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令和3(ワ)24148損害賠償請求事件

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裁判所 一部認容 東京地方裁判所東京地方裁判所
裁判年月日 令和4年11月24日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社MONOLITHJapan
被告
法令 著作権
キーワード 侵害27回
許諾11回
損害賠償9回
ライセンス2回
主文 1 被告は、原告に対し、242 万円及びこれに対する令和 2 年 5 月 11 日
2 原告のその余の請求を棄却する。15
3 訴訟費用は、これを 4 分し、その 1 を被告の負担とし、その余は原告
4 この判決は、第 1 項に限り、仮に執行することができる。
事件の概要

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判決文

令和 4 年 11 月 24 日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和 3 年(ワ)第 24148 号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 令和 4 年 9 月 22 日
判 決
原 告 株 式 会 社 MONOLITH Japan
同訴訟代理人弁護士 加 藤 伸 樹
10 被 告 A
同訴訟代理人弁護士 太 田 真 也
主 文
1 被告は、原告に対し、242 万円及びこれに対する令和 2 年 5 月 11 日
から支払済みまで年 3%の割合による金員を支払え。
15 2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを 4 分し、その 1 を被告の負担とし、その余は原告
の負担とする。
4 この判決は、第 1 項に限り、仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
20 第1 請求
被告は、原告に対し、984 万 9845 円及びこれに対する令和 2 年 5 月 11 日か
ら支払済みまで年 3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、原告が、別紙投稿記事目録記載のとおり、被告の管理するブログに
25 原告が著作権を有する別紙動画目録記載の各動画(以下「本件各動画」という。)
をキャプチャした静止画が投稿され、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)
が侵害された旨を主張して、被告に対し、不法行為(民法 709 条)に基づき、
損害賠償金 984 万 9845 円及びこれに対する不法行為後である令和 2 年 5 月 11
日(不法行為がされた期間の最終日)から支払済みまで民法所定の年 3%の割合
による遅延損害金の支払を求める事案である。
5 1 前提事実(当事者間に争いがないか、末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易
に認められる事実。証拠番号の枝番は省略する(以下同様) )

(1) 当事者
ア 原告は、学習塾等の経営、インターネットによる情報サービス業等を業
とする株式会社であり、動画投稿サイト「YouTube」 「令和の虎 CHANNEL」

10 と題するチャンネル(以下「原告チャンネル」という。)を開設して動画
を配信している。
イ 被告は、ブログサービス「livedoor Blog」に開設した「チラシの裏」と題
するブログ(以下「本件ブログ」という。)に別紙投稿記事目録記載の各
記事(甲 7。以下、これらを併せて「本件各記事」という。)を掲載した者
15 である。
なお、被告は、別紙投稿記事目録 6~8 記載の各記事について、被告によ
る投稿の事実については知らない旨を主張する。しかし、証拠(甲 7)に
よれば、これらの記事が同別紙 1~5 記載の記事と同じく本件ブログ上に
投稿されていること、記事の基本的な構成及び体裁は本件各記事相互に概
20 ね共通することなどに鑑みると、これらの記事についても被告が投稿した
ものと容易に認められる。この点に関する被告の主張は採用できない。
(2) 本件各動画の概要
本件各動画は、いずれも、
「志願者」と呼ばれる一般企業家が「虎」と呼ば
れる 5 人の投資家に対して事業計画のプレゼンテーションを行い、質疑応答
25 等を経て、最終的に上記投資家らが出資の可否を決定することを基本構成と
する約 45 分前後の動画であり、原告チャンネルで配信されている(甲 2)。
(3) 本件各動画の著作権の帰属
本件各動画(甲 2)は、その内容に照らし、いずれも著作物に当たる。
本件各動画は、原告と株式会社B(以下「B 社」という。)との平成 31 年
2 月 7 日締結に係る映像制作業務委託契約(甲 5)に基づき B 社が制作した
5 ものであるところ、原告は、その制作代金を支払うことで、上記契約に基づ
き、B 社から本件各動画の著作権の譲渡を受けた。
したがって、原告は、本件各動画の著作権を有する。
(4) 被告の行為
被告は、本件各記事のそれぞれにおいて、対応する本件各動画からキャプ
10 チャした静止画(以下、
「本件静止画」と総称する。)30 枚~60 枚程度を時系
列に沿って貼り付け、これを別紙投稿記事目録記載の「投稿日時(タイムス
タンプ)」欄記載の日時から令和 2 年 5 月 11 日までの間、本件ブログ上に投
稿した。
(5) 本件訴訟に至る経緯等
15 原告は、本件各記事の投稿者を特定するため、発信者情報開示手続を弁護
士に委任した上、本件ブログのコンテンツプロバイダである株式会社 LINE
(以下「LINE」という。)から発信者情報の開示を受けた上で、東京地方裁判
所に対し、経由プロバイダである株式会社ジェイコム千葉(以下「ジェイコ
ム千葉」という。)を相手方とする発信者情報開示手続の申立てをした(当庁
20 令和 2 年(ワ)第 15010 号発信者情報開示請求事件)。同裁判所は、令和 3 年
3 月 26 日、株式会社ジェイコム千葉に対し、本件各記事の投稿に関する発信
者情報の開示を命じる旨の判決を言い渡した(甲 4)。
この手続に関し、原告は、上記弁護士に対し、弁護士費用合計 165 万円及
び発信者情報開示手続費用 2 万 4405 円を支払った(甲 13、14、24~28、 。
30)
25 2 争点
(1) 引用の抗弁の成否
(2) 時事の事件の報道の抗弁の成否
(3) 権利濫用の抗弁の成否
(4) 原告の損害及びその額
3 争点に関する当事者の主張
5 (1) 引用の抗弁の成否(争点(1))
(被告の主張)
ア 「引用」
(著作権法(以下「法」という。)32 条 1 項)といえるには、一
般的に、主従関係が明確であること、引用部分が他とはっきりと区別され
ていること、引用する必要性があること、出典元が明記されていること、
10 改変しないことが要件とされている。
イ 主従関係が明確であること
本件各記事は、いずれも、掲載されている静止画の枚数は少なくはない
ものの、各静止画の前後には被告が創作した文章が記載されており、静止
画の枚数よりも被告が創作した文章の行数の方がはるかに多いことが見て
15 取れる。
したがって、本件各記事のいずれにおいても、被告の創作した文章が主、
掲載されている静止画が従という主従関係が明確である。
ウ 引用部分が他とはっきりと区別されていること
本件各記事のいずれにおいても、引用部分となるのは掲載された静止画
20 の部分であり、これと被告の創作した文章の部分とははっきりと区別され
ている。
エ 引用する必要性があること
本件各記事は、いずれも、本件各動画について紹介した上で批評・意見・
感想を述べるという内容のものであり、その前提として、本件各動画の内
25 容を明らかにする必要がある。したがって、本件各記事のいずれにおいて
も、本件静止画を引用する必要性がある。
オ 出典元が明記されていること
本件各記事のいずれにおいても、記事の表題に「令和の虎#054」などと
本件各動画の題名が記載されていることから、出典元が明記されている。
カ 改変しないこと
5 本件各記事に掲載されているのは本件各動画をキャプチャした静止画で
あり、これらはいずれも、本件各動画の内容を寸分違わず忠実に反映して
いる。したがって、本件各記事のいずれにおいても、被告は、本件静止画
を改変していない。
キ 以上より、本件各記事における本件静止画の掲載は、いずれも、引用と
10 しての公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他
の引用の目的上正当な範囲内で行われるものであるといえるため、「引用」
に該当する。このため、本件各記事の投稿は著作権(複製権及び公衆送信
権)の侵害とはならない。
(原告の主張)
15 本件各記事においては、それぞれ、掲載されている静止画は 30 枚~60 枚
にも上り、本件各記事の大半を占める。また、これらの静止画が時系列に沿
って貼り付けられると共に、各静止画の間に本件各動画の内容に対応するテ
キストが記載されることで、本件各記事では、本件各動画の内容がほぼその
まま再現されている。他方、本件各記事には、本件各動画の閲覧者のコメン
20 トの抜粋及び被告の感想等も記載されているが、これらは、本件各記事の最
後に、平均約 20 頁の記事に対して 2~3 頁程度記載されているのみで、分量
としては相当に短く、内容もいずれも概括的なものに止まる。
このように、本件各記事に掲載されている静止画の枚数は、被告の感想等
の分量に照らしてもはるかに多く、しかも、被告の感想等の内容に照らして
25 も必要な枚数を大きく上回っており、必要最小限度の範囲を著しく超えてい
ることは明らかである。したがって、本件各記事における本件静止画の掲載
は適法な「引用」に該当しない。
(2) 時事の事件の報道の抗弁の成否(争点(2))
(被告の主張)
「志願者」と呼ばれる一般企業家が「虎」と呼ばれる 5 人の
本件各動画は、
5 投資家に対して事業計画のプレゼンテーションを行い、質疑応答等を経て、
最終的に上記投資家らが出資の可否を決定することを基本構成とする約 45
分前後の動画である。このような本件各動画の内容をブログ記事に掲載して
インターネット上で紹介することは、「社会において有用で公衆の関心事と
なりそうな新しい事業を計画している一般企業家が存在する」という事実と、
10 「その事業計画について、5 人の投資家がどのように判断・評価して、出資
の可否を決定した」という近時の出来事を、公衆に伝達することを主目的に
するものといえる。時事の報道には、単に、事件や事実をそのまま伝えるだ
けでなく、その事件・事実に関する批評・意見・感想を述べることも当然含
まれ、事件や事実の紹介と共にその事件・事実に関する批評・意見・感想を
15 述べたとしても、それにより時事の報道であることは否定されない。
したがって、本件各動画について紹介した上で批評・意見・感想を述べる
という内容の本件各記事の掲載は、「時事の事件の報道」といえる。
また、本件各動画の上記内容に鑑みれば、本件各動画及び本件静止画は、
まさに、「社会において有用で公衆の関心事となりそうな新しい事業を計画
20 している一般企業家が存在する」という事実と、「その事業計画について、5
人の投資家がどのように判断・評価して、出資の可否を決定した」という近
時の出来事を直接映し出したものであるため、「当該事件を構成する著作物」
といえる。さらに、そのような事実や出来事を公衆に伝達して紹介するには
本件各動画の内容を明らかにする必要があるため、本件静止画を掲載するこ
25 とは報道の目的上正当な範囲内に含まれる。
以上より、本件各記事の掲載はいずれも「時事の事件の報道」といえるた
め、本件静止画の掲載は、 (法 41 条)に当
「時事の事件の報道のための利用」
たり、著作権(複製権及び公衆送信権)の侵害とはならない
(原告の主張)
ア 本件各記事が時事の事件の「報道」に該当しないこと
5 本件各記事は、いずれも、
「令和の虎#● ●●の感想」
(前者の「●」は対
応する本件各動画の話数を、後者の「●●」はその概要を示す。)というタ
イトルから始まり、本件各動画の静止画が大量に掲載された後、最後に本
件各動画に付されたコメントの抜粋及び被告の感想等の批評が記載された
ものである。このことに照らすと、本件各記事は、①「社会において有用
10 で公衆の関心事となりそうな新しい事業を計画している一般企業家が存在
する」事実及び②「その事業計画について、5 人の投資家がどのように判
断・評価して、出資の可否を決定した」という事実等を知らせているので
はなく、本件各動画の内容及び感想等を知らせようとするものといえる。
したがって、本件各記事は、いずれも時事の事件の「報道」に当たらな
15 い。
イ 本件各記事における静止画の掲載が「時事の事件の報道」のための利用
に該当しないこと
本件各記事の上記構成及び内容等に照らすと、本件各記事は、いずれも、
本件各動画に関する上記記載を通じて、本件各動画に興味関心のある閲覧
20 者等を楽しませる意図で記述されているものといえる。
したがって、本件各記事への静止画の掲載は、
「時事の事件の報道」のた
めの利用に当たらない。
ウ 本件各動画及び本件静止画が「当該事件を構成する著作物」に該当しな
いこと
25 時事の事件の報道において利用できる「当該事件を構成する著作物」と
は、当該事件の主題となっている著作物をいうところ、本件各動画及び本
件静止画は、上記①及び②の事実等の主題となっている著作物ではない。
したがって、本件各動画及び本件静止画は、 当該事件を構成する著作物」

に該当しない。
エ 本件各記事への本件静止画の掲載が「報道の目的上正当な範囲内」に含
5 まれないこと
「報道の目的上正当な範囲内」とは、質的にも量的にも、報道に必要と
される以上の利用をしないことをいう。
この点、上記①及び②の事実等については、静止画がなくとも文章等で
説明することが十分可能である。他方、本件各記事に掲載されている本件
10 静止画は、それぞれ 30 枚~60 枚にも上り、本件各記事の大半を占めてい
る。これらの事実に照らすと、本件静止画の掲載は、上記①及び②の事実
等の報道に必要とされる以上の態様による利用といえる。
したがって、本件静止画の掲載は、
「報道の目的上正当な範囲内」には含
まれない。
15 オ 小括
以上のとおり、本件各記事における本件静止画の掲載は、法 41 条の要件
を満たさず、時事の事件の報道のための利用には該当しない。
(3) 権利濫用の抗弁の成否(争点(3))
(被告の主張)
20 仮に被告の行為が原告の著作権(複製権及び公衆送信権)の侵害となると
しても、以下の事実が存在することから、原告が被告に対して著作権(複製
権及び公衆送信権)の侵害を主張することは権利の濫用となる。
すなわち、原告代表者は、ツイッターにおいて、
「切り抜き動画制作の皆さ
んに足を向けて寝られません。」と述べたり、パロディ動画の制作者を強烈な
25 ファンと呼んで称賛したりしている。このような原告代表者の発言に鑑みれ
ば、原告は、原告チャンネル登録者数の増加に、被告と同様の「切り抜き動
画」制作者の貢献が非常に大きいことを認めているのみならず、
「切り抜き動
画」制作による本件各動画の拡散を積極的に利用して原告チャンネル登録者
数の増加を図る意図を有しているものといえる。
このように、原告は、被告と同様の「切り抜き動画」制作者による本件各動
5 画の拡散を積極的に利用して原告チャンネル登録者数の増加を図る意図を有
し、実際、
「切り抜き動画」制作者による本件各動画の拡散の恩恵を享受して
いるにもかかわらず、被告に対して著作権(複製権及び公衆送信権)の侵害を
主張することは、権利の濫用となり許されない。
(原告の主張)
10 「切り抜き動画」とは、原告チャンネル上の動画をより個性的に編集し自
己のチャンネルに投稿することを希望するクリエイターに対し、ウェブサイ
ト「ガジェット通信」を通じて、収益を原告に分配すること等を条件に当該
動画の利用を許諾し、この許諾のもとでクリエイターにおいて編集が行われ
た動画をいう。しかるに、被告が本件各記事に掲載した本件静止画は、原告
15 の何らの許諾がない中、原告の本件各動画の著作権を侵害する形で利用した
ものであり、「切り抜き動画」とは全く異なる。
したがって、仮に、原告が「切り抜き動画」を利用して原告チャンネル登
録者数の増加を図る意図等を有していたとしても、原告が被告に対して本件
各動画の著作権侵害を主張することは権利の濫用に該当しない。
20 (4) 原告の損害及びその額(争点(4))
(原告の主張)
以下のとおり、被告の著作権侵害の不法行為により、原告には合計 984 万
9845 円の損害が発生している。
ア 本件各動画の使用料相当額
25 権利侵害者が著作権の行使に対して支払わなかった使用料(利用許諾料)
相当額は、権利侵害者にとって不当利得であり、著作権者はこの返還を請
求することができるところ、法 114 条 3 項の趣旨は、その不当利得の金額
を著作権者が受けた損害の額とみなして、その賠償を請求することができ
ることとした点にある。このため、「著作権の行使につき受けるべき金銭
の額に相当する額」は、過去における著作物の使用料や業界における料金
5 相場を参考に算定される。また、法 114 条 3 項の改正の経緯に照らすと、
著作権侵害をした者に対して事後的に定められるべき、著作権の行使につ
き受けるべき金銭の額は、通常の使用料に比べて自ずと高額になることを
考慮すべきである。
本件各動画の場合、過去における著作権の利用実績がないことから、
「著
10 作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額」については、業界に
おける著作物の料金相場を基準にしつつも、当該通常の利用料金よりも自
ずと高額になることを考慮して算定すべきである。
被告は、別紙投稿記事目録の「投稿日時(タイムスタンプ)」欄記載の日
時から本件各記事を削除した令和 2 年 5 月 11 日までの期間、本件静止画
15 を貼り付けた本件各記事を本件ブログ上で公開したものであるところ、映
像コンテンツから静止画をキャプチャした場合の当該静止画の画像利用料
については、日本放送協会(以下「NHK」という。)が料金表を公表してい
る。当該料金表は、
「写真として保存された素材か、映像からキャプチャし
た素材かで複製料が大きく異なる」と断った上で、「国内撮影」 「カラー」

20 のキャプチャ画像の最低額を 1 カット(枚)あたり 2 万円に設定している。
被告は、本件各記事において、本件各動画から静止画をキャプチャして利
用しているところ、NHK の画像利用料の最低額である 1 カット(枚)あた
り 2 万円を適用した場合、被告による本件静止画の使用料は、以下のとお
り、合計 728 万円となる。
話数 枚数 利用料(20,000 円/枚)
#054 59 118 万円
#044 45 90 万円
#043 54 108 万円
#042 29 58 万円
#041 57 114 万円
#040 74 148 万円
#039 38 76 万円
#037 8 16 万円
合計 364 枚 728 万円
また、被告は、本件ブログにアフィリエイト広告を掲載しており、本件
ブログへのアクセス数が多いほど被告が多額の広告収入を得られるという
関係がある。被告は、本件静止画を大量に用いて、本件各動画の動画全体
の内容が詳しく分かる本件各記事を公開したことにより、本件ブログへの
5 相当数のアクセスを得たと思われる。
以上に加え、いわゆる侵害プレミアムが考慮されるべきであることを踏
まえると、被告による本件静止画の公衆送信行為により原告が受けるべき
金銭の額に相当する額は 728 万円を下らない。
イ 発信者情報開示等関係費用
10 本件ブログが匿名で開設されたものであったことから、原告は、被告の
特定のために発信者情報開示手続を行うことを余儀なくされた。これを行
うにあたり、原告には、以下のとおり、合計 167 万 4405 円の費用が発生し
たところ、これらの費用は、いずれも被告による著作権侵害行為がなけれ
ば発生せず、かつ、被告を特定するために避けられないものであったこと
15 から、当該侵害行為と相当因果関係のある損害である。
(ア) 発信者情報開示手続申立費用 2 万 4405 円
本件ブログのコンテンツプロバイダは LINE であり、その経由プロバ
イダはジェイコム千葉であったことから、原告は、これら 2 社に対する
発信者情報開示手続の申立てを余儀なくされ、合計 2 万 4405 円の費用
を支払った。これらはいずれも発信者情報開示手続の申立てのために必
要不可欠な費用である。
5 (イ) 弁護士費用 165 万円
原告は、上記発信者情報開示手続を行うにあたり、専門家である弁護
士に依頼することを余儀なくされた。その弁護士費用として、原告は、
令和 2 年 2 月 10 日、同年 6 月 12 日及び令和 3 年 4 月 26 日、当該弁護
士に対し、それぞれ 55 万円(合計 165 万円)を支払った。
10 ウ 本件訴訟提起に係る弁護士費用 89 万 5440 円
原告は、本件訴訟を提起するに当たり、弁護士に依頼せざるを得なかっ
たところ、被告の著作権侵害行為と相当因果関係が認められる弁護士費用
の額は、上記ア及びイの損害額合計 895 万 4405 円の 1 割相当額である 89
万 5440 円を下らない。
15 (被告の主張)
ア 原告と B 社との映像制作業務委託契約によれば、原告の支払うべき制作
代金には、映像制作に関する対価(制作に関する実費等もすべて含む。)並
びに映像の著作権譲渡及び著作者人格権不行使に関する対価が含まれる。
また、本件各動画の制作代金は、いずれも動画 1 本につき 33 万円である。
20 本件各動画のように、制作代金に映像制作に関する対価のみならず映像
の著作権譲渡の対価(著作権の買取価格)を含む場合、一般的に、著作権
の買取平均価格は映像制作代金の 10~30%相当分とされている。本件各動
画については、平成 13 年 10 月から平成 16 年 3 月まで地上波で放映され
ていたテレビ番組「マネーの虎」と極めて類似した内容であり、オリジナ
25 リティーは乏しく、創作性は高くないことなどに鑑みれば、著作権譲渡の
対価は映像制作代金の 10%程度であると考えられる。そうすると、本件各
動画の著作権譲渡の対価は、動画 1 本当たり 3 万円(8 本分で合計 24 万
円)となる。これは本件各動画の 1 本分全体の著作権の市場価値といえる。
「著作権者が著作権の行使につき受けるべき金額」とは、著作権の市場
価値が現実化したものにすぎず、著作権の市場価値よりも高額になること
5 はない。そうすると、本件各動画の 1 本分全体の著作権が侵害された場合
に著作権者に発生する損害額は、最大でも、本件各動画の 1 本分全体の著
作権の市場価値相当額ということになる。
したがって、本件各記事における本件静止画の掲載が仮に著作権(複製
権及び公衆送信権)の侵害となるとしても、これにより原告に発生する損
10 害額は、最大でも 24 万円である。
イ さらに、本件各記事に掲載されたのは本件各動画全体ではなく、あくま
で本件各動画からキャプチャした静止画すなわち「本件各動画の中の一場
面を秒単位で切り取ったもの」にすぎず、各静止画において切り取られて
いるのは、それぞれの動画中の 1 秒間程度である。
15 本件静止画の枚数は、本件各記事全部を合わせると 364 枚である。そう
すると、侵害した著作権の割合は、2%(≒364 秒/21600 秒)程度となる。し
たがって、原告の損害額は、本件各動画全てについて算定しても、4800 円
(=24 万円×2%)である。
ウ 弁護士費用及び発信者情報開示手続費用については、否認又は争う。
20 第3 当裁判所の判断
1 著作権(複製権、公衆送信権)侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権の成否
(1) 前提事実(3)のとおり、著作物である本件各動画につき、原告は著作権を有
する。
また、前提事実(4)のとおり、被告は、別紙投稿記事目録記載の「投稿日時
25 (タイムスタンプ)」欄記載の日時から令和 2 年 5 月 11 日までの間、本件各
記事に、本件各動画からキャプチャした本件静止画を掲載した。
以上の事実によれば、被告は、少なくとも過失により、本件各動画をキャ
プチャした本件静止画を自己の端末内で複製し、これを本件各記事に掲載し
て本件ブログに投稿することによってウェブサイト上で公開し、もって、原
告の本件各動画に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したものと認め
5 られる。
したがって、原告は、被告に対し、著作権(複製権及び公衆送信権)侵害
の不法行為に基づく損害賠償請求権を有することが認められる。
(2) 被告の主張について
ア 争点(1)(引用の抗弁の成否)について
10 被告は、本件各記事による本件各動画の利用は適法な引用(法 32 条 1 項)
に当たる旨を主張する。
しかし、証拠(甲 7)及び弁論の全趣旨によれば、本件各記事は、いずれ
も、約 30 枚~60 枚程度の本件各動画からキャプチャした静止画を当該動
画の時系列に沿ってそれぞれ貼り付けた上で、各静止画の間に、直後に続
15 く静止画に対応する本件各動画の内容を 1 行~数行程度で簡単に要約して
記載し、最後に、本件各動画の閲覧者のコメントの抜粋や被告の感想を記
載するという構成を基本的なパターンとして採用している。各静止画の間
には、上記要約のほか、被告による補足説明やコメント等が挟まれること
もあるが、これらは、関連する動画(URL のみのものも含まれる。)やスク
20 リーンショットを 1 個~数個張り付けたり、1 行~数行程度のコメントを
付加したりしたものであり、概ね、各静止画及びこれに対応する本件各動
画の内容の要約部分による本件各動画全体の内容のスムーズな把握を妨げ
ない程度のものにとどまる。また、本件各記事の最後に記載された被告の
感想は、いずれも十数行~二十数行程度であり、本件各動画それぞれにつ
25 いての概括的な感想といえるものである。
以上のとおり、本件各記事は、いずれも、キャプチャした静止画を使用
して本件各動画の内容を紹介しつつそれを批評する面を有するものではあ
る。しかし、本件各記事においてそれぞれ使用されている静止画の数は約
30 枚~60 枚程度という多数に上り、量的に本件各記事のそれぞれにおい
て最も多くの割合を占める。また、本件各記事は、いずれも、静止画と要
5 約等とが相まって、45 分程度という本件各動画それぞれの内容全体の概略
を記事の閲覧者が把握し得る構成となっているのに対し、本件各記事の最
後に記載された投稿者の感想は概括的なものにとどまる。
以上の事情を総合的に考慮すると、本件各記事における本件各動画の利
用は、引用の目的との関係で社会通念上必要とみられる範囲を超えるもの
10 であり、正当な範囲内で行われたものとはいえない。
したがって、本件各記事による本件各動画の利用は、適法な「引用」
(法
32 条 1 項)とはいえない。この点に関する被告の主張は採用できない。
イ 争点(2)(時事の事件の報道の抗弁の成否)について
被告は、本件各記事における本件各動画の利用は、社会において有用で
15 公衆の関心事となりそうな新しい事業を計画している一般企業家が存在す
る事実及びその事業計画に対する投資家の判断・評価という近時の出来事
を公衆に伝達することを主目的とするものであり、時事の事件の報道(法
41 条)に当たる旨を主張する。
しかし、そもそも、本件各動画は、その内容に鑑みると、一般企業家が
20 投資家に対して事業計画のプレゼンテーションを行い、質疑応答等を経て、
最終的に投資家が出資の可否を決定するプロセス等をエンタテインメント
として視聴に供する企画として制作されたものというべきであって、それ
自体、
「時事の事件」すなわち現時又は近時に生起した出来事を内容とする
ものではない。本件各記事は、前記認定のとおり、このような本件各動画
25 の内容全体の概略を把握し得るものであると共に、これを視聴した被告の
概括的な感想をブログで披歴したものに過ぎず、その投稿をもって「報道」
ということもできない。
したがって、本件各記事は、そもそも「時事の事件の報道」とは認めら
れないから、適法な「時事の事件の報道のための利用」(法 41 条)とはい
えない。この点に関する被告の主張は採用できない。
5 ウ 争点(3)(権利濫用の抗弁の成否)について
被告は、原告が「切り抜き動画」制作者による本件各動画の拡散を積極
的に利用して原告チャンネルの登録者数の増加を図り、実際にその恩恵を
享受しているにも関わらず、被告に対して本件各動画の著作権を行使する
ことは権利の濫用に当たる旨を主張する。
10 しかし、証拠(甲 29)及び弁論の全趣旨によれば、原告が利用する「切
り抜き動画」とは、原告が、特定のウェブサイトで提供されるサービスを
通じて、原告チャンネル上の動画をより個性的に編集して自己のチャンネ
ルに投稿することを希望するクリエイターに対し、その収益を原告に分配
すること等を条件に、当該動画の利用を許諾し、その許諾のもとに、クリ
15 エイターにおいて編集が行われた動画であると認められる。他方、弁論の
全趣旨によれば、被告は、本件各動画の利用につき、原告の許諾を何ら受
けていないことが認められる。
そうすると、原告が「切り抜き動画」の恩恵を受けているからといって、
被告に対する本件各動画に係る原告の著作権行使をもって権利の濫用に当
20 たるなどと評価することはできない。他に原告の権利濫用を基礎付けるに
足りる事情はない。
したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。
2 争点(4)(原告の損害及びその額)
(1) 「著作権…の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額」
25 ア 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、映像の使用料又は映像からキャ
プチャした写真の使用料に関し、以下の事実が認められる。
(ア) 映像からキャプチャした写真の使用料
NHK エンタープライズが持つ映像・写真等に係る写真使用の場合の素
材提供料金は、基本的には、メディア別基本料金及び写真素材使用料に
より定められるところ(更にこの合計額に特別料率が乗じられる場合も
5 ある。 、使用目的が「通信(モバイル含む)
) 」の場合の基本料金は 5000
円(ライセンス期間 3 年)、写真素材使用料は、「カラー」 「一般写真」
、 、
「国内撮影」の場合、1 カットあたり 2 万円とされている(甲 12)。
なお、共同通信イメージズも写真の利用料金に関する規定を公表して
いるが(乙 12)、ウェブサイト利用についてはニュースサイトでの使用
10 に限ることとされていることなどに鑑みると、本件においてこれを参照
対象とすることは相当でない。
(イ) 映像の使用料
映像の使用については、次のとおり、NHK を含むテレビ局その他の事
業者が使用料を定めている。
NHK エン 基本的には、メディア別基本料金及び素材使用料に
タープライ より定められる(更にこの合計額に特別料率が乗じら
ズ れる場合もある。 。

使用目的が「通信(モバイル含む)」の場合の基本料
金は 2 万円(ライセンス期間 3 年)である。
素材使用料については、使用目的及び映像のランク
内容を A から C に分け、料金が設定されている(更
に、素材が HD 素材及び 4K 素材の場合の増額も定め
られている。 。最も素材使用料の低い「ランク A」の

映像素材(「放送後、25 年未満の映像素材」 「ニュー

ス及び番組等の一般的な国内外の映像素材」 を
) 「通信
(モバイル含む) で使用する場合、
」 素材使用料は 1 秒
あたり 1200 円とされている(甲 15)。
テレビ局 テレビ朝日映像の映像利用料は、
「一般映像」の「イ
(全国局) ンターネット配信」の場合(使用許諾期間 1 年以内)、
基本料金(10 秒まで)2 万円、11 秒からは秒単位 1200
円である(甲 16)。
TBS スパークルの映像使用料金は、最も金額の低い
「ランク A」 「一般映像(国内・海外) )を「Web」
( 」
で利用する場合(貸出期間 1 か月)、基本料 5 万円、
秒単価 1000 円又は 2000 円である(甲 17)。
テレビ局 九州朝日放送の映像使用料は、使用用途が「ネット
(地方局) 用動画」の場合(使用期間最長 1 年)、基本使用料 3 万
円及び秒単位 1000 円とされている(甲 18)。
びわ湖放送の映像使用料は、最も金額の低い「ラン
ク A」(ニュース及び番組等の一般的な映像素材)の
「インターネット配信」の場合(使用期間 1 年間)、
基本料 3 万円及び秒単価 1000 円である(甲 19)。
エイチ・ビー・シー・フレックスの映像使用料は、
使用目的が「PC サイト、Web 等」の場合、全ての映像
につき、1 秒あたり 3000 円、蔵出料金 1 作品当たり 3
万円である(甲 20)。
その他 東京都江戸東京博物館の映像使用料は、利用態様を
問わず、基本料金が 1 件につき 2 万円、複写料金が 30
分未満 8500 円、映像素材使用料金が 20 秒以下の部分
につき 2000 円、21~40 秒の部分について 1000 円、41
秒以上の部分について 500 円(いずれも 1 秒当たりの
単価)である(甲 21)。
学研教育みらいの映像貸出サービスの利用料金は、
素材検索料金(1 件 1 万 5000 円、業務費(蔵出し手数
料)1 件 3 万円等)の基本料金に加え、映像素材使用
料金として「Web 配信用(1 年間使用につき)」の場
合、 秒から 10 秒までは 4 万円、 秒以降秒単価 4000
1 11
円とされている(甲 22)。
日本水中映像の映像使用料は、最も金額の低い「ラ
ンク A」
(一般的な水中映像、一般的な陸上映像)の映
像の「Web1 作品」 「無料動画配信(2 年)
、 」の場合、
基本料金 3 万円及び秒単価 2000 円である(甲 23)。
イ 本件各動画については、前記「切り抜き動画」に係る利用許諾と原告へ
の収益の分配がされていることがうかがわれるものの、その分配状況その
他の詳細は証拠上具体的に明らかでない。その他過去に第三者に対する本
5 件各動画の利用許諾の実績はない(弁論の全趣旨)。そこで、原告が本件各
動画の著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(法 114 条 3
項)を算定するに当たっては、本件各動画の利用許諾契約に基づく利用料
に類するといえる上記認定の各使用料の額を斟酌するのが相当である。
被告による本件各動画の使用態様は、本件各動画をキャプチャした本件
10 静止画を本件各記事に掲載したというものである。そうすると、その使用
料相当額の算定に当たっては、映像からキャプチャした写真の使用料を定
める NHK エンタープライズの規定(上記ア(ア))を参照するのが相当とも
思われる。もっとも、当該規定がこのような場合の一般的な水準を定めた
ものとみるべき具体的な事情はない。また、本件各記事は、いずれも、相
当数の静止画を時系列に並べて掲載すると共に、各静止画に補足説明を付
すなどして、閲覧者が本件各動画の内容全体を概略把握し得るように構成
されたものである。このような使用態様に鑑みると、本件静止画の使用は、
映像(動画)としての使用ではないものの、これに準ずるものと見るのが
5 むしろ実態に即したものといえる。
そうである以上、原告が本件各動画の著作権の行使につき受けるべき金
銭の額に相当する額(法 114 条 3 項)の算定に当たっては、映像の使用料
に係る各規定(上記ア(イ))を主に参照しつつ、上記各規定を定める主体の
業務や対象となる映像等の性質及び内容等並びに本件各動画ないし原告チ
10 ャンネルの性質及び内容等をも考慮するのが相当である。加えて、著作権
侵害をした者に対して事後的に定められるべき、使用に対し受けるべき額
は、通常の使用料に比べて自ずと高額になるであろうことを踏まえると、
原告が本件各動画の著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額
(法 114 条 3 項)は、合計 200 万円とするのが相当である。
15 ウ これに対し、被告は、原告が本件各動画の著作権の行使につき受けるべ
き金銭の額に相当する額は著作権の買取価格を上回ることはないことを前
提とし、本件各動画の著作権の買取価格(3 万円)のうち本件各記事にお
いて静止画として利用された割合(2%)を乗じたものをもって、原告の受
けるべき金銭の額である旨を主張する。
20 もとより、著作物使用料の額ないし使用料率は、当該著作物の市場にお
ける評価(又はその見込み)を反映して定められるものである。しかし、
その際に、当該著作物の制作代金や当該著作物に係る著作権の譲渡価格が
その上限を画するものとみるべき理由はない。すなわち、被告の上記主張
は、そもそもその前提を欠く。
25 したがって、その余の点につき論ずるまでもなく、この点に関する被告
の主張は採用できない。
(2) 発信者情報開示手続費用
本件のように、ウェブサイトに匿名で投稿された記事の内容が著作権侵害
の不法行為を構成し、被侵害者が損害賠償請求等の手段を取ろうとする場合、
権利侵害者である投稿者を特定する必要がある。このための手段として、特
5 定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する
法律により、発信者情報の開示を請求する権利が認められているものの、こ
れを行使して投稿者を特定するためには、多くの場合、訴訟手続等の法的手
続を利用することが必要となる。この場合、手続遂行のために、一定の手続
費用を要するほか、事案によっては弁護士費用を要することも当然あり得る。
10 そうすると、これらの発信者情報開示手続に要した費用は、当該不法行為に
よる損害賠償請求をするために必要な費用という意味で、不法行為との間で
相当因果関係のある損害となり得るといえる。
本件においては、前提事実(5)のとおり、原告は、弁護士費用を含め発信者
情報開示手続に係る費用として 167 万 4405 円を要したが、発信者情報開示
15 手続の性質・内容等を考慮すると、このうち 20 万円をもって被告の不法行為
と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。これに反する原告及び
被告の主張はいずれも採用できない。
(3) 弁護士費用
本件事案の性質・内容、本件訴訟に至る経過、本件審理の経過等諸般の事
20 情に鑑みれば、被告の不法行為と相当因果関係のある本件訴訟に係る弁護士
費用相当額は、22 万円と認めるのが相当である。これに反する原告及び被告
の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上より、原告は、著作権侵害の不法行為に基づき、被告に対し、242 万円
25 の損害賠償請求権及びこれに対する令和 2 年 5 月 11 日(被告が本件静止画を
掲載していた期間の最終日)から支払済みまで民法所定の年 3%の割合による
遅延損害金請求権を有する。
第4 結論
よって、原告の請求は、損害賠償金 242 万円及びこれに対する不法行為の後
の日である令和 2 年 5 月 11 日から支払済みまで民法所定の年 3 分の割合によ
5 る遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、その限度でこれを認容し、
その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第 47 部
裁判長裁判官
杉 浦 正 樹
15 裁判官
小 口 五 大
裁判官
20 稲 垣 雄 大
(別紙動画目録省略)
(別紙投稿記事目録省略)

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