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令和2(行ケ)10136審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和3年6月16日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社松風
被告特許庁長官
法令 意匠権
意匠法3条2項1回
意匠法3条1項3号1回
意匠法3条1項1回
キーワード 審決14回
新規性3回
進歩性1回
拒絶査定不服審判1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 特許庁における手続の経緯等 原告は,令和元年5月30日,意匠に係る物品を「ホルダー付き歯科用ブロ ック」(以下「本願物品」という。)とし,意匠の形態を別紙第1記載のとお りとする意匠(以下「本願意匠」という。)について,意匠登録出願(意願2 019-11883号)をした。本願意匠において意匠登録を受けようとする 部分(以下「本願部分」という。)は,別紙第1の図面に実線で表した部分で あり,破線で表した部分は,意匠を主張しない部分である。

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判決文

令和3年6月16日判決言渡

令和2年(行ケ)第10136号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 令和3年3月22日

判 決

原 告 株 式 会 社 松 風

訴訟代理人弁理士 西 浦 晴

同 出 山 匡

被 告 特 許 庁 長 官

指 定 代 理 人 内 藤 弘 樹

同 北 代 真 一

同 木 村 恭 子

同 正 田 毅

同 山 田 啓 之

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

特許庁が不服2020-2827号事件について令和2年10月14日にした審決を取り消す。

第2 事案の概要

1 特許庁における手続の経緯等原告は,令和元年5月30日,意匠に係る物品を「ホルダー付き歯科用ブロック」(以下「本願物品」という。)とし,意匠の形態を別紙第1記載のとおりとする意匠(以下「本願意匠」という。)について,意匠登録出願(意願2019-11883号)をした。本願意匠において意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,別紙第1の図面に実線で表した部分であり,破線で表した部分は,意匠を主張しない部分である。原告は,拒絶査定を受けたので,拒絶査定不服審判(不服2020-2827号)を請求した。令和2年10月14日付けで別紙審決書写しのとおり請求不成立の審決がなされ,その謄本は,同月30日,原告に送達された。原告は,令和2年11月27日,本件訴訟を提起した。2 審決の理由の要旨本願物品の属する分野(以下「本願分野」という。)において,別紙第2及び第3記載の各意匠(以下,それぞれ「引用意匠1」及び「引用意匠2」という。)が本願出願前から公然知られていた。本願部分は,引用意匠1のシャフト部及びフランジ部の凹陥の位置を,引用意匠2にみられるように左側面視12時,3時,6時の位置としたのにすぎないから,本願意匠は,当業者が公然知られた形態をほとんどそのままか,あるいは,ありふれた手法によって改変を施した程度のものであって,容易に意匠の創作ができた。

第3 当事者の主張

1

(原告の主張)

(審決取消事由)

(1) 本願物品の需要者は,使用する切削加工機の冶具でホルダー部を保持でき,

使用する切削加工機の工具でブロック部を加工できる,という前提条件を満たす物品を選ぶことになる。本願分野において意匠の創作に携わる当業者は,この前提条件を満たした上で創作をするため,その創作の程度は,他の分野における意匠と比べて決して高いものにはならず,意匠の類似範囲は必然的に狭くなる。本願分野では,このような状況であっても,他社の製品の意匠と区別できる意匠を創作して意匠登録を受けることにより,製品間の混同を防止している事実がある。そして,本願物品のように,わずかな相違点であっても,各意匠が非類似であると判断されて意匠登録される分野において,創作容易性の判断を画一的に行ってしまうと,後願の意匠出願のほとんどが創作容易を理由として意匠登録を受けることができない状況が生じる。しかしながら,類似範囲が狭い意匠の物品分野においても,「意匠の創作を奨励」することが意匠法の目的に沿うのであるから,このように類似範囲が狭い意匠であることを考慮せずに,一律に意匠の創作の容易性を判断することは,意匠法の目的に反する。審決はこの点を考慮しないで創作容易性の判断を行っており,誤りである。

(2) 既登録意匠(公知意匠)の類似範囲と,創作容易な範囲と,意匠登録を受

けられる範囲の関係の概念を別掲1~3の各図に示す。別掲1の図は,意匠審査基準で想定しているような一般的な物品分野における既登録意匠の類似範囲と,創作容易な範囲と,意匠登録を受けられる範囲の関係を概念的に示した図である。既登録意匠は類似範囲で後願の出願意匠を排除するため,既登録意匠の類似範囲(小さい方から2番目の同心円)には,他の登録意匠は存在しない。また,概念的には,意匠法3条2項に該当する創作容易な範囲が類似範囲の外側にあり(3番目の同心円),この部分にも他の登録意匠は存在しない。複数の既登録意匠の類似範囲とその登録意匠に対して創作容易な範囲とに含まれない隙間の部分が後願の出願意匠が意匠登録を受けられる範囲となる。別掲2の図は,既登録意匠の類似範囲が狭い分野において,意匠審査基準で想定しているような創作容易な範囲を適用してしまった場合の関係を概念的に示した図である。類似範囲が狭い分野においては,理論的には,既登録意匠を中心にした類似範囲を示す円(2番目の同心円)の直径は狭くなる。一方で,意匠審査基準では,画一的に創作容易性の判断手法を規定しているため,既登録意匠を中心にした創作容易な範囲の円(3番目の同心円)の直径は理論的には変わらない。そのため,意匠審査基準に示される創作容易性の判断手法を用いて創作容易な範囲を画一的に定めると,既登録意匠の周囲が全て3番目の同心円の範囲に含まれてしまうことになって,後願の出願意匠が意匠登録を受けられる隙間がなくなってしまう。しかしながら現実には,類似範囲の狭い分野で,多数の意匠が登録されている。別掲3の図は,既登録意匠の類似範囲が狭い分野において,類似範囲が狭くなっているのに比例させて創作容易な範囲を示す円(3番目の同心円)の直径を狭くしたものである。このようにすると,創作容易な範囲の複数の円(3番目の同心円)の間に隙間ができて,後願の出願意匠が意匠登録を受けられる可能性が出てくる。別掲3の図のように,ある物品の分野において既登録意匠が多く,しかも各既登録意匠が「非類似になる意匠上の要素」が細部の相違にならざるを得ない場合,すなわち意匠の類似範囲が狭い場合には,複数の既登録意匠の類似範囲の隙間を見つけて「非模倣の形態を探求する行為」が意匠の創作の中心になる場合が多い。意匠出願をする際に,既登録意匠の調査をする行為は,まさに「非模倣の形態を探求する行為」の前提である。このような状況にある物品の分野の意匠の創作性の判断に,本件審決と同様に,画一的に意匠審査基準を適用してしまうと,理論的には別掲2の図のような状況になって後願の意匠出願は意匠登録を受けられなくなってしまう事態が発生する。このような事態の発生は,「他社の物品の形態を模倣するものではなく,健全な産業の発展に支障を来すことがない美感を有する形態(意匠)を探求する」ための創作意欲を削ぐことになり,意匠法の目的である,「意匠の保護及び利用を図ることにより,意匠の創作を奨励し,もって産業の発達に寄与すること」に反する状況を作り出すことになる。したがって,既登録意匠が多く,しかも各既登録意匠が「非類似になる意匠上の要素」が細部の相違にならざるを得ない物品の意匠の分野では,意匠の創作性の判断に,単純に一般的な審査基準を適用すべきではなく,「非模倣の形態を探求する行為」に意匠の創作を認めて,健全な産業の発展に支障を来たさないようにすべきである。

(3) 本願分野においては,ホルダー部の形状のわずかな相違であっても,その

相違は,「意匠が非類似になる意匠上の要素」と判断され,多くの意匠登録がなされた結果,「ホルダー付き歯科用ブロック」の意匠の類似範囲はかなり狭いものになっている。本願分野の意匠の登録例(別掲4)をみると,次の各要素のうち,少なくとも一つの「意匠が非類似になる意匠上の要素」があれば,非類似の意匠となり,しかも創作非容易と認められている。要素1:フランジの溝の数の相違要素2:フランジの溝の位置の相違要素3:フランジの溝の輪郭形状の相違要素4:フランジの溝の底の有無の相違要素5:軸部の溝の数と,フランジの溝との位置関係の相違要素6:軸部の形状の相違要素7:フランジ部の外観の相違

(4) 前述のとおり,本願分野においては,既登録意匠の類似範囲の隙間を見つ

けて「非模倣の形態を探求する行為」が,当業者の意匠の創作の中心になっている。このような状況にある本願物品の意匠の創作性の判断に,審決と同様に,画一的な意匠審査基準を適用すると,理論的には別掲2の図のような状況になって後願の意匠出願は意匠登録を受けられなくなってしまう。このような事態の発生は,「他社の物品の形態を模倣するものではなく,健全な産業の発展に支障を来すことがない美感を有する形態(意匠)を探求する」ための創作意欲を削ぐことになり,意匠法の目的である,「意匠の保護及び利用を図ることにより,意匠の創作を奨励し,もって産業の発達に寄与すること」に反する状況を作り出すことになる。審決の判断は,意匠の創作容易性の審査基準を越えて,発明の進歩性の判断基準のように,「二つの公知文献にそれぞれ記載された要素を組み合わせることは当業者に容易である」としているのに等しい。このような判断が是認されると,既登録意匠が多く,しかも各既登録意匠が「非類似になる意匠上の要素」が細部の相違にならざるを得ない物品の意匠の分野において,創作性の判断が後願の意匠出願が意匠登録を受けるのを著しく阻害するという重大な悪影響を与えることになる。

(被告の主張)

(1) 原告は,本願分野のように,意匠の類似範囲が狭い分野においては,産業

の発達に支障を来さないために,新規性を有する意匠には,その分野の実情に応じた創作容易性の判断を行わなければならないから,単純に一般的な審査基準を適用すべきではないような主張をしている。しかし,新規性(意匠法3条1項)の判断は,意匠登録出願された意匠と同一又は類似の物品に係る公知意匠の範囲において,需要者の視点からみた美感の類否を判断するものであるのに対し,創作容易性(同法3条2項)の判断は,物品の同一又は類似を問わず,公知の意匠やモチーフの範囲において,当業者の視点からみた着想の新しさや独創性を判断するものであるから,この2つの規定の判断主体や判断手法は全く異なるものである。また,本件分野における意匠創作の実情について,他の物品の分野にはない特段の実情は見当たらないし,特定の分野のみにおいて意匠の類似範囲を参酌して創作性の判断を変更するような審査を行うことは,意匠審査の的確性と公平性を毀損し,ひいては意匠制度を利用するユーザーに対する信用をも低下させる行為である。原告は,新規性の判断と創作容易性の判断について,原告独自の発想に基づく主張を縷々述べる中で,別掲1~3の概略図を用いて,類似範囲の外側に創作容易な範囲が存在するかのような説明をしているが,これは,原告独自の主観に基づく誤った解釈である。

(2) 原告は,本願意匠は,創作の自由度の低い本件分野において,既登録意匠

の類似範囲の隙間を見つけて非模倣の形態を探求した結果創作されたものであるから,意匠法の目的が「意匠の保護及び利用を図ることにより,意匠の創作を奨励し,もって産業の発達に寄与すること」にあることに照らして,創作性が認められるべき旨主張する。しかし,本願意匠の形態は,引用意匠1の形態を基にして,シャフト部及びフランジ部の凹陥の位置を,引用意匠2に見られるように,先端から見て12時,3時,6時の位置としたまでにすぎないものであって,公然知られた形態をほとんどそのままか,あるいは,ありふれた手法によって改変を施した程度のものというほかない。また,本願意匠の属する物品の分野は,他の分野の意匠と比べて,創作の自由度が低いとはいえない。

(3) したがって,

(原告の主張)

は当を得ないものであり,審決の判断に違法はない。

第4 当裁判所の判断

1 本願意匠の認定

(1) 意匠に係る物品(本願物品)本願物品は,人工歯を作成するための材料(ブロック)及び専用の切削機器に装着するためのホルダーを設けた「ホルダー付き歯科用ブロック」である。

(2) 本願部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲用途及び機能は,ブロックの加工に際し切削機器に取り付けるためのホルダーであって,位置,大きさ及び範囲は,全体のうち正面視中央から左側の約半分を占める。

(3) 本願部分の形態全体は,略円柱状のシャフト(以下「シャフト部」という。)と略円板状のフランジ(以下「フランジ部」という。)からなり,水平に配置したシャフト部の末端がフランジ部の面中央に直交している。シャフト部の径と長さの比率は,約1:2.2で,フランジ部の径と長さ(厚み)の比率は,約4.6:1で,シャフト部とフランジ部の径の比率は,約1:1.9,長さの比率は,約5.5:1である。シャフト部は,先端の周縁をテーパー状に面取りし,左側面視12時,3時,6時の位置に略矩形状の凹陥を3つ設け,周側面を横に3等分した真ん中を周方向に端面視略さじ面状に切り欠いて円環状の浅溝を形成している。フランジ部は,シャフト部の凹陥と同じ配置(左側面視12時,3時,6時の位置)に,フランジ部の右端近くまで切り欠いた略矩形状の凹陥を3つ設けている。引用意匠1の認定(1) 意匠に係る物品本願物品と同じく「ホルダー付き歯科用ブロック」である。(2) 本願部分に相当する部分の形態全体は,略円柱状のシャフト部と略円板状のフランジ部からなるものであって,水平に配置したシャフト部の末端をフランジ部の面中央に直交したものである。シャフト部の径と長さの比率は,約1:2.2で,フランジ部の径と長さ(厚み)の比率は,約4.6:1で,シャフト部とフランジ部の径の比率は,約1:1.9,長さの比率は,約5.5:1である。シャフト部は,先端の周縁をテーパー状に面取りし,左側面視3時と9時の位置に略矩形状の凹陥を2つ設け,周側面を横に3等分した真ん中を周方向に端面視略さじ面状に切り欠いて円環状の浅溝を形成している。フランジ部は,シャフト部の凹陥と同じ配置(左側面視3時と9時の位置)に,フランジ部の右端近くまで切り欠いた略矩形状の凹陥を2つ設けている。引用意匠2の認定(1) 意匠に係る物品本願物品と同じく「ホルダー付き歯科用ブロック」である。(2) 本願部分に相当する部分の形態(別紙第1の本願意匠の図の向きに合わせて,別紙第3の左側面図の向きを右に90度回転して認定する。)全体は,略円柱状のシャフト部と略円板状のフランジ部からなるものであって,水平に配置したシャフト部の末端をフランジ部の面中央に直交したものである。シャフト部の径と長さの比率は,約1:2.3で,フランジ部の径と長さ(厚み)の比率は,約4.6:1で,シャフト部とフランジ部の径の比率は,約1:2.1,長さの比率は,約5:1である。シャフト部は,先端の周縁をテーパー状に面取りし,左側面視12時,3時,6時の位置に略矩形状の凹陥を3つ設け,周側面を横に3等分した真ん中を周方向に端面視略さじ面状に切り欠いて円環状の浅溝を形成している。フランジ部は,シャフト部の凹陥と同じ配置(左側面視12時,3時,6時の位置)を,それぞれ略矩形状に切り欠いている。本願意匠の創作容易性の検討「ホルダー付き歯科用ブロック」の分野において,ホルダーを,水平に配置した略円柱状のシャフト部の末端を略円板状のフランジ部の面中央に直交させたものとし,シャフト部先端の周縁をテーパー状に面取りし,左側面視3時と9時の位置に略矩形状の凹陥を2つ設け,周側面を横に3等分した真ん中を周方向に端面視略さじ面状に切り欠いて円環状の浅溝を形成し,フランジ部はシャフト部の凹陥と同じ配置(左側面視3時と9時の位置)に,フランジ部の右端近くまで切り欠いた略矩形状の凹陥を2つ設けたものが,本願出願前から公然知られており(引用意匠1),また,シャフト部の凹陥を左側面視12時,時,6時の位置としフランジ部も同じ位置で切り欠いたものも,本願出願前から公然知られていた(引用意匠2)。そうすると,本願部分は,引用意匠1のシャフト部及びフランジ部の凹陥の位置を,引用意匠2にみられるように左側面視12時,3時,6時の位置としたのにすぎないから,本願意匠は,当業者が公然知られた形態をほとんどそのままか,あるいは,ありふれた手法によって改変した程度のものであり,また,それによって新たな美観を生み出したといった事情も認められないから,容易に創作し得たといえる。これと同旨の審決の判断に誤りはない。原告の主張について(1) 原告は,自ら作成した別掲1~3の図を用いるなどして,本願分野のように意匠の類似範囲が狭い分野においては,形状のわずかな相違であっても,その中に少なくとも一つの「意匠が非類似になる意匠上の要素」があれば,非類似の意匠となり,しかも創作非容易と認められるべきである旨を主張する。しかしながら,意匠法3条1項3号における類否の判断は,出願された意匠と類似する意匠とが,出願意匠に係る物品と同一又は類似の物品につき一般需要者に対して出願意匠と類似の美感を生じさせるかどうかを基準としてなされるべきであるのに対し,同法3条2項は,物品との関係を離れた抽象的なモチーフとして日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(公然知られた形態)を基準として,それからその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易に創作することができた意匠でないことを登録要件としたものであり,上記公然知られた形態を基準として,当業者の立場から見た意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするから(平成10年法律第51号による改正前の法3条2項につき,最高裁昭和49年3月19日第三小法廷判決・民集28巻2号308頁,最高裁昭和50年2月28日第二小法廷判決・裁判集民事114号287頁参照),意匠の類似性と創作容易性とは判断主体や判断手法を全く異にしている。したがって,原告の上記主張は,両者の違いを無視した独自の見解といわざるを得ないものであって,採用することができない。(2) 原告は,本願分野の登録意匠について自ら作成した別掲4を用いるなどして,原告の挙げる7要素のうち少なくとも一つの「意匠が非類似になる意匠上の要素」があれば,形状のわずかな相違であっても創作非容易と認められるべき旨主張する。しかしながら,まず,別掲4の多数の登録意匠のうち,出願人及び登録日を同じくする複数の意匠は,互いに部分意匠や関連意匠の関係にある可能性が高く,その場合は形状の差異がわずかであっても登録されているのは当然のことにすぎないから,原告の分析は,その前提に問題があるといわざるを得ない。そして,既に述べたとおり,本願意匠は,引用意匠1の凹陥の数と位置を引用意匠2のそれに置き換えたのにすぎず,何ら意匠としての着想の新しさや独創性を認めることはできないのであるから,原告のいう登録済意匠の存在を考慮したとしても,本願意匠は創作容易であるとの結論が左右されるものではない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。結論以上によれば,審決にこれを取り消すべき違法はなく,原告の請求は理由がない。

知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官

鶴 岡 稔 彦

裁判官

上 田 卓 哉

裁判官

都 野 道 紀

別掲1

別掲2

別掲3

別掲4

(別紙審決書写し省略)

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