ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和6(ネ)10034 特許権侵害損害賠償請求控訴事件
| 裁判所 | 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和7年8月27日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 対象物 | 弾塑性履歴型ダンパ |
| 法令 |
特許権 特許法102条3項1回 |
| キーワード | 特許権10回 損害賠償7回 侵害6回 審決5回 無効4回 無効審判2回 実施1回 |
| 主文 | 1 本件請求のうち、原判決別紙被告Σ形ダンパ形状記載 2 その余の損害賠償請求の原因(数額の点は除く。)は |
| 事件の概要 | 1 事案の要旨 本件(原審)は、発明の名称を「弾塑性履歴型ダンパ」とする特許第56677 |
本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。
令和7年8月27日判決言渡
令和6年(ネ)第10034号 特許権侵害損害賠償請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和3年(ワ)第15964号)
口頭弁論終結日 令和7年6月25日
中 間 判 決
控 訴 人 Next Innovation
合同会社
同訴訟代理人弁護士 鮫 島 正 洋
高 橋 正 憲
石 橋 茂
藤 田 達 郎
被 控 訴 人 大和ハウス工業株式会社
同訴訟代理人弁護士 山 上 和 則
雨 宮 沙 耶 花
大 林 良 寛
同補佐人弁理士 小 菅 一 弘
芝 哲 央
森 林 克 郎
主 文
1 本件請求のうち、原判決別紙被告Σ形ダンパ形状記載
の「被告Σ形ダンパ」欄の被告Σ形ダンパ5及び被告Σ
形ダンパ6が組み込まれた原判決別紙物件目録記載の住
宅の製造、譲渡、輸入、輸出、譲渡の申出による本件特
許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求の原因(数額
の点は除く。)は理由がある。
2 その余の損害賠償請求の原因(数額の点は除く。)は
5 理由がない。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。2 被控訴人は、控訴人に対し、1000万円及びこれに対する令和3年6月30日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要(略語等は、特記するもののほかは原判決に従う。)
1 事案の要旨本件(原審)は、発明の名称を「弾塑性履歴型ダンパ」とする特許第5667716号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(本件特許権)を有する控訴人が、被控訴人に対し、被控訴人において製造、譲渡、輸入、輸出、譲渡の申出を行っている原判決別紙物件目録記載の住宅(被告製品)の一部であるダンパが本件特許の特許請求の範囲(後記訂正による訂正前)の請求項1、3、6、7、8、10に係る発明(本件各発明)の技術的範囲に属するとして、特許権侵害による損害賠償請求権として、民法709条に基づき、特許法102条3項の算定による平成26年12月19日以降被控訴人が販売した被告製品に係る損害1170億円の一部として1000万円及び不法行為の後の日である訴状送達の日である令和3年6月30日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金を請求する事案である。原審は、被告製品はいずれも本件各発明の技術的範囲に属しないとして控訴人の請求を棄却したところ、控訴人がこれを不服として控訴した。被控訴人は、本件特許につき特許無効審判を請求し(無効2022-800025号事件)、同請求事件において、控訴人は、令和4年7月22日付けで、本件特許の特許請求の範囲及び明細書を訂正する旨の訂正(以下「本件訂正」という。)を請求したところ、令和6年3月28日、本件訂正を認め、無効審判請求を不成立等とする旨の審決がされた。これに対し、被控訴人は、当裁判所に審決取消訴訟を
5 提起したが、棄却判決がされ確定したことによって、同審決は確定した(なお、本件訂正前の本件発明3及び6は、本件訂正により削除された。)。同審決の確定を受け、控訴人は、当審において、被告製品が本件訂正による訂正後の特許請求の範囲の請求項1、7、8、10に係る発明(以下「本件訂正発明1」などといい、これらの発明を併せて「本件各訂正発明」という。また、本件訂正後の本件特許に係る明細書及び図面を「本件訂正明細書」という。)の技術的範囲に属するとして、請求原因を変更した。また、控訴人は、当審において、控訴人による令和4年4月14日付けの本件各発明に係る各請求項の訂正の審判請求に対応する訂正の主張を撤回した。同審決の確定を受け、被控訴人は、当審において、本件各訂正発明に係る特許が無効であるとの主張(原判決における争点3と関連)を撤回した。2 前提となる事実等
(1) 当事者、本件特許権及び被告製品については、下記のとおり改めるほか、原判決「事実及び理由」の第2の2(1)、(2)、(6)及び(7)(2頁15行目~24行目及び6頁10行目~7頁13行目)に記載のとおりであるから、これを引用する(以下、単に「前提事実」という。)。ア 原判決6頁17行目~21行目(原判決「事実及び理由」の第2の2(6)中)の「(以下、別紙被告Σ型ダンパ形状の「被告Σ型ダンパ」欄の記載に応じて「被告Σ型ダンパ1」などといい、被告Σ型ダンパ1~4を総称して「被告ダンパ1」、被告Σ型ダンパ5、6を総称して「被告ダンパ2」といい、被告ダンパ1、2を総称して「被告ダンパ」という。)」を「(以下、別紙被告Σ形ダンパ形状の「被告Σ形ダンパ」欄の記載に応じて「被告Σ形ダンパ1」などといい、被告Σ形ダンパ1~6を総称して「被告ダンパ」という。)」に改める。また、以下、原判決の引用部分における「被告ダンパ1」を「被告Σ形ダンパ1~4」、「被告ダンパ2」を「被告Σ形ダンパ5及び6」、「被告ダンパ1、2」を「被告ダンパ」に、「Σ型」を「Σ形」にそれぞれ改める。
5 イ 原判決7頁10行目(原判決「事実及び理由」の第2の2(7)中)の「耐力壁柱」を「耐力壁柱に溶接された補剛材」に改める。
(2) 本件各訂正発明の記載は以下のとおりであり(なお、特許請求の範囲の請求項を分説し、記号を付して示す。)、本件訂正明細書の記載は、別紙「本件訂正明細書」のとおりである(甲190)。ア 本件訂正発明1(請求項1)A 建物及び/又は建造物に適用可能な弾塑性履歴型ダンパであって、B 一対の第一補強部と、C’前記一対の第一補強部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、前記一対の剪断部は、連結部を介して一連に設けられ、D 前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、E 前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、F 前記第一補強部は、前記剪断部に、該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され、G 前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うことを特徴とするH 弾塑性履歴型ダンパ。イ 本件訂正発明7(請求項7)M 前記連結部は、前記剪断部と一体又は別体であることを特徴とするN’請求項1、2、4及び5の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。ウ 本件訂正発明8(請求項8)O 前記一対の剪断部の間隔は、前記連結部側から反対側の端部に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されていることを特徴とするP’請求項1、2、4、5及び7の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。エ 本件訂正発明10(請求項10)
5 Q 前記剪断部は、前記連結部と反対側の端部に前記第一補強部を有することを特徴とするR’請求項1、2、4、5及び7-9の何れかに記載の弾塑性履歴型ダンパ。3 争点
(1) 被告製品が本件各訂正発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア 被告ダンパは、「入力」を受けるものであるか(構成要件G)(争点1-1)イ 被告ダンパが弾塑性履歴型ダンパに当たるか(構成要件A、 (争点1-2)H)ウ 被告ダンパに「補強部」が存在するか(構成要件B、C’、D、E、F)(争点1-3)エ 被告ダンパが「一対のプレート」に接続されているか(構成要件D)(争点1-4)オ 被告Σ形ダンパ1~4は、本件各訂正発明に係る特許請求の範囲に記載された構成と均等なものといえるか(構成要件D)(争点1-5)
(2) 損害(争点2)
(3) 被告製品では本件各訂正発明の作用効果が不奏功であるか(争点3)
(4) 特許の出願時の補正態様を理由に、控訴人が被告ダンパにつき本件特許権を行使することが信義則上許されないか(争点4)4 争点に関する当事者の主張後記5のとおり当審における当事者の補充主張を付加するほかは、原判決「事実及び理由」の第2の4(1)~(6) 、(16)及び(17)(9頁5行目~15頁7行目、30頁26行目~32頁18行目)のとおりであるから、これを引用する(ただし、「本件各発明」を「本件各訂正発明」、「特許請求の範囲」を「本件訂正後の特許請求の範囲」 「本件明細書」 「本件訂正明細書」、、 を 「構成要件C」を「構成要件C’」、「争点4」を「争点3」、「争点5」を「争点4」にそれぞれ改める。以下同じ。)。5 当審における当事者の補充主張(控訴人)
5 (1) 被告ダンパが「一対のプレート」に接続されているか(構成要件D)(争点1-4)について被控訴人は、「一対のプレート」とは、構造物に固定されている金属板である「ベースプレート」と構造物には固定されずに「ストッパ」と連携するストッパ機能を有する金属板である「プレート」の双方を含むものであると主張するが、特許請求の範囲の記載及び辞書の意味から読み取れない恣意的な解釈である。
(2) 被告Σ形ダンパ1~4は、本件各訂正発明に係る特許請求の範囲に記載された構成と均等なものといえるか(構成要件D)(争点1-5)について本件訂正明細書には、【0017】~【0069】にダンパを橋梁に設置した場合について記載されているから、一対のプレートの少なくとも一方を省略してもよいとの記載(【0033】)は、ダンパを橋梁に設置した場合の記載である。他方、【0070】には、ダンパをビル鉄骨等の構造物又は建築物に設置した場合について記載されている。そうすると、後者の場合すなわち建築物である被告製品において、一対のプレートのうち少なくとも一方を省略してもよいことは、本件訂正明細書に記載されていないといえる。したがって、被告製品において被告ダンパの一対のプレートの少なくとも一方を省略する構成は、特許請求の範囲に記載された構成を置き換えることができるものとして、本件訂正明細書中の記載自体において示されていないので、均等の第5要件における特段の事情は認められない。(被控訴人)
(1) (争点1-4)について「一対のプレート」とは、構造物に固定されている金属板である「ベースプレート」と構造物には固定されずに「ストッパ」と連携するストッパ機能を有する金属板である「プレート」(ストッパ当接プレート)の双方を含む必要がある。しかるに、被告ダンパを構成するのは、ウェブ部及び平行板部(フランジ)のみであり、「ストッパ」等も存在しないから、被告ダンパには「一対のプレート」は存在しない。
5 (2) (争点1-5)について本件訂正明細書には、ベースプレートやプレートを省略してもよい構成が記載されている(【0033】 。そうすると、本件訂正明細書には、一対のプレートを備え)る構成を、一対のプレートのうち少なくとも一方を備えていない構成に置き換えることができるものであることが記載されているといえ、均等の第5要件における特段の事情が認められる。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は、原審と異なり、被告Σ形ダンパ5及び6が組み込まれた被告製
品は本件各訂正発明の技術的範囲に属し、その余の被告製品は本件各訂正発明の技術的範囲に属しないから、被告Σ形ダンパ5及び6が組み込まれた被告製品による本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求の原因(数額の点は除く。)は理由があり、その余は理由がないと判断する。その理由は次のとおりである。
2 本件各訂正発明の技術的思想及び技術的意義について
本件訂正明細書には、本件各訂正発明に関し、次のような技術的思想及び技術的意義が記載されているものと認められる。従来の剪断パネル型ダンパは、建築物や橋梁等において、上部構造物と下部構造物との間における下部構造物に固定設置され、常時や所定レベルまでの地震に対しては上部構造の変位を拘束するストッパとして機能し、所定レベル以上の地震に対しては剪断塑性変形することによりダンパとして機能するものであるが(【0002】、剪断部を一つしか有しておらず、一方向からの水平力に対してしかダンパと)して機能しないため、例えば、橋軸方向の水平力に対してダンパとして機能するように設置された場合に、橋軸方向以外の方向からの水平力が加わると、入力のあった水平力を十分に減衰させることができず(【0004】 、また、その設置に際して)は、想定される入力方向に対して高精度にダンパの剪断変形方向を合わせる設置角度設定が必要とされるという課題があった(【0005】 。)そこで、本件各訂正発明は、所定レベル以上の地震の際に、複数の方向からの入
5 力に対してダンパとして機能し得る弾塑性履歴型ダンパを提供することを目的とし
(【0006】 、) この課題を解決するために、一対の第一補強部と、これらを連結し、互いの向きを異ならせて設けられ、連結部を介して一連に設けられた板状の一対の剪断部と、一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、一対の剪断部は、連結部を介して一連に設けられ、剪断部は、第一補強部に対して傾斜を成し、第一補強部は、剪断部に、第一補強部と剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され、剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行うように構成した(【0007】 。)本件各訂正発明では、二つの剪断部が設けられているので、所定レベル以上の地震の際に、剪断部が直接又は間接に上部構造物のストッパに突き当たり、突き当たったときの衝撃を剪断部が剪断弾塑性変形することにより減衰させることができ、また、二つの剪断部を連結部で連結してなるので、より大きな地震時の振動を吸収することができ、さらに、二つの剪断部の向きを異ならせることで、一方向だけでなく複数の方向からの地震時の振動を吸収することができる(【0014】。)
3 被告ダンパは、「入力」を受けるものであるか(構成要件G)(争点1-1)
について
(1) 本件訂正後の特許請求の範囲及び本件訂正明細書の記載によると、本件訂正
発明1は、従来の剪断パネル型ダンパが、「剪断部を一つしか有しておらず、所定レベル以上の地震に対して、一方向からの水平力に対してしかダンパとして機能しない」【0004】( )という課題に着目し、「所定レベル以上の地震の際に、複数の方向からの入力に対してダンパとして機能し得る弾塑性履歴型ダンパを提供することを目的と」して(【0006】 、) 「板状の一対の剪断部」を「互いの向きを異ならせて設け」た構成としたものであり(【0007】 、) 「剪断部」に対する「入力」の方向については何ら限定していない。そうすると、本件訂正発明1は、従来と同様の構成の「剪断部」を「互いの向きを異ならせて設け」た「一対の剪断部」という構成により、複数の方向からの入力に対応しようとするものであり、各「剪断部」自
5 体が新規な構成を有するものではない。
そして、構成要件Gの「前記剪断部」が指し示すものは、「一対の剪断部」(構成要件C’)を構成する各「剪断部」であるから、構成要件Gの「入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う」のは、各「剪断部」が有する特徴であって、これは、剪断部が有する一般的な機能が記載されているにすぎないと解される。そうすると、構成要件Gの「入力」は、「剪断部」に対して外部から与えられる荷重であれば足り、特定の方向に限定されるものではないと解するのが相当である。前提事実(6)及び(7)によると、被告ダンパが備える各ウェブ部は、「入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う」ものであると認められるから、被告ダンパは構成要件Gを充足する。
(2) これに対し、被控訴人は、
「入力」とは、剪断パネルの中心線方向から面内方向に近い方向までの方向からの複数の水平力の入力と解釈すべきであると主張する。しかし、「入力」とは、「剪断部」に対して外部から与えられる荷重であれば足り、特定の方向に限定されるものではないと解されることは上記(1)のとおりであり、被控訴人の主張のように限定して解釈すべき根拠はない。また、被控訴人は、その主張の根拠として、本件訂正明細書の【0026】の記載や中心線方向からの入力とそこから斜めの方向からの入力の図(【図3】【図4】)を指摘する。しかし、本件訂正明細書には様々な構成の弾塑性履歴型ダンパが記載されているのであり(【0016】~【0070】、図1~図42)、被控訴人が指摘する構成は、そのうちの一つにすぎないから(例えば、本件訂正明細書には、剪断部を連結する連結部を鈍角とした構成の弾塑性履歴型ダンパも記載されているが(【0037】、図8)、この構成は、中心線方向からの入力を含めた複数方向の水平力の入力に対して機能するものとは認められない。 、被控訴人指摘の本件訂正明細)書の記載はその主張の根拠になるものではない。
4 被告ダンパが弾塑性履歴型ダンパに当たるか(構成要件A、 (争点1-2)
H)
5 について
本件訂正明細書の記載及び証拠(甲29、40の1、甲41)によると、「弾塑性履歴型ダンパ」とは、材料のヒステリシスループ(履歴ループ)によるエネルギー吸収を利用したダンパを意味するものと解されるところ、被告ダンパは、材料のヒステリシスループ(履歴ループ)によるエネルギー吸収を利用したダンパであると認められるから、被告ダンパは「弾塑性履歴型ダンパ」に当たり、構成要件A及びHを充足する。これに対し、被控訴人は、「弾塑性履歴型ダンパ」とは、複数方向からの入力のある剪断パネルダンパに限定されると主張するが、前記3において判示したところからすれば、採用することができない。
5 被告ダンパに「補強部」が存在するか(構成要件B、C’、D、E、F)
(争点1-3)について
(1) 本件訂正後の特許請求の範囲及び本件訂正明細書の記載によると、「補強部」
とは、「剪断部」の機能を補う部材であり、「剪断部」とは「入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う」部材であると認められる。そして、前提事実(6)及び(7)によると、被告ダンパの平行板部は、ウェブ部の面外変形や座屈を防ぐ目的を有する部材であるから、「補強部」に該当すると認められ、被告ダンパは、構成要件B、C’、D、E及びFを充足する。
(2) これに対し、被控訴人は、「補強部」とは、剪断部に比して短く、その約8
分の1程度のものであると解するべきと主張するが、「補強部」の長さをそのように限定して解釈する根拠は認められない。また、被控訴人は、被告ダンパに対してウェブ部の中心線方向から力を加えた場合、ウェブ部のみならず平行板部がその力を受けてしまうことでウェブ部の変形を妨害し、ウェブ部の「剪断部」としての機能を阻害すると主張する。しかし、前提事実(6)及び(7)によると、被告ダンパは、中心線方向と垂直な方向から力が加えられることを想定した構成と認められるのであり、中心線方向から力が加えられるこ
5 とを想定したものではないから、被控訴人の主張は採用することはできない。
6 被告ダンパが「一対のプレート」に接続されているか(構成要件D)
(争点1-4)について
(1) 「一対のプレート」の語義について
証拠(甲7の3~5)によると、「プレート」とは「金属板」を、「板」とは「金属や石などを薄く平たくしたもの」を、「一対」とは「二個で一組となること」を意味する。そうすると、「一対のプレート」とは、二個で一組となる金属を薄く平たくしたものであると認められる。これに対し、被控訴人は、「一対のプレート」とは、構造物に固定されている金属板である「ベースプレート」と構造物には固定されずに「ストッパ」と連携するストッパ機能を有する金属板である「プレート」の双方を含む必要があると主張する。しかし、本件訂正後の特許請求の範囲の記載にはそのような文言は記載されておらず、かえって、本件訂正明細書には、一対のプレートの両方が構造物に固定され、ストッパも存在せず、ストッパ機能を有することもない構成が開示されているから(【0070】、図42)、そのように限定して解釈することはできない。
(2) 被告Σ形ダンパ1~4について
ア 前提事実(7)によると、被告Σ形ダンパ1~4は、平行板部及びウェブ部の一端が垂直板部に溶接されており、垂直板部は、耐力パネルを構成する柱にボルトで固定されている。他方、平行板部及びウェブ部の他端は、耐力パネルを構成する鋼管(被告Σ形ダンパ1~3)又は溝形鋼(被告Σ形ダンパ4)に直接溶接されていることが認められる。垂直板部と鋼管又は溝形鋼が、二個で一組となる金属を薄く平たくしたものということはできないから、被告Σ形ダンパ1~4は、「一対のプレート」を備えていると認められない。イ これに対し、控訴人は、鋼管又は溝形鋼と各平行板部及び各ウェブ部が接続された面が金属を薄く平たくしたものであるから、これが「プレート」に該当し、垂直板部と一組となって「一対のプレート」に該当すると主張する。
5 しかし、本件訂正明細書によると、
「更に、弾塑性履歴型ダンパ10としては、ベースプレート14やプレート15を省略しても良い。ベースプレート14を省略したときには、下部構造物2に一体化された剪断部11,11と連結部12を固定するようにすれば良い。 (」 【0033】)とされ、ベースプレートやプレートを省略してもよいこと、及び、ベースプレートを省略した構成では剪断部と連結部が構造物に直接固定されることが記載されている。上記のとおり、被告Σ形ダンパ1~4のウェブ部及び平行板部の他端は構造物である鋼管又は溝形鋼に直接固定されているのであるから、このような構成は、「プレート」が省略された構成であると認められる。また、前記(1)のとおり、「一対のプレート」の「一対」とは「二個で一組となること」を意味するところ、垂直板部と鋼管又は溝形鋼の一部が「二個で一組となる」部材であるとも認められない。したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。
(3) 被告Σ形ダンパ5について
ア 前提事実(7)によると、被告Σ形ダンパ5が用いられた耐力パネルにおいて、被告Σ形ダンパ5を構成するウェブ部及び平行板部は二つのデバイス補剛材に挟まれた形で配置され、ウェブ部及び平行板部の両端はそれぞれデバイス補剛材に直接溶接されているところ、二つのデバイス補剛材は、それぞれ、台形の金属板と、その各辺に溶接された四枚の長方形の金属板により構成され、これら4枚の金属板のうちの一つ(以下「接続プレート」という。)に、ウェブ部及び平行板部が溶接されていることが認められる。すなわち、被告Σ形ダンパ5を構成するウェブ部及び平行板部は、2枚の接続プレートに挟まれた形で配置され、ウェブ部及び平行板部の両端はそれぞれ接続プレートに直接溶接されているところ、2枚の接続プレートは、同じ形状の長方形の金属板であって、ウェブ部及び平行板部を挟む形で左右両側に配置されているから、これらが「一対のプレート」に該当すると認められる。イ これに対し、被控訴人は、「一対のプレート」は、地面と平行の方向に延在する必要があると主張する。しかし、本件訂正発明1では、「一対のプレート」の設置
5 方向について何ら限定されておらず、また、地面と平行の方向の力でなければダン
パとして機能しないわけではないから、「一対のプレート」が地面と平行の方向に延在する必要があると解することはできない。また、被控訴人は、デバイス補剛材は、耐力壁柱における強い力が働く部分を補う役割を果たすものであるから、被告ダンパと一体のものと捉えるべきではなく、耐力壁柱の一部の部材と捉えるべきであると主張する。しかし、デバイス補剛材の接続プレートは、耐力壁柱を直接補強する部材ではないから、これを耐力壁柱の一部の部材と捉えるべきであるとは必ずしもいうことはできない。また、被告Σ形ダンパ5を構成するウェブ部及び平行板部の両端は、2枚の接続プレートに直接溶接されており、2枚の接続プレートが耐力壁柱の変位をウェブ部及び平行板部の両端に伝達する役割を果たしている。そうすると、接続プレートは、ウェブ部及び平行板部との関係で弾塑性履歴型ダンパの構成としての必要な機能を有しており、これは、耐力壁柱との関係でデバイス補剛材が果たす役割と相容れないようなものではないから、デバイス補剛材が耐力壁柱における強い力が働く部分を補う役割を果たすものであるとしても、接続プレートが「一対のプレート」に該当しない理由にはならない。さらに、被控訴人は、耐力壁柱に厚みが十分にあるような場合には、デバイス補剛材がなくとも被告Σ形ダンパ5を設置することが可能であり、接続プレートがなくてもダンパとして機能するから、接続プレートは、「一対のプレート」には該当しないと主張する。しかし、被控訴人が主張する場合に接続プレートを省略することが可能であるとしても、被告Σ形ダンパ5においては接続プレートが省略されていないのであるから、被告Σ形ダンパ5における接続プレートが「一対のプレート」に該当しないということにはならない。
(4) 被告Σ形ダンパ6について
前提事実(7)によると、被告Σ形ダンパ6が用いられた耐力パネルにおいて、被告Σ形ダンパ6を構成するウェブ部及び平行板部は2枚の補剛材に挟まれた形で配置
5 され、ウェブ部及び平行板部の両端はそれぞれ補剛材に直接溶接されていることが
認められる。上記2枚の補剛材は、同じ形状の長方形の金属板であって、ウェブ部及び平行板部を挟む形で左右両側に配置されているから、これらが「一対のプレート」に該当する。これに対し、被控訴人は、補剛材は耐力壁柱の一部の部材である、被告Σ形ダンパ6は補剛材がなくともダンパとして機能するから補剛材は「一対のプレート」ではない、「一対のプレート」は地面と平行の方向に延在する必要があるなどと、前記
(3)と同様の主張をするが、これらの主張が採用できないことは、前記(3)で判示し
たとおりである。
(5) 以上のとおりであるから、被告Σ形ダンパ1~4は構成要件Dを充足しない
が、被告Σ形ダンパ5及び6は構成要件Dを充足する。
7 被告Σ形ダンパ1~4は、本件各訂正発明に係る特許請求の範囲に記載され
た構成と均等なものといえるか(構成要件D)(争点1-5)について(なお、控訴人は、被告Σ形ダンパ5及び6についても均等侵害の主張をするが、被告Σ形ダンパ5及び6が構成要件Dを充足することは前記6で判示したとおりであるから、判断を要しない。)
(1) 特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用い
る方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、①同部分が特許発明の本質的部分ではなく、②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、③上記のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、④対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから同出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、同対象製品等は、特許請
5 求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属すると
解される(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。
(2) これを本件についてみるに、本件訂正明細書によると、
「更に、弾塑性履歴型ダンパ10としては、ベースプレート14やプレート15を省略しても良い。…勿論、ベースプレート14やプレート15を用いた方が、性能の安定性が向上する点で好ましい。 (」 【0033】)とされ、ベースプレートやプレートを省略してもよいことが記載されている。そうすると、本件訂正明細書には、一対のプレートを備える構成を、一対のプレートのうち少なくとも一方を備えていない構成に置き換えることができるものであることが記載されているのであり、このことは、客観的、外形的にみて、一対のプレートのうち少なくとも一方を備えていない構成が、一対のプレートを備える構成を代替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたといえ、一対のプレートを備えていない構成である被告Σ形ダンパ1~4が、本件特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情(上記⑤)が存すると認められる。したがって、被告Σ形ダンパ1~4は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして本件訂正発明1の技術的範囲に属するということはできない。
(3) これに対し、控訴人は、本件訂正明細書には、
【0017】~【0069】にダンパを橋梁に設置した場合について記載され、【0070】にダンパをビル鉄骨等の構造物又は建築物に設置した場合について記載されているところ、上記【0033】はダンパを橋梁に設置した場合の記載であって、ダンパをビル鉄骨等の構造物又は建築物に設置した場合の記載ではないから、後者の場合すなわち被告製品において、一対のプレートのうち少なくとも一方を省略できることは、本件訂正明細書に記載されていないと主張する。しかし、【0070】には、項目名として「[12.弾塑性履歴型ダンパの設置例の説明]」と記載されており、しかも、弾塑性履歴型ダンパの構成について何ら具体
5 的な説明は記載されていないから、同段落は、弾塑性履歴型ダンパの設置場所の一
例を記載しているにすぎないと認められる。そうすると、弾塑性履歴型ダンパの構成において、【0017】~【0069】に記載のダンパと【0070】に記載のダンパとで区別されるものとは解されない。また、「一対のプレート」を省略することについて、弾塑性履歴型ダンパを橋梁に設置する場合と鉄骨等の構造物ないし建築物に設置する場合とで、考慮すべき事情に差異があるとの事情もうかがわれない。そうすると、本件訂正明細書には、一対のプレートを備える構成を、一対のプレートのうち少なくとも一方を備えていない構成に置き換えることができるものであることが記載されていると認められるのであって、控訴人の上記主張は採用することができない。
8 被告製品では本件各訂正発明の作用効果が不奏功であるか(争点3)につい
て被控訴人は、本件各訂正発明の作用効果は、中心線方向からの入力を含めた複数方向の水平力の入力で機能する必要があるが、被告ダンパに中心線方向からの力を加えた場合、剪断パネルダンパとして全く機能せず、また、被告ダンパは複数方向の水平力の入力に機能するものではないから、被告ダンパは、本件各訂正発明の作用効果を奏功せず、本件各訂正発明の技術的範囲に属するということはできないと主張する。しかし、前記2において認定したとおり、本件各訂正発明の作用効果は、複数の方向からの入力に対して振動を吸収することができることにあり、この作用効果は、二つの剪断部の向きを異ならせる構成にすることによって実現しているものである。そして、被告ダンパは、互いの向きを異ならせて設けられた二つのウェブ部(剪断部)を有しており、その構造からみて、複数の方向からの入力に対して振動を吸収することができる構成であるから、本件各訂正発明の作用効果が不奏功であるということはできない。また、本件訂正明細書の記載が被控訴人の上記主張の根拠にならないことは、前記3において判示したとおりである。
5 したがって、本件各訂正発明において、ダンパの中心線方向からの入力を含めた
複数方向の水平力の入力で機能する必要があるということはできず、被控訴人の上記主張は採用することができない。
9 特許の出願時の補正態様を理由に、控訴人が被告ダンパにつき本件特許権を
行使することが信義則上許されないか(争点4)について被控訴人は、控訴人は本件特許出願時に略M字形、略W字形、Σ字形を意識的に除外したから、Σ字形である被告ダンパに対して本件特許権を行使することは、包袋禁反言となり、信義則上許されないと主張する。証拠(乙5~8)によると、本件特許出願後、請求項1及びその従属項である請求項2~20の「一対の第一補強部と剪断部とで略M字形、W字形、Σ字形を成すことが、発明の詳細な説明に記載されていない」ことを理由とするサポート要件違反の拒絶理由、及び、「一対の第一補強部と剪断部とでどのようにして略M字形、W字形、Σ字形を成すのか、不明確である」ことを理由とする明確性要件違反の拒絶理由通知(乙6)を受けたことに対し、出願人は、この「前記一対の第一補強部と前記剪断部とで略M字形及び/又は略W字形及び/又はΣ字形を成し、」との記載を、「前記第一補強部は、前記剪断部に、該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され、」との記載に補正したことが認められる(乙5、7)。この補正後の記載は、第一補強部と剪断部とのなす角が鋭角とならない構成を除外しているとは認められるが、略M字形、略W字形、Σ字形を成す構成を除外しているとは認められない。また、この補正に当たり、出願人は、略M字形、略W字形、Σ字形を意識的に除外する陳述を行っていない(乙8)。したがって、控訴人が本件特許出願時に略M字形、略W字形、Σ字形を意識的に除外したということはできず、被控訴人の上記主張は採用することができない。
10 まとめ
以上によると、被告製品のうち、被告Σ形ダンパ1~4が組み込まれた製品は、本件訂正発明1の技術的範囲に属するとは認められず、これを前提とする本件訂正
5 発明7、8、10の技術的範囲に属するとも認められない。
他方、以上によると、被告製品のうち、被告Σ形ダンパ5及び6が組み込まれた製品は、本件訂正発明1の技術的範囲に属すると認められ、また、これに加え、前提事実(6)及び(7)によると、被告Σ形ダンパ5及び6は前記第2の2「前提となる事実等」(2)の本件訂正後の請求項7、8及び10に係る分説によるM、N’O、P’、Q及びR’を充足し、被告Σ形ダンパ5及び6が組み込まれた製品は、本件訂正発明7、8及び10の技術的範囲に属すると認められる。
第4 結論
したがって、本件請求のうち、被告Σ形ダンパ5及び6が組み込まれた被告製品の製造、譲渡、輸入、輸出、譲渡の申出による本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求の原因(数額の点は除く。)は理由があるが、その余の損害賠償請求の原因(数額の点は除く。)は理由がないから、主文のとおり中間判決する。知的財産高等裁判所第1部裁判長裁判官本 多 知 成裁判官伊 藤 清 隆裁判官天 野 研 司(別紙)本件訂正明細書【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、 建築物や橋梁等において上部構造物と下部構造物との間に設置され、 常時や所定レベルまでの地震に対しては上部構造の変位を拘束するストッパとして機能し、所定レベル以上の地震に対しては剪断塑性変形することによりダンパとして機能する弾塑性履歴型ダンパに関する。【背景技術】【0002】下記特許文献1-3には、橋梁の支承構造に用いられる低降伏点鋼を用いた剪断パネル型ダンパが記載されている。 この剪断パネル型ダンパは、建築物や橋梁等において上部構造物と下部構造物との間において、下部構造物に固定設置され、 常時や所定レベルまでの地震に対しては上部構造の変位を拘束するストッパとして機能し、所定レベル以上の地震に対しては剪断塑性変形することによりダンパとして機能する。具体的に、この剪断パネル型ダンパは、水平変位に対し剪断変形が生じるとき、剪断部の履歴減衰を利用して地震時の振動を低減させる。【先行技術文献】【特許文献】【0003】【特許文献1】 特許第3755886号公報【特許文献2】 特許第4192225号公報【特許文献3】 特開2007-198002号公報【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】しかしながら、何れの特許文献の剪断パネル型ダンパにおいても、剪断部を一つしか有しておらず、所定レベル以上の地震に対して、 一方向からの水平力に対してしかダンパとして機能しない。 したがって、例えば、橋軸方向の水平力に対してダンパとして機能するように剪断パネル型ダンパを設置した場合に、橋軸方向以外の方向からの水平力が加わると、剪断パネル型ダンパは、入力のあった水平力を十分に減衰させることが出来ない。地震の際に何れの方向から所定レベル以上の水平力の入力があるのかは、予測困難である。【0005】また、剪断パネル型ダンパの設置に際しては、 想定される入力方向に対して高精度にダンパの剪断変形方向を合わせる設置角度設定が必要とされる。【0006】本発明は、 所定レベル以上の地震の際に、複数の方向からの入力に対してダンパとして機能し得る弾塑性履歴型ダンパを提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】【0007】本発明に係る弾塑性履歴型ダンパは、建物及び/又は建造物に適用可能な弾塑性履歴型ダンパであって、一対の第一補強部と、前記一対の第一補強部を連結し、互いの向きを異ならせて設けられた板状の一対の剪断部と、 前記一対の第一補強部の両端間にそれぞれ接続した一対のプレートとを備え、 前記一対の剪断部は、 連結部を介して一連に設けられ、前記剪断部は、前記第一補強部に対して傾斜を成し、前記第一補強部は、前記剪断部に、該第一補強部と該剪断部とのなす角が鋭角となるように形成され、前記剪断部は、入力により荷重を受けたときに、変形してエネルギー吸収を行う。例えば、前記剪断部は、平面状を成す。また、前記連結部は、前記剪断部と一体、別体の何れであっても良い。【0008】また、前記剪断部は、傾斜方向が互いに異なる部分が交互に並ぶ波形を成すようにしても良い。 更に、前記一対のプレートは、入力により互いに異なる方向に変位する第一構造物と第二構造物とにそれぞれ接合されているようにしても良い。【0009】連結部により一体化された一対の剪断部の形状は、前記一対の剪断部の間隔を前記連結部を鋭角又は鈍角として、前記連結部と反対側の端部に向かって漸次広がるようにした、略V字状としても良い。【0010】前記剪断部は、前記連結部と反対側の端部に第一補強部を設けるようにしても良い。この場合、前記
第一補強部は、前記剪断部に対して一連に設けられていても良く、更に前記剪断部と一体(例えば曲げ
加工)又は別体(例えば溶接接合)であっても良い。【0011】また、前記剪断部及び前記連結部は、基盤上に固設し、下部構造物に固定するようにしても良い。更に、基盤と相対してプレートを設け、 前記剪断部の先端部や前記第一補強部が上部構造物側のストッパに直接突き当たるのではなく、前記プレートの端面が上部構造物側のストッパに突き当たるようにしても良い。【0012】更に、前記連結部は、第二補強部によって補強されていても良い。【0013】更に、前記剪断部には、貫通した孔部を一つ又は複数形成することも出来る。一つ又は複数の孔部を設けることによって、低降伏点鋼を用いなくても、 通常の鋼材で同様な低降伏点を実現することが出来る。勿論、低降伏点鋼に前記孔部を形成して、降伏点や座屈点を調整するようにしても良い。また、衝撃によって、前記剪断部が剪断弾塑性変形した際に、剪断部にクラック等が発生することを防止出来、更に、前記剪断部の前記基盤との接合部に形成したときには、溶接箇所を少なくすることも出来る。前記孔部は、前記剪断部の外周部や、その内側に、貫通孔やスリットによって形成することが出来る。【発明の効果】【0014】本発明では、二つの剪断部が設けられているので、所定レベル以上の地震の際に、剪断部が直接又は間接に上部構造物のストッパに突き当たり、突き当たったときの衝撃を剪断部が剪断弾塑性変形することにより減衰させることが出来る。また、二つの剪断部を連結部で連結してなるので、より大きな地震時の振動を吸収することが出来る。更に、二つの剪断部の向きを異ならせることで、一方向だけでなく複数の方向からの地震時の振動を吸収することが出来る。【図面の簡単な説明】【0015】【図1】本発明を適用した弾塑性履歴型ダンパが用いられる橋梁を示す図であり、 (A)は橋軸方向の模式的な断面図、(B)は橋軸直角方向の斜視図である。【図2】本発明を適用した弾塑性履歴型ダンパの斜視図である。【図3】上記弾塑性履歴型ダンパに中心軸線方向から所定レベル以上の入力があったときの状態を示す図であり、(A)は入力方向を示す平面図であり、(B)は斜視図である。【図4】上記弾塑性履歴型ダンパに中心軸線方向に対して斜めの方向から所定レベル以上の入力があったときの状態を示す図であり、(A)は入力方向を示す平面図であり、 (B)は斜視図である。【図5】馬蹄型の弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、 (A)は、(B)の高さ方向中間部の横断面図であり、(B)は斜視図である。【図6】U字型の弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、 (A)は、(B)の高さ方向中間部の横断面図であり、(B)は斜視図である。【図7】連結部が鋭角のV字型の弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、 (A)は、(B)の高さ方向中間部の横断面図であり、(B)は斜視図である。【図8】連結部が鈍角のV字型の弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、 (A)は、(B)の高さ方向中間部の横断面図であり、(B)は斜視図である。【図9】剪断部の先端部に形成された補強部が円筒状に形成された例を示す図であり、 (A)は断面図、(B)は斜視図である。【図10】剪断部の先端部に形成された補強部が十字状に形成された例を示す図であり、 (A)は断面図、(B)は斜視図である。【図11】(A)-(E)は、剪断部の先端部に形成された補強部の更なる変形例である。【図12】直角の連結部を示す図であり、 (A)は断面図、(B)は斜視図である。【図13】連結部の外側に補強部を設けた図であり、 (A)は断面図、 (B)は斜視図である。【図14】連結部の内側に補強部を設けた図であり、 (A)は断面図、 (B)は斜視図である。【図15】剪断部の基端部を離間させ連結片で連結した図であり、 (A)は断面図、(B)は斜視図である。【図16】連結部を円筒状にした図であり、 (A)は断面図、(B)は斜視図である。【図17】連結部の外側に二つの補強片を設けた図であり、 (A)は断面図、(B)は斜視図である。【図18】矩形状を成す連結部を示す図であり、 (A)は断面図、(B)は斜視図である。【図19】剪断部の基端部を離間させ連結片で連結した図であり、 (A)は断面図、(B)は斜視図である。【図20】馬蹄型の弾塑性履歴型ダンパの剪断部に補強部を形成した図であり、 (A)は横断面図、(B)は斜視図である。【図21】Π 型の弾塑性履歴型ダンパの剪断部に補強部を形成した図であり、 (A)は横断面図、(B)は斜視図である。【図22】連結部が鋭角のV字型の弾塑性履歴型ダンパの剪断部に補強部を形成した図であり、 (A)は、横断面図であり、(B)は斜視図である。【図23】連結部を鈍角とし、更に、剪断部と補強部との成す角も鈍角とした弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)は、断面図であり、(B)は斜視図である。【図24】連結部を円筒状とし、剪断部の先端部にも円筒状の補強部を設けた弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、(A)は、断面図であり、(B)は斜視図である。【図25】剪断部に貫通した凹字型の孔部を形成した例を示す図であり、 (A)は側面図、(B)は正面図である。【図26】剪断部に貫通したスリット状の孔部を形成した例を示す図であり、 (A)は側面図、(B)は正面図である。【図27】剪断部のコーナ部に貫通した孔部を形成した例を示す図であり、 (A)は側面図、(B)は正面図である。【図28】剪断部の中央部に貫通した孔部を形成した例を示す図であり、 (A)は側面図、(B)は正面図である。【図29】剪断部の全体に複数の貫通した孔部を形成した例を示す図であり、 (A)は側面図、(B)は正面図である。【図30】連結部を設けずに、二つの剪断部を鋭角のハ字型に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す図であり、 (A)は、横断面図であり、 (B)は斜視図である。【図31】連結部を設けずに、二つの剪断部を鈍角のハ字型に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図32】連結部を設けずに、二つの剪断部をT字型に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図33】連結部を設けずに、二つの剪断部を略平行に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図34】連結部を設けずに、二つの剪断部を馬蹄状に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図35】連結部を設けずに、二つの剪断部をU字状に配置するとともに、補強部によって剪断部の両端形状をT字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図36】連結部を設けずに、二つの剪断部を鋭角又は鈍角のハ字型に配置するとともに、補強部によって各剪断部をクランク状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図37】連結部を設けずに、二つの剪断部を略平行に配置するとともに、補強部によって各剪断部をクランク状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図38】連結部を設けずに、二つの剪断部を鋭角又は鈍角のハ字型に配置するとともに、補強部によって各剪断部をコ字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図39】連結部を設けずに、二つの剪断部を略平行に配置するとともに、補強部によって各剪断部をコ字状に設けた弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図である。【図40】一方の剪断部が第一のベースプレートと第一のプレート間に固設され、他方の剪断部が第二のベースプレートと第二のプレート間に固設された弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図であり、(A)は、一方の剪断部の長手方向が第一のベースプレートの長手方向と異なるように設けるとともに、他方の剪断部の長手方向が第二のベースプレートや第二のプレートの長手方向と異なるように設けた横断面図であり、(B)は、略一致するように設けた横断面図である。【図41】第一のベースプレートと第二のベースプレートがベースプレートに固設され、第一のプレートと第二のプレートがプレートに固設された弾塑性履歴型ダンパを示す横断面図であり、(A)は、一方の剪断部の長手方向が第一のベースプレートの長手方向と異なるように設けるとともに、他方の剪断部の長手方向が第二のベースプレートや第二のプレートの長手方向と異なるように設けた横断面図であり、(B)は、略一致するように設けた横断面図である。【図42】弾塑性履歴型ダンパの設置例を示す図であり、(A)は、側面図であり、(B)は斜視図である。【発明を実施するための形態】【0016】以下、本発明に係る弾塑性履歴型ダンパについて図面を参照して説明する。なお、以下、弾塑性履歴型ダンパについて、以下の順に沿って説明する。【0017】1.橋梁の説明2.弾塑性履歴型ダンパの説明3.弾塑性履歴型ダンパの変形例1の説明(馬蹄状)4.弾塑性履歴型ダンパの変形例2の説明(U字状)5.弾塑性履歴型ダンパの変形例3の説明(鋭角V字状)6.弾塑性履歴型ダンパの変形例4の説明(鈍角V字状)7.弾塑性履歴型ダンパの変形例5の説明(剪断部先端の補強部の変形例)8.弾塑性履歴型ダンパの変形例6の説明(連結部の変形例)9.弾塑性履歴型ダンパの具体的な構成例の説明10.剪断部に貫通した孔部及び/又はスリットを設けた変形例の説明11.弾塑性履歴型ダンパの変形例7の説明(連結部の省略)12.弾塑性履歴型ダンパの設置例の説明【0018】[1.橋梁の説明]図1(A)及び(B)に示すように、一般に、橋桁等の上部構造物1は、橋脚や橋台といった下部構造物2上に設置された支承装置3に支承されている。図1に示すように、支承装置3には、一般に、固定支承装置3aと可動支承装置3bとがあり、固定支承装置3aは、一般に、上部構造物1の回転変形に対応して鉛直荷重を支持しつつ、水平・鉛直方向の変位を拘束して制限する。可動支承装置3bは、一般に、上部構造の回転変形と水平変位に対応している。ところで、新設橋梁では、橋脚等の下部構造物2の耐震性能が高められ、また、反力分散構造や免震構造の採用などが図られている。既設橋梁においても、下部構造物2の補強や支承取り替えや落橋防止システムの付加などの耐震補強工事が行われている。【0019】例えば、耐震補強工事では、例えば下部構造物2の水平反力を分散するため、固定支承装置3aを、積層ゴム支承や、支承板支承やローラ支承といった金属支承等の可動支承装置3bに交換する作業が行われる。しかし、固定支承装置3aを可動支承装置3bに交換したときには、上部構造物1の移動量が増大する等の問題が生じ、移動量を制限する必要がある。本発明に係る弾塑性履歴型ダンパ10は、例えば、可動支承装置3bとの組で、建築物や橋梁等において、上部構造物1と下部構造物2との間に設置され、下部構造物2に対する上部構造物1の移動量を制限するようにしている。【0020】例えば、上部構造物1となる桁は、一対の主桁1a,1aと横桁1bとを有している。そして、既設橋梁において、固定支承装置3aの下部工耐力が不足している際には、主桁1a,1aの下部フランジと下部構造物2である橋脚との間に、それまで上部構造物1の鉛直荷重を支持するために設置されていた固定支承装置3aに替えて可動支承装置3bが設置される。この際、下部構造物2には、可動支承装置3bと組で弾塑性履歴型ダンパ10が設置される。主として橋軸方向の所定レベル以上の水平力に対して弾塑性履歴型ダンパ10を設置するときには、弾塑性履歴型ダンパ10を上部構造物1の横桁1bに設けられるストッパ16,16で囲むように下部構造物2に設置される。これにより、弾塑性履歴型ダンパ10は、大きな減衰性能により所定レベル以上の水平力を低減する他、 高い剛性によりゴム支承や免震支承のみの弾性支持に比べ水平変位を小さく抑えることが出来る。 これにより、弾塑性履歴型ダンパ10は、下部構造物2を縮小出来、また、下部工耐震補強の縮小が可能となる。また、水平変位が小さくなることで桁遊間を小さくすることが可能となり、伸縮装置などの形状も小型化出来る。【0021】なお、詳細は後述するが、弾塑性履歴型ダンパ10は、必ずしも、可動支承装置3bとの組で用いる必要があるものではない。また、図1のような桁形式の橋梁だけでなく、アーチ橋、トラス橋などの特殊な構造を有する橋梁の端支点、ブレース材の端部や中間部等にも適用することが出来る。【0022】[2.弾塑性履歴型ダンパの説明]図2に示すように、本発明が適用された弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11を連結部12で連結して全体が一連となるように形成されている。このような弾塑性履歴型ダンパ10には、剪断部11,11に、一般構造用鋼材に比べ延性に富み、降伏点に対して上下限の規格値を有するため性能安定性に優れた構造用鋼材である低降伏点鋼を用いることが出来る。 また、弾塑性履歴型ダンパ1には、地震エネルギを塑性歪エネルギによって吸収させるものであるため、 地震時には確実に塑性化し、履歴挙動のバラツキが小さく、降伏点の許容範囲が狭い低降伏点鋼が好適である。【0023】低降伏点鋼で形成される剪断部11,11は、例えば矩形板状を成し、平面状を成している。そして、一端部は、平面板状の連結部12に溶接接合等で固定されている。なお、連結部12も、低降伏点鋼が用いることが可能である。また、剪断部11,11と連結部12とは、一連の低降伏点鋼板を曲げ加工で形成するようにしても良い。剪断部11,11の他端部は、剪断部11,11の端部を外側に広げるようにコーナ部を介して補強部13,13が曲げ加工によって形成されている。勿論、補強部13,1は、剪断部11,11に対して溶接接合でも良い。補強部13,13は、ここでは外側にほぼ90度折曲されているが、剪断部11,11に対して外側に広がっていれば、剪断部11,11と成す角が鋭角であっても鈍角であっても良い。このように、平面板状の連結部12と一体化された二つの剪断部1,11は、連結部12の側から補強部13,13側に向かって漸次広がり、略V字状を成し、ここでは、剪断部11,11の延長線の交点が鋭角となるように形成されている。なお、剪断部11及び連結部12に、低降伏点鋼を用いることに限定されるものではなく、一般構造用鋼材等を用いるようにしても良い。【0024】一体化された剪断部11,11と連結部12は、下部構造物2との取付部の基盤となるベースプレート14に溶接接合等で固設される。このベースプレート14は、一体化された剪断部11,11と連結部12より大きな鋼板であり、矩形状を成す。そして、略V字状を成す一体化された剪断部11,11と連結部12は、ベースプレート14の幅方向中心線と剪断部11,11間の中心線とがほぼ一致する位置に固定される。また、このベースプレート14は、下部構造物2に対してアンカーボルト等で固定される。【0025】更に、一体化された剪断部11,11と連結部12を挟んでベースプレート14の反対側にも、プレート15が設けられ、プレート15には、一体化された剪断部11,11と連結部12が溶接接合等で固定される。このプレート15は、上部構造物1側に位置するものであり、ベースプレート14と同様なものであっても、異なるものであっても良い。ここでは、ベースプレート14と同じものが用いられる。そして、プレート15には、一体化された剪断部11,11と連結部12が剪断部11,11間の中心線とプレート15の幅方向中心線とがほぼ一致する位置に固定される。このプレート15の短辺側端面、すなわち橋軸直角方向と平行な端面15a,15aは、上部構造物1のストッパと突き当たる部分となる。【0026】一方、上部構造物1側は、図1(B)及び図2に示すように、上部構造物1の横桁1bにストッパ1,16が設けられている。ストッパ16,16は、橋軸方向に離間して設けられ、これらストッパ1,16の間に、下部構造物2に固定された弾塑性履歴型ダンパ10が配設される。弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11間の中心線を橋軸方向にして、下部構造物2にアンカーボルト等で固定される。かくして、弾塑性履歴型ダンパ10は、主として橋軸方向の所定レベル以上の水平力の入力があったとき、上部構造物1のストッパ16,16とプレート15の橋軸直角方向と平行な端面15a,1aとが突き当たり、突き当たったときの衝撃を剪断部11, 11や連結部12が剪断塑性変形することにより減衰させる。【0027】具体的に、図3(A)に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、橋軸方向の入力があったとき、図(B)に示すように、連結部12のベースプレート14側の角近傍の剪断部11,11及び連結部1が塑性変形して振動を減衰させる。なお、連結部12のベースプレート14側の角近傍の剪断部11,及び連結部12の変形の程度は、橋軸方向の入力の場合、入力の大きさによって異なることになる。【0028】また、図4(A)に示すように、橋軸に対して斜めの方向から所定レベル以上の入力があったときには、図4(B)に示すように、入力のあった方向と近い剪断部11が大きく塑性変形し振動を減衰させる。なお、図4の例では、橋軸に対して10°傾いた方向から入力があった状態を示している。連結部のベースプレート14側の角近傍の剪断部11, 11及び連結部12の変形の程度は、入力の角度や入力の大きさによって異なることになる。【0029】以上のような弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11を有しているので、剪断部が一つの場合に比べ、より大きな振動を吸収することが出来る。また、剪断部11,11がV字状に開くように形成されているので、例えば、剪断部11,11間の中心線が橋軸方向となるように設置されたときにも、橋軸方向からの入力だけでなく、橋軸に対して斜めの方向からの振動も減衰させることが出来る。【0030】更に、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11を有し、剪断部11,11間の中心線(橋軸方向)に対して斜めの方向からの振動も減衰させることが出来、剪断部が一つの場合に比べ、入力の許容範囲及び許容角度が広く、入力に対して尤度があるので、 弾塑性履歴型ダンパ10を橋梁に取り付ける際に、例えば、剪断部11,11間の中心線が橋軸方向に対してずれ及び/又は傾いていても、振動を減衰させることが出来る。したがって、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部が一つの場合に比べ、据付誤差を吸収することが出来、施工性が良い。よって、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部が一つの場合に比べ、例えば、既設橋梁に後付けする場合や、斜角のついた桁や曲線桁や支点部に斜角の付いた桁等に用いる場合に有効である。【0031】更に、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11を有しているので、剪断部が一つの場合に比べ、剪断部11の高さを低くすることが出来る。更に、剪断部11の高さを低くすることが出来るので、基部に生じる曲げモーメントを少なくすることが出来、ベースプレート14、プレート15及びアンカーボルト等に対する負荷を低減することが出来る。したがって、弾塑性履歴型ダンパ10は、ベースプレート14及びプレート15の厚さを薄くすることが出来、アンカーボルトの径を小さくすることが出来る。更に、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11の高さを低くすることが出来、ベースプレート14及びプレート15の厚さを薄くすることが出来るので、 剪断部が一つの場合に比べ、全高を低くすることが出来る。これにより、弾塑性履歴型ダンパ10は、上部構造物1や下部構造物2等の狭い隙間にも配置することが出来、狭隘部での作業性が良く、施工性が良い。更に、下部構造物2に例えばブラケット等を配置する場合も、下部構造物2の付近に設けることが出来る。【0032】なお、以上の例では、主として橋軸方向の振動を減衰させる弾塑性履歴型ダンパ10の設置例を説明したが、 弾塑性履歴型ダンパ10は、橋軸直角方向の振動を減衰させるためにも使用することが出来る。この場合、 弾塑性履歴型ダンパ10は、 橋軸直角方向に上部構造物1に離間して設けられたストッパ1,16間に、剪断部11,11間の中心線が橋軸直角方向となるように設置される。これにより、弾塑性履歴型ダンパ10は、 橋軸直角方向の振動を減衰させることが出来る他に、 橋軸直角方向に対して斜めの方向の振動も減衰させることが出来る。更に、弾塑性履歴型ダンパ10の設置に際しては、想定される入力方向に対して高精度に弾塑性履歴型ダンパ10の剪断変形方向を合わせる設置角度に自由度を持たせることが出来る。【0033】更に、弾塑性履歴型ダンパ10としては、ベースプレート14やプレート15を省略しても良い。ベースプレート14を省略したときには、 下部構造物2に一体化された剪断部11, 11と連結部12を固定するようにすれば良い。また、プレート15を省略したときには、剪断部11,11の先端部や補強部13,13が直接ストッパ16,16に突き当たるようにすれば良い。このようにすることで、弾塑性履歴型ダンパ10の部品点数の削減を図ることが出来る。 勿論、ベースプレート14やプレート1を用いた方が、性能の安定性が向上する点で好ましい。【0034】[3.弾塑性履歴型ダンパの変形例1の説明(馬蹄状) ]図2-図4に示す例では、剪断部11,11と連結部12とがV字状を成す場合を説明したが、図5に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11と連結部12とが馬蹄状を成していても同様な効果を得ることが出来る。すなわち、図5の例では、剪断部11,11の間隔が連結部12側に比し、連結部12とは反対側の端部の間隔の方が短くなるように形成されている。この場合、二つの剪断部11,11は、平面板状であっても良いし、曲面板状を成していても良い。また、この例では、一枚の低降伏点鋼板を曲げ加工して、馬蹄状に形成するようにしても良い。曲げ加工の場合には、剪断部,11と連結部12とを溶接する必要がなくなり、生産効率の向上を図ることが出来る。また、連結部12は、ここでは、湾曲しているが、図2-図4のように平板状であっても良い。【0035】[4.弾塑性履歴型ダンパの変形例2の説明(U字状) ]図6(A)及び(B)に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11と連結部12とがU字状を成していても同様な効果を得ることが出来る。すなわち、図6(A)及び(B)の例では、二つの剪断部11,11の間隔が一定となっており、連結部12が湾曲して形成されている。特に、U字状の場合には、 剪断部11,11が二つ設けられているので、 より大きな振動吸収することができる。また、橋軸方向に対して斜めの入力に対しても、剪断部11,11と連結部12とで減衰させることが出来る。 勿論、連結部12は平板状であっても良い。 このような図6 (A)及び(B)の例にあっても、U字状の剪断部11,11と連結部12は、曲げ加工によって形成することが出来る。[5.弾塑性履歴型ダンパの変形例3の説明(鋭角V字状) ]【0036】図7(A)及び(B)に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、全体を略V字状に形成し、剪断部,11を連結する連結部12を鋭角としても同様な効果を得ることが出来る。すなわち、剪断部1,11は、連結部12から先端部に向かって漸次広がるように形成される。このような図7の例にあっても、剪断部11,11と連結部12は、曲げ加工によって形成することが出来る。特に、剪断部1, 11を略V字状としたときには、 橋軸に対して斜めの方向からの入力を効果的に減衰させることが出来る。なお、この例では、連結部12が鋭角を成していれば、剪断部11,11は、平面でなく曲面であっても良い。【0037】[6.弾塑性履歴型ダンパの変形例4の説明(鈍角V字状) ]図8(A)及び(B)に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、全体を略V字状に形成し、剪断部,11を連結する連結部12を鈍角としても同様な効果を得ることが出来る。すなわち、剪断部1,11は、連結部12から先端部に向かって漸次広がるように形成される。このような図8(A)及び(B) の例にあっても、剪断部11,11と連結部12は、 曲げ加工によって形成することが出来る。特に、剪断部11,11を略V字状としたときには、橋軸に対して斜めの方向からの入力を効果的に減衰させることが出来る。そして、連結部12の角度の設定によって、効果的に減衰出来る入力の方向を設定することが出来る。なお、この例では、連結部12が鈍角を成していれば、剪断部11,11は、平面でなく曲面であっても良い。【0038】[7.弾塑性履歴型ダンパの変形例5の説明(剪断部先端の補強部の変形例) ]ところで、図2-図4に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の先端部の補強部13,が略90度外側に開いた場合を説明したが、この補強部13,13は、図9(A)及び(B)に示すように、円筒状であっても良い。また、図10(A)及び(B)に示すように、補強部13,13は、剪断部11,11の先端部とほぼ直角に交差する補強片13aで形成し、十字状としても良い。この場合、 補強片17,17は、剪断部11,11の先端部の相対する面のそれぞれに溶接接合される。 勿論、前述の交差部は、必ずしも直角である必要はなく、剪断部が剪断変形する際に、剪断部の先端部が面外変形を来したり、座屈することを防止することが出来るように構成されていれば特に限定されるものではない。【0039】更に、図11(A)に示すように、補強部13,13は、剪断部11,11の先端部に、剪断部11,の厚さ方向の両側に張り出すように、補強部13,13を構成する平板状の補強板を溶接接合し、先端形状がT字状を成すようにしても良い。また、図11(B)に示すように、補強部13,13は、平板状の補強板を外側にのみ張り出すように溶接接合し、先端形状がL字状を成すようにしても良い。なお、図11(B)の補強部13,13は、剪断部11,11の先端部を折り曲げて形成するようにしても良い。更に、図11(C)に示すように、剪断部11,11の先端部よりやや基端側に、補強部1, 13を構成する補強板を外側に張り出すように溶接接合するようにしても良い。 更に、図11(D)に示すように、補強部13,13は、外側に張り出すように形成される際、剪断部11,11と成す角が、図11(A)-(D)の直角の場合と異なり、鋭角となるようにしても良い。勿論、この例の変形例として、補強部13,13と剪断部11,11とが成す角を鈍角とすることもできる。更に、図11(E)に示すように、補強部13,13と剪断部11,11とが成す角を円弧面で構成するようにしても良い。【0040】[8.弾塑性履歴型ダンパの変形例6の説明(連結部の変形例) ]図2-図4に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、 剪断部11,11を連結する連結部12が平板状に形成されているが、図12(A)及び(B)に示すように、連結部12を略直角に形成するようにしても良い。 すなわち、連結部12は、平板状に形成しても良いし、曲面で形成しても良いし、更に、 (A)図7及び(B)に示すように、鋭角を成すように形成しても良いし、図8(A)及び(B)に示すように、鈍角を成すように形成しても良い。【0041】更に、剪断部11,11を連結する連結部12にも、補強部17を形成するようにしても良い。図1(A) (B)及び に示す例では、連結部12の外側に補強部17となる補強片17aを形成している。この場合、補強片17aは、剪断部11,11間の中心線の延長線上となるように形成すると良い。この補強片17aは、例えば、剪断部11,11で構成される連結部12に対して溶接接合等で固定される。この例において、剪断部11,11を連結する連結部12は、鋭角、直角、鈍角の何れであっても良い。また、図14(A)及び(B)に示すように、補強部17は、連結部12の内側に、二つの剪断部11,11の基端部に架け渡すように形成しても良い。すなわち、補強片17bは、二つの剪断部1,11の連結部12側に補強片17bを架け渡すように溶接接合される。【0042】更に、図15(A)及び(B)に示すように、連結部12は、剪断部11,11の互いの基端部を離間させて、連結片12aで連結するようにしても良い。この場合、連結片12aは、各端部が各剪断部,11の内側の面に溶接接合される。更に、連結部12は、図16(A)及び(B)に示すように、円筒体12bで構成し、円筒体12bの外周面に、剪断部11,11の基端部を溶接接合するようにしても良い。更に、連結部12は、図17(A)及び(B)に示すように、一方の剪断部11の基端部と他方の剪断部11の基端部とが交差するように十字状に形成するようにしても良い。 この場合、例えば、一方の剪断部11aの基端部に、他方の剪断部11bの基端部を溶接接合する。この際、一方の剪断部aの端面よりやや内側に他方の剪断部11bの基端部を溶接接合し、 ここを連結部12とする。そして、一方の剪断部11aの先端に形成され補強片12cと同じ長さの補強片12dを、 一方の剪断部aに溶接接合して他方の剪断部11の延長線上に形成する。更に、図18(A)及び(B)に示すように、連結部12は、連結部12を平板状に形成し、また、互いの剪断部11,11が平行になるようにして、連結部12が矩形状を成すようにしても良い。すなわち、この場合、一体化された剪断部1,11と連結部12は、矩形状を成すことになる。更に、図19(A)及び(B)に示すように、剪断部11,11は、基端部を平板状の連結部12に離間させて、外側に開くように溶接接合しても良い。この場合、連結部12に形成された剪断部11,11の基端部より外側が補強部17,17として機能する。【0043】[9.弾塑性履歴型ダンパの具体的な構成例の説明]図20(A)及び(B)の例は、図5に示した馬蹄型の弾塑性履歴型ダンパ10の剪断部11,11の先端部に、先端よりやや基端側に、外側に張り出すように平板状の補強板を形成し、補強部13,1としても良い(図11(B)参照)。図21(A)及び(B)の例は、平板状の連結部12に、剪断部11,11を略平行に形成し、剪断部11,11の基端部から先端部に亘って間隔を一定にしても良い。この際、剪断部11,11の先端部には、外側に張り出す補強部13,13を溶接接合によって形成しても良い。勿論、補強部13,13は、溶接ではなく、剪断部11,11の先端部を折り曲げて形成しても良い。また、連結部12は、剪断部11,11の基端部より外側にはみ出した部分が補強部1,17となる。なお、補強部13,13と剪断部11,11とが成す角は、直角だけでなく、鋭角でも鈍角でも良い。図22(A)及び(B)の例は、全体を略V字状に形成し、剪断部11,11を連結する連結部12を鋭角とし、剪断部11,11の先端部に、外側に張り出すように補強部13,13を形成している。ここでの補強部13,13は、溶接接合でも良いが、曲げ加工によって形成されている。【0044】図23(A)及び(B)の例は、剪断部11,11が連結される連結部12を曲面で形成し、剪断部,11が成す連結部12の角を鈍角にしている。更に、剪断部11,11の先端部の補強部13,は、外側に、剪断部11,11に対して一連の弧状の曲面を成すように形成されている。更に、図(A)及び(B)の例に示すように、本発明の弾塑性履歴型ダンパは、連結部12を円筒状に形成し(図16参照)、剪断部11,11が成す角が鈍角となるようにし、更に、剪断部11,11の先端部に円筒状の補強部13,13を形成するようにしても良い(図9参照) 。【0045】[10.剪断部に貫通した孔及び/又はスリットを設けた変形例の説明]ここでは、剪断部11,11に貫通した孔部を設けた変形例を、図2-図4で示した弾塑性履歴型ダンパ10を例に説明する。一つ又は複数の孔部を設けたときには、低降伏点鋼を用いなくても、通常の鋼材で同様な低降伏点を実現することが出来る。勿論、低降伏点鋼に前記孔部を形成して、降伏点や座屈点を調整するようにしても良い。【0046】図25(A)及び(B)の例では、二つの剪断部11,11に、剪断部11,11とベースプレートとの接合部及び/又は剪断部11とプレート15との接合部となる側縁部を切り欠いた孔部21が断続して複数形成されている。剪断部11,11は、ベースプレート14との接合部及び/又はプレート15との接合部に形成されることで、ベースプレート14との接合部及び/又はプレート15との溶接部分を減らすことが出来る。また、剪断部11,11は、複数の孔部21が形成されることによって、例えば剪断部11,11に低降伏点鋼を用いなくても、通常の鋼材で低降伏点鋼のような剪断変形をさせることが出来る。なお、孔部21の形状は、凹字型、半円型等どの様な形状であっても良い。また、孔部21の数や大きさは、用途に応じて適宜決定すればよい。また、孔部21は、剪断部11,の連結部12及び/又は補強部13との境界の部分に形成するようにしても良い。【0047】図26(A)及び(B)は、図25の変形例であり、剪断部11,11とベースプレート14との接合部及び/又は剪断部11とプレート15との接合部となる側縁部に、スリット状の孔部22を形成するようにしている。また、剪断部11,11は、連結部12及び補強部13との境界の部分にもスリット状の孔部22を形成することも出来る。 このような図26の例によっても、ベースプレート14との接合部及び/又はプレート15との溶接部分を減らすことが出来、また、剪断部11,11に低降伏点鋼を用いなくても、通常の鋼材で低降伏点鋼のような剪断変形をさせることが出来る。なお、孔部2を設ける位置は、これら四カ所の内少なくとも一カ所に設けるようにすれば、 特に限定されるものではない。例えば、スリット状の孔部22は、縦二本でも良いし、横二本でも良い。また、各スリット状の孔部22は、長手方向の両側が円弧状を成していても良い。【0048】図27(A)及び(B)も、図25及び図26の変形例であり、剪断部11,11とベースプレートとの接合部及び/又は剪断部11とプレート15との接合部の一部となるコーナ部に、スリット状の孔部23を形成するようにしている。このような図27の例によっても、 ベースプレート14との接合部及び/又はプレート15との溶接部分を減らすことが出来、また、剪断部11,11に低降伏点鋼を用いなくても、通常の鋼材で低降伏点鋼のような剪断変形をさせることが出来る。なお、孔部23を設ける位置は、これら四カ所のうち少なくとも一カ所に設けるようにすれば、 特に限定されるものではない。例えば、上二個でも良いし、下二個であっても良いし、前面側二個でも良いし、背面側二個でも良い。また、孔部23の形状は、扇状に限定されるものではなく、例えば矩形状であっても良い。【0049】図28(A)及び(B)は、剪断部11,11の略中央部に、貫通した孔部24を形成することも出来る。このような図28の例によっても、剪断部11,11に低降伏点鋼を用いなくても、通常の鋼材で低降伏点鋼のような剪断変形をさせることが出来る。なお、孔部24の形状としては、円形の他、三角形、四角形、五角形等の多角形であっても良いし、十字状、×字状のスリットであっても良い。【0050】図29(A)及び(B)は、剪断部11,11の全体に、貫通した孔部25を形成する。このような図29の例によっても、剪断部11,11に低降伏点鋼を用いなくても、通常の鋼材で低降伏点鋼のような剪断変形をさせることが出来る。特に、剪断部11,11の全体に複数の孔部25を形成したときには、剪断変形に伴う座屈屈曲によるクロスクラックの発生を防止することが出来る。なお、孔部25のそれぞれの形状としては、円形の他、三角形、四角形、五角形等の多角形であっても良いし、十字状、X字状等のスリットであっても良いし、これらの組み合わせであっても良い。【0051】更に、図25や図26に示すように、剪断部11とベースプレート14との接合部及び/又は剪断部とプレート15との接合部となる側縁部に、孔部21,22を設けた上で、更に、図28のような孔部24を中央部に設けても良いし、図29に示すように、剪断部11,11の全体に亘って複数の孔部25を設けるようにしても良い。【0052】[11.弾塑性履歴型ダンパの変形例7の説明(連結部の省略) ]図2-図29に示した弾塑性履歴型ダンパ10は、 二つの剪断部11,11を連結部12で連結して全体が一連となるように形成されているが、図30~図39に示すように、連結部12を省略して、剪断部11,11の基端部を離間させるようにしても良い。【0053】具体的に、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が二つ設けられており、二つの剪断部11,11の間隔が基端部側から先端部側に向かって鋭角状に漸次広がるように形成されている。すなわち、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられている。更に、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の先端部及び基端部に、剪断部11,11の厚さ方向の両側に張り出すように、補強部13,13を構成する平板状の補強板が溶接接合されて、剪断部11,11の両端形状がT字状を成すように形成されている。更に、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11, 11が相対するベースプレート14とプレート間に固設されている。【0054】以上のような図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10であっても、 剪断部11,11が二つ設けられているので、より大きな振動を吸収することができる。また、図30に示す弾塑性履歴型ダンパ10では、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられているので、 橋軸方向に対して斜めの入力に対しても、剪断部11,11で減衰させることが出来る。【0055】なお、図31に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11の間隔が基端部側から先端部側に向かって鈍角状に漸次広がるように形成しても良い。更に、図32に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が略直交してT字状を成すように形成しても良い。【0056】更に、図33に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられることに限定されるものではなく、二つの剪断部11, 11の基端部から先端部に亘って平行で間隔が一定となるように形成しても良い。【0057】また、図34に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が二つ設けられており、二つの剪断部11,11の間隔が基端部側に比して先端部側の方が狭くなるとともに、 先端部側が内側に湾曲して、剪断部11,11が馬蹄状を成すように形成されている。すなわち、図34に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられている。更に、図34に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の先端部及び基端部に、剪断部11,11の厚さ方向の両側に張り出すように、補強部13,13を構成する平板状の補強板が溶接接合されて、剪断部11,11の両端形状がT字状を成すように形成されている。更に、図34に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が相対するベースプレート14とプレート15間に固設されている。【0058】以上のような図34に示す弾塑性履歴型ダンパ10であっても、 剪断部11,11が二つ設けられているので、より大きな振動を吸収することができる。また、図34に示す弾塑性履歴型ダンパ10では、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられているので、 橋軸方向に対して斜めの入力に対しても、剪断部11,11で減衰させることが出来る。【0059】なお、図35に示すように、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11の基端部側の平行で間隔が一定となっているとともに、先端部側が内側に湾曲して、剪断部11,11がU字状を成すように形成しても良い。【0060】また、図36に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が二つ設けられており、二つの剪断部11,11の間隔が基端部側から先端部側に向かって鋭角状又は鈍角状に漸次広がるように形成されている。すなわち、図36に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられている。更に、図36に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の先端部に、外側にのみ張り出すように、補強部13b,13bを構成する平板状の補強板が溶接接合されて、剪断部11,11の先端形状がL字状を成すように形成されている。更に、図36に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の基端部に、内側にのみ張り出すように、補強部13c,13cを構成する平板状の補強板が溶接接合されて、剪断部11, 11の基端形状がL字状を成すように形成されている。更に、図36に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が相対するベースプレートとプレート15間に固設されている。【0061】以上のような図36に示す弾塑性履歴型ダンパ10であっても、 剪断部11,11が二つ設けられているので、より大きな振動を吸収することができる。また、図36に示す弾塑性履歴型ダンパ10では、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられているので、 橋軸方向に対して斜めの入力に対しても、剪断部11,11で減衰させることが出来る。【0062】なお、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられることに限定されるものではなく、図37に示すように、二つの剪断部11,11の基端部から先端部に亘って平行で間隔が一定となるように形成しても良い。【0063】また、図38に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が二つ設けられており、二つの剪断部11,11の間隔が基端部側から先端部側に向かって鋭角状又は鈍角状に漸次広がるように形成されている。すなわち、図38に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられている。更に、図38に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の先端部及び基端部に、外側にのみ張り出すように、補強部13,13を構成する平板状の補強板が溶接接合されて、剪断部11,11がコ字状を成すように形成されている。更に、図38に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が相対するベースプレート14とプレート15間に固設されている。【0064】以上のような図38に示す弾塑性履歴型ダンパ10であっても、 剪断部11,11が二つ設けられているので、より大きな振動を吸収することができる。 また、図38に示す弾塑性履歴型ダンパ10では、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられているので、 橋軸方向に対して斜めの入力に対しても、剪断部11,11で減衰させることが出来る。【0065】なお、弾塑性履歴型ダンパ10は、二つの剪断部11,11が向きを異ならせて設けられることに限定されるものではなく、図39に示すように、二つの剪断部11,11の基端部から先端部に亘って平行で間隔が一定となるように形成しても良い。【0066】なお、図30~図39に示した弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11が同一のベースプレート14とプレート15間に固設されることに限定されるものではなく、例えば、図40(A)及び図4(B)に示すように、一方の剪断部11が相対する第一のベースプレート14bと第一のプレート1b間に固設され、他方の剪断部11が相対する第二のベースプレート14cと第二のプレート15c間に固設されるようにしても良い。【0067】この際、図40(A)に示すように、一方の剪断部11の長手方向が第一のベースプレート14bや
第一のプレート15bの長手方向と異なるように設けるとともに、他方の剪断部11の長手方向が第
二のベースプレート14cや第二のプレート15cの長手方向と異なるように設けるようにしても良く、図40(B)に示すように、略一致するように設けるようにしても良い。【0068】更に、図41(A)及び図41(B)に示すように、図40(A)及び図40(B)に示した弾塑性履歴型ダンパ10は、更に、第一のベースプレート14bと第二のベースプレート14cがベースプレート14に固設され、第一のプレート15bと第二のプレート15cがプレート15に固設されるようにしても良い。【0069】更に、図30~図41に示す弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11,11の先端部及び基端部がT字状やL字状を成すように形成されることに限定されるものではなく、例えば、図9(A)及び図9(B)、図10(A)及び図10(B)、図11(A)~図11(E)に示すように、他の形状及び形成方法で形成するようにしても良い。【0070】[12.弾塑性履歴型ダンパの設置例の説明]弾塑性履歴型ダンパ10は、図1及び図2に示した桁橋の他に、ビル鉄骨、橋梁、鉄道橋等にも用いることが出来る。例えば、図42(A)及び(B)に示すように、構造物のフレーム横梁や橋梁の横支材等51と、ブレース材53の一端が取り付けられ、 鉄骨構造の節点に集まる部材相互の接合に用いるガセットプレート52との間 (ダンパー配置箇所)に弾塑性履歴型ダンパ10を取り付けることが出来る。この場合、弾塑性履歴型ダンパ10は、剪断部11, 11の間の方向からの水平力を、剪断部11,が剪断塑性変形することにより減衰させることが出来る。【符号の説明】【0071】上部構造物、1a 主桁、1b 横桁、2 下部構造物、3 支承装置、3a 固定支承装置、3b 可動支承装置、4 下部フランジ4、10 弾塑性履歴型ダンパ、11(11a,11b) 剪断部、12 連結部、12a 連結片、12b 円筒体、12c 補強片、12d 補強片、13 補強部、13a 補強片、13b 補強部、13c 補強部、14 ベースプレート、15 プレート、1a 端面、16 ストッパ、17 補強部、17a 補強片、17b 補強片、21-25 孔部、構造物のフレーム横梁や橋梁の横支材等、52 ガセットプレート、53 ブレース材【図1】【図2】【図3】 【図4】【図5】 【図6】【図7】 【図8】【図9】 【図10】【図11】【図12】 【図13】【図14】 【図15】【図16】 【図17】【図18】 【図19】【図20】 【図21】【図22】 【図23】【図24】【図25】【図26】【図27】【図28】【図29】【図30】 【図31】【図32】 【図33】【図34】 【図35】【図36】 【図37】【図38】 【図39】【図40】 【図41】【図42】
| 特許裁判例 実用新案裁判例 |
| 意匠裁判例 商標裁判例 |
| 不正競争裁判例 著作権裁判例 |
| 特許判例 実用新案判例 |
| 意匠判例 商標判例 |
| 不正競争判例 著作権判例 |
10月26日(月) - オンライン
10月26日(月) - オンライン
商標的使用論・商標機能論・商標法26条・権利濫用論等の違いからみた『商標権侵害と対応策』 ~どのように攻め、どのように守るか~
10月26日(月) - オンライン
10月27日(火) - 東京 千代田
10月27日(火) - 千葉 千葉市
10月27日(火) - 東京 港区
10月28日(水) - オンライン
英文契約の実務(基礎から読解・作成のポイントまで)―日本語契約との違いや起こりやすいトラブル、悩ましい英文も解説します―
10月28日(水) - オンライン
最新の制度改正を反映 海外の特許制度と実務上の留意点(米国・欧州(EPC)・中国) ~米国ならびに EPC (欧州特許条約)・中国の各制度の下でのグローバル特許取得の基本的な知識と留意点を解説します~
10月28日(水) - 東京 千代田
10月28日(水) - オンライン
10月28日(水) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月30日(金) - オンライン
10月26日(月) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
11月4日(水) - オンライン
11月4日(水) - オンライン
11月5日(木) - 大阪 大阪市西区
11月5日(木) - オンライン
11月5日(木) - 大阪 大阪市
11月5日(木) - 大阪 大阪市
11月5日(木) - 愛知 名古屋市
11月5日(木) - オンライン
11月5日(木) - オンライン
11月6日(金) - 東京 港区
11月6日(金) - オンライン
11月6日(金) - オンライン
11月6日(金) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
〒543-0014 大阪市天王寺区玉造元町2番32-1301 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング
東京都新宿区西新宿8-1-9 シンコービル 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング
〒170-0013 東京都豊島区東池袋3丁目9-10 池袋FNビル4階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング