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令和3(ワ)5989民事訴訟 著作権

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裁判所 認容 大阪地方裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日 令和4年3月31日
事件種別 民事
当事者 原告P1
被告さくらインターネット株式会社
法令 著作権
キーワード 侵害32回
損害賠償3回
実施1回
主文 1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事件の概要 1 本件は、原告が、氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が別紙投稿記 事目録記載の記事(以下「本件記事」という。)を被告の管理するサーバを使用し てウェブサイトに投稿したことにより、原告の名誉権及び名誉感情並びに著作権(公25 衆送信権(送信可能化権を含む。))が侵害されたことは明らかであると主張して、 被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示 に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき、別紙発信者情報目録記載 の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。

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判決文

令和4年3月31日判決言渡 同日原本受領 裁判所書記官
令和3年(ワ)第5989号 発信者情報開示請求事件
口頭弁論終結日 令和4年2月25日
判 決
原 告 P1
同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 出 光 恭 介
同 佐 藤 隆 志
被 告 さくらインターネット株式会社
同 代 表 者 代 表 取 締 役
同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 中 山 茂
同 松 岡 亮
15 同 津 田 里 紗 子
主 文
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
20 第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
1 本件は、原告が、氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が別紙投稿記
事目録記載の記事(以下「本件記事」という。)を被告の管理するサーバを使用し
25 てウェブサイトに投稿したことにより、原告の名誉権及び名誉感情並びに著作権(公
衆送信権(送信可能化権を含む。 が侵害されたことは明らかであると主張して、
))
被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示
に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき、別紙発信者情報目録記載
の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨に
5 より容易に認められる事実)
(1) 原告は、「P1」の名称で活動する漫画家、イラストレーターである。
被告は、電気通信事業等を目的とする株式会社であり、「特定電気通信役務提供
者」(法2条3号)に該当する。
(2) 原告は、令和2年6月頃、カバー株式会社(以下「カバー社」という。)と
10 の間で、カバー社が運営するバーチャルYouTuber
(Vtuber。2D又は3Dのキャラクター
を使って活動しているYouTuber)の事務所又はグループである「ホロライブ」内の
プロジェクトに関し、長期的、継続的な漫画制作業務に係る契約(以下「本件契約」
という。 を締結したが、
) 本件契約は、令和3年2月22日に終了した(甲7~9)。
(3) 令和3年2月26日、 やらおん!」
「 と題するインターネット上のブログサー
15 ビス(以下「本件サイト」という。)に本件記事が投稿された(以下「本件投稿」
という。)。本件記事の具体的内容は、別紙投稿記事目録記載のとおり(記事の内
容につき、同目録記載の項順に「本件情報1」などという。)である(甲20の1・
2)。
(4) 別紙投稿記事目録記載のIPアドレスは被告の管理するものであり、被告は本
20 件発信者情報を保有している。被告は、本件投稿に関し、「開示関係役務提供者」
(法4条1項柱書)に該当する。
3 争点
(1) 発信者情報該当性(争点1)
(2) 名誉権及び名誉感情侵害の明白性(争点2)
25 (3) 著作権侵害の明白性(争点3)
ア 著作権侵害の有無(争点3-1)
イ 「引用による利用」該当性(争点3-2)
(4) 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点4)
第3 当事者の主張
1 発信者情報該当性(争点1)について
5 (原告の主張)
本件記事は、被告が提供するホスティングサービスの契約者が、その管理する本
件サイトにて公開したものである。
被告は、被告の契約者ではない第三者が本件サイトを管理していたことを理由に、
本件発信者情報が法4条1項所定の発信者情報に該当しない旨を主張するが、仮に
10 そのような事実があったとしても、法4条1項所定の発信者情報とは、当該権利の
侵害情報の発信者そのものの情報に限定されるものではなく、当該侵害情報の発信
者の特定に資する情報も含まれる。本件発信者情報は、侵害情報の発信者の特定に
資する情報であるから、同項所定の発信者情報に該当する。
(被告の主張)
15 法4条1項は「当該権利の侵害に係る発信者情報」を開示対象としている。また、
同項の委任を受けた施行規則も、発信者情報につき「一 発信者その他侵害情報の
送信に係る者の氏名又は名称」などと定めている。これは、情報の流通によって権
利の侵害があった場合において、自己の権利を侵害されたと主張する者に発信者情
報の開示を請求できる権利を創設した反面、発信者のプライバシーや表現の自由、
20 通信の秘密等に配慮して、その権利行使の要件として、権利侵害の明白性はもちろ
ん、発信者情報と権利侵害の強い関連性を厳格に求めた趣旨である。このような趣
旨や上記法令の文言に照らすと、開示請求の対象は、開示請求者の権利を侵害した
とする情報の発信行為を行った際の発信者についての情報に限られると解するのが
相当である。
25 被告が、本件記事によって特定される、被告が提供するホスティングサービスの
契約者(以下「被告契約者」という。)に対し意見照会を実施したところ、被告契
約者は、自身が本件サイトを管理していたのではなく、第三者に被告のサービスを
利用させることで、当該第三者が本件サイトを管理していた旨を前提とした内容を
述べた。したがって、本件発信者情報は「当該権利の侵害に係る発信者情報」とは
いえず、法4条1項所定の発信者情報に該当しない可能性がある。
5 仮に、法4条1項の「発信者情報」に発信者本人以外の者についての情報が含ま
れるとしても、関係法令の規定に照らすと、少なくとも発信者以外の侵害情報の送
信に係る者の電話番号及びメールアドレスは、同発信者情報に含まれないと解すべ
きである。
2 名誉権及び名誉感情侵害の明白性(争点2)について
10 (原告の主張)
(1) 名誉権侵害について
ア 本件記事の標題部分は、原告が、カバー社とのトラブル発生後、「にじさん
じ」 スマートフォンアプリ又は当該アプリを使用して活動するバーチャルライバー

(Vliver。2D 又は 3D のキャラクターを使って主にライブ配信を行う者)グループ)
15 所属の Vliver の Twitter アカウントをフォローしたことなどを揶揄するものであ
る。
本件情報3は、原告が、ホロライブ所属の Vtuber である宝鐘マリンのファンであ
るものと装って、ホロライブないしカバー社に接近して金儲けをしようとしたが、
カバー社の代表取締役のP2氏にそのことを看破されて、本件契約を解除され、納
20 品済みの作品が公開中止になったとの事実を摘示するものである。
本件情報2は、原告が、ビリビリ動画(中国の動画配信サイト)等において情報
発信することにより、中国国内における原告のファンを煽ってホロライブないしカ
バー社に対して攻撃的な書き込みや行為を行い炎上させたとの事実を摘示するもの
である。
25 イ 本件記事中のこれらの部分は、原告の社会的評価を低下させるものであり、
原告の名誉権を侵害したことが明らかである。
(2) 名誉感情侵害について
ア 本件情報1は、ホロライブでの企画を担当していた原告について「気持ち悪
い」としており、侮辱していることが明らかである。
本件情報2は、原告がビリビリ動画等にて情報発信することにより、中国国内に
5 おける原告のファンを煽ってホロライブないしカバー社に対して攻撃的な書き込み
や行為を行い炎上させたとの印象を与えるものであり、さらに、そのような原告が
企業にとってリスクであると論評している。
本件情報4、5及び10~12は、原告が「にじさんじ」所属の Vtuber の Twitter
アカウントをフォローしたことを揶揄している。
10 本件情報6~9は、原告の写真が貼付された118の記事を引用し、原告の外見
や身体的特徴を揶揄している。
イ 本件記事のうちこれらの部分は、原告に対し、社会通念上許容される限度を
超える侮辱をするもので、原告の名誉感情を侵害したことが明らかである。
ウ これに対し、被告は、本件投稿によって、社会通念上許容される限度を超え
15 て、原告を侮辱し、人格的利益を侵害していることが明白であるとはいえない旨を
主張する。しかし、仮に、個々の侮辱的表現が単独では社会通念上許容される限度
を超えているとまではいえないとしても、一度に10件以上侮辱的表現がなされる
ことによって、全体として社会通念上許容される限度を超えた侮辱となるし、また、
本件投稿者は、転載元の匿名掲示板では分散していた原告に対する侮辱的表現を取
20 りまとめて編集、転載することにより、大量の侮辱的表現を一覧できるようにして
いるのであって、その侮辱に及んだ手法や態様も極めて悪質である。したがって、
被告の主張は理由がない。
(3) 違法性阻却事由の不存在
ア 真実性の不存在
25 本件記事で摘示された事実(特に、本件情報2及び3)は、その重要な部分を含
む大半が真実でない。すなわち、カバー社が原告作成のイラストや漫画等の公開を
取り止めたことや原告とカバー社の取引関係が解消されたことの理由は、専らカバー
社の都合によるものであって、原告の納期や報酬の配分、金銭問題、同人誌の発行
等でトラブルになった事実、それらについて原告が不満を有して激高してトラブル
になった事実は一切存在しない。また、原告が、ビリビリ動画等にて情報発信する
5 ことにより、中国国内における原告のファンを煽ってホロライブないしカバー社に
対して攻撃的な書き込みや行為を行い炎上させたとの事実も一切存在しない。
イ 公共の利害及び公益を図る目的ではないこと
本件記事は、カバー社が原告との本件契約を一方的に破棄して、漫画及びイラス
トの公開を取り止めた理由や事情等について述べたものにすぎず、公共の利害に関
10 するものではないし、公益を図る目的によるものでもないことは明らかである。
ウ 社会的相当性の不存在(名誉感情侵害について)
本件記事は、原告について、「キモい」、「リスク」、「中華ファンネル野郎」、
「節操なさすぎ」、「ムーブがダサすぎる」、「背が小さい」等と執拗な人身攻撃
に及んでいるが、そのような必要性はなく、これらの表現をあえて用いたことにつ
15 いて社会的相当性は認められない。
エ 以上から、本件記事に違法性阻却事由は存在しない。
(被告の主張)
(1) 名誉権侵害について
ア 本件記事の表題部は、原告が主張するように、原告が「にじさんじ」所属の
20 Vliver の Twitter アカウントをフォローしたとの事実が摘示されているとは読み取
ることはできないし、同事実が原告の社会的評価を低下させることもない。
本件情報3は、原告が主張するように、原告とカバー社との本件契約が解除され、
納品済みの作品が公開中止になったとの事実が摘示されているとは読み取ることは
できないし、本件記事において、YAGOO がカバー社の代表取締役を指す言葉であるこ
25 とを示唆する記載はないから、P2氏にそのことを看破されたとの事実が摘示され
ているともいえない。また、本件情報3は、断定的な表現ではなく、単なる憶測を
述べるにすぎないし、その内容自体も、原告の社会的評価を低下させるものである
とはいい切れない。
本件情報2は、「中華ファンネル野郎」との言葉が何を意味するのか不明である
し、「ファンネル」との言葉は多義的に用いられることから、「中華ファンネル野
5 郎」が原告主張の意味の言葉として理解されるとは限らない。また、本件情報2に
は、ビリビリ動画、ホロライブ及びカバー社という表現又はこれらを指し示すと思
われる表現も一切使用されていないから、本件情報2から、原告が主張するような
意味を読み取ることは困難である。
イ 以上から、本件投稿によって、原告の社会的評価が低下したことが明らかで
10 あるとはいえない。
(2) 名誉感情侵害について
ア 本件情報1の「キモいの」という対象が、Vtuber ファンを広く指して述べて
いる可能性があり、必ずしも原告を指しているとは読み取れない。また、本件情報
1において、「キモいの」という表現以外に侮蔑的、攻撃的な要素はなく、「キモ
15 いの」という言葉も一回だけ使用されているにすぎない。「キモいの」という言葉
は、インターネット上か否かを問わず、日常よく見かける表現である。したがって、
本件情報1は、社会通念上許容される限度を超える侮辱であるとはいえないから、
原告の名誉感情の侵害が認められることが明らかであるとはいえない。
本件情報2は、前述したとおり、原告が主張する意味を有するものと受け取られ
20 るとはいい難く、その内容は、社会通念上許容される限度を超える侮辱的表現とは
いえない。
本件情報4、5及び10~12における「節操がない」、「あからさま過ぎる」、
「すり寄る」、「懲りない」、「ダサい」といった表現は、いずれも日常よく見か
ける表現であり、社会通念上許容される限度を超える侮辱的表現とまではいえない。
25 本件情報6、8及び9は、仮にその対象者が原告であったとしても、原告の身長
が低いことを述べるものにすぎず、原告を殊更に攻撃し、又は辱めようとする形で
叙述されているとはいえない。また、身長が低いという表現自体は、日常よく見か
ける表現であり、それだけをもって社会通念上許容される限度を超える侮辱的表現
とはいえない。
本件情報7は、仮にその対象者が原告であったとしても、特段の根拠を示すこと
5 なく、また繰り返し述べることなく、1回だけ「気持ち悪い」と述べたにすぎない。
その表現自体も、「キモいの」という表現と同様、日常よく見かける表現であり、
社会通念上許容される限度を超える侮辱的表現とはいえない。
イ 以上から、本件投稿によって、社会通念上許容される限度を超えて、原告を
侮辱し、人格的利益を侵害していることが明白であるとはいえない。
10 3 著作権侵害の有無(争点3-1)について
(原告の主張)
本件投稿者は、原告に無断で、原告が自らのTwitterアカウントにて投稿したイラ
スト(本件情報13)を本件サイトに転載し、公衆送信しているから、原告の著作
権(公衆送信権)を侵害したことは明らかである。
15 (被告の主張)
否認又は争う。
4 「引用による利用」該当性(争点3-2)
(被告の主張)
本件投稿は、公正な慣行に合致するものであり、また、報道、批評、研究その他
20 引用の目的上正当な範囲内で行われたものであるから、「引用による利用」に該当
する可能性がある。
(原告の主張)
否認又は争う。
5 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点4)
25 (原告の主張)
原告は、本件投稿者に対し、不法行為に基づく損害賠償等を求めることを予定し
ている。そのためには、本件発信者情報が必要であって、本件発信者情報の開示を
求める正当な理由がある。
(被告の主張)
争う。
5 第4 当裁判所の判断
1 発信者情報該当性(争点1)について
被告は、被告契約者の回答内容を踏まえ、被告契約者ではない第三者が本件サイ
トを管理していたことを理由に、本件発信者情報が法4条1項所定の発信者情報に
該当しない旨を主張する。
10 しかし、被告契約者は、本件投稿に用いられたインターネット接続サービスに係
る契約を被告との間で締結している者であるから、特段の事情のない限り、被告契
約者が、同サービスを用いたものと推認される。被告は、上記のとおり主張するも
のの、被告契約者が第三者に同サービスを利用させていたことを裏付ける証拠を提
出しておらず、その他、第三者が本件サイトを管理していたことをうかがわせる 特
15 段の事情は認められない。したがって、被告契約者が同サービスを利用し、本件サ
イトを管理していたと認めるのが相当である。被告の主張は採用できない。
また、後記2(1)認定の本件記事の内容や性質、構成等からすると、本件記事は、
本件サイトを管理する被告契約者により、不特定多数の第三者の投稿記事が抜粋さ
れるなどして、本件サイトに転載されたものと認められる。
20 以上から、本件発信者情報は、法4条1項所定の「発信者情報」に該当する。
2 名誉権及び名誉感情侵害の明白性(争点2)について
(1) 事案に鑑み、名誉感情侵害の明白性について検討する。
証拠(甲20の1)及び弁論の全趣旨によれば、本件記事は、その標題を「【悲
報】ホロライブと何かあった同人作家のP1さん、無事にじさんじ派 に乗り換え
25 る。なおツイッターは鍵垢に【Vtuber】」とし、当該標題に関する事項について、
不特定多数の第三者が投稿した内容等をまとめて紹介する、いわゆる「まとめサイ
ト」であると認められる。
本件情報1~12は、いずれも、本件記事中において、標題に続き「にじさんじ」
に所属している、複数のVliverのTwitter上の投稿画面及び「現在確認できるP1先
生がフォローしているにじさんじライバーの一覧なんだけどメンツが謎すぎる」と
5 の第三者のTwitterの投稿画面等を転載し、原告のTwitter上の投稿画面(本件情報
13)を転載した後に連続して転載された、不特定多数の第三者が投稿した内容の
一部を抜粋したものである(甲20の1・2)。このような、本件記事の内容や性
質、構成等に照らすと、本件情報1~12は、いずれも原告について表現された投
稿であると認められる。
10 本件情報1は、原告のことを気持ち悪いと揶揄するものであり、本件情報2は、
原告のことを「ファンネル野郎」(前後の文脈からすると、サイトを閲覧する一般
人は、ネット関係の用語で他人を揶揄する趣旨に理解するものと認められる。)と
して攻撃的な書込みに関与する者であるように述べるものであって(甲25)、い
ずれも社会通念上許容される限度を超えて原告を侮辱するものと認められる。
15 本件情報6~9は、原告が複数の女性と一緒に撮影された写真を引用した上で、
原告について、背が小さい、気持ち悪すぎる、女全員より小さいなどと、原告の身
体的特徴や外見について揶揄するものであり、社会通念上許容される限度を超えて
原告を侮辱するものと認められる。
以上から、本件記事のうち、少なくとも本件情報1、2及び6~9の部分によっ
20 て、原告の名誉感情が侵害されたことが明らかであるということができる。
(2) これに対し、被告は、本件情報1、2及び6~9は、原告を対象としている
か不明であるし、社会通念上許容される限度を超える侮辱であるとはいえない旨を
主張する。しかし、前述したとおり、本件記事の内容や性質、構成等に照らすと、
本件情報1~12は、いずれも原告について表現された投稿であると認められ、そ
25 のうち、本件情報1、2及び6~9は、原告について、気持ち悪い、背が低いなど
と揶揄するものであるから、社会通念上許容される限度を超えて原告を侮辱するも
のであるというべきである。被告の主張は採用できない。
3 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点4)について
前記1のとおり、本件投稿は被告契約者によるものと認められるところ、弁論の
全趣旨によれば、原告は、本件投稿者に対し、不法行為に基づく損害賠償等を求め
5 ることを予定していることが認められるから、原告には本件発信者情報の開示を受
けるべき正当な理由があるといえる。また、前提事実(4)記載のとおり、被告は、本
件投稿に関し「開示関係役務提供者」に該当し、被告が本件発信者情報を保有して
いることは当事者間に争いがない。
したがって、原告は、被告に対し、法4条1項に基づき、本件発信者情報の開示
10 を求めることができる。
4 結論
以上から、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がある
から認容することとし、主文のとおり判決する。
15 大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官
武 宮 英 子
裁判官
25 杉 浦 一 輝
裁判官
5 峯 健 一 郎
(別紙)
発 信 者 情 報 目 録
別紙投稿記事目録記載の IP アドレスを、同目録記載の投稿日時頃に被告から割り
5 振られていた契約者に関する以下の情報
1 氏名又は名称
2 住所
3 電話番号
10 4 メールアドレス
以上
(別紙)
投 稿 記 事 目 録
閲覧用 URL http://yaraon-blog.com/archives/191437
5 投稿日時 令和3年2月26日
投稿内容の標題 【悲報】ホロライブと何かあった同人作家のP1さん、無事に
じさんじ派 に乗り換える。なおツイッターは鍵垢に【Vtuber】
IP アドレス(調査日:令和3年4月14日) 153.126.241.194
ネットワークセグメント(調査日:令和3年4月14日) 153.126.241.0 -
10 153.126.241.255
1 キモいのはホロで引き受けてくれよ
2 にじさんじこそある程度リスクコントロールするやろうし...中華ファンネル
野郎とは公式で絡まんやろ...
3 船長にすり寄ってホロライブ利用して金儲けしようとしたのが YAGOO に見透
15 かされたんやろな
4 節操なさすぎやろ
5 にじさんじのライバーフォローはあからさま過ぎてほんとに笑ったわ
6 >>118 先生...背が小さい
7 >>118 気持ち悪すぎる
20 8 >>118 ヒール履いとるとはいえ右の短足女にも身長負けてるのほんと草
9 >>118 女全員より小さくて草
10 案の定すり寄ってて草
11 全く懲りてなくて草
12 ムーブがダサすぎる もう関わりたい V 側なんていないだろ
25 13 別紙甲20の2記載の記事のとおり(ただし、イラスト部分。)。
以上
(別紙甲号証省略)

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