令和7(行ケ)10056審決取消請求事件
判決文PDF
▶ 最新の判決一覧に戻る
| 裁判所 |
請求棄却 知的財産高等裁判所
|
| 裁判年月日 |
令和7年12月23日 |
| 事件種別 |
民事 |
| 当事者 |
原告株式会社FLORe 被告株式会社MIC
|
| 対象物 |
女性用衣料 |
| 法令 |
特許権
|
| キーワード |
実施38回 審決35回 分割9回 進歩性7回 無効5回 特許権2回 無効審判2回 新規性1回
|
| 主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
| 事件の概要 |
本件は、特許無効審判請求に係る不成立審決の取消訴訟であり、争点は、本件
審決の進歩性欠如に係る判断の当否である。 |
▶ 前の判決 ▶ 次の判決 ▶ 特許権に関する裁判例
本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。
判決文
令和7年12月23日判決言渡
令和7年(行ケ)第10056号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 令和7年11月13日
判 決
原 告 株 式 会 社 F L O R e
同訴訟代理人弁理士 小 牧 佳 緒 里
同 鬼 頭 優 希
被 告 株 式 会 社 M I C
同訴訟代理人弁護士 三 原 研 自
同 中 村 智 廣
15 同訴訟代理人弁理士 青 谷 一 雄
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
20 (注)本判決で用いる略語の定義は、本文中で別に定めるほか、次のとおりである。
本件審決 :特許庁が無効2023-800080号事件について令和7年4
月22日にした審決
本件特許 :被告を特許権者とする特許第3996406号(発明の名称:女
性用衣料)
25 本件各発明:本件特許に係る発明の総称。各請求項に係る発明は、請求項の番
号に対応して「本件発明1」などという。
本件明細書:本件特許に係る明細書及び図面(甲10)
甲1公報 :米国特許第4325378号公報(甲1)
甲1発明 :甲1公報に記載された発明
甲2公報 :米国特許第1537681号公報(甲2)
5 甲3公報 :米国特許第1242118号公報(甲3)
甲4公報 :実願平5-53760号(実開平7-24915号)のCD-R
OM(甲4)
第1 請求
本件審決を取り消す。
10 第2 事案の概要
本件は、特許無効審判請求に係る不成立審決の取消訴訟であり、争点は、本件
審決の進歩性欠如に係る判断の当否である。
1 特許庁における手続の経緯等
⑴ 被告は、発明の名称を「女性用衣料」とする発明について、平成14年2
15 月22日、特許出願をし、平成19年8月10日、本件特許に係る特許権の
設定登録を受けた(請求項の数:5)。
⑵ 原告は、令和5年12月12日、本件特許の請求項1~3、5に係る特許
につき、無効審判を請求し、特許庁は、これを無効2023-800080
号事件として審理した。
20 ⑶ 特許庁は、令和7年4月22日、上記事件について「本件審判の請求は、
成り立たない。」との審決(本件審決)をし、その謄本は、同年5月7日、
原告に送達された。
⑷ 原告は、同年6月5日、当庁に対し、本件審決の取消しを求める本件訴え
を提起した。
25 2 本件各発明の内容等
⑴ 本件特許の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。
【請求項1】
少なくとも女性のバスト部を覆う女性用衣料において、前記少なくとも
女性のバスト部を覆うカップ部材と、前記カップ部材と分離した状態で当
該カップ部材の表面側に配置され、前記バスト部の左右の各脇部からバス
5 トの側部を覆った状態でバスト下部の中央部にかけて設けられる左右の前
身頃部材と、前記左右の前身頃部材をバスト下部の中央部近傍で互いに連
結するとともに、当該左右の前身頃部材の連結幅を調節可能に設けられた
複数の連結部材とを備えたことを特徴とする女性用衣料。
【請求項2】
10 前記左右の前身頃部材を連結部材によって連結した際に、当該左右の前
身頃部材によって移動したバスト部の容積に適応するように、ストレッチ
性のある素材によってカップ部材が構成されていることを特徴とする請求
項1記載の女性用衣料。
【請求項3】
15 前記左右の前身頃部材は、バスト部のトップ及びその周囲を除いて、
バスト部の左右の各脇部からバスト下部の中央部、及び肩部にかけて設
けられ、当該左右の前身頃部材の上端部が肩紐部材と一体的に形成され
ていることを特徴とする請求項1記載の女性用衣料。
【請求項4】
20 前記女性用衣料は、女性のバスト部からヒップ部を覆うように構成さ
れ、当該女性用衣料の股部が、体の前側部分と後側部分とに分離され、
前記体の前側及び後側に分割された股部を互いに連結するとともに、当
該体の前後側に分割された股部の連結幅を調節可能に設けられた複数の
第2の連結部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに
25 記載の女性用衣料。
【請求項5】
前記連結部材が、ファスナー又はフックとアイから構成されているこ
とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の女性用衣料。
⑵ 本件明細書
本件明細書の記載は、別紙「特許公報」(甲10)の【発明の詳細な説明】
5 及び各図面のとおりである。
3 本件審決の理由の要旨
本件審決の理由の要旨は、別紙「本件審決の理由の要旨」のとおりであり、
原告の主張する無効事由(甲1発明に基づく新規性及び進歩性の欠如)に対す
る判断は、概要、次のとおりである。
10 ⑴ 本件発明1と甲1発明とを対比すると、次のとおり実質的な相違点が認め
られるから、本件発明1は甲1発明ではない。
ア 甲1発明
女性の乳房を覆う女性用スポーツ衣類において、女性の乳房を覆う乳
房係合ポケット12と、前記乳房係合ポケット12と独立して変位可能
15 であり、当該乳房係合ポケット12にオーバーフィットし、前記乳房の
左右の各脇部から乳房の側部を覆った状態で乳房の中央部にかけて設け
られる2つの乳房支持フラップ13、14と、前記2つの乳房支持フラ
ップ13、14を乳房の中央部近傍で連結するとともに、当該2つの乳
房支持フラップ13、14の連結幅を調節可能に設けられた留め具手段
20 22とを備えた女性用スポーツ衣類。
イ 一致点
少なくとも女性のバスト部を覆う女性用衣料において、前記少なくとも
女性のバスト部を覆うカップ部材と、前記カップ部材と分離した状態で
当該カップ部材の表面側に配置され、前記バスト部の左右の各脇部から
25 バストの側部を覆った状態でバストの中央部にかけて設けられる左右の
前身頃部材と、前記左右の前身頃部材をバストの中央部近傍で互いに連
結するとともに、当該左右の前身頃部材の連結幅を調節可能に設けられ
た複数の連結部材とを備えた女性用衣料。
ウ 相違点
前記カップ部材と分離した状態で当該カップ部材の表面側に配置され、
5 前記バスト部の左右の各脇部からバストの側部を覆った状態でバストの中
央部にかけて設けられる左右の前身頃部材と、前記左右の前身頃部材をバ
ストの中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の前身頃部材の連
結幅を調節可能に設けられた複数の連結部材に関し、
本件発明1は、左右の前身頃部材が「バスト下部」の中央部にかけて
10 設けられ、連結部材が前記左右の前身頃部材を「バスト下部」の中央部
近傍で互いに連結するのに対し、
甲1発明は、乳房支持フラップ13、14が乳房係合ポケット12に
オーバーフィットし、留め具手段22におけるバストとの位置関係が
「バスト下部」である特定がない点。
15 ⑵ 本件発明1は、当業者が、甲1発明と、甲2公報、甲3公報、甲4公報の
各記載事項(各記載事項は、別紙「本件審決の理由の要旨」第5の2⑵ウ
(ア)b、c、(イ)のとおりである。以下、順に「甲2記載事項」、「甲3記載
事項」、「甲4記載事項」といい、併せて「甲2記載事項等」という。)に
基づいて容易に発明をすることができたものではない。
20 ⑶ 本件発明2、3、5は、いずれも本件発明1の発明特定事項を全て備える
ものであるところ、本件発明1は、当業者が、甲1発明、甲2記載事項等に
基づいて容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2、3、
5も同様に、当業者が、甲1発明、甲2記載事項等に基づいて容易に発明を
することができたものではない。
25 4 原告主張の審決取消事由
甲1発明に基づく本件発明1の進歩性欠如に係る判断の誤り
第3 当事者の主張
(原告の主張)
1 本件審決の甲1発明の認定及び本件発明1と甲1発明との一致点の認定は認
める。もっとも、本件審決は、甲1発明を極端に矮小化して、本件発明1と
5 甲1発明との相違点を認定している。
すなわち、甲1公報の図1、2のとおり、本件発明1の出願前に、甲1発
明の乳房支持フラップ13、14は乳房係合ポケット12の手前にて互いに
連結するという構成が開示されており、上記出願前に、乳房係合ポケット1
2(バスト部を覆うカップ部材)とは別に、乳房支持フラップ13、14
10 (左右の前身頃部材)が備えられること、そして、乳房支持フラップ13、
14(左右の前身頃部材)同士が互いに連結されることという技術的思想が
存在していたのであるから、当業者であれば、設計事項の変更として、左右
の前身頃部材の連結位置を「バスト中央部」から本件発明1の「バスト下部」
にまで到達することは不可能ではなく、むしろ自然に進められることの範疇
15 である。本件において、左右の前身頃部材を「バスト下部」で互いに連結す
ることと、留め具手段22におけるバストとの位置関係が「バスト下部」で
ある特定がないこと(「バスト中央部」であること)とは、実質的な相違点
になり得ない。
2 本件審決は、「『乳房支持フラップ13、14』が乳房全体を覆って締め付
20 けることで、乳房の過度の動きを防ぐものであるから、…女性のバスト等の
サイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能などに対応するものではな
い。」、「そして仮に、『乳房支持フラップ13、14』が乳房全体を覆う
構成からバスト下部を覆う構成に変更した場合、少なくとも乳房を押し付け
る範囲が減ることに伴い、十分に乳房の動きを拘束できなくなり、課題が解
25 決できなくなることは明らかであるから、このような変更には阻害要因があ
るといえる。」とする。
しかしながら、甲1公報の記載は「フラップ13および14を締め付ける
ことによって生じる内向きの圧力または圧縮力は、乳房の重さによって及ぼ
される下向きの圧力による、いかなる垂直方向の負荷からも独立している。」
などと開示するにとどまり、締め付け位置を限定する記載も、積極的に「バ
5 スト下部」を排斥する記載もないのであって、積極的に「バスト下部」を排
斥しているとする本件審決は、認定の前提を欠く。
また、甲1公報に、「乳房支持フラップ13、14」がバスト全体を覆う
構成であるとする記載はない(図面は飽くまで実施の形態を開示するにすぎ
ない。)。
10 したがって、本件審決の阻害要因の有無に係る判断は失当である。
3⑴ 本件審決は、甲2記載事項について、「甲2記載事項の延長部18、19
はブラジャーの位置を維持するためのものであるから、…甲2記載事項の延
長部18、19は、…甲1発明の乳房支持フラップ13、14をバスト下部
に位置させるように換える動機付けを示唆するものではない。」とするが、
15 ブラジャーの位置を維持することは、本件発明1のバスト部を覆うカップ部
材を通じてカップ部材の内側の乳房の位置に作用することと同視され、甲2
記載事項の延長部18、19は甲1発明の乳房支持フラップ13、14に対
応するものであるから、本件審決の判断は失当である。
⑵ また、本件審決は、甲3記載事項について、「甲3記載事項のタブ状部分
20 13は、被覆部分を伸ばしてテープ部材14を結ぶことでアイレット及びレ
ーシングを見えないようにする…ためのものであるから、…甲3記載事項の
タブ状部分13が、甲1発明の乳房支持フラップ13、14に対応するもの
とはいえず、甲1発明の乳房支持フラップ13、14をバスト下部に位置さ
せるように換える動機付けを示唆するものではない。」とするが、甲3公報
25 には、「本発明の主な目的は、ブラジャーの胴体部分の調節を可能にするた
めに、ブラジャーの背面に配置された手段を提供すること、および調節機能
を実行するために設けられたアイレットおよびレーシング(ひも)を覆う背
面カバー部分を提供すること」と記載されており、ブラジャーの胴体部分の
調節を可能にすることを通じて、ブラジャーの着用者の体形補正を可能にす
ることを示していることから、本件審決の判断は失当である。
5 ⑶ さらに、本件審決は、甲4記載事項について、「両者の締め付け位置はそ
の課題を解決することに直結するものであるから、甲1発明において、甲4
記載事項を参考にしても、留め具手段22を、本件発明1の、上記相違点に
係る位置とすることに、想到し得たものとはいえない。」とするが、甲4公
報に、「そこで、この考案は、一時期の急激な体型の変化にも十分対応でき、
10 且つ着用感に優れたファンデーションを提供することを課題とする。」との
記載があることからすると、甲4記載事項は、着用者の体形補正を目的とす
ることに相違ない。加えて、甲2記載事項の延長部18、19、甲3記載事
項のタブ状部分13は、いずれも本件発明1、甲1発明及び甲4記載事項の
出願前に既に公知の構成である。
15 そうすると、当業者であれば、甲1発明において、甲2記載事項の延長部
18、19、甲3記載事項のタブ状部分13の構成、甲4記載事項を参考に
すると、留め具手段22を、本件発明1と甲1発明の相違点に係る位置とす
ることは容易に想到し得たものであり、本件において、阻害要因があるとも
いえない。
20 4 以上のとおり、本件発明1の進歩性欠如に係る本件審決の判断は失当であり、
従属請求項である本件発明2、3、5の進歩性欠如に係る本件審決の判断も失
当である。
(被告の主張)
1 甲1発明は、「スポーツ衣料」として「身体活動、特にジョギングに従事す
25 るときに使用」するものであり、「過度の乳房の運動を阻害し、擦れによって
引き起こされる刺激を実質的に排除する、…衣料を提供すること」を目的の一
つとするのであって、「女性のバストのサイズや形などに応じて、多種多様の
女性用衣料を個々に用意することなく、個人差を有する女性のバスト等のサイ
ズや形、あるいはバストアップ等の補正機能などに対応することが可能な女性
用衣料を低コストにて提供すること」を目的とする本件発明1とは、解決すべ
5 き技術的課題を全く異にする。
また、甲1発明は、課題の解決手段として、乳房支持フラップ13、14が、
乳房係合ポケット12を「オーバーフィット」、すなわち、乳房係合ポケット
12の表面全体を覆うように配置され、その上で、フラップが乳房に対して
「過剰かつ有害な乳房の動きを拘束するための内側に向けられた圧力を提供」
10 するものであり、この圧力を提供するためには、乳房支持フラップ13、14
を「バスト下部」ではなく「バストの中央部」、すなわち、バストトップを含
む位置で締め付ける必要があるのであって、「バスト下部」からの締め付けで
は、甲1発明の課題を解決することはできない。
左右の前身頃部材の締め付け位置を「バスト中央部」から本件発明1の「バ
15 スト下部」に変更することを、自然に進められることの範疇にあるとも、設計
事項の変更であるともいうことはできず、本件審決における本件発明1と甲1
発明との相違点の認定に誤りはない。
2 甲1発明には、本件審決が認定したとおりの阻害要因がある。
原告は、甲1公報には、締め付け位置を限定する記載も、積極的に「バスト
20 下部」を排斥する記載もなく、本件審決の認定は前提を欠く旨の主張をするが、
甲1公報には、「締め付けられたフラップは、胴体に対して実質的に固定され
た位置にあり」、乳房支持フラップ13、14が、乳房受けポケットをオーバ
ーフィットする位置、すなわち乳房受けポケットと同じ位置で締め付けられる
ことが記載され、この「胴体に対して実質的に固定された位置」は、甲1公報
25 の「フラップ14の端部25にある…テーパー部20がループ21を通ってさ
らに引っ張られ、または締め付けられ…ると、内向きの圧力または圧縮力が生
じ、図6に示されるように、乳房を胸に向かって、そしていくらか互いに向か
って押しつける。」位置、すなわち「バスト中央部」であることが明記されて
いる。
そもそも、乳房支持フラップ13、14の締め付け位置を「バスト下部」に
5 変更した場合、「過度の乳房の運動を阻害し、」という甲1発明の目的が達成
されないことは明らかであって、原告の上記主張はいずれも失当である。
原告は、甲1公報に、「乳房支持フラップ13、14」がバスト全体を覆う
構成であるとする記載はない旨の主張もするが、甲1公報には、「フラップは、
乳房受けポケットをオーバーフィットし、」と記載されており、乳房支持フラ
10 ップ13、14がバスト全体を覆う構成であることが明記されている。
3 原告は、当業者であれば、甲1発明において、甲2記載事項等を参考にする
と、留め具手段22を、本件発明1の相違点に係る位置とすることは容易に想
到し得た旨の主張をする。
しかしながら、原告の「ブラジャーの位置を維持することは、本件発明1の
15 バスト部を覆うカップ部材を通じてカップ部材の内側の乳房の位置に作用する
ことと同視される」との主張は、甲2記載事項にない「バスト部を覆うカップ
部材」を登場させている点において飛躍があり、「ブラジャーの位置を維持す
る」との記載を拡大解釈するもので不当である。
また、原告は、甲3記載事項について、これがブラジャーの着用者の体形補
20 正を可能にすることを示している旨の主張をするが、甲3記載事項は、甲1発
明の乳房支持フラップ13、14を「バスト下部」に位置させるように換える
動機付けを示唆するものではない。
さらに、原告は、甲4記載事項について、着用者の体形補正を目的とするこ
とに相違ない旨の主張もするが、そうであるからといって、本件発明1と甲1
25 発明の課題は異なるものであるし、本件発明1と甲1発明の締め付け位置は、
それぞれの課題を解決することに直結するものであるから、甲1発明において、
甲4記載事項を参考にしても、留め具手段22を、本件発明1の相違点に係る
位置とすることに容易に想到し得たとはいえない。
4 本件発明2、3、5は、本件発明1に従属する発明であり、本件発明1と同
様に、甲1発明、甲2記載事項等に基づいて当業者が容易に想到することがで
5 きたものではない。
5 以上のとおり、本件審決の判断に誤りはない。
第4 当裁判所の判断
1 本件各発明の内容
⑴ 甲10によれば、本件明細書には、本件各発明について、次のとおりの記
10 載があることが認められる(以下、【】は本件明細書の段落番号を、【図】
は本件明細書の図面を、それぞれ示す。)。
ア 技術分野
本件各発明は、ブラジャーやボディスーツ、キャミソール、レオター
ド、ワンピースタイプの水着等の女性用衣料に関するものである(【0
15 001】)。
イ 従来技術
従来、この種のブラジャーやボディスーツ等の女性用衣料は、バスト
やウエスト、あるいはヒップなどの形を整えたり、プロポーションを美
しく見せるために、女性のバスト等のサイズや形に応じて、各種サイズ
20 やカップのものが製造されている。これらブラジャーやボディスーツ等
の女性用衣料は、女性のバスト等のサイズや形に対応することにより、
着用感を高めるのは勿論のこと、バストアップ効果等の補正機能を持た
せることが求められている(【0002】)。
ウ 発明が解決しようとする課題
25 しかしながら、従来技術では、上記ブラジャーやボディスーツ等の女
性用衣料の場合には、女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストア
ップ等の補正機能に対応するため、各種のバストのサイズや形などに応
じて、多種多様の女性用衣料を製造する必要があるため、大幅にコスト
がかかるという問題点を有していた(【0005】【0006】)。
また、従来技術は、女性のバストのサイズや形などは千差万別であり、
5 女性のバストのサイズや形などに応じて、多種多様の女性用衣料を用意
したとしても、十分満足のいく着用感や求める補正機能などを得ること
が困難であるという問題点を有していた(【0007】)。
本件各発明は、上記従来技術の問題点を解決するためにされたもので
あり、その目的とするところは、女性のバストのサイズや形などに応じ
10 て、多種多様の女性用衣料を個々に用意することなく、個人差を有する
女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能など
に対応することが可能な女性用衣料を低コストにて提供することにある
(【0008】)。
エ 課題を解決するための手段
15 本件発明1は、請求項1記載の構成を有し、女性のバスト部を覆うカ
ップ部材の表面側に、左右の前身頃部材を配置し、前記左右の前身頃部
材をバスト下部の中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の前
身頃部材の連結幅を、複数の連結部材によって調節可能とすることによ
り、左右のバストの引き寄せ効果を高めるように構成したものである
20 (【0009】【0010】)。
オ 発明の実施の形態、発明の効果
【図4】はこの発明の実施の形態2を示すものであり、この実施形態に
係るブラジャー21では、従来のブラジャーと同様に女性の体のバスト部
を覆うカップ部材22を備えており、また、カップ部材22の表面側に配
25 置され、前記バスト部の左右の各脇部からバスト下部の中央部にかけて設
けられる左右の前身頃部材としての左右の上部パネル26b、26b(な
お、【図4】【図9】の「26」、「26a」は、いずれも「26b」の
誤記と認められる。)、左右の上部パネル26b、26bをバスト下部の
中央部近傍で互いに連結するとともに、その連結幅を調節可能に設けられ
た複数の連結部材27を備えている。この複数の連結部材27としては、
5 【図9】に示すように、フックとアイからなるものの他、2段等の複数段
のファスナーや、帽子の後ろの部分に使用されるような連結幅を調節可能
なワンタッチ具などが用いられる(【0033】【0034】【0036】
【0038】)。
【図4】
【図9】
このように構成することにより、女性のバストのサイズや形などに応じて、
多種多様の女性用衣料を個々に用意することなく、個人差を有する女性のバス
ト等のサイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能などに対応することが
可能な女性用衣料を低コストにて提供することができる(【0039】【00
5 43】)。
2 甲1発明に基づく本件発明1の進歩性の有無
⑴ 甲1発明の内容
甲1公報の記載は、別紙「甲第1号証」及び「甲第1号証の2」のとおり
であり、これらの記載及び弁論の全趣旨によれば、甲1発明は、本件審決の
10 認定のとおり認められる。
⑵ 本件発明1と甲1発明との対比
証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば、本件発明1と甲1発明との一致
点及び相違点は、本件審決の認定のとおりであり、本件発明1と甲1発明に
は、次の相違点が存在することが認められる。
15 (相違点)
前記カップ部材と分離した状態で当該カップ部材の表面側に配置され、前
記バスト部の左右の各脇部からバストの側部を覆った状態でバストの中央部
にかけて設けられる左右の前身頃部材と、前記左右の前身頃部材をバストの
中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の前身頃部材の連結幅を調
20 節可能に設けられた複数の連結部材に関し、本件発明1は、左右の前身頃部
材が「バスト下部」の中央部にかけて設けられ、連結部材が前記左右の前身
頃部材を「バスト下部」の中央部近傍で互いに連結するのに対し、甲1発明
は、乳房支持フラップ13、14が乳房係合ポケット12にオーバーフィッ
トし、留め具手段22におけるバストとの位置関係が「バスト下部」である
25 特定がない点。
⑶ 相違点の容易想到性
ア 本件明細書の記載によれば、本件発明1は、「女性のバストのサイズや
形などに応じて、多種多様の女性用衣料を個々に用意することなく、個人
差を有する女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストアップ等の補正
機能などに対応することが可能な女性用衣料を低コストにて提供すること」
5 を課題とし、この課題を解決するための手段として、「女性のバスト部を
覆うカップ部材の表面側に、左右の前身頃部材を配置し、前記左右の前身
頃部材をバスト下部の中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の
前身頃部材の連結幅を、複数の連結部材によって調節可能とすることによ
り、左右のバストの引き寄せ効果を高めるように構成」するものであるこ
10 とが認められ、そうすると、本件発明1の「左右の前身頃部材をバスト下
部の中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の前身頃部材の連結
幅を、複数の連結部材によって調節可能」とすることによる技術的意義は、
左右の前身頃部材をバスト下部の中央部近傍で互いに連結して、左右の前
身頃部材の連結幅を調節することにより、左右のバストを引き寄せるとと
15 もに、左右のバストを下側から上側に持ち上げることを可能にし、女性の
バスト等のサイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能などに対応す
ることが可能な女性用衣料を低コストにて提供することにあるといえる。
イ 他方、甲1公報及び弁論の全趣旨によれば、甲1発明は、運動に従事す
る女性は、乳房の動きによって、胸と乳首を衣服に擦り付けるなどして痛
20 みや不快感が引き起こされることを課題とし、これを、乳房支持フラップ
13、14を乳房係合ポケット12にオーバーフィットするよう配置し、
乳房支持フラップ13、14が乳房全体を覆って締め付け、留め具手段2
2により乳房支持フラップ13、14を連結して内向きの圧力を提供する
ことにより解決するものであると認められる。そうすると、乳房支持フラ
25 ップ13、14を乳房係合ポケット12にオーバーフィットするよう配置
し、乳房支持フラップ13、14が乳房全体を覆って締め付け、留め具手
段22により乳房支持フラップ13、14を連結することによる技術的意
義は、これにより、乳房に対して内向きの圧力を提供し、運動に従事する
女性の乳房の過度の動きを防止することにあり、上記の構成により、女性
のバスト等のサイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能などに対応
5 することにあるということはできない。
この点、原告は、甲1公報には、甲1発明の乳房支持フラップ13、1
4が乳房全体を覆う構成であるとする記載はない旨の主張をするが、甲1
公報に「オーバーフィット」との記載があることに加え、上記の甲1発明
の課題解決手段、技術的意義からみると、甲1発明の乳房支持フラップ1
10 3、14は乳房全体を覆う構成であると認められ、原告の上記主張は採用
できない。
ウ そうすると、甲1発明の、乳房支持フラップ13、14を乳房係合ポケ
ット12にオーバーフィットする構成は、本件発明1の課題とは異なる甲
1発明の課題を解決するためものであると認められ、本件発明1の出願当
15 時、乳房支持フラップ13、14の締め付け位置をバスト下部にし、バス
ト下部を覆う構成に変更する動機付けがあったということはできない。の
みならず、このような構成に変更した場合、乳房支持フラップ13、14
が乳房を締め付け、これに対して内向きの圧力を提供する範囲が減少し、
運動に従事する女性の乳房の過度の動きを防止するという課題を解決する
20 ことができなくなるのであるから、上記の変更には阻害要因があるといえ
る。
⑷ その余の原告の主張に対する判断
ア 原告は、当業者であれば、設計事項の変更として、容易に、甲1発明の
左右の前身頃部材の連結位置を「バスト下部」とすることができるのであ
25 るから、左右の前身頃部材を「バスト下部」で互いに連結することと、留
め具手段22におけるバストとの位置関係が「バスト下部」である特定が
ないことは、実質的な相違点となり得ない旨の主張をする。
しかしながら、前記⑶ウのとおり、そもそも、甲1発明の左右の前身頃
部材の連結位置を「バスト下部」とすることには阻害要因があるというべ
きである。原告の主張は、前提を欠くもので、採用できない。
5 イ 原告は、当業者であれば、甲1発明において、甲2記載事項の延長部1
8、19、甲3記載事項のタブ状部分13の構成、甲4記載事項を参考に
すると、留め具手段22を、本件発明1と甲1発明の相違点に係る位置と
することは容易に想到し得た旨の主張をする。しかしながら、甲1発明の
乳房支持フラップ13、14の締め付け位置を「バスト下部」に変更する
10 ことについて阻害要因があることは、前記のとおりである。
また、甲2記載事項の延長部18、19は、ブラジャーの位置を維持
することを、甲3記載事項のタブ状部分13は、背面被覆部分11の一
部として、ブラジャー背面のアイレット及びレーシングを見えないよう
に背面被覆部分の背中部分12が覆いかぶさるようにするとともに、背
15 面被覆部分をタブ状部分13の端部に接続されたテープ部材に結ぶこと
により、着用者の背中を圧迫し、その部分の肉の膨らみを滑らかにする
ことを、それぞれ目的とするもので、甲1発明の乳房支持フラップ13、
14とは作用、効果が異なるのであり、いずれも甲1発明の乳房支持フ
ラップ13、14の締め付け位置をバスト下部に変更する動機付けを示
20 唆するものではない。
さらに、甲4記載事項は、ブラジャー前部1及びその下方に連続する
上腹密着部2と、背開き用係止布部3とが伸縮布地により一体に形成さ
れ、ブラジャー前部1及び上腹密着部2の左右脇部分に連接された、伸
縮率の小さい伸縮布地を用いた補正用前布5の係止用他端部に設けたフ
25 ック6aとアイ6bとを係止させることにより、ブラジャー前部1と上
腹密着部2と、バスト及びアンダーバストから上腹部に連続する部分と
の密着度を調整し、体を無理なく締め付けて体形を補正する事項に関す
るもので、甲1発明の乳房支持フラップ13、14とは作用、効果が異
なるのであり、甲4記載事項についても、甲1発明の乳房支持フラップ
13、14の締め付け位置をバスト下部に変更する動機付けを示唆する
5 ものではない。
ウ その他、原告が縷々主張するところを考慮しても、以上の判断は左右さ
れない。
⑸ 小括
したがって、相違点に係る甲1発明の構成を本件発明1の構成に変更する
10 ことは、甲2記載事項等を参考にしたとしても、当業者が容易に想到し得た
ということはできないから、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容
易に発明をすることができたということはできない。
3 本件発明2、3、5について
本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた
15 とはいえないから、その従属請求項に係る発明である本件発明2、3、5につ
いても、本件発明1と同様に、甲1発明、甲2記載事項等に基づいて当業者が
容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 結論
以上によれば、本件審決の進歩性欠如に係る判断に誤りはなく、原告の主張
20 する審決取消事由は認められず、原告の請求は理由がない。
よって、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
25 裁判長裁判官
森 冨 義 明
裁判官
菊 池 絵 理
裁判官
頼 晋 一
JP 3996406 B2 2007.10.24
甲第10号証
(57)【 特 許 請 求 の 範 囲 】
【請求項1】
少なくとも女性のバスト部を覆う女性用衣料において、前記少なくとも女性のバスト部
を覆うカップ部材と、前記カップ部材と分離した状態で当該カップ部材の表面側に配置さ
れ、前記バスト部の左右の各脇部からバストの側部を覆った状態でバスト下部の中央部に
かけて設けられる左右の前身頃部材と、前記左右の前身頃部材をバスト下部の中央部近傍
で互いに連結するとともに、当該左右の前身頃部材の連結幅を調節可能に設けられた複数
の連結部材とを備えたことを特徴とする女性用衣料。
【請求項2】
前記左右の前身頃部材を連結部材によって連結した際に、当該左右の前身頃部材によっ 10
て移動したバスト部の容積に適応するように、ストレッチ性のある素材によってカップ部
材が構成されていることを特徴とする請求項1記載の女性用衣料。
【請求項3】
前記左右の前身頃部材は、バスト部のトップ及びその周囲を除いて、バスト部の左右の各
脇部からバスト下部の中央部、及び肩部にかけて設けられ、当該左右の前身頃部材の上端
部が肩紐部材と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1記載の女性用衣料。
【請求項4】
前記女性用衣料は、女性のバスト部からヒップ部を覆うように構成され、当該女性用衣料
の股部が、体の前側部分と後側部分とに分離され、前記体の前側及び後側に分割された股
部を互いに連結するとともに、当該体の前後側に分割された股部の連結幅を調節可能に設 20
(2) JP 3996406 B2 2007.10.24
けられた複数の第2の連結部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
載の女性用衣料。
【請求項5】
前記連結部材が、ファスナー又はフックとアイから構成されていることを特徴とする請求
項1乃至4のいずれかに記載の女性用衣料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブラジャーやボディスーツ、キャミソール、レオタード、ワンピースタイプ
の水着等の女性用衣料に関するものである。 10
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のブラジャーやボディスーツ等の女性用衣料は、バストやウエスト、あるい
はヒップなどの形を整えたり、プロポーションを美しく見せるため に、女性のバスト等
のサイズや形に応じて、各種サイズやカップのものが製造されている。これらブラジャー
やボディスーツ等の女性用衣料は、女性のバスト等のサイズや形に対応することにより、
着用感を高めるのは勿論のこと、バストアップ効果等の補正機能を持たせることが求めら
れている。
【0003】
ところで、上記ブラジャーやボディスーツ等の女性用衣料は、例えば、ブラジャー等の表 20
面側及び裏面側を構成する布片等の各素材を、バストの外形に略沿った形状にそれぞれ裁
断(カット)するとともに、必要に応じて所定の形状にモールド成型したバストパッドを
使用し、これらのブラジャー等の表面側及び裏面側を構成する布片とバストパッドとを積
層した状態で、上端縁及び下端縁にバイヤステープを縫着するとともに、被覆されたワイ
ヤーボーンを、バストカップ部の下端縁等に沿って縫着することによって構成されている
。
【0004】
その際、上記ブラジャー等の女性用衣料を構成する表面側の布片などは、バイヤステープ
やワイヤーボーンとともに、バストパッドを介して裏面側を構成する布片と一体的に縫着
されて、バストカップ部の形状などを所定の形状に仕上げるように構成されている。 30
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上
記従来のブラジャーやボディスーツ等の女性用衣料は、ブラジャー等の表面側及び裏面側
を構成する布片等の各素材を、バストの外形に略沿った形状にそれぞれ裁断(カット)す
るとともに、バストパッドを所定の形状にモールド成型し、これらのブラジャー等の表面
側及び裏面側を構成する布片とバストパッドとを積層した状態で、上端縁及び下端縁にバ
イヤステープを縫着するととも に、被覆されたワイヤーボーンを、バストカップ部の下
端縁に沿って縫着することによって構成されている。
【0006】 40
そのため、上記ブラジャーやボディスーツ等の女性用衣料の場合には、女性のバスト等の
サイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能に対応するため、各種のバストのサイズ
や形に応じて素材を裁断(カット)したり、バストパッドをモールド成型し、これらの素
材をバストパッド等とともに縫製しなければなら ず、女性のバストのサイズや形などに
応じて、多種多様の女性用衣料を製造する必要があるため、大幅にコストがかかるという
問題点を有していた。
【0007】
また、たとえ、女性のバストのサイズや形などに応じて、多種多様の女性用衣料を用意し
たとしても、女性のバストのサイズや形などは、一人一人異なるくらい、千差万別であり
、ブラジャーやボディスーツ等の女性用衣料を着用する女性に、満足のいく程度にフィッ 50
(3) JP 3996406 B2 2007.10.24
トさせることは困難であり、十分満足のいく着用感や求める補正機能などを得ることが困
難であるという問題点を有していた。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その
目的とするところは、女性のバストのサイズや形などに応じて、多種多様の女性用衣料を
個々に用意することなく、個人差を有する女性のバスト等のサイズや形、あるいはバスト
アップ等の補正機能などに対応することが可能な女性用衣料を低コストにて提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 10
すなわち、請求項1に記載された発明は、少なくとも女性のバスト部を覆う女性用衣料
において、前記少なくとも女性のバスト部を覆うカップ部材と、前記カップ部材と分離し
た状態で当該カップ部材の表面側に配置され、前記バスト部の左右の各脇部からバストの
側部を覆った状態でバスト下部の中央部にかけて設けられる左右の前身頃部材と、前記左
右の前身頃部材をバスト下部の中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の前身頃
部材の連結幅を調節可能に設けられた複数の連結部材とを備えたことを特徴とする女性用
衣料である。
【0010】
この発明は、基本的に、上記の如く、女性のバスト部を覆うカップ部材の表面側に、左右
の前身頃部材を配置し、前記左右の前身頃部材をバスト下部の中央部近傍で互いに連結す 20
るとともに、当該左右の前身頃部材の連結幅を、複数の連結部材によって調節可能とする
ことにより、左右のバストの引き寄せ効果を高めるように構成したものである。
【0011】
通常のブラジャー等の女性用衣料は、図11に細線で示すように、一体的に縫製されたバ
ストカップ▲1▼と身頃▲3▼とから構成されているのに対して、本発明のブラジャー等
の女性用衣料は、カップ部材の表面側に、左右に分割された前身頃部材を配置し、これら
左右の前身頃部材を連結した周囲長は、少なくとも従来のブラジャーのバストカップと身
頃とを合わせた周囲長(実質的には、乳房領域とフロント部の範囲にて)よりも、図11
のAに示すように、1cm〜5cm短く設計されている。その結果、本発明のブラジャー
等の女性用衣料は、図11のAに示すように、通常のブラジャー等より図中のAの範囲だ 30
け短くデザインされた左右の前身頃部材(コントロールパネル)▲2▼を、図示しない所
定の連結部材によって連結することにより、人体乳房の乳頭間のスペースBを、これより
狭いA'にすることにより、左右のバストの引き寄せ効果を高めるものである。
【0012】
このように、本発明のブラジャー等の女性用衣料においては、左右のバストを内側に引き
寄せるため、これら左右のバストを内側に引き寄せた場合でも、バストカップのセンター
部又はフロント部に皺が寄ったりするのを防止するため、図12に示すように、カップ部
のセンター部▲3▼又はフロント部をストレッチ性のある素材によって構成することによ
り、左右の前身頃部材(コントロールパネル)による乳頭間の収縮に対応できるように設
計をするのが望ましい。 40
【0013】
また、図13に示すように、左右の前身頃部材(コントロールパネル)にコントロール力
を高めるために、▲1▼左右の前身頃部材を二重又は三重構造にし、引き寄せられたバス
トがカップ部から膨出して、乳房のシルエットに段差を生じないシート芯体を構成したり
、▲2▼又は伸張力を数段階にデザインし、押さえるべきところはよりハードに、又乳房
シルエットに段差を生じるエッジはよりソフトにデザインしたり、▲3▼又は通常のブラ
ジャー等と同様に構成してもよいカップ部をフレキシブルにデザインする反面、左右の前
身頃部材(コントロールパネル)は、アンストレッチにデザインしたり等するのが望まし
い。更には、左右の前身頃部材(コントロールパネル)の連結部材にアジャースト量を大
きくデザインし、バストの引き寄せ量を拡大又は調整を容易にするのが望ましい。 50
(4) JP 3996406 B2 2007.10.24
【0014】
人体の乳房の形状は、図14に鎖線で示す▲1▼ベル状体や、図14に細い実線で示す▲
2▼半球体、あるいは図14に太い実線で示す▲3▼椀状体など、乳房の容積が同一であ
っても、乳房の基底は大きく異なる。このような乳房により少ないサイズで対応するため
には、図15に示すように、バスト基底線を明確に区分しないバストカップ部のパターン
を採用するか、図16に示すように、ストレッチ性のある素材(ハッチング部)を採用し
、モールド成形によりフレキシブルなバストカップ部のパターンを採用するか、図17に
示すように、バストサイド(ハッチング部)によりフレキシブルな素材をデザインしたバ
ストカップ部のパターンを採用するか、図18に示すように、図14に示すような多様な
乳房形状による各基底(ハッチング部)にフレキシブルに対応できるように、バストカッ 10
プ部の周辺にストレッチ素材をデザインしたバストカップ部のパターンを採用するのが有
効である。
【0015】
このように、更に種々の工夫をすることにより、消費者に対して視覚的欠点となる、アロ
アンスのあるバストカップ部は大きく見えて抵抗を与えるのをカバーし、且つデザイン性
の高い女性用下着を提供することができる。
【0016】
また、請求項2に記載された発明は、前記左右の前身頃部材を連結部材によって連結した
際に、当該左右の前身頃部材によって移動したバスト部の容積に適応するように、ストレ
ッチ性のある素材によってカップ部材が構成されていることを特徴とする請求項1記載の 20
女性用衣料である。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記左右の前身頃部材が、バスト部のトップ及びその
周囲を除いて、バスト部の左右の各脇部からバスト下部の中央部、及び肩部にかけて設け
られ、当該左右の前身頃部材の上端部が肩紐部材と一体的に形成されていることを特徴と
する請求項1記載の女性用衣料である。
【0018】
又、請求項4に記載の発明は、前記女性用衣料が、女性のバスト部からヒップ部を覆うよ
うに構成され、当該女性用衣料の股部が、体の前側部分と後側部分とに分離され、前記体
の前側及び後側に分割された股部を互いに連結するととも に、当該体の前後側に分割さ 30
れた股部の連結幅を調節可能に設けられた複数の第2の連結部材を備えたことを特徴とす
る請求項1乃至3のいずれかに記載の女性用衣料である。
【0019】
更に、請求項5に記載の発明は、前記連結部材が、ファスナー又はフックとアイから構成
されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の女性用衣料である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
実施の形態1 40
図1はこの発明の実施の形態1に係る女性用衣料としてのボディスーツを示すものである
。
【0022】
図1において、1は女性用衣料としてのボディスーツを示すものであり、このボディスー
ツ1は、女性の体のバスト部からヒップ部にかけて一体的に覆うように構成されている。
上記ボディスーツ1は、女性の体のバスト部を覆うカップ部材2を備えており、このカッ
プ部材2は、左右のカップ部3、4と、当該左右のカップ部3、4の下側に縫着される下
辺連結布5とから形成されている。この下辺連結布5としては、例えば、ストレッチ性を
有するメッシュ地やレース地などが用いられる。上記左右のカップ部3、4は、所定の形
状に裁断された表布と裏布、あるいは表布と裏布の間にパッド部材を介在させた状態で縫 50
(5) JP 3996406 B2 2007.10.24
着されている。また、上記左右のカップ部3、4の下端縁には、必要に応じて、ワイヤー
ボーンが袋状に縫い止めされている。さらに、上記カップ部材3、4は、通常のブラジャ
ー等と異なり、その左右の両端部のみが、ボディスーツ1の脇部に縫着されている。
【0023】
また、上記ボディスーツ1は、大きく分けて、前身頃部材6と、後身頃部材7とから構成
されており、これらの前身頃部材6と後身頃部材7は、体の脇部8で互いに縫着されてい
る。また、上記前身頃部材6は、体の脇部側に位置する脇前身頃部材6aと、体の中央部
側に位置する中前身頃部材6bとからなり、これらの脇前身頃部材6aと中前身頃部材6
bとは、体の前面の脇部寄りの位置9で縦方向に沿って互いに縫着されている。
【0024】 10
さらに、上記体の中央部側に位置する左右の中前身頃部材6b、6bどうし は、縦方向
に沿って互いにすべて縫着されている訳ではなく、下端部から所定の長さのみ、図示例で
は、全長の略1/2程度の長さの部分10に渡って下端部から縫着されている。この縫着
部分10の上部に位置する互いに縫着されていない部分は、後述するように、ボディスー
ツ1の着脱を行うためのものではなく、当該縫着部分10の長さは、必要に応じて、適宜
設定される、なお、この縫着部分10の上端部には、解れ止め等の処理が施されている。
【0025】
また更に、上記左右の中前身頃部材6a、6aの縫着されていない自由端6 a'、6a
'には、図19に示すように、これら左右の中前身頃部材6a、6aを互いに連結すると
ともに、当該左右の中前身頃部材6a、6aの連結幅を調節可能に設けられた複数の連結 20
部材11が設けられている。上記左右の中前身頃部材6a、6aの連結部には、その裏面
側に略全長にわたって補助布12、13が縫着されており、これらの左右の補助布12、
13のうち、一方の補助布12には、フック14が縦方向に沿って所定の間隔で縫い止め
られているとともに、他方の補助布13には、第1のアイ15と、第2のアイ16とから
なる複数のアイが、左右の中前身頃部材6a、6aの連結幅を調節可能なように、縦方向
に沿って所定の間隔で縫い止められている。
【0026】
さらに、上記左右の中前身頃部材6a、6aの縫着されていない自由端6 a'、6a
'には、図に上述したフック14及び第1、第2のアイ15、16によって、左右の中前
身頃部材6a、6aの連結幅を調節した後に、これらフック14やアイ15、16等が外 30
部から見えないように、当該左右の中前身頃部材6a、6aを互いに連結するファスナー
が縫着されている。
【0027】
さらに、ボディスーツ1は、図3に示すように、その股部17が体の前側部分17aと後
側部分17bの2つに分離されており、これらの体の前側部分17aと後側部分17bと
に分割された股部17には、当該前後の股部17a、17bを互いに連結するとともに、
当該体の前側部分17aと後側部分17bに分割された股部17の連結幅を調節可能に設
けられた複数の第2の連結部材18を備えるように構成されている。この複数の第2の連
結部材18は、一列のフック19と、二列のアイ20、21とから構成されており、フッ
ク19を係止するアイ20、21を変えることによって、前側部分17aと後側部分17 40
bの連結幅が調節可能となっている。
【0028】
以上の構成において、この実施の形態に係る女性用衣料では、次のようにし て、女性の
バストのサイズや形などに応じて、多種多様の女性用衣料を個々に用意することなく、個
人差を有する女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能などに対
応することが可能な女性用衣料を低コストにて提供することが可能となっている。
【0029】
すなわち、この実施の形態に係る女性用衣料としてのボディスーツ1は、図1及び図2に
示すように、女性のバスト部を覆うカップ部材3、4が、所定のサイズに設定されるとと
もに、当該カップ部材3、4には、必要に応じて、図示しないワイヤーボーンなどが用い 50
(6) JP 3996406 B2 2007.10.24
られ、女性のバスト部の補正機能等が付与されている。
【0030】
そして、上記ボディスーツ1は、図2に示すように、前面に設けられたファスナーを開く
とともに、フックとアイを外した状態で、従来のボディスーツ1と同様に、当該ボディス
ーツ1の背面側に必要に応じて設けられた図示しないファスナーを開いて着用する。次に
、このボディスーツ1では、女性のバストのサイズ等に応じて、フックを止めるアイとし
て、第1のアイか、第2のアイを選択し、フックをいずれかのアイに係止することにより
、左右の前身頃部材6a、6aによって、女性のバスト部を脇部側から中央部側に、尚か
つ下側から上側に向けてアップするようになっている。その後、ファスナーを閉めること
によって、ボディスーツ1の着用を完了する。 10
【0031】
また、上記ボディスーツ1は、図3に示すように、股部17に設けられたフック19とア
イ20、21によって、当該ボディスーツ1の微妙な丈の長さや、ヒップアップ状態など
を調節することも可能となっている。
【0032】
このように、上記ボディスーツ1は、左右の前身頃部材6a、6aの上側部分を連結する
フックを止めるアイとして、第1のアイか、第2のアイを選択することにより、左右の前
身頃部材6a、6aの上側部分が合わされる連結幅を調整することができ、女性のバスト
部を脇部側から中央部側に、尚かつ下側から上側に向けてアップする度合いを変化させる
ことができる。そのため、上記ボディスーツ1は、同一のボディスーツでも、女性のバス 20
ト部のサイズや求める補正機能に応じて、フックを止めるアイを選択することにより、女
性のバスト部のサイズや求める補正機能に種々対応することができる。したがって、上記
ボディスーツ1は、同一のボディスーツでも、女性のバストのサイズや求める補正機能に
種々対応することができるので、女性のバストのサイズ等に応じて、多種多様の製品を製
造する必要がなく、女性のバストのサイズ等に応じて、従来の1/2程度の種類の製品を
製造しておくことで、個人差を有する女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストアッ
プ等の補正機能など、多種多様なニーズに対応することが可能であり、従来に比較して同
一のボディスーツ1で対応できる幅が広がるため、女性のバストのサイズ等に応じた製品
の種類を少なくすることができ、ボディスーツ1等の女性用衣料の低コスト化をも実現す
ることができる。 30
【0033】
実施の形態2
図4はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同
一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、女性用衣料として、前記実施の形
態1と異なり、本発明をブラジャーに展開したものである。
【0034】
すなわち、この実施の形態2に係るブラジャー21は、図4に示すように、従来のブラジ
ャー21と同様に、女性の体のバスト部を覆うカップ部材22を備えており、このカップ
部材22は、左右のカップ部23、24と、当該左右のカップ部23、24の下側に縫着
される下辺連結布25とから形成されている。ま た、上記下辺連結布25としては、図 40
5に示すように、例えば、ストレッチ性を有するメッシュ地やレース地などが用いられる
とともに、当該下辺連結布25の下端縁は、図4に示すように、後述する左右の前身頃部
材26b、26bより も、わずか下方に位置するように設定されている。
【0035】
上記左右のカップ部23、24は、従来のブラジャーと同様に、所定の形状に裁断された
表布と裏布、あるいは表布と裏布の間にパッド部材を介在させた状態で縫着されている。
また、上記左右のカップ部23、24の下端縁には、必要に応じて、ワイヤーボーンが袋
状に縫い止めされている。ただし、上記カップ部材23、24は、通常のブラジャー等と
異なり、その左右の両端部のみが、ブラジャー21の脇部に縫着されている。
【0036】 50
(7) JP 3996406 B2 2007.10.24
また、上記ブラジャー21は、図4に示すように、カップ部材22の表面側に配置され、
前記バスト部の左右の各脇部からバスト下部の中央部にかけて設けられる左右の前身頃部
材としての左右の上部パネル26b、26bを備えている。上記左右の上部パネル26b
、26bは、図6に示すように、上辺がカップ部材22の行寸法よりも短く、しかも下辺
も下辺連結布25のアンダーよりも短く設計されている。上記上部パネル26b、26b
の上端部は、肩紐部材と一体的に形成されているとともに、当該上部パネル26b、26
bの左右両端部は、カップ部材22の両端部と縫着された状態で、更に、体の背面側に位
置する図示しない背面側のパネルと一体的に縫着されている。また、この上部パネル26
b、26bの左右両端部を延長し、当該上部パネル26b、26bの左右両端部がそのま
ま背面側のパネルを構成するようにしても良い。 10
【0037】
さらに、上記ブラジャー21では、上部パネル26b、26bとして伸縮性を有する素材
を使用するのが望ましいが、この上部パネル26b、26bとして は、図7や図8に示
すように、複数の領域に分けて伸縮性やテンション等のパワーを切り替えて、例えば、白
地の部分は伸縮性を弱くソフトに設計し、斜線の部分は伸縮性を中位に設計し、格子の部
分は伸縮性を強く設定し、バストのアンダー部分近傍を強く抑えるように構成するのが、
より一層望ましい。
【0038】
また、上記ブラジャー21では、図4に示すように、左右の上部パネル26 b、26b
をバスト下部の中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の上部パネル26b、2 20
6bの連結幅を調節可能に設けられた複数の連結部材27を備えている。この複数の連結
部材27としては、図9に示すように、フックとアイからなるものの他、2段等の複数段
のファスナーや、帽子の後ろの部分に使用されるような連結幅を調節可能なワンタッチ具
などが用いられる。
【0039】
このように構成することにより、ボディスーツではなく、ブラジャー単独であっても、女
性のバストのサイズや形などに応じて、多種多様の女性用衣料を個々に用意することなく
、個人差を有する女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能など
に対応することが可能な女性用衣料を低コストにて提供することが可能となっている。
【0040】 30
なお、上記ブラジャー21としては、図10に示すように、女性の体のバスト部分だけで
はなく、女性の体の胃の部分やウエスト部分に掛けて覆うように構成したものであっても
良い。
【0041】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0042】
なお、前記実施の形態では、女性用衣料として、ボディスーツやブラジャーに適用した場
合について説明したが、これに限定されるわけではなく、この発明はキャミソール、レオ
タード、ワンピースタイプの水着等の女性用衣料に幅広く応用することが出来ることは勿
論である。 40
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、女性のバストのサイズや形などに応じて、多種
多様の女性用衣料を個々に用意することなく、個人差を有する女性のバスト等のサイズや
形、あるいはバストアップ等の補正機能などに対応することが可能な女性用衣料を低コス
トにて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の実施の形態1に係る女性用衣料としてのボディスーツを示す
構成図である。
【図2】 図2はこの発明の実施の形態1に係る女性用衣料としてのボディスーツを示す 50
(8) JP 3996406 B2 2007.10.24
構成図である。
【図3】 図3はこの発明の実施の形態1に係る女性用衣料としてのボディスーツの股部
を示す構成図である。
【図4】 図4はこの発明の実施の形態2に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す構
成図である。
【図5】 図5はこの発明の実施の形態2に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す構
成図である。
【図6】 図6はこの発明の実施の形態2に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す構
成図である。
【図7】 図7はこの発明の実施の形態2に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す構 10
成図である。
【図8】 図8はこの発明の実施の形態2に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す構
成図である。
【図9】 図9はこの発明の実施の形態2に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す構
成図である。
【図10】 図10はこの発明の実施の形態2に係る女性用衣料としてのブラジャーを示
す構成図である。
【図11】 図11はこの発明に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す説明図である
。
【図12】 図12はこの発明に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す説明図である 20
。
【図13】 図13はこの発明に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す説明図である
。
【図14】 図14は人体の乳房を示す説明図である。
【図15】 図15はこの発明に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す説明図である
。
【図16】 図16はこの発明に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す説明図である
。
【図17】 図17はこの発明に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す説明図である
。 30
【図18】 図18はこの発明に係る女性用衣料としてのブラジャーを示す説明図である
。
【図19】 図19はこの発明の実施の形態1に係る女性用衣料としてのボディスーツの
連結部を示す構成図である。
【符号の説明】
1:ボディスーツ(女性用衣料)、2:カップ部材、3、4:左右のカップ 部、5:下
辺連結布、6:前身頃部材、6b、6b:左右の中前身頃部材、1 4:フック、15、
16:第1、第2のアイ(連結部材)。
(9) JP 3996406 B2 2007.10.24
【図1】 【図2】
【図3】
【図4】 【図5】
(10) JP 3996406 B2 2007.10.24
【図6】 【図8】
【図7】 【図9】
【図10】 【図11】
(11) JP 3996406 B2 2007.10.24
【図12】 【図13】
【図14】 【図15】
(12) JP 3996406 B2 2007.10.24
【図16】 【図17】
【図18】 【図19】
(13) JP 3996406 B2 2007.10.24
̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶
フロントページの続き
審査官 植前 津子
(56)参考文献 実開平07−024915(JP,U)
特開平10−096104(JP,A)
特開平11−061508(JP,A)
登録実用新案第3062123(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/00-3/12
A41C 1/06
A41D 7/00
(別紙)
本件審決の理由の要旨
第1~第4 略
第5 当審の判断
5 1 提出された証拠の記載事項等
⑴ 甲1公報の記載を総合的に勘案すると、これには、次の発明が記載されている。
【甲1発明】
「 女性の乳房を覆う女性用スポーツ衣類において、女性の乳房を覆う乳房係合ポケ
ット12と、前記乳房係合ポケット12と独立して変位可能であり、当該乳房係合
10 ポケット12にオーバーフィットし、前記乳房の左右の各脇部から乳房の側部を覆
った状態で乳房の中央部にかけて設けられる2つの乳房支持フラップ13、14と、
前記2つの乳房支持フラップ13、14を乳房の中央部近傍で連結するとともに、
当該2つの乳房支持フラップ13、14の連結幅を調節可能に設けられた留め具手
段22とを備えた女性用スポーツ衣類。」
15 ⑵ 甲2公報、甲3公報、甲4公報の記載を総合的に勘案すると、甲2公報、甲3公
報、甲4公報には、それぞれ後記の事項が記載されている。
2 本件発明1について
⑴ 本件発明1と甲1発明を対比すると、本件発明1と甲1発明の一致点と相違点は、
次のとおりである。
20 【一致点】
「 少なくとも女性のバスト部を覆う女性用衣料において、前記少なくとも女性のバ
スト部を覆うカップ部材と、前記カップ部材と分離した状態で当該カップ部材の表
面側に配置され、前記バスト部の左右の各脇部からバストの側部を覆った状態でバ
ストの中央部にかけて設けられる左右の前身頃部材と、前記左右の前身頃部材をバ
25 ストの中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の前身頃部材の連結幅を調
節可能に設けられた複数の連結部材とを備えた女性用衣料。」
【相違点】
「 前記カップ部材と分離した状態で当該カップ部材の表面側に配置され、前記バス
ト部の左右の各脇部からバストの側部を覆った状態でバストの中央部にかけて設け
られる左右の前身頃部材と、前記左右の前身頃部材をバストの中央部近傍で互いに
5 連結するとともに、当該左右の前身頃部材の連結幅を調節可能に設けられた複数の
連結部材に関し、
本件発明1は、左右の前身頃部材が「バスト下部」の中央部にかけて設けられ、
連結部材が前記左右の前身頃部材を「バスト下部」の中央部近傍で互いに連結する
のに対し、
10 甲1発明は、乳房支持フラップ13、14が乳房係合ポケット12にオーバーフ
ィットし、留め具手段22におけるバストとの位置関係が「バスト下部」である特
定がない点。」
⑵ 判断
ア 本件発明1の「前身頃部材」及び「連結部材」の技術的意義について
15 まず、本件各発明は、「ブラジャーやボディスーツ等の女性用衣料の場合に
は、女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能に対応
するため、各種のバストのサイズや形に応じて素材を裁断(カット)したり、
バストパッドをモールド成型し、これらの素材をバストパッド等とともに縫製
しなければならず、女性のバストのサイズや形などに応じて、多種多様の女性
20 用衣料を製造する必要があるため、大幅にコストがかかる」(本件明細書の
【0006】)ということを課題としている。
そして、本件発明1は、課題を解決するために、「女性のバスト部を覆うカ
ップ部材の表面側に、左右の前身頃部材を配置し、前記左右の前身頃部材をバ
スト下部の中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の前身頃部材の連
25 結幅を、複数の連結部材によって調節可能とすること」としており(同【00
09】)、それにより、「左右のバストの引き寄せ効果を高める」(同【00
10】)というバストアップ等の補正機能について言及している。
また、本件発明1の女性用衣料のボディスーツ1は、「左右の前身頃部材6
a、6aの上側部分を連結するフックを止めるアイとして、第1のアイか、第
2のアイを選択することにより、左右の前身頃部材6a、6aの上側部分が合
5 わされる連結幅を調整することができ、女性のバスト部を脇部側から中央部側
に、尚かつ下側から上側に向けてアップする度合いを変化させることができる」
(同【0032】)ものであるため、「従来に比較して同一のボディスーツ1
で対応できる幅が広がるため、女性のバストのサイズ等に応じた製品の種類を
少なくすることができ、ボディスーツ1等の女性用衣料の低コスト化をも実現
10 することができる」(同【0032】)とされる。
さらに、本件発明1の女性用衣料のブラジャー21は、「カップ部材22の
表面側に配置され、前記バスト部の左右の各脇部からバスト下部の中央部にか
けて設けられる左右の前身頃部材としての左右の上部パネル26b、26bを
備えて」(同【0036】)おり、また、「左右の上部パネル26b、26b
15 の連結幅を調節可能に設けられた複数の連結部材27を備えて」(同【003
8】)おり、「このように構成することにより、ボディスーツだけではなく、
ブラジャー単独であっても、女性のバストのサイズや形などに応じて、多種多
様の女性用衣料を個々に用意することなく、個人差を有する女性のバスト等の
サイズや形、あるいはバストアップ等の補正機能などに対応することが可能な
20 女性用衣料を低コストにて提供することが可能となっている」(同【003
9】)とされる。
そうすると、本件発明1のものが、「前記カップ部材と分離した状態で当該
カップ部材の表面側に配置され、前記バスト部の左右の各脇部からバストの側
部を覆った状態でバスト下部の中央部にかけて設けられる左右の前身頃部材と、
25 前記左右の前身頃部材をバスト下部の中央部近傍で互いに連結するとともに、
当該左右の前身頃部材の連結幅を調節可能に設けられた複数の連結部材とを備
えた」ことによる技術的意義は、左右の前身頃部材をバスト下部の中央部近傍
にて複数の連結部材によって連結して、左右の前身頃部材の連結幅を調節する
ことにより、それぞれのバストの側部のバスト側面に当接して左右のバストを
引き寄せるとともに、左右のバスト下部のバスト下面に当接して、バストを下
5 側から上側に向けてアップさせる(持ち上げる)ことができるため、女性のバ
ストのサイズや形などに応じて、多種多様の女性用衣料を個々に用意すること
なく、個人差を有する女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストアップ等
の補正機能などに対応することが可能な女性用衣料を低コストにて提供するこ
とが可能となっていることと理解できる。
10 イ 甲1発明の「乳房支持フラップ13、14」及び「留め具手段22」について
次に、甲1発明の「乳房支持フラップ13、14」及び「留め具手段22」に
ついて検討する。
甲1公報には、課題に関して、「…運動や体力の人気が高まるにつれて、こ
の活動に従事する女性は、乳房の動きによって引き起こされる痛みや不快感を
15 経験することがよくある。不快感の1つの形態は、胸と乳首を衣服に擦り付け
てこすりつけることから生じる。…」旨が記載されており、甲1発明は、女性
が運動に従事する際に、乳房の動きによって痛みを引き起こされることを課題
としていることが分かる。
そして、この課題を解決するための手段に関して、「…図2および図3に最
20 もよく見られるように、乳房係合ポケット12は、2つの乳房支持フラップ1
3および14によってオーバーフィットされている。」、「フラップは、フラ
ップ14の端部25にあるテーパー部20を、フラップ13の端部27に隣接
して取り付けられたループ21に通すことによって、一緒に固定されるか、ま
たは相互接続される。テーパー部20がループ21を通ってさらに引っ張られ、
25 または締め付けられ、それ自体の上に戻って取り付けられると、内向きの圧力
または圧縮力が生じ、図6に示されるように、乳房を胸に向かって、そしてい
くらか互いに向かって押しつける。」、「締め付けられたときにフラップ13
および14によって及ぼされる支持圧力にもかかわらず、ライナー11および
フラップ13および14は、少なくとも乳房および乳房係合ポケット12に隣
接する領域において、互いに独立して変位可能である。ライナー11が、締め
5 付けられた状態でもフラップ13および14に対して相対的に動く能力は、そ
うでなければフラップ13および14によって完全に拘束されない乳房の動き
によって生じる擦れによる刺激から乳房を保護する。」、「フラップ14のテ
ーパー部20がそれ自体の上に引き戻され、フラップ13および14を締め付
けるとき、面ファスナーのような解放可能かつ調節可能な留め具手段22が、
10 フラップを固定するために使用される…緩みが生じると、解放可能で調節可能
な留め具手段22は、着用者の運動中であっても、締め付け圧力を容易に調節
することを可能にする。…」、「女性が本発明による衣服を着用すると、前身
頃のフラップを締めることによって乳房にかかる圧縮力または締め付け力にも
かかわらず、内側のライナーが乳房と乳首を擦れから保護する。 …従って、外
15 側のフラップは、乳房の過剰な動きを排除し、組織の損傷、ひいてはたるみを
防止するのに有効であ」る旨が記載されており、「乳房支持フラップ13、1
4」が乳房係合ポケット12にオーバーフィットし、乳房および乳房係合ポケ
ット12に隣接する領域を締め付け、「留め具手段22」によって固定するこ
とで、内向きの圧力を発生させ、乳房の過度の動きを防ぐという課題を解決し
20 ていると認められる。
そうすると、甲1発明のものは、「乳房支持フラップ13、14」を乳房係
合ポケット12にオーバーフィットするよう配置し、「乳房支持フラップ13、
14」が乳房全体を覆って締め付けることで、乳房の過度の動きを防ぐもので
あるから、個人差を有する女性のバスト等のサイズや形、あるいはバストアッ
25 プ等の補正機能などに対応するものではない。よって、当該「乳房支持フラッ
プ13、14」をバスト下部の中央部にかけて設けることとすることは、当業
者が想到するものではない。そして仮に、「乳房支持フラップ13、14」が
乳房全体を覆う構成からバスト下部を覆う構成に変更した場合、少なくとも乳
房を押し付ける範囲が減ることに伴い、十分に乳房の動きを拘束できなくなり、
課題が解決できなくなることは明らかであるから、このような変更には阻害要
5 因があるといえる。
さらに、当該「内向きの圧力」に関して、「…テーパー部20がループ21
を通ってさらに引っ張られ、または締め付けられ、それ自体の上に戻って取り
付けられると、内向きの圧力または圧縮力が生じ、図6に示されるように、乳
房を胸に向かって、そしていくらか互いに向かって押しつける。」旨が記載さ
10 れており、「内向きの圧力」は乳房を胸に向かって押し付ける方向であるとい
えるとともに、「フラップを一緒に締めると、乳房の重量によって引き起こさ
れる垂直方向の負荷とは無関係に内向きの圧力が発生し、それによって過度の
動きを防ぐ。…」、「…フラップ13および14を締め付けることによって生
じる内向きの圧力または圧縮力は、乳房の重さによって及ぼされる下向きの圧
15 力による…いかなる垂直方向の負荷からも独立している。」旨が記載されてお
り、「内向きの圧力」は乳房の重量によって引き起こされる垂直方向の負荷と
は無関係であるといえる。
このような内向きの圧力については、甲1発明の「乳房支持フラップ13、
14」及び「留め具手段22」を、乳房の上下方向における中央位置に設ける
20 ことにより、より有利に生じさせることができるものである。このことは、甲
1公報の図1及び図3に図示された態様とも整合する。
また、甲1公報には、「締め付けられたときにフラップ13および14によ
って及ぼされる支持圧力にもかかわらず、ライナー11およびフラップ13お
よび14は、少なくとも乳房および乳房係合ポケット12に隣接する領域にお
25 いて、互いに独立して変位可能である。ライナー11が、締め付けられた状態
でもフラップ13および14に対して相対的に動く能力は、そうでなければフ
ラップ13および14によって完全に拘束されない乳房の動きによって生じる
擦れによる刺激から乳房を保護する。」、「…女性が本発明による衣服を着用
すると、前身頃のフラップを締めることによって乳房にかかる圧縮力または締
め付け力にもかかわらず、内側のライナーが乳房と乳首を擦れから保護する。
5 前述のように、ライナーと支持フラップは、互いに独立して相対的に変位可能
である。従って、外側のフラップは、乳房の過剰な動きを排除し、組織の損傷、
ひいてはたるみを防止するのに有効であり、ライナーは、乳房の動きが実質的
に完全に排除されたとしても存在するであろう、拘束されない乳房の動きの残
り、及び足の打撃による衝撃に起因する乳房の振動運動から生じるであろう擦
10 れを防止するのに有効である」旨が記載されており、これらの記載から、ライ
ナー11は当該擦れを防止するべく乳房に追従して上下動しており、一方で、
乳房支持フラップ13、14は乳房の過剰な動きを排除するべく上下動せずに
ひたすら圧力をかけていることが理解できる。この点を踏まえると、「乳房支
持フラップ13、14」及び「留め具手段22」は、乳房の上下方向に対して、
15 上方や下方に偏って設けないものであると認められる。
そうすると、内向きの圧力により乳房の過度な動きを防ぐ甲1発明の「乳房
支持フラップ13、14」及び「留め具手段22」は、乳房の上下方向におけ
る中央位置に設けることが有利なものであるが、これは、左右のバスト下部の
バスト下面に当接して、バストを下側から上側に向けてアップさせる(持ち上
20 げる)ために、「前身頃部材」及び「連結部材」をバスト下部に配置する本件
発明1とは、技術思想において相違するものである。
したがって、「乳房支持フラップ13、14」及び「留め具手段22」を、
乳房の上下方向に対して下方に偏って設けることに阻害要因があり、甲1発明
に基づいて、「バスト下部」の配置を想到するものではない。
25 ウ 甲2公報、甲3公報、甲4公報に記載された事項との組合せについて
(ア) 甲2公報、甲3公報について
a まず、甲2公報と甲3公報について、後記のとおり、甲2公報の記載事項
の延長部18、19と、甲3公報の記載事項の2つのタブ状部分13、13
は、作用、機能が全く異なるものであり、この2つの記載事項に基づいて、
周知技術を導くことはできない。以降では、甲1発明と甲2公報の記載事項
5 の組合せ、甲1発明と甲3公報の記載事項の組合せについて検討する。
b 甲2公報には、次の事項が記載されている。
「 前面部材10と背面部材11とを備えたブラジャーであって、前記背面部
材11に延長部18、19を設け、前記延長部18のストラップ20を、前
記延長部19のストラップ21に連結して固定し、前記ブラジャーの位置を
10 維持する。」
しかし、甲2公報の記載事項の延長部18、19はブラジャーの位置を維
持するためのものであるから、甲1発明の乳房支持フラップ13、14と作
用、機能が全く異なるものであり、甲2公報の記載事項の延長部18、19
は、甲1発明の乳房支持フラップ13、14に対応するものとはいえず、甲
15 1発明の乳房支持フラップ13、14をバスト下部に位置させるように換え
る動機付けを示唆するものではない。
そうすると、甲1発明において、甲2公報の記載事項を参考にしても、乳
房支持フラップ13、14を、本件発明1の、上記相違点に係る位置とする
ことに、想到し得たものとはいえない。
20 c 甲3公報には、次の事項が記載されている。
「 ブラジャーの背面にアイレット及びレーシングを採用するものであって、
前記ブラジャーの背中を横切るように延びる部分12からなる、布製の背面
被覆部分11を提供し、対向するテーパー状のタブ状部分13が設けられ、
このタブ状部分13は部分12の下縁からブラジャーの前面まで延びており、
25 前記タブ状部分13は前記背面被覆部分11の一部であり、これらのタブの
端部にテープ部材14が接続され、前記テープ部材14を前面部で結ぶこと
で、前記アイレット及び前記レーシングを見えないように被覆部分の背中部
分12が覆いかぶさるようにするとともに、前記被覆部分を伸ばして前記テ
ープ部材14を結ぶことで着用者の背中が圧迫され、この部分の肉の膨らみ
を滑らかにする。」
5 しかし、甲3公報の記載事項のタブ状部分13は、被覆部分を伸ばしてテ
ープ部材14を結ぶことでアイレット及びレーシングを見えないようにする
とともに着用者の背中の肉の膨らみを滑らかにするためのものであるから、
甲1発明の乳房支持フラップ13、14と作用、機能が全く異なるものであ
り、甲3記載事項のタブ状部分13が、甲1発明の乳房支持フラップ13、
10 14に対応するものとはいえず、甲1発明の乳房支持フラップ13、14を
バスト下部に位置させるように換える動機付けを示唆するものではない。
そうすると、甲1発明において、甲3公報の記載事項を参考にしても、乳
房支持フラップ13、14を、本件発明1の、上記相違点に係る位置とする
ことに、想到し得たものとはいえない。
15 (イ) 甲4公報について
甲4公報には、次の事項が記載されている。
「 バストと、アンダーバストから上腹部にかけてのボディラインを美しく補
整するために着用されるファンデーションであって、前記ファンデーション
は、バストカップ1aを有するブラジャー前部1と、このブラジャー前部1
20 の下方に連続する上腹密着部2と、背開き用係止布部3とが、伸縮布地によ
り一体に形成され、前記ブラジャー前部1及び上腹密着部2の左右脇部分に、
前記伸縮布地よりも伸縮率の小さい伸縮布地を用いた前開きの補整用前布5
の一端がそれぞれ連接され、前記補整用前布5の係止用他端部には、1列5
個のフック6aが3列、このフック6aが係止されるアイ6bが3列設けら
25 れ、前記フック6aとアイ6bとを係止させることで、ブラジャー前部1と
上腹密着部2とを構成する伸縮布地の伸長を抑制し、前記フック6aとアイ
6bとの係止位置を漸次中央側に移動させることにより、ブラジャー前部1
と上腹密着部2と、バスト及びアンダーバストから上腹部に連続する部分と
の密着度を調整することができ、前記補整用前布5により前記伸縮布地の伸
長を適度に抑制して、体を無理なく締付けて、体型を補整する。」
5 甲1発明は、上記イで検討したとおり、女性が運動に従事する際に、乳房
の動きによって痛みを引き起こされるという課題を解決するために、甲1発
明の乳房支持フラップ13、14で乳房係合ポケット12を締め付け、留め
具手段22によって固定することで、内向きの圧力を発生させ、乳房の過度
の動きを防ぐものであり、一方、甲4には、バストと、アンダーバストから
10 上腹部にかけてのボディラインを美しく補整するという課題(甲4 公報の
【0001】、【0004】)を解決するために、フック6a及びアイ6b
を係止して、補整用前布5により上腹密着部2を締め付けている。
そうすると、両者の課題は異なるし、両者の締め付け位置はその課題を解
決することに直結するものであるから、甲1発明において、甲4公報の記載
15 事項を参考にしても、留め具手段22を、本件発明1の、上記相違点に係る
位置とすることに、想到し得たものとはいえない。
⑶ 本件発明1についてのまとめ
上述したとおり、上記相違点は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲
1発明ではなく、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知
20 識を有する者が、甲1発明、甲2公報、甲3公報、甲4公報の各記載事項に基づい
て容易に発明をすることができたものでもない。
2 本件発明2、3、5について
本件発明2、3、5の各発明は、いずれも本件発明1の発明特定事項を全て備える
ものであり、本件発明1は、上記1で述べたように、本件特許出願前にその発明の属
25 する技術の分野における通常の知識を有する者が、甲1発明、甲2公報、甲3公報、
甲4公報の各記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、
本件発明2、3、5の各発明も同様に、本件特許出願前にその発明の属する技術の分
野における通常の知識を有する者が、甲1発明、甲2公報、甲3公報、甲4公報の各
記載事項、甲5から甲8までの各記載事項に基づいて容易に発明をすることができた
ものではない。
5 以 上
甲第1号証の2
US 4,325,378 の翻訳文
US 4,325,378
Sports garment スポーツウェア(衣類)
Abstract 要約
A womens' sports garment, in the ブラジャーの一般的な形の女性用スポ
general form of a brassiere, for use when ーツウェアで、身体活動、特にジョギ
engaged in physical activity, and in ングに従事するときに使用します。衣
particular, jogging. The garment 服はサポートを提供すると同時に、過
provides support, and at the same time, 度の乳房の動きによって引き起こされ
protects the wearer from experiencing る不快感や怪我を経験することから着
discomfort or injury caused by excessive 用者を保護する。衣服は、ライナーに
breast movement. The garment オーバーフィットするインナーライナ
comprises an inner liner and outer ーおよびアウターブレスト支持フラッ
breast supporting flaps overfitting the プを含み、インナーライナーおよびア
liner, the inner liner and outer flaps ウターフラップは、少なくとも乳房に
being independently displaceable, at 隣接する領域において独立して変位可
least in the area adjacent the breasts, 能であり、フラップは調節可能に締め
and the flaps being adjustably cinchable. ることが可能である。ライナーには、
The liner may be provided with breast ブラジャーの一般的な形態の胸部係合
engaging pockets in the general form of ポケットを設けてもよい。ライナー
a brassiere. The liner may have shoulder は、ショルダーストラップを有しても
straps and may also have an elastic よく、また、支持ポケットの下に配置
member disposed below the supporting された弾性部材を有してもよい。2 つ
pockets. The two supporting flaps may の支持フラップは、胸の係合ポケット
be connected to the lining behind the の後ろの裏地に接続できる。フラップ
breast engaging pockets. When the flaps を一緒に締めると、乳房の重量によっ
are cinched together an inward て引き起こされる垂直方向の負荷とは
pressure, independent of any vertical 無関係に内向きの圧力が発生し、それ
loads caused by the weight of the によって過度の動きを防ぐ。ライナー
breasts, is created, thereby preventing の動きは、支持フラップとは無関係
excessive movement. Movement of the に、擦れによる刺激を実質的に排除す
liner, independently of the supporting る。
flaps, substantially eliminates irritation
due to chafing.
Description
BACKGROUND OF THE INVENTION
This invention relates to sports 発明の背景
garments in general, and in particular to 本発明は、スポーツ衣料品全般に関
a sports garment for women which し、特に、身体活動中に快適な乳房支
provides comfortable breast support 持を提供し、過度の乳房の動きを防止
during physical activity, by preventing し、かつ、そうでなければ防止できな
excessive breast movement, and which い乳房の動きから生じる擦れ等による
substantially eliminates irritations from 刺激を実質的に排除する女性用スポー
chafing and the like, which would ツ衣料に関する。
otherwise result from those movements
of the breast which cannot be prevented.
As exercise and physical fitness in 米国では一般的に運動や体力の人気が
general become more popular in the 高まるにつれて、この活動に従事する
United States, women who engage in 女性は、乳房の動きによって引き起こ
this activity often experience pain and される痛みや不快感を経験することが
discomfort caused by breast movement. よくある。不快感の 1 つの形態は、胸
One form of discomfort results from と乳首を衣服に擦り付けてこすりつけ
chafing and rubbing of the breasts and ることから生じる。ジョギングに関連
nipples against clothing. Such a するそのような状態が特定され、「ジョ
condition associated with jogging has ガーの乳首」として指定されていま
been identified, and designated as す。乳房組織のたるみや裂け目は、運
"Jogger's Nipple". Sagging and tearing of 動やスポーツ活動中に乳房が不十分に
breast tissue can also occur when 支えられている場合にも発生する可能
breasts are inadequately supported 性がある。
during exercising and sports activity.
As an avid jogger, I sought a garment 熱心なジョギングをしていた私は、必
which would provide the necessary 要なサポートと快適さを提供できる衣
support and comfort. I determined 服を探した。私はすぐに、従来のブラ
rather quickly that conventional ジャーは、スポーツ活動用に設計され
brassieres, even those purportedly たとされるものであっても、必要な種
designed for sports activities, were 類のサポートと保護を提供できないこ
incapable of providing the type of とに気づいた。従来のブラジャーを 2
support and protection required. I つ同時に着用して実験した。従来のブ
experimented by wearing two ラジャーの無数の組み合わせの試行に
conventional brassieres simultaneously. もかかわらず、適切で使いやすい配置
Notwithstanding the trials of uncounted を作製することができなかった。多く
numbers of combinations of conventional の組み合わせが最初は快適で、十分な
brassieres, I was unable to produce a サポートを提供しているように見えた
suitable, convenient to use arrangement. が、しばらくすると、ある種の緩みが
I learned that many combinations 生じていることを学んだ。この緩みは
seemed comfortable at first, providing 当初の有益な効果を完全に打ち消し、
ample support, but that after a time, a 補償することができなかった。斬新な
certain looseness developed. This 取り決めが必要であることが明らかに
looseness completely negated the なった。私が問題を考えたとき、私は
initially beneficial effects, and could not 激しい身体活動が主に発汗によって体
be compensated for. It became apparent 液の実質的な損失をもたらすことに気
that a novel arrangement would be づいた。特に女性におけるこの体液喪
necessary. As I considered the problem, I 失の奇妙な影響は、乳房のサイズおよ
noted that vigorous physical activity び/または膨満感の減少である。乳房
resulted in substantial losses of body のサイズの変化を引き起こす他の状態
fluids, primarily through sweating. A も知られています。2 層または 2 つの
curious effect of this fluid loss, ブラジャー構成の最初の検討から作業
particularly in women, is a decrease in して、私はそれらの線に沿って衣服を
the size and/or fullness of the breasts. 構築した。内側のブラジャーまたはラ
Other conditions as well are known イナーは、柔らかく滑らかな素材で作
which cause changes in breast size. られており、多くの従来のブラジャー
Working from my initial considerations と同様に、前面に固定するのが望まし
of a double layer or double brassiere い。外側のブラジャー、または胸にフ
configuration, I constructed a garment ィットするフラップは、より強い素材
along those lines. The inner brassiere or で作られました。従来のクラスプの代
liner was made from a soft, smooth わりに、外側のフラップには簡単に調
material, preferably fastening in front, 整でき締めることの可能な接続が設け
as in many conventional brassieres. The られていたため、必要な量の支持圧力
outer brassiere, or flaps overfitting the を提供できました。身体活動が始ま
breasts, was made from a stronger り、胸が小さくなり、衣服の素材が伸
material. In place of a conventional びるにつれて、必要に応じて外側のフ
clasp, the outer flaps were provided with ラップの接続を解除し、きつく締める
an easily adjusted cinchable connection, のは簡単なことだと思った。ほとんど
so that the desired amount of supporting の女性は、運動中にプルオーバーシャ
pressure could be provided. As physical ツまたはスウェットシャツを着用する
activity commenced, causing the breasts ため、ブラジャーの調整には、合理的
to become smaller, and causing the なプライバシーの場所での身体活動の
garment material to stretch, I found it 停止が必要である。ジョギング中に発
an easy matter to release the connection 明を着るとき、たとえば、シャツの下
of the outer flaps, and recinch them に手を伸ばして、立ち止まることな
tighter, as often as necessary. く、恥ずかしがることなく衣服を調整
Most ,women wear pullover shirts or することができる。私の発明の内層と
sweat shirts while exercising, meaning 外皮弁の独立した動きを許可すること
that adjustment of a brassiere requires a により、内層は擦れから保護し、外皮
cessation of a physical activity in a place 弁は組織の損傷から保護する。締める
of reasonable privacy. When wearing my ことの可能な接続により、身体活動期
invention while jogging, I am able, for 間中、十分なサポートを維持できる。
example, to simply reach under my shirt
and adjust the garment without
stopping and without being
embarrassed. By permitted independent
movement of the inner layer and outer
flaps of my invention, the inner layer
protects against chafing and the outer
flaps protect against tissue damage. The
cinchable connection assures that ample
support can be maintained throughout
the period of physical activity.
The use of a double layer construction in コルセットなどの従来の基礎衣服にお
conventional foundation garments, such ける二重層構造の使用は知られてい
as corsets, is known. For example, U.S. る。例えば、米国特許第 1,659,281 号
Pat. No. 1,659,281 discloses a garment は、補強部材を含む背面部分と前部と
having a back part and a front part を有する衣服、両方の部品間の弾性イ
which contains stiffening members, ンサート、および後部の取り付け点の
elastic inserts between both parts, and a 両側から前部への後部の延長によって
covering for the front part formed by an 形成される前部のためのカバーを開示
extension of the back part from either している。
side of its point of attachment to the
front part.
U.S. Pat. No. 1,240,510 discloses a corset 米国特許第 1,240,510 号は、前縁が一
which combines a brassiere formed of 緒に取り付けられる2つの部材から形
two members, the front edges of which 成されたブラジャーと、後縁をコルセ
attach together, and an extensible fabric ットの内側背面に接続する伸縮可能な
connecting the back edges to the inner 布とを組み合わせたコルセットを開示
back of the corset, each member しており、各部材は、コルセットの上
extending a suitable distance above and 縁の上縁の上下に適切な距離を延ばし
below the upper edge of the corset. ている。
My invention comprises an inner liner 本発明は、ライナーにオーバーフィッ
and outer breast supporting flaps トするインナーライナーとアウターブ
overfitting the liner, the inner liner and レストサポートフラップを含み、イン
outer flaps being independently ナーライナーとアウターフラップは、
displaceable, at least in the area 少なくとも乳房に隣接する領域で独立
adjacent the breasts, and the flaps being して変位可能であり、フラップは調整
adjustably cinchable. 可能に締めることが可能である。
Despite the use of a double layer 二重層構造の使用にもかかわらず、こ
construction, neither of these references れらの参考文献のいずれも、少なくと
suggests the use of a lining having も乳房に隣接する領域において、乳房
breast engaging pockets which is 支持フラップを相互接続することによ
overfitted by interconnecting breast ってオーバーフィットされる乳房係合
supporting flaps, the lining and flaps ポケットを有するライニングの使用を
being independently displaceable, at 示唆していない。上記の参考文献は、
least in the area adjacent the breasts. 単に平らにするか持ち上げる方法で乳
The above references provide breast 房サポートを提供する。どちらの参照
support in a manner which either も、出願人の発明によって生じる内向
merely flattens or lifts. Neither きの圧力を提供し、擦れに対する保護
reference provides the inward pressure を提供しない。言及された参考文献は
which is created by applicant's invention また、主に腹部の平坦化を扱ってお
and neither provides protection against り、乳房のサポートは二次的な考慮事
chafing. The noted references also deal 項にすぎない。
primarily with flattening the abdominal
area and breast support seems to be only
a secondary consideration.
SUMMARY OF THE INVENTION 発明の概要
It is an object of this invention to 本発明の目的は、身体運動またはスポ
provide a sports garment which can ーツ活動に従事している間、乳房運動
protect against the development of によって引き起こされる身体的問題の
physical problems, caused by breast 発症から保護することができるスポー
movement, while engaged in physical ツ衣料を提供することである。
exercise or sports activity.
It is another object of this invention to 本発明の別の目的は、ブラジャーの一
provide a garment, in the general form 般的な形態において、ライナーにオー
of a brassiere, having an inner liner and バーフィットするインナーライナーお
supporting flaps overfitting the liner, the よび支持フラップを有し、ライナーお
liner and supporting flaps being よび支持フラップが、少なくとも乳房
independently displaceable, at least in に隣接する領域において独立して変位
the area adjacent the breasts. 可能である衣服を提供することであ
る。
It is a further object of this invention to 本発明のさらなる目的は、記載された
provide a garment as described, wherein ような衣服を提供することであり、こ
the supporting flaps may be adjustably こで、支持フラップは調節可能に挟ま
cinched. れ得る。
It is yet a further object of this invention 本発明のさらなる目的は、過度の乳房
to provide a garment as described which 運動を阻害し、擦れによって引き起こ
inhibits excessive breast movement and される刺激を実質的に排除する、記載
substantially eliminates irritations された衣服を提供することであり、こ
caused by chafing, wherein the cinching こで、必要とされる挟み込み力は、過
force required, to inhibit excessive 度の動きを阻害するために、調整可能
movement is both adjustable, and であり、乳房の重量による垂直荷重と
independent of vertical loads due to the は無関係であり、そして、挟み込み力
weight of the breasts, and wherein に関係なく、擦れが続く保護が提供さ
protection adainst chafing is provided れる。
irrespective of the cinching force. 本発明のさらなる目的は、身体活動の
It is yet a further object of this invention 過程において、プライバシーを必要と
to provide a garment as described せずに、締め付け力を容易に調整され
wherein the cinching force may be easily 得る、記載されたような衣服を提供す
adjusted, during the course of physical ることである。
activity and without the need for
privacy.
Briefly, these and other objects are 簡単に言えば、これらおよび他の目的
accomplished in accordance with the は、ライナーをオーバーフィッティン
principles of this invention by use of a グするインナーライナーおよび外側乳
garment in the general form of a 房支持フラップを含むブラジャーの一
brassiere comprising an inner liner and 般的な形態の衣服の使用によって本発
outer breast supporting flaps overfitting 明の原理に従って達成され、インナー
the liner, the inner liner and outer flaps ライナーおよび外側フラップは、少な
being independently displaceable, at くとも乳房に隣接する領域において独
least in the area adjacent the breasts, 立して変位可能であり、フラップは調
and the flaps being adjustably cinchable. 整可能に締めることが可能である。ラ
The liner may be provided with breast イナーには、ブラジャーの一般的な形
engaging pockets in the general form of 態の胸部係合ポケットを設けてもよ
a brassiere. The liner may have shoulder い。ライナーは、ショルダーストラッ
straps and may also have an elastic プを有してもよく、また、支持ポケッ
member disposed below the supporting トの下に配置された弾性部材を有して
pockets. The two supporting flaps may もよい。2 つの支持フラップは、胸の
be connected to the lining behind the 係合ポケットの後ろの裏地に接続でき
breast engaging pockets. When the flaps ます。フラップを一緒に締めると、乳
are cinched together an inward 房の重量によって引き起こされる垂直
pressure, independent of any vertical 方向の負荷とは無関係に内向きの圧力
loads caused by the weight of the が発生し、それによって過度の動きを
breasts, is created, thereby preventing 防ぐ。ライナーの動きは、支持フラッ
excessive movement. Movement of the プとは無関係に、擦れによる刺激を実
liner, independently of the supporting 質的に排除する。
flaps, substantially eliminates irratation
due to chafing.
The flaps secure in front in a manner フラップは簡単に締めることができる
which allows for easy cinching. In one ように前面に固定されている。好まし
preferred embodiment, one flap is い一実施形態において、一方のフラッ
provided with a tapered section, which is プはテーパー部を備え、これは他方の
passed through a loop attached to the フラップに取り付けられたループを通
other flap, and secured back on itself, by 過し、ベルクロ留め具(面ファスナ
Velcro fasteners or the like. The further ー)等によってそれ自体に固定され
the tapered section is cinched or pulled る。テーパーセクションが固定される
through the loop before being secured, 前にループを通して締め付けられるか
the more inward pressure or 引っ張られるほど、乳房にかかる内向
compression force is placed on the きの圧力または圧縮力が大きくなる。
breasts.
Persons wearing a sports garment 本発明の原理に従って構築されたスポ
constructed in accordance with the ーツ衣料を着用している人は、望まし
principles of this invention are able to くない乳房運動の結果としてそうでな
engage in vigorous physical activity, ければ発生するであろう問題から保護
while being protected from problems されながら、活発な身体活動に従事す
which would otherwise develop as a ることができる。
result of undesirable breast movement.
BRIEF DESCRIPTION OF THE
DRAWINGS 図面の簡単な説明
For the purposes of illustrating the 本発明を説明する目的で、現在好まし
invention, there are shown in the い形態を図面に示している;しかしな
drawings forms which are presently がら、本発明は正確な配置および手段
preferred; it being understood, however, に限定されないことが理解される。
that this invention is not limited to the
precise arrangements and
instrumentalities.
FIG. 1 is a front perspective view of a 図 1 は、固定された状態にある本発明
garment according to the present による衣服の正面斜視図である。
invention, in secured condition;
FIG. 2 is a front perspective view 図 2 は、本発明による、非固定状態に
according to the present invention, in おける正面斜視図である。
unsecured condition;
FIG. 3 is a side view of FIG. 1; 図 3 は、図 1 の側面図である。
FIG. 4 is a top view of FIG. 2, but 図 4 は、図 2 の上面図であるが、変形
illustrating a modified outer flap した外側フラップ構造を示す。
structure;
FIG. 5 is a section view taken along the 図 5 は、図 5 の線 5−−1 に沿った断面
line 5--5 of FIG. 1; and, 図である。そして
FIG. 6 is a section view similar to FIG. 5 図 6 は、図 5 に類似しているが、さら
but further cinched. に挟まれた断面図である。
DETAILED DESCRIPTION OF THE 好ましい実施形態の詳細な説明
PREFERRED EMBODIMENT
A women's sports garment in accordance 運動やスポーツなどの身体活動に従事
with this invention, for use by women している女性が使用するための、本発
while engaged in physical activity, such 明による女性用スポーツ衣類を図 1 に
as exercise and sports is shown in FIG. 1 示し、一般に数字 10 で指定する。現在
and generally designated by numeral 10. 好ましい実施形態では、この衣服は、
In the presently preferred embodiment, ブラジャーの一般的な形態である。こ
the garment is in the general form of a の衣服はインナーライナー11 からな
brassiere. The garment comprises an り、この衣服はインナーライナー11 か
inner liner 11, which is preferably made らなり、このインナーライナー11 は、
from any soft, smooth, or otherwise 好ましくは、任意の柔らかい、滑らか
suitable fabric, and may either be pulled な、または他の適切な生地から作ら
down over the head or have a れ、頭上に引き下げられるか、または
conventional detachable connection その前部に従来の取り外し可能な接続
means 23 at the front thereof and joined 手段 23 を有し、縫い目 19 に沿って背
at the back along seam 19. The liner 11 中で結合される。ライナー11 には、従
may be formed with breast engaging 来のブラジャーの構造について当該技
pockets 12, formed in the manner well 術分野で周知の方法で形成された乳房
known in the art for construction of 係合ポケット 12 を形成することができ
conventional brassieres. As can best be る。図 2 および図 3 に最もよく見られ
seen in FIGS. 2 and 3, breast engaging るように、乳房係合ポケット 12 は、2
pockets 12 are overfitted by two breast つの乳房支持フラップ 13 および 14 に
supporting flaps 13 and 14. Flaps 13 and よってオーバーフィットされている。
14 are preferably made from a heavier フラップ 13 および 14 は、好ましく
and/or stronger fabric than that of liner は、ライナー11 の生地よりも重いおよ
11. The flaps, in the presently preferred び/または強い生地から作られる。現
embodiment, are secured together, or 在好ましい実施形態では、フラップ
interconnected by passing a tapered は、フラップ 14 の端部 25 にあるテー
section 20, at the end 25 of flap 14, パー部 20 を、フラップ 13 の端部 27
through a loop 21, attached adjacent the に隣接して取り付けられたループ 21 に
end 27 of flap 13. As the tapered section 通すことによって、一緒に固定される
20 is further pulled or cinched through か、または相互接続される。テーパー
the loop 21, and, attached back on itself, 部 20 がループ 21 を通ってさらに引っ
an inward pressure or compressive force 張られ、または締め付けられ、それ自
is created, pressing the breasts toward 体の上に戻って取り付けられると、内
the chest, and somewhat toward one 向きの圧力または圧縮力が生じ、図 6
another, as shown in FIG. 6. As this に示されるように、乳房を胸に向かっ
cinching action increases, breast て、そしていくらか互いに向かって押
movement becomes more constrained. し付ける。この締め付け作用が大きく
With reference to FIG. 2, the breast なるにつれて、乳房の動きはより拘束
supporting flap 13 may be secured to the されるようになる。図 2 を参照する
liner 11, by stitching or other suitable と、乳房支持フラップ 13 は、ポケット
attachment means 15, at a point behind 12 の後方の点で、ステッチまたは他の
the pocket 12. Flap 14 may be secured in 適切な取り付け手段 15 によって、ライ
a fashion similar to flap 13, as shown in ナー11 に固定することができる。フラ
FIGS. 5 and 6. In this embodiment liner ップ 14 は、図 5 および図 6 に示すよ
11 is also provided with shoulder straps うに、フラップ 13 と同様の方法で固定
16. The inward pressure or compressive してもよい。この実施形態では、ライ
force created by cinching flaps 13 and ナー11 はショルダーストラップ 16 も
14, designated by arrows 30, as shown in 備えている。図 3 に示すように、矢印
FIG. 3, is independent of any vertical 30 で指定される、フラップ 13 および
loads, designated by arrows 32, due to 14 を締め付けることによって生じる内
downward pressure exerted by the 向きの圧力または圧縮力は、乳房の重
weight of the breasts. Thus, the flaps are さによって及ぼされる下向きの圧力に
effective, and the garment is effective, よる、矢印 32 で指定される、いかなる
even when in the form of what is 垂直方向の負荷からも独立している。
conventionally termed a strapless 従って、フラップは有効であり、衣服
brassiere. In either construction, the は、従来ストラップレスブラジャーと
dangers of sagging or torn breast tissue 呼ばれている形態であっても有効であ
is substantially eliminated. る。いずれの構造においても、乳房組
織がたるんだり破れたりする危険性は
実質的に排除される。
Notwithstanding the supporting 締め付けられたときにフラップ 13 およ
pressure exerted by flaps 13 and 14 び 14 によって及ぼされる支持圧力にも
when cinched, liner 11 and flaps 13 and かかわらず、ライナー11 およびフラッ
14 are independently displaceable with プ 13 および 14 は、少なくとも乳房お
respect to one another, at least in the よび乳房係合ポケット 12 に隣接する領
area adjacent the breasts and breast 域において、互いに対して独立して変
engaging pockets 12. The ability of the 位可能である。ライナー11 が、締め付
liner 11 to move relative to flaps 13 and けられた状態でもフラップ 13 および
14, even when cinched, provides 14 に対して相対的に動く能力は、そう
protection for the breast against でなければフラップ 13 および 14 によ
irritations caused by chafing which って完全に拘束されない乳房の動きに
would otherwise result from that よって生じる擦れによる刺激から乳房
movement of the breasts which is not を保護する。
fully constrained by flaps 13 and 14.
An elastic member 18 may be disposed 弾性部材 18 は、胸部係合ポケットの下
below the breast engaging pockets, 方に配置され、裏地 11 の底部に取り付
attached to the bottom of lining 11. This けられていてもよい。この弾性部材は
elastic member functions primarily to 主に、ライナー11 を身体に対して流線
keep the liner 11 against the body in a 型に保つように機能する。弾性部材 18
streamlined fashion. Elastic member 18 はまた、乳房をわずかに支えることも
may also provide a small measure of できる。
breast support.
When tapered section 20 of flap 14 is フラップ 14 のテーパー部 20 がそれ自
pulled back on itself, to cinch flaps 13 体の上に引き戻され、フラップ 13 およ
and 14, releasable and adjustable び 14 を締め付けるとき、面ファスナー
fastening means 22, such as a VELCRO のような解放可能かつ調節可能な留め
fastener, are used to secure the flaps. 具手段 22 が、フラップを固定するため
The cinching of flaps 13 and 14 is shown に使用される。フラップ 13 および 14
in FIGS. 1 and 5, and in particular, FIG. の締め付けは、図 1 および図 5、特に
6. As looseness develops the releasable 図 6 に示されている。緩みが生じる
and adjustable fastening means 22 と、解放可能で調節可能な留め具手段
allows for easy adjustment of the 22 は、着用者が運動中であっても、締
cinching pressure, even when the wearer め付け圧力を容易に調節することを可
is in the midst of physical activity. 能にする。さらに、この調節は、人前
Further, this adjustment can be made in で、服を脱ぐ必要なく、乳房を露出す
public, without the need to undress and ることなく行うことができる。
without exposing the breasts.
The liner 11 may contain a fastening ライナー11 は、図 3、図 5 及び図 6 に
means 19, as shown in FIGS. 3, 5 and 6, 示すように、締め付け手段 19 を含んで
which allows for a conventional いてもよく、これにより、衣服の従来
detachable connection of the garment. In の取り外し可能な接続が可能になる。
an alternative, the lining may be placed 代替案として、図 2 および図 4 に示す
on the body by pulling the garment 実施形態で必要となるように、頭上で
down over the head as would be 衣服を引き下げることによって裏地を
necessary with the embodiments shown 身体に配置してもよい。
in FIGS. 2 and 4.
Flaps 13 and 14 may take forms other フラップ 13 および 14 は、図 1〜3、図
than separate flaps attached to the sides 5 および図 6 の場合のように、ライナ
of liner 11, as is the case in FIGS. 1-3, 5 ー11 の側面に取り付けられた別個のフ
and 6. Another such embodiment is ラップ以外の形態をとってもよい。そ
illustrated in FIG. 4. In FIG. 4, the のような別の実施形態が図 4 に示され
adjustable breast supporting flaps are ている。図 4 において、調節可能な乳
the ends of a single band member 17, 房支持フラップは単一のバンド部材 17
which is connected to the back of liner 11 の端部であり、このバンド部材 17 は適
by suitable attachment means. Such 切な取り付け手段によってライナー11
suitable or attachment means may の背面に接続されている。そのような
comprise or be formed integrally with 適切な又は取り付け手段は、縫い目 19
seam 19. In this embodiment the liner から構成されてもよく、又は縫い目 19
11 may be a continuous band, と一体的に形成されてもよい。この実
notwithstanding connection means 23, 施形態では、ライナー11 は、例えば図
as shown, for example, in FIGS. 2 and 6. 2 および図 6 に示すように、接続手段
In a still further embodiment, not 23 にかかわらず、連続したバンドであ
shown, a single band member 17 may be ってもよい。図示されていない更なる
utilized and the liner may not be a 実施形態では、単一のバンド部材 17 が
continuous band member, but may be 利用されてもよく、ライナーは、連続
attached to the sides of the garment, by 的なバンド部材でなくてもよいが、接
connection means similar to connection 続手段 15 と同様の接続手段によって、
means 15, and extend over only the front 衣服の側部に取り付けられ、衣服の前
of the garment. 部上にのみ延在してもよい。
If, as a result of the particular physical 特定の身体活動に従事した結果、又は
activity engaged in, or as a result of 通常の磨耗の結果、ライナー及びフラ
normal wear and tear, one of the liner ップ又はバンド部材の一方が他方に対
and flaps or band member wears して過度に磨耗した場合、接続手段 15
excessively with respect to the other, は、磨耗した部材のみの交換を容易に
connection means 15 may comprise するために、ジッパー等で構成するこ
zippers or the like, to facilitate とができる。
replacement of only the worn member.
Although this invention has been 本発明は女性に関連して記載されてい
described in connection with women, it るが、ある種の男性は、年齢、病気、
should be understood that certain men, または身体的な内部疾患や状態の結果
as a result of age, sickness or internal として、平均的または正常と考えられ
physical ailments or conditions, る以上の乳房の発達を経験することが
experience breast development beyond 理解されるべきである。本発明はま
that which is considered average or た、そのような男性の使用にも適して
normal. This invention is also suitable いる。
for use by such men as well.
The unique advantages of this invention 本発明のユニークな利点は、女性がラ
might best be appreciated in the context ンニングやジョギングをする際に最も
of a women running or jogging. The よく理解されるかもしれない。体幹ま
rhythmic reciprocating or bouncing たは胸部のリズミカルな往復運動また
movements of the trunk or chest will はバウンド運動は、乳房を上下にバウ
cause the breasts to bounce up and ンドさせる。さらに、足を繰り返し打
down. Further, shocks transmitted つことによって身体に伝わる衝撃が、
through the body from repetitive foot さらなる乳房の動きや振動をもたら
strikes will result in additional breast す。乳房をサポートする衣服を着用せ
movement or vibration. If a women runs ずに走ると、乳房の動きが最大かつ過
without any breast supporting garments 大になり、最終的に支持組織がたるん
breast movement will be maximum and だり破れたりします。シャツやトレー
excessive, resulting eventually in ナー、ブラウスなどを着用すると、乳
sagging and torn supporting tissue. If a 房、特に乳首が生地と擦れて、「ジョガ
shirt, sweatshirt or blouse of some kind ーニップル」として知られる炎症状態
is worn, the breasts, and the nipples in を引き起こす。もちろん、この症状は
particular, will chafe against the fabric 乳房に対する布地の動きによっても悪
causing the irritation condition known 化する。
as "Jogger's Nipple". Of course, this
condition is also aggravated by
movement of the fabric relative to the
breasts.
If a woman wears any kind of 女性が従来のブラジャーを着用した場
conventional brassiere, breast movement 合、乳房の動きは、たとえわずかに抑
will still be excessive, even if marginally 制されていたとしても、依然として過
restrained, and chafing can still occur, 度であり、特にブラジャーが従来のデ
particularly if the brassiere is simply a ザインのブラジャーを単に強化したも
reinforced version of a conventionally のである場合、擦れが生じる可能性が
designed brassiere, which the present ある。
invention is not.
When a woman wears a garment in 女性が本発明による衣服を着用する
accordance with this invention, the と、前身頃のフラップを締めることに
inner liner protects the breasts and よって乳房にかかる圧縮力または締め
nipples from chafing notwithstanding 付け力にもかかわらず、内側のライナ
the compressive or cinching force which ーが乳房と乳首を擦れから保護する。
is applied to the breasts by tightening 前述のように、ライナーと支持フラッ
the front flaps. As noted, the liner and プは、互いに独立して相対的に変位可
supporting flaps are capable of relative 能である。従って、外側のフラップ
displacement, independently of each は、乳房の過剰な動きを排除し、組織
other. Accordingly, the outer flaps are の損傷、ひいてはたるみを防止するの
effective in eliminating excessive breast に有効であり、ライナーは、乳房の動
movement, preventing tissue damage きが実質的に完全に排除されたとして
and consequently sagging, and the liner も存在するであろう、拘束されない乳
is effective in preventing chafing which 房の動きの残り、および足の打撃によ
would otherwise result from that る衝撃に起因する乳房の振動運動から
remainder of breast movement which is 生じるであろう擦れを防止するのに有
not constrained, and from vibratory 効である。
movement of the breasts due to shocks
from foot strikes, which would be
present even if breast movement were
virtually completely eliminated.
The present invention may be embodied 本発明は、その精神または本質的な属
in other specific forms without departing 性から逸脱することなく、他の具体的
from the spirit or essential attributes な形態で具体化することができ、した
thereof, and, accordingly, reference がって、本発明の範囲を示すものとし
should be made to the appended claims, て、前述の明細書ではなく、添付の特
rather than to the foregoing 許請求の範囲を参照すべきである。
specifications as indicating the scope of
the invention.
I claim:
1. A sports garment for protecting and 1. 身体活動に従事する人の乳房を保護
supporting the breasts of a person および支持するためのスポーツ用衣服
engaged in physical activity, comprising: であって、以下のものを含む:
a torso encircling inner liner having 乳房受けポケットおよび肩ストラップ
breast receiving pockets and shoulder を有する、胴体を包囲するインナーラ
straps; イナーと
an elastic member disposed along インナーライナーの底部に沿って配置
the bottom of the inner liner, the inner された弾性部材であって、インナーラ
liner being so shaped that the elastic イナーは、使用時に、弾性部材が胴体
member is disposed, in use, against the に対して、乳房のカーブに沿って配置
torso and along the curve of the breasts; されるように形成されている、弾性部
材と
breast supporting flaps attached to 乳房受けポケットのそれぞれの後ろの
the inner liner at points behind each of 点でそれぞれインナーライナーに取り
the breast receiving pockets respectively, 付けられた乳房支持フラップであっ
the flaps overfitting the breast receiving て、フラップは乳房受けポケットをオ
pockets, the breast receiving pockets ーバーフィットし、それにもかかわら
being nevertheless independently ず、乳房受けポケットはフラップに対
displaceable relative to the flaps; and, して独立して変位可能である、支持フ
ラップ;および
means for releasably and adjustably フラップを解放可能かつ調節可能に締
cinching the flaps together, the cinched め付ける手段であって、締め付けられ
flaps being substantially fixed in たフラップは、胴体に対して実質的に
position relative to the torso, whereby 固定された位置にあり、それにより、
the flaps provide an inwardly directed フラップは、過剰かつ有害な乳房の動
pressure for constraining excessive and きを拘束するための内側に向けられた
harmful breast movement and the 圧力を提供し、インナーライナーの乳
breast receiving pockets of the inner 房受けポケットは、乳房とともに動
liner move together with the breasts and き、フラップによって拘束されない乳
provide protection against chafing from 房の動きによる擦れから保護する。
breast movement not restrained by the
flaps.
2. The garment of claim 1, wherein said 2. 前記フラップは、単一の部材の反対
flaps are opposite ends of a single 側の端部である、請求項 1 に記載の衣
member. 類。
3. The garment of claim 2, wherein said 3. 前記ライナーが前記バンドに固定さ
liner is secured to said band. れている、請求項 2 に記載の衣類。
4. The garment of claim 1, further 4. 前記フラップの一方を終端するテー
comprising a tapered section パー部と、前記フラップの他方の終端
terminating one of said flaps and an に隣接する取り付けループとをさらに
attachment loop adjacent the end of the 備え、前記テーパー部は、前記ループ
other of said flaps, said tapered section を通して挿入可能である、請求項 1 に
being insertable through said loop. 記載の衣類。
5. The garment of claims 1 or 4, wherein 5. 前記解放可能かつ調節可能な締め付
said releasable and adjustable cinching け手段が、ループパイル留め手段から
means comprises loop pile fastening なる、請求項 1 または 4 に記載の衣
means. 類。
6. The garment of claim 1, further 6. 前記ライナーの前部に配置された着
comprising detachable fastening means 脱可能な締め付け手段をさらに備え
disposed at the front of the liner. る、請求項 1 に記載の衣類。
最新の判決一覧に戻る