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令和6(ワ)13384損害賠償請求事件

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裁判所 一部認容 大阪地方裁判所
裁判年月日 令和7年10月30日
事件種別 民事
当事者 原告エルメスアンテルナショナル
被告FCT株式会社
法令 商標権
民法709条1回
商標法38条2項1回
キーワード 商標権18回
侵害9回
損害賠償2回
実施1回
主文 1 被告は、原告に対し、68万0064円及び内37万0104円に対する令和
7年2月9日から、
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、これを4分し、その3を原告の負担とし、その余を被告の負担と
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
5 この判決に対する原告による控訴のための付加期間を30日と定める。
事件の概要 1 本判決で用いる呼称 (1) 原告商品1:別紙原告商品目録1記載のバッグ「バーキン」 (2) 原告商標(権)1:原告商品1についての商標(権) (3) 原告標章1:原告商標権1に係る標章 (4) 原告商品2:別紙原告商品目録2記載のサンダル「オラン」 (5) 原告商標(権)2:原告商品2のアッパー部分に用いられる欧文字「H」を 模した図柄についての商標(権) (6) 原告標章2:原告商標権2に係る標章 (7) 被告サイト:被告がECサイト「楽天市場」に開設した店舗「Xnode」 (8) 被告商品1:別紙被告商品目録1記載のバッグ (9) 被告商品2:別紙被告商品目録2記載のサンダル (10) 不競法:不正競争防止法 2 原告の請求(訴訟物) 被告による被告商品1、2の販売が、原告商標権1、2をそれぞれ侵害し、ま た被告商品1につき不競法2条1項1号及び2号、

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判決文

令和7年10月30日判決言渡 同日原本受領 裁判所書記官

令和6年(ワ)第13384号 損害賠償請求事件

口頭弁論終結の日 令和7年8月29日

判 決

原告 エルメス アンテルナショナル

代表者代表取締役

訴訟代理人弁護士 高松薫

同 石田晃士

同 岩田貴鈴

被告 FCT株式会社

代表者代表取締役

主 文

1 被告は、原告に対し、68万0064円及び内37万0104円に対する令和

7年2月9日から、内30万9960円に対する同年6月22日から各支払済み

まで年3パーセントの割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

3 訴訟費用は、これを4分し、その3を原告の負担とし、その余を被告の負担と

する。

4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

5 この判決に対する原告による控訴のための付加期間を30日と定める。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

被告は、原告に対し、301万8240円及び内270万8280円に対する令和7年2月9日から支払済みまで年3パーセントの、内30万9960円に対する同年6月22日から支払済みまで年3パーセントの各割合による金員を支払え。

5 第2 事案の概要1 本判決で用いる呼称

(1) 原告商品1:別紙原告商品目録1記載のバッグ「バーキン」

(2) 原告商標(権)1:原告商品1についての商標(権)

(3) 原告標章1:原告商標権1に係る標章

(4) 原告商品2:別紙原告商品目録2記載のサンダル「オラン」

(5) 原告商標(権)2:原告商品2のアッパー部分に用いられる欧文字「H」を模した図柄についての商標(権)

(6) 原告標章2:原告商標権2に係る標章

(7) 被告サイト:被告がECサイト「楽天市場」に開設した店舗「Xnode」

(8) 被告商品1:別紙被告商品目録1記載のバッグ

(9) 被告商品2:別紙被告商品目録2記載のサンダル

(10) 不競法:不正競争防止法2 原告の請求(訴訟物)被告による被告商品1、2の販売が、原告商標権1、2をそれぞれ侵害し、また被告商品1につき不競法2条1項1号及び2号、被告商品2につき不競法2条1項1号の不正競争に当たるとする、民法709条及び不競法4条に基づく損害賠償請求及びこれに対する各行為の後日から支払済みまでの民法所定の割合による遅延損害金の支払請求

第3 当事者の主張

1 請求原因

(1) 当事者等

ア 原告は、バッグ、高級婦人服、アクセサリー等の製造、販売を業とするフランス国の法人である。原告は、1837年ティエリ・エルメスによりフランスにて創業され、バッグ、高級婦人服、アクセサリー等で知られる高級ブランドである。

5 イ 被告は、衣料品、食料品、健康食品、化粧品、貴金属、アクセサリー等の

輸出入及び販売等を業とする日本の法人である。ウ 被告は、被告サイトにおいて、商品を展示販売していた。

(2) 原告標章1の形状

原告標章1は、以下の特徴を有するかばんの形態である。ア 本体正面及び背面が底辺のやや長い台形状、本体各側面が縦長の二等辺三角形状である。イ 略凸状となるように両サイドに切り込みを有し、横方向に略3等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みが2箇所設けられた蓋部が本体背面の上端部と縫合されている。ウ 本体背面上部に端部を縫合され、本体各側面に形成されたタックの山部を貫通し、本体正面の上部まで延在する左右一対のベルトが設けられている。エ 前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる先端にリング状を形成した固定具が設けられ、さらに、前記鍵穴状の切込みの外側の位置において、前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられている。オ 本体正面上部及び背面上部に、円弧状をなす一対のハンドルが縫合され、前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられる。

(3) 原告標章1の商品表示性及び周知著名性

ア 原告の扱う商品は、戦前から我が国においても知られていたが、原告が昭和39年に西武百貨店と提携し、渋谷、池袋を始め、名古屋、大阪、札幌等全国に合計15店舗の専門店を出店してからは、その高い品質及びファッション性がより広い顧客層に知られるようになった。特に昭和58年に原告の日本子会社が設立されてからは、同社による積極的な販売活動がされ、原告の扱う商品は不動の名声を獲得するに至った。現

5 在では、原告の直営店(化粧品の路面店を含む)は全国に計29店舗を有す

る(甲32)。イ 原告商品1は、1984(昭和59)年に発表され、フランスの著名な女優であるジェーン・バーキンが愛用したことで「バーキン」の名称で世界的に広く知られた。原告は、これまで多数の雑誌広告等を通じて原告商品1の販売促進を図っており、昭和60年から平成8年までに費やした広告宣伝費は、●●●●●万円に及ぶ。原告商品1を含む原告の扱う商品は、現在我が国で極めて高い人気を誇り、原告の扱う商品のみを特集した女性誌すら存在するほどであり、特に、原告商品1は、原告の扱う商品を代表する商品であって、その形態が広く需要者である女性に認識されている。ウ これにより、原告標章1は、遅くとも平成21年にはそれ自体が原告の商品表示として周知性、著名性を獲得し、平成23年9月には、原告の出所標識として独立して自他商品識別力を獲得しているとして原告商標権1が認められている。

(4) 原告標章2の構成

原告標章2は、原告のブランド「HERMES」の頭文字「H」をデザイン化したものであり、欧文字の「H」の形を模した標章である。H標章は、その構成から「エイチ」の称呼が生じるとともに、欧文字の「H」の観念が生じる。

(5) 原告標章2の商品表示性及び周知著名性

ア 次の事情から、原告による長年の販売活動及び広告宣伝活動等によって、原告商品2のアッパー部分に付された原告標章2自体が周知性を獲得している。イ 原告の代表的なサンダルの1つである原告商品2は、アルジェリアの地中海に近い街「オラン」にインスパイアされて生まれた商品として、平成9年

5 に発表された。原告商品2は、原告のブランド「HERMES(エルメス)」

の頭文字である欧文字の「H」をかたどったアッパーのデザイン(原告標章2)が、普遍的で履きやすいデザインであるとしてすぐに人気を博し、平成9年の販売開始以降、「オラン」の名称で世界的に広く知られることとなった。また、ヒールのない原告商品2に対し、2006(平成18)年からはアッパー部分に用いられる原告標章2はそのままに、低めのヒールを設けた「オアジス」の名称のサンダルも販売されている。このように、原告標章2は、原告商品2や「「 オアジス」のアッパー部分に付されるマークとして25年以上にわたって使用されてきたものである。ウ 原告標章2が使用されているサンダルの販売数量及び売上高原告商品2及び「オアジス」の日本国内における販売数量は年々増加し、令和4年には●●●●●●個、令和5年には●●●●●●個と●●個を超える販売数量となっており、売上高は過去6年間「(平成30年から令和5年まで)において約●●●●●●●万円に及ぶ。エ 原告標章2が使用されている商品の雑誌等における使用原告商品2は、主な需要者である女性を購読者層とする女性誌において頻繁に特集され、原告の商品であることが強く印象付けられる記載がされたうえで、カラー写真で紹介されている。また、インターネット記事にて、原告を代表する標章である等の趣旨の記載もある。このような雑誌や記事は、原告商品2をはじめとする原告の商品(履物)のアッパー部分に付されるマークとして長年にわたって使用され、当該標章を広く認識させる強力な広告宣伝の役割を果たしているだけでなく、実際に原告標章2が広く需要者である女性に認識されている結果を示すものということができる。オ 識別力に関するアンケート結果原告は、令和6年4月、原告標章について、主な需要者層と考えられる3

5 0代から50代の男性及び女性を対象に出所識別度に関するアンケート調

査を実施した。これは、原告の名称やブランドを示す表示を一切認識することができない状況で、対象者が原告商品2の写真を示されたうえで、ブランド名を自由回答すると共に、10個の選択肢(原告の「エルメス」ブランドを含む10ブランド)の中から選ぶというものである。この結果、純粋想起の正答率は48パーセント、助成想起の正答率は23.2パーセントであり、合計すると、実に対象者の60パーセントが、原告標章2を付したサンダルが原告のブランドであると識別できていた。

(6) 被告の行為

被告は、原告に無断で、少なくとも令和4年11月から令和5年1月までの間、被告サイトにおいて被告商品1及び同2を展示販売していた。

(7) 原告標章1と被告商品1の形状の類似性及び誤認混同のおそれ

被告商品1の形態は、以下の点において原告標章1と同一であって、被告商品1の形態は、原告標章1の有する特徴をすべて有し、同一といえるほど酷似している。したがって、需要者が被告商品1に接したときに、原告の商品を想起することが通常であることから、需要者が原告商品1と誤認混同するおそれが強いことは明らかであり、少なくとも、原告と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信されるおそれがある。したがって、被告商品1の販売は、原告商標権1を侵害し、かつ不競法2条1項1号、2号の不正競争に当たる。ア 本体正面および背面が底辺のやや長い台形状、本体各側面が縦長の二等辺三角形状である。イ 略凸状となるように両サイドに切り込みを有し、横方向に略3等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みが二箇所設けられた蓋部が本体背面の上端部と縫合されている。ウ 本体背面上部に端部を縫合され、本体各側面に形成されたタックの山部を

5 貫通し、本体正面の上部まで延在する左右一対のベルトが設けられている。

エ 前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる先端にリング状を形成した固定具が設けられ、さらに、前記鍵穴状の切込みの外側の位置において、前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられている。オ 本体正面上部及び背面上部に、円弧状をなす一対のハンドルが縫合され、前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられている。

(8) 原告標章2と被告商品2の形状の類似性及び誤認混同のおそれ

原告標章2と被告商品2に付された標章を比較すると、被告商品2に付された標章は、「H」の形を模した標章が付されており、外観において両者は類似するといえるうえ、その称呼は共通し、観念は同一又は近似するものである。したがって、原告標章2と被告商品2に付された標章は時と場所を異にして観察すれば、互いに誤認混同を生じるおそれがあるといえるものであり、両者は類似する。したがって、被告商品2の販売は、原告商標権2を侵害し、かつ不競法2条1項1号の不正競争に当たる。

(9) 被告の故意又は過失

原告商標権1、2の存在や原告標章1、2の周知性からして、被告は権利侵害につき故意又は少なくとも過失があった。

(10) 原告の損害

ア 推定される損害被告は、被告商品1「(販売格11万3800円)及び被告商品2「(同3880円)を少なくとも各30個販売し、各販売格1の60パーセントは被告商品1及び被告商品2の販売により得た利益であると考えられる。このため、被告が被告商品1及び被告商品2の販売により得た利益は、以下のとおり、

5 少なくとも合計31万8240円を下らない。

したがって、商標法第38条2項及び不正競争防止法第5条2項により、上述した31万8240円が被告の行為により原告が受けた損害となる。イ 信用毀損による無形侵害(150万円)原告は、200年近くの歴史を持つフランスの高級ブランドであり、原告商品に対しては、その最高の品質により顧客から絶大な信頼が寄せられており、古くから多くの著名人に愛されてきた。特に原告商品1は、原告商品を代表する高級バッグであり、それらを持つことは多くの女性にとって一つのステータスとなっている。原告は、その高級ブランドとしての格値、名声を維持すべく、フランスで専門の職人が製造した商品のみをその日本子会社であるエルメスジャポンが輸入し、これを直営店及び一部の特約店においてのみ販売する手法により商品の品質保護に努めているほか、直営店及び特約店には原告の販売方針について教育を受けた販売スタッフを配置している。さらに、原告は、このようなブランドイメージの維持のため多年にわたり多大な広告宣伝費用を費やしている。他方、被告商品は、いずれも原告の商品に使用されることのない安格な合成皮革等を素材とし、遥かに廉格で販売されている(甲1及び甲2)。このように、バーキンの形状に酷似し、別紙原告商標権目録記載の商標に類似する標章を付した質の低い被告商品が廉格で販売されることにより、原告の高級ブランドとしてのイメージ及び原告商品に対する顧客の信用が著しく毀損された。被告商品の販売は、インターネットを通じて行われていたのであって、被告による被告商品の販売行為は、日本全国の需要者に認識されると共に、被告商品の購入者も多数に及んでいる。被告商品の販売によって、原告の商品や営業に対する信用が低下させられた被害は甚大であり、これによる無形損害は少なくとも金150万円をくだ

5 らない。

ウ 弁護士費用(120万円)原告は、本件紛争解決のため、代理人弁護士に対して訴訟委任を行い、その報酬として金120万円の支払を約した。エ まとめよって、原告は、被告に対し、301万8240円及び内270万8280円に対する令和7年2月9日から支払済みまで、内30万9960円(アの一部)に対する同年6月22日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める。2

(被告の主張)

(1) 被告は、被告商品1及び被告商品2を販売するにあたって、これらを販売

していた「楽天市場」の販売ランキング上位の商品と同じ物を選別し、販売することについて問題がないものと認識した上で販売していた。そのため、商標権侵害や不正競争行為は存在しない。

(2) 原告標章1と被告商品1及び原告標章2と被告商品2は、外観、用途、表

記のいずれも一致していない。

(3) 被告は、令和4年10月1日から同年11月29日までの間、被告商品1

及び被告商品2を販売していたが、同日時点で被告サイトを閉鎖し、以後、現在に至るまで休業している。

第4 当裁判所の判断

1 商標権侵害行為及び不正競争の有無について

(1) 被告商品1について証拠(甲1、3ないし31。枝番含む。以下同じ)及び弁論の全趣旨によれば、原告標章1が、原告が製造販売するハンドバッグの商品表示として用いられ、かつ、相応の期間にわたり多数の販売が継続されるとともに、各種メディアに取り上げられて著名なものとなっていること、被告が、少なくとも令和4

5 年10月1日から同年11月29日までの間、自社製品として被告商品1を販売していたことが認められる。また、別紙「原告商品目録1」及び別紙「被告商品目録1」のとおり、被告商品1は、縫製方法や金具のデザイン等でわずかな相違点があったとしても、全体として観察すれば、原告標章と外観において類似していることが明らかである。よって、被告が被告商品1を製造・販売した行為は、他人の著名な商品等表示と類似した商品を譲渡等していたものであり、不競法2条1項2号に定める不正競争行為に該当する。また、原告商標権1は、原告商品目録1の写真1ないし3を登録商標とするものであるから、被告の同行為は、原告商標権1を侵害する行為であると認められる。なお、被告が、被告サイトにおいて被告商品1を販売した際、同様の商品を販売していた者がほかにいたり、被告サイトでの出品審査時に問題点を指摘されなかったりしたことが仮にあったとしても、前記判断に影響を及ぼさない。

(2) 被告商品2について原告は、原告商標権2を有しているところ(甲33)、別紙「被告商品目録2」のとおり、被告商品2のサンダルには、同商標権に係る標章と形状において類似した、「H」字型のデザインのアッパー部材が用いられている。また、証拠(甲2)によれば、被告が、少なくとも令和4年10月1日から同年11月29日までの間、自社製品として被告商品2を販売していたことが認められる。よって、被告が被告商品2を製造・販売した行為は、原告商標権2を侵害する行為であると認められる。また、証拠(甲34ないし48)及び弁論の全趣旨によると、原告標章2の付された原告商品2が相応の期間にわたり多数販売されるとともに、各種メディアに取り上げられることにより、原告のブランド自体の著名性と相まって、

5 原告標章2は商品等表示として周知性を獲得したものと認められる。そして、これに類似すると認められる標章が付された被告商品2は、需要者において原告商品2と誤認混同するおそれがあると認められ、これを販売する行為は、不競法2条1項1号の不正競争にも当たる。

2 原告の損害について(1) 利益相当損害金(31万8240円)被告は、少なくとも令和4年10月1日から同年11月29日までの間に、被告サイトにおいて、被告商品1及び同2を継続的に販売していた。このような販売形態や販売期間に加え、被告に被告商品1及び同2の仕入格1及び販売個数を明らかにする文書の提出を命ずる旨の決定(令和7年(モ)

第607号文書提出命令申立事件)があったにも関わらず、被告が、当該文書

を提出しなかったことも考慮すると、被告商品1及び被告商品2を少なくとも各30個仕入れ、被告商品1については一個当たり8280円の、被告商品2については一個当たり2328円の利益を得ていたものと認めるのが相当である。よって、不競法5条2項及び商標法38条2項により、被告が被告商品1及び被告商品2を販売したことによって、被告には、合計31万8240円の損害が生じたものと推定される。(2) 信用毀損による無形損害(30万円)証拠(甲32)によれば、原告は、原告標章1を用いたハンドバッグについてブランド展開を開始した当初から、知的財産権の保護のために積極的な活動を取り続け、そのブランドイメージの維持に対し、多額の費用を投じてきたこと、その結果、原告標章1が、高級ハンドバッグの代名詞的な存在としての地位を得るに至ったことが認められる。一方、被告商品1は、原告標章1に類似しているものの、正規品に比べると著しく安格なものである。このような販売形態は、高級ハンドバッグとしてのブランドイメージを不当に利用し、自己の

5 安格な商品を販売するものであり、上記のような原告のブランドイメージの毀損に対する努力等を減殺するものであって、これもまた被告の行為と相当因果関係のある原告の被った具体的な損害であるというべきである。その損害額は、被告商品1の販売期間や販売数その他弁論に表れた一切の事情を考慮し、これを30万円と認める。

(3) 弁護士費用(6万1824円)原告は、本訴の提起追行を弁護士に委任したものであるところ、その費用相当の損害は、6万1824円と認められる。

(4) まとめよって、原告の請求は、68万0064円及び被告の最終行為日以後を起算日とする民法所定の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がない。

第5 結論

以上の次第で、原告の請求は、主文掲記の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからいずれもこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法64条本文、61条を適用し、原告による控訴の期間について、民訴法96条2項を適用してその付加期間を30日と定めることとして、主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第26民事部

裁判長裁判官

松 阿 彌 隆

裁判官

阿 波 野 右 起

裁判官

西 尾 太 一

(別紙)

原告商品目録1①正面および背面が底辺のやや長い台形状、本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなし、②略凸状となるように両サイドに切り込みを有し横方向に略3等分する位置に鍵

5 穴状の縦方向の切込みが二箇所設けられた蓋部が本体背面の上端部と縫合され、③本体背面上部に端部を縫合され、本体各側面に形成されたタックの山部を貫通し、本体正面の上部まで延在する左右一対のベルトが設けられ、④前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる先端にリング状を形成した固定具が設けられ、さらに、前記鍵穴状の切込みの外側の位置において、前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられ、⑤本体正面上部及び背面上部に、円弧状をなす一対のハンドルが縫合され、前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられることを特徴とする写真1ないし3の形状のかばん(本頁以下余白)写真1(正面外観図)写真2(背面外観図)写真3(側面外観図)以上原告商品目録2原告のH標章をアッパー部分に付したことを特徴とする写真4ないし写真6の形状のサンダル5 写真4(正面外観図)写真5(側面外観図)写真6(正面外観図)以上

(別紙)

原告商標権目録1 バーキン商標権登 録 番 号 第5438059号5 登 録 日 平成23(2011)年9月9日商 品 区 分 第18類指 定 商 品 ハンドバッグ商 標 原告商品目録1の写真1ないし32 H商標権登 録 番 号 第5962099号登 録 日 平成29(2017)年7月7日商 品 区 分 第25類指 定 商 品 靴及び運動用特殊靴等商 標以上

(別紙)

被告商品目録1①正面および背面が底辺のやや長い台形状、本体各側面が縦長の二等辺三角形状をなし、②略凸状となるように両サイドに切り込みを有し横方向に略3等分する位置に鍵5 穴状の縦方向の切込みが二箇所設けられた蓋部が本体背面の上端部と縫合され、③本体背面上部に端部を縫合され、本体各側面に形成されたタックの山部を貫通し、本体正面の上部まで延在する左右一対のベルトが設けられ、④前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる先端にリング状を形成した固定具が設けられ、さらに、前記鍵穴状の切込みの外側の位置において、前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定することができる左右一対の補助固定具が設けられ、⑤本体正面上部及び背面上部に、円弧状をなす一対のハンドルが縫合され、前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように設けられることを特徴とする写真1の1ないし1の3の形状の、商品番号「A-01」のかばん(本頁以下余白)写真1の1写真1の2写真1の3以上被告商品目録2欧文字の「H」を模した図柄をアッパー部分に付した写真2の商品番号「Z-02」のサンダル写真2の1写真2の2以上

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