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令和1(ワ)21592商標権等に基づく差止等請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所東京地方裁判所
裁判年月日 令和2年10月29日
事件種別 民事
当事者 原告オカモト株式会社
被告株式会社サックス ジャパンメディカル株式会社
法令 商標権
商標法3条1項5号3回
商標法36条1項2回
商標法26条1項2号2回
特許法104条の31回
商標法39条1回
商標法38条1項1回
商標法26条1項6号1回
キーワード 商標権31回
差止7回
無効5回
損害賠償4回
侵害4回
無効審判1回
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
1 被告サックスは,コンドームの包装に別紙被告標章目録記載1-1,1-2,
2の各標章,別紙「被告商品の外箱正面」記載の商品表示を付し,これらの各
2 被告ジャパンメディカルは,別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各5
3 被告サックスは,別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各標章,別紙
4 被告ジャパンメディカルは,別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各10
5 被告らは,原告に対し,連帯して,992万4000円及びこれに対する令
1,1-2,2の標章を,それぞれ「被告主張標章1-1」,「被告主張標章1
1 前提事実(当事者間に争いがない事実)25
2 争点
4)
5)
1 争点1-1(被告らが使用した被告商品の標章の認定)
2 争点1-2(原告商標と被告商品の標章の類否)
02㎜」の文字等が記載された本件シールが貼付されており,これに20
2」のみを抽出することはできず,全体を一体として観察しなければ
2」のみを抽出することはできず,全体を一体として観察しなければ
3 争点1-3(原告商標登録無効の抗弁の成否-商標法3条1項5号)
4 争点1-4(原告商標権の効力制限の抗弁の成否-商標法26条1項2号)
0.027)の近似値を表示したにすぎず,商品の「品質」ないし「形状」
2号)。このことは,本件シールに「天然ゴムの」,「0.02㎜」と記載され
2のように個別アルミ包装の全面に複数個にわたって表示したりする必要は
5 争点1-5(原告商標権の効力制限の抗弁の成否-商標法26条1項6号)
6 争点2-1(原告商品の商品表示の周知性の有無)5
5億円を下らない。
2EX」という商品名で登場し,平成28年には「オカモトゼロツー」
2」が,原告商標(色違いの商標も含む。)の表記に統一されたが(以下,
00万個(単位は,コンドーム1つ)を突破し,店頭販売総額は200
7 争点2-2(原告商品の商品表示と被告商品の商品表示の類否及び混同のお
02」と表記する点であるから,両者は,外観,観念及び称呼に基づく10
1-1のとおり認定されるべきであり,「0.02」のみを抽出するこ
1-1のとおり認定されるべきであり,「0.02」のみを抽出するこ
1の背景は赤色であって複数の円形マークが表示されている。10
8 争点3-1(被告らの共同不法行為の成否)
9 争点3-2(原告の損害額)
20個)を乗ずると,損害額合計は,992万4000円と算出される。5
1 認定事実
02」の表記を,原告商標(色違いの商標も含む。)様の表記に統一した
000万個(単位は,コンドーム1つ)以上,店頭販売総額は200億
1%)となっている。10
0万円以上となっている(甲17~21,39~44)。
31年4月28日・登録日令和元年10月11日。以下「被告商標権」と
30年7月27日・登録日令和元年5月17日)等を有している(乙9)。
2)。
15)。
2」と記載されているものが存在する(甲38,53,乙5,6,12の1
03」と記載されているものが存在する(甲35,乙12の8・10・11)。
2 争点1-2(原告商標と被告商品の標章の類否)について
4.09㎝・幅5.06㎝・面積20.7㎠)と記載された部分を,そ25
79㎠)と記載され,外箱の右下部に横書き・白抜きで「4コ入」(高さ
0.26㎝・幅0.65㎝・面積0.17㎠)と記載されており,外箱
02」という数字にすぎず,原告商標の外観とは,本件図形部分の点を含
3-2)について検討するまでもなく,原告の被告らに対する商標法36
3 争点2-1(原告商品の商品表示の周知性の有無)について5
0*」(数字)と表記すること自体が,原告の商品表示として周知性を有して
27年4月に新商品として販売が開始され,日本全国におけるテレビコマー
2」が,原告商標(色違いの商標も含む。)の表記に統一されたが,現在でも
4 結論
15
25
35
15
2 3
4 5
6 7
8 9
1-1 被告標章1-1(外箱の正面)5
1-2 被告標章1-2(外箱の右側面)
2 被告標章2(個別アルミ包装)
1-1 被告主張標章1-1(外箱の正面)5
1-2 被告主張標章1-2(外箱の右側面)
2 被告主張標章2(個別アルミ包装)5
事件の概要 原告は,別紙原告商標権目録記載の商標権(以下「原告商標権」といい,そ の登録商標を「原告商標」という。)を有し,包装(外箱)に別紙原告商品表示 目録1又は2記載の各商品表示(以下,それぞれ「原告商品表示1」,「原告商 品表示2」といい,これらを併せて「原告各商品表示」という。)を付した各コ ンドーム商品(以下,これらを併せて「原告商品」という。)を販売しており,20 他方,被告らにおいて,原告商標の指定商品と同一の商品(コンドーム)に関 し輸入,譲渡等をしている(被告サックスが輸入して被告ジャパンメディカル に卸し,被告ジャパンメディカルがこれを第三者に卸している。)ところ,被告 らが,その商品の包装(外箱及び個別アルミ包装)において,原告商標に類似 する別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各標章(以下,それぞれ「被25 告標章1-1」,「被告標章1-2」(以下,これらを併せて「被告標章1」とい う。),「被告標章2」といい,これらを併せて「被告各標章」という。)及び原 告商品の商品表示に類似する別紙「被告商品の外箱正面」記載の商品表示(以 下「被告商品表示」という。)を使用している旨主張する(以下,被告らの輸入, 譲渡等に係る被告各標章及び被告商品表示が付されたコンドーム商品を「被告

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判決文

令和2年10月29日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和元年(ワ)第21592号 商標権等に基づく差止等請求事件

口頭弁論終結日 令和2年8月20日

判 決

原 告 オ カ モ ト 株 式 会 社

同訴訟代理人弁護士 冨 來 真 一 郎

同 野 中 啓 孝

被 告 株 式 会 社 サ ッ ク ス

(以下「被告サックス 」という。)

被 告 ジャパンメディカル株式会社

(以下「被告ジャパンメディカル」という。)

上記2名訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

同 弓 削 田 博

同 藤 沼 光 太

同 補 佐 人 弁 理 士 若 林 擴

主 文

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

1 被告サックスは,コンドームの包装に別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各標章,別紙「被告商品の外箱正面」記載の商品表示を付し,これらの各標章等を包装に付したコンドームを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,又は輸入してはならない。

5 2 被告ジャパンメディカルは,別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各標章,別紙「被告商品の外箱正面」記載の商品表示を包装に付したコンドームを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。3 被告サックスは,別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各標章,別紙「被告商品の外箱正面」記載の商品表示を包装に付したコンドームを廃棄せよ。4 被告ジャパンメディカルは,別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各標章,別紙「被告商品の外箱正面」記載の商品表示を包装に付したコンドームを廃棄せよ。5 被告らは,原告に対し,連帯して,992万4000円及びこれに対する令和元年9月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

原告は,別紙原告商標権目録記載の商標権(以下「原告商標権」といい,その登録商標を「原告商標」という。)を有し,包装(外箱)に別紙原告商品表示目録1又は2記載の各商品表示(以下,それぞれ「原告商品表示1」 「原告商,品表示2」といい,これらを併せて「原告各商品表示」という。)を付した各コンドーム商品(以下,これらを併せて「原告商品」という。)を販売しており,他方,被告らにおいて,原告商標の指定商品と同一の商品(コンドーム)に関し輸入,譲渡等をしている(被告サックスが輸入して被告ジャパンメディカルに卸し,被告ジャパンメディカルがこれを第三者に卸している。)ところ,被告らが,その商品の包装(外箱及び個別アルミ包装)において,原告商標に類似する別紙被告標章目録記載1-1,1-2,2の各標章(以下,それぞれ「被告標章1-1」「被告標章1-2」, (以下,これらを併せて「被告標章1」という。 ,) 「被告標章2」といい,これらを併せて「被告各標章」という。)及び原告商品の商品表示に類似する別紙「被告商品の外箱正面」記載の商品表示(以下「被告商品表示」という。 を使用している旨主張する) (以下,被告らの輸入,譲渡等に係る被告各標章及び被告商品表示が付されたコンドーム商品を「被告

5 商品」という。なお,被告らは,被告商品における使用標章は,原告が主張するような被告各標章であると認定されるべきではなく,被告商品の外箱や個別アルミ包装の外観(別紙被告主張標章目録記載の標章。以下,同目録記載1-1,1-2,2の標章を,それぞれ「被告主張標章1-1」 「被告主張標章1,-2」(以下,これらを併せて「被告主張標章1」という。 ,)「被告主張標章2」といい,これらを併せて「被告各主張標章」という。)のとおり認定されるべきであるとし,また,被告商品における使用標章をどのように捉えたとしても,原告商標とは類似しないなどと主張して,原告の上記主張を争っている。 。)そして,本件は,原告が,被告らによる被告各標章の使用行為は,原告商標権を侵害し,また,被告らによる被告商品表示の使用行為は,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の周知商品等表示混同惹起行為に該当すると主張して,①商標法36条1項,37条1号及び不競法3条1項に基づき,被告サックスに対しては,コンドームの包装に被告各標章及び被告商品表示を付すこと並びに被告商品の輸入,譲渡等の差止めを,被告ジャパンメディカルに対しては,被告商品の譲渡等の差止めを,それぞれ求め,②商標法36条2項及び不競法3条2項に基づき,被告らに対し,それぞれ被告商品の廃棄を求めると共に,③不法行為(商標権侵害又は不競法4条)に基づく損害賠償として,被告らに対し,連帯して,992万4000円及びこれに対する不法行為の日の後である 令和元年9月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。1 前提事実(当事者間に争いがない事実)

⑴ 当事者ア 原告は,ゴム・プラスチックの総合メーカーとして,自動車内装材等の事業者向け製品(産業用製品事業)並びにコンドーム及びゴム手袋等のゴム製品等の消費者向け製品(生活用品事業)等の製造・販売を主たる業務としている株式会社である。

5 イ 被告サックスは,医療用ゴム製品の製造・販売を主たる業務としている株式会社である。被告ジャパンメディカルは,医療用ゴム製品の販売を主たる業務としている株式会社である。なお,被告らは,代表者及び本店所在地が同じであり,実質的に一体経営がなされている。

⑵ 原告商標権及び原告商品原告は,原告商標権を有し,包装である外箱に原告商品表示1を付したコンドーム商品(以下「オカモトゼロワン」という。)及び原告商品表示2を付したコンドーム商品(以下「オカモトゼロツー(単純数字)」という。)等を販売している。

⑶ 被告らの行為等ア 被告サックスは,その外箱の正面の外観が被告商品表示のとおりであり,その右側面の外観が被告主張標章1-2のとおりであり,その個別アルミ包装に被告主張標章2が付されている被告商品を,タイ王国内の会社にOEM製造(委託者ブランドによる製造)させ,これを日本国内に輸入した上,被告主張標章1-1のとおり,被告商品の外箱の正面上部(包装用フィルム上)に,「マツモトキヨシ 限定」「天然ゴムの, 0.02㎜」の文字等が表示された,上側が金色で下側が銀色の円形の広告用シール(以下「本件シール」という。)を貼付して,被告ジャパンメディカルに卸している。被告ジャパンメディカルは,被告サックスから仕入れた被告商品を,株式会社マツモトキヨシホールディングスのグループ会社が運営する「マツモトキヨシ」に卸している。イ 被告商品は,平成31年4月上旬頃から,全国に店舗展開されている「マツモトキヨシ」系列のドラッグストア及び「マツモトキヨシ」のオンライ

5 ンストアにおいて販売されている。2 争点

⑴ 商標法36条1項及び2項に基づく差止請求及び廃棄請求の可否(争点1)ア 被告らが使用した被告商品の標章の認定(争点1-1)イ 原告商標と被告商品の標章の類否(争点1-2)ウ 原告商標登録無効の抗弁の成否-商標法3条1項5号(争点1-3)エ 原告商標権の効力制限の抗弁の成否-商標法26条1項2号(争点1-4)オ 原告商標権の効力制限の抗弁の成否-商標法26条1項6号(争点1-5)

⑵ 不競法3条1項及び2項に基づく差止請求及び廃棄請求の可否(争点2)ア 原告商品の商品表示の周知性の有無(争点2-1)イ 原告商品の商品表示と被告商品の商品表示の類否及び混同のおそれの有無(争点2-2)

⑶ 不法行為に基づく損害賠償請求の可否(争点3)ア 被告らの共同不法行為の成否(争点3-1)イ 原告の損害額(争点3-2)

第3 争点に関する当事者の主張

1 争点1-1(被告らが使用した被告商品の標章の認定)

⑴

(原告の主張)

次のとおり,被告らが使用した被告商品の標章は,被告各標章のとおりであると認定すべきである。ア 被告サックスは,その外箱の正面の外観が被告商品表示の,その右側面の外観が被告主張標章1-2のとおりであり,その個別アルミ包装に被告主張標章2が付されている被告商品を,タイ王国内の会社にOEM製造させ,これを日本国内に輸入している。

5 その後,被告サックスは,被告商品の外箱の正面に本件シールを貼付し

た上,これを被告ジャパンメディカルに譲渡し,被告ジャパンメディカルは,これを第三者に譲渡しているが,被告らにおいて,被告商品に本件シールを貼付しないことや貼付後に容易に取り外すことができることなどからすると,本件シールの記載は,被告商品の標章であると捉えるべきではない。なお,被告商品の外箱の中の個別アルミ包装されたコンドームも,独立して商取引の対象となり得るから,個別アルミ包装の記載も被告商品の標章となる。したがって,被告商品の外箱本体及び個別アルミ包装の記載を前提として,被告らが使用した被告商品の標章を認定すべきである。イ 被告商品の外箱の正面には,「0.02」 「|うすぴた|」 「久楽邦」, , ,「天然ゴムのフィット感」の文字等が分離独立して記載されているところ,そのうち「0.02」が極端に大きく,その他は書体が異なり,行を分けて記載されているし,「0.02」が数字,「|うすぴた|」が記号とひらがな,「久楽邦」が日本語として意味をなさない漢字であって,後二者の知名度は低い。被告商品の外箱の右側面にも,「0.02」「-うすぴた-」の文字等が,分離独立して記載されているところ,これらは書体が異なるし, 0.「 02」が数字,「-うすぴた-」が記号とひらがなであり,後者の知名度は低い。被告商品の個別アルミ包装にも,「0.02」「|うすぴた|」の文字等,が分離独立して記載されているところ,そのうち「0.02」が極端に大きく,書体も異なるし,「0.02」が数字,「|うすぴた|」が記号とひらがなであり,後者の知名度は低い。したがって,被告商品において使用されている標章は,被告各標章であると認定すべきであるし,仮に被告商品の標章自体を被告各主張標章と認

5 定したとしても,そこから被告各標章を抽出した上で,原告商標との類否

を判断すべきである。

⑵ 被告らの主張

次のとおり,被告らは,被告商品の外箱の中にある個別アルミ包装の記載を商標法上使用したとはいえず,これを措くとしても,被告商品の標章は,被告各主張標章のとおりであると認定すべきである。ア 被告らは,被告商品を輸入した後,被告主張標章1-1のとおり,全ての被告商品の外箱の正面上部(包装用フィルム上)に,本件シールを永久接着タイプの強粘着剤で貼付し,「マツモトキヨシ」限定で販売しており,各店舗までの国内輸送時に本件シールが剥がれるおそれもない。このように,被告商品の外箱と本件シールとの間には物理的一体性があり,その全体が被告商品の標章となる。また,被告商品の外箱の中の個別アルミ包装されたコンドームは,海外でOEM製造された時点で全て外箱に入れられて外部から視認できない状態となり,そのままの状態で日本国内に輸入されて各店舗に流通しており,個別アルミ包装されたコンドームが単独で取引されることはなく,販売業者等に視認される可能性もないから,被告らは,個別アルミ包装記載の標章を商標法上使用したとはいえない。したがって,被告商品の外箱本体及び本件シールの記載を前提として,被告らが使用した被告商品の標章を認定すべきである。イ 被告商品の外箱の正面には被告主張標章1-1が,その右側面には被告主張標章1-2が,個別アルミ包装には被告主張標章2が付されており,これらに表示された文字等はいずれもまとまり良く配置されており,これに接した需要者は,これらの標章を一体の表示として認識するから,被告商品の標章は,被告主張標章1(及び2)のとおり認定すべきであって,そこから「0.02」のみを抽出した被告標章1(及び2)と認定すべき

5 ではない。

2 争点1-2(原告商標と被告商品の標章の類否)

⑴

(原告の主張)

次のとおり,被告各標章は,原告商標と外観,観念及び称呼のいずれにおいても類似しており,取引の実情にも照らせば,商品の出所混同のおそれを生じさせるものである。ア 取引の実情原告商品や被告商品のようなコンドーム商品は,避妊具という商品の性質上,需要者の多くが購入に当たって幾分の恥ずかしさを感じることから,需要者は,売場で十分に時間をかけてパッケージの違いを詳細に対比することなく,これを一見した際の印象を元に短時間で購入を決断してしまう傾向がある。イ 原告商標と被告各標章との対比原告商標は,「002」という数字に若干の図形的要素を組み合わせたものであるところ,左端の「0」の右下部分に被さった黄緑色の「〇」は,形,大きさ,位置から,需要者において小数点であると認識される。それゆえ,原告商標からは,「0.02」という外観が認識され,これに対応する観念及び称呼が生ずる。他方で,被告各標章からも,「0.02」という外観が認識され,これに対応する観念及び称呼が生ずる。したがって,原告商標と被告各標章は,外観,観念及び称呼のいずれにおいても類似しており,前記アの取引の実情にも照らせば,商品の出所混同のおそれを生じさせるといえる。

⑵ 被告らの主張

次のとおり,被告各主張標章は,外観及び称呼において原告商標と類似しておらず,商品の出所混同のおそれを生じさせるものではない。

5 ア 原告商標と被告各主張標章との対比

原告商標の外観は,白地上に,左端に位置する黒色で縦長の楕円の右側下部に隙間部が形成され,この隙間部内に黄緑色の円形模様を配置してなるデザイン(以下「本件図形部分」という。)と,黒色のゴシック数字「0」と「2」とを組み合わせてなる図形商標であり,その要部は,本件図形部分にあるといえる。原告商標の左端の本件図形部分は,数字の「0」と小数点としての 」「.を意味するとはいえないから,ここからは特定の称呼,観念は生じない。また,日本において数字を常に英語読みするという慣例がなく,原告商標から英語読みの称呼が生ずることはないから, レーニ」 「レイニ」「 又はとの称呼が生じ,特定の観念は生じない。a 被告主張標章1-1との対比被告主張標章1-1(外箱の正面)については,被告商品の赤地の外箱の正面に白文字で「うすぴた」 「久楽邦」 「0.02」の文字等, ,がまとまりよく記載され, 0.「 02」の僅か上には, 天然ゴムの「 0.02㎜」の文字等が記載された本件シールが貼付されており,これに接した需要者は,「0.02」がコンドームの肉厚寸法を表示していると理解する。また,被告商品の外箱の正面の中心部分に表記されている「0.02」の高さは,外箱の高さの3分の1未満にすぎない。したがって,「0.02」は,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。実際に,多くの企業が,コンドーム商品のパッケージにおいて,肉厚寸法を表すものとして「0.02」等と単位を付さずに表示している。他方で,被告らは,平成8年12月以降,「うすぴた」との商標をコンドーム商品の包装に付して継続的に使用し,被告ジャパンメディカルは,日本において,指定商品を避妊用具とする商標「うすぴた」に

5 係る商標権等を有しているのであって,

「うすぴた」は,需要者の間で一定の知名度を獲得している。したがって,「うすぴた」には,出所識別機能が認められる。また,被告らは,平成31年4月以降,「久楽邦」との商標をコンドーム商品の包装に付して継続的に使用し,被告ジャパンメディカルは,中国,日本及び香港において,指定商品を避妊用具等とする商標「久楽邦」 「楽」は中国の簡体字で表記)に係る商標権を有している。し(たがって,「久楽邦」にも,出所識別機能が認められる。このように,被告主張標章1-1については,「0.02」が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない上,それ以外の「うすぴた」「久楽邦」にも出所識別機能が認められるから,, 「0.02」のみを抽出することはできず,全体を一体として観察しなければならない。そうすると,被告主張標章1-1からは,「マツモトキヨシゲンテイテンネンゴムノレーテンレーニミリメートルレーテンレーニウスピタキューラクホーテンネンゴムノフィットカン」又は「マツモトキヨシゲンテイテンネンゴムノレイテンレイニミリメートルレイテンレイニウスピタキュウラクホウテンネンゴムノフィットカン」との称呼が生じ,特定の観念は生じない。以上によれば,原告商標と被告主張標章1-1は,外観及び称呼において著しく異なるといえる。b 被告主張標章1-2との対比被告主張標章1-2(外箱の右側面)については,前記aと同様に,「0.02」が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない上,「うすぴた」にも出所識別機能が認められるから,「0.02」のみを抽出することはできず,全体を一体として観察しなければならない。そうすると,被告主張標章1-2からは,「レーテンレーニ

5 ウスピタ」又は「レイテンレイニウスピタ」との称呼が生じ,特定の

観念は生じない。以上によれば,原告商標と被告主張標章1-2は,外観及び称呼において著しく異なるといえる。c 被告主張標章2との対比被告主張標章2についても,前記aと同様に,「0.02」が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない上,「うすぴた」にも出所識別機能が認められるから,「0.02」のみを抽出することはできず,全体を一体として観察しなければならない。そうすると,被告主張標章2からも,「レーテンレーニウスピタ」又は「レイテンレイニウスピタ」との称呼が生じ,特定の観念は生じない。以上によれば,原告商標と被告主張標章2は,外観及び称呼において著しく異なるといえる。イ 原告標章と被告各標章との対比次のとおり,被告各標章についてみたとしても,外観及び称呼において原告商標と類似していない。前記 のとおり,原告商標の要部は,本件図形部分にあり, レーニ」「又は「レイニ」との称呼が生じ,特定の観念は生じない。他方で,被告各標章の「0.02」は,小数点の位置が中央の「0」寄りである上に四角形であり,何ら図形的部分を備えていないから,これに接した需要者からは,単に「0.02」という数字が表示されていると認識されるにとどまり,「レーテンレーニ」又は「レイテンレイニ」との称呼が生じ,「0.02」との観念が生ずることになる。したがって,原告商標と被告各標章も,外観及び称呼において著しく異なるといえる。

3 争点1-3(原告商標登録無効の抗弁の成否-商標法3条1項5号)

5 ⑴ 被告らの主張

仮に原告商標が,需要者から単に「0.02」という数字であると認識される場合,数字は,原則として「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」に該当するから,商標登録の無効理由を有し,無効審判により無効にされるべきものである(商標法46条1項1号,3条1項5号)。したがって,原告は,被告らに対し,原告商標権を行使することができない(同法39条,特許法104条の3第1項)。

⑵

(原告の主張)

原告商標は,「002」という数字に若干の図形的要素を組み合わせたものであり,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章『のみ』からなる商標」(商標法3条1項5号)には該当しない。また,後記6⑴のとおり,原告商品(原告商標を含む。)は周知であり,使用による識別性を獲得していることから,仮に同号に該当するとしても,商標登録を受けることができる(同条2項)。

4 争点1-4(原告商標権の効力制限の抗弁の成否-商標法26条1項2号)

⑴ 被告らの主張

原告が主張する被告各標章は,被告商品のコンドームの肉厚寸法(平均値0.027)の近似値を表示したにすぎず,商品の「品質」ないし「形状」を「普通に用いられる方法で表示する商標」に該当する(商標法26条1項2号)。このことは,本件シールに「天然ゴムの」「0.02㎜」と記載され,ていることからも明らかである。なお,原告商品や被告商品以外にもコンドームの肉厚寸法を「0.02」と表示している商品が存在しており,必ずしも「0.02㎜」などと単位を付して表示されるわけではない。また,本件シールは,外箱の正面だけに貼付されていて側面からは視認できないから,右側面に「0.02」と表示しても何ら過剰な表示ではない。

5 したがって,原告商標権の効力は,被告各標章には及ばない。

⑵

(原告の主張)

原告が,第三者に依頼するなどして,被告商品のコンドームの肉厚寸法を測定したところ,平均値は0.033㎜であり,「0.02」㎜ではないから,「0.02」は,被告商品の「品質」ないし「形状」に該当しない。また,被告商品の「品質」等を表示するのであれば,本件シールだけで足り,被告標章1のように外箱の正面や右側面に大きく表示したり,被告標章2のように個別アルミ包装の全面に複数個にわたって表示したりする必要はないし,「0.02㎜」などと単位が記載されているわけでもない。したがって,被告各標章は,「品質」ないし「形状」を「普通に用いられる方法で表示する商標」(商標法26条1項2号)に該当しない。

5 争点1-5(原告商標権の効力制限の抗弁の成否-商標法26条1項6号)

⑴ 被告らの主張

前記 のとおり,原告が主張する被告各標章は,小数点の位置が中央の「0」寄りである上に四角形であり,何ら図形的部分を備えていないから,これに接した需要者からは,単に「0.02」という数字が表示されていると認識されるにとどまるところ,前記3⑴のとおり,「0.02」は,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」(商標法3条1項5号)に該当し,自他商品識別機能がない。それゆえ,被告各標章は,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」(同法26条1項6号)に該当する。したがって,原告商標権の効力は,被告各標章には及ばない。

⑵

(原告の主張)

被告らの上記主張については,争う。被告各標章については,「0.02」の表示の大きさ・位置,複数箇所に使用されていることなどからして,商標的態様で使用されていることは明らかである。

5 6 争点2-1(原告商品の商品表示の周知性の有無)

⑴

(原告の主張)

次のとおり,原告商品の商品表示は,原告の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているといえる。ア オカモトゼロワン原告商品のうちオカモトゼロワンの商品表示(原告商品表示1)については,そのうちの「0.01」自体又は赤地に白抜きで「0.0*」(数字)と表記すること自体が,自他商品識別機能及び出所表示機能を備える商品表示であるといえるところ,次の事情から,同商品表示については周知性を具備したものと認められる。オカモトゼロワンは,平成27年4月に新商品として登場して以来,現在に至るまで継続して販売されているところ,その累計販売個数は,令和元年7月時点で,5000万個(単位は,コンドーム1つ)を超え,店頭販売総額は150億円以上となり,薄型コンドーム商品群における販売実績は全国第1位(金額シェア23.9%)となっている。オカモトゼロワンの商品表示は,年によって若干のデザインの変更はあるものの,「0.01」が占める大きさ,文字のデザイン,赤地に白抜き文字であるというデザインは共通している。原告は,オカモトゼロワンを,日本全国におけるテレビコマーシャル,駅前ビルの液晶ビジョンやアドトラック等の屋外広告,全国各地のドラッグストア等における店舗広告,地下鉄車両内の交通広告等において,長年かつ多方面にわたって宣伝・広告してきている。原告がオカモトゼロワンにかけた宣伝・広告費用は,発売開始から現在まで,主要なものだけでも4億5000万円以上であり,その総額は5億円を下らない。イ オカモトゼロツー(単純数字)

5 原告商品のうちオカモトゼロツー(単純数字)の商品表示(原告商品表

示2)については,中身のコンドームの数や種類によって,いくつかのバリエーションがあるものの,「0.02」が占める大きさ,文字のデザインは共通しており,「0.02」は,自他識別機能及び出所表示機能を備える商品表示であるといえるところ,次の事情から,同商品表示については周知性を具備したものと認められる。オカモトゼロツー(単純数字)は,平成22年に「うすさ均一0.02EX」という商品名で登場し,平成28年には「オカモトゼロツー」と商品名を変更し,現在に至るまで全国的に継続して販売されている。オカモトゼロツー(単純数字)の商品表示は,年によって若干のデザインの変更はあるものの,「0.02」が占める大きさ,文字の書体,長方形の枠に入っているというデザインは共通している。なお,平成29年からは,オカモトゼロツー(単純数字)の「0.02」が,原告商標(色違いの商標も含む。 の表記に統一されたが) (以下,統一前後を併せて,単に「オカモトゼロツー」という。 ,現在でも,店)頭やオンラインストアでは,オカモトゼロツー(単純数字)が販売され続けている。オカモトゼロツーの累計販売個数は,平成31年3月時点で1億5000万個(単位は,コンドーム1つ)を突破し,店頭販売総額は200億円以上となっている。このうち,オカモトゼロツー(単純数字)の割合は,8割程度を占めており,薄型コンドーム商品群におけるオカモトゼロツーの販売実績は全国第3位(金額シェア20.1%)となっている。原告は,オカモトゼロツー(単純数字)を,店舗広告(コンドマニア),雑誌広告,映画コラボキャンペーン,業界紙広告,インターネット記事広告等において,長年かつ多方面にわたって宣伝・広告してきている。

5 また,オカモトゼロツー(単純数字)は,新聞記事,インターネット

ニュースで取り上げられ,漫画のストーリーにも登場している。さらに,全国各地のドラッグストア等において,商品陳列棚でオカモトゼロツーが多数並べられている状況も,興味のある需要者に対する宣伝・広告となっている。

⑵ 被告らの主張

原告の上記主張については,争う。原告が主張する原告商品の商品表示が,

①我が国のいかなる地域において(地域的範囲),②どのような対象(一般取

引者及び需要者)に,③どの程度浸透しているのか(周知の程度と認識の浸透度)が全く不明であり,上記商品表示が原告の業務に係る商品を表示するものとして,周知性を具備したものとは認められない。

7 争点2-2(原告商品の商品表示と被告商品の商品表示の類否及び混同のお

それの有無)

⑴

(原告の主張)

次のとおり,原告商品の商品表示と被告商品の商品表示は類似しており,商品の出所について混同のおそれがある。ア 被告らは,原告との間に,コンドーム商品(特に薄型コンドーム商品)において圧倒的な販売実績の差があったところ,平成31年4月上旬頃から突然,原告各商品表示に類似した被告商品表示を採用し始めたことなどからして,原告の信用にフリーライドする動機があった。オカモトゼロワン原告商品のうちオカモトゼロワンの商品表示と被告商品表示を対比すると,両者の要部は,赤を基調とした全面背景にその中央部分に白抜きで大きく「0.0*」(*は数字)と表記する点であり,「0.0*」も,数字1桁の違いしかなく,「0.0」は共通しているほか,数字部分の面積と赤地部分の面積の割合も同程度である。

5 以上から,両者は,外観,観念及び称呼に基づく印象,記憶及び連想

等から,全体的に類似のものとして需要者が受け取るおそれがある。オカモトゼロツー(単純数字)原告商品のうちオカモトゼロツー(単純数字)の商品表示と被告商品表示を対比すると,両者の要部は,コンドーム商品の中央部に大きく「0.02」と表記する点であるから,両者は,外観,観念及び称呼に基づく印象,記憶及び連想等から,全体的に類似のものとして需要者が受け取るおそれがある。ウ そして,コンドーム商品は,避妊具という商品の性質上,需要者の多くが購入に当たって幾分の恥ずかしさを感じることから,需要者は,売場において時間をかけて商品パッケージの違いを詳細に対比することなく,商品パッケージの一見した際の印象を元に短時間で購入を決断してしまう傾向がある。実際に,「マツモトキヨシ」の多くの店舗において,原告商品と被告商品は,隣り合わせで一見して区別できないような態様で販売されていることも加えると,原告商品の商品表示と被告商品表示とは類似しているというべきであり,被告商品表示をコンドーム商品について使用すると,需要者において,商品の出所について混同のおそれが生ずるというべきである。

⑵ 被告らの主張

次のとおり,原告商品の商品表示と被告商品の商品表示は類似しておらず,商品の出所について混同のおそれはない。ア 被告らは,他の多くの企業がコンドーム商品のパッケージに肉厚寸法を数字で表記していたから,同様に肉厚寸法を分かりやすく「0.02」と記載したにすぎず,原告の信用にフリーライドする動機はなかった。イ オカモトゼロワンa 原告商品表示1は,「OKAMOTO ZERO ONE」,「オカモ

5 トゼロワン」の文字にも識別性が認められ,いずれも一体としてまと

まり良く配置されていることから,「0.02」のみを抽出することはできない。他方で,前記1⑵のとおり,被告商品の商品表示は,被告主張標章1-1のとおり認定されるべきであり,「0.02」のみを抽出することはできない。b 次のとおり,原告商品表示1と被告主張標章1-1は,色彩が似ているものの,多数の外観上の相違点があり(なお,被告商品表示を対象としても,本件シールを除いて同一の相違点がある。 ,それゆえ称)呼も異なるから,両者は類似していない。

⒜ 原告商品表示1の「0.01」は,左端が原告商標と同様の図形

的部分となっており,右側の数字も「01」である上に,右端の「1」が極端に大きく表示されている一方,被告主張標章1-1は,特徴的な図形的部分は一切存在せず,3つの「0」 「0」 「2」の数字, ,は同じ大きさで表示されている。

⒝ 原告商品表示1には,

「OKAMOTO ZERO ONE」,「オカモトゼロワン」等の表示があるが,被告主張標章1-1には存在せず,代わりに「|うすぴた|」 「久楽邦」 「天然ゴムのフィット, ,感」等の表示がある。

⒞ 原告商品表示1には,被告主張標章1-1の上部に設けられた本

件シールがなく,代わりに左上部に「日本産の」,「0.01ミリ台」等の表示がある。

⒟ 原告商品表示1の右上部には,人の指で形作られた「OK」マー

クが表示されている。

⒠ 原告商品表示1の「0」の下部には,

「3個入」と表示されている。

⒡ 被告主張標章1-1には,赤地上に複数の円形マークが表示され

5 ている。

⒢ 原告商品表示1よりも,被告主張標章1-1の方が全体的に縦長

である。オカモトゼロツー(単純数字)a 原告商品表示2は,「0.02」には自他商品識別機能がなく,「OKAMOTO CONDOMS」 「EXCELLENT」 「6PIE, ,CES」等と共に枠で囲まれ,まとまり良く構成されていることから,「0.02」のみを抽出することはできない。他方で,前記 のとおり,被告商品の商品表示は,被告主張標章1-1のとおり認定されるべきであり,「0.02」のみを抽出することはできない。b 次のとおり,原告商品表示2と被告主張標章1-1には,多数の外観上の相違点があり(なお,被告商品表示を対象としても,本件シールを除いて同一の相違点がある。 ,それゆえ称呼も異なるから,両者)は類似していない。

⒜ 原告商品表示2には,被告主張標章1-1と異なり,

「|うすぴた|」 「久楽邦」 「天然ゴムのフィット感」等の表示はなく,代わり, ,に「グランズフィット」等の表示がある。

⒝ 原告商品表示2は, 」が丸形で「0」と「0」の真ん中に配置

「.されている上に,「0.02」が枠で囲まれている一方で,被告主張標章1-1は, 」が四角形で中央の「0」寄りに配置されている「.上に,「0.02」が原告商品表示2のそれよりも縦長となっており,特段枠に囲まれてもいない。

⒞ 原告商品表示2には,被告主張標章1-1の上部に設けられた本

件シールがない。

⒟ 原告商品表示2の左上部には,人の指で形作られた「OK」マー

5 クが表示されている。

⒠ 原告商品表示2の「0.02」の下部には,アルファベットで「O

KAMOTO CONDOMS」 「EXCELLENT, 6PIECES」等の表示がある。

⒡ 原告商品表示2の背景が光沢であるのに対し,被告主張標章1-

1の背景は赤色であって複数の円形マークが表示されている。

⒢ 原告商品表示2よりも被告主張標章1-1の方が全体的に縦長で

ある。

8 争点3-1(被告らの共同不法行為の成否)

⑴

(原告の主張)

被告らの行為は,原告商標権を侵害するものであるため,過失が推定される(商標法39条,特許法103条)。また,被告らの行為は,不競法2条1項1号にも該当するところ,被告らにとって,原告商品がドラッグストア等で販売されていることは容易に把握できる状況であり,少なくとも過失が認められる。そして,被告らは,共同して上記の行為を行ったものとして,原告に対し,共同不法行為責任を負う。

⑵ 被告らの主張

否認ないし争う。

9 争点3-2(原告の損害額)

⑴

(原告の主張)

原告は,被告らの共同不法行為によって,次のとおり,少なくとも992万4000円の損害を被ったといえる(商標法38条1項,不競法5条1項)。すなわち,原告商品の単位数量当たりの利益額は,1個当たり200円であり,これに,被告商品の販売数量(被告商品の1店舗当たり累計卸売数である30個にマツモトキヨシ店舗数 である1654店舗を乗じた4万96

5 20個)を乗ずると,損害額合計は,992万4000円と算出される。

⑵ 被告らの主張

否認ないし争う。

第4 当裁判所の判断

1 認定事実前記前提事実に加え,後掲の証拠(枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む。以下同様。)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

⑴ 原告商標の商標登録に至る経緯原告は,平成20年2月4日,原告商標に係る登録出願をしたところ,特許庁審査官から拒絶理由通知書が送付されたことから,原告商標は,外観的に見ても単なる数字の「002」ではなく,最前部に位置する「0」の右下部の一部分を欠き,同部に色違いに着色した「.」を顕著に表示してなるものであり,これを無視ないし軽視することはできないことなどからして,カタカナ文字「ゼロゼロツー」と欧文字「ZEROZEROTWO」を上下二段書きした構成よりなる引用商標とは類似しないなどと回答し,平成21年3月27日,原告商標について商標登録を受けた(甲2,乙3,4)。

⑵ 原告商品の販売及び宣伝・広告状況ア オカモトゼロツー原告は,平成22年,「うすさ均一0.02EX」という商品の販売を開始し,平成28年,「オカモトゼロツー」に商品名を変更して,原告商品表示2(年によって若干のデザインの変更がある。)が外箱の正面に付されたオカモトゼロツー(単純数字)を販売している。なお,原告は,平成29年,オカモトゼロツー(単純数字)の「0.02」の表記を,原告商標(色違いの商標も含む。)様の表記に統一したが,現在でも,全国のドラッグストアやオンラインストアでは,オカモトゼロツー(単純数字)も販売されている。

5 オカモトゼロツーの累計販売個数は,平成31年3月時点で,1億5000万個(単位は,コンドーム1つ)以上,店頭販売総額は200億円以上となっている。このオカモトゼロツーのうち,オカモトゼロツー(単純数字)の割合は,8割程度を占めており,薄型コンドーム商品群におけるオカモトゼロツーの販売実績は全国第3位(金額シェア20.1%)となっている。(以上につき,甲5,6,8~13,47,48)原告は,オカモトゼロツーを,店舗広告(コンドマニア),雑誌広告,映画コラボキャンペーン,業界紙広告,インターネット記事広告等において,宣伝・広告し,オカモトゼロツーは,新聞記事,インターネットニュースで取り上げられたり,漫画のストーリーに登場したりしている(甲14,19,22)。イ オカモトゼロワン原告は,平成27年4月,新商品として,原告商品表示1(年によって若干のデザインの変更がある。 が外箱の正面に付されたオカモトゼロ)ワンの販売を開始した。オカモトゼロワンの累計販売個数は,令和元年7月時点で,5000万個(単位は,コンドーム1つ)以上,店頭販売総額は150億円以上となり,薄型コンドーム商品群における販売実績は全国第1位(金額シェア23.9%)となっている。(以上につき,甲5,6,8,10~12,16,47,48)原告は,オカモトゼロワンを,日本全国におけるテレビコマーシャル,駅前ビルの液晶ビジョンやアドトラック等の屋外広告,全国各地のドラッグストア等における店舗広告,地下鉄車両内の交通広告等 において,宣伝・広告しており,その累計費用は,主要なものだけでも4億5000万円以上となっている(甲17~21,39~44)。

5 ⑶ 被告らの商標登録及び被告商品の販売等ア 被告らは,平成8年12月以降,コンドーム商品の包装に,「うすぴた」との商標を付し,さらに,平成31年4月以降,「久楽邦」との商標を付して,これらの商標を使用している(甲45)。被告ジャパンメディカルは,指定商品を避妊用具とし,登録商標を「うすぴた」とする商標権(出願日平成9年12月5日・登録日平成11年4月9日)に加え,指定商品を避妊用具等とし,「うすぴた」の文字を含む図形商標に係る商標権を有しており,その中には,被告商品表示のとおりの内容の登録商標に係る商標権(商標登録第6188248号・出願日平成31年4月28日・登録日令和元年10月11日。以下「被告商標権」という。)も含まれている(甲23~25,乙7)。また,被告ジャパンメディカルは,指定商品を避妊用具等とし,登録商標を「久楽邦」 「楽」は中国の簡体字で表記)とする商標権(出願日平成(30年7月27日・登録日令和元年5月17日)等を有している(乙9)。イ 被告サックスは,その外箱の正面に被告商品表示を,その右側面に被告主張標章1-2を,その個別アルミ包装に被告主張標章2をそれぞれ表示した被告商品を,タイ王国内の会社にOEM製造(委託者ブランドによる製造)させ,これを日本国内に輸入した上,被告主張標章1-1のとおり,被告商品の外箱の正面上部(包装用フィルム上)に,「マツモトキヨシ 限定」 「天然ゴムの」 「0.02㎜」の文字等が表示された,上側が金色で, ,下側が銀色の円形の本件シールを粘着剤で貼付して,被告ジャパンメディカルに卸し,被告ジャパンメディカルは,被告サックスから仕入れた被告商品を,「マツモトキヨシ」に卸している(甲1,28~31,46,乙1,2)。被告商品は,平成31年4月上旬頃から,全国に店舗展開されている「マツモトキヨシ」(グループ店舗総数1654店舗)の限定商品として,「マ

5 ツモトキヨシ」系列のドラッグストア及び「マツモトキヨシ」のオンラインストアにおいて販売されている(甲4,5,7,47,乙11)。⑷ 原告による被告商標権の商標登録に対する登録異議の申立て原告は,令和元年10月以降,特許庁長官に対し,①原告商標,②オカモトゼロワンのうち別紙原告商品表示目録1記載1の商標及びオカモトゼロツー(単純数字)のうち別紙原告商品表示目録2記載1の商標を引用商標として,被告商標権の商標登録に対する登録異議の申立てをした。特許庁審判官は,令和2年5月13日,①被告商標権に係る商標は,その構成中の他の文字と視覚的に分離して看取される0.02部分と原告商標とを対比すれば,観念において比較できないとしても,外観についてはデザイン化の程度等において顕著な差異があり,称呼については「レーテンレーニ」ないし「ゼロテンゼロニ」と「レーレーニ」ないし「ゼロゼロニ」という顕著な差異があり,互いに紛れるおそれのない非類似の商標である,②オカモトゼロワンのうち別紙原告商品表示目録1記載1の商標及びオカモトゼロツー(単純数字)のうち別紙原告商品表示目録2記載1の商標が,日本国内において,被告商標権に係る商標登録出願時及び登録査定時に,原告の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないし,また,オカモトゼロワンのうち別紙原告商品表示目録1記載1の商標は,その構成中の「0.01」部分と被告商標権に係る商標とを対比すれば,観念において比較できないとしても,両者の外観及び称呼は構成態様及び語調語感に顕著な差異があり,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であり,また,オカモトゼロツー(単純数字)のうち別紙原告商品表示目録2記載1の商標は,その構成中の「0.02」部分と被告商標権に係る商標とを対比すれば,観念において比較できず,称呼については共通するものの,外観については数字及び小数点の形状において顕著な差異があり,これらを総合勘案すれば,互いに相紛れるおそれのない非類似の商

5 標であるなどとして,被告商標権の商標登録を維持する旨の決定をした(乙15)。⑸ 他社のコンドーム商品相模ゴム工業株式会社が製造・販売するコンドーム商品(サガミオリジナル001)の包装には,肉厚寸法を表すものとして,特に単位を付すことなく「0.01」と記載されているものが存在する(乙12の7)。また,ジェクス株式会社が販売(原告が製造)するコンドーム商品(iXイクス0.02,胡蝶(KOCHOU) ,相模ゴム工業株式会社が製造・販)売するコンドーム商品(サガミオリジナル002),第一三共ヘルスケア株式会社が製造 販売するコンドーム商品・ (サンシーノンラバー002ゆったり)の包装には,肉厚寸法を表すものとして,特に単位を付すことなく「0.02」と記載されているものが存在する(甲38,53,乙5,6,12の1~4・6)。さらに,ジェクス株式会社が製造・販売するコンドーム商品(グラマラスバタフライ003,ジェクス INVI 0.03 スタミナ),中西ゴム工業株式会社が製造・販売等するコンドーム商品(極ウス0.03 BMカスタム)の包装には,肉厚寸法を表すものとして,特に単位を付すことなく「0.03」と記載されているものが存在する(甲35,乙12の8・10・11)。

2 争点1-2(原告商標と被告商品の標章の類否)について本件事案に鑑み,争点1-2から判断する。⑴ 商標の類否の判断基準商標の類否は,同一又は類似の商品に使用された商標が外観,観念,称呼等によって取引者・需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであり,かつ,その商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものであるところ,商標の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品につき出所を誤認混同する

5 おそれを推測させる一応の基準にすぎず,上記3点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違するか,又は取引の実情等によって,何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては,これを類似商標と解することはできない(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁,最高裁平成4年9月22日第三小法廷判決・裁判集民事165号407頁,最高裁平成9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。そこで,以上の判断基準を踏まえて,原告商標と被告商品の標章の類否について検討する。⑵ 原告商標と被告商品の標章の類否ア 原告商標原告商標は,白地上に,左端に位置する黒色のゴシック数字「0」の右下部に隙間部が形成され,この隙間部内に黄緑色の円形模様を配置してなる図形(本件図形部分)と,上記「0」と同じ大きさの黒色のゴシック数字「0」 「2」と とを組み合わせてなる図形商標である(前記認定事実⑴)。イ 被告商品の標章被告標章1-1被告標章1-1は,別紙被告標章目録記載1-1のとおりであり,被告商品の赤地の外箱の正面(高さ13㎝・幅6.5㎝・面積84.5㎠)の中央付近に横書き・白抜きでやや縦長の「0.02」(全体として高さ4.09㎝・幅5.06㎝・面積20.7㎠)と記載された部分を,その背景の赤地とともに長方形状に切り抜いてなる標章である(甲46)。なお,被告商品の外箱の正面は,別紙「被告商品の外箱正面」記載のとおり(被告商品表示)であり,上記に加えて,その下部に横書き・白抜きで「|うすぴた|」(高さ0.91㎝・幅3.8㎝・面積3.46㎠)と記載され,その下部に横書き・白抜きで「久楽邦」(高さ0.36㎝・

5 幅1.16㎝・面積0.42㎠)と記載され,その下部に横書き・白抜きで「天然ゴムのフィット感」(高さ0.28㎝・幅2.81㎝・面積0.79㎠)と記載され,外箱の右下部に横書き・白抜きで「4コ入」(高さ0.26㎝・幅0.65㎝・面積0.17㎠)と記載されており,外箱の赤地上に複数の円型マークが記載されている(甲46)。そして,被告主張標章1-1は,別紙被告主張標章目録記載1-1のとおりであり,上記に加えて,被告商品の外箱の正面上部(包装フィルム上であり上記「0.02」の上部)に,「マツモトキヨシ 限定」「天,然ゴムの」 「0.02㎜」の文字等が記載された,上側が金色で下側が,銀色の円形の広告用シール(本件シール)が貼付されてなる標章である。被告標章1-2被告標章1-2は,別紙被告標章目録記載1-2のとおりであり,被告商品の赤地の外箱の右側面(幅13㎝)の左部に横書き・白抜きでやや縦長の「0.02」(外箱の右側面の幅の4分の1程度)と記載された部分を,その赤地とともに長方形状に切り抜いてなる標章である。なお,被告主張標章1-2は,別紙被告主張標章目録記載1-2のとおりであり,上記に加えて,その右部に横書き・白抜きで「-うすぴた-」(外箱の右側面の幅の4分の3程度)と記載されてなる標章である。被告標章2被告標章2は,別紙被告標章目録記載2のとおりであり,被告商品の外箱の中の,コンドーム1個毎の梱包に係る個別アルミ包装(銀色の地のもの)に横書き・白抜きでやや縦長の「0.02」と記載された部分を,その銀色の地とともに長方形状に切り抜いてなる標章である。なお,被告主張標章2は,別紙被告主張標章目録記載2のとおりであり,上記に加えて,その下部に横書き・白抜きで「-うすぴた-」(高さは「0.02」の4分の1程度・幅は4分の3程度)と記載されてなる

5 標章である。ウ 原告商標と被告商品の標章の対比以上を踏まえて,原告商標と被告各標章を対比すると,次のとおりである。すなわち,前記アのとおり,原告商標の外観は,白地上に,左端に位置する黒色のゴシック数字「0」の右下部に隙間部が形成され,この隙間部内に黄緑色の円形模様を配置してなる図形(本件図形部分)と,上記「0」と同じ大きさの黒色のゴシック数字「0」と「2」とを組み合わせてなる内容のものであるところ,確かに,上記黄緑色の円形模様は,小数点を表すようにもみえ,「0.02」との数字が記載されているようにもみえる。しかし,「0.02」との数字は,他社のコンドーム商品の包装にも記載がある(前記認定事実⑸)ように,原告商標の指定商品(コンドーム)の取引者・需要者において,その肉厚寸法の近似値を意味する数字であると認識されるというべきである。そうすると,このような,取引者・需要者において商品の性質,性状を一般的に表す用語といえる「0.02」との数字の部分がコンドーム商品に用いられたとしても,その書体,色彩やデザイン等を離れて,具体的取引の実情においてこのような数字の部分のみで出所の識別標識として機能するような使用がされている等の特段の事情が認められない限り,出所識別標識としての称呼,観念は生じないというべきである。そして,本件において,その書体,色彩やデザイン等を離れて,「0.02」との数字の部分そのものが出所識別標識として機能するような使用がされていたことを認めるに足りる証拠はない。このことに加え,原告商標の登録出願の経緯等を見ても,単なる「0.02」という数字の部分ではなく,その書体や色彩,本件図形部分との組合せに特徴があり,それゆえに商標登録が認められたといえるものである(前記認定事実⑴,⑷)。

5 したがって,原告商標が付されたコンドーム商品に接した取引者・需要者は,原告商標の外観のうち,「0.02」という数字の部分そのものではなく,本件図形部分を含む書体,色彩やデザイン等が特徴的であるとの印象を受け,その点において,特定の出所を示す標識と認識されるものというべきであり,原告商標からは,このような意味において,本件図形部分を含む書体,色彩やデザイン等の点が反映した称呼,観念が生ずることがあるにとどまるというべきである。これに対し,被告各標章の外観は,いずれも,白抜きでやや縦長の「0.02」という数字にすぎず,原告商標の外観とは,本件図形部分の点を含め,書体,色彩やデザイン等が著しく異なり,コンドーム商品の取引者・需要者に対し,全体として原告商標とは全く異なる印象を与えるものというほかなく,このような被告各標章から,原告商標の書体,色彩やデザイン等の点が反映した称呼,観念が生ずることもないから,原告商標と類似の称呼,観念が生ずることもないと認められる。エ 小括以上によれば,原告商標と被告各標章とは,類似しているとはいえず,被告各標章は,原告商標と出所の誤認混同を生じさせるおそれがあるとは認められない。そして,そうである以上,被告各標章に更に種々の表示が加わっている被告各主張標章と原告商標とを対比したとしても,両者が類似しているとはいえないことは明らかであって,被告各主張標章も,原告商標と出所の誤認混同を生じさせるおそれがあるとは認められないというべきである。そうすると,その余の争点(争点1-1,1-3ないし1-5,3-1,3-2)について検討するまでもなく,原告の被告らに対する商標法36条1項及び2項に基づく差止請求及び廃棄請求並びに商標権侵害に基づく損害賠償請求は,いずれも認められないことになる。

5 3 争点2-1(原告商品の商品表示の周知性の有無)について⑴ 不競法2条1項1号は,「不正競争」として,「他人の商品等表示(人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。 として需要者の間に広く認識され)ているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し,又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し(中略)て,他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を挙げており,不正競争行為が成立するためには,他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されていること(周知性)が必要である旨を規定している。そこで,以上を前提に,原告商品の商品表示の周知性の有無について検討する。⑵ まず,原告は,オカモトゼロワン(原告商品表示1。別紙原告商品表示目録1記載のとおり)のうちの「0.01」自体又は赤地に白抜きで「0.0*」(数字)と表記すること自体が,原告の商品表示として周知性を有していると主張する。しかし,前記説示と同様に,「0.01」自体又は赤地に白抜きで「0.0*」(数字)と表記すること自体は,「0.01」等の数字が他社のコンドーム商品の包装にも記載があることに照らせば(前記認定事実⑸),原告商品(コンドーム商品)の取引者・需要者においては,その肉厚寸法の近似値を意味する数字であると認識されるというべきである。また,原告商品表示1は,「0.01」自体又は赤地に白抜きの「0.0*」(数字)の付近に,需要者の注意を惹くような態様の「オカモトゼロワン」「OKAMOTO, ZERO ONE」 「OKAMOTO, CONDOMS」との白抜き表示や,上部隅に存する「指で丸を作った手の図形」を含んでいることが認められる。そうすると,取引者・需要者において商品の性質,性状を一般的に表す用語といえる「0.01」自体又は赤地に白抜きの「0.0*」(数字)との表

5 記自体がコンドーム商品に使用されていたとしても,その書体やデザイン,その付近に存する「オカモトゼロワン」 「OKAMOTO, ZERO ONE」 「OKAMOTO, CONDOMS」との白抜き表示や,上部隅に存する「指で丸を作った手の図形」等を離れて,上記の数字等自体でもって出所を識別する表示として需要者の間に広く認識されるに至っているものと直ちに認めることは困難というべきである。そして,上記の数字等自体でもって周知性が認められるのは,その書体やデザイン,その付近に存する「オカモトゼロワン」との白抜き表示等を離れて,「0.01」自体又は赤地に白抜きの「0.0*」(数字)との表記自体が相当長期間にわたり使用され,その取引者・需要者への浸透度も極めて大きいことなどから商品等表示性を獲得したといえるなどの事情があるときに限られるものというべきである。しかして,確かに,原告商品表示1が付されたオカモトゼロワンは,平成27年4月に新商品として販売が開始され,日本全国におけるテレビコマーシャルを含め,様々な媒体を通じて宣伝・広告されており,その累計販売個数は,令和元年7月時点で,5000万個(単位は,コンドーム1つ)以上,店頭販売総額は150億円以上となり,薄型コンドーム商品群における販売実績は全国第1位(金額シェア23.9%)となっており,商品自体としては相当程度の販売実績等を有していることが認められる(前記認定事実⑵イ)。しかしながら,これに付された商品表示の中身を具体的にみると,いずれも,原告商品表示1から上記の数字等を切り出して使用する態様のものはなく,また,その書体やデザイン,その付近に存する「オカモトゼロワン」との白抜き表示等を離れて,「0.01」自体又は赤地に白抜きの「0.0*」(数字)との表記自体が使用されるような態様で宣伝・広告,販売がされたものと認めるに足りるようなものもなく,さらに,そのような使用が相当程度に長期間された結果,その取引者・需要者への浸透度が極めて大きいと認めることもできないのであって,これらが商品等表示性を獲得したといえるなど

5 の事情があるとは認められない。したがって,原告が主張するように,原告商品表示1のうちの「0.01」自体又は赤地に白抜きで「0.0*」(数字)と表記すること自体が,原告の商品表示として需要者の間に広く認識されているということはできない。

⑶ 次に,原告は,オカモトゼロツー(単純数字)(原告商品表示2。別紙原告商品表示目録2記載のとおり)のうちの「0.02」が,原告の商品表示として周知性を有していると主張する。しかし,「0.02」についても,前記⑵の説示が当てはまるところである。すなわち,「0.02」が,取引者・需要者においてそれが使用される商品の性質,性状を一般的に表す用語といえることは「0.01」等と変わるものではなく,また,「0.02」自体がコンドーム商品に用いられていたとしても,その書体やデザイン,需要者の注意を惹くその他の表示(「0.02」の直下に存する「OKAMOTO CONDOMS」の表示や,上部隅に存する「指で丸を作った手の図形」等)を離れて,「0.02」自体でもって出所を識別する表示として需要者の間に広く認識されるに至っているものと直ちに認めることは困難である。そして,「0.02」自体でもって周知性が認められるのは,その書体やデザイン,その直下に存する「OKAMOTO CONDOMS」の表示等を離れて,「0.02」自体が相当長期間にわたり使用され,その取引者・需要者への浸透度も極めて大きいことなどから商品等表示性を獲得したといえるなどの事情があるときに限られるものというべきである。しかして,確かに,原告商品表示2が付されたオカモトゼロツー(単純数字)は,平成22年,「うすさ均一0.02EX」という商品名で登場し,平成28年,「オカモトゼロツー」に商品名が変更され,平成29年,「0.02」が,原告商標(色違いの商標も含む。)の表記に統一されたが,現在でもオカモトゼロツー(単純数字)が販売され続け,これまでに雑誌広告を含む

5 様々な媒体で宣伝・広告されており,オカモトゼロツーの累計販売個数は,平成31年3月時点で1億5000万個(単位は,コンドーム1つ)以上,店頭販売総額は200億円以上となっており,オカモトゼロツーのうちオカモトゼロツー(単純数字)の割合は8割程度を占め,薄型コンドーム商品群におけるオカモトゼロツーの販売実績は全国第3位(金額シェア20.1%)となっているなど,商品自体としては相当程度の販売実績を有していることが認められる(前記認定事実⑵ア)。しかしながら,これに付された商品表示の中身を具体的にみると,いずれも,原告商品表示2から「0.02」を切り出して使用する態様のものはなく,また,その書体やデザイン,その直下に存する「OKAMOTO CONDOMS」の表示等を離れて,「0.02」自体が使用されるような態様で宣伝・広告,販売がされたものと認めるに足りるようなものもなく,さらに,そのような使用が相当程度に長期間された結果,その取引者・需要者への浸透度が極めて大きいと認めることもできないのであって,これが商品等表示性を獲得したといえるなどの事情があるとは認められない。したがって,原告が主張するように,原告商品表示2のうちの「0.02」も,原告の商品表示として需要者の間に広く認識されているということはできない。

⑷ 小括以上によれば,原告が主張する原告商品の商品表示に周知性は認められないから,その余の争点(争点2-2,3-1,3-2)について検討するまでもなく,原告の被告らに対する不競法3条1項及び2項に基づく差止請求及び廃棄請求並びに不競法4条に基づく損害賠償請求は,いずれも認められないことになる。

4 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,

5 主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部

裁判長裁判官 田 中 孝 一

裁判官 奥 俊 彦

裁判官 西 尾 信 員

別 紙

原告商標権目録

5 商標登録 第5217536号登録日 2009年3月27日商品及び役務の区分 第10類指定商品 コンドーム,その他の避妊用具,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,医療用機械器具,医療用手袋登録商標

別 紙

原告商品表示目録1(オカモトゼロワン)5 15 25 3

別 紙

原告商品表示目録2(オカモトゼロツー(単純数字))13579

別 紙

被告標章目録5 1-1 被告標章1-1(外箱の正面)1-2 被告標章1-2(外箱の右側面)2 被告標章2(個別アルミ包装)

別 紙

被告主張標章目録5 1-1 被告主張標章1-1(外箱の正面)1-2 被告主張標章1-2(外箱の右側面)5 2 被告主張標章2(個別アルミ包装)

別 紙

被告商品の外箱正面

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