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令和4(ワ)70055損害賠償(従業員等による競業行為)請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所東京地方裁判所
裁判年月日 令和5年8月30日
事件種別 民事
当事者 原告FIRSTDEVELOP株式会社
被告
法令 不正競争
民事訴訟法61条1回
不正競争防止法3条1項1回
不正競争防止法2条1項4号1回
キーワード 損害賠償2回
差止2回
実施1回
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
1 被告は、別紙被告製品目録に記載された別紙 ServiceNow 技術資料記載の資料15
2 被告は、別紙被告製品目録に記載された別紙 ServiceNow 技術資料記載の資料
3 被告は、原告に対し、405万円およびこれに対する令和5年1月5日から支20
4 仮執行宣言
1 請求原因
5万円の損害賠償及び令和5年1月5日(訴状送達日の翌日)から支払済みま25
2 請求原因に対する認否
1 請求原因 について
5日、原告代表者に対して、チャットで、「bilibili」という名称の動画投稿サ
2 結論10
事件の概要 主文同旨

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判決文

令和5年8月30日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
令和4年(ワ)第70055号 損害賠償(従業員等による競業行為)請求事件
口頭弁論終結日 令和5年7月28日
判 決
原 告 FIRST DEVELOP株式会社
被 告 A
同訴訟代理人弁護士 加 部 歩 人
10 主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実
第1 請求の趣旨
15 1 被告は、別紙被告製品目録に記載された別紙 ServiceNow 技術資料記載の資料
を拡散し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し、譲渡し、または譲渡の申出をし
てはならない。
2 被告は、別紙被告製品目録に記載された別紙 ServiceNow 技術資料記載の資料
を廃棄せよ。
20 3 被告は、原告に対し、405万円およびこれに対する令和5年1月5日から支
払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
4 仮執行宣言
第2 請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
25 第3 当事者の主張
1 請求原因
原告は、他社が開発した、ServiceNow という名称のシステム開発用の開発ツ
ールを利用してプログラムを作成している会社である。原告は、原告社員のた
めの研修資料(以下「本件研修資料」という。)を有しているところ、本件研
修資料は、短期間で ServieNow 開発スキルを習熟するノウハウが凝縮されてい
5 るから有用であり、本件研修資料のうち、少なくとも、別紙営業秘密の特定と
請求の特定についてにおいて青色で着色した「//資産テーブルから最大10件
のデータを取得」で始まるソースコード(以下「本件ソースコード」という。)
が記載された部分及び青色で着色した2か所の「https://」で始まるURL(以
下、本件ソースコード及び同URLを併せて「本件情報」とう。)は公になっ
10 ておらず一般に入手することができないから非公知である。そして、本件研修
資料は、原告社内で研修のために利用するには「秘密保持誓約書」にサインす
ることが必須であり、秘密として管理されているから、本件情報は営業秘密に
当たる。
被告は、原告への入社が内定して、原告で ServiceNow を用いたシステム開
15 発の研修を受けた際に原告から本件情報を開示されたところ、本件情報を原告
に無断で社外に持ち出し、原告への入社の内定を辞退した後に本件情報を使用
し、譲渡し、貸し渡し、他の就職先に持ち込み、もって不正競争防止法2条1
項4号または7号の不正競争行為をした。
ア 本件情報の実施料相当額は405万円を下らない。
20 イ 本件情報が記載されている、別紙被告製品目録に記載された別紙
ServiceNow 技術資料について、被告がこれを使用等することを差止め、廃棄
する必要性がある。
よって、原告は、被告に対し、不正競争防止法3条1項、2項に基づき、別
紙 ServiceNow 技術資料の使用等の差止め及び廃棄を、同法4条に基づき40
25 5万円の損害賠償及び令和5年1月5日(訴状送達日の翌日)から支払済みま
での遅延損害金を請求する。
2 請求原因に対する認否
請求原因 は、被告が「秘密保持誓約書」に署名したことは認め、その余は
否認ないし争う。本件では、本件情報が研修資料に記載されていたことすら立
証されておらず、仮にそれが記載されていたとしても、本件情報について原告
5 の秘密管理意思が明示されていた事情もないから、秘密管理性は認められない。
本件情報のうち、本件ソースコード中の各「//」以下に記載されたコメント部
分を除いた部分は、インターネット上で公開されている情報であり、かつ、こ
れらの情報が記載されているウェブページは検索エンジンにキーワードを打
ち込めば容易に到達可能なウェブページであるから、非公知性を欠く。
10 請求原因 は、被告が原告入社前に任意に原告の事前研修を受けたことは認
め、その余は否認ないし争う。被告が、研修資料を持ち出したことはない。
請求原因 、 は否認ないし争う。
理 由
1 請求原因 について
15 被告が本件情報を持ち出したか否かについて、原告は、①原告代表者と被告
の間のチャットにおいて、被告から、本件研修資料に記載されていたURLの
リンク先のウェブサイトのスクリーンショットが送付されてきたこと、②被告
から原告が被告に貸与したパソコンの返却を受けた後、同パソコンから被告の
アカウントでクラウドドライブにログインしたところ、本件情報を含む研修資
20 料がアップロードされていたことが判明したことを根拠に、被告が本件情報を
持ち出したことが認められると主張する。
①について、甲4、乙1及び弁論の全趣旨によれば、被告は令和4年3月1
5日、原告代表者に対して、チャットで、
「bilibili」という名称の動画投稿サ
イトにおける、中国語で「ゼロから学ぶSQL」
(判決注:SQLはプログラミ
25 ング言語の一種)を意味するタイトルで投稿された動画(以下「本件動画」と
いう。)に関するウェブページのスクリーンショットを送付した上で、中国語
で「社長、じゃ、自分でSQLを見ます。」という内容を送信したことが認めら
れる。他方、乙6の4及び弁論の全趣旨によれば、本件動画は「bilibili」に
おいて一般に公開されている動画であって、かつ、
「ゼロから学ぶSQL」とい
う、SQLの習熟に関する動画としてありふれた語句を検索ワードに指定して
5 検索すると、本件動画が検索結果の最上段で表示されることが認められる。本
件動画のタイトルからしても、本件動画は初心者向けにSQLを解説する動画
であることが推認でき、また、そのタイトルも基礎からSQLを学ぶ内容とし
てはありふれたものである。そうすると、被告は、本件研修資料に記載されて
いたと原告が主張するURLそのものを使用せず、一般に公開されているウェ
10 ブサイトにおいて、SQLについて習熟するために、容易に考え付く語句で検
索を行って、前記チャットで送信したスクリーンショットの画面に到達した可
能性は十分考えられる。他方、被告が本件研修資料に記載されていたと原告が
主張するURLそのものを使用したことを直接裏付ける証拠はない。これらに
よれば、被告が原告代表者に対して、本件動画を閲覧する旨の連絡したことを
15 もって、原告が本件研修資料を持ち出したと認めるに足りず、他に原告主張の
同事実を認めるに足りる証拠はない。
②について、原告は、原告が被告に貸与したパソコンから被告が使用してい
たアカウントで baidu クラウドドライブにログインした様子を撮影した画像で
あると主張して、baidu クラウドドライブにおいて複数のファイルが表示され
20 ている画像(以下「本件画像」という。)を準備書面の別紙として提出した。本
件画像では、各ファイル名の横に日時が表示されている。乙9及び弁論の全趣
旨によれば、baidu クラウドドライブにおいて表示される各ファイル名の横の
日時は当該ファイルのアップロード時以降の日時が表示されると認められる。
被告が原告で採用されることの内定を受けたのは令和4年1月頃であるとこ
25 ろ(甲3、乙3、4、弁論の全趣旨)、本件画像で各ファイルの横に表示されて
いる日時は令和3年7月19日であるから、本件画像で表示されているファイ
ルはいずれも被告が原告から採用内定を受ける以前のものである。したがって、
本件画像をもってこれらのファイルを被告が保存、使用したことを認めること
はできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。これらによれば、本件画像
によって、前記各ファイルを被告が持ち出したことを認めるに足りず、他に、
5 原告主張事実を認めるに足りる証拠はない。
以上によれば、被告が本件情報を持ち出したことを認めるに足りない。原告
は被告の就職先の開示を求めたが被告の就職先がどこであるかによって被告
が本件情報を持ち出したことを認めるに足りないとの前記判断が左右される
ものではない。よって、請求原因 は認められない。
10 2 結論
よって、原告の請求は、請求原因 が認められないため、その余を判断するま
でもなくいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用については民事訴
訟法61条を適用して主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴 田 義 明
20 裁判官 杉 田 時 基
裁判官 仲 田 憲 史
別紙 被告製品目録
(省略)
別紙 別紙 ServiceNow 技術資料
(省略)
別紙 営業秘密の特定と請求の特定について
(省略)

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