充足性(争点1-8)

(2) 本件特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか否か(争点2)ア 乙5公報に基づく進歩性欠如(争点2-1)イ 記載要件違反(争点2-2)

(3) 原告の損害額(争点3)

第3 争点に関する当事者の主張

1 争点1-1(構成要件A,L及びU(「現実世界で出会ったユーザ」等)の充

足性)について

(原告の主張)

被告システム等と構成要件A,L及びUを対比すると,被告システム等の「ス

5 マートフォン(2) ,

」「近くにいるユーザ同士」が本件各発明の「ユーザ端末」,「現実世界で出会ったユーザ同士」にそれぞれ相当する。被告は,被告システムにおける「近くにいるユーザ」は,構成要件A等における「現実世界で出会ったユーザ」とは異なると主張するが,「近くにいるユーザ」には,①ユーザ同士が現実に対面して現実世界で出会った状態と,②ユーザ同士が近くにいるが現実に対面するほど近くにはおらず現実世界で出会っていない状態を包含するところ,被告システムでは,①の状態で「ふるふる」 (以下機能 「本件機能」という。)を用いて友だち登録ができる以上,構成要件A等を充足する。

(被告の主張)

被告システム等における「近くにいるユーザ」は,構成要件A等における「現実世界で出会ったユーザ」とは異なるから,被告システムは,構成要件A,L及びUを充足しない。

2 争点1-2(構成要件B,M及びX1(「交流先のリスト」等)の充足性)に

ついて

(原告の主張)

(1) 本件各発明の本質

本件明細書等の段落【0002】~【0006】の記載,とりわけ,段落【0006】に,本件各発明の目的として,「前述の理想的な連絡可能状態を構築する手段を提供することである。」と記載され,段落【0005】に「理想的な連絡可能状態とは,相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる状態である。」と記載されていることに基づけば,本件各発明の目的(直接解決しようとしている課題)は,「相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる「理想的な連絡可能状態」を構築する手段を提供すること」

5 にある。

それゆえ,本件各発明の本質的特徴(技術思想)は,「連絡先の個人情報(知得した者がその情報を用いることにより特定される相手にメッセージ等を伝えることを可能にする情報)を相手から知らせてもらって端末のアドレス帳に登録する場合には,連絡先の個人情報を知得可能な情報にせざるを得ず,その結果,その知得された連絡先個人情報が横流し(転売)されて成りすましやスパム等の被害が発生するおそれがあるために,コンピュータ側からの制御に基づいて交流先のリストをユーザ端末に表示させるようにし,上記連絡先の個人情報を知らせ合わなくても交流できるようにした点」にある。そして,本件各発明の作用効果は,「相手とコンタクトが取れるようにするにおいて,個人情報を相手に通知しなくても後々コンタクトが取れるようになる」というものであるから,本件各発明は,電話番号やメールアドレス等の連絡先の個人情報を相手(人間)に知られてしまうことによる種々の不都合を回避しつつ相手とコンタクトが取れる状態を構築するものである。

(2) 被告システム等の構成は,前記前提事実(5)ア~エに記載のとおりであるが,

被告システム等は,「近くにいる人とメールアドレスや電話番号等の連絡先の個人情報を通知しなくても友だち登録して後々連絡を取ることができる」という作用効果を有する。すなわち,甲17の3頁には,本件機能を使って友だちの新規登録を行うときに,「アイコンとアカウント名以外の情報が相手に伝わることがない」旨記載されており(ここでの「アカウント名」はユーザ名のことである。),甲18の「一番簡単 ふるふるで友だち登録」の項の「LINE友だち登録ふるふる」の画面における動画スタートアイコンをタップすれば,冒頭で「相手の電話番号やメルアドが分からなくても友だち登録ができる方法を紹介します。」と解説されている。また,LINEのアカウント登録に際しては,ユーザの電話番号やメールアドレス,名前(ニックネーム等でもよい)を入力して登録す

5 るが(甲19),そのユーザが登録したアカウントは他人が閲覧できないとさ

れている(甲20)。このように,被告システム等では,電話番号やメールアドレス等の連絡先の個人情報を相手に通知することなく交流を行うことが可能となるのである。

(3) 被告システム等の構成b,m及びx1を構成要件B,M及びX1と対比する

と,被告システム等の「コンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士(被告システム等図面【図4】の「カンカン」と「IIJのLine」,【図40】の「ジャスティス」と同【図41】の「テミスX1」)」が,構成要件Bの「互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士」に相当する。被告システムの「交流できるようにするための複数の友だちのリスト(被告システム等図面の【図4】の友だち(9人)のリスト,【図5】下段画面のリスト,【図43】,【図44】のリスト)」が,構成要件Bの「交流できるようにするための複数の交流先のリスト」,構成要件Mの「複数の交流先のリスト」に相当し,被告アプリの「複数の友だちのリスト」が構成要件X1の「複数の交流先のリスト」に相当する。被告システム等の友だちリストの中から友だちを選択指定してトークボタンをタップすることにより,その選択した友だちとトークすることができ,ネットを通しての交流が可能になるのであるから,これは,「交流先のリスト」にほかならない。そして,被告システムの「ユーザに表示させるための制御を行うリスト表示機能」が構成要件B及びMの「ユーザに表示するための制御を行う交流先リスト表示制御手段」に相当し,被告アプリの「表示するためのリスト表示ステップ」が,構成要件X1の「表示するための交流先リスト表示制御ステップ」に相当する。したがって,構成bは構成要件Bを,構成lは構成要件Lを,構成x1は構成要件X1をそれぞれ充足する。5

(被告の主張)

被告システム等は,「交流先のリスト」に係る構成を有しないから,本件発明1の構成要件B,本件発明3の構成要件L及び本件発明4の構成要件X1をいずれも充足しない。

(1) 本件発明の意義等

本件明細書等の段落【0004】の記載によれば,本件発明が解決しようとするのは課題a~dであるから,本件各発明は,相手と直接連絡を取ることができないようにするための課題解決手段,すなわち,連絡先の個人情報が通知され,当該情報を用いて直接連絡を取ることができてしまうことによる種々の不都合を回避しつつ,相手とコンタクトが取れる状態を構築するものである。このことは,本件明細書等の段落【0006】,【0007】の記載からも裏付けられる。そして,本件各発明は,上記課題を解決する手段として,連絡先の個人情報を含まない,共有仮想タグ又はそれに類する共有ないし共用のタグ(以下,併せて「共有仮想タグ等」という。)のリストである「交流先のリスト」(構成要件B,M及びX1)や,連絡先の個人情報を使用せずに「メッセージを送受信」する構成(構成要件C,N及びX2)を採用し,もって「ユーザ同士が連絡先の個人情報」を「知らせ合うことなく交流できるようにした」(構成要件H,S及びΓ)ものである。すなわち,本件明細書等(段落【0008】,【0012】~【0017】,【0027】~【0066】,【0090】~【0092】,【0280】,【0281】,【図1】,【図3】,【図5】,【図7】~【図10】)の記載によれば,本件各発明の概要は,以下のとおりである。(ⅰ)出会ったユーザ(A氏とB氏) のユーザ端末が所定時間中に所定距離内に位置することを条件に共有仮想タグを生成する。(ⅱ)ユーザ端末に共有仮想タグのリストを表示する。

5 (ⅲ)A氏が共有仮想タグを選択指定して,当該共有仮想タグに対応したW

ebページ等のネットワーク上の書込み・閲覧手段に書込みを行う。B氏が共有仮想タグを選択指定して,当該共有仮想タグに対応したネットワーク上の書込み・閲覧手段におけるA氏の書込みを閲覧し,B氏も同手段に書き込みを行う。A氏が共有仮想タグを選択指定して,当該共有仮想タグに対応したネットワーク上の書込み・閲覧手段におけるB氏の書込みを閲覧する。(ⅳ)ユーザ同士が連絡先の個人情報を交換することなく交流できる。

(2) 被告システム等が本件各発明の技術思想を採用していないこと

●(省略)●このように,被告システム等は,個々のユーザが元々保有していた各ユーザに固有のユーザ識別子とユーザネーム・アイコンを他のユーザと交換することで,ユーザ同士が交流できるようにしているのであって,本件各発明において必須の構成である「共有仮想タグ」(「出会い」(交流開始条件が満たされていると判定されること)を契機として新たに生成され,ユーザ間で共有されるコンピュータ上のタグ)に対応する構成を全く備えていない。

(3) 「交流先のリスト」の意義等

ア 「交流先のリスト」は,「連絡先の個人情報」を含まないこと本件発明1(構成要件H)及び3(構成要件S)には,「前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした」とあり,本件発明4(構成要件Γ)には「前記交流先のリストを前記表示部に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした」とあることや,前記(1)記載の本件発明の課題等からすれば,「交流先のリスト」には「連絡先の個人情報」は含まれない。一般に「個人情報」とは,特定の個人を識別できる情報を意味するから,

5 本件発明においても,「『連絡先』という特定の個人(個々人)を識別可能

な固有の情報」であれば「個人情報」に当たると解すべきである。かかる解釈は,本件明細書等の段落【0020】,【0042】の記載と矛盾せず,その原出願である特願2011-553710号の当初明細書(乙1)及び特許第5211401号の明細書(乙2)の段落【0306】における「住所氏名や電子メールアドレス等の個人情報」との記載にも合致する。他方,①本件各発明の解決すべき課題a~dにおいては,電話番号やメールアドレス等のように当該情報を相手と交換等することによって相手とコンタクトを取ることを可能にする情報をもって,「個人情報」と称していること,②本件特許請求の範囲の「前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした」等の記載も,当該情報を相手と交換することで当該相手と交流できるようになる情報を「個人情報」と称していると理解し得ること,③本件明細書等の実施例において,システム上,個人を識別する情報として「ユーザID」が記載されており(【図3】等参照),かつ,実施例においてユーザ間で「ユーザID」を交換することなく交流できる構成が開示されていること(段落【0044】~【0066】),④本件明細書等の作用効果に関する記載として,「個人情報を相手に通知しなくても後々コンタクトが取れるようになる」という作用効果を奏することが記載されていること(段落【0010】)等からすれば,「連絡先の個人情報」とは,電話番号やメールアドレスのように,「当該情報を相手に通知することによって,相手と後々コンタクトが取れるようになる,個々人に固有の情報」を指すと解釈すべきことになる。そして,本件特許請求の範囲及び本件明細書等は,当該情報を用いて相手との通信が可能となる情報が「連絡先の個人情報」であると明示的に規定しているわけではないところ,特許請求の範囲の公示機能や,不明確な記載の不利益は作成者である出願人に負担させるべきことが衡平に資することに

5 照らせば,上記2つのいずれかの意味(すなわち「特定の個人(個々人)を

識別可能な固有の情報」及び「当該情報を相手に通知することによって,相手と後々コンタクトが取れるようになる,個々人に固有の情報」)での「連絡先の個人情報」を「交換」していれば,本件特許発明の技術的範囲から外れることになると解すべきである。イ 「交流先のリスト」が共有仮想タグ等のリストを意味すること本件明細書等が開示する発明は,共有仮想タグ等を利用してユーザAとユーザBとが交流を図るというものであり,本件明細書等は,氏名やメールアドレス等の個人情報を端末間で交換せずに交流を可能にする具体的手段として,共有仮想タグ等に係る構成を開示しており,交流先の相手の端末にリスト表示されるのも共有仮想タグ等のみである(段落【0008】,【0041】,【0060】,【0064】,【0066】等)。実際,原告代表者は,本件特許と同系列の本件特許1の出願経過において,その明細書(本件明細書等と同内容)に「共有仮想タグのリストが表示されることが記載されている旨を強調して,同特許が記載要件に違反しない旨を審査官に説明していた(乙3,39)。それゆえに,「交流先のリスト」に相当するのは,共有仮想タグ等のリスト以外にあり得ず,共有仮想タグを用いない構成は,本件各発明の技術的思想とは異なる発明であって,本件各発明の技術的範囲には含まれない。ここで,共有仮想タグとは,特許請求の範囲に記載された文言と,本件明細書等における説明及び出願時の技術常識並びに一般の用語例からすれば,「ユーザ間で共有されるコンピュータ上のタグ(ユーザ間で共有される識別子であって,各ユーザ端末が所定時間中に所定距離内に位置することを条件に新たに生成され,当該ユーザ端末にその複数のリストが表示されるとともに,当該タグに対応したWebページ等のネットワーク上の書込み・閲覧手段にユーザ端末の操作による書込みと閲覧が可能なものであって,ユーザ同

5 士が連絡先の個人情報を交換することなく交流できるようにするもの」を意

味する。ウ 「交流先のリスト」は出会い(交流開始条件が満たされていると判定されること)を契機として生成される情報(交流先の表示)の集合であること特許請求の範囲の文言,すなわち「互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士が交流できるようにするための複数の交流先のリスト」(構成要件B)等の文言や,共有仮想タグの生成に関する本件明細書等の開示内容に照らすと,「交流先のリスト」は,個々のユーザが従前から保有している既存の情報(ID)の表示ではなく,出会い(交流開始条件が満たされていると判定されること)を契機として初めて生成される情報(交流先の表示)の集合でなければならない。

(4) 被告システムが「交流先のリスト」を充足しないこと

ア 被告システム等において,「友だちのリスト」に表示されるのは,必ずしも「ネットワークを介してのコミュニケーションによる交流に同意した」ユーザだけではない。イ また,被告システム等において,「連絡先の個人情報」に当たるのは,①ユーザ識別子のみならず,②ユーザネーム,③アイコン,④ユーザ識別子と紐付いているユーザネームとアイコンである。すなわち,被告システム等においては,本件機能により互いを友だちとして追加する際には,現実に対面しているユーザ同士が,互いの端末に表示された相手のユーザネームとアイコンが当該対面している相手のものであると認識した上で, 友だち追加を行うことになるが,この場合に,ユーザネームとアイコンは,氏名や住所等と同様に,交流相手本人を識別できる情報であり,個々人を識別可能な固有の情報であるから,「連絡先の個人情報」に該当する。被告システム等においては,本件機能により友だち登録がなされる際,一

5 方のユーザ(ユーザA)のユーザ識別子が他方のユーザ(ユーザB)の端末

に取得されると,ユーザAのユーザネームとアイコンも,ユーザAのユーザ識別子に紐付けられ一体として管理される(ユーザAの端末におけるユーザBのユーザネームとアイコンの管理についても同様である。)。そして,ユーザBが,自らの端末上に表示されるユーザAのユーザネームとアイコンを選択すると,それらと紐付いているユーザAのユーザ識別子によって,ユーザBはユーザAと連絡を取ることができる。被告システム等においては,ユーザネーム及びアイコン(以下,併せて「ユーザネーム等」という。)とユーザ識別子は,常に紐付いており,一方のみが端末に送信され,他方は送信されないということは一切ないから,これらは,「ユーザ識別子に紐付いたユーザネーム等」として一体のものと捉えるべきものである。そして, ユーザが,端末に表示されるユーザネーム等を選択し,メッセージ送信操作を行うと,当該ユーザネーム等に紐付いたユーザ識別子によって,相手ユーザの端末にメッセージを送信することができる(なお,ユーザ識別子だけでは,ユーザがメッセージ送信操作を行うことができないから,ユーザ同士がコンタクトを取ることはできない。)。それゆえに,「ユーザ識別子に紐付いたユーザネーム等」は,「当該情報を相手に通知することによって,相手と後々コンタクトが取れるようになる,個々人に固有の情報」であるから,「連絡先の個人情報」に該当する。被告システムにおいて,交流相手として表示されるリストには,「連絡先の個人情報」であるユーザネームとアイコンが表示されるから,被告システムは,「交流先のリスト」に係る構成要件を充足しない。ウ 前記のとおり,「交流先のリスト」に対応するのは共有仮想タグ等のリストしかあり得ないところ,共有仮想タグ等は,「共有」という字句が表すとおり,交流する者の間で共有される共通のタグであるから(本件明細書等の段落【0014】等),被告システムにおいて,各ユーザ(交流する者)に

5 個別に設定されたアイコンやユーザネームが共有仮想タグ等に当たらない

ことは明らかであって,被告システムは,共有仮想タグ等のリストである「交流先のリスト」を備えていない。エ さらに,「交流先のリスト」は,出会い(交流開始条件が満たされていると判定されること)を契機として新たに生成される情報(交流先の表示)を集合したものでなければならないが,被告システム等において,ユーザ端末に表示されるのは,個々のユーザが従前から保有していた既存のユーザネームとアイコンであり,「ふるふる」を契機として生成される表示ではない。すなわち,本件各発明における「交流先のリスト」は,「出会った」ことを契機として作成されるタグ(共有仮想タグ)の表示の集合であるが,被告システム等では,「出会い」より前にユーザ各人がそれぞれ固有に保有するユーザネームとアイコンの集合が表示されるのであって,両者は全く異なっている。オ したがって,被告システムは,「交流先のリスト」の構成要件を充足しない。

3 争点1-3(構成要件C,N及びX2(「メッセージを送受信」等)の充足性)

について

(原告の主張)

(1)ア 被告システムの構成c及びnの「リスト表示機能により表示された複数の

友だちのリスト(被告システム等図面の【図5】下段画面のリスト,【図43】【図44】のリスト)の内から」が,本件発明1の構成C及び本件発明3の構成Nの「ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内から」に相当する。また,被告システムの「ユーザがトークしたい友だちを選択指定してトークボタンをタップすることにより(図5),その友だちとのトークルームが表示され(図6,図45),選択指定した者と選択指定された相手とがスマ

5 ートフォン(2)を操作してそのトークルームに互いに書込んだ内容を閲覧

してメッセージを送受信できるように」が,構成要件C及びNの「コミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように」に相当する。イ 被告アプリの構成x2の「表示された複数の友だちのリスト(図5下段画面のリスト,図43,図44のリスト)の内からユーザがトークしたい友だちを選択指定してトークボタンをタップすることにより(図5)」が,本件発明4の構成要件X2の「ユーザが前記表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し」に相当する。被告システムにおける「トーク」とは,会話感覚で行える文字コミュニケーションのことである(甲73,74)。また,被告アプリの構成x2の「その友だちとのトークルームが表示され(図6,図45)該選択指定した者と選択指定された相手とがスマートフォン(2)を操作してそのトークルームに互いに書込んだ内容を閲覧してメッセージを送受信できるように」が,構成要件X2の「該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように」に相当する。ウ 被告システムの構成c及びnの「該入力内容を前記スマートフォン(2)で報知するための入力内容報知機能(図6,図45)」が,構成要件C及びNの「該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段」に相当し,また,被告アプリの構成x2の「該入力内容を前記スマートフォン

(2)で報知するための入力内容報知ステップ(図6,図45)」が,構成

要件X2の「該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知ステップ」に相当する。ここで,本件各発明及び被告システム等が,いずれも「表示」ではなく「報知」と表現されているのは,「ユーザ端末の表示部で

5 の表示」と「ユーザ端末のスピーカでの音声報知」の両者を包含しているた

めである。本件明細書等にも,段落【0025】,【0035】,【0036】に「音声報知」が記載されており,被告システム等も,トークルームでの文字やスタンプによるメッセージ伝達ばかりでなく,音声でメッセージを伝えることができるのである(甲71,74)。エ したがって,被告システムの構成c及びn並びに被告アプリの構成x2は,それぞれ構成要件C,N又はX2を充足する。

(2)ア 被告は,端末外のサーバ等で管理される書き込み掲示板(書き込み用ウェ

ブページ)であって交流するユーザに共通の掲示板(ウェブページ)が必須の構成であると主張する。しかし,共通の書き込み掲示板を介してのメッセージのやり取りであろうが,これを介しないメッセージのやり取りであろうが,「連絡先の個人情報」が知得された場合には,本件各発明の目的が達成できないから,共通の書込み掲示板は必須の構成ではなく,「連絡先の個人情報を知らせ合うことなく」(構成要件H等)が必須の構成である。そもそも,構成要件C等には,「メッセージを送受信」と記載されているだけであり,どのような経路でメッセージを送受信するかについては何らの限定はないから,

(被告の主張)

は失当である。イ 被告は,被告システムのサーバにおいて,メッセージが「ユーザAB間のトーク履歴」というデータ形式で記憶されることはなく,ユーザごとのメッセージ送受信記録が個別に管理されるにすぎないから,被告システム等は,「メッセージを送受信」に係る構成を備えない旨の主張をする。しかし,被告のヘルプセンターのQ&Aをまとめたもの(甲100)には,サーバでもメッセージの内容が暗号化された状態で保存される旨が記載されており,また,被告のエンジニアによるブログ(甲101)にも,個人のプライベートなトーク内容をLINEのサーバ上に保存する旨が記載され

5 ているから,被告の上記主張は事実に反している。

ウ 被告は,「メッセージを送受信」の用語の解釈につき,「端末外のサーバ等で管理される書き込み掲示板(書き込み用ウェブページ)であって交流するユーザに共通の掲示板(ウェブページ)に書き込んだ内容を閲覧してメッセージを送受信」することを意味し,また,ユーザに共通の掲示板(ウェブページ)は,「共有仮想タグ等」に紐付けられたもの(「共有仮想タグ等」をクリックしてアクセスするもの)でなければならないと主張する。しかし,「送受信」の語は,「送信と受信」を意味する語として広辞苑にも掲載されており(甲121),一義的に明確に理解することができる上,「入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段」との構成要件に用いられている用語であるため,その技術的意義は,「ユーザが入力した内容(メッセージ)を相手のユーザ端末に報知できるようにすること」であると解釈されるのであって,それ以上に,具体的にどのような構成の通信装置により,どのような通信メカニズムでメッセージを送受信するかなどという手段等に関する構成について特段の限定はないものと解すべきである。本件明細書等に記載された実施例は,メッセージを送受信することに関する具体的な一態様を示したものにすぎず,これに限定する解釈は許されない。

(被告の主張)

(1) 本件各発明においては,「ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うこと

なく」(構成要件H,S及びΓ),ユーザ端末を介したコミュニケーションを取る必要があることから,端末外のサーバ等で管理される書込み掲示板(書込み用ウェブページ)であって交流するユーザに共通の掲示板(ウェブページ)を必須の構成とする。そのため,本件各発明の「入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信」(構成要件C,N及びX2)とは,端末外のサーバ等で管理される書込み掲示板(書込み用ウェブページ)であって交流するユー

5 ザに共通の掲示板(ウェブページ)に書き込んだ内容を閲覧してメッセージを

送受信することを意味する。このことは,本件明細書等の【図1】,【図2】に,書込みの対象として,共有仮想タグに紐付けされた書込み掲示板(書込み用ウェブページ)のみが明記されていることからも明らかである。また,本件明細書等は,氏名やメールアドレス等の個人情報を端末間で交換せずに交流を可能にする具体的手段として,「共有仮想タグ」に係る構成を開示しており,「ウェブページ」に対応する構成として本件明細書等が開示するのは,「共有仮想タグに対応した(共有仮想タグをクリックしてアクセスする)Webページ」等のみであるから,ユーザに共通の掲示板(ウェブページ)は,「共有仮想タグ等」に紐付けられたもの(「共有仮想タグ等」をクリックしてアクセスするもの)でなければならない(段落【0008】,【図10】)。したがって,本件各発明の「入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信」とは,結局,「当該ユーザ間の共有仮想タグを選択指定してアクセスすることのできるウェブページ等のネットワーク上の書込み・閲覧手段への書込みとその閲覧によるメッセージの送受信」を意味する。

(2) これに対し,被告システム等では,交流メッセージは,サーバを介して交流

する相手ユーザ端末宛に送信され,その通信記録はユーザ双方の端末のメモリ上に保存されるのであり,また,ユーザが端末上で確認しているメッセージの履歴は,自身の端末のメモリ上に保存された通信記録であるにすぎないし,被告システム等は,共有仮想タグ等に相当する構成を備えておらず,「共有仮想タグを選択指定してアクセスすることのできるウェブページ等のネットワーク上の書込み・閲覧手段への書込みと閲覧が可能なもの」に対応する構成を全く備えていないから,「メッセージを送受信」に係る構成を有しない。

4 争点1-4(構成要件E,P及びY2(「必要条件」等)の充足性)について

(原告の主張)

(1) 被告システムの構成e及びp並びに被告アプリの構成y2の「該検索する機

5 能により前記所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索

された場合に,互いのスマートフォン(2)にその検索された相手方スマートフォンのユーザを表示させ(図3の上段と中段,図38),双方がその表示されたユーザを選択して友だち登録に係るボタンを押下する友だち登録操作(図3,図38~図41の操作)が行われたか否か判定し,友だち登録操作が行われたと判定された場合に」が,本件発明1の構成要件E,本件発明3の構成要件P及び本件発明4の構成要件Y2の「該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として」に相当する。これらの構成要件は,「必要条件」となっており,従属項である請求項2の記載からしても,複数の条件のうちの1つを限定しているにすぎないことが明らかである。このため,被告システム等のように,①所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索されたこと,②その表示されたユーザを選択して友だち登録する友だち登録操作(図3,図38~図41の操作)が行われたか否か判定し,友だち登録操作が行われたと判定された場合,の2つの条件が存在する場合でも,①の条件が存在する時点で上記各構成要件を充足する。これに対して,被告は,乙15の記載を引用し,「出会い時点登録」が必須であると主張するが,構成要件E等をそのように限定解釈すべき理由はないから,失当である。

(2) 被告システム等の構成e,p及びy2の「その友だち登録されたユーザを友

だちのリスト(図4の友だち(9人)のリスト,図5下段画面のリスト,図43及び図44のリスト)に新たに追加する友だちリスト追加処理」が,構成要件E,P及びY2の「該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理」に相当する。被告システム等の構成e,p及びy2の「追加機能」が構成要件E,P及び

5 Y2の「交流先追加手段」に相当する。

(3) 以上のとおり,被告システム等の構成e,p及びy2は,それぞれ構成要件

E,P又はY2を充足する。

(被告の主張)

被告システム等は,前記のとおり,「前記メッセージの送受信」及び「交流先のリスト」に係る構成を有さず,また,以下のとおり「必要条件」に係る構成も有しないから,本件発明1の構成要件E,本件発明3の構成要件P及び本件発明4の構成要件Y2のいずれも充足しない。

(1) 原告は,平成29年7月30日付け上申書(乙15)において,①所定時間

中に,②所定距離内に位置することが交流開始のための「必要条件」であるとする本件明細書等上の根拠は,段落【0095】~【0097】に記載されていると述べた。上記各段落に記載されている態様においては,出会ったときに出会った場所と時間の登録をすること(出会い時点登録)が必須であるから,所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された後に,ユーザ端末同士の所持者のうちの一方が相手方に対して交流の申出を行い,相手方も交流に同意するという条件が満たされて初めて交流先追加処理が行われる場合には,出会い時点登録の構成を備えなければ,本件発明1の技術的範囲には属しないことになる。他方,所定時間中に所定時間内に位置するユーザ端末が検索された後に交流の申出と同意が行われない場合についても,本件発明1に係る特許請求の範囲に含まれるところ,この場合は,構成要件Eにおける「必要条件」は,必要十分条件と解されることになる。

(2) 被告システムは,いわゆる端末のトラッキングを行う構成を有しておらず,

出会ったときに出会った場所と時間の登録をする(出会い時点登録)という構成を備えない。また,被告システムにおいて,交流を開始するためには,少なくとも一方のユーザが相手の個人の連絡先であるアカウント情報を取得した

5 上で,端末にユーザネームとアイコンを表示させ,友だち登録に係るボタンを

押下するという追加処理を経ることが必要である。したがって,被告システムは,「必要条件」の構成要件を充足しない。

5 争点1-5(構成要件F,Q及びX3(「メッセージが入力された旨のポップ

アップ通知」等)の充足性)について

(原告の主張)

(1) 被告システムの構成f及びqの「複数の友だちのリスト(図5下段画面のリ

スト,図43及び図44のリスト)の内から」が,本件発明1の構成要件F及び本件発明3の構成要件Qの「前記複数の交流先の内から」に相当する。被告システムの構成f及びqの「トークしたい友だちを選択指定してトークボタンをタップ(図5)した者が」,「選択指定された相手に対してトークルームにメッセージを入力して送信する操作を行った場合に(図6,図45)」が,構成要件F及びQの「コミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が」,「選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に」にそれぞれ相当し,被告アプリの構成x3の「前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に(図6,図45)」が,本件発明4の構成要件X3の「前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に」に相当する。また,被告システムの構成f及びqの「前記選択指定された相手のユーザのスマートフォンにメッセージが入力された旨の通知ポップアップ(図57)を行うための制御を実行する」が,構成要件F及びQの「前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行する」に相当し,被告アプリの構成x3の「前記選択指定されたユーザのスマートフォン(2)の前記表示部にメッセージが入力された旨の通知ポップアップを行い(図57)」が,構成要件X3の「前記選択指定された

5 相手のユーザ端末の前記報知部にメッセージが入力された旨のポップアップ

通知を行い」に相当する。被告システム等において「通知ポップアップ(図57)」を行うための制御が実行されることは,甲72にも記載されている。したがって,被告システムの構成f及びq並びに被告アプリの構成x3は,本件発明1の構成要件F,本件発明3の構成要件Q又は本件発明4の構成要件X3を充足する。

(2) 被告は,被告システム等において,メッセージが送信された場合,その相手

ユーザのスマートフォンの画面には,当該メッセージの内容そのものが表示され,「メッセージが入力された」旨の通知が行われるわけではないと主張するが,被告システム等における「通知ポップアップ」は,本来,相手からメッセージがユーザ端末に送られてきたことを当該ユーザ端末に通知するものであり(甲70) これがメッセージの内容を表示するのは副次的機能にすぎない。,このことは,長いメッセージが送信された場合に,その冒頭部分しか表示されないことからも明らかである。また,被告システム等における「通知ポップアップ」の通知態様は複数用意されており(甲122),被告システム等図面の【図57】はそのうちの一態様にすぎず,他の表示態様を選択設定すれば,メッセージの内容は表示されず,「新着メッセージがあります。」と通知される(甲123)。したがって,被告の上記主張は失当である。

(被告の主張)

被告システム等において,メッセージが送信された場合,その相手ユーザのスマートフォンの画面には,当該メッセージの内容そのものが表示されるのであって(別紙被告システム等図面【図57】),「メッセージが入力された」旨の通知が行われるわけではないから,被告システム等は構成要件Fを充足しない。

6 争点1-6(構成要件G(「ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,…ポ

ップアップ通知を行わないように制御し」等)の充足性)について5

(原告の主張)

(1) 被告システムの構成gの「トークしたい友だちを選択指定して互いにメッセ

ージを送受信できるスマートフォン同士の一方からの要求に応じて(図59~図64)」が,本件発明1の構成要件Gの「前記交流先として指定されて互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の一方からの要求に応じて」に相当する。そして,構成gの「他方のスマートフォンからメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても(図65,図66)前記通知ポップアップを行わないように制御し(図67)」が,構成要件Gの「他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても前記ポップアップ通知を行わないように制御し」に相当する。また,被告システムにおいては,ユーザが操作画面上で「■メッセージ通知の表示内容をOFF,通知ポップアップもOFF」に設定すると,ポップアップが非表示となる機能があり(甲122・6~9頁),この通知ポップアップのOFF機能を使用すると,送信されたメッセージは表示されるが,通知ポップアップは表示されない(甲141)。したがって,被告システムの構成gは,本件発明1の構成要件Gを充足する。

(2) 被告は,被告システムはメッセージを受信した際にメッセージを受信したこ

とが通知されないように制御しているのではないから,構成要件Gを充足しないと主張するが,構成gは,「メッセージを受信した際にメッセージを受信したことが通知されないように制御し」とするものではなく,単に,「他方のスマートフォンからメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても(図65,図66)前記通知ポップアップを行わないように制御し」とするものであるから,結果として通知ポップアップが行われないものであれば足りるのであって,被告システムはかかる構成を有している(甲70)。したがって,被告の上記主張は失当である。5

(被告の主張)

被告システムは,ブロックの操作が行われた場合,一方がメッセージを送信しても,他方のスマートフォンに当該メッセージ自体が受信されないように制御しているのであって,メッセージを受信した際にメッセージを受信したことが通知されないように制御しているのではないから,構成要件Gを充足しない。

7 争点1-7(構成要件H,S及びΓ(「前記コンピュータ側からの制御に基づ

いて」 「ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく」, 等)の充足性)について

(原告の主張)

(1) 被告システムの構成h及びs並びに被告アプリの構成γの「前記コンピュー

タ(14)側からの制御に基づいて前記友だちのリスト(図4,図43のユーザ名「ジャスティス」,図44のユーザ名「テミスX1」と「テミス」のアイコン)をスマートフォン(2)に表示させることにより」が,本件発明1の構成要件H及び本件発明3の構成要件Sの「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより」又は本件発明4の構成要件Γの「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記表示部に表示させることにより」に相当する。また,構成h,s及びγの「ユーザ同士がユーザ識別子(被告のサービスを利用する際に被告から個々のユーザに付与される,個々のユーザ固有のデジタル情報)を知らせ合うことなく交流できるようにした」が,構成要件H,S及びΓの「前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした」に相当する。

(2)ア 被告は,ユーザが「連絡先の個人情報」を認識することができなくても,

当該情報を用いて相手に直接連絡を取ることができる場合には,本件各発明の課題a~dが解決できなくなるから,「連絡先の個人情報を知らせ合うことなく」との構成要件は,相手との直接連絡を取ることができないようにす

5 るための課題解決手段でなければならないと主張する。

しかし,メールアドレスのような知得できる連絡先の個人情報は,知得した者がその情報を用いて相手方にメッセージ等を伝えることを可能にする情報であるため,知得した者により他人に横流しされて輾転流通し,成りすましやスパムの被害が発生するのである。これに対し,本件各発明の交流先のリストは,ユーザ自身が知得してユーザ端末に登録するのではなく,コンピュータ側からの制御によりユーザ端末に表示されるため,メールアドレスのように知得した者により輾転流通(横流しや転売)がされる不都合がない結果,成りすましやスパムの被害を極力防止することができる。したがって,「相手と直接連絡を取ることを回避できる手段でなければならない」との被告の解釈は誤りである。イ 被告は,ユーザネームとアイコンは,交流相手本人を識別できる情報であって,「連絡先の個人情報」に該当すると主張する。しかし,ユーザネームとアイコンは,個々のユーザに固有の連絡先の情報ではなく,相手のスマートフォンの友だちリストに表示させることにより相手に自分を認識させるためのプロフィール情報であって,アイコンを登録しなくてもユーザ同士は交流することができるし(被告システム等図面【図16】~【図31】,【図45】),プロフィール設定アイコン(同【図47】参照)をタップすることにより,ユーザ名を容易に変更できるものであって(同【図48】~【図52】),トーク等の通信時にトーク相手を特定する制御機能はない。一方,純粋なアカウント情報である「ユーザ識別子」は,相手のスマートフォンの友だちリストに表示されることはなく,同リストに表示されるユーザネームをタップすることにより,同ユーザのユーザ識別子をLINEサーバに送信してトーク相手としての同ユーザを特定し,トークルームを選択表

5 示する制御に用いられる情報であり,交流相手に固有の連絡先を特定できる

情報である。そして,ユーザ識別子は,他人が閲覧することはできないのである。したがって,被告システム等のユーザネームとアイコンは,「連絡先の個人情報」に当たらず,これに当たるのは,ユーザ識別子のみである。ウ 被告は,ユーザ識別子と紐付いているユーザネームとアイコンは,「連絡先の個人情報」に該当すると主張する。しかし,本件各発明の実施例でも,「共有仮想タグ,作成位置の住所及びメモ」のリストにおける「共有仮想タグ」を選択してクリックすることにより,相手と連絡を可能にするための共有仮想タグの指定情報(相手との連絡先の識別情報)がサーバへ送信されるのであり,「共有仮想タグ」は,「相手との連絡先の識別情報」と紐付けられている。これと同様に,被告システムにおいて,被告が主張するように,ユーザAの「ユーザネームとアイコン」がユーザ識別子に紐付けられ一体として管理されており,ユーザBの端末上に表示されるユーザAの「ユーザネームとアイコン」を選択すると,それらと紐付いているユーザ識別子により,ユーザBがユーザAと連絡を取ることができるのであっても,「ユーザネームとアイコン」が「連絡先の個人情報」に当たることになるわけではない。被告システム等においては,「ユーザネームとアイコン」がユーザ識別子に紐付いているとしても,他人の「ユーザネームとアイコン」を知得した者は,トークルームで当該ユーザとメッセージの送受信をすることができないから,連絡先知得機能を有しない。その原因は,「ユーザネームとアイコン」を知らされた者は,ユーザ識別子から切り離された「ユーザネームとアイコン」を知得することになるからである。

(被告の主張)

(1) 構成要件の解釈

5 ア 前記2

(被告の主張)

(2)のとおり,「連絡先の個人情報」とは,「『連絡

先』という特定の個人(個々人)を識別することのできる,個々人に固有の情報」及び「当該情報を相手に通知することによって,相手と後々コンタクトが取れるようになる,個々人に固有の情報」を意味する。イ 連絡先の個人情報を「知らせ合うことなく」とは,本件明細書等において,「交換する」方法,「知らせ合う」方法を限定する記載はないことから,通信回線等を用いて連絡先の個人情報を交換することも,相手の面前での提供等それ以外の方法で連絡先の個人情報を交換することも行わないという意味と理解すべきである。ウ 本件明細書等において唯一開示されているのは,共有仮想タグを用いることで「連絡先の個人情報」を端末間で交換せずに交流することを可能にする技術であり,本件明細書等の段落【0019】~【0021】には,「連絡先の個人情報」を端末間で交換せずに共有仮想タグを用いることで課題を解決することが明瞭に記載されている。仮に,「連絡先の個人情報」を端末間では交換した上で,それをユーザが認識できないように表示して交流を可能にする技術を,本件各発明の技術的範囲に含めようとするのであれば,識別情報等のデータを人間が知得できないように画像や文字等に埋め込む技術は本件特許出願時点で周知であったから,本件明細書にそれを記載することは容易であった。にもかかわらず,本件明細書等には,「連絡先の個人情報」を端末間で交換した上,それをユーザが認識できないように表示する技術については,一切開示しておらず,むしろ,「課題を解決するための各種手段と実施の形態との対応関係」を示す段落【0008】や【0010】には,「連絡先の個人情報」に相当する「ユーザID」を端末間で交換しない課題解決手段のみを記載している。さらに,本件特許請求の範囲には,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させる」ことが規定され

5 ているところ,仮に「連絡先の個人情報」が端末間で交換されているのであ

れば,単に,端末に記憶されている「連絡先の個人情報」を,匿名化等してユーザが知得できない態様で表示すれば交流が可能になるから,「コンピュータ側からの制御」は必要がない。つまり,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させる」という本件特許請求の範囲の記載は,本件各発明において,「連絡先の個人情報」が端末間で交換されておらず,端末に「連絡先の個人情報」が記憶されていないことを示しているということができる。したがって,本件特許請求の範囲及び本件明細書等の記載に接した当業者は,本件各発明は,「連絡先の個人情報」が端末間で交換されない発明であると理解するのであって,「『連絡先の個人情報』が端末間で交換されていてもユーザがそれを知得さえできなければ,本件特許発明の技術的範囲に含まれる」と理解することはない。また,本件明細書等に記載された本件各発明の課題a~dからすれば,「当該情報を相手に通知することによって,相手と後々コンタクトが取れるようになる,個々人に固有の情報」が端末間で交換された場合,同情報の内容自体をユーザが知得・認識できなくても,課題a~dが掲げる問題が生じるのであれば,「連絡先の個人情報」が「交換」等されていると解釈すべきである。そのように解釈しなければ,本件特許発明は,課題を解決できない態様をその技術的範囲に含んでしまうことになるからである。そして,同情報に対応する情報をユーザが知得・認識することによって,当該ユーザが同情報を使って相手に連絡を取ることができたり,当該ユーザが同情報を他人に横流しできたりするようになる場合には,本件各発明の課題が生じるから,そのような場合は,連絡先の個人情報の「交換」等がされており,「連絡先の個人情報を交換することなく」等の構成要件を充足しない。

5 (2) 被告システム等が構成要件を充足しないこと

ア 被告システム等において,「連絡先の個人情報」に当たるのは,①ユーザ識別子のみならず,②ユーザネーム,③アイコン及び④ユーザ識別子と紐付いているユーザネームとアイコンであるところ,前記2

(被告の主張)

(4)イ

のとおり,被告システム等において,ユーザネームとアイコンは「連絡先の個人情報」に該当し,「ユーザ識別子に紐付いたユーザネーム等」として一体のものとして「連絡先の個人情報」に該当する。被告システムにおける本件機能を用いたユーザ同士は,「連絡先の個人情報」に該当するユーザネームとアイコンを交換し,相手のユーザネームとアイコンを閲覧できるようになるのであるから,被告システムは「ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした」との構成要件を充足しない。イ 被告システム等における「ユーザ識別子に紐付いたユーザネーム等」は,本件各発明が解決すべき課題a~dをいずれも解決し得ず,「ふるふる」による友だち登録によってユーザ識別子に紐付いたユーザネーム等を交換する被告システム等では,本件明細書等において従来技術として記載されているメールアドレス等と同じように,個人情報を相手に通知することによる欠点が生じることになる。そして,被告システム等においては,「連絡先の個人情報」であるユーザネーム等が,ユーザ端末間で交換され,閲覧できる(ユーザが認識できる)ようになるから,「ユーザ識別子に紐付いたユーザネーム等」は,「連絡先の個人情報」に該当し,当該情報を交換する被告システム等は,「連絡先の個人情報を知らせ合うことなく」に係る構成を備えない。ウ 被告システム等においては,相手のユーザ識別子とユーザネーム等がサーバを介して端末に通知され,友だちリストに当該ユーザネーム等が表示されるにすぎない。原告は,本件各発明における「コンピュータ側からの制御に基づいて」との発明特定事項は,単にサーバを介して端末間で情報伝達がな

5 され,端末にリストが表示される構成も含むと主張するが,以下の本件特許

請求の範囲の文言,本件明細書等の記載及び出願経過(分割の経緯)からすれば,そのような解釈は採用し得ない。(ア) 本件特許請求の範囲には,「複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御」(構成要件B等),「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させる」(構成要件H等)と規定されているが,一般に「制御」とは「機械や設備が目的通り作動するように操作すること」を意味する(乙56)から,単にコンピュータ(サーバ)が端末間の情報伝達を介することは,「目的通り作動するように操作する」という積極的かつ主体的な動作を含むものではなく,「(コンピュータ側からの)制御」に当たるとは解し難い。(イ) 本件明細書等の段落【0008】,【0090】及び【0091】の記載によると,本件各発明における「複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御」,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させる」とは,コンピュータ(サーバ)が,(ⅰ) 交流開始条件が満たされていると判定されることを契機として,当該出会った当事者の一方から生成依頼を受けた後,(ⅱ) 当該出会った当事者同士が相手方と(個人情報を交換することなく)交流できるように情報(共有仮想タグ)を「生成」した上で,(ⅲ) 当該情報を当該出会った両当事者の端末に「送信」 (ⅳ)当該両当事者の端末にし, 「記憶」させ,それに基づいて,(ⅴ) 当該情報(又はそれに紐付く情報)を「交流先のリスト」として当該両当事者の端末に「表示させる」ことを意味するから,「出会う」前(交流開始条件が満たされていると判定される前)から各当事者の端末に既に記憶されていた情報が,サーバを通じて相手方の端末に通知され,当該情報(ないしその一部)が相手方のユーザ端末に表示されるだけでは,本件各発明における「制御」には該当せず,かかる構成が

5 「制御」に含まれることが読み取れる本件明細書上の記載は存在しない。

(ウ) 本件各特許は,原々出願(特願2011-553710。乙58),原出願(特願2013-41636。(乙59) からの分割出願である) (乙57)ところ,分割出願をすることができる範囲は,もとの出願について補正をすることが可能である範囲に限られ,原出願等の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲外のものを含めることは許されない(東京地裁平成15年(ワ)第9215号同16年4月23日判決等)。原々出願及び原出願の当初明細書及び図面には,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させる」との記載も,本件明細書等の段落【0008】の記載も存在しないところ,原告は,本件特許2の出願経過で提出した平成26年1月9日付け意見書(乙60)において,これらを追加する補正の根拠は,段落【0097】及び【図8】(いずれも本件明細書等と同内容のもの。)を根拠とする旨を述べていた。そして,段落【0097】及び【図8】に記載されているのは,交流開始条件が満たされていると判定されることを契機として,サーバが,新たに共有仮想タグを生成し,その共有仮想タグを両当事者の端末に送信し,共有仮想タグが当該端末に記憶されるという構成であるから,少なくとも,交流開始条件が満たされていると判定される前に既に生成されている情報がサーバを介して相手の端末に通知されるという構成は,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させる」には含まれない。

8 争点1-8(構成要件J,R及びZ(「一方が相手方に対して交流の申し出を

行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行う」等)の充足性)について

(原告の主張)

5 (1) 被告システムの構成j及びr並びに被告アプリの構成zの「前記追加機能は」

が,本件発明2の構成要件J,本件発明3の構成要件R及び本件発明4の構成要件Zの「前記交流先追加手段は」に相当する。構成j,r及びzの「前記検索する機能により所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索された場合に」が,構成要件J,R及びZの「前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に」に相当する。構成j,r及びzの「当該検索されたスマートフォン(2)同士の所持者の内の一方が相手方に対して友だち申請を行ない(テミスX1が図39の「追加」ボタンをタップして友だち申請を行なうことにより図40の「リクエスト中」となり),相手方が応諾することにより(ジャスティスが図41の「追加」ボタンをタップすることにより)」が,構成要件J,R及びZの「当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより」に相当する。構成j,r及びzの「前記友だちリスト追加処理を行う(図42の「友だち登録完了」となり,図43及び図44のように互いの友だちリストに相手が表示される)」が,構成要件J,R及びZの「前記交流先追加処理を行う」に相当する。したがって,被告システムの構成j及びr並びに被告アプリの構成zは,本件発明2の構成要件J,本件発明3の構成要件R又は本件発明4の構成要件Zをそれぞれ充足する。

(2) これに対し,被告は,被告システム等が「一方が友達申請を行い,それに対

し他方が応諾する」という構成を備えていないと主張する。しかし,被告システム等において,ユーザ同士が友達申請を行うための「追加」ボタンのタップの時刻が両ユーザにおいて完全に一致することはないから,先に「追加」ボタンをタップした方のユーザが「リクエスト中」となり,これ

5 に応える形で後のユーザが「追加」ボタンをタップすることになるのであり,

このことは,一方のユーザしか「追加」ボタンをタップしていない状態ではまだ友だちとして追加されないこと(甲18最終頁)からも明らかであって,被告主張は失当である。

(被告の主張)

所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された後に,ユーザ端末同士の所持者のうちの一方が相手方に対して交流の申出を行い,相手方も交流に同意することにより交流先追加処理が行われる場合には,本件明細書等の段落【0095】~【0097】に記載されている「出会い時点登録」が必須であるところ,被告システム等は,「一方が友達申請を行い,それに対し他方が応諾する」という構成を備えておらず,また,いわゆる端末のトラッキングを行う構成を有しないため「出会い時点登録」の構成を備えていない。したがって,被告システムの構成j及びr並びに被告アプリの構成zは,本件発明2の構成要件J,本件発明3の構成要件R及び本件発明4の構成要件Zのいずれも充足しない。

9 争点2-1(乙5公報に基づく進歩性欠如)について

(被告の主張)

本件各発明は,乙5発明と,乙5~7公報及び乙8米国公報に記載された発明又はこれらにより導かれる周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性の欠如により特許法123条1項2号,29条2項に該当し,特許無効審判により無効にされるべきものである。

(1) 乙5発明の内容

乙5発明には,システムの発明として以下のア~ウの発明が,プログラムの発明として同エの発明が記載されている。ア 本件発明1に対応させた構成a 現実世界で出会った利用者同士が出会い支援装置11及びPC端末1

5 02を利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流

を支援する出会い支援システム101であって,b 互いにコミュニケーションによる交流をしようとする(つまり,交流に同意した)ユーザ同士が交流できるようにするための複数の相手先リスト(図5及び図6に示された相手IDを含むリスト)をユーザのPC端末102に表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段(図5に示されたメッセージ機能画面110,111及び図6に示されたメッセージ機能画面112)を備え,c 利用者が上記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の相手先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがPC端末102を操作して書込んだ内容を閲覧することによりメッセージを送受信できるようにその入力内容をPC端末102上で報知するための入力内容報知手段を備えており(図5),d’後述のとおり出会い支援装置11の検出(検索)が行われるものであって,e’出会い支援装置11の利用者A及び利用者Bが所定の距離以内に近づくと,互いの受信部がそれぞれ送信された電波を受信して近接を検出し,同調回路4aにより送信周波数及び設定周波数が一致することを識別する(段落【0023】等)という形態での必要条件(所定時間中に所定距離内において出会い支援装置11が検出されたこと)の判定が行われ,出会い支援システム101においても,新たな出会いにより見つかった新たな交流先は相手先リストに追加される交流先追加手段を備えており,f’複数の相手先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のPC端末102にメッセージが

5 届いた旨のポップアップ通知を行う一方,

g’ポップアップ通知を行わないように制御することが可能かどうか明らかにされていないが,h’会員センター(サーバ)103の記憶装置105にて管理されている相手IDを含むリストを上記PC端末102に表示させることにより,利用者同士が相手ID以外の個人情報を知らせ合うことなく交流できるi 出会い支援システム。イ 本件発明2に対応させた構成j’所定時間中に所定距離内において互いに出会い支援装置11が検出されたことによる新たな出会いにより見つかった新たな交流先は相手先リストに追加される交流先追加手段を備えており,また,出会った利用者の端末(出会い支援装置11及びPC端末102)同士の,例えば,設定された出会い支援装置を携行して告知し合ったり,IDを交換し合ったりすること(段落【0023】等)といった交流の申し出及び同意によって上記交流先追加が行われる,k 本件特許発明3-1に関連する出会い支援システム。なお,構成j’に関し,乙5発明の出会い支援システム101においても,新たな出会いにより見つかった新たな交流先が相手先リストに追加されることは自明であるので,出会い支援システム101は交流先追加手段を備えている。また,乙5発明においては,近接通信により出会った利用者の端末(出会い支援装置11及びPC端末102)同士の以下の①~⑧のような交流の申出及び同意によって上記交流先追加が行われる。

①出会い支援システムを利用すること及びそのサービスの提供を受けるこ

と(明細書及び図面全体)

②出会い支援システムの一部を構成する出会い支援装置に対し,単純に異性

との出会いを求めることだけを設定をしたり,趣味嗜好等を設定したりす

5 ること(【請求項1】,段落【0018】,【0020】,【0022】,

【0024】,【図2】等)

③設定された出会い支援装置を携行して告知し合ったり,IDを交換し合っ

たりすること(段落【0023】,【0034】,【0038】等)。

④出会い支援装置の告知の発光パターンの点滅速度や光の強弱を調節し,蛍

の求愛活動のように,お互いの出会いの願望の強さの度合いを表現し合うこと(段落【0023】)

⑤上記④の結果,必要であれば趣味嗜好のチャンネルを一致させIDを交換

し合うこと(段落【0018】,【0023】,【請求項3】)

⑥交流するためにサーバへログインし,近接して交換した情報の履歴(履歴

情報)をアップロードすること(段落【0040】~【0042】,【図4】等)

⑦会員センター103では,アップロードされた履歴に含まれている相手方

IDが実在する会員IDであるか検証されること(段落【0043】)

⑧返信メッセージを送信すること(段落【0048】)

そして,乙5公報の段落【0018】には,趣味嗜好の選択スイッチまたはダイヤルのほかに,単純に異性との出会いを求める場合の強度の設定が任意に可能なことが記載されており,段落【0018】と【0023】(発光パターンの点滅速度や光の強弱を調節し合って蛍の求愛活動のようにお互いの出会いへの願望の強さの度合いを表現し合うこと)とを参酌すると,上記⑤には,例えば,(a)最初双方が単純に異性との出会いを求める設定のみをする,(b)実際に出会ったとき(このとき,互いの出会い支援装置が発光パターンに基づき点滅等する),一方が他方を気に入り点滅速度を上げるなどの調整をして好意の強さを示す,(c)他方も相手を気に入ればこれに応じて点滅速度を上げるなどする,(d)さらに,その後,趣味嗜好を一致させるように互いの出会い支援装置を設定し,互いの出会い支援装置の履歴情報保存部

5 に互いの出会い情報の履歴を保存するといった使い方をすることも含まれ

る。なお,以上の構成に基づけば,乙5に記載されている相手IDリストにおいても,実際に出会って交流同意の確認が取れた者のみを表示させる(近接しただけの者のユーザIDを無条件に取り込まない)ことも可能である。ウ 本件発明3に対応させた構成l 現実世界で出会った利用者同士が出会い支援装置11及びPC端末102を利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援する出会い支援システム101であって(図3),m’複数の相手先リスト(図5及び図6に示された相手IDを含むリスト)をユーザのPC端末102に表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段(図5に示されたメッセージ機能画面110,111及び図6に示されたメッセージ機能画面112を制御する手段)を備えており,n’交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザのPC端末102を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザのPC端末102で報知するための入力内容報知手段(図5及び図6に示された端末画面上の報知手段)を備えており,o’後述のとおり出会い支援装置11の検出(検索)が行われるものであって,p’出会い支援装置11の利用者A及び利用者Bが所定の距離以内に近づくと,互いの受信部がそれぞれ送信された電波を受信して近接を検出し,同調回路4aにより送信周波数及び設定周波数が一致することを識別する(段落【0023】等)という形態での必要条件(所定時間中に所定距離内において出会い支援装置11が検出されたこと)の判定が行われ,また,新たな出会いにより見つかった新たな交流先が相手先リストに追加され

5 る交流先追加手段を備えており,

q コミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のPC端末102にメッセージが届いた旨のポップアップ通知が行われ,r’交流先追加手段は,出会った利用者の端末(出会い支援装置11及びPC端末102)同士の,例えば,設定された出会い支援装置を携行して告知し合ったり,IDを交換し合ったりすること(段落【0023】等)といった交流の申し出及び同意によって上記交流先追加が行われ,s’相手IDを含むリストを上記PC端末102に表示させることにより,利用者同士が相手ID以外の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,t 出会い支援システム。なお,構成r’に関し,乙5発明の出会い支援システム101が交流先追加手段を備えている点及び交流の申出及び同意によって上記交流先追加が行われる点については,構成j’と同様である。エ 本件発明4に対応させた構成u 現実世界で出会った利用者同士がサーバ103を利用しての交流を行うために出会い支援装置11及びPC端末102により実行されるプログラムであって(図4等),v’後述のとおり出会い支援装置11の検出(検索)が行われるものであって,w ユーザのPC端末102の報知部(表示画面)を制御するための報知制御ステップが前記PC端末102上で実行され(図5及び図6に示された端末画面),x 前記報知制御ステップは,

5 x1’複数の相手先リスト(図5及び図6に示された相手IDを含むリスト)

をユーザのPC端末102に表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御ステップ(図5に示されたメッセージ機能画面110,111及び図6に示されたメッセージ機能画面112を制御する手段)と,x2’乙5には,交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザのPC端末102を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザのPC端末102で報知するための入力内容報知ステップ(図5及び図6に示された端末画面上の報知ステップ)と,を含み,x3 相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のPC端末102の表示部にメッセージが届いた旨のポップアップ通知が行われ,y’後述のとおり出会い支援装置11の検出(検索)が行われるものであって,y2’出会い支援装置11の利用者A及び利用者Bが所定の距離以内に近づくと,互いの受信部がそれぞれ送信された電波を受信して近接を検出し,同調回路4aにより送信周波数及び設定周波数が一致することを識別する(段落【0023】等)という形態での必要条件(所定時間中に所定距離内において出会い支援装置11が検出されたこと)の判定が行われ,また,新たな出会いにより見つかった新たな交流先が相手先リストに追加される交流先追加手段を備えており,z’交流先追加手段は,出会った利用者の端末(出会い支援装置11及びPC端末102)同士の,例えば,設定された出会い支援装置を携行して告知し合ったり,IDを交換し合ったりすること(段落【0023】等)といった交流の申し出及び同意によって上記交流先追加が行われ,

5 γ’相手IDを含むリストを上記PC端末102の表示部に表示させること

により,利用者同士が相手ID以外の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,δ プログラム。なお,構成z’に関し,乙5発明の出会い支援システム101が交流先追加手段を備えている点及び交流の申出及び同意によって上記交流先追加が行われる点については,構成j’と同様である。

(2) 乙6~8公報に記載された周知技術

以下のとおり,乙6~8公報によれば,ユーザ同士が連絡を取り合うネットワーク通信システムにおいて,GPS検索を含むGPS機能は位置特定サービスとして周知の技術であり,また,携帯端末ユーザ(同士)の位置を特定又は利用するためにGPS機能を採用するか,RFID等の近接無線通信を採用するかは,適宜選択可能な設計事項にすぎないものといえる。ア 乙6公報には,離れてしまった後もコミュニケーションが継続可能となり,また,同じ場所にいたものの,同時刻にはいなかったユーザ同士のコミュニケーションもとれるようなグループ通信を実現する通信端末,グループ通信システム等が開示されており,その段落【0002】~【0004】には,GPSやRFID等に関する記載がある。イ 乙7公報には,コンタクトを取るのに望ましい相手に,手軽で,安全に,また,確実に出会えるようにすることが可能な情報管理装置及び情報照会装置等が開示されており,その段落【0002】~【0005】には,GPS等に関する記載がある。ウ 乙8米国公報には,携帯機器ユーザがビジネスあるいはソーシャルネットワーキングの目的で互いに出会えるように構成されたコンピュータシステムが開示されており,その段落第7欄下から51~62行には,GPSやRFID等に関する記載がある。

5 (3) 本件各発明と乙5発明の相違点及び一致点

ア 本件発明1と乙5発明は,別紙相違点対比表の「本件発明1と乙5発明」欄「被告主張の相違点」欄記載の点で相違し,その余は一致する。イ 本件発明2と乙5発明は,別紙相違点対比表の「本件発明2と乙5発明」欄「被告主張の相違点」欄記載の点で相違し,その余は一致する。ウ 本件発明3と乙5発明は,別紙相違点対比表の「本件発明3と乙5発明」欄「被告主張の相違点」欄記載の点で相違し,その余は一致する。エ 本件発明4と乙5発明は,別紙相違点対比表の「本件発明4と乙5発明」欄「被告主張の相違点」欄記載の点で相違し,その余は一致する。

(4) 前記(3)記載の相違点の容易想到性について

ア 被告相違点1-1及び1-2について本件発明1と異なり,乙5発明には,利用者端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置する利用者端末を検索する,いわゆるGPS等の検索手段は記載されておらず(被告相違点1-1),本件発明1は,いわゆるGPS検索機能によってユーザ同士の位置情報を取得し,所定時間中に所定距離内に位置したかどうかを判定することによる必要条件判定が行われるのに対し,乙5発明は,出会い支援装置11による近接無線通信の可否に基づいて利用者同士が所定時間中に所定距離内に位置したかどうかを判定することを含む必要条件判定が行われる点で相違する(被告相違点1-2)。しかし,乙5公報には,利用者端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置する利用者端末を検索する,いわゆるGPS等の検索手段は記載されていないが,かかるGPS検索機能は先行技術であることが開示されており(乙5公報の段落【0004】に記載の特許文献2),また,乙6~8公報から,ユーザ同士が連絡を取り合うネットワーク通信システムにおいて,GPS検索を含むGPS機能は位置特定サービ

5 スとして周知の技術である。

したがって,乙5発明に記載された出会い支援システムにおける位置情報利用判定手段として,近接無線通信技術に変えてGPS検索機能を採用することは,当業者にとって極めて容易に想到できることである。イ 被告相違点2-1及び2-2について本件発明1は,連絡先の個人情報を交換することなく交流ができるのに対し,乙5発明は,“重要な個人情報ではない”とされる会員IDのみを交換し,その他の個人情報を知らせ合わないまま交流を行うことが可能である点で相違し(被告相違点2-1),本件発明1における「複数の交流先のリスト」は,「連絡先の個人情報」を含まないのに対し,乙5発明における「複数の相手先リスト」は,“重要な個人情報ではない”とされる相手IDを含む点で相違する(被告相違点2-2)。しかし,乙5公報には,IDのみを交換させることにより「相手に重要な個人情報を認知されることなく」交流が可能であるという効果を奏することが記載されており(段落【0001】,【0014】,【0026】,【0050】,【0061】),

(原告の主張)

によれば,ID(ユーザ識別子)を交換しただけでは連絡先の個人情報を交換したことにならないというのであるから,かかる解釈を前提とすれば,被告相違点2-1及び2-2は,相違点とはならない。また,原告が主張するとおり,人間が知得できない態様で識別情報等のデータを画像や文字等に埋め込む技術は,本件特許出願時点で多数存在しており,電子透かし技術も周知技術であるから,交換された相手IDを視覚的に知得できないように処理することも,当業者にとって容易に想到できたことである。したがって,原告の解釈を前提とすれば,上記各相違点は,乙5発明と,乙5~8公報に記載された発明又はこれらにより導かれる周知技術に基づ

5 いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 被告相違点3について本件発明1は,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても前記ポップアップ通知を行わないように制御できるのに対し,乙5発明は,ポップアップ通知を行わないように制御することが可能かどうか明らかにされていない点で相違する(被告相違点3)。しかし,ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしてもポップアップ通知を行わないように制御することは,「Outlook2002オフィシャルマニュアル」(乙16),「ひと目でわかるOutlook2003」(乙17)に示されるように周知技術である。また,サーバ制御による迷惑メール等の対策は,NTTドコモの平成18年11月29日付けプレスリリース「iモードメールの迷惑メール対策機能を拡充-URL付きメール拒否機能を追加-」(乙18),平成19年9月11日付けプレスリリース「iモードメールにおける迷惑メール対策機能の拡充について」(乙19),平成20年1月21日付けプレスリリース「iモードメールにおける迷惑メール対策機能の改善」(乙20)に示されるように周知技術である(なお,これらのサーバ制御は,「iモードからの指定受信/拒否設定例」(乙21)に例示されるようなユーザ端末画面操作による設定に基づき制御されていたものと推認される。)。したがって,乙5発明の出会い支援システムにおいて,ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしてもポップアップ通知を行わないように制御することは,当業者であれば適宜採用し得る設計事項であって,極めて容易にできたことである。

(5) 裁判所の提示した相違点の容易想到性について

平成31年1月18日の第10回弁論準備手続期日において裁判所から提

5 示された本件各発明と乙5発明の相違点(別紙相違点対比表の「裁判所の暫定

的認定」欄記載の各相違点。以下「認定相違点1」などという。)に関する被告の主張は,以下のとおりである。ア 認定相違点1について認定相違点1は,ユーザ同士が交流するために互いの同意が必要か否かを問題とするものであるが,乙5公報には,「一旦振動や文字等で接近を告知するようにし」,「近接する相手の利用者の外見等が自己の好みであるかを判断してから告知部5を発光させる2ステップ化の構成」が記載されている(段落【0064】)から,近接した者同士が互いの発光パターン等を調節し合って交流の同意の有無を確認し,当該同意の確認がとれた後に,互いが明示的にボタン操作等を行うなどしてIDを交換し,履歴情報保存部11bに保存させることもできる(あるいは,GPS検索機能を採用した場合には,位置情報とともにIDをサーバへ送信してもよい)。このように,乙5公報には,同相違点に係る構成が開示されているというべきであるから,同相違点は,実質的な相違点ではない。イ 認定相違点2について乙5発明はいわゆるGPS検索手段を備えていないものの,乙5発明における近接無線通信手段は,同時刻に一定距離内にいる者同士を検知するものであり,GPS検索手段と同様の機能を有している。そして,ユーザ端末を用いた出会い支援システムにおいて,ユーザ端末間の距離を検知する手段には,電波による端末間の無線通信を用いるものと,GPS検索を用いるものが知られており,両者は当業者において適宜選択して用いられており,このことは,乙42公報(要約,請求項1及び4,段落【0030】,【0069】~【0073】及び【0075】),乙43公報(段落【0008】),乙44公報(段落【0002】~【0004】),乙45公報(段落【0078】 に記載されているとおり,) 本件特許出願時における技術常識である。

5 また,乙5公報においては,利用者間の近接を検出する方法として,送受信

する電波以外の方法が許容されている(段落【0063】)のみならず,段落【0065】に「また,上記実施例の出会い支援システム101では,PC端末はパソコンを使用したが,これ以外の専用端末,ゲーム機,携帯可能なPDA等であってもよく」と記載されているとおり,PDA(携帯情報端末)と一体化することも想定されており,PDAの機能の1つとしてGPS機能があることは,本件特許出願時点において周知であった(乙55)から,かかる記載及び上記本件特許出願時における技術常識からすれば,乙5発明にGPS検索手段を採用して近接を検出するように構成することは,当業者が容易に想到できたものである。ウ 認定相違点3について近接無線通信手段と代替可能であることが技術常識であり周知のGPS検索手段を採用することにより,認定相違点2に係る構成とすることが容易であることは,前記イのとおりである。そして,所定時間中に所定距離内に位置するか否かの判定に,周知のGPS検索手段を採用した場合は,乙5発明における交流開始条件の判定に用いる情報(ユーザ端末から取得した位置情報)をGPSにより取得し,GPS検索による検索結果に基づき交流開始条件(所定時間中に所定距離内に位置するかどうか)が判定されることになるから,認定相違点3に係る構成が自然に備わる。したがって,認定相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。エ 認定相違点4について認定相違点4は,ポップアップ通知を行わないように制御するとの構成に関するものであるが,ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしてもポップアップ通知を行わないように制御することは,「Outlook2002オフィシャル

5 マニュアル」(乙16),「ひと目でわかるOutlook2003」(乙17)に示さ

れるように周知技術である。また,サーバ制御による迷惑メール等の対策は,NTTドコモの平成18年11月29日付けプレスリリース「iモードメールの迷惑メール対策機能を拡充-URL付きメール拒否機能を追加-」(乙18),平成19年9月11日付けプレスリリース「iモードメールにおける迷惑メール対策機能の拡充について」(乙19),平成20年1月21日付けプレスリリース「iモードメールにおける迷惑メール対策機能の改善」(乙20)に示されるように周知技術である。したがって,乙5発明の出会い支援システムにおいて,ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしてもポップアップ通知を行わないように制御することは,当業者であれば適宜採用し得る設計事項であって,極めて容易にできたことである。オ 認定相違点5について認定相違点5は,コンピュータ側からの制御に基づいて交流先のリストをユーザ端末に表示させるとの構成に関するものであるが,乙5公報の記載によれば,利用者は,「PC端末102からインターネットを介して会員センター103のID及びパスワード入力画面に接続し,利用者A固有のID『1234』及びパスワードを入力する」(段落【0040】)とされ,会員センター103には,Webサーバソフトウェア(又はミドルウェア)により実現される入出力手段105eが存在し(段落【0037】),Webページを介してPC端末102から入力された各種情報のデータベース管理手段105dへの伝達,データベース管理手段105dから出力されたWebページの生成等が行われる(段落【0037】)とされている。このように,「ID及びパスワード入力画面」から入力されたID及びパ

5 スワードは,Webページを介して会員センター103のデータベース管理

手段105dへ伝達され,「(USBポート付出会い支援装置11に設けられた)履歴情報保存部11bに保存された(「出会った時刻」及び「出会った相手ID」(段落【0040】)の)履歴情報をPC端末102及びインターネットを介して会員センター103に送信する」(段落【0042】)という操作も,Webページを介して行われることが分かる。そして,履歴情報を受信した会員センター103は,「出会い情報記憶部105b」において,「出会った時刻」及び「出会った相手ID」を「表形式」で「利用者毎に」記憶しており(段落【0034】),かつ,利用者のPC端末102のモニタに表示されるメッセージ機能画面は,「表形式」で「利用者毎に」表示されていることから(【図5】),同図面に表示された「出会った時刻」及び「出会った相手ID」は,会員センター103のデータベース管理手段105dに表形式で記憶されている情報が出力され,Webページとして生成されたものであると理解できる。したがって,乙5発明においても,コンピュータ側からの制御に基づいて交流先のリスト(【図5】)をユーザ端末に表示させるようになされているものと理解できるので,認定相違点4は実質的には相違点とはならないか,少なくとも,乙5発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。なお,乙5発明にGPS検索手段が採用される場合,互いの趣味嗜好が一致しており,かつ,互いに近くにいることを通知されたユーザ同士が,「自己の位置情報」とともに,「自己のID」及び「相手と一致した趣味嗜好データ」を自動または手動でサーバに送信するようにし,サーバでは受信した「一致した趣味嗜好データ」を介して互いのIDを紐付けて管理することも,当業者にとって設計事項である。そして,その場合,「交流先のリスト」として,「相手ID」の代わりに「一致した趣味嗜好データ」を表示させることが可能であり,また,そのようにすることは個人情報の保護の観点からよ

5 り望ましいため,当業者はそのような表示を容易に想到することができたも

のである。カ 認定相違点6乙5発明では,「自己の電話番号等」を「重要な個人情報」と位置付けた上で(段落【0006】),「“重要な個人情報ではない”とされる会員IDのみを交換し,その他の個人情報を知らせ合わないまま交流を行う」ようにすることにより,「自己の電話番号等の重要な個人情報」を相手の移動端末に送信することなく(「連絡先の個人情報」を相手に知られることなく)交流を行うことを可能としている。そこで,「自己の電話番号等の重要な個人情報」が本件各発明における「連絡先の個人情報」に含まれるとすれば,認定相違点6は,実質的な相違点とはならない。仮に,これが相違点であるとしても,乙46公報あるいはその他の公知文献(乙10公報及び乙12公報)の開示する周知技術を乙5発明に組み合わせることによって,容易に想到することができる。(ア) すなわち,乙46公報(段落【0023】,【0030】,【0076】及び【0081】)に記載されているとおり,GPS検索手段により,所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末をサーバによって検索し,サーバ上では特定されているユーザ同士を互いに匿名のまま継続的に交流させるように構成することは公知の技術である。そこで,乙5発明において“重要な個人情報ではない”とされる「会員ID」を交換することに替えて,上記公知技術を乙5発明に適用し,乙46に開示された「GPS検索手段により,所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末をサーバによって検索し,サーバ上では特定されているユーザ同士を互いに匿名のまま交流できるようにすること」は,当業者が容易に想到できたことである。(イ) 乙10公報には,「ユーザが個人情報を公開することなく目的の相手と

5 のみ情報を相互に交換する,情報交換システムの動作方法およびシステム

を提供することを,その目的とする」(段落【0007】)情報交換システムが開示されている。乙10公報における「掲示板インタフェースの識別情報」には「例えばパスワード等」 「予め設定された識別情報」や 等が含まれており(段落【0009】),かかる識別情報をユーザ間で共有させ,これを乙5発明に適用することにより,当事者は,互いの連絡先の個人情報を交換することなく掲示板上で,「プライバシーを保持しつつ,目的の相手と1対1で情報を交換できる」(段落【0057】)こととなる。(ウ) 乙12公報には,「特定のグループに属するメンバの頭の中だけに存在する情報からIDを計算して暗号化を行うことにより,安全な通信を行う。例えば,メンバのみが保有する共通知識を基に秘密のURL(UniformResource Locator)を作成して,このURLを用いてアクセスされる安全な情報空間を利用して情報交換を行なう」(【要約】)情報通信システムが開示されており,かかる技術を乙5発明に適用しても,当事者は,互いの連絡先の個人情報を交換することなく安全な情報空間(掲示板)を利用して情報交換を行うことができる。そうすると,上記周知技術を乙5発明に適用し,互いに近接したユーザ端末の各々又は一方から共有のパスワードや秘密のURLの通知を受けたサーバが,これに基づき秘密のウェブページや電子掲示板を生成することにより,会員ID交換さえも行わずに交流できるようにすることは,当業者が容易に想到できたことである。(エ) したがって,乙5発明において,端末への表示を工夫して会員ID(連絡先の個人情報)が知得できないようにすること(認定相違点6に係る構成とすること)は,容易に想到できる。キ 認定相違点7

5 認定相違点7は,結局,ユーザ同士が交流するために互いの同意が必要か

否かを問題とするものであるが,かかる相違点が乙5公報にも開示されていることは,前記アのとおりである。したがって,認定相違点7は,乙5公報に開示されており,実質的な相違点ではない。

(原告の主張)

本件各発明は,乙5発明に基づいて容易に想到し得たものであるとはいえないから,進歩性を有しており,特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。

(1) 被告による乙5発明の認定の誤り

ア 乙5発明は,出会ったユーザ同士が未だ交流の申込みを行うための操作を行っていないにもかかわらずID交換が自動的に行われて,相手IDを含むリストが表示されるものであり,また,出会ったユーザ同士が交流に同意したことの確認が取れていないにもかかわらずID交換が自動的に行われて,相手IDを含むリストが表示されるものである。乙5発明において, 「交流に同意したことの確認」上記 とは,具体的には,出会い支援装置11をPC端末102に設けられたUSBコネクタ102aに差込んで相手IDを含むリストがPC端末102に表示され(図5),そのリストの中で気に入った相手IDに対してメッセージを送信し(段落【0040】,【0044】,【0054】,【0055】,【図5】),そのメッセージを受信した相手利用者が返信メッセージを送信する行為を意味する(段落【0047】,【0048】,【0057】)。それゆえに,乙5発明では,①一方(利用者A)が相手方(利用者B)に対してメッセージを送信することによるコンタクトの申し出を行うためのPC端末102の操作,及び,②相手方(利用者B)が返信メッセージを送信して申し出に同意するためのPC端末102の操作が,上記「出会ったユ

5 ーザ同士が交流の申込みを行うための操作」に該当する。

以上のとおり,乙5発明では,「相手IDを含むリスト」が表示される時期は,「出会ったユーザ同士が交流の申込みを行うための操作」が行われる前で,かつ,「交流に同意したことの確認」が行われる前の段階であって,この「相手IDを含むリスト」は,利用者がリスト中から交流を申し込む相手を選ぶために表示されるものである結果,表示されたリストの中には,未だ交流の申込みを行うための操作を行っていない利用者のID及び出会ったユーザ同士が交流に同意したことの確認が取れていない利用者のIDが含まれている。イ 乙5発明においての「交流開始条件」とは,ユーザ同士が所定距離内に近接したときに互いの出会い支援装置11間で自動的に無線通信して互いの趣味嗜好の信号を送受信して趣味嗜好等が一致したことである(段落【0022】【0023】)。また,乙5発明において,出会った相手のIDは,ユーザ同士が所定距離内に近接したときに互いの出会い支援装置11間で自動的に無線通信して互いの趣味嗜好の信号を送受信して趣味嗜好等が一致したときに,互いの出会い支援装置11間で自動的にID交換されて履歴情報保存部11bに保存されるものと解される(段落【0023】,【0027】,【0038】,【0039】,【0053】)。このように,乙5発明において出会い支援システム101によりメッセージ機能及びメモ機能のサービスが利用者に提供される目的は,それぞれの告知部5の発光による利用者A及び利用者Bへの告知が行われたが,その場で声を掛けることなくすれ違った場合の事後的救済であるから,このような事後救済を行うためには,利用者同士が声を掛け合うか否かにかかわらず,互いに告知部が発光した出会い支援装置間で自動的にID交換を行う必要がある。このように,乙5発明では,出会った利用者同士が携帯している出会い支

5 援装置11間で自動的に互いのIDが交換されて保存され,出会ったユーザ

同士が未だ交流の申込みを行うための操作を行っていないにもかかわらずID交換が自動的に行われて,相手IDを含むリストが表示され,また,出会ったユーザ同士が交流に同意したことの確認が取れていないにもかかわらずID交換が自動的に行われて,相手IDを含むリストが表示される。ウ また,乙5発明では,PC端末102での相手IDを含むリスト表示が会員センター(サーバ)103からの制御で行われるのか,あるいは,出会い支援装置11に保存された履歴情報をPC端末102が読出して表示しているのか,不明である。すなわち,乙5公報には,「会員センター103は,履歴情報保存部11bに保存された相手方IDが実在する会員IDであるかを検証した後,利用者Aに対して,メッセージ機能及びメモ機能のサービスを提供する」としか記載されておらず(段落【0043】),【図5】及び【図6】に示す相手IDを含むリストがどのようにしてPC端末102に表示されるのかの具体的表示制御の記載がないから,出会い支援装置11をPC端末103に差し込むことによって,その出会い支援装置11に保存されている履歴情報をPC端末102が読出して表示しているとも考えられる。なお,本件特許発明の「ユーザ端末」は,乙5発明では「出会い支援装置11及びPC端末102」が相当する。したがって,乙5発明では,相手IDのリスト表示が,本件各発明の「コンピュータ」に相当する会員センター(サーバ)からの制御で行われるのか,あるいは,出会い支援装置11に保存された履歴情報をPC端末が読出して表示しているのか(本件各発明の「ユーザ端末」自身の制御で表示しているのか),不明である。

(2) 本件各発明と乙5発明の相違点

ア 本件発明1と乙5発明は,別紙相違点対比表の「本件発明1と乙5発明」欄「原告主張の相違点」欄記載の点で相違する。

5 イ 本件発明2と乙5発明は,別紙相違点対比表の「本件発明2と乙5発明」

欄「原告主張の相違点」欄記載の点で相違する。ウ 本件発明3と乙5発明は,別紙相違点対比表の「本件発明3と乙5発明」欄「原告主張の相違点」欄記載の点で相違する。エ 本件発明4と乙5発明は,別紙相違点対比表の「本件発明4と乙5発明」欄「原告主張の相違点」欄記載の点で相違する。

(3) 前記(2)記載の相違点の想到困難性

ア 原告相違点1-1及び2-1について乙5発明の場合には,利用者同士が未だ交流に同意していないにもかかわらず出会い支援装置11間でID交換が行われるため,不正な交流を許すおそれがあるというセキュリティ上の脆弱性がある。サーバはサービス提供業者等の会社内やデータセンタ内に設置されているために不正改造の餌食にさらされるおそれが低いが,出会い支援装置11は利用者に所持されるユーザ端末であるため,不正改造の餌食にさらされるおそれがあり,こうした危険性はITの分野では以前から技術常識となっている。例えば,出会い支援装置11の場合には,悪意ある利用者が自分の出会い支援装置11を改造し,以前ID交換した相手IDを自分のIDとして送信するように改変して,他人のIDを用いた成りすましID交換を許してしまう不都合が生じる。これに対し,原告相違点1-1及び2-1に係る本件各発明の構成では,交流開始条件の判定を,交流の申込みを行う当事者自身のユーザ端末ではなく,該ユーザ端末から送られてきた位置情報に基づいて該ユーザ端末以外で行って交流先を表示している(段落【0049】,【図8】)ために,不正改造の危険性のある端末側のみで交流開始条件の判定を行って相手IDを表示する乙5発明に比べて,高いセキュリティを保つことができる。したがって,上記構成は,想到することが困難である。イ 原告相違点1-2について

5 (ア) 乙5発明の場合には,利用者同士が所定距離内に近接することにより互

いの出会い支援装置11間で自動的に無線通信して所定の交流開始条件(趣味等の一致)が満たされているか否か判定し,満たされていると判定された場合に出会い支援装置11間で自動的にID交換されて相手IDがリスト表示可能となり,出会った利用者同士が未だ交流に同意していないにもかかわらず,相手IDがリスト表示される結果,交流に同意していない他人が交流先としてリスト表示される危険性がある。しかし,本件各発明では,「互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士が交流できるようにするための複数の交流先のリストをユーザに表示する」ために,交流先の表示は「交流同意者限定表示」となり,上記のような危険性はない。(イ) 被告は,乙5~8公報により導かれる周知技術ないし単なる設計事項であるから,乙5発明の出会い支援システムにおける位置情報利用判定手段として,近接無線通信技術に替えてGPS検出機能を採用することは,容易想到であると主張する。しかし,本件各発明と乙5発明との相違点は, 「近接無線通信技術」単にに代えて「GPS検索機能」の周知技術を用いているにとどまらず,交流開始条件の判定を,交流の申込みを行う当事者自身のユーザ端末ではなく,当該ユーザ端末から送られてきた位置情報に基づいて該ユーザ端末以外で行なって交流先を表示している点にあるのであり,被告は,この相違点を看過している。また,たとえ周知技術といえども,乙5発明に適用するに当たっては,その旨の示唆や動機付けが必要となる。しかるに,乙5発明は,「出会いの初期段階においては相手に重要な個人情報を認知されることなく,利用者相互間,特に男女相互間で趣味嗜好が一致する出会いの可能性を向上させること」を,課題の1つとしている 【要約】( と段落【0006】)

5 のに対し,乙5~8公報に記載のGPSについての周知技術の場合には,

出会いの初期段階において自己の電話番号等の重要な個人情報が相手の移動携帯端末に送信されるものであるため,適用するに当たって阻害要因が存在するか,少なくとも示唆ないし動機付けが存在しない。(ウ) したがって,原告相違点1-2の構成は,想到することが困難である。ウ 原告相違点3について被告は,ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしてもポップアップ通知を行わないように制御することは,「Outlook2002オフィシャルマニュアル」(乙16),「ひと目でわかるOutlook2003」(乙17)に示されるように周知技術であるなどと主張する。しかし,上記各書証に記載のものは,あるユーザAと当該ユーザのメールアドレスにメール送信可能な全てのユーザとの間でのポップアップメッセージの制御であるのに対し,原告相違点3の構成(構成要件G)は,交流先として指定されて互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の間でのポップアップ通知の制御であるから,上記各書証に記載された技術とは根本的に相違する。また,被告が提示している乙18~21は,ウェブページの証拠であるが,特許庁の取扱いとしては,「このようなウェブページ等の電気通信回線を通じて得られる技術情報は,後に改変されている可能性を完全に排除することができないものであり,刊行物と同様に先行術として引用できない」とされている(特許・実用新案審査基準(甲128)参照)。したがって,原告相違点3の構成は,想到することが困難である。エ 原告相違点4について被告は,構成2j’について,前記9

(被告の主張)

(1)イに記載されて

いる(a)~(d)のような使い方をすることも含まれると主張するが,このよう

5 な使い方は,乙5公報に何ら開示されていないばかりか,乙5発明に反する

内容である。すなわち,出会い支援装置の履歴情報保存部11bに互いの出会い情報の履歴を保存する時期について,乙5発明では,「告知部5で告知するとともに,出会い情報の履歴を保存する履歴情報保存部11bを備えたUSBポート付出会い支援装置11」と記載されており(【要約】の【解決手段】,段落【0020】,【0021】),告知部5での告知が行われれば出会い情報の履歴も保存されるが,この出会い情報の履歴には「出会った相手ID」も含まれている(段落【0038】)。そして,告知部5での告知は,趣味嗜好が一致する異性等が近接した場合(段落【0020】)にも,利用者が単純に出会いを求めている場合において,出会い支援装置1が任意の単一の信号を送受信した場合(段落【0024】)にも行われるから,仮に上記(a)~(d)のような使い方が可能だとしても,単純に異性との出会いを求める設定のみをした状態で実際に出会った時点で出会い情報の履歴(出会った相手IDを含む)が保存されるのであり,それ以降の前記(b)~(d)は無意味な操作となる。そのため,乙5発明の場合,利用者同士が互いに交流に同意した相手の出会い情報の履歴(出会った相手IDを含む)のみを保存することが不可能であり,交流に同意していない相手の出会い情報の履歴(出会った相手IDを含む)も混在して保存されることとなる。このことは,段落【0044】,【0048】の相手IDリスト中に好意を抱いていない相手が含まれている記載や段落【0053】の単にすれ違っただけの相手のIDも含まれている等の記載からも明らかである。したがって,本件発明2と乙5発明は,原告相違点4において相違し,かつ,その相違点は想到困難である。

(4) 裁判所の提示した相違点の想到困難性

5 ア 認定相違点1,3,5及び6について

(ア) これらの相違点は,乙5発明と本件各発明との技術思想の相違に根差した根本的な相違点である。すなわち,乙5発明において,交流開始条件の判定を行って会員IDを交換し交流先のリスト(相手IDのリスト)を利用者PC端末に表示させるそもそもの目的は,「急な用事で急いでいる場合や男性利用者がシャイな場合等には,その場で声を掛けることができない場合もある」こと(段落【0027】)にあり,乙5発明では,その場で声を掛けなかった場合の事後的な救済手段として相手IDのリストを表示し(【図5】),気に入った相手IDを選んでメッセージを送信することによりコンタクト可能にしている(段落【0044】)。それゆえ,相手IDのリスト表示を行う前提条件としての「交流開始条件の判定」は,その場で声を掛けることなく通り過ぎた場合でも「交流開始条件の判定」を行って相手IDのリスト表示を行う必要があるから,本件各発明のように,出会ったユーザ同士が互いに交流する意思がある(交流に同意している)ことを前提とした判定を行うものではない。つまり,「出会ったユーザ同士が互いに交流する意思がある(交流に同意している)ことを前提とした交流開始条件の判定」 乙5発明における上記は, 「その場で声を掛けなかった場合の事後的な救済」というそもそもの目的に逆行する内容であるから,想到するに当たって阻害要因が存在し,少なくとも動機付けが存在しない。また,乙5~12公報には,少なくとも認定相違点6の構成が開示されておらず,かつ,乙5発明に適用するに当たっての阻害要因が存在し,少なくとも適用することについての示唆ないし動機付けが存在しない(イ) 乙5発明の場合,交流の意思のない(交流に同意していない)利用者も交流開始条件が満たされることによって自動的に相手PC端末102に

5 自分の会員IDが表示されることになる(認定相違点5)ため,互いの出

会い支援装置11が発光しても声を掛けずに通り過ぎた場合に(段落【0027】,【0053】,【0064】),面識がなく交流に同意した覚えのない相手のPC端末102に自分の会員IDが表示され(【図5】参照) その相手から執拗にメッセージが送信されてくる被害を受けること,になり,面識がなく交流の意思がない相手から大量のメールが送られてくるスパムと同様の苦痛を味わうことになる。しかも,「一度お会いしませんか?」のメッセージ 【図5】 を見た利用者が会おうとした場合に,( )メッセージ送信者と面識がなければメッセージ送信者以外の第三者がメッセージ送信者に成りすまして会ったとしてもそれを見破ることができず,メッセージ送信者と第三者とが結託した組織的犯罪に巻き込まれるおそれがある。また,会員IDは知得できる連絡先個人情報であり(認定相違点6),成りすましの被害が発生するおそれがあるばかりでなく,上記メッセージ送信者と第三者とが結託した組織的犯罪に会員IDが悪用されるおそれがある。このように,情報セキュリティの分野において,ユーザ同士の一方が相手方の面識がなく交流の意思がない(交流に同意していない)状態で,かつ互いに交流の申込みを行う以前の段階で,互いの連絡先の個人情報(知得可能な会員ID)を自動的に交換することは,非常に危険な行為なのであり,乙5発明には,情報セキュリティ上の欠陥がある。一方,本件各発明の場合には,コンピュータ側で位置情報による交流開始条件の判定を行うことにより,互いに出会って交流の意思のある(交流に同意している)利用者同士であることを前提とした交流開始条件の判定を行って交流先の表示を行うため(認定相違点5),面識がなく交流に同意した覚えのない相手から執拗にメッセージが送信されてくる被害を極力回避できる。

5 また,コンピュータ側での交流開始条件の判定を可能にする手段とし

てユーザ端末から位置情報を取得しその位置情報に基づいて交流開始条件の判定を行うようにし(認定相違点3),しかも,連絡先の個人情報を交換することなく(知らせ合うことなく)交流ができるため(認定相違点6) メッセージ送信者と第三者とが結託した組織的犯罪に巻き込まれる,等の不都合を極力防止できるとともに,他人の連絡先個人情報を悪用した成りすましや組織的犯罪の被害をも極力防止できるという,顕著な相乗効果が奏される。このように,認定相違点1,3,5及び6の構成は,有機的に連結,結合されて発明の目的達成のために協働し一体不可分の関係になっているのであり,この点にこそ,本件各発明の最大の特徴が存在するのである。(ウ) 以上のとおり,周知技術を乙5発明に適用するに当たっては阻害要因が存在するか,少なくとも示唆ないし動機付けが存在しないこと,認定相違点1, 5及び6の構成の有機的結合により顕著な相乗効果が奏される3,ことからすれば,これらの相違点の想到困難性は否定し得ない。(エ) なお,乙5発明における「会員ID」は,本件各発明における「連絡先の個人情報」に当たる。また,乙5発明では,互いの出会い支援装置1が発光(点滅)することにより,互いの趣味嗜好を知らせ合い(段落【0020】),又は,単純に異性との出会いを求めていることを互いに知らせ合う(段落【0018】)ところ,これらの「趣味嗜好」や「単純に異性との出会いを求めていること」は,個人情報であるが,「連絡先の個人情報」ではない。したがって,認定相違点6は,「本件発明は,連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流ができるのに対し,乙5発明は,“重要な個人情報ではない”とされるが連絡先の個人情報である会員IDのみを交換し,その他の連絡先の個人情報を知らせ合わないまま交流を行うことが可能であ

5 る点。」と改められるべきである。

イ 認定相違点2及び3について(ア) 被告が指摘する乙42公報に記載されている「通信処理装置がサーバにアップロードする近接通信実行位置情報(通信処理装置がGPS搭載機器である場合)」は,ユーザAの所持する通信処理装置AがユーザBの所持する通信処理装置Bの近接通信実行位置情報(通信処理装置がGPS搭載機器である場合)をサーバにアップロードし,また,ユーザBの所持する通信処理装置BがユーザAの所持する通信処理装置Aの近接通信実行位置情報(通信処理装置がGPS搭載機器である場合)をサーバにアップロードするのであるから,相手端末である通信処理装置の近接通信実行位置情報(通信処理装置がGPS搭載機器である場合)である。それゆえに,このような乙42公報の技術を仮に乙5発明に適用できたとしても,「相手ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する」となるから,本件各発明の「ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する」構成には至らない。特に,乙42公報のように,互いのユーザIDや近接通信実行位置情報(通信処理装置がGPS搭載機器である場合)等の近接通信記録をいったん端末間で交換して記憶した後サーバにアップロードする場合,その近接通信記録が他のユーザのものと差し替えられてアップロードされ,成りすましの危険性が生じるおそれがある。したがって,乙42公報を仮に乙5発明に適用できたとしても,本件各発明に想到し得ない。(イ) 乙43公報(段落【0001】,【0014】,【0015】,【0019】,【0021】,【0023】,【0030】,【0031】,【0034】 【0044】 ,, ) 乙44公報(段落【0022】 【0026】 ,, )

5 乙45公報(段落【0034】,【0036】,【0079】,【009

9】,【0117】,【0135】,【0155】,【0156】,【0158】~【0160】)に記載のものは,いずれも,氏名,携帯電話番号,ユーザの住所等のタグ情報,メールアドレス等の重要な個人情報を交換して認知することにより,出会いを支援するものであって,これらに記載の技術を乙5発明に適用すると,乙5発明の課題が解決し得なくなるから,これらを乙5発明に適用するに当たっての阻害要因があり,少なくとも適用する動機付けが存しない。ウ 認定相違点7についてこの点については,原告相違点4に関する前記(3)エのとおりであり,認定相違点7は想到困難である。

10 争点2-2(記載要件違反)について

(被告の主張)

(1) 本件発明1(構成要件E),同3(構成要件P)及び同4(構成要件Y2)

について本件発明1の構成要件E,同3の構成要件P及び同4の構成要件Y2は,「所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として」との構成を含むところ,原告が本件特許の審査過程で特許庁に提出した平成29年7月30日付け上申書(乙15)8頁の記載によれば,原出願の「所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを条件として」を「所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として」と改める補正,すなわち,「条件」を「必要条件」に補正した根拠は,本件明細書等の段落【0095】~【0097】にあるとのことであるから,これらの段落に記載されている「出会い時点登録」(いわゆる端末のトラッキング)を必須の構成として備える必要があることが明らかである。しかし,本件発明1,3及び4には,「出会い時点登録」についての記載が

5 ないから,同各発明が,発明の課題が解決できることを当業者が認識できるよ

うに明細書において記載された範囲を超えるものであるといえる。したがって,本件発明1,3及び4はサポート要件を欠き(特許法36条6項1号違反),これらに係る特許は,特許無効審判により無効にされるべきものである。

(2) 本件発明2(構成要件J),同3(構成要件R)及び同4(構成要件Z)に

ついて本件発明2の構成要件Jは,「前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行う,」であり,本件発明3の構成要件R及び同4の構成要件Zも同内容である(ただし,文末が「行い,」となっている。)。これを,検索手段によるユーザ端末の検索を行った「後に」ユーザ端末同士の交流の申出及び交流の同意による交流の追加処理を行うものと解する場合には,ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合わない本件各発明においては,端末のトラッキングに相当する本件明細書等の段落【0095】 【0097】~ に記載の「出会い時点登録」がなければ,対象となるユーザ端末を検索することができないので,「出会い時点登録」を必須の構成として備える必要があることになる。しかし,本件発明2~4には「出会い時点登録」についての記載がなく,また,出会い時点登録をしない場合に,ユーザ端末同士の交流の申出及び交流の同意を行う「前に」,所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する方法については,本件明細書等には一切記載されていない。そうすると,出会い時点登録をしない場合のユーザ端末同士の交流の申出及び交流の同意による交流先追加処理を含むと原告が主張する本件発明2~4は,発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように明細書において

5 記載された範囲を超えるものであるから,サポート要件を欠く(特許法36条

6項1号違反)か,新規事項を含むものとして補正要件違反(同法17条の2

第3項違反)である。

したがって,本件発明2~4に係る特許は,特許無効審判により無効にされるべきものである。

(3) 本件各発明について

以下のとおり,本件各発明に係る特許は,サポート要件違反,実施可能要件違反及び明確性要件違反の瑕疵により,特許無効審判により無効にされるべきものである。ア サポート要件違反(ア) 本件各発明は,「出会ったユーザ同士」が「連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるように」することを課題としてなされたものであり,本件明細書等の発明の詳細な説明の記載によれば,当業者は,当該課題を解決できる範囲のものとして,共有仮想タグを用いる態様を認識し,それ以外の態様のものを認識することはない。したがって,本件各発明が共有仮想タグを用いる態様に限定されないとすると,当業者はどのように本件特許請求の範囲の構成を実現し課題を解決すればよいのかを理解することができないから,サポート要件に違反する。(イ) また,被告システム等は,本件各発明の課題a~dの全てを有しており,本件各発明の作用効果を奏しないから,被告システム等が本件各発明の技術的範囲に含まれるとの原告主張を前提とすると,本件各発明は,本件明細書等に記載した発明が解決しようとする課題を解決できないものを包含することになる。したがって,被告システム等が本件各発明の技術的範囲に含まれるとの原告主張を前提とすると,本件各発明は,本件明細書等に記載した発明が

5 解決しようとする課題を解決できないものを包含することとなるから,本

件特許の特許請求の範囲の記載は,サポート要件を満たさない。イ 実施可能要件違反(ア) 本件明細書等には,「個人情報を相手に通知しなくても後々コンタクトが取れるようになる」という発明の作用効果を奏する構成として,「共有仮想タグ」を用いる構成のみ開示しているから,仮に,発明の技術的範囲に「共有仮想タグ」を用いない構成も含まれるとすれば,当業者は,本件明細書等及び出願当時の技術常識とに基づいて,過度の試行錯誤を要することなく,その物を製造し,使用することはできず,また,上記の作用効果を奏する発明として実施することができる程度に発明の詳細な説明の記載が明確かつ十分になされているとはいえない。したがって,本件各発明の技術的範囲に「共有仮想タグ」を用いない構成も含まれるとすれば,本件明細書の発明の詳細な説明は,当業者が本件特許発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものということはできず,特許法36条4項1号の規定に違反する。(イ) また,被告システム等では,本件各発明の課題は解決されず,その作用効果を奏しないから,仮に,被告システム等が本件各発明の技術的範囲に含まれるとすれば,本件各発明は,本件明細書等の記載が想定している「使用」ができないもの(本件各発明が想定していた所期の作用効果を奏することが確認できないもの)を包含することになる。このことは,本件明細書等が,本件各発明の特許請求の範囲の全範囲について発明の実施ができるように記載されていないことを意味する。さらに,被告システム等は,本件各発明が解決しようとする課題a~dを解決するものではないから,仮に,被告システム等が本件各発明の技術的範囲に含まれるとすると,本件各発明は,本件明細書等の記載ではその技術上の意義が説明できないものを包含することになるから,本件明細書

5 等の記載は,特許法施行規則24条の2の規定を満たさない。

したがって,この点からも,本件明細書の記載は実施可能要件を満たさない。ウ 明確性要件違反(ア) 本件各発明が,共有仮想タグを用いない構成もその技術的範囲に含むとした場合,本件特許請求の範囲の「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした」等の記載は,上位概念により発明を特定しようとしたことになるが,当業者は,公知技術や周知技術を参酌しても,「共有仮想タグ」を用いる構成以外のいかなる構成が発明を実施することになるのかを全く理解することができず,公知技術や技術常識を参酌しても,本件明細書等に開示された「共有仮想タグ」に係る実施形態のほかには,どのようにして本願発明の効果を奏することができるのか確認できない。したがって,本件各発明の技術的範囲に「共有仮想タグ」を用いない構成も含まれるとすれば,本件特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項2号の規定に違反する。(イ) また,被告システム等では,本件各発明の課題は解決されないから,仮に,被告システム等が本件各発明の技術的範囲に含まれるとすれば,結局のところ,本件特許請求の範囲の記載は,技術的課題を解決するために必要な事項が特定できていないことになる。したがって,この点からも,本件特許請求の範囲の記載は,明確性要件に違反する。

(原告の主張)

本件特許に被告主張の瑕疵はなく,本件各発明に係る特許は,特許無効審判により無効にされるべきものではない。

5 (1) サポート要件違反の主張について

ア 本件各発明の課題は,「相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる『理想的な連絡可能状態』を構築すること」であり(乙13・45頁参照),この解決手段として,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした(たとえば,S19およびS84~S87,または,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップ,ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されている共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。)。」(段落【0008】)という解決手段を採用した。したがって,「出会い時点登録」は,課題の解決手段と無関係な事項であって,上記解決手段と同じ構成要件が本件特許請求の範囲に記載されている以上,本件特許請求の範囲に記載された発明は,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるから,サポート要件を欠く旨の

(被告の主張)

は理由がない。イ 被告は,「出会い時点登録」がなければ,対象となるユーザ端末を検索することができないと主張する。しかし,本件明細書等の段落【0095】には,「S32による位置データの更新ばかりでなく,過去の位置データと時刻データも履歴としてユーザデータベース11に記憶しておく」ことが記載されており,相手と出会った時間と場所をユーザが記憶しておき,後からその出会った時間と場所をサーバ10に送信し,その時間にその場所にいた相手を検索してもらえばよいの

5 であって,このような制御については,段落【0101】~【0103】,

【0123】,【0145】~【0148】,【図14】及び【図21】に詳細に記載されている。「出会い時点登録」は,相手と出会った時間と場所をユーザが忘れては困るので,忘れないうちに事前に時間と場所を登録しておくだけのものであり,特許法施行規則様式第29の〔備考〕15ハの「発明の実施の形態は,特許出願人が最良と思うものを少なくとも一つ掲げて記載する」旨の要件(ベストモード要件)を具備するために記載しただけのものであって,本件各発明に不可欠な要件ではない。

(2) 新規事項追加の主張について

構成要件J等は,①「前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,」,②「当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行う」と2分することができるが,①については,本件明細書等の段落【0095】,【0096】,【0101】~【0103】,【0123】,【0147】及び【0148】に記載があり,②については,同【0095】及び【0097】に記載がある。したがって,被告が新規事項を含むと主張する構成要件は,本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項と同じであり,何ら新たな技術的事項を導入しないものであるため,当該補正は,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができるから,被告のこの点の主張も失当である。

(3) 本件各発明が共有仮想タグを用いる態様に限定されない場合に関する被告

の主張について被告は,本件各発明の課題の解決や作用効果を奏するための構成が「共有仮想タグ」であると主張するが,本件各発明の課題の解決や作用効果を奏するた

5 めの構成は,飽くまでも「コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先の

リストを前記ユーザ端末に表示させること」であり,この点については,本件明細書等(段落【0002】,【0004】~【0008】,【0010】,【図7】,【図8】)に詳細に開示されている。そして,ユーザ端末に表示される共有仮想タグリストの各共有仮想タグには共有仮想タグ指定信号データが紐付けられており,例えば共有仮想タグ1を選択してクリックすることにより当該共有仮想タグ1に紐付けられた共有仮想タグ1指定信号データに基づいて共有仮想タグ1指定信号がサーバに送信されるところ(【図10】のS89,S90,段落【0090】,【0091】参照),共有仮想タグ1をクリックすることにより共有仮想タグ1指定信号がサーバに送信される具体的な仕組みについては,例えば,エイリアス(甲148),テキスト(例えば「目次の文書や資料」)をクリックするだけで別のWebページにジャンプするハイパーテキストの「リンク」(甲42),電子透かし(甲43)など,本件優先日当時に技術常識となっていた技術を用いることにより,容易に実現できたことである。また,共有仮想タグ1をクリックすることにより共有仮想タグ1指定信号がサーバに送信される具体的な仕組みについては,上記のような技術常識を用いて容易に実現できるため,わざわざ明細書に明記する必要はない(甲149~151,乙25公報の段落【0073】)。このように,以上の技術常識を参酌すれば,本件各発明に係る特許がサポート要件,実施可能要件及び明確性要件を満たしていることが明らかである。

11 争点3(原告の損害額)について

(原告の主張)

(1) 損害賠償の対象となる被告の事業

被告が行っている事業は,コア事業と戦略事業に大別され,そのうち本件特許権侵害の対象となる事業は,コア事業中のアカウント広告とコミュニケーシ

5 ョンである(甲161参照)。

(2) 被告システムのマネタイズ手法の特質

アプリでマネタイズ(収益化)する場合に,従来から用いられる手法として,アプリ自体は無料でダウンロードできるようにしてユーザ数を増やした上で,アプリ内で用いるアイテムやスタンプ等に課金する「アプリ内課金」と,多くのユーザに対し広告を閲覧させることにより広告主(スポンサー)から広告料を徴収する「広告モデル」とがある。特に「広告モデル」では,収益化させるために一定の規模が必要であり,アプリのダウンロード数はもちろん,アクティブユーザ数も重要になるため,アプリ自体は無料配信することがほとんどである(甲165)。これを被告システムにつきみると,被告アプリを無料配布することでより多くのユーザがこれをダウンロードして利用する。被告アプリでは,友だち同士で送受信される有料のスタンプがアプリ内課金として用意されており,その有料スタンプをユーザが購入することによる購入料金(課金料金)が被告の売上げとなる。さらに,多くのLINEユーザがアクセスするLINE空間内での広告は,多くのユーザが閲覧するため広告効果が高く,広告主(スポンサー)にとって魅力的であり,このことは被告も自認している。それゆえに,多くの広告主がアカウント登録することによるアカウント料が被告の売上げとなり,また,アカウント料とは別に,多くの広告主が支払う広告費が広告料として被告の売上げとなる。被告自身も,広告モデルにおける広告主に対し,「LINEを利用している国内の月間利用者が8,200万人以上であり,うち86%の人が毎日利用しているアクティブユーザであること」をアピールしている(甲166)とおり,被告システム等において,収益化するために重要な要素は,被告アプリのユーザ数を増加させるとともに,被告アプリの利用頻度を向上させる点にある。

5 そして,被告アプリは,スマートフォンなどのモバイル端末を主な対象とし,

友人や知人と手軽にコミュニケーションをとる機会を提供するアプリである「コミュニケーションアプリ」である(甲167,168)から,収益化の重要な要素である「LINEユーザ数の増加及び被告アプリの利用頻度の向上」が達成できるか否かは,ひとえに「友人や知人と手軽にコミュニケーションをとる機能」(以下「コミュニケーション機能」という。)にかかっている。それゆえに,被告システム等におけるコミュニケーション機能が,「アプリ内課金」ばかりでなく,「広告モデル」による被告の売上げに大きく貢献しているのである。したがって,コミュニケーション機能に関する本件特許は,「アプリ内課金」による被告の売上げだけでなく,「広告モデル」による被告の売上げにも大きく貢献しているということができる。

(3) 被告の侵害行為に基づく損害賠償の対象は,「ふるふる」に限定されないこ

と本件各発明を実施している被告システムにおける損害賠償の対象は,「ふるふる」による友だち登録及びこれにより友だちとなったユーザとの交流等に限定されない。本件各発明の「理想的な連絡可能状態(相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる状態)を構築する手段を提供する」という課題や,「相手とコンタクトが取れるようにするにおいて,個人情報を相手方に通知しなくても後々コンタクトが取れるようになる」という本件各発明の効果は,「ふるふる」はもちろんのこと,QRコードやID検索等の他の友だち登録を利用した場合これ以外の友だち登録においても広く奏される。

(4) 原告の損害額

5 ア 売上高

(ア) 海外企業を含む連結売上高を対象とすべきことについて被告の有価証券報告書(甲194・12,219頁)によれば,被告の連結子会社のうち,本件特許権侵害の対象となる事業を行っているのは,

①LINE Plus Corporation(韓国企業),②LINE Fukuoka 株式会社,③台

湾連線有限公司である。このうち,本件各発明のうちにはプログラムに関する発明が含まれているところ,被告は,海外事業のために被告アプリを輸出しており,同アプリの輸出は特許発明の実施に該当するから,国外企業である①及び③の海外での売上高も損害賠償額算定の対象となる売上高に含まれる(②の売上高はほとんど無視し得る程度にすぎない。)。(イ) 本件特許に係る専用実施権の登録日は平成29年9月15日であるところ(甲48),被告における同日から令和2年5月10日までの間の,コア事業中のアカウント広告とコミュニケーションの売上高は,以下のとおりである(甲161,162,201)。a アカウント広告 合計1519億5800万円平成29年9月15日~12月31日 115億1900万円(算式)389.29億円×(108日/365日)≒115.19億円平成30年度(1月1日~12月31日) 567億1400万円平成31年度 626億5400万円令和2年1月1日~5月10日 210億7100万円(算式)292.74億円×(131日/182日)≒210.71億円b コミュニケーション 合計767億2800万円平成29年9月15日~12月31日 89億4300万円(算式)302.25億円×(108日/365日)≒89.43億円平成30年度 285億2700万円平成31年度 283億1900万円

5 令和2年1月1日~5月10日 109億3900万円

(算式)151.98億円×(131日/182日)≒109.39億円イ 実施料率実施料率については,以下の諸事情を総合的に考慮すると,50%とするのが相当である。(ア) 知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書」(甲157)において,技術分野「電子計算機」のロイヤルティ料率は,「平均値:33.2% 最頻値:50.0% 中央値:40.0% 件数:719」(93頁・表Ⅲ-3),「電子計算機に関してはソフトウェアのロイヤルティ料率が含まれているため,全体的に高いロイヤルティ料率になっている。」(94頁)との記載があるが,本件各発明もソフトウェアに関する発明である。そして,上記と同一のデータを記載した「実施料率〔第5版〕」(甲159・168頁)には,ライセンシーである製造業の企業が実施利益を得るために一般的に必要とする工場建設,機械・装置等の手当ては,ソフトウェアのライセンシーの場合ほとんど必要ないことなどから,ソフトウェアの実施料率の高率化や実施料の高額化に繋がる旨が記載されている。(イ) 本件各発明は,未来を予測しその未来世界を明細書及び図面に詳しく開示しているものであり,未来のイノベーションを一足先に産業界に紹介してその方向性を指し示す羅針盤の役割を果たすものであって,その役割を果たすに足りるだけの多数の未来型アイデア(技術)が開示されている。上記(ア)のとおり,アプリ分野の発明の場合,特許出願された後における製品化までのプロセスに費やされる時間及びエネルギーは機械分野に比べてはるかに少ない。しかも,本件各発明は,更に「未来予測」という付加価値を有しており,単なるアプリの発明よりも,更に実施料率の高率化,実施料の高額化に繋がるべきものである。

5 (ウ) 知財高裁平成30年(ネ)第10063号令和元年6月7日特別部判決

及び令和元年の特許法改正により新設された特許法102条4項によれば,本件においても,被告システム等が本件特許権を侵害し,かつ,無効ではないと判断されたことを考慮して,特許権者等が合意に至るであろう実施料相当額を算定することになるから,実施料率は,50%を上回ることがあっても,これを下回ることはあり得ない。ウ 主位的主張 611億5770万円本件特許権と,請求の放棄をした特許第6221028号(以下,これに係る発明を「本件発明6」という。)におけるアカウント広告売上げに対する損害賠償額の比率は,3:7である。そこで,本件における原告の損害額は,以下のとおりとなり,その合計額は,611億5770万円である。(ア) アカウント広告 227億9370万円(算式)1519.58億円×実施料率0.5×0.3=227.937億円(イ) コミュニケーション 383億6400万円(算式)767.28億円×実施料率0.5=383.64億円エ 予備的主張 463億5700万円原告は,損害賠償の対象となる被告システムの機能を,「ふるふる」による友だち登録及びこれにより友だちとなったユーザとの交流等に限定した場合の損害額を予備的に主張する。予備的主張においては,アカウント広告売上げ=アカウント料売上げ+広告料売上げとし,コミュニケーション売上げ≒アプリ内課金売上げとして計算する。●(省略)●,アプリ内課金関係177億1300万円)である。(ア) 売上げ●(省略)●c アプリ内課金売上げ 383億6400万円

5 (イ) 寄与率

以下に述べるとおり,本件各発明の貢献度合い(寄与率)は,アカウント料売上げにつき27.00%,広告料売上げにつき45.00%,アプリ内課金売上げにつき46.17%である。a アプリ内課金における寄与率 46.17%被告によれば,アプリ内課金(コミュニケーション)による売上げとは,一般ユーザに対する「スタンプ」等のコミュニケーションツールの販売による売上げのことである。そうであるならば,「ふるふる」による友だち登録及び「ふるふる」により友だちとなったユーザ等の交流等のアプリ内課金に係る被告の売上げに対する本件各発明の貢献度合い(寄与率)は,単に「ふるふる」による友だち登録の割合に依存するのではなく,「ふるふる」で登録された友だちへの有料スタンプ送信割合,具体的には,「コミュニケーションツールである有料スタンプを友だちに送信する送信回数の全体合計のうち,「ふるふる」で登録した友だちに送信する送信回数の全体合計が占める割合」(以下「アプリ内課金寄与率」という。)となり,以下の算式(以下「アプリ内課金寄与率算出式」という。)で算出される。(算式)アプリ内課金寄与率(%)={(「ふるふる」で登録した友だちへの有料スタンプ送信回数の全体合計)/(全ての友だちへの有料スタンプ送信回数の全体合計)}×100このアプリ内課金寄与率算出式の分子は,原告がアンケート業者(株式会社ジャストシステム)に依頼して行ったアンケート調査(甲181~186)のうち,質問Q3(1日に有料スタンプを送信する平均回数)及びQ4(有料スタンプを送信する友だちのうち,「ふるふる」で友だ

5 ち登録した友だちの占める割合)とのクロス集計(甲186の3)に係

る,以下のクロス集計表から算出することができる。このクロス集計表は,表の上に質問Q4における各選択肢を選択した割合が,表の左側に質問Q3における各選択肢を選択した人数が示されている。このクロス集計表において,両質問に「わからない/覚えていない」と回答した者は計算できないため除外し,また,Q4は,Q3において「未だかつて送信したことがない」と回答した者以外の者に限定した回答結果のため,「未だかつて送信したことがない」の列は考慮する必要がない。その結果,このクロス集計表は,12行×9列=108のセルからなるマトリクスとなり,各セルにおける「「ふるふる」で登録した友だちへの有料スタンプ送信回数」を算出し,全てのセルについて合計すれば,上記アプリ内課金寄与率算出式の分子を算出することができる。例えば,「6~10回」の行,「11~19%」の列のセルにおける「ふるふる」で登録した友だちへの有料スタンプ送信回数は,当該成分に属する人数(83人×26.5%=21.995人)×(6~

5 10回の中央値=8回)×15%÷100≒26.394回となり,こ

のような計算を12行×9列の全てのセルにつき算出し,全ての合計を算出すると,上記分子≒6090.684回となる。一方,アプリ内課金寄与率算出式の分母は,質問Q3の各列における(各回数の中央値×当該回数の人数)の合計により算出され,上記分母≒0.5回×255人+3回×235人+8回×83人+15回×38人+34.5回×28人+74.5回×13人+149.5回×11人+349.5回×6人+600回×9人=13127.5回となる。したがって,アプリ内課金寄与率は,以下のとおり,46.17%となる。(算式)(6090.684回/13127.5回)×100=46.17%かかる割合は,被告主張に比べてかなり高率であるが,その原因としては,以下の3つが考えられる。

(a) LINEのヘビーユーザは女子高生であるが(甲188),18歳

未満のユーザは友だち登録手段としてID検索や電話番号検索等の利用が禁止され,「ふるふる」検索やQRコードでの登録に限定されるため(甲189),「ふるふる」による友だち登録の占める割合が高くなる。

(b) 「ふるふる」特有のメリットとして,部活やサークルの集まり,合

コン,パーティーなど大勢の集まりの場合に,一度に複数の友だちを追加することが可能である(甲191) 女子高生の場合,。 教室内や,部活・サークル等の団体での活動が多く,上記機能が重宝され,使用頻度が高くなる。

(c) 「ふるふる」検索やQRコードでの友だち登録の場合,出会って互

いにLINEを通じたコミュニケーションを行う目的で友だち登録をするため,後々スタンプをコミュニケーションツールとして送受信

5 して互いにコミュニケーションを行う頻度が高いが,電話番号検索や

友だちの自動追加機能等による友だち登録の場合,たまたま相手の電話番号をスマートフォンに登録していた等の理由で友だち登録される場合が多々あり,LINEを通じたコミュニケーションを行う目的で友だち登録したわけではないため,互いにスタンプを送受信することがほとんどない。そのため,全友だち登録数のうち「ふるふる」による友だち登録の占める割合は低くても,スタンプをコミュニケーションツールとして送受信して互いにコミュニケーションを行う割合は,「ふるふる」による友だち登録をした友だち同士において高くなる。b 広告料における寄与率 45.00%広告料による売上げは,企業等のスタンプ(コミュニケーションツール)をユーザに提供することなどによる企業等からの売上げであり,寄与率は,アプリ内課金と同様に,単に「ふるふる」による友だち登録の割合に依存するのではなく,「ふるふる」で登録された友だちへのスタンプ送信割合,具体的には,コミュニケーションツールであるスタンプを友だちに送信する送信回数の全体合計のうち,「ふるふる」で登録した友だちに送信する送信回数の全体合計が占める割合(広告料寄与率)に依存することになり,広告料寄与率は,以下の算式で算出される。(算式)広告料寄与率={(「ふるふる」で登録した友だちへの有料スタンプ送信回数の全体合計)/(全ての友だちへのスタンプ送信回数の全体合計)}×100広告料寄与率の分子は,アンケートの質問Q1とQ2とのクロス集計(甲186の4)から算出でき,その算出方法は,前記アプリ内課金と

5 同じであり,分子=7059.342回,分母=15330.9回とな

る。したがって,広告寄与率は,以下のとおり,45.00%となる(判決注:上記分子と一致しないが,その一部請求と解することとする。 。)(算式)(6898.878回/15330.9回)×100≒45.00%c アカウント料における寄与率 27.00%被告によれば,企業等が被告に費用を支払って,被告アプリ上でアカウント(LINE@,ビジネスコネクト,公式アカウント)を開設する理由は,LINEアプリを利用するユーザが非常に多く,被告の情報伝達プラットフォームを利用して広告宣伝を行うことのメリットが大きいからとのことである。そうであるならば,被告アプリはコミュニケーションアプリであり(甲167),友人や知人と手軽にコミュニケーションをとる機能(甲168参照) 企業等が,が, 被告に費用を支払って,被告アプリ上でアカウントを開設する原動力となっているのである。本件各発明は,このコミュニケーション機能を対象とするものであるから,アカウント料に係る被告の売上げに貢献していることになり,その貢献度合い(寄与率)は,被告の上記主張からすれば,60%を下らない。また,「ふるふる」による友だち登録及び「ふるふる」により友だちとなったユーザとの交流等の寄与率については,後記の広告料寄与率(45.00%)を適用することができる。したがって,本件各発明の,アカウント料に係る被告売上げに対する寄与率は,27.00%となる。(算式)0.60×0.45×100=27.00%●(省略)●c アプリ内課金関係 177億1300万円(算式)売上高767.28億円×実施料率0.5×寄与率0.4617≒177.13億

5 円

(被告の主張)

(1) 本件各発明の特許請求の範囲の構成によれば,本件各発明に対応する実施行

為は,現実世界で出会ったユーザ同士の交流を支援(構成要件A),位置情報に基づいてユーザ端末を検索する手段(構成要件D),ポップアップ通知を行うための制御の実行(構成要件F) ポップアップ通知をしないように制御, (構成要件G)等の上記所定の構成要件を備えるコンピュータシステム等を生産,使用,譲渡等する行為に限られる。すなわち,本件機能により友だち登録がなされ(構成要件A,Dの実施),かつ,ポップアップ通知を行うための制御と通知をしないようにする制御を実行(構成要件F,Gの実施)する機能に関連性のない売上げは,本件各発明の実施行為と因果関係のない売上げであるから,損害賠償の対象とならない。本件においては,本件各発明の実施行為による直接の売上高が観念できないところ,このような事例においても,実施者が,特許発明を実施したことにより得た売上高の範囲を適切に画した上で,当該売上高に実施料率を乗じる必要がある。

(2) 損害賠償の対象となる売上げについて

被告の売上高は,「アカウント広告」及び「コミュニケーション」の各売上げに大別されるが,これらの内容等は,以下のとおりである。ア アカウント広告の売上げ(ア) アカウント広告の種類これは,主に被告アプリ上でアカウントを有する企業等からの売上げであり,有価証券報告書(甲161)や決算短信(甲162)における「アカウント広告」の売上げの内訳は,以下の9種である。

①公式アカウント,②ビジネスコネクト,③LINE@,④スポンサー

ドスタンプ,⑤セールスプロモーション,⑥広告,⑦●(省略)●,⑧●(省略)●,⑨限定スタンプ

5 しかし,以下のとおり,いずれも本件各発明とは無関係であり,損害賠

償の対象とはならない。(イ) 下記①~③の売上げが本件各発明と無関係であること公式アカウント(①),ビジネスコネクト(②)及びLINE@(③)は,いずれも,企業等がアカウントを開設することにより,自社のアカウントを友だち登録しているユーザにメッセージの送信等をすることができるサービスである。ユーザが企業等の公式アカウント等を「ふるふる」により友だち登録する場合には,ユーザのみが端末を操作し,公式アカウントを有する企業等が端末を操作することはないから,「現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することにより」(構成要件A,L)等の構成要件を充足しない。したがって,①~③の売上げは,本件各発明とは無関係であり,損害賠償の対象とならない。(ウ) 下記④~⑧の売上げが本件各発明と無関係であることa スポンサードスタンプ(④)スポンサードスタンプは,企業等が広告宣伝のために,被告アプリ内で自社のオリジナルの「スタンプ」をユーザに無料で提供することができるサービスである。同サービスを利用する場合には,企業等は被告に固定額を支払うことになるから,これがスポンサードスタンプによる被告の売上げとなる。被告アプリのトークルームでは,テキスト(文字)メッセージだけでなく,「スタンプ」と呼ばれるイラストを送信することができるが,これは被告アプリ内の重要なコミュニケーション手段である。そのため,企業等が,自社のキャラクターや商品・サービス名等をイラストにした「スタンプ」を無料で提供すると,ユーザがこれをダウンロードし,他のユーザとのトークの中で送信することにより,企業等としては大きな

5 宣伝効果を得ることが期待できる。

また,ユーザが一定の条件(ミッション)を満たした場合に限り,当該ユーザに自社のオリジナルスタンプを無料で提供することもできるが,代表的なミッションは,ユーザが当該企業等のアカウントを友だち登録した場合に限って「スタンプ」のダウンロードを可能とするというものであり,これを利用すると,ユーザが無料で「スタンプ」をダウンロードしたいと思ったときには,当該企業等のアカウントを友だち登録することになるが,この場合の登録は,「ふるふる」以外の友だち登録方法により行われる。したがって,④の売上げは,「ふるふる」による友だち登録を利用する本件機能とは全く無関係である。b セールスプロモーション(⑤)セールスプロモーションは,企業等が販売促進や広告宣伝のために,(ⅰ)被告アプリを使ってキャンペーンを行うことのできるサービスや,(ⅱ)ユーザが一定の条件(ミッション)を満たした場合に限り,当該ユーザに「LINEポイント」が無料で付与されるようにするサービスをいう。同サービスを利用する場合,企業等は被告にキャンペーン内容に応じた固定額を支払うほか,(ⅱ)のうち,ユーザが当該企業等のアカウントを友だち登録したら「LINEポイント」が無料で付与されるサービスについては,このサービスにより当該企業等のアカウントを友だち登録したユーザ数に一定の単価を乗じた額を支払うことになり,これらが被告の売上げとなる。(ⅰ)の例としては,ユーザが,購入した対象商品に張り付けられているQRコードを読み込むと,シールを獲得することができ,複数のシールを集めると,景品に応募できるようになるというキャンペーンがあり,

5 これにより,企業等としては,対象商品の複数・継続購買が期待できる。

(ⅱ)につき,ユーザが「LINEポイント」を獲得するための「ミッション」としては,前記(a)と同様に,ユーザが当該企業等のアカウントを友だち登録した場合に限り,「LINEポイント」を付与する方法があり,この場合の登録は,「ふるふる」以外の友だち登録方法により行われる。なお,その他の「ミッション」としては,当該企業等の広告宣伝動画の視聴,無料会員登録,商品購入など様々なものがある。したがって,⑤の売上げは,本件機能とは全く無関係である。c 広告(⑥)について被告は,企業等の広告をアプリ内に掲載し,その対価として広告掲載料の支払を受けており,これが被告の売上げとなる。この売上げは,本件機能とは全く無関係である。d ●(省略)●e ●(省略)●f 限定スタンプ(⑨)について被告は,企業等を通じて「スタンプ」を販売することがあり,この場合,被告は,当該企業等からその対価の支払を受け,これが被告の売上げとなる。この売上げは,本件機能とは全く無関係である。イ コミュニケーションの売上げについて(ア) コミュニケーションの種類これは,一般ユーザに対する「スタンプ」等のコミュニケーションツールの販売による売上げのことであり,有価証券報告書(甲161)や決算短信(甲161)に記載の「コミュニケーション」の売上げの内訳は,以下の8種である。㋐LINEスタンプ,㋑LINE着せ替え,㋒LINE絵文字,㋓クリ

5 エイターズスタンプ,㋔クリエイターズ着せ替え,㋕クリエイターズ絵文

字,㋖LINEスタンププレミアム,㋗LINE Outしかし,以下に述べるとおり,いずれも本件各発明とは無関係であり,損害賠償の対象とはならない。(イ) ㋐~㋗の売上げが本件各発明と無関係であることa ㋐~㋖について一般のユーザは,被告アプリにおいて,被告や被告以外の第三者(クリエイター)が提供する有料の「スタンプ」,「着せ替え」(ユーザ自身の被告アプリの背景を変更するもの)又は「絵文字」(ユーザ間のトークの中でテキストメッセージの中に入れて使うことができるもの)を購入することにより,これらをダウンロードし,使用することができるようになるところ,ユーザがこれらに設定された価格を支払って購入すると,これが被告の売上げとなる。これらの売上げは,友だち登録とは何ら関係しないから,本件機能とは全く無関係である。b ㋗についてLINE Outは,電話回線を使用し,ユーザが有料で音声通話をすることができるサービスであり,通話の相手は,国内外を問わず,また,被告アプリのユーザか否かを問わない。もっとも,被告アプリのユーザ同士であれば,同アプリ内でインターネット回線を使用する無料通話の利用が可能であることから,㋗のサービスは,LINEユーザがユーザでない人に発信をする際に使われることが多い。ユーザが㋗のサービスを利用する場合には,通話料金を被告に支払うから,これが被告の売上げとなる。この売上げは,本件機能とは全く無関係である。(ウ) 本件機能に関係し得るコミュニケーションの売上げ

5 「コミュニケーション」の売上げは,ユーザが無料でLINEのID登

録をし,スタンプ等のデザインが趣味嗜好に合っているために購入したことによる売上げであって,「ユーザ間での友だち登録」を行ったことによる売上げではないし,ましてや「友だち登録を「ふるふる」でしたこと」による売上げではなく,「ふるふる」の機能がなくても,被告が上げることができた売上げであるから,被告が本件各発明の実施行為により得た売上げであるとはいえない。そして,「コミュニケーション」の売上げは,ポップアップ機能(構成f)や,ブロック時ポップアップ停止機能(構成要件g)による売上げでもなく,これらの機能がなくても,被告が上げることができた売上げであるから,この点においても,被告が本件各発明の実施行為により得た売上げであるとはいえない。このように,本来,本件各発明は,「ふるふる」の機能だけでなく,ポップアップ機能やブロック時ポップアップ停止機能を兼ね備えて初めて「実施行為」となるものであるから,そのような実施行為により得た売上げであるというためには,ポップアップ機能やブロック時ポップアップ停止機能の利用状況をも踏まえて,実施行為に関係し得る売上げの範囲を適切に画することが必要であるが,以下では,本件発明3の実施行為に関係しうる売上げの範囲は,「ふるふる」の機能のみを有する発明である場合と同様に画することとし,ポップアップ機能やブロック時ポップアップ停止機能については,実施料率の割合に反映すべきものとして主張することとする。●(省略)●

(3) 実施料率について

特許法102条3項による損害の認定においては,①当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率や,それが明らかでない場合には業界における

5 実施料の相場等,②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重

要性,他のものによる代替可能性,③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様,④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合考慮して合理的な料率を定めるべきであるが,これによれば,本件における実施料率は,0.4%を上回らない。ア ①について知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書 ~知的財産(資産)価値及びロイヤルティ料率に関する実態把握~」(乙82)には,「コンピュータ」の分野の実施料率として「1%未満」とする実例が存在することが示されている。イ ②について(ア) 本件各発明の価値がないことa 本件各発明は,乙42公報に,その構成の大部分が開示されており,差異はポップアップ通知の制御に係る点に限られる。そして,これに周知技術(乙84(特開2007-166189)等 )を容易に適用することができるから,乙42公報記載の発明は,少なくとも本件各発明の代替手段に相当する。また,本件各発明は,WO2010/008542号の国際公開公報(乙70)に,その構成の全部が開示されているから,これに記載の発明も,本件各発明の代替手段に相当する。このように,本件各発明は,従来技術に既に存在しており,代替手段も複数あるから,従来技術と対比した場合の本件各発明の価値は存しない。現に,本件特許に係る無効審判(無効2019-800056号)の職権審理事項通知書(乙93)では,特許を無効とすべき旨の判断がさ

5 れている。

b ポップアップ通知を行うための制御の実行に関する構成要件F等の効果は,メッセージやその受信をポップアップすることでメッセージに速やかに気付くことができる点にあるが,ポップアップ通知を用いなくとも,音や振動でメッセージの着信を通知することで代替可能であり,現に被告アプリはそのような代替機能も備えている。ポップアップ通知をしないように制御すること(構成要件G等)についても,本件明細書等には,「共有仮想タグの一方当事者による解約」があった場合に,「解約した共有仮想タグの相手方から書き込みがあったとしても,解約者の携帯電話2へのポップアップ通知を行わないように制御する」(段落【0093】)ことしか記載がないが,共有仮想タグの解約がされた場合にポップアップ通知をしないことは至極当然であり,何らの技術的価値もない。また,ユーザが他の特定のユーザとのコミュニケーションを止めたい場合にポップアップがなされないようにする機能は,他のメッセンジャーサービスも備える一般的な機能にすぎず(乙95~97等),同機能が被告の売上げや利益に貢献しない。●(省略)●(イ) 「ふるふる」には代替技術が存すること等友だち登録において,「ふるふる」以外に多数の代替手段が存在し,現に,これらの代替手段が友だち登録手段として「ふるふる」よりも圧倒的に高い割合で利用されており,「ふるふる」による友だち登録の割合はごくわずかである。このように本件機能の被告サービスにおける必要性が低いことを考慮するならば,本件特許が有効なものであることを前提にしても,実施許諾契約の締結において高額な実施料が合意されることはなく,このことは,実施料率を低く認定する事情として十分に考慮されるべきである。

5 ●(省略)●

まして,友だち登録手段として「ふるふる」を用いる場合には,近くにいる見ず知らずの他人とまで,友だちになってしまうリスクすらある(乙74)。このように,被告サービスにおける本件機能は,本件発明の効果を奏するものではない。ウ ③について●(省略)●エ ④について原告と被告は競業関係になく,原告は本件各発明の実施も行っていない。オ 以上を総合考慮すれば,本件における実施料率が0.4%を超えることはない。

(4) 原告の損害額

●(省略)●

第4 当裁判所の判断

1 本件発明の内容等

(1) 本件明細書等の発明の詳細な説明には,以下の記載がある(甲49)。ア 技術分野「本発明は,たとえば,初対面の人物同士が出会った後互いにコンタクトを取ることができるようにする際に,極力個人情報を明かすことなくコンタクトがとれるようにするためのコンピュータシステムおよびプログラム関する。詳しくは,ユーザ端末の操作によりネットワークを介して特定の者同士のコミュニケーションによる交流をコンピュータが支援するコンピュータシステムおよびプログラムに関する。」(段落【0001】)イ 背景技術「初対面の人物同士が出会った後互いにコンタクトを取ることができるよ

5 うにする方法として,従来から一般的に知られているものに,たとえば,自分の携帯電話のメールアドレスまたは電話番号を相手に知らせて連絡を取ることができる状態(以下これを「連絡可能状態」という)にするのが,従来から一般的な方法である。そして,知得した相手方のメールアドレスなどを自分の携帯電話のアドレス帳に記憶させ,ユーザの操作に応じて一覧表示させることのできる携帯電話が提案されている(たとえば,特許文献1) 」。(段落【0002】)ウ 発明が解決しようとする課題「しかし,この従来から一般的な連絡可能状態の場合,以下の欠点がある。a 電話番号やメールアドレス等の個人情報を初対面の相手に知らせる点に不安を感じてためらいがちになる場合が多く,これが後々の交流の機会を失わせる。b 個人情報を通知した相手から昼夜を問わず連絡が入り,迷惑を被る虞がある。c 相手に伝えたメールアドレス等の個人情報が他人に横流しされ,その他人が本人に成りすましてメールを送信したり,またスパム等の被害を被る虞がある。d 一旦伝えた個人情報を無効にするには,電話番号の変更やメールアドレスの変更等のように厄介な作業を伴う。」(段落【0004】)「以上のことに鑑み,理想的な連絡可能状態とは,相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる状態である。」(段落【0005】)「本発明は,かかる実情に鑑み考え出されたものであり,その目的は,前述の理想的な連絡可能状態を構築する手段を提供することである。」(段落【0006】)

5 エ 課題を解決するための手段の具体例「次に,課題を解決するための各種手段と実施の形態との対応関係を以下に括弧書で示す。」(段落【0007】)「本発明は,現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末(例えば,携帯電話2)を操作することによりコンピュータ(たとえば,サーバ10,21等)を利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって,複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段(たとえば,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップ,ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されている共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。 と,)ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し(たとえば,S89,S90),該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段(たとえば,共有仮想タグに対応したWebページにS93で書込んだ内容をS94で記憶し,図1の(A氏書き込み)(B氏書き込み)等を閲覧することによりメッセージを送受信して,または,音声仮想タグは,メッセージを音声で伝えることができる仮想タグである。)と,前記ユーザ端末の位置情報を取得し(たとえば,S2,S9,S30),該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段(たとえば,S16とS16d,または,S32による位置データの更新ばかりでなく,過去の位置データと時刻データも履歴としてユ

5 ーザデータベース11に記憶しておき,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手を検索する)と,該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として(たとえば,S16およびS16dで共にYESと判定されたことを条件として,または,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手が特定されたことを条件として),該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段(たとえば,S18,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップを用いる。この処理により,共有仮想タグがバーチャル世界ではなく当事者の端末(携帯電話等)に記憶さる。)と,を備え,前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行する一方(たとえば,A氏が書き込みを行うと,B氏の携帯電話2にその旨を通知するためのポップアップ通知がなされる),前記交流先として指定されて互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても前記ポップアップ通知を行わないよう

5 に制御し(たとえば,共有仮想タグの一方当事者による解約ができるようにしてもよい。携帯電話2からの解約要求情報(当人のユーザIDを含む)を受付けたサーバ10は,仮想タグデータベース9を検索して受信したユーザIDに対応付けて解約情報(フラグ等)を記憶させる。これにより,解約した共有仮想タグの相手方からの書込みがあったとしても,解約者の携帯電話2へのポップアップ通知を行わないように制御する。),前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした(たとえば,S19およびS84~S87,または,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップ,ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されている共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。)。また,好ましくは,前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に(たとえば,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手が特定された),当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出(たとえば,共有仮想タグ生成の申し出)を行ない,相手方も交流に同意することにより(共有仮想タグ生成の申し出に対して,相手方が同意すれば),前記交流先追加処理を行うようにしてもよい。本発明の他の局面では,現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末(例えば,携帯電話2)を操作することによりコンピュータ(たとえば,サーバ10,21等)を利用してネットワークを介してのコミュニケーションによ

5 る交流を支援するコンピュータシステムであって,複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段(たとえば,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップ,ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されている共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。 と,)ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し(たとえば,S89,S90),該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段(たとえば,共有仮想タグに対応したWebページにS93で書込んだ内容をS94で記憶し,図1の(A氏書き込み)(B氏書き込み)等を閲覧することによりメッセージを送受信して,または,音声仮想タグは,メッセージを音声で伝えることができる仮想タグである。)と,前記ユーザ端末の位置情報を取得し(たとえば,S2,S9,S30),該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段(たとえば,S16とS16d,または,S32による位置データの更新ばかりでなく,過去の位置データと時刻データも履歴としてユーザデータベース11に記憶しておき,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手を検索する)と,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として(たとえば,S16およびS16dで共

5 にYESと判定されたことを条件として,または,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手が特定されたことを条件として),該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段(たとえば,S18,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップを用いる。この処理により,共有仮想タグがバーチャル世界ではなく当事者の端末(携帯電話等)に記憶さる。)と,を備え,前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行し(たとえば,A氏が書き込みを行うと,B氏の携帯電話2にその旨を通知するためのポップアップ通知がなされる),前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に(たとえば,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手が特定された),当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出(たとえば,共有仮想タグ生成の申し出)を行ない,相手方も交流に同意することにより(共有仮想タグ生成の申し出に対して,相手方が同意すれば),前記交流先追加処理を行い,前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユ

5 ーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした(たとえば,S19およびS84~S87,または,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップ,ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されている共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。)。」(段落【0008】)「本発明のさらなる他の局面では,現実世界で出会ったユーザ同士がコンピュータ(たとえば,サーバ10,21等)を利用して交流を行うためにユーザ端末(例えば,携帯電話2)により実行されるプログラムであって,前記ユーザ端末の位置情報を前記コンピュータへ送信する位置情報送信ステップ(たとえば,S9,会員ユーザが自己の携帯電話2のGPS機能をONにすれば,その携帯電話2からユーザIDと現在位置を示すGPSデータとがサービスプロバイダ8のサーバ10へ送信されて来る。)と,前記ユーザ端末の報知部(たとえば,表示部35と音声出力部38a)を制御する報知制御ステップ(たとえば,S19,ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されている共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。S92等)とを,前記ユーザ端末に実行させ,前記報知制御ステップは,複数の交流先のリストを表示するための交流先リスト表示制御ステップ(たとえば,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップ,ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されて

5 いる共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。)と,ユーザが前記表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し(たとえば,S89,S90),該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知ステップ(たとえば,S92,S93,共有仮想タグに対応したWebページにS93で書込んだ内容をS94で記憶し,図1の(A氏書き込み)(B氏書き込み)等を閲覧することによりメッセージを送受信して,または,音声仮想タグは,メッセージを音声で伝えることができる仮想タグである。)と,を含み,さらに,前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末の前記報知部にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行い(たとえば,A氏が書き込みを行うと,B氏の携帯電話2にその旨を通知するためのポップアップ通知がなされる),前記コンピュータは,前記位置情報送信ステップにより送信されてきた前記ユーザ端末の位置情報を取得し(たとえば,S2,S9,S30),該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段(たとえば,S16とS16d,または,S32による位置データの更新ばかりでなく,過去の位置データと時刻データも履歴としてユーザデータベース11に記憶しておき,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手を検索する)と,該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として(たとえば,S16およびS16dで共

5 にYESと判定されたことを条件として,または,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手が特定されたことを条件として),該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段(たとえば,S18,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップを用いる。この処理により,共有仮想タグがバーチャル世界ではなく当事者の端末(携帯電話等)に記憶さる。)と,を含んでおり,前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に(たとえば,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手が特定された),当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出(たとえば,共有仮想タグ生成の申し出)を行ない,相手方も交流に同意することにより(共有仮想タグ生成の申し出に対して,相手方が同意すれば),前記交流先追加処理を行い,前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記表示部に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした(たとえば,S19およびS84~S87,または,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップ,ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されてい

5 る共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。)。」(段落【0009】)「このような構成によれば,相手とコンタクトが取れるようにするにおいて,個人情報を相手に通知しなくても後々コンタクトが取れるようになる。」(段落【0010】)オ 発明を実施するための形態「[第1実施の形態]本発明の使用例を分かりやすく示した図1および図2に基づいて,先ず本発明の概要を説明する。」(段落【0012】)「[発明の概要]図1は,リアル世界において人同士が出会った時の連絡可能状態を構築する例を示している。」(段落【0013】)【図1】「図1を参照して,四谷にある国際日本文化センター(四谷怪談資料館)の前で,初対面同士の人間が出会い,両者の同意のもと,互いの携帯電話2を用いて共有仮想タグを作成した。この共有仮想タグは,両人が出会った場所に対応するバーチャル世界の場所に作成されて表示されるタグであり,出会った両人の携帯電話でのみアクセスできてそこに書き込みを行って両者が連絡できるようにしたものである。」(段落【0014】)「このバーチャル世界は,リアル世界の景観に対応するデジタル映像化されたメタバースである。前述したように,例えばグーグルのストリートビュー等を利用する。または,既存のものを利用するのではなく,リアル世界の景観を模してデジタル映像化して新たに作成されたものであってもよい。図1では,2009年10月15日14時03分に共有仮想タグが作成された

5 ことが示されている。」(段落【0015】)「この状態で,このバーチャル世界(ストリートビュー等)にアクセスして,共有仮想タグを作成した四谷の国際日本文化センターの前にアクセスすれば,共有仮想タグを作成したA氏とB氏との携帯電話2のみが,この共有仮想タグを映し出すことができる。」(段落【0016】)「図1では,まずA氏の携帯電話2により共有仮想タグをクリック(選択操作または指定操作の意味であり,以下同様)して,2009年10月17日にA氏が図1に示すような書き込みを行っている。A氏が書き込みを行うと,B氏の携帯電話2にその旨を通知するためのポップアップ通知がなされる。B氏は,翌日バーチャル世界にアクセスして,その共有仮想タグをクリックし,図1に示すような書き込みを行っている。」(段落【0017】)「このように,共有仮想タグを利用した連絡可能状態を構築することにより,A氏とB氏とが互いに電話番号やメールアドレス等の個人情報を知らせることなく互いに連絡が可能となる。」(段落【0018】)「しかも,この共有仮想タグを作成した本人の携帯電話2以外の端末によるアクセスができないために,他人が自己の携帯電話を利用して成りすましによる書き込みを防止することができる。」(段落【0019】)「このような共有仮想タグを利用してコミュニケーションを取ることにより,互いの個人情報(プライバシー)を保護しかつスパム等の被害を防止しつつ,安全に情報交換することが可能となり,人同士の繋がりの構築を支援することができる。」(段落【0020】)「[詳細な説明]次に,本発明の第1実施の形態を詳細に説明する。」(段落【0026】)「図3は,本発明の人の繋がり支援システムの全体構成を示すシステム図である。…携帯電話2は,基地局3,携帯電話網4,ゲートウェイ5,インターネット6を経由して,サービスプロバイダ8のサーバ10へアクセス可能に構成されている。サービスプロバイダ8は,人の繋がりを支援するサービスを提供する業者である。携帯電話2の持ち主であるユーザは,このサービスプロバイダ8のサービスに加盟しており,その加盟時にユーザIDが設定されている。」(段落【0027】)【図3】「サービスプロバイダ8には,サーバ10と,加盟したユーザのデータを記憶しているユーザデータベース11と,仮想タグのデータを記憶している仮想タグデータベース9とが設置されている。」(段落【0028】)

5 「インターネット6に接続されているバーチャル世界プロバイダー20は,リアル世界のあらゆる場所の360度パノラマ映像をデジタル映像化したバーチャル世界(メタバーズ)の映像を提供するサービス業者である。バーチャル世界プロバイダー20のサーバ21には,仮想世界データベース22が接続されている。この仮想世界データベース22は,リアル世界における360度パノラマ映像をデジタル化したバーチャル世界3Dデータが記憶されている。例えば,グーグルのストリートビューの3Dデータを用いることができる。」(段落【0029】)「このバーチャル世界3Dデータにおけるリアル世界の住所に対応するエリア毎に,位置データが対応づけられて記憶されている。例えば,図3に示すように,位置データとして,渋谷区1‐1‐1の住所に対応したバーチャル世界3Dデータの箇所に,当該位置データ(渋谷区1‐1‐1)が対応づけられて記憶されている。その結果,ユーザが住所等からなる位置データを入力してアクセス位置を特定することにより,その特定された位置データに対応するバーチャル世界3Dデータの部分が読み出されてユーザ端末(携帯電話2等)に表示される。」(段落【0031】)「図4は,サービスプロバイダ8のユーザデータベース11に記憶されているデータを説明するための図である。各会員ユーザのエージェント(アバター)を特定するためのエージェントIDが,各ユーザIDに対応づけて,記憶されている。更に,携帯電話2のGPS機能をONにしているユーザからは現在位置を特定するGPSデータがサービスプロバイダ8のサーバ10へ送信されてくる。サーバ10は,その送信されてきたGPSデータを緯度と経度とからなる座標データに変換して,ユーザデータベース11における対応するユーザIDの現在位置GPSデータの記憶エリアに記憶させる。たとえば,図4の13B9PSのユーザIDの場合,現在位置GPSデータとして,緯度が35.669299,経度が139.713655となって

5 いる。」(段落【0032】)【図4】「さらに,サーバ10は,その現在位置GPSデータ(緯度と経度)を住所等からなる位置データに変換したその位置データをユーザデータベース11の位置データ記憶エリアに記憶させる。」(段落【0033】)「図3に戻り,仮想タグデータベース9には,ユーザIDと,それに対応付けて,位置データ,仮想タグ表示用データ,仮想タグ種類,仮想タグの作成日時が記憶されている。位置データとは,仮想タグが生成された場所を示すためのデータである。仮想タグ表示用データとは,仮想タグをバーチャル世界に表示させるためのデータであり,テキストデータ,画像データ等で構成されている。」(段落【0034】)「仮想タグ種類とは,表示する仮想タグの種類を示しているデータであり,音声仮想タグ,広告仮想タグ,共有仮想タグ等がある。このうち,共有仮想タグが,図1および図2で説明したものである。この発明の詳細な説明では,共有仮想タグ以外に,ユーザあるいは一業者が単独で生成する仮想タグもあ

5 る。音声仮想タグは,メッセージを音声で伝えることができる仮想タグである。広告仮想タグは,広告業者が作成した広告用の仮想タグである。共有仮想タグ以外の仮想タグは,当該仮想タグの作成者以外でも自由にアクセスできる。」(段落【0035】)「作成日時は,その仮想タグが作成された日時を示すデータであり,例えばユーザIDが13B9PSの場合には0902190921となっており,2009年02月19日09時21分を意味している。」(段落【0037】)「サービスプロバイダ8のサーバ10は,リアル世界を正確にコピーしたネット上の3D仮想世界として,ストリートビュー等とマッシュアップしたバーチャル世界を利用している。サーバ10は,会員ユーザのリアル世界での現在位置をその会員ユーザの携帯電話2で特定し,その現在位置に対応するバーチャル世界の場所に,当該会員ユーザのアバター(エージェント)を表示させる。他の会員ユーザがそのバーチャル世界に進入してアバター(エージェント)と出会ったときに,その会員ユーザとアバター(エージェント)とが会話できるように構成されている。バーチャル世界でのアバターを介しての会話は,例えばセカンドライフ等の3D仮想世界では,従来からよく用いられている周知慣用技術であり,この周知慣用技術を用いる。また,アバター(エージェント)は,前述のCLONのような自立してある程度の会話能力を有するエージェントであるため,リアル世界のユーザはある程度自分のアバターに会話を任せることができ,会話内容を携帯電話で見ながら必要なときだけ自分自身で相手と会話する。」(段落【0038】)「図5は,携帯電話2のハードウェア構成のブロック図である。携帯端電話2は,回線接続処理およびデータ通信処理を含む携帯電話2全体をコントロールするためのCPU(Central Processing Unit)31と,各種機能を実行するためのプログラムを保存したROM(Read Only Member)32,周

5 辺の景色を撮影するためのCCD(Charge Coupled Device)撮像素子からなるカメラ入力部34,そのカメラ入力部34で撮影することによって得られた静止画データを少なくても1枚分記憶するためのメモリを含むRAM(Random Access Memory)33,液晶表示板等の画像出力にための表示部35,インターネット6を介して通信するための無線通信処理部36,そして,ユーザが携帯電話2のCPU31に希望する機能を実行させるための入力操作部37とから構成される。なお,この入力操作部37は,タッチペンやジョグダイアル,キーボード,マイクロスイッチ等を含む。インタフェース41は,各種回路や装置の内部バス40へのインタフェース処理を行う。」(段落【0039】)【図5】「さらに,携帯電話2は,ユーザが音声により通話をするための音声出力部38aと音声入力部38bとEEPROM(Electronically Erasable and

5 Programmable Read Only Memory)42と位置情報取得部39とを有する。位置情報取得部39は,図3で説明したように,衛星1からのGPS情報と基地局3からの電波と無線LANアクセスポイント7からの無線電波とに基づいて,現在位置を取得する。」(段落【0040】)「EEPROM42には,ユーザが過去に生成した共有仮想タグのリストが記憶されている。このリストには,各共有仮想タグに対応付けて,その共有仮想タグが作成された地理的位置(住所)と,ユーザのメモ書きとが記憶されている。図5のメモ書きの例では,共有仮想タグの相手方の印象として,好青年,親しみやすい,理知的などが記憶されている。ユーザによる携帯電話2の入力操作部37の操作に従って,このEEPROM42に記憶されている共有仮想タグのリストが表示部35に表示される。ユーザは,作成位置とメモ書きとを参考にしながらアクセスする共有仮想タグを選択してクリ

5 ックする。すると,後述するS80~S88の処理により,そのクリックされた共有仮想タグが,生成された地理的位置のバーチャル世界とともに表示される(図2参照)。」(段落【0041】)「ユーザは,表示された共有仮想タグの周辺の景観をバーチャル世界の映像で確認し,相手と出会った場所を確かめ,その場所から相手の記憶を蘇らせることができる。これにより,相手の個人情報を知らなくても出会った相手の記憶を蘇らせることができ,その上で,当該共有仮想タグにアクセスするか否かを決めることができる。ユーザがその共有仮想タグをクリックしてアクセスすれば,後述するS90~S94の処理により,コンタクト用のwebページが表示され,書込みおよび閲覧が可能になる。」(段落【0042】)「次に,サーバ10とサーバ21のハードウェア構成のブロック図を図6に示す。CPU50,ROM51およびRAM52の働きは,携帯端電話2における上述した説明と同様である。サーバ10,21は,格納部(図示略)を有する。格納部は,各種プログラムやファイル,大容量の画像を含む情報やデータを格納し,適宜読み出すことができる記憶装置である。これらのデータやプログラムは必要に応じてRAM52に書き込んで各種の情報処理を行うことを可能とする。入力部55は,キーボード,マウス,などにより構成され,サーバ10,21に各種情報処理を行わせるための指令を与える。インタフェース58は,各種回路や装置の内部バス57へのインタフェース処理を行う。表示部54は,CRTまたはLCD等により構成され,文字や図形,画像を表示する。通信制御部53は,インターネット6を介してデータ等の送受信の通信機能を司る。」(段落【0043】)「次に,前述した共有仮想タグを生成するためのフローチャートを図7に示す。本発明では,リアル世界のユーザ同士が携帯電話Aと携帯電話Bとを用いて共有仮想タグをバーチャル世界に生成できるばかりでなく,リアル世

5 界のユーザがバーチャル世界に進入して自分の携帯電話を用いてバーチャル世界のエージェント(アバター)と共有仮想タグを生成することができる。またエージェント(アバター)同士の間でも共有仮想タグを生成することができる。さらに,バーチャル世界に進入したユーザ同士が自分のエージェント(アバター)を介して共有仮想タグを生成することができる。このように,エージェント(アバター)がユーザから独立して共有仮想タグを生成することができるようにするべく,エージェント(アバター)も独立した一人の会員ユーザとしてユーザデータベース11に記憶させる。例えば,図4に示すように,ユーザIDとして13B9PSに対応するユーザエージェントIDがθ42S15となっており,このエージェント(アバター)も独立した一人の会員ユーザとしてユーザデータベース11に記憶させる。ユーザデータベース11のユーザIDの記憶エリアにθ42S15のエージェントIDが記憶されており,そのエージェントIDのエージェントが自ら共有仮想タグを作成している場合には,その共有仮想タグ用IDであるAP81K7がユーザデータベース11に記憶されるとともに(図4を参照),仮想タグデータベース9にもθ42S15のユーザIDのデータとして,位置データ,仮想タグ表示用データ,仮想タグ種類,作成日時が記憶される。」(段落【0044】)「図7のフローチャートでは,共有仮想タグを生成する当事者の一方が自己の共有仮想タグ用IDを特定するデータ(可変共有仮想タグ用ID)を他方の当事者の携帯電話に送信し,その他方の当事者の携帯電話がサーバ10に対して自己のユーザIDと受信した可変共有仮想タグ用IDとを送信し,それによって,サーバ10が共有仮想タグを生成する当事者を特定してその当事者のための共有仮想タグを生成するという,方式を採用している。 (段」落【0045】)

5 【図7】「まず,携帯電話AまたはエージェントAにおいて,ステップS(以下単にSという)1により,自己の共有仮想タグ用IDを呼び出す処理が行われる。この共有仮想タグ用IDは,携帯電話Aの場合には内蔵しているメモリーに記憶されており,エージェントAの場合にはエージェント用の知識データとして記憶されている。」(段落【0046】)「次にS2により,衛星1から受信したGPS電波に含まれている原子時計の時刻情報を用いて可変共有仮想タグ用IDを生成する処理が行われる。この処理では,S1により呼び出した共有仮想タグ用IDに対してGPS時刻情報を付加して暗号化する等の処理を行って可変共有仮想タグ用IDを生成する。そして,S3により,その生成された可変共有仮想タグ用IDを赤外線通信により携帯電話Bに送信する。エージェントBに送信する場合には,赤外線通信を使うことなくバーチャル世界においてエージェントBに可

5 変共有仮想タグ用IDを通知する。共有仮想タグ用IDをそのままの形で他人に通知するのではなく,暗号化等の処理が施された可変共有仮想タグ用IDとして通知するために,自己の共有仮想タグ用IDが他人に盗用されて悪用されることを極力防止することができる。」(段落【0047】)「携帯電話BまたはエージェントBにおいて,S4によりサーバ10へアクセスするか否かの判断がなされ,サーバ10へアクセスする操作または判断が行われた時に,S5により,携帯電話BまたはエージェントBのユーザIDを含む本人認証データをサーバ10へ送信する処理が行われる。サーバ10において,S6により,その送信されてきたデータに基づいて,本人確認を行い,本人である旨の確認ができたことにより,S7においてアクセス許可を携帯電話BまたはエージェントBに返信する。そのアクセス許可を受けた後,S8により,共有仮想タグ生成依頼の操作が行われ,その操作に伴って,現在位置データとS3により送信されてきた可変共有仮想タグ用IDとをサーバ10へ送信して共有仮想タグの生成依頼を行う(S9)。それを受けたサーバ10では,S10により,共有仮想タグをバーチャル世界に生成する処理を行う。」(段落【0048】)「このS10に示した共有仮想タグ生成処理のサブルーチンプログラムのフローチャートを図8に示す。図8を参照して,S15により,受信した可変共有仮想タグ用IDを複合して元の平文に戻して,共有仮想タグ用IDと時刻情報を抽出する処理が行われる。この時刻情報とは,前述したS2により共有仮想タグ用IDに付加されたGPS時刻情報のことである。次にS16により,その抽出した時刻情報が現在時刻と比べて許容誤差範囲内であるか否かの判断が行われる。今回の共有仮想タグの生成ではなくそれ以前の共有仮想タグの生成時に使用された他人の可変共有仮想タグ用IDをサーバ10に送信して不当に共有仮想タグを生成依頼してきた場合には,現在時刻とその送信されてきた可変共有仮想タグ用IDに含まれている時刻情報と大幅に食い違っているために,S16によりNOの判断がなされて制御がS20へ移行し,不当な共有仮想タグの生成依頼を行った不正ユーザに対して取り締まるための,処理が行われる。」(段落【0049】)【図8】「また,S20により,抽出した時刻情報と同じ作成日時でかつ抽出した共有仮想タグ用IDを仮想タグデータベース9から検索する処理が行われる。次にS21により,該当するものがあったか否かの判断がなされ,該当するものがあった場合には,S22により,その該当する共有仮想タグのユ

5 ーザID(二つ以上)を特定し,S23により,その特定されたユーザIDに対応する本人を特定して対処するための依頼を携帯キャリアに対して行う処理がなされる。この対処依頼を受けた携帯キャリアは,本人を特定してその本人に警告書を送るとか,あまりにも悪質なときにはその本人の契約解除を行う。」(段落【0050】)「一方,S21により該当するものがないと判断された場合には,S24へ進み,抽出した共有仮想用IDからユーザIDを特定し,そのユーザIDに対応する本人を特定して対処するための依頼を携帯キャリアに対して行う。」(段落【0051】)「一方,S16によりYESの判断がなされた場合には,制御がS16aに移行し,共有仮想タグを生成する当事者の現在位置が近似しているか否かに基づく更なるセキュリティチェックを行う。具体的には,S16aにより,共有仮想タグ生成依頼者の位置を取得する処理が行われる。図8の例では,携帯電話BまたはエージェントBの現在位置を取得する。ただし,携帯電話Bのユーザが図2に基づいて説明したのに,バーチャル世界における所定位置にアクセスしている場合には,そのアクセスしているバーチャル世界の位置に対応するリアル世界の位置が,現在位置として取得される。また,エージェント(アバター)が共有仮想タグ生成依頼者の場合には,バーチャル世界におけるそのエージェント(アバター)の現在位置に対応するリアル世界の位置が,現在位置として取得される。」(段落【0052】)「次に,S1V5により抽出した共有仮想タグ用IDからユーザIDを特定する処理がS16bにより行われる。次にS16cにより,そのユーザIDの現在位置情報を取得する処理が行われる。この現在位置情報は,S16aの現在位置と同様に,ユーザがバーチャル世界に進入して所定位置にアクセスしている場合には,そのバーチャル世界の所定位置に対応するリアル世界の所定位置を,現在位置情報として取得する。また,共有仮想タグ用ID

5 から特定されたユーザIDがエージェント(アバター)のものであった場合には,バーチャル世界におけるそのエージェント(アバター)の現在位置に対応するリアル世界の位置が,現在位置として取得される。」(段落【0053】)「次にS16dに進み,その取得した現在位置と共有仮想タグ生成依頼者の現在位置とが所定距離以内であるか否かの判断がなされる。この所定距離とは,共有仮想タグをこの場所に生成するための同意を互いに得るためのコミュニケーションができる程度の距離であり,例えば10メートル程度の距離である。この所定距離以内でないと判断される場合としては,例えば,今回の共有仮想タグの生成を行う当時者以外の他人の共有仮想タグ用IDを不正に取得し,その他人の共有仮想タグ用IDを悪用してGPS時刻情報を用いた可変共有仮想タグ用IDを生成して送信した場合等のような,不正行為が考えられる。そのような場合には,S16dにより,NOの判断がなされて制御がS24に進み,前述と同様に,そのような不正行為を行ったユーザを特定して対処するための依頼を携帯キャリアに対して行う。 (段落」 【0054】)「一方,S16dによりYESの判断がなされた場合には,S17へ進み,ユーザデータベース11を検索して共有仮想タグ用IDからユーザIDを特定する処理がなされ,S18により,仮想タグデータベース9に,特定されたユーザIDとアクセス時に受信したユーザIDとを記憶させると共に,それらユーザIDに対応させて共有仮想タグのデータを記憶させる処理がなされる。このS18による記憶させた状態が,図3の仮想タグデータベース9における,ユーザIDがA4VZ12とB27FH8とに対応する共有仮想タグのデータである。」(段落【0055】)「次にS19により,その受信した現在位置のバーチャル世界に共有仮想タグを表示させる処理が行われる。その状態が,図1に示されている。ただ

5 し,この表示処理では,当該共有仮想タグを作成した当事者の携帯電話にしか表示されない。」(段落【0056】)「図8で説明したように,共有仮想タグ生成時におけるセキュリティ対策として,S16,S20~S24の時刻を利用した第一段階のセキュリティチェックと,S16a~S16d,S24に示した共有仮想タグ生成当時者の現在位置に基づいた第二段階のセキュリティチェックとを行っており,二重のセキュリティチェックによる高いセキュリティを確保することができる。」(段落【0057】)「この共有仮想タグへのアクセス処理のフローチャートを図10に示す。図10に示すように,ユーザが携帯電話2を操作して,前述したようにEEPROM42に記憶されている共有仮想タグのリストを表示部35に表示させた段階で,S80によりYESの判定がなされて,S81によるユーザIDを含む認証データがサーバ10に送信される。それを受信したサーバ10ではS82で本人確認がなされる。S83によるアクセス許可を受けたユーザは携帯電話2を操作して,アクセスする共有仮想タグを選択してクリックすると,S85による共有仮想タグへのアクセス要求がサーバ10へ送信される。」(段落【0064】)【図10】「サーバ10では,S86とS87による処理を行い,その結果,S88により,携帯電話2に,アクセスしてきた本人のユーザIDに対応する共有

5 仮想タグすなわちアクセス者が作成した自分の共有仮想タグのみが表示される。そのため,当該共有仮想タグの作成者以外の者のアクセスを阻止できる。また,仮にS86による検索結果,ユーザIDに対応する共有仮想タグが仮想タグデータベースに記憶されていなかった場合には,アクセスできない旨のメッセージを携帯電話2またはエージェントに返信する。また,図10では,S87,S88で示されているように,共有仮想タグの表示が,バーチャル世界ばかりでなくリアル世界においても行われる例を示している。バーチャル世界での共有仮想タグの表示方法としては,例えば携帯電話のカメラ機能を通してリアル世界を覗き見ることにより,所定箇所に共有仮想タグが表示されるように構成する方法が考えられる(セカイカメラ(登録商標)

5 と同様の方法)。」(段落【0065】)「また,ユーザが複数の共有仮想タグを生成している場合には,例えば時系列に従ってその複数の共有仮想タグとその作成位置とをリスト表示し,そのタグリストの内からユーザが選択クリックした共有仮想タグが付されているバーチャル世界にジャンプ移動できるようにすれば,ユーザの利便性が高まる。」(段落【0066】)「[第1実施の形態の変形例]次に,第1実施の形態の変形例を列挙する。」(段落【0082】)「(3) 前述の詳細な説明では,2人で共有仮想タグを作成する例を示したが,作成人数はこれに限らず,3人以上であってもよい。また,共有仮想タグの作成後,その共有仮想タグの作成当事者全員がアクセスを許容した

第三者が,後から当該共有仮想タグにアクセスできるようにしてもよい。ア

クセス制御の一例としては,先ずその第三者が共有仮想タグ作成者から当該共有仮想タグの正確な場所と作成日時とを通知してもらう。この情報は,アクセス許容対象となる共有仮想タグを特定するために必要となる。次に,共有仮想タグの作成当事者全員からアクセスを許容されたことの証拠として,その作成当事者全員から可変共有仮想タグ用IDを通知してもらう。そして,それら通知された情報をサーバ10に送信してアクセス権を許諾してもらう。」(段落【0088】)「(4) 共有仮想タグの共有者の1人のみが書込みかつ閲覧できるメモ機能を設けてもよい。このメモ機能により,例えば,相手方の第一印象や出会ったきっかけやそのときの状況等,相手に読まれたくない事柄をメモ(書込んで記録)して後から閲覧することができ,当該共有仮想タグにアクセスして相手方とコンタクトを取るか否かの判断材料にすることができる。(段」落【0089】)「(5) 前述の実施の形態では,バーチャル世界に共有仮想タグを表示

5 するものを示したが,それに限らず,バーチャル世界をなくし,ユーザ端末から直接コンタクト用共有ページにアクセス操作できるようにしてもよい。」(段落【0090】)「具体的には,前述した共有仮想タグ生成処理のフローチャートにおいて,S19のステップの代わりに,「受信した可変共有仮想タグ用IDから特定されるユーザIDの携帯電話と共有仮想タグ生成依頼者の携帯電話とに共有仮想タグを送信する」とのステップを用いる。この処理により,共有仮想タグがバーチャル世界ではなく当事者の端末(携帯電話等)に記憶さる。当事者は自分の携帯電話に記憶されている共有仮想タグのうち,アクセスしたいものを選択してクリックすれば,そのクリックした共有仮想タグの指定が前述のS90によりサーバ10に送信され,S91以降の制御が実行される。」(段落【0091】)「この簡易型システムの場合は,出会った場所等の所定の地理的位置のバーチャル世界に共有仮想タグが表示されない分,その地理的位置から出会い当時の記憶をたどることができなくなる。そこで,共有仮想タグの生成を行なった地理的位置を特定できる情報(住所等)とともに共有仮想タグを携帯電話に表示するのがよい。」(段落【0092】)「(6) 共有仮想タグの一方当事者による解約ができるようにしてもよい。携帯電話2からの解約要求情報(当人のユーザIDを含む)を受付けたサーバ10は,仮想タグデータベース9を検索して受信したユーザIDに対応付けて解約情報(フラグ等)を記憶させる。これにより,解約した共有仮想タグの相手方からの書込みがあったとしても,解約者の携帯電話2へのポップアップ通知を行わないように制御する。」(段落【0093】)「(8) 共有仮想タグの生成を相手に言いそびれたときにも,後からコンタクトできる途を用意しておくのが望ましい。例えば,まず,S32による位置データの更新ばかりでなく,過去の位置データと時刻データも履歴と

5 してユーザデータベース11に記憶しておく。そして,リアル世界,バーチャル世界,あるいはバーチャル世界とリアル世界との間で,相手と出会っている最中や出会って別れた時に,その出会った地理的位置と時間とを登録(出会い時点登録)しておき,後からコンタクトを取りたくなったときに,その登録した地理的位置と時間とに一致する相手を,サーバ10に検索してもらって,検索された相手にコンタクトの申し出を行なう(例えば,サービスプロバイダ8を介して相手に共有仮想タグ生成の申し出を行なう) 」。 (段落【0095】)「相手の検索は,ユーザデータベース11に記憶されている位置データと時刻データとの履歴データに基づいて,コンタクト申し出者が指定した出会った地理的位置と時間とに一致する履歴データの相手を特定する。地理的位置と時間との登録(出会い時点登録)としては,ユーザが携帯電話2を操作して,その携帯電話2自体に登録またはサーバ10によりユーザデータベース11に登録してもらう。登録する時間としては,相手と出会っている最中における任意の時刻,出会った時刻と別れた時刻,あるいは別れた時刻と出会っていた時間など,相手を検索するのに好都合なものがよい。この出会い時点登録は,なりすまし等によるコンタクトの申し出を防止するべく,出会い時点においてサーバ10によりユーザデータベース11に登録してもらうのが望ましい。その際,前述のS4~S7,S8を「出会い時点登録依頼操作」に変更したステップ,S9を「出会った地理的位置データと時間データとを送信して出会い時点登録の依頼」に変更したステップ,S10を「出会い時点登録処理」に変更したステップを実行する。そして,出会い時点登録処理では,送信されてきたユーザIDに基づいて出会い時点登録依頼者の現在位置を取得し,送信されてきた地理的位置データとが所定距離以内(例えば10メートル以内)であること,および,送信されてきた時間データと現在時刻とが許容範囲内であることを,条件として,送信されてきた地理的

5 位置データと時間データとをユーザデータベース11にユーザIDに対応付けて登録する。」(段落【0096】)「なお,共有仮想タグ生成の申し出に対して,相手方が同意すれば,出会った場所等に共有仮想タグが生成されるのであるが,相手方が,共有仮想タグ以外のコンタクト方法(例えば,メールアドレスや電話番号の通知)を望み,それに対して共有仮想タグ生成の申し出者が同意すれば,互いにメールアドレスや電話番号の交換を行なえばよく,必ずしも共有仮想タグを生成する必要はない。」(段落【0097】)「今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され,特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。」(段落【0306】)

(2) 本件特許請求の範囲及び本件明細書等における前記(1)の記載によると,本件各発明は,①初対面の人物同士が出会った後互いにコンタクトを取ることができるようにする際に,極力個人情報を明かすことなくコンタクトが取れるようにするためのコンピュータシステム(本件発明1~3)及びプログラム(本件発明4)に関する発明であって,②電話番号やメールアドレス等の個人情報を相手方に知らせることで相手方と連絡を取ることができる状態(連絡可能状態)を構築する従来の方法では,(a)個人情報を初対面の相手に知らせる点に不安を感じてためらいがちになり,後々の交流の機会を失わせる,(b)個人情報を通知した相手から昼夜を問わず連絡が入り,迷惑を被る,(c)相手に伝えた個人情報が横流しされ,成りすましやスパム等の被害を被る,(d)いったん伝えた個人情報を無効にするには電話番号の変更等の厄介な作業を伴うという課題があることから,相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる理想的な連絡可能状態を構築す

5 る手段を提供することを目的として,③現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作し,コンピュータを利用して交流を行うに当たり,コンピュータ(サーバ)が各ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末を新たな交流先として交流先のリストに追加して表示させ,ユーザが表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,指定された相手との間でメッセージを送受信できるようにするなどの構成を採用することで,④互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるという効果が得られるようにしたことを特徴とする発明であると認められる。また,本件発明2~4は,前記交流先のリストに新たな交流先を追加するに先立ち,ユーザ端末の所持者の一方が相手方に対して交流の申出を行い,相手方も交流に同意することを要するという特徴を有すると認められる。さらに,本件各発明は,前記選択指定した者が指定された相手に対しメッセージを送信すると,同人のユーザ端末にメッセージの入力がされた旨のポップアップ通知がされるが,本件発明1は,これに加え,互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージが送信されても,ポップアップ通知を行わないように制御するという特徴を有すると認められる。

2 争点1-1(構成要件A,L及びU(「現実世界で出会ったユーザ」等)の充足性)について(1) 構成要件の内容本件発明1の構成要件A及び本件発明3の構成要件Lは,「現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュ

5 ータシステムであって,」であり,本件発明4の構成要件Uは,「現実世界で出会ったユーザ同士がコンピュータを利用して交流を行うためにユーザ端末により実行されるプログラムであって,」である。(2) 被告システム等の構成証拠(甲12,17,18,25,27,41,73,74,90,102,105,108,乙53)及び弁論の全趣旨によると,被告システム等は,①近くにいる被告アプリのユーザ同士が,互いのスマートフォンの位置情報サービスをオンにして被告アプリによる利用を許可し,被告アプリを起動した状態で,それぞれが,被告アプリの「友だち追加」画面において,被告システム等の友だち登録手段の一つである「ふるふる」を選択して,同時に互いのスマートフォンを振る(シェイクする)か画面にタッチして,各自のスマートフォンに相手のユーザネーム等が表示されたら,互いに「追加」ボタンを押下して友だちに追加する処理(以下「友だち追加」という。)を行うことで,両者が友だち登録され,②友だち追加を行ったユーザ同士のスマートフォンの画面上の「友だちリスト」には,当該友だち追加処理により友だち登録された者のユーザネームとアイコン(例えば,被告システム等図面【図4】の「カンカン」と「IIJのLine」,【図40】の「ジャスティス」と【図42】の「テミスX1」)を含む複数の友だちやグループ(以下,併せて「友だち等」という。)のリストが表示され,③表示された友だち等のリストの内から,トークルームにおけるトークをしたい友だち等を選んでタップし,トークボタンをタップすることで,その友だち等とのトークルームが表示され,同ユーザと選択された友だち等の間で,それぞれがスマートフォンを操作して文字等を入力してメッセージを作成することができ,④作成したメッセージを送信する操作を行い,メッセージの内容を互いに受信することで,トークルームにおいて,両者の会話の形式で閲覧してコミュニケーションを図ることができ,⑤その際,ユーザ間のメッセージの送受信は,インターネットを通じて被告サーバに送られ,被告サー

5 バがその旨を相手方ユーザに通知するなど,インターネットのネットワークを介して行われるものであると認められる。このように,近くにいる被告アプリのユーザ同士は,それぞれのスマートフォンを操作して友だち登録をすることで,被告サーバというコンピュータを利用してコミュニケーションを図ることができるようになるものと認められる。

(3) 被告システム等の構成要件該当性被告は,被告システム等における「近くにいるユーザ」は,構成要件A等における「現実世界で出会ったユーザ」とは異なるから,被告システム等は構成要件A等を充足しないと主張する。しかし,前記(2)のような友だち追加を行うためには,友だち登録をしようとするユーザ同士が,互いに意思疎通のできる近距離にいるのが通常と考えられるから,被告システム等の「近くにいるユーザ同士」は本件各発明の「現実世界で出会ったユーザ同士」に相当する。そして,「ふるふる」による友だち追加処理は,かかるユーザ同士がユーザ端末を操作することによりなされ,これによる友だち登録の結果,被告のサーバ及びインターネットのネットワークを介してのコミュニケーションによる交流が可能になるのであるから,被告システムは,「現実世界で出会ったユーザ同士」が「ユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステム」(構成要件A及びL)に相当する。さらに,かかるユーザ同士が,互いのスマートフォンにインストールされた被告アプリにおいて友だち追加を行うことで,被告アプリに係る所定のプログラムが実行されて友だち登録がされ,被告サーバ(コンピュータ)を利用した交流が行われることになるのであるから,被告アプリは,「現実世界で出会ったユーザ同士」が「コンピュータを利用して交流を行うためにユーザ端末により実行されるプログラム」(構成要件U)であるということができる。

5 したがって,被告システム等は,構成要件A,L及びUを充足する。

3 争点1-2(構成要件B,M及びX1(「交流先のリスト」等)の充足性(争点1-2))について(1) 構成要件の内容本件発明1の構成要件Bは,「互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士が交流できるようにするための複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段と,」であり,本件発明3の構成要件Mは,「複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段と,」である。また,本件発明4の構成要件X1は,「複数の交流先のリストを表示するための交流先リスト表示制御ステップと,」である。(2) 「交流先のリスト」等の意義ア 本件特許請求の範囲の記載によれば,「交流先のリスト」は,ユーザがそこに表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,選択した者が選択指定された相手に対しメッセージを送信するために用いられるものであり(構成要件C,F,N,Q,X2,Y2等),また,コンピュータ側からの制御に基づいてユーザ端末に表示されるものであって,このことにより,ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにするものである(構成要件H,S及びΓ)と認められる。そして,本件明細書等によれば,前記1(1)のとおり,本件各発明の目的は,相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できるという理想的な連絡可能状態を構築する手段を提供することであるとされている(段落【0005】,【0006】)。そうすると,「交流先のリスト」に「連絡先の個人情報」が含まれていた

5 のでは,本件各発明の目的を達成することができないことが明らかであるから,「交流先のリスト」は「連絡先の個人情報」を含まないものと認められる。イ 次に「連絡先の個人情報」の内容につき検討するに,本件発明1~3は,「現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステム」(構成要件A及びL)に関する発明であり,本件発明4は,「現実世界で出会ったユーザ同士がコンピュータを利用して交流を行うためにユーザ端末により実行されるプログラム」(構成要件U)に関する発明である。そして,本件明細書等においては,ネットワークを介してコミュニケーションによる交流をするための従来技術として,自分の携帯電話のメールアドレスまたは電話番号を相手に知らせて連絡を取ることができる状態にし,知得した相手方のメールアドレスなどを自分の携帯電話のアドレス帳に記憶させ,ユーザの操作に応じて一覧表示させることのできる携帯電話の例が挙げられているところ(段落【0002】),本件各発明の目的は,相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できるという理想的な連絡可能状態を構築する手段を提供することであるとされている(段落【0005】及び【0006】)。また,本件各発明に係る構成によれば,「相手とコンタクトが取れるようにするにおいて,個人情報を相手に通知しなくても後々コンタクトが取れるようになる」とされている(段落【0008】~【0010】)。そうすると,本件各発明における「連絡先の個人情報」とは,メールアドレスや電話番号(以下,併せて「メールアドレス等」という。)のように,コンピュータを利用したネットワークを介してのコミュニケーションによ

5 る交流のために必要な,相手方を特定するための情報であって,それを知得して利用することで上記交流をすることが可能となるものをいうと解すべきである。ウ 被告は,上記各要件の「交流先のリスト」に相当するのは,共有仮想タグ等のリスト以外にあり得ないと主張するが,本件各発明に係る特許請求の範囲には「交流先のリスト」と記載されているにすぎず,これを「共有仮想タグ等のリスト」と限定的に解釈すべき理由はない。エ また,被告は,「交流先のリスト」に表示される情報は,個々のユーザが従前から保有している既存の情報(ID)の表示ではなく,交流開始条件が満たされていると判定されることを契機として初めて生成される情報の集合でなければならないと主張するが,本件各発明に係る特許請求の範囲には「交流先のリスト」に表示される情報が新たに生成される情報に限られる旨の記載はなく,交流先の同リストが「連絡先の個人情報」を含まないのであれば,「交流先のリスト」に表示される情報の生成時期を問わないというべきである。(3) 被告システム等の構成要件該当性ア 上記(2)を踏まえ,被告システム等が「交流先のリスト」を備えるかどうかについて検討するに,被告システム等においては,「複数の友だちのリスト」が表示されるところ,このリストには,友だち等のユーザネーム等が表示される。そして,証拠(甲32,乙53)及び弁論の全趣旨によると,①被告システムにおいては,個々のユーザごとにもともと設定されていたユーザ識別子と,これに紐付けられたユーザネーム等が,被告サーバを介してユーザ端末(スマートフォン)間で交換されることでトークルームにおけるメッセージのやり取りなどによる交流が可能となること,②各ユーザは,ユーザ端末上に表示された複数の友だちのリストやトークルーム等にお

5 いて,ユーザネーム等を認識することはできるものの,自ら及び他人のユーザの識別子を認識することはできないこと,③ユーザネーム等のみを知っているだけでは,被告システムによる交流をすることができないことが認められる(なお,ユーザ識別子が「連絡先の個人情報」に当たることについては,当事者間に争いがない。)。このように,被告システムにおいて,ユーザ端末に表示される「複数の友だちのリスト」にユーザネーム等は表示されるものの,ユーザ識別子は表示されず,ユーザネーム等を知得して利用することで,被告システムによる交流(コンピュータを利用したネットワークを介してのコミュニケーションによる交流)をすることはできないのであるから,ユーザネーム等(ユーザネームとアイコン)は,「連絡先の個人情報」には当たらないというべきである。そうすると,被告システム等における「複数の友だちのリスト」 「連は,絡先の個人情報」を含むものではなく,構成要件B,M及びX1の「交流先のリスト」に当たると認められる。イ 被告システムが「複数の友だちのリスト…をユーザに表示させるための制御を行うリスト表示機能」を有することからすれば,被告システムにおいてかかる表示をするための制御が行われていることは明らかであるから,被告システムは,「複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行う交流先リスト表示制御手段」を具備していると認められる。また,被告アプリは,「複数の友だちのリスト…を表示するためのリスト表示ステップ」を有しているから,「複数の交流先のリストを表示するための交流先リスト表示制御ステップ」を具備していると認められる。

(4) したがって,被告システムは構成要件B及びMを,被告アプリは構成要件X1をそれぞれ充足する。

4 争点1-3(構成要件C,N及びX2(「メッセージを送受信」等)の充足性)

5 について(1) 構成要件の内容等本件発明1の構成要件C及び本件発明3の構成要件Nは「ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と,」であり,本件発明4の構成要件X2は,「ユーザが前記表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知ステップと,を含み,さらに,」である。(2) 「メッセージを送受信」の意義被告は,本件各発明の「メッセージを送受信」とは,「当該ユーザ間の共有仮想タグを選択指定してアクセスすることのできるWebページ等のネットワーク上の書込み・閲覧手段への書き込みとその閲覧によるメッセージの送受信」を意味すると主張する。確かに,本件明細書等には,「ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し(たとえば,S89,S90),該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段(たとえば,共有仮想タグに対応したWebページにS93で書込んだ内容をS94で記憶し,図1の(A氏書き込み)(B氏書き込み)等を閲覧することによりメッセージを送受信して,または,音声仮想タグは,メッセ

5 ージを音声で伝えることができる仮想タグである。 と,) 」(段落【0008】 ,)「ユーザは,表示された共有仮想タグの周辺の景観をバーチャル世界の映像で確認し,相手と出会った場所を確かめ,その場所から相手の記憶を蘇らせることができる。これにより,相手の個人情報を知らなくても出会った相手の記憶を蘇らせることができ,その上で,当該共有仮想タグにアクセスするか否かを決めることができる。ユーザがその共有仮想タグをクリックしてアクセスすれば,後述するS90~S94の処理により,コンタクト用のwebページが表示され,書込みおよび閲覧が可能になる。」(段落【0042】)等の記載がある。しかし,本件特許請求の範囲においては,構成要件C等における「メッセージを送受信」は,複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合って行うものとされているのみで,これ以上に「メッセージを送受信」する方法や手段を限定するような記載はない。そうすると,被告が主張するような限定的な解釈を行う根拠はないというべきである。(3) 被告システム等の構成被告システム等においては,前記2(2)のとおり,ユーザのスマートフォンの画面に表示された友だち等のリストの内から,トークルームにおけるトークをしたい友だち等を選んでタップし,トークボタンをタップすることで,その友だち等とのトークルームが表示され,同ユーザと選択された友だち等の間で,それぞれがスマートフォンを操作して文字等を入力して送信した内容を互いに受信し合って,トークルームにおいて,両者の会話の形式で閲覧してコミュニケーションを図ることができるものと認められる。そうすると,被告システム等は,構成要件C及びNの「該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合

5 ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段」との構成,及び,構成要件X2の「該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知ステップ」との構成を充足する。したがって,被告システム等は,構成要件C,N及びX2をそれぞれ充足する。

5 争点1-4(構成要件E,P及びY2(「必要条件」等)の充足性)について(1) 構成要件の内容本件発明1の構成要件Eは,「該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段と,を備え,」であり,本件発明3の構成要件P及び本件発明4の構成要件Y2は,文言のわずかな相違はあるが,これと同旨である。(2) 「必要条件」の意義被告は,上記「必要条件」に関して,本件特許の出願経過における原告の上申書(乙15)の記載を根拠に,本件明細書等の段落【0095】~【0097】に記載の「出会い時点登録」の構成を備えなければ,本件各発明の技術的範囲に属しない旨の主張や,所定時間中に所定時間内に位置するユーザ端末が検索された後に交流の申出と同意が行われない場合は, 「必要条件」 「必上記 は要十分条件」と解される旨の主張をする。しかし,一般に「必要条件」とは,Pが成り立たなければQも成り立たないという関係があるときに,PがQの必要条件であるとの意義で用いられる語であるところ(広辞苑),本件特許請求の範囲は,「該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたこと」以外の条件を排

5 除しておらず,本件明細書等の段落【0095】~【0097】に記載された構成を備えることが必須であるということもできない。被告は,原告が本件特許の出願中に特許庁に提出した意見書(乙15)について言及するところ,同意見書は,原出願である特願2017-123111号の特許請求の範囲を「所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを条件として」としていたのを「所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として」と改めたことに関し,同変更は,所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたという条件が原出願においても「必要条件」であったことを明らかにしたものにすぎず,上記結論を左右しない。(3) 被告システム等の構成要件該当性被告システム等が「スマートフォン(2)のGPS位置情報を取得し,該GPS位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)を検索する機能(図3,図38)と,」との構成(構成d及びo)を有することにつき当事者間に争いがなく,各自のスマートフォンに相手のユーザネーム等が表示されるのは,GPS位置情報に基づき検索する機能により相手のスマートフォンが所定時間中に所定距離内に位置するものとして検索されたことによるものと認められる。そうすると,被告システム等は,「該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたこと」を「必要条件」として,「該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段」を備えているということができる。したがって,被告システム等は,構成要件E,P及びY2をそれぞれ充足する。

6 争点1-5(構成要件F,Q及びX3(「メッセージが入力された旨のポップ

5 アップ通知」等)の充足性)について(1) 構成要件の内容本件発明1の構成要件Fは「前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行する一方,」であるが,本件発明3の構成要件Qもこれと同旨であり,本件発明4の構成要件X3は「前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末の前記報知部にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行い,」である。(2) 被告システム等の構成要件該当性証拠(甲17,72,90,122,123,141)によれば,被告アプリのユーザが,スマートフォンの設定において,被告アプリの通知を許可した上で,被告アプリの設定において「通知」を選択し,「新規メッセージ」をオンにするなど,被告アプリにおいてメッセージの通知に関する所定の設定を行うことで,友だち等が送信したメッセージを受信した際に,スマートフォンの画面に「新着メッセージがあります。」旨やメッセージの内容等のポップアップを表示させたり,させなかったりすることができると認められる。そうすると,被告システム等は,「メッセージが入力された旨のポップアップ通知を行う」ものであるということができる。(3) 被告の主張についてこれに対し,被告は,被告は,被告システム等において,メッセージが送信された場合,その相手ユーザのスマートフォンの画面には,メッセージの内容そのものが表示されるのであって,「メッセージが入力された」旨の通知が行われるわけではないから,被告システム等は構成要件F等を充足しないと主張

5 する。しかし,メッセージの内容そのものが表示された場合であっても,かかる表示によりメッセージを受信したことを認識し得るのであるから,それは「メッセージが入力された」旨の通知に当たるということができ,また,設定の仕方により,「新着メッセージがあります。」というメッセージが入力された旨の表示をさせることも可能なのであるから,メッセージが入力された旨の通知が行われるということができる。したがって,被告システム等は,構成要件F,Q及びX3をそれぞれ充足する。

7 争点1-6(構成要件G(「ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,…ポップアップ通知を行わないように制御し」等)の充足性)について(1) 構成要件の内容等本件発明1の構成要件Gは,「前記交流先として指定されて互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても前記ポップアップ通知を行わないように制御し,」である。(2) 被告システムの構成要件該当性前記6(2)のとおり,被告アプリのユーザが,被告アプリにおいてメッセージの通知に関する所定の設定を行うことで,友だち等が送信したメッセージを受信した際に,スマートフォンの画面に「新着メッセージがあります。」旨やメッセージの内容等のポップアップを表示させたり,させなかったりすることができることが認められる。そうすると,被告システムは,「ユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,…ポップアップ通知を行わないように制御し」との構成を有するものと認められる。(3) 被告の主張について

5 被告は,被告システムにおいてブロックの操作が行われた場合,一方がメッセージを送信しても,他方のスマートフォンに当該メッセージ自体が受信されないように制御しているのであって,メッセージを受信した際にメッセージを受信したことが通知されないように制御しているのではないから,構成要件Gを充足しないと主張する。しかし,被告システムにおいては通知ポップアップのOFF機能を使用することにより,送信されたメッセージは表示されるが,通知ポップアップは表示されないようにすることが可能であると認められる上(甲141) そもそも,,同構成要件は,「他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても前記ポップアップ通知を行わないように制御し」と規定するのみで,メッセージの受信の有無について規定するものではない。したがって,被告の主張は理由がない。

8 争点1-7(構成要件H,S及びΓ(「前記コンピュータ側からの制御に基づいて」 「ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく」, 等)の充足性)について(1) 構成要件の内容本件発明1の構成要件H及び本件発明3のSは,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,」であり,本件発明4の構成要件Γは,上記の「前記ユーザ端末」が「前記表示部」となっているが,これはユーザ端末の表示部であることが明らかであるから,これらはいずれも同一の内容を規定したものと認められる(2) 「交流先のリストを…ユーザ端末に表示させることにより,…ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,」との構成について前記3のとおり,本件特許請求の範囲の「交流先のリスト」は「連絡先の個

5 人情報」を含まないと解されるところ,被告システム等においては,ユーザ端末に表示される「複数の友だちのリスト」にユーザネーム等は表示されるものの,「連絡先の個人情報」に該当するユーザ識別子は表示されないので,「連絡先の個人情報」を知らせ合うことなくメッセージを送受信することによりコミュニケーションをすることができるということができる。そうすると,被告システム等は, 「交流先のリストを…ユーザ端末に表示させることにより,…ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,」との構成を備えているということができる。(3) 「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させる」との構成について前記第3の2(被告の主張)(2)によれば,被告システム等において,ユーザが,友だちを追加登録する場合,サーバが,友だち登録しようとする各ユーザの端末から相手方を友だちに追加する友だち追加申請を受けて,各リクエストのマッチングをし,両端末を友だちとして登録した上で,同各ユーザの端末に,各相手方が友だちとして登録された旨を通知することで,同各端末に友だち追加されたユーザが表示されるようになるものと認められる。これによれば,被告システムのサーバは,単に端末間の情報伝達を介するのみならず,「複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御」を行っているということができる。(4) 被告の主張についてア 被告は,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させる」という本件特許請求の範囲の記載は,「連絡先の個人情報」が端末間で交換されておらず,端末に「連絡先の個人情報」が記憶されていないことを意味すると主張する。しかし,本件発明1の構成要件H及び本件発明3の構成要件Sは,「前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端

5 末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,」というものであり,「連絡先の個人情報が端末間で交換されないこと」又は「端末に連絡先の個人情報が記憶されていないこと」を要件として規定するものではないので,被告の上記主張は採用し得ない。イ また,被告は,本件各発明における「コンピュータ側からの制御に基づいて」との発明特定事項は,単にサーバを介して端末間で情報伝達がなされ,端末にリストが表示される構成を含むものではないところ,被告システム等においては,相手のユーザ識別子とユーザネーム等がサーバを介して端末に通知され,友だちリストに当該ユーザネーム等が表示されるにすぎないので,当該発明特定事項を充足しないと主張する。しかし,被告システム等においては,前記のとおり,友だち追加申請を受けて,各リクエストのマッチングをし,両端末を友だちとして登録した上で,同各ユーザの端末に,各相手方が友だちとして登録された旨を通知するものであって,各ユーザが出会った後である友だち申請後に,サーバにおいてマッチングの上で友だちと登録され,その情報が各ユーザの端末に通知され,これに基づき各端末に友だちとして追加されて表示されるのであるから,単にサーバを介して端末間で情報伝達がなされるにすぎないということはできない。したがって,被告の主張は前提を欠くものであって,理由がない。

(5) したがって,被告システム等は,構成要件H,S及びΓをそれぞれ充足する。

9 争点1-8(構成要件J,R及びZ(「一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行う」等)の充足性)について(1) 構成要件の内容本件発明2の構成要件Jは,「前記交流先追加手段は,前記検索手段により

5 前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行う,」であり,本件発明3の構成要件R及び本件発明4の構成要件Zも,末尾が「行い,」となっている点が相違するだけであるから,構成要件Jと同旨である。(2) 被告の主張について上記各構成要件の充足性に関し,被告は,被告システム等が「出会い時点登録」の構成を備えていないから,同各構成要件を充足しないと主張するが,かかる構成を要しないことは前記5のとおりであるから,被告の主張は理由がない。(3) 被告システム等の構成要件充足性被告システム等は,「前記追加機能は,前記検索する機能により所定時間中に所定距離内に位置するスマートフォン(2)が検索された場合に,…前記友だちリスト追加処理を行う」(構成j等)との構成を備え,当該友だちリスト追加処理は,「当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより」(同各構成)行われるものと認められるので,被告システム等は,構成要件J,R及びZをそれぞれ充足する。

10 争点2-1(乙5公報に基づく進歩性欠如)について(1) 乙5発明の内容等ア 乙5公報の特許請求の範囲や,明細書及び図面(以下,併せて「乙5明細書等」という。)には,以下の記載がある。(ア) 特許請求の範囲「不特定多数の利用者が携帯する出会い支援装置であって,ある一方の利用者が自己の趣味嗜好の識別方法を設定する設定部と,前記趣味嗜好の

5 識別信号を送信する送信部と,他方の利用者が携帯する出会い支援装置に設けられた送信部から送信された識別信号を受信し,前記他方の利用者によって送信された識別信号と一方の利用者によって設定された趣味嗜好の識別信号とが一致することを選定する同調回路を備える受信部と,趣味嗜好が一致した場合に両利用者に告知する告知部とを具備するとともに,前記識別信号を受信することにより両利用者の近接を検出し,趣味嗜好が一致する利用者同士が近接することを前記告知部により利用者に告知することを特徴とする出会い支援装置。」(【請求項1】)「前記請求項1に記載の出会い支援装置の構成にUSBポート及び履歴情報保存部が付加されたUSBポート付出会い支援装置と,前記USBポート付出会い支援装置の利用者が使用するとともに,インターネットに接続可能な端末と,インターネットを介して前記端末と情報の送受信が可能なサーバコンピュータとを備えている出会い支援システムであって,前記USBポート付出会い支援装置が,前記端末に備えられたUSBコネクタに接続するためのUSBポートと,趣味嗜好が一致する各利用者間の出会い情報の履歴を保存することが可能な履歴情報保存部とを備えており,前記端末が,前記サーバコンピュータに記憶されている情報を受信することができるとともに,前記サーバコンピュータに情報を送信することができるブラウズ手段と,前記USBポート付出会い支援装置を差込可能なUSBコネクタとを備えており,前記サーバコンピュータが,前記利用者に関する情報を記憶する会員情報記憶部と,趣味嗜好が一致した各利用者間における出会い情報を記憶する出会い情報記憶部と,各利用者が送受信したメッセージ及びメモ情報を記憶メッセージ・メモ記憶部

5 と,前記端末から入力された情報の各記憶部への登録,各利用者の認証,又は各記憶部に記憶されている情報の検索等を行なうデータベース管理手段と,Webページを介して前記端末から入力された各種情報の前記データベース管理手段への伝達,又はデータベース管理手段から出力されたWebページの生成等を行なう入出力手段とを備えていることを特徴とする出会い支援システム。」(【請求項3】)(イ) 技術分野「本発明は,出会いの初期段階においては相手に個人情報を認知されることなく,利用者相互間,特に男女相互間で趣味嗜好が一致する出会いの可能性を向上させ,且つ,後にインターネットを介してメッセージの交換等を可能とすることにより,利用者の出会いを支援することが可能な出会い支援装置及び出会い支援システムに関する。」(段落【0001】)(ウ) 背景技術「戸外,特に繁華街等において…,面識のない異性或いは同姓との会話,食事,映画又はドライブ等を共にしたいとの願望を持つことがある。また,パーティー会場等においても趣味嗜好が一致する同姓又は異性と知り合いたいとの願望を持つ者も多い。そして従来,そのような出会いを支援することを目的とした装置又はシステムが提供されている。」(段落【0002】)(エ) 発明が解決しようとする課題「しかしながら,特許文献1に記載の技術では,自己のキー・データ及び相手のキー・データが一致した場合,…自己の移動携帯端末の告知手段によって趣味が一致する旨を知らせてくれるものの,同時に自己の電話番号等の重要な個人情報が相手の移動携帯端末に送信されてしまうため,後の連絡手段としての活用が可能となるものの,面識のない相手に自己の重要な個人情報が認知されてしまうという問題があった。」(段落【000

5 6】)「また,特許文献2に記載の技術では,上記特許文献1と同様の問題点とともに,好みの場所で普段すれ違う程度の身近な人から出会いを探すことは可能であるが,繁華街等において面識がなく趣味嗜好が一致する者との出会いを支援することができないという問題があった。」(段落【0009】)(オ) 発明の効果「請求項1に記載の出会い支援装置によれば,出会いの初期段階においては相手に重要な個人情報を認知されることなく,利用者相互間,特に男女相互間で趣味嗜好が一致する出会いの可能性を向上させることができる。」(段落【0014】)「また,請求項3に記載の出会い支援システムによれば,上記出会い支援装置によって出会った各利用者が,後にインターネットを介してメッセージの交換等を可能とすることにより,利用者間をより親密にさせる出会いの場を支援することが可能となる。」(段落【0016】)(カ) 発明を実施するための最良の形態「以下,図面に基づいて本発明を具体的に説明する。図1は,本発明に係る出会い支援装置1の構成を示すブロック図である。本発明に係る出会い支援装置1は,携帯電話のストラップ等として使用可能な程度の大きさの微弱電波機器或いは小電力無線機等からなり,趣味嗜好の識別方法を設定する設定部2,前記設定部2で設定された趣味嗜好の信号を送信する送信部3,不特定多数の者から送信された信号を受信する受信部4及び近傍に趣味嗜好等が一致する異性等がいることを告知する告知部5から構成される。」(段落【0017】)【図1】

5 「図2は,利用者が本発明に係る出会い支援装置1を使用している状態を説明する模式図である。出会い支援装置1の利用者Aが男性であって,利用者Bが女性であり,趣味嗜好を識別する発振周波数が,仮に1000kHz=「ドライブに付き合ってほしい。」,1200kHz=「ドライブに誘ってほしい。」と設定されている。ここで,利用者Aは繁華街等で自動車を運転中にドライブに行きたい女性を探しており,また利用者Bは繁華街等で歩行中にドライブに連れて行ってくれる男性を探していたとする。」(段落【0022】)【図2】「このとき,出会い支援装置1の利用者A及び利用者Bが所定の距離以内に近づくと,互いの受信部が夫々送信された電波を受信して近接を検出

5 し,同調回路4aにより送信周波数及び設定周波数が一致することを識別する。そして,夫々の告知部5の出力回路5aであるLEDが発光し,利用者A及び利用者Bに告知する。また,ここで発光パターンの点滅速度や光の強弱を調節すれば,蛍の求愛活動のように,お互いの出会いへの願望の強さの度合いも表現することが可能である。」(段落【0023】)「以上のように構成することにより,出会いの初期段階においては相手に重要な個人情報を認知されることなく,利用者相互間,特に男女相互間で趣味嗜好が一致する出会いの可能性を向上させることが可能となる。」(段落【0026】)「しかしながら,上述の出会い支援装置1が利用者相互間の趣味嗜好の一致及び利用者の近接により繁華街等で発光したとしても,急な用事で急いでいる場合や男性利用者がシャイな場合等には,その場で声を掛けることができない場合もある。そこで,請求項3に記載の出会い支援システム101を提供し,以下に説明する。」(段落【0027】)「図3は,出会い支援システム101の構成を示す図である。該出会い支援システム101は,利用者のPC端末102と,会員センター103と,USBポート付出会い支援装置11とから構成される。」(段落【0028】)

5 【図3】「出会い情報記憶部105bは,繁華街等の戸外で趣味嗜好等が一致する異性等と利用者が近接した「出会った時刻」及び「出会った相手ID」を表形式で利用者毎に記憶している。」(段落【0034】)「USBポート付出会い支援装置11は,上記出会い支援装置1で説明した設定部2,送信部3,受信部4及び告知部5を具備するとともに,図3中の拡大図部分で示したように,USBポート11a及び履歴情報保存部11bが設けられている。該履歴情報保存部11bには,利用者の自己のID情報とともに,繁華街等の戸外で近接して「出会った時刻」 「出及び会った相手ID」情報の履歴情報が保存される。」(段落【0038】)「図4は,出会い支援システム101の動作を説明する図である。(1)利用者Aは,繁華街等の戸外で「出会った時刻」 「出会った相手ID」及びの履歴情報が保存されたUSBポート付出会い支援装置11のUSBポート11aを,利用者のPC端末102に設けられているUSBコネクタ102aに差込む。利用者Aは,PC端末102からインターネットを介して会員センター103のID及びパスワード入力画面に接続し,利用者A固有のID「1234」及びパスワードを入力する。」(段落【0040】)【図4】「(2)会員センター103は,データベース管理手段105dが会員情報記憶部105aに記憶された会員情報を参照し,利用者Aによって入力されたID及びパスワードの認証を行った後,利用者Aが正当な利用者であれば会員センター103内へのログインを許可する。」(段落【0041】)「(3)会員センター103へのログインが許可された利用者Aは,履歴情報保存部11bに保存された履歴情報をPC端末102及びインターネットを介して会員センター103に送信する。会員センター103は,出会い情報記憶部105bに履歴情報を読み取り保存する。」(段落【0042】)「(4)履歴情報を読み取った会員センター103は,履歴情報保存部11bに保存された相手方IDが実在する会員IDであるかを検証した後,利用者Aに対して,メッセージ機能及びメモ機能のサービスを提供する。」(段落【0043】)

5 「(5)利用者Aは,上記メッセージ機能を活用し,繁華街等の戸外で出会い履歴情報保存部11bに保存された中で気に入った相手IDに対してメッセージを送信する。ここでは,利用者Aが10時5分に出会った相手ID「5678」に対するメッセージを会員センター103へ送信する。」(段落【0044】)「(6)会員センター103は,利用者Aから会員センター103に送信されたID「5678」に対するメッセージをデータベース管理手段105dにより,メッセージ・メモ記憶部105cに保管する。」(段落【0045】)「(7),(8)及び(9)一方,利用者Bも,利用者Aと同様に,USBポート付出会い支援装置11のUSBポート11aを,利用者のPC端末102に設けられているUSBコネクタ102aに差込んで,PC端末102からインターネットを介して会員センター103のID及びパスワード入力画面に接続し,利用者B固有のID「5678」及びパスワードを入力して会員センター103内にログインする。そして,会員センター103には,履歴情報保存部11bに保存された「出会った時刻」及び「出会った相手ID」が送信される。」(段落【0046】)「(10)また,履歴情報を読み取った会員センター103は,利用者Bが利用するUSBポート付出会い支援装置11の履歴情報保存部11bに保存された相手方IDが実在する会員IDであるかを検証した後,利用者Bに対して,メッセージ機能及びメモ機能のサービスを提供するが,利用者Bには,それとともに利用者Aからの自分宛メッセージがある旨の通知が同時になされる。」(段落【0047】)「(11)利用者Aからのメッセージを受信した利用者Bは,利用者Aに対して返信メッセージを送信する。なお,利用者Bが利用者Aに対して好意を抱いていない場合には,返信メッセージを送信する必要はない。」

5 (段落【0048】)「利用者Bから利用者Aに対して送信された返信メッセージについては,上記利用者Bと同様に,利用者Aに対して返信メッセージがある旨の通知がなされ,これらの処理を繰り返すことにより,利用者A及び利用者B間でお互いにメッセージの交換が可能となる。」(段落【0049】)「上述のように,利用者A及び利用者B間でのメッセージ交換を繰り返し,お互いに夫々気に入れば,本名を明かしたり,お互いの電話番号又はメールアドレスの交換等をしたりすることにより,利用者A及び利用者B間の親密度が進展する。これにより,初期段階では重要な個人情報を知られることなく,趣味嗜好の一致する異性等との出会いの機会を支援することが可能となる。」(段落【0050】)「図5は,利用者AのPC端末102のモニタに表示されるメッセージ機能画面110及び利用者BのPC端末102のモニタに表示されるメッセージ機能画面111を説明する図である。本発明に係る出会い支援システムでは,所謂出会い系サイトとは異なり,利用者相互に繁華街等の戸外で一度すれ違っているか或いは面識があるため,また趣味嗜好が一致する者同士であるため,親近感が沸き易く,お互いにメッセージの送信が気兼ねなく容易となる。」(段落【0053】)【図5】「メッセージ機能画面110は,上記図4に示したフロー図における利用者AのPC端末102のモニタに表示されたメッセージ機能画面であ

5 る。本実施例において,メッセージ機能画面110には,出会った「時刻」欄,出会った「相手ID」欄,「メッセージ記入」欄及び「送信」ボタン欄が設けられている。」(段落【0054】)「利用者Aは,10時5分に出会った相手であるID「5678」に対してメッセージを送信したい場合には,該当するメッセージ記入欄に「一度お会いしませんか?」等のメッセージを記入し,該当する送信ボタン110aをクリックしてメッセージを送信する。」(段落【0055】)「メッセージ機能画面111は,上記図4に示したフロー図における利用者BのPC端末102のモニタに表示されたメッセージ機能画面であり,利用者Aのメッセージ機能画面110と同様に各欄が設けられている。また,10時5分に出会ったID「1234」欄には,該IDから自己宛にメッセージが届いている旨が表示されている。」(段落【0056】)「利用者Bは,メッセージが届いている旨に続いて表示された「読む」リンクをクリックすることで利用者Aからの自分宛メッセージを詳細に読むことができる。そして,利用者Bは,利用者Aに対してメッセージを返信したい場合には,該当するメッセージ記入欄に「では,今度の土曜日に梅田で会いましょう。」等のメッセージを記入し,該当する送信ボタン

5 111aをクリックしてメッセージを返信することができる。 (段落」 【0057】)「以上のように構成することにより,出会いの初期段階においては相手に重要な個人情報を認知されることなく,利用者相互間,特に男女相互間で趣味嗜好が一致する出会いの可能性を向上させ,且つ,後にインターネットを介してメッセージの交換等を可能とすることにより,利用者の出会いの機会を支援することが可能となる。」(段落【0061】)「また,上記実施例の出会い支援装置1では,利用者間の近接を検出した場合には即座に告知部5が発光して該近接を告知していたが,即座に告知部5を発光させる必要はなく,一旦振動や文字等で接近を告知するようにしてもよい。すなわち,振動等により趣味嗜好が一致する者の近接を認知した利用者は,近接する相手の利用者の外見等が自己の好みであるかを判断してから告知部5を発光させる2ステップ化の構成にしてもよい。」(段落【0064】)「また,上記実施例の出会い支援システム101では,PC端末はパソコンを使用したが,これ以外の専用端末,ゲーム機,携帯可能なPDA等であってもよく,会員センター103の各種記憶部又は手段が複数のコンピュータの記憶装置に分散配置されていてもよい。 (段落」 【0065】)イ 乙5公報の上記記載によれば,乙5公報には,以下の発明が記載されていると認められる。「繁華街等の戸外で出会った者同士が,USBポート付出会い支援装置11を差し込んだPC端末102を操作することにより,会員センター103(サーバコンピュータ)を利用してインターネットを介してメッセージを交換等して利用者の出会いの機会を支援する出会い支援システム及び同システムを実行するプログラムであって,微弱電波機器或いは小電力無線機等からなるUSBポート付出会い支援

5 装置11(以下「出会い支援装置11」という。)の利用者A及び利用者Bが所定の距離以内に近づくと,互いの受信部が夫々送信された電波を受信して近接を検出し,各出会い支援装置11の同調回路4aが,趣味嗜好を識別するための送信周波数及び設定周波数が一致することを識別すると,夫々の告知部5が発光・振動等することで,趣味嗜好が一致することを利用者A及び利用者Bに告知するとともに,各出会い支援装置11の履歴情報保存部11bが,各利用者の自己のID情報と,繁華街等の戸外で近接して「出会った時刻」及び「出会った相手ID」情報の履歴情報を保存し,利用者Aが出会い支援装置11をPC端末102に差し込んで,PC端末102からインターネットを介して会員センター103に接続して前記履歴情報を送信すると,会員センター103は,履歴情報保存部11bに保存された相手方IDが実在する会員IDであるかを検証した後,利用者Aにメッセージ機能等のサービスを提供するが,利用者AのPC端末102のモニタに表示されるメッセージ機能画面110には,出会った「時刻」欄,出会った「相手ID」欄,「メッセージ記入」欄及び「送信」ボタン欄が設けられて履歴情報保存部11bに保存された複数名(【図5】では4名)の各欄に係る情報のリスト(以下「相手IDのリスト」という。)が表示され,利用者Aが,メッセージ機能を利用して履歴情報保存部11bに保存された中で気に入った相手IDに対してメッセージを送信すると,会員センター103は,同メッセージをメッセージ・メモ記憶部105cに保管し,利用者Bが出会い支援装置11をPC端末102に差し込んで,PC端末102からインターネットを介して会員センター103に接続して前記履歴情報を送信すると,会員センター103は,履歴情報保存部11bに保存された相手方IDが実在する会員IDであるかを検証した後,利用者Bにメッセージ機能等のサービスを提供すると同時に,利用者Bに対し,利用者Aからのメッセージがある旨の通知がされるが,利用者BのPC端末102の

5 モニタに表示されるメッセージ機能画面111には,複数名(【図5】では5名)の相手IDのリストが表示され,利用者Aからのメッセージを受信した利用者Bは,利用者Aに対して返信メッセージを送信し得るが,利用者Aに対して好意を抱いていない場合には返信メッセージを送信する必要はなく,利用者Bが利用者Aに対して返信メッセージを送信すると,利用者Aに対し,利用者Bからの返信メッセージがある旨の通知がされ,これらの処理を繰り返すことで,利用者A及び利用者B間でお互いにメッセージの交換が可能となることにより,初期段階では重要な個人情報を知られることなく,趣味嗜好の一致する異性等との出会いを支援することが可能となる出会い支援システム及び同システムをPC端末102上で実行するプログラム。」(2) 乙5発明と本件各発明の対比ア 乙5発明の「繁華街等の戸外で出会った者同士」(例えば,利用者A及び利用者B)は,本件各発明の「現実世界で出会ったユーザ同士」に相当し,乙5発明の「出会い支援装置11を差し込んだPC端末102」は,本件各発明の「ユーザ端末」に相当する。乙5発明における会員センター103(サーバコンピュータ)は,本件各発明の「コンピュータ」に相当し,乙5発明の「インターネットのネットワークを介してメッセージの交換等して利用者の出会いの機会を支援する」ことは,本件各発明の「ネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援する」ことに相当する。乙5発明における利用者Aのメッセージの送信と利用者Bの返信メッセージの送信のやり取り等の「メッセージの交換」 本件各発明のは, 「メッセージの送受信」に相当し,乙5発明の「利用者Bに対し,利用者Aからのメッセージがある旨の通知」及び「利用者Aに対し,利用者Bからの返信メッセージがある旨の通知」 本件各発明のが, 「メッセージが入力された旨のポップアップ通知」

5 に相当する。したがって,乙5発明と本件各発明は,以下のイにおいて一致し,ウにおいて相違すると認められる。イ 一致点(ア) 乙5発明と本件発明1の一致点a 現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって,b’ユーザ同士が交流できるようにするための複数の出会った相手のリストをユーザに表示するための制御を行なうリスト表示制御手段と,c’ユーザが前記リスト表示制御手段により表示された複数の出会った相手の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と,e’選択された相手のユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記出会った相手のリストに追加する処理を行う追加手段と,を備え,f’前記複数の出会った相手の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行し,h’前記出会った相手のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が交流できるようにした,i コンピュータシステム。

5 (イ) 乙5発明と本件発明2の一致点j’前記追加手段は,前記追加処理を行う,k’前記(ア)記載のコンピュータシステム。(ウ) 乙5発明と本件発明3の一致点l 現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって,m 複数の出会った相手のリストをユーザに表示するための制御を行なう出会った相手のリスト表示制御手段と,n ユーザが前記出会った相手のリスト表示制御手段により表示された複数の出会った相手の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と,p’選択された相手のユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記出会った相手のリストに追加する処理を行う追加手段と,を備え,q’ 前記複数の出会った相手の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行し,r’ 前記追加手段は,前記追加処理を行い,s’ 前記出会った相手のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が交流できるようにした,

5 t コンピュータシステム。(エ) 乙5発明と本件発明4の一致点u 現実世界で出会ったユーザ同士がコンピュータを利用して交流を行うためにユーザ端末により実行されるプログラムであって,v 前記ユーザ端末の位置情報を前記コンピュータへ送信する位置情報送信ステップと,w 前記ユーザ端末の報知部を制御する報知制御ステップとを,前記ユーザ端末に実行させ,x 前記報知制御ステップは,x1’複数の出会った相手のリストを表示するための出会った相手のリスト表示制御ステップと,x2’ユーザが前記表示された複数の出会った相手の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知ステップと,を含み,さらに,x3 前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末の前記報知部にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行い,y 前記コンピュータは,y2 選択された相手のユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記出会った相手のリストに追加する処理を行う追加手段と,を含んでおり,z 前記追加手段は,前記追加処理を行い,γ’ 前記出会った相手のリストを前記ユーザ端末に表示させることによ

5 り,前記ユーザ同士が交流できるようにした,δ プログラム。ウ 相違点(ア) 相違点1本件発明1の交流先のリストは,交流先に同意したユーザ同士が交流できるようにするためのものであるのに対し,乙5発明の履歴情報保存部11bに保存された相手IDのリストは,交流に同意したユーザ同士が交流できるようにするためのものであるか不明である点(イ) 相違点2本件各発明は,ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する,いわゆるGPS検索手段を備えているのに対し,乙5発明は,かかる検索手段を備えていない点(ウ) 相違点3本件各発明は,ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として交流先のリストに追加する交流先追加処理を行うのに対し,乙5発明は,利用者同士の出会い支援装置11間での近接無線通信に基づいて相手IDのリストに追加している点(エ) 相違点4本件発明1は,交流先として指定されて互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしてもポップアップ通知を行わないように制御するのに対し,乙5発明においては,そのような制御をするかどうか不明である点(オ) 相違点5

5 本件各発明は,コンピュータ側からの制御に基づいて交流先のリストをユーザ端末に表示させるのに対し,乙5発明は,そのような構成を有するか不明である点(カ) 相違点6本件発明1は,連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流ができるのに対し,乙5発明は,“重要な個人情報ではない”とされる会員IDのみを知らせ合いし,その他の個人情報を知らせ合わないまま交流を行うことが可能である点(キ) 相違点7本件発明2~4は,前記検索手段により検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行うのに対し,乙5発明は,前記交流の同意以前の段階で当該同意とは無関係に自動的に相手IDの追加処理を行っている点(3) 先行文献の記載内容ア 乙42公報には,以下の記載がある。(ア) 要約「【課題】コミュニティの参加メンバーの管理処理における改善された構成を提供する。【解決手段】複数の通信処理装置から各通信処理装置において実行された近接通信処理の通信履歴データを受信し,受信した複数の通信履歴データの照合処理を実行して,複数の通信処理装置間における近接通信の実行事実が確認されたことを条件として,通信処理装置のユーザをコミュニティメンバーとして登録する。取得し,照合する通信履歴データは通信相手のID,通信日時,通信実行位置などの情報であり,これらのデータに基づいて実際に近接通信が行われたことを確認した上でコミュニティの登録

5 メンバーとする。この処理によって,幽霊メンバーなど架空の実在しないユーザの登録を防止することが可能となる。」(イ) 特許請求の範囲「複数の通信処理装置から各通信処理装置において実行された近接通信処理の通信履歴データを受信する通信部と,前記通信部の受信した複数の通信履歴データの照合処理を実行するデータ照合部と,前記データ照合部において実行された近接通信の通信履歴データに基づいて,前記複数の通信処理装置間における近接通信の実行事実が確認されたことを条件として,前記通信処理装置に関連付けられたユーザ情報を同一のグループとしてデータベースに登録するデータ登録部と,を有する情報管理装置。」(【請求項1】)「前記データ照合部は,各通信処理装置から受信した通信履歴に含まれる近接通信位置データが一致するか否かに基づいて,前記複数の通信処理装置間において近接通信が実行されたか否かを判定する処理を行う構成である請求項1~3いずれかに記載の情報管理装置。」(ウ) 発明を実施するための最良の形態「近接通信部123は,通信処理装置B130など他の通信処理装置との近接通信(例えばNFC規格に従った近接通信)を実行する。記憶部124は,通信処理装置A120の識別情報(ID)や通信処理装置A120において実行する各種のデータ処理,データ通信処理に適用するプログラム,パラメータ,さらに通信履歴情報などを格納する。なお,近接通信部123は,例えばソニー(株)の開発した近接通信技術であるフェリカ[FeliCa(登録商標) によって構成される。 (段落] 」 【0030】)「次に,通信処理装置Aと通信処理装置Bとの近接通信が終了した後,

5 ステップS207以下の処理を実行する。」(段落【0069】)「ステップS207では,まず通信処理装置Aがサーバに接続し,BさんをAさんの[トモダチ]として登録するユーザBの登録依頼を行う。[トモダチ]は前述したようにサーバの提供管理するコミュニティの参加メンバーの1つのカテゴリであり,[初期登録メンバー]とは異なるメンバーとして区別される。この登録依頼に際して,通信処理装置Aは,通信処理装置Aの記憶部に格納した通信処理装置Bとの近接通信記録である通信履歴データをサーバにアップロードする。具体的には,(a)ユーザBのユーザID(b)ユーザIDに対応付けられたユーザBのニックネーム(ユーザBが任意に設定した名前(ハンドルネーム))(c)近接通信日時データ(d)近接通信実行位置情報(通信処理装置がGPS搭載機器である場合)これらのデータを記憶部から取得してサーバに送信する。なお,これらのデータ中,必須データは,(a)のユーザIDと,(c)の近接通信の実行日時データである。その他のデータは必須ではなく,取得済みであれば送信することが好ましいデータである。」(段落【0070】)「一方,ステップS208では,通信処理装置B がサーバに接続しユーザAをBさんの[トモダチ]として登録する登録依頼を行う。この登録依頼に際して,通信処理装置Bは,通信処理装置Bの記憶部に格納した通信処理装置Aとの近接通信記録である通信履歴データをサーバにアップロードする。具体的には,(a)ユーザAのユーザID(b)ユーザIDに対応付けられたユーザAのニックネーム(ユーザAが任意に設定した名前(ハンドルネーム))(c)近接通信の実行日時データ

5 (d)近接通信実行位置情報(通信処理装置がGPS搭載機器である場合)これらのデータを記憶部から取得してサーバに送信する。なお,これらのデータ中,必須データは,(a)のユーザIDと,(c)の近接通信の実行日時データである。その他のデータは必須ではなく,取得済みであれば送信することが好ましいデータである。」(段落【0071】)「次にステップS209において,サーバが,通信処理装置Aおよび通信処理装置Bの双方から受信した近接通信記録である通信履歴データの照合処理を実行する。照合処理は,例えば以下のデータ確認処理を含む処理として実行される。(x)通信処理装置Aから受信した通信履歴データに記録された通信日時と,通信処理装置Bから受信した通信履歴データに記録された通信日時とが一致することの確認。(y)通信処理装置A から受信した通信履歴データに記録されたユーザIDが,通信処理装置Bから受信したユーザB(または通信処理装置B)に対応するユーザIDであり,通信処理装置Bから受信した通信履歴データに記録されたユーザIDがユーザA(または通信処理装置A)に対応するユーザIDであることの確認。」(段落【0072】)「サーバは,ステップS209において,上記(x),(y)のデータ確認を行う。なお,その他,例えば双方の通信処理装置から近接通信を実行した位置情報が受信されている場合には,位置情報が一致しているかについても確認する。その他照合可能なデータが存在する場合にはそれらのデータについても照合する。」(段落【0073】)「ステップS209において照合が成立し,通信処理装置Aと通信処理装置Bとの間で近接通信が実行されたことが確認された場合に,ステップS210において,ユーザA,Bを初期登録メンバーとは異なるカテゴリ

5 メンバーとしての[トモダチ]として登録する。」(段落【0075】)イ 乙43公報には,以下の記載がある。「…本発明はこのような従来技術の課題に着目してなされたものであって,互いに関連又は縁を持つ人たちが,「たまたま偶然に」近傍に位置することになった機会を逃すこと無く,「フェイス・ツー・フェイスの出会い」又は「連絡すること」を確実に実現できるようにすることができる,出会い・連絡支援システムを提供することを目的とする。また,本発明は,このような「比較的近くの場所に居あわせた人たち同士が,実際に出会える機会又は連絡し合える機会を持てるように支援すること」を,歩行者 店舗など施設や(道路などに存在している人だけでなく,電車などの公共の交通機関を利用している人をも含む)同士の間だけでなく,歩行者と自動車に乗っている人との間や,自動車に乗っている人同士の間についても,可能にすることをも目的としている。」(段落【0006】)「…1.ユーザーが使用する移動体通信端末であって,ユーザーが「ユーザーに関するキー・データ」(自己のキー・データ又は自己が出会いたい人・連絡したい人 連絡したい人に関するキー・データ)・ を記録する記録手段と,前記キー・データを近傍のエリア内に向けて無線で送信する送信手段と,他のユーザーが使用する移動体通信端末から近傍のエリア内に向けて無線送信された他のユーザーに関するキー・データを受信する受信手段と,前記受信手段により受信した他のユーザーの通信端末からのキー・データが前記のユーザーの「自己に関するキー・データ」と一致又は関連しているとき,そのことを前記のユーザーに知らせるための告知手段と,を含む移動体通信端末を備え,「ユーザーが近くの場所に居れば会いたいと思う人・連絡したい人」が実際にユーザーの近くに居るとき,そのことをユーザーに知らせて実際にその人に会うこと・連絡することができるように支援することを特徴とする出会い・連絡支援システム。…

5 15.複数のユーザーがそれぞれ携帯する移動体通信端末であって,少なくとも,各ユーザーの自己を識別する識別データ,及び,自己の現在位置特定用データ(自己の現在位置を特定するデータ,又は,例えばGPS用信号などの自己の現在位置を特定するための資料となるデータ)を,センター(「サーバー」コンピュータや「ホスト」コンピュータなど)に向けて無線で送信する送信手段,を有する移動体通信端末と,前記センター側に備えられ,前記の各移動体通信端末からそれぞれ送信された各ユーザーの識別データ及び現在位置特定用データに基づいて,「あるユーザー」の近傍のエリア内に「そのユーザーがもし近傍の地に居れば実際に会いたい又は連絡したいと希望する人」が居るとき,そのことを前記ユーザーに知らせるための告知手段と,を備えた出会い・連絡支援システム。」(段落【0008】)「このマッチング部26は,各ユーザーに関するキー・データの同一性・近接度・類似度を判定して,キー・データが同一であるユーザー同士,又は,比較的高い近接度・類似度を有しているキー・データを有するユーザー同士に,「お互いが近傍の地に居ることを示すデータ(相手のユーザーのキー・データ及び現在位置データを含むことが望ましい)」を,前記キー・データ等送受信部25を介して送信する。例えば,マッチング部26は,ユーザー1が「たまたま偶然に近くの場所に居れば会いたい人」としてある人のID,電話番号,又は氏名をキー・データとして送信していた場合,そのID,電話番号,氏名と同一のユーザーが無線局(基地局)の圏内に居たときは,「そのこと(圏内にそのID,電話番号,氏名の人が居るということ)」を,その人の現在位置データ及びメッセージがあればそのメッセージ(例えば,「今は一人なので誰か知り合いがいれば合流したい」などのメッセージ)と共に,前記キー・データ等送受信部25から,送信する。また,マッチング部26は,例えば,ユーザー1が「たまたま偶然に近くの場所に居れば合いたい人」としてある趣味のサークル名をキー・データとして送信していた場合,その

5 同じサークル名をキー・データとする人が前記無線局(基地局)の圏内に居るときは,そのことを,その人の現在位置データと共に,前記キー・データ等送受信部25から,送信する。」(段落【0021】)ウ 乙44公報には,以下の記載がある。「複数のユーザがそれぞれ移動端末を用いてグループ通信を行えば,話題を複数人で共有することができ,コミュニケーションを深めることができる。グループ通信を実現するサービスとして,PTT(Push-to-talk)サービスが知られている。これは,携帯電話機などの移動端末をトランシーバのように用いて,簡単な操作でグループ通信を実現するものである。 (段落」 【0002】)ところで,GPS(Global Positioning System)機能を有する移動端末を用いてPTTサービスによるグループ通信を行う場合に,グループ内の移動端末の地理的位置を取得して表示する技術もある(例えば,特許文献1参照)。また,PTTサービスにおいて,GPSやRFID(Radio FrequencyIDentification)によって位置情報を取得し,取得した情報を基にグループを形成する技術もある(例えば,特許文献2参照)。さらに,PTTサービス加入者の位置情報をGPSなどによって取得し,距離上所定の範囲内に位置する加入者間のグループ通信を可能にする技術もある(例えば,特許文献3参照)。【特許文献1】特開2007-150768号公報【特許文献2】特開2007-150985号公報【特許文献3】特開2006-81184号公報」(段落【0003】)「ところで,グループ通信を実現する場合,近距離無線を利用すれば,より近くに居る人,より身近に感じられる人とのマッチングが可能であると考えられる。近距離無線として,Bluetooth(登録商標,以下同じ)を用いた通信が周知であり,これを用いれば容易にマッチングを行うことができると考

5 えられる。しかしながら,Bluetoothを用いた通信のみを用いてマッチングを行うと,移動端末の電源である電池の消耗が激しく,長時間の利用ができないという問題がある。本発明は上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり,その目的は移動端末の電源である電池の消耗をできるだけ抑え ,Bluetooth通信などの近距離通信を用いたマッチングを実現できるグルーピングシステム,管理装置を提供することである。」(段落【0004】)「(グループ管理サーバのDB)図4は,グループ管理サーバの管理部内に記憶されるデータベースの例を示す図である。同図(a)は,管理部26に記憶されているユーザデータベースの例を示す図である。同図(a)のユーザデータベースは,ユーザIDすなわち端末識別子と嗜好情報や属性情報などから構成されるタグ情報との対応関係を示すデータベースである。本例では,ユーザID「ユーザA」に,「住所:大阪市」を含むタグ情報が対応付けられている。また,ユーザID「ユーザB」に,「趣味:野球」,「住所:東京都」を含むタグ情報が対応付けられている。さらに,ユーザID「ユーザC」 「趣味: 買い物」に, ,「趣味:釣り」を含むタグ情報が対応付けられている。 (段落」 【0022】)エ 乙45公報には,以下の記載がある(乙45)。「【課題】本発明は,携帯電話のような通信システムのユーザに対して,互いの要求条件を満たす別のユーザの存在を報知するシステムの提供を目的とする。【解決手段】本発明のユビキタスマッチングシステムは,通信可能に接続された端末から発信される信号を狭いゾーンに対応した低感度で検出することにより端末の位置情報を取得し,取得された端末の位置情報に基づいて,同一ゾーンに在圏する端末同士に互いの存在を報知する。端末から

5 発信される信号を検出する感度を低くすることにより,端末の位置情報の検出精度が高まるので,近くに存在する端末,即ち,近くに居る人物の存在を相互に報知することが可能である。」(【要約】)「…ユビキタスマッチングシステムは,近くに居る友人・知人や共通の意識を持っている人などのように相互にマッチング条件( 要求条件) を満たす人物の存在を,その人物へのアクセス情報を用いて相互に報知することが可能になる。ユーザは,相手側へのアクセス情報を入手できるので,直ちに連絡を取り合うことができる。」(段落【0036】)「図3は,端末1及び2からサービス提供サーバ4のユーザ登録部42へ通知され,ユーザ登録部42によってデータ記憶部43に格納されるユーザ特定情報の一例の説明図である。ユーザ特定情報は,ユーザを識別するためのユーザ名(ユーザIDとパスワードのペアでもよい)と,ユーザへの連絡先を表す端末アドレスと,ユーザの端末の端末識別情報と,マッチング条件を指定する属性情報へのポインタ(属性情報自体でもよい)と,知人や友人を指定するアドレス帳へのポインタ(アドレス帳自体でもよい)を含む。ユーザ特定情報には,更に,端末位置情報取得システム6によって取得され,位置情報取得部41によって,他の登録データと関連付けられた位置情報が含まれる。更に,オプションとして,ユーザが自分の存在を他のユーザへ通知されることを許諾するかどうかを設定するための通知許諾フラグがユーザ特定情報に設けられる。」(段落【0037】)「以上の通り,本発明の種々の実施例では,ユーザは,低感度基地局を用いた携帯電話機,無線LAN端末,ID送信機+ID受信機と組み合わせた携帯電話機,PHS端末,或いは,GPS付き携帯電話機などの位置検出機能と通信機能を兼ね備えた端末を利用する。サービス提供サーバは,ユーザに対し,そのユーザが在圏するゾーンと同じゾーンに在圏する別のユーザの存在を相互に報知することができる。」(段落【0078】)

5 「本発明のユビキタスマッチングシステムのコンセプトは,ユーザの近くに来た友人・知人をそのユーザに報せることである。その際,ユーザと相手側の両方の了解が必要である。さらに,ユビキタスマッチングシステムは,ユーザが,友人・知人や,友人・知人以外でもユーザの要求にマッチした他のユーザと,その場で接触する( 会う,連絡を取り合うなど)機会をユーザ及び相手側に提供する。さらに,ユーザ相互に相手の居場所やアクセス情報を交換することになるので,信頼性や安全性を確保するために,好ましくは,会員向けサービスとして実現される。」(段落【0079】)(4) 容易想到性についてア 相違点2及び3について相違点2は,「本件各発明は,ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する,いわゆるGPS検索手段を備えているのに対し,乙5発明は,かかる検索手段を備えていない点。」であり,相違点3は,「本件各発明は,ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として交流先のリストに追加する交流先追加処理を行うのに対し,乙5発明は,利用者同士の出会い支援装置11間での近接無線通信に基づいて相手IDのリストに追加している点。」であって,これらは,本件各発明が,GPS検索手段により,ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として交流先のリストに追加する交流先追加処理を行うのに対し,乙5発明は,利用者同士の出会い支援装置11間での近接無線通信に基づいて相手IDのリストに追加している点の相違に関するものである。この点につき,被告は,乙42~45公報に記載されているように,ユー

5 ザ端末を用いた出会い支援システムにおいて,ユーザ端末間の距離を検知する手段には,電波による端末間の無線通信を用いるものと,GPS検索を用いるものが知られており,両者は当業者において適宜選択して用いられることは技術常識であり,乙5公報においては,利用者間の近接を検出する方法として,送受信する電波以外の方法が許容されているのみならず,GPS機能を有するPDAとの一体化も想定されているから,乙5発明にGPS検索手段を採用して近接を検出するように構成することは,当業者が容易に想到できたと主張する。(ア) そこで検討するに,被告が挙げる乙43~45公報に記載の技術は,いずれも,氏名,住所,電話番号,メールアドレスなどの個人情報を相手方に知らせることが前提となっているものであるから,これらの技術を,「出会いの初期段階においては相手に重要な個人情報を認知されることなく,利用者相互間,特に男女相互間で趣味嗜好が一致する出会いの可能性を向上させること」を目的とする乙5発明の技術に適用するには阻害要因があるというべきである。また,乙42は,本件特許の優先日(平成22年2月15日)の3か月前(平成21年12月17日)に公開されたものであることに照らすと,同公報に記載の技術をもって本件特許出願に係る優先日当時に周知の技術であったと認めることはできない。(イ) 次いで,被告が,乙5公報においては,利用者間の近接を検出する方法として,送受信する電波以外の方法が許容されているのみならず,GPS機能を有するPDAとの一体化も想定されていると主張する点について検討する。確かに,乙5公報の段落【0063】には,出会い支援装置は,赤外線又はこれと電波の併用により近接を検出してもよい旨の記載はあるが,ここにおける赤外線通信も,出会い支援装置同士で直接通信を行って近接を検出するためのものである。

5 一方,乙5発明において,GPS機能を利用する場合,各出会い支援装置がGPSで位置情報等をそれぞれ取得し,別途,その情報等を基にサーバ等が近接を判別して各出会い支援装置に送信するといった,より複雑なシステムが必要となるが(乙27,28,55参照),そのような煩雑な構成を採る理由は特に見出し難いから,かかる記載があるからといって,乙5発明の近距離無線通信技術を,GPS機能を用いる方式に代替することが容易であるとはいい難い。また,乙5公報の段落【0065】には,PC端末をPDA等に代替可能である旨の記載はあるが,乙5発明において,利用者同士の近接等を判別するのは,PC端末102ではなく,出会い支援装置11であるから,たとえPDAの機能の1つとしてGPSがあることが周知であったとしても,出会い支援装置11が行うべき近接等の判別を,GPS機能を用いる方法に代替することに容易に想到するとは認め難いというべきである。(ウ) したがって,乙5発明に乙42~45公報記載の技術を適用して相違点2及び3の構成に容易に想到し得るとは認められない。イ 相違点7について本件発明2~4と乙5発明は,「本件発明2~4は,前記検索手段により検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行うのに対し,乙5発明は,前記交流の同意以前の段階で当該同意とは無関係に自動的に相手IDの追加処理を行っている点」(相違点7)において相違しているところ,被告は,乙5公報の段落【0064】によれば,近接した者同士が互いの発光パターン等を調節し合って交流の同意の有無を確認し,当該同意の確認がとれた後に,互いが明示的にボタン操作等を行うなどしてIDを交換し,履歴情報保存部11bに保存させることもできるので,同相違点は実質的な相違点ではないと主張する。

5 この点,確かに,乙5公報の段落【0023】には,「このとき,出会い支援装置1の利用者A及び利用者Bが所定の距離以内に近づくと,互いの受信部が夫々送信された電波を受信して近接を検出し,同調回路4aにより送信周波数及び設定周波数が一致することを識別する。そして,夫々の告知部5の出力回路5aであるLEDが発光し,利用者A及び利用者Bに告知する。」(段落【0023】)との記載があり,これを踏まえ,段落【0064】には,「また,上記実施例の出会い支援装置1では,利用者間の近接を検出した場合には即座に告知部5が発光して該近接を告知していたが,即座に告知部5を発光させる必要はなく,一旦振動や文字等で接近を告知するようにしてもよい。すなわち,振動等により趣味嗜好が一致する者の近接を認知した利用者は,近接する相手の利用者の外見等が自己の好みであるかを判断してから告知部5を発光させる2ステップ化の構成にしてもよい。」(段落【0064】)との記載が存在する。しかし,乙5発明は,「出会い支援装置1の利用者A及び利用者Bが所定の距離以内に近づくと,互いの受信部が夫々送信された電波を受信して近接を検出し,同調回路4aにより送信周波数及び設定周波数が一致することを識別」(段落【0023】)し,「出会い情報記憶部105bは,繁華街等の戸外で趣味嗜好等が一致する異性等と利用者が近接した「出会った時刻」及び「出会った相手ID」を表形式で利用者毎に記憶している。 (段落」 【0034】)ものであることに照らすと,上記の段落【0064】の構成をとったとしても,相互のIDが交換されるのは,「互いの受信部が夫々送信された電波を受信して近接を検出し,同調回路4aにより送信周波数及び設定周波数が一致することを識別」した時点,すなわち,利用者A及び利用者Bが所定の距離以内に近づき,振動や文字により接近が告知された時点であり,告知部の発光がされた時点ではないと認めるのが相当である。そうすると,乙5発明は相違点7に係る構成を備えず,同相違点において

5 本件発明2~4と相違するというべきであり,同相違点に係る構成を想到することが容易であったと認めるに足りる証拠はない。ウ したがって,その余の点につき検討するまでもなく,本件各発明が進歩性を欠如する旨の被告の主張は理由がない。

11 争点2-2(記載要件違反)について(1) サポート要件違反又は新規事項追加の主張について被告は,①本件特許の出願経過からすれば,本件各発明は,本件明細書等の段落【0095】~【0097】に記載の「出会い時点登録」を必須の構成として備える必要があるが,本件特許請求の範囲にはこの点の記載を欠くから,サポート要件に違反し,そうでなくとも,本件発明2~4については新規事項の追加に当たる,②本件明細書等の発明の詳細な説明には,共有仮想タグを用いる態様しか記載されていないから,共有仮想タグを用いる態様に限定されないとすれば,サポート要件に違反する,③本件各発明の課題a~dの全てを有する被告システム等は本件各発明の作用効果を奏しないから,被告システム等が本件各発明の技術的範囲に属するとすれば,本件各発明は,本件明細書等に記載した発明が解決しようとする課題を解決できないものを包含することになるから,サポート要件に違反すると主張する。ア しかし,上記①に関し,本件各発明が「出会い時点登録」を必須の構成とするものとはいえないことは,前記5に判示したとおりであるので,被告の上記主張は理由がない。イ 上記②については,本件明細書等の発明の詳細な説明において,実施例として挙げられているのが共有仮想タグを用いる態様のものであることは,被告主張のとおりであるが,共有仮想タグは,「両人が出会った場所に対応するバーチャル世界の場所に作成されて表示されるタグであり,出会った両人の携帯電話でのみアクセスできてそこに書き込みを行って両社が連絡できるようにしたものである」などとされているものであって(段落【0014】 ,)

5 「今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない…本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され…る」(段落【0306】)とされていることに照らすと,共有仮想タグを上位概念化したものが,交流先のリストに追加,表示される「交流先」であると解することができる。そうすると,本件特許請求の範囲に記載された本件各発明は,本件明細書等に記載された共有仮想タグを用いる態様により,当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるのであるから,本件特許請求の範囲の記載がサポート要件に違反するということはできない。ウ 上記③については,本件各発明の目的は,前記1(2)に判示したとおり,「相手方に互いの個人情報を通知することなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる理想的な連絡可能状態を構築する手段を提供すること」にあるところ,被告システム等が「連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした」との構成要件(構成要件H,S及びΓ)を充足することは前記8に判示したとおりであって,このことにより,上記効果を奏し得ることは明らかであるから,この点の被告の主張も理由がない。エ したがって,サポート要件違反等に関する被告の主張は,いずれも理由がない。(2) 実施可能要件違反の主張について被告は,①本件明細書等には「共有仮想タグ」を用いる構成のみ開示しているから,仮に,発明の技術的範囲に「共有仮想タグ」を用いない構成も含まれるとすれば,当業者は,本件明細書等及び出願当時の技術常識に基づいて,過度の試行錯誤を要することなくその物を製造し,使用することはできない,②被告システム等では本件各発明の作用効果を奏しない,③被告システム等は本件各発明が解決しようとする課題a~dを解決するものではないから,被告シ

5 ステム等が本件各発明の技術的範囲に含まれるとすると,本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は特許法施行規則24条の2の規定を満たさないなどとして,本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を満たさないと主張する。しかし,上記①については,共有仮想タグを用いる構成が開示されていることにより,当業者は,本件各発明の実施が可能であるということができるから,この点の被告の主張は失当である。また,上記②及び③については,被告システム等が本件各発明の作用効果を奏することは前記(1)のとおりであるから,この点の被告の主張は前提を欠く。したがって,実施可能要件違反に関する被告の主張はいずれも理由がない。(3) 明確性要件違反について被告は,①本件各発明が共有仮想タグを用いない構成もその技術的範囲に含むとすると,当業者は,公知技術や周知技術を参酌しても,共有仮想タグを用いる構成以外のいかなる構成が発明を実施することになるかを理解できない,②被告システム等では本件各発明の課題が解決されないから,被告システム等が本件各発明の技術的範囲に含まれるとすれば,本件特許請求の範囲の記載は,技術的課題を解決するために必要な事項が特定できていないので,本件特許請求の範囲の記載は明確性の要件に違反すると主張する。しかし,上記①の点については,本件明細書等の発明の詳細な説明には,共有仮想タグを用いて本件各発明の課題を解決する方法が記載されているのであるから,それを上位概念化した「交流先」等の概念を用いてなされた本件特許請求の範囲の記載が,「特許請求の範囲の記載だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確」であるということはできない(知財高裁平成21年(行ケ)第10434号同22年8月31日判決・判タ1341号227頁参照)。また,

5 上記②の点に関し,被告システムが本件各発明の課題を解決するものであることは前記判示のとおりである。したがって,明確性違反に関する被告の主張は,全て理由がない。(4) 以上のとおりであるから,本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効にすべきものであるとは認められない。

12 争点3(原告の損害額)について原告は,被告に対し,特許法102条3項に基づく損害賠償を請求しているところ,同項は,「特許権者…は,故意又は過失により自己の特許権…を侵害した者に対し,その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を,自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。」旨規定しているから,同項による損害は,原則として,侵害品の売上高を基準とし,そこに,実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきである。そして,かかる実施に対し受けるべき料率は,①当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率や,それが明らかでない場合には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ,②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性,他のものによる代替可能性,③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様,④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合考慮して,合理的な料率を定めるべきである(知財高裁平成30年(ネ)第10063号令和元年6月7日大合議判決参照)。本件においては,被告アプリが無償で配信されており,被告アプリのユーザが友だち登録をし,友だち等との間で被告システム等によるメッセージの送受信等のサービスを享受すること自体により被告に売上げは発生しない(甲73)から,「侵害品の売上高」をどのように確定すべきかがまず問題となり,次いで,実施に対し受けるべき料率(相当実施料率)の算定が問題となる。そこで,それぞれにつき,以下,検討する。

5 (1) 売上高についてア 当事者の主張原告は,被告の事業のうち,本件特許権侵害の対象となる事業は,コア事業中の「アカウント広告」と「コミュニケーション」の売上げであり,本件特許登録日である平成29年9月15日から被告が「ふるふる」の提供を終了した日の前の日である令和2年5月10日までの間(以下「本件損害算定期間」という。)の売上高(アカウント広告につき合計1519億5800万円,コミュニケーションにつき767億2800万円)に基づいて損害額を算定すべきであると主張する。一方,被告は,主に被告アプリ上でアカウントを有する企業等からの売上げであるアカウント広告の売上げは損害賠償額算定の対象とならず,仮に,コミュニケーションの売上げが損害賠償額算定の対象となり得るとしても,対象となるのは本件機能と関係のある部分に限られると主張する。イ 認定事実そこで検討するに,前記前提事実,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認めることができる。(ア) 被告の事業及び売上高(甲161,163,164,166,170,194,201,乙100)被告の事業は,コア事業と戦略事業に大別され,コア事業は,「広告」事業と「コミュニケーション・コンテンツ・その他」の事業に分類され,「広告」事業の中に「アカウント広告」の事業があり,「コミュニケーション・コンテンツ・その他」の事業の中に「コミュニケーション」の事業がある。被告の事業年度は,毎年1月1日から同年12月31日までであるところ,アカウント広告及びコミュニケーションの年度ごと(ただし,令和2年度については同年1月1日から同年6月30日まで)の連結売上高は,

5 以下のとおりである(単位:百万円)。アカウント広告 コミュニケーション平成29年度 38,929 30,225平成30年度 56,714 28,527平成31年度 62,654 28,319令和2年度(上期) 29,274 15,198なお,上記は,その連結子会社(外国法人を含む。)の売上げも含む連結売上高である。a アカウント広告の売上げの内容等アカウント広告の売上げは,①公式アカウント,②ビジネスコネクト,③LINE@,④スポンサードスタンプ,⑤セールスプロモーション,

⑥広告,⑦●(省略)●,⑧●(省略)●,⑨限定スタンプの各売上げにより構成される。①~③は,いずれも企業等がアカウントを開設することにより,自社のアカウントを友だち登録しているユーザにメッセージの送信等をすることができるサービスであり,有償プランを利用する企業等による月額費用その他の費用に係る売上げが被告に生じる。④は,企業等が広告宣伝のために自社オリジナルのスタンプをユーザに無料で提供できるサービスであり,企業がこれを利用するためには固定額の支払を要するために被告に売上げが生じる。⑤は,被告アプリを使ってキャンペーンを行うことのできるサービスや,ユーザが一定の条件(ミッション)を満たした場合に限り,当該ユーザに「LINEポイント」が無料で付与されるようにするサービスであり,企業等は,キャンペーン内容に応じた費用等の支払を要するため,被告に売上げが生じる。⑥は,企業等が被告アプリ内に掲載する広告であり,広告掲載料とし

5 て被告に売上げが生じる。

⑦は,●(省略)●

⑧は,●(省略)●

⑨は,被告が企業等を通じてスタンプの販売をする場合に当該企業から対価の支払を受けるものである。b コミュニケーションの売上げの内容等コミュニケーションの売上げは,㋐LINEスタンプ,㋑LINE着せ替え,㋒LINE絵文字,㋓クリエイターズスタンプ,㋔クリエイターズ着せ替え,㋕クリエイターズ絵文字,㋖LINEスタンププレミアム,㋗LINE Outの各売上げにより構成される。スタンプ(㋐,㋓,㋖)は,ユーザ間のトークの中で送信できるイラストであり,被告サービス内のスタンプショップで購入することができる。着せ替え(㋑,㋔)は,ユーザ自身の被告アプリの背景を変更するものであり,被告サービス内の着せ替えショップで購入することができる。絵文字(㋒,㋕)は,ユーザ間のトークの中で,テキストメッセージの中に入れて使うことができるものであり,被告サービス内のスタンプショップで購入することができる。また,トークルーム内で相手(友だち等)が使用したスタンプや絵文字をタップ等すると,当該スタンプを販売しているスタンプショップに移行するため,同タップしたユーザは,かかる方法でスタンプショップに行き,当該スタンプや絵文字を購入することもできる。ユーザがスタンプ,着せ替え及び絵文字(㋐~㋖)を購入すると,それが被告の売上げとなる。㋗は,電話回線を使用し,ユーザが有料で音声通話をすることができるサービスであり,ユーザがこれを利用すると,被告の売上げとなる。

5 なお,被告アプリのユーザ同士であれば,被告アプリ内でインターネット回線を使用する無料通話の利用が可能であって,有料の㋗を使用する必要はない。(イ) 友だち登録手段(乙81,101)●(省略)●(ウ) 企業等のアカウントとの間の「ふるふる」による友だち登録(被告システム等図面【図38】,甲61)LINE@等のサービスを導入している企業等が住所の位置情報をあらかじめ登録している場合,一般ユーザが被告アプリの友だち追加画面で「ふるふる」を選択して手元のスマートフォンを振ると,半径1km圏内の上記企業等も友だち登録の候補として表示され,同ユーザが同企業等につき友だち追加処理をすると,同企業等が同ユーザの友だちとして追加登録される。ウ 「ふるふる」以外の友だち登録及び海外企業への輸出に係る売上げ等について原告は,損害賠償の対象は,「ふるふる」による友だち登録及びこれにより友だちとなったユーザとの交流等に限定されず,QRコードやID検索等の他の友だち登録も含み,また,海外企業を含む連結売上高を対象とすべきであると主張する。(ア) しかし,原告は,本訴提起当初から,一貫して「ふるふる」による友だち登録及びその後の交流が本件各発明の技術的範囲に属する旨の主張をしていたのであり(前記前提事実(5),被告システム等図面【図2】~【図4】,【図34】~【図44】),その余の友だち登録手段による友だち登録等が本件各発明の技術的範囲に属する旨の主張立証は侵害論の対象とされていないので,損害賠償の対象となるのは,「ふるふる」による友だち登録と相当因果関係のある範囲の売上高に限定されるというべきで

5 ある。(イ) また,海外企業を含む連結売上高を対象とすべきとの点については,被告から海外企業への実施品の輸出に係る売上高を対象とする趣旨と考えられるが,原告が侵害論において対象としていた被告の実施行為は,被告システムの使用と,被告アプリの生産,譲渡及び譲渡の申出にとどまっており,仮に被告システム等が輸出されているとしても,当該被告システム等に本件機能が搭載されているかどうかといった点も本件の証拠上明らかではないから,この点の原告の主張も採用し難い。エ 損害賠償の対象となる売上高の範囲についてそこで,前記イ(ア)~(ウ)で認定した事実に基づき,本件において損害賠償の対象となる売上高の範囲につき検討する。(ア) アカウント広告の売上げについてアカウント広告の売上げは,企業等からの売上げに関するものであるところ,一般ユーザは,かかる企業等との間でも「ふるふる」による友だち登録をなし得るものの,この場合は,企業等が住所の位置情報をあらかじめ登録している必要があり,また,その際,企業等はスマートフォンを操作するとは考え難いから,そもそも,この場合に,「近くにいるユーザ同士がスマートフォン(2)を操作して友だち登録することによりコンピュータ(14)を利用してコミュニケーションによる交流」(構成a等)を具備するとは認め難く,他にこの場合の被告システム等が本件各発明の技術的範囲に属するという的確な主張立証はない。また,前記イ(ア)aに記載されたアカウント広告を構成する各売上げの内容に照らすと,これらの売上げは,いずれも,一般のユーザ同士の本件機能による友だち登録との関係がないか,関係があっても希薄であるというべきである。そうすると,アカウント広告の売上げは,本件の損害賠償の対象となら

5 ないと解するのが相当である。(イ) コミュニケーションの売上げについてa コミュニケーションの売上げのうち,着せ替え(前記イ(ア)b㋑,㋔)は,ユーザ自身の被告アプリの背景を変更するものであるから,本件機能による友だち登録及びその後の交流とは関係がないか,関係があっても希薄であるというべきである。また,LINE Out(同㋗)については,被告アプリのユーザ同士であれば,被告アプリ内での無料通話の利用が可能であることからすれば,LINE Outのサービスを利用するのは,被告アプリのユーザがユーザでない者に対して電話を掛ける場合であることが通常であると推認されるから,同様に,本件機能による友だち登録及びその後の交流とは関係がないか,関係があっても希薄であるというべきである。一方,スタンプ(同㋐,㋓,㋖)と絵文字(同㋒,㋕)については,友だち登録したユーザ間でトークルームにおけるコミュニケーションを図る際に,互いに送信するなどして利用されるものであって,「ふるふる」による友だち登録及びその後の交流の際に利用されるものであるということができるから,その売上高は,被告の侵害行為と関連するものというべきであるところ,証拠(乙99)によれば,スタンプと絵文字の本件損害算定期間中の売上高(スタンプショップにおけるスタンプ及び絵文字の売上高)は,●(省略)●と認められる。●(省略)●b 前記aで認定した売上高は,「ふるふる」以外の友だち登録に関する分も含まれているところ,被告の侵害行為は,「ふるふる」による友だち登録に関するものであるから,被告の侵害行為と相当因果関係にある売上高は,上記売上高に,本件損害算定期間中の「ふるふる」による友だち登録割合を乗じて算出するのが相当である。そして,前記イ(イ)の

5 とおり,同割合は,●(省略)●であるから,被告の侵害行為と相当因果関係にある売上高は,●(省略)●となる。●(省略)●(ウ) 以上のとおり,被告の侵害行為と相当因果関係にある売上高は,●(省略)●となる。(2) 相当実施料率についてア 本件各発明の実施許諾契約における実施料率やその相場等原告は,原告代表者から専用実施権の設定を受けているが,その設定契約の詳細は本件の証拠上明らかでなく,また,原告が他人に本件各発明の実施を許諾したことをうかがわせる証拠はない。そこで,相場等につきみるに,証拠(甲157~159,乙82)によれば,電子計算機に係るロイヤルティ(件数719件) 平均値が33.は, 2%,最頻値が50.0%,中央値が40.0%とされている一方,「技術分類 コンピュータテクノロジー」,「対象となる製品・技術例 計算;係数,チェック装置等」におけるロイヤルティ料率の相場は,1%未満,1~2%未満,2~3%未満,3~4%未満がいずれも16.7%であり,4~5%未満が25.0%であるとされている。しかし,本件においては,被告アプリは無償で配信され,被告アプリのユーザが「ふるふる」を使用して友だち登録をし,その後の交流を行うといった行為自体による被告の売上げは発生しないという特殊性があることからすれば,上記の相場等を重視することはできない。イ 本件各発明の価値や代替可能性等本件各発明は,前記1(2)に記載のとおり,初対面の人物同士が出会った後互いにコンタクトを取ることができるようにする際に,極力個人情報を明かすことなくコンタクトが取れるようにするためのコンピュータシステム及びプログラムに関する発明であって,相手方に互いの個人情報を通知する

5 ことなく後々コンタクトを取ることができ,かつ,相手方以外の他人がその相手方に成りすましてコンタクトしてくる不都合をも防止できる理想的な連絡可能状態を構築する手段を提供することを目的として,現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作し,コンピュータを利用して交流を行うに当たり,コンピュータ(サーバ)が各ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末を新たな交流先として交流先のリストに追加して表示させ,ユーザが表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,指定された相手との間でメッセージを送受信できるようにするという手段を採用することで,互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるという効果が得られるようにしたことを特徴とする発明である。このような発明には一定のニーズが存在するものと考えられるから,本件各発明には相応の価値があるものと認められる。もっとも,前提事実(6)のとおり,本件特許に関する無効審判請求において,特許庁は,本件特許が進歩性を欠く旨の職権審理結果通知をしているところ,このことは,実際に本件特許が無効となるか否かはともかく,類似の技術が存在することを示すものということができる。ウ 本件各発明の被告の売上げや利益への貢献等証拠(甲41・3丁)によれば,「ふるふる」を利用する場合の最大の特長は,複数人と一度に友だちになれることであり,サークルや部活,仕事のチーム,パーティーなど,複数の人が集まる場で活躍しそうであるとされていることが認められ,これらの事実に加え,前記(1)イ(イ)記載の事実関係によると,既に友人等であるユーザ同士が友だち登録する方法が多く,実際にもそのようなユーザ同士により友だち登録がされることが多いことがうか

5 がわれることからすると,被告システム等においては「ふるふる」による友だち登録がされる場合であっても,それ以前に相互の個人情報を交換している場合も少なくないものと考えられる。●(省略)●被告による企業努力が大きく貢献しているとうかがわれるところである。そうすると,被告システム等に係る売上げや利益についての本件各発明の貢献の度合いは,かなり限定的なものであると認められる。エ 以上の諸事情,とりわけ,本件各発明には相応の価値があると認められるものの,これと類似の技術が存在することがうかがわれることや,被告システム等に係る売上げや利益についての本件各発明の貢献の程度は限定的なものであることなどを総合的に考慮すると,本件における相当実施料率は●(省略)●と認めるのが相当である。(3) 原告の損害額以上によれば,本件損害算定期間における原告の損害額は,●(省略)●となる。●(省略)●(4) 遅延損害金について原告は,損害額に対する訴状送達の日の翌日である平成29年11月7日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めているところ,本件損害算定期間は,同日より後の期間を含む平成29年9月15日から令和2年5月10日まで(969日間)である。原告の損害は,本件損害算定期間中,日々生じていたものと考えられるから,平成29年9月15日から同年11月7日までの間の遅延損害金については,原告の請求どおり,同日を起算日とするのが相当である。しかし,その後の損害分については,本件の証拠上,期間に応じた売上高は証拠上明らかでないことから,期間の長さに応じて割り付けるのが相当である。

5 そこで,被告の事業年度が毎年1月1日から同年12月31日までであることに鑑み,各事業年度に生じた損害額に対する遅延損害金の起算日は,原則として各事業年度の末日とするが,令和2年度分については,法定利率が同年4月1日以降の損害分についてはそれ以前の年5分から年3分に変動すること,損害算定期間の末日が事業年度の途中である同年5月10日までであることから,同年1月1日から同年3月31日までと,同年4月1日から同年5月10日までに期間を区切って遅延損害金を算定するのが相当である。したがって,各期間における,損害額,遅延損害金の起算日及び利率については以下のとおりとなる。平成29年9月15日~同年11月7日分(54日間)損害額78万2837円,起算日平成29年11月7日,利率年5分平成29年11月8日~同年12月31日分(54日間)損害額78万2837円,起算日平成29年12月31日,利率年5分平成30年1月1日から同年12月31日分(365日間)損害額529万1399円,起算日平成30年12月31日,利率年5分平成31年1月1日から令和元年12月31日まで(365日間)損害額529万1399円,起算日令和元年12月31日,利率年5分令和2年1月1日から同年3月31日まで(91日間)損害額131万9225円,起算日令和2年3月31日,利率年5分令和2年4月1日から同年5月10日まで(40日間)損害額57万9879円,起算日令和2年5月10日,利率年3分(算式)14,047,576円÷969日×54日≒782,837円14,047,576円÷969日×365日≒5,291,399円14,047,576円÷969日×91日≒1,319,225円14,047,576円÷969日×40日≒579,879円

5 13 結論よって,原告の請求は,1404万7576円並びにうち78万2837円に対する平成29年11月7日から,うち78万2837円に対する平成29年12月31日から,うち529万1399円に対する平成30年12月31日から,うち529万1399円に対する令和元年12月31日から,うち131万9225円に対する令和2年3月31日から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金及びうち57万9879円に対する令和2年5月10日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は失当であるから,上記限度で原告の請求を認容し,その余は棄却することとし,仮執行宣言は事案に鑑み相当ではないのでこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部

裁判長裁判官

佐 藤 達 文

裁判官

? 野 俊 太 郎

裁判官三井大有は,転補につき,署名押印することができない。

裁判長裁判官

佐 藤 達 文

別紙

被告物件目録

1 ユーザ端末にインストールされた商品名「LINE」のアプリケーションソフトに対応して動作するサーバ群からなるコンピュータシステム

2 ユーザ端末にインストールされて動作する商品名「LINE」のアプリケーションソフト

別紙

本件特許請求の範囲1 本件発明1(請求項1)5 現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって,互いにコミュニケーションによる交流に同意したユーザ同士が交流できるようにするための複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段と,ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と,前記ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と,該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段と,を備え,前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行うための制御を実行する一方,前記交流先として指定されて互いにメッセージを送受信できるユーザ端末同士の一方からの要求に応じて,他方のユーザ端末からメッセージを入力して送信する操作を行ったとしても前記ポップアップ通知を行わないように制御し,前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うこと5 なく交流できるようにした,コンピュータシステム。2 本件発明2(請求項2)前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行う,請求項1に記載のコンピュータシステム。

3 本件発明3現実世界で出会ったユーザ同士がユーザ端末を操作することによりコンピュータを利用してネットワークを介してのコミュニケーションによる交流を支援するコンピュータシステムであって,複数の交流先のリストをユーザに表示するための制御を行なう交流先リスト表示制御手段と,ユーザが前記交流先リスト表示制御手段により表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知手段と,前記ユーザ端末の位置情報を取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段とを備え,前記複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末にメッセージが入力された旨のポップア5 ップ通知を行うための制御を実行し,前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行い,前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記ユーザ端末に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,コンピュータシステム。

4 本件発明4(請求項4)現実世界で出会ったユーザ同士がコンピュータを利用して交流を行うためにユーザ端末により実行されるプログラムであって,前記ユーザ端末の位置情報を前記コンピュータへ送信する位置情報送信ステップと,前記ユーザ端末の報知部を制御する報知制御ステップとを,前記ユーザ端末に実行させ,前記報知制御ステップは,複数の交流先のリストを表示するための交流先リスト表示制御ステップと,ユーザが前記表示された複数の交流先の内からコミュニケーションを取りたい相手を選択指定し,該選択指定した者と選択指定された相手とがユーザ端末を操作して入力した内容を互いに伝え合ってメッセージを送受信できるように該入力内容を前記ユーザ端末で報知するための入力内容報知ステップと,を含み,さらに,前記選択指定した者が選択指定された相手に対しメッセージを入力して送信する操作を行った場合に,前記選択指定された相手のユーザ端末の前記報知部にメッセージが入力された旨のポップアップ通知を行い,前記コンピュータは,前記位置情報送信ステップにより送信されてきた前記ユーザ端末の位置情報を

5 取得し,該位置情報に基づいて所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末を検索する検索手段と,該検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索されたことを必要条件として,該検索されたユーザ端末と前記メッセージの送受信を可能にするために新たな交流先として前記交流先のリストに追加する交流先追加処理を行う交流先追加手段と,を含んでおり,前記交流先追加手段は,前記検索手段により前記所定時間中に所定距離内に位置するユーザ端末が検索された場合に,当該検索された前記ユーザ端末同士の所持者の内の一方が相手方に対して交流の申し出を行ない,相手方も交流に同意することにより,前記交流先追加処理を行い,前記コンピュータ側からの制御に基づいて前記交流先のリストを前記表示部に表示させることにより,前記ユーザ同士が連絡先の個人情報を知らせ合うことなく交流できるようにした,プログラム。

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