令和7(行ケ)10027審決取消請求事件
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| 裁判所 |
請求棄却 知的財産高等裁判所
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| 裁判年月日 |
令和8年1月26日 |
| 事件種別 |
民事 |
| 当事者 |
原告加藤電機株式会社 被告下西技研工業株式会社
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| 対象物 |
ヒンジ |
| 法令 |
特許権
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| キーワード |
実施45回 無効22回 審決18回 進歩性15回 新規性10回 特許権4回 無効審判2回 刊行物1回
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| 主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
| 事件の概要 |
1 特許庁における手続の経過等(当事者間に争いがないか、又は当裁判所に
顕著である。 |
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判決文
令和8年1月26日判決言渡
令和7年(行ケ)第10027号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 令和7年11月27日
判 決
原 告 加 藤 電 機 株 式 会 社
同訴訟代理人弁理士 伊 藤 捷 雄
小 林 慶 哉
被 告 下西技研工業株式会社
同訴訟代理人弁理士 千 原 清 誠
主 文
15 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
特許庁が無効2024-800001号事件について令和7年2月17日に
20 した審決を取り消す。
第2 事案の概要
1 特許庁における手続の経過等(当事者間に争いがないか、又は当裁判所に
顕著である。)
(1) 被告は、発明の名称を「ヒンジ」とする発明についての特許第7283
25 725号(請求項の数4。以下、この特許を「本件特許」といい、本件特許
に係る特許権を「本件特許権」という。)の特許権者であり、本件特許に係
る発明について、平成30年10月30日を出願日とする特許出願をし、令
和5年5月22日に本件特許権の設定登録がされたものである。
(2) 原告は、令和6年1月5日、被告を被請求人として、本件特許の請求項
1から4までに係る発明についての特許を新規性欠如・進歩性欠如の理由で
5 無効とすることを求める無効審判を請求し、特許庁はこれを無効2024-
800001号事件として審理を行った。
(3) 特許庁は、令和7年2月17日、「本件審判の請求は、成り立たない。」
との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は同月28日原告に
送達された。
10 (4) 原告は、令和7年3月31日、本件審決の取消しを求める本件訴えを提
起した。
2 本件特許に係る発明の概要
(1) 特許請求の範囲
本件特許の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである(以下、本件
15 特許の各請求項に係る発明を請求項番号に対応して「本件発明1」などとい
い、総称して「本件発明」という。請求項1の分説は、本件審決によるもの
であり、後記において「特定事項1A」のようにして参照する場合がある。)。
【請求項1】
1A カム部を備える第一ウイング部材と、
20 1B 一方端部に開口部を有し、他方端部に底部を有する筒状の部材であり、
前記開口部に繋がった収容部を備え、前記カム部を前記開口部付近に位
置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結さ
れる第二ウイング部材と、
1C 当接部を備え、前記収容部内に収容されつつ前記カム部に対して接近
25 する方向および離間する方向に移動可能なスライダと、
1D 前記スライダを前記接近する方向に付勢することにより前記当接部を
前記カム部に当接させる付勢部材と、を具備し、
1E 前記スライダは、前記第二ウイング部材の回動時に、前記付勢部材に
よる付勢により前記接近する方向に移動し、及び、前記カム部と前記当
接部との当接により前記離間する方向へ移動し、
5 1F 前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、
前記当接部と前記カム部との当接する部分が第二ウイング部材の収容部
内に位置し、
1G 前記第二ウイング部材は、前記開口部の縁部から前記スライダの移動
方向に沿って突出した突出部を有し、
10 1H 前記第一ウイング部材は、前記突出部を間に挟む一対の支持部を有し、
1I 前記突出部と、前記一対の支持部とには、前記回動軸が挿入される貫
通孔が設けられている、
1J ヒンジ。
【請求項2】
15 前記カム部は、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が
閉状態のとき、前記突出部と対向するように前記開口部から前記収容部内へ
延びた構成であり、先端部が前記当接部と当接する、
請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
20 前記回動軸の軸方向に垂直な前記第二ウイング部材の断面において、前
記スライダの移動方向に直交する幅方向に沿って前記収容部を挟む前記第二
ウイング部材の周壁部のうち、前記突出部が設けられた側は、他方側よりも、
前記幅方向の長さが大きい、
請求項1または請求項2に記載のヒンジ。
25 【請求項4】
前記当接部と前記カム部とは、互いの先端部からオフセットした位置で
当接し、
前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、
前記当接部と前記カム部との当接する部分が、少なくとも、前記スライダの
移動方向と直交する方向に対して20°の前記回動軸から引いた線よりも前
5 記スライダが前記離間する方向側に位置する、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のヒンジ。
(2) 本件特許に係る明細書等の記載事項
本件特許に係る明細書及び図面(甲1)の抜粋を、別紙「本件明細書等
の記載事項(抜粋)」に掲げる。これによれば、本件発明について以下のと
10 おりの事項が開示されているものと認められる(【】内は段落番号を表す。
以下同じ。)。
ア 技術分野
本件発明は、例えば事務機器の本体に事務機器の原稿圧着板を開閉可
能に連結する等、第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結す
15 るヒンジに関する(【0001】)。
イ 背景技術
従来、複写機、ファクシミリ、スキャナー等、オフィスで使用される
事務機器の多くは、その本体の上面に原稿読み取り部(コンタクトガラ
ス)を具備するとともに、当該原稿読み取り部を覆う原稿圧着板を具備
20 する。原稿圧着板は、原稿読み取り部に載置された原稿を原稿読み取り
部に密着させるとともに原稿読み取り部に対する原稿の位置を保持する
ものである(【0002】)。
事務機器の本体と原稿圧着板とを連結する器具としては、第一ウイン
グ部材と、第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第
25 二ウイング部材と、カム部と、当接部を備えカム部に接近または離間す
る方向に移動可能なスライダと、スライダをカム部に接近する方向に付
勢することによりスライダの当接部をカム部に当接させる付勢部材、を
具備するヒンジが知られている(【0003】)。
また、前記ヒンジには、第一ウイング部材がカム部を備え、第二ウイ
ング部材が収容部を備え、スライダが第二ウイング部材の収容部内に収
5 容されつつ第一ウイング部材のカム部に接近または離間する方向に移動
可能に構成されるものがある(【0003】)。
ウ 発明が解決しようとする課題
しかしながら、前記ヒンジには、スライダの当接部と第一ウイング部
材のカム部との当接する部分から引いた作用線に対する回動軸からの最
10 短距離(腕の長さ)を比較的長く構成されるものがある。このような構
成の場合、第二ウイング部材が閉状態の近傍においてはヒンジトルクが
高く、例えば、第二ウイング部材を開状態から閉状態とする際に作業者
の意思に反して第二ウイング部材が閉状態の手前で回動を停止して原稿
圧着板が本体に接地しない場合があった。このように、前記ヒンジでは、
15 第二ウイング部材を開状態から閉状態とする動作をスムーズに行うこと
ができない場合があった(【0005】)。
本件発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、第二ウイン
グ部材が閉状態の近傍においてヒンジトルクを低下させて、第二ウイン
グ部材を開状態から閉状態とする動作をスムーズに行うことができるヒ
20 ンジを提供することを課題とする(【0006】)。
エ 課題を解決するための手段
本件発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決
するための手段が請求項1から4までである(【0007】~【001
1】)。
25 オ 発明の効果
本件発明によれば、第二ウイング部材が閉状態の近傍においてヒンジト
ルクを低下させて、第二ウイング部材を開状態から閉状態とする動作を
スムーズに行うことができる(【0012】)。
3 甲第3号証記載の発明について
(1) 明細書の記載
5 原告が無効審判請求(前記1(2))において本件発明について新規性・進
歩性の欠如をいう無効理由のうち、後記の取消事由に関連する無効理由にお
いて主引用例としたのは、本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開
2012-168470号公報(甲3)であり、ここには別紙「甲第3号証
の記載事項(抜粋)」のとおりの記載がある。
10 (2) 本件審決が認定した甲第3号証記載の発明
本件審決は、甲第3号証記載の発明(以下「甲3発明」という。)を認定
したところ、その内容は別紙「甲3発明」記載のとおりである。本訴におい
て、甲3発明の認定について当事者間に争いはない。
4 本件審決の理由の要旨
15 原告(請求人)は、本件発明に係る特許の無効理由として、①本件発明1及
び2に対する、甲第2号証に記載された発明に基づく新規性欠如(無効理由
1)、②本件発明3に対する、甲第2号証に記載された発明(主引用発明)及
び甲第4号証に記載された技術的事項に基づく進歩性欠如(無効理由2ア)、
本件発明4に対する、甲第2号証に記載された発明(主引用発明)及び甲第4
20 号証から第6号証までに記載された技術的事項に基づく進歩性欠如(無効理由
2イ)、③本件発明1及び2に対する、甲3発明に基づく新規性欠如(無効理
由3)、④本件発明3に対する、甲3発明(主引用発明)及び甲第4号証に記
載された技術的事項に基づく進歩性欠如(無効理由4ア)、本件発明4に対す
る、甲3発明(主引用発明)及び甲第4号証から第6号証までに記載された技
25 術的事項に基づく進歩性欠如(無効理由4イ)を主張したところ、本件審決は
これらの無効理由はいずれも理由がないと判断した。後記の取消事由に関連す
る本件審決の理由の要旨は、以下のとおりである。
(1) 無効理由3
本件審決は、本件発明と甲3発明の間に以下の相違点9を認め、本件発
明1は甲3発明であるとはいえないとし、本件発明2は本件発明1に従属す
5 ることから同様であるとして、新規性欠如の無効理由を認めなかった。
【相違点9】(特定事項1G~1I関係)
第一ウイング部材に有された支持部、及び第二ウイング部材に有された
(前記開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿った位置に存在する)
部位について、本件発明1は、前記部位が前記スライダの移動方向に沿って
10 突出した突出部であって、前記支持部が前記突出部を間に挟むものであるの
に対し、甲3発明は、前記部位がアーム支持突起16・17であって、前記
支持部が第一カム部22と第二カム部23であるが、第一カム部22と第二
カム部23は、アーム支持突起16・17を間に挟むものとはいえず、その
支持の仕方が、回動ピン30の胴体部31は、左方向から右方向に向かって
15 ケース10のアーム支持突起16に形成された貫通孔16a及びアーム20
の第一カム部22に形成された貫通孔22bに貫装され、次いで「アーム2
0の第一カム部22及び第二カム部23で挟まれる空間」を通り、続いて
アーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23b及びケース10の
アーム支持突起17に形成された貫通孔17aに貫装されるようにするもの
20 であって、前記部位が前記スライダの移動方向に沿った位置に存在する部位
である点。
(2) 無効理由4
ア 本件審決は、後記イのとおり、甲3発明から出発した当業者が、甲3発
明及び甲第4号証から第6号証までに記載された技術的事項に基づいて、
25 相違点9に係る本件発明3の構成に至るとはいえず、他の相違点につい
て検討するまでもなく、本件発明3は当業者が容易に発明をすることが
できたものではなく、本件発明4も本件発明3と同様に、甲3発明と少
なくとも相違点9で相違することから同様の議論が成り立つとして、進
歩性欠如の無効理由4を認めなかった。
イ 甲3発明から出発した当業者が相違点9に係る本件発明3の構成に至る
5 ためには、ケース10(本件発明3の第二ウイング部材に相当)のアー
ム支持突起16・17を支持するためにアーム20(本件発明3の第一
ウイング部材に相当)に設けられる構成について、当該アーム20に本
件発明3でいう「一対の支持部」に相当する構成を備えさせた上で、こ
れらを備えさせられた構成により当該アーム支持突起16・17が間に
10 挟まれるようにする必要がある。しかし、甲第3号証には、そのように
することについて、記載も示唆もない。
また、甲3発明は、上記のケース10におけるアーム支持突起16・
17をアーム20に支持するための構成が、回動ピン30の胴体部31
を、左方向から右方向に向かってケース10のアーム支持突起16に形
15 成された貫通孔16a及びアーム20の第一カム部22に形成された貫
通孔22bに貫装され、次いで「アーム20の第一カム部22及び第二
カム部23で挟まれる空間」を通り、続いてアーム20の第二カム部2
3に形成された貫通孔23b及びケース10のアーム支持突起17に形
成された貫通孔17aに貫装されるようになっている。このように構成
20 されている理由は、甲3発明が、ケース10の左右側にそれぞれ突出し
たアーム支持突起16・17に挟まれた位置にスライダ40の第一カム
当接部42及び第二カム当接部43を備え、当該第一カム当接部42及
び第二カム当接部43とアーム20の第一カム部22及び第二カム部2
3が当接することで、スライダ40を「従来のヒンジにおけるスライダ」
25 に比べて「スライダ40の移動方向」において小さくする(短くする)
ことを可能することにある(【0055】)。このように、甲3発明におけ
る当該第一カム当接部42及び第二カム当接部43並びに第一カム部2
2及び第二カム部23は、甲3発明が解決しようとする課題、すなわち、
スライダ40を「従来のヒンジにおけるスライダ」に比べて小さくする
(短くする)ことを可能にする(【0007】)という観点から設けられ
5 ているのであり、甲3発明から出発した当業者が上記の構成を容易に変
更するともいえない。そして、甲第3号証の他の記載及び甲第4号証か
ら第6号証までに記載された技術的事項をみても、上記の判断を左右す
るものはない。
5 取消事由
10 (1) 取消事由1(本件発明1及び2についての甲3発明に基づく新規性欠如
の判断の誤り・無効理由3関係)
(2) 取消事由2―1(本件発明3についての甲3発明及び甲4に記載された
技術的事項に基づく進歩性欠如の判断の誤り・無効理由4ア関係)
(3) 取消事由2-2(本件発明4についての甲3発明及び甲4から6までに
15 記載された技術的事項に基づく進歩性欠如の判断の誤り・無効理由4イ関係)
第3 当事者の主張
1 取消事由1(本件発明1及び2についての甲3発明に基づく新規性欠如の
判断の誤り)について
【原告の主張】
20 (1) 本件発明1について
本件審決が認定した相違点9は認められないから、本件発明1及び2は甲
3発明と実質的に同一であり、新規性が否定されるべきである。
ア 甲3発明においても、本件発明1の第二ウイング部材に相当するケース
10の端部には、スライダ40の移動方向に沿った突出部11aが設け
25 られ、本件発明1の第一ウイング部材に相当するアーム20の両側部に
は、突出部11aを間に挟むアーム支持突起16・17が設けられてい
る(図3、図5、図8、図9参照)。また、アーム支持突起16・17に
は回動軸30を挿通する貫通孔が明確に形成されている(明細書段落
【0031】、【0032】、【0036】参照)。このように、本件発明1
の構成要件(特定事項1G~1I)は、甲3発明の開示により明確に充
5 足されている。本件審決が指摘するような形状や配置の微細な違いは、
技術的思想・作用効果に影響を及ぼすものではなく、単なる設計上の選
択の範囲にとどまる。
イ 甲3発明には、甲第3号証の図10に示されるように、第一カム部22
の後端から左方向に張り出した部分が設けられ、第二カム部23の後端
10 から右方向に張り出した部分が設けられている。一方、甲第3号証の図
9に示されるように、アーム支持突起16・17は、それぞれ後端の左
右方向内側に窪んだ凹部分が設けられている。そして、甲第3号証の図
3に示されるように、アーム20に対してケース10が回動可能に接続
された状態で、第一カム部22及び第二カム部23の張り出した部分は、
15 それぞれアーム支持突起16・17の凹部分と当接している。このよう
に、第一カム部22及び第二カム部23は、張り出した部分と凹部分が
当接している範囲において、アーム支持突起16・17を間に挟んでい
るといえる。本件発明1の構成要件(特定事項1G~1I)は、甲3発
明の開示により明確に充足されている。
20 (2) 本件発明2について
上記のとおり、甲3発明は、本件発明1の全ての構成要件について対応
する構成を備えている。そして、甲3発明のカム部22・23は、アーム2
0に対してケース10が閉状態のとき、ケース10の開口部の縁部からスラ
イダ40の移動方向に沿って突出した突出部(湾曲面11a)と対向するよ
25 うに、又は、アーム支持突起16・17と対向するように、開口部から収容
室11内へ延びた構成であり、先端部がカム当接部42・43と当接する
(図3、図8参照)。よって、甲3発明は、本件発明2の全ての構成要件に
ついても明確に対応する構成を備えている。
したがって、本件発明2は甲3発明に包含されるものであり、新規性を
有しない。
5 【被告の主張】
(1) 本件発明1に関する原告の主張について
ア 原告は、甲3発明の湾曲面11aが突出部であると主張するが、甲第3
号証の図9などを参照すれば明らかなように、湾曲面11aには「回動
軸が挿入される貫通孔」が設けられていないので、本件発明1の「突出
10 部」とは異なる。また、湾曲面11aは、スライダ40の受け部41と
当接する部位であり、スライダ40の移動を規制する機能を有する部材
であって、その機能においても本件発明の突出部と全く異なっている。
イ 原告は、第一カム部22及び第二カム部23は、張り出した部分と凹部
分が当接している範囲において、アーム支持突起16・17を間に挟ん
15 でいるなどとも主張するが、図3が示す左右方向において、これらの部
材は、アーム支持突起16、「第一カム部22の後端から左方向に張り出
した部分」、「第二カム部23の後端から右方向に張り出した部分」及び
アーム支持突起17の順で存在しており、第一カム部22及び第二カム
部23がアーム支持突起16・17を間に挟んでいるとはいえない。
20 (2) 本件発明2に関する原告の主張について
上記のとおり、本件発明1は甲3発明と相違しているから、本件発明2
もまた甲3発明と相違しており、本件発明2に関する原告の主張も理由はな
い。
2 取消事由2-1(本件発明3についての甲3発明及び甲4に記載された技
25 術的事項に基づく進歩性欠如の判断の誤り)について
【原告の主張】
(1) 前記のとおり、相違点9は認められない。仮に、当該相違点が形式的に
認められるとしても、甲3発明から容易に想到し得るものである。
(2) また、甲第4号証では、ヒンジシャフト70(回動軸相当)の軸方向に
垂直な支持部材60(本件発明の第二ウイング部材相当)の断面において、
5 支持部材60の周壁部のうちカム受部81(突出部)が設けられた側は、他
方側よりも、幅方向の長さが大きい(図13)。また、甲第3号証の図9に
示されるように、アーム支持突起16・17が設けられたことで周壁が厚く
なるのは周知の技術でもある。
(3) したがって、甲3発明に甲第4号証に記載された技術的事項を適用して
10 本件発明3に至ることは当業者にとって容易に想到できることであり、本件
発明3は進歩性を有しない。
【被告の主張】
(1) 前記のとおり、本件発明3は、本件発明1と同様に、突出部、支持部、
回動軸及び貫通孔に関連する構成において甲3発明と相違している。そして、
15 甲第4号証にも本件発明1の突出部、支持部、回動軸及び貫通孔に関連する
構成に関する記載はない。
(2) また、周壁部の構成に関して、甲第4号証の段落【0027】には「内
側ハウジング67は、金属板を型抜き加工及び折曲げ加工してなる。」と記
載されており、通常、型抜きされる素材であるブランク(金属板)の厚さは
20 一定であるから、ハウジング67の周壁部の厚さは一定である。甲第4号証
の図7、8、11等に示されるハウジング67も、いずれも周壁部の厚さが
一定である。よって、甲第4号証に記載された技術的事項は、本件発明3の
構成を具備しない。
3 取消事由2-2(本件発明4についての甲3発明及び甲4から6までに記
25 載された技術的事項に基づく進歩性欠如の判断の誤り)について
【原告の主張】
(1) 前記のとおり、相違点9は認められない。仮に、当該相違点が形式的に
認められるとしても、甲3発明から容易に想到し得るものである。
(2) そして、甲第5号証では、摺動部材50の摺動部材側突起部52(本件
発明の当接部に相当する。)とカム部材20のカム部材側突起部23(本件
5 発明のカム部に相当する。)とは、互いの先端部からオフセットした位置で
当接している(図7参照)。また、摺動部材側突起部52とカム部材側突起
部23との当接する部分は、前後方向(水平方向)に対して略65度で回転
中心C(回動軸相当)から引いた線に位置する(【0046】、図7)。
さらに、甲第6号証では、回動アーム9の下方に突出する当接部と取付
10 ステム7のカム部材10とは、互いの先端部からオフセットした位置で当接
している(図7)。また、当該当接部とカム部材10との当接する部分が、
スライダ11の移動方向と直交する方向に対して、少なくとも20度以上の
ヒンジピン8から引いた線に位置する(図7)。
(3) したがって、甲3発明に甲第4号証から第6号証までに記載された技術
15 的事項を適用して本件発明4に至ることは、当業者にとって容易に想到でき
るため、本件発明4に進歩性は認められない。
【被告の主張】
(1) 本件発明4は、本件発明1と同様、突出部、支持部、回動軸及び貫通孔
に関連する構成において、甲3発明と相違している。そして、甲第5号証及
20 び第6号証にも本件発明1の突出部、支持部、回動軸及び貫通孔に関連する
構成に関する記載はない。
(2) また、甲第5号証の図5又は図7のピン60の位置及び甲6の図7のヒ
ンジピン8の位置は、「開口部の縁部から前記スライダの移動方向に沿って
突出した貫通孔」(本件発明1の特定事項1G)の位置にはなく、本件発明
25 4の前提条件を欠いている。
(3) したがって、本件発明4は、甲3発明に甲第4号証から第6号証までに
記載された技術事項を組み合わせたところで当業者が容易になし得ることは
できない
第4 当裁判所の判断
1 取消事由1(本件発明1及び2についての甲3発明に基づく新規性欠如の
5 判断の誤り)について
(1) 原告は、本件審決が認定した相違点9は認められないから、本件発明1
及び2は甲3発明と実質的に同一であると主張し、その根拠として、甲3発
明において、本件発明1の第二ウイング部材に相当するケース10の端部に
突出部11aが設けられ、本件発明1の第一ウイング部材に相当するアーム
10 20の両側部に前記突出部11aを間に挟むアーム支持突起16・17が設
けられているとして、本件発明 1 と同じ構成となる旨主張する。
しかし、本件発明1の第二ウイング部材に有されたスライダ移動方向に
沿った突出部(特定事項1G)には、回動軸30が挿入される貫通孔が設け
られているところ(特定事項1I)、原告が突出部11aとする甲3発明の
15 湾曲面11aには貫通孔が設けられていないから、甲3発明の湾曲面11a
が本件発明1の突出部に相当するとはいえない。
また、原告が、甲3発明のアーム20の両側部にアーム支持突起16・1
7が設けられているとする点についても、当該アーム支持突起16・17は
ケース10の一部であって、アーム20の両側部に設けられたものではない。
20 (2) 次に、原告は、甲3発明においては、第一カム部22及び第二カム部2
3の張り出した部分は、アーム支持突起16・17の凹部分とそれぞれ当接
している範囲においてアーム支持突起16・17を間に挟んでいるといえる
から、やはり相違点9は認められない旨主張する。
しかし、甲3発明におけるケース10のアーム支持突起16・17と、
25 アーム20の第一カム部22及び第二カム部23は、前者の凹部分と後者の
張り出した部分がそれぞれ左右方向において重なり合う位置関係にあるだけ
であり、アーム支持突起16・17自体が第一カム部22及び第二カム部2
3に挟まれているといえるわけではない。
(3) 以上により、本件発明1と甲3発明の間に相違点9は存在しないとする
原告の主張は、採用することができない。
5 そして、本件発明2は本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項に
さらに限定するものであるから、甲3発明との間に同様に相違点9が認めら
れる。
よって、原告の取消事由1に関する主張は、採用することができない。
2 取消事由2-1(本件発明3についての甲3発明及び甲4に記載された技
10 術的事項に基づく進歩性欠如の判断の誤り)について
(1) 原告は、本件発明1と甲3発明において相違点9は認められず、仮に、
当該相違点が形式的に認められるとしても容易に想到し得るものであるなど
と主張する。
(2) そこで判断するに、前記のとおり、本件発明1と甲3発明の間に相違点
15 9が認められるから、本件発明1に従属する本件発明3と甲3発明の間にも
同様に相違点9が認められる。この点は、後記3の取消事由2-2に関する
判断においても同様である。
そして、甲3発明においては、第一カム部22及び第二カム部23とそ
れぞれ当接する第一カム当接面42a及び第二カム当接面43aが、受け部
20 41の後端部よりも前方寄りとなる位置に配置するよう構成されている(図
8参照)。当該構成は、甲第3号証の段落【0055】に記載されるように、
第一カム当接部42及び第二カム当接部43をスライダ40の受け部41に
対して回動ピン30の軸心方向にずれた位置に配置すること、また、第一カ
ム当接面42a及び第二カム当接面43aを受け部41の後端部よりも前方
25 に配置することで、スライダ40を支持するケース10を回動ピン30の軸
線方向に垂直な方向において小さくすることを可能として、第一ウイング部
材に対する第二ウイング部材の回動軸に垂直な方向において小さいヒンジを
提供するという甲第3号証の課題(【0007】)を解決するための構成であ
るといえる。
さらに、甲3発明では、第一カム当接部42及び第二カム当接部43に
5 当接する第一カム部22及び第二カム部23も、当然、受け部41の左右両
側に設けられることとなるが、これは、回動軸に垂直な方向において小さい
ヒンジを提供するという当該課題解決のための構成として、第一カム部22
及び第二カム部23に挟まれる位置に、受け部41が配置される構成を採用
したものといえる。すなわち、第一カム部22及び第二カム部23に挟まれ
10 る位置に受け部41が配置されるのは課題解決のための構成であり、この挟
まれる位置に受け部41に代えて、アーム支持突起16・17を配置するこ
とは想定できない。
また、スライダ40が収容されたケース10には、スライダ収容部11
の左右端部から突出するアーム支持突起16・17が設けられ、第一カム部
15 22及び第二カム部23の左右外側に位置するようにアーム支持突起16・
17が配置されているが、第一カム部22及び第二カム部23の左右外側に
アーム支持突起16・17を配置すると、ヒンジが回動軸の方向に大型化す
ることになるが、回動軸に垂直な方向において大型化するものではないから、
回動軸に垂直な方向において小さいヒンジを提供するという上記課題解決の
20 ための合理的な構成であるといえる。
そうすると、甲3発明の構成、すなわち、第一カム部22及び第二カム
部23の外側にアーム支持突起16・17が配置するという構成が、課題解
決のための構成であることからすると、これを特段の理由もなく、例えば第
一カム部22と第二カム部23との間にアーム支持突起16・17に挟むも
25 のに変更する等、本件発明1の第一ウイング部材の一対の支持部が第二ウイ
ング部材から突出した突出部を間に挟んで支持するような構成に変更するこ
とは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3) また、甲第4号証には、甲3発明の構成と同様に、本件発明1の第二ウ
イング部材に相当する構成(支持部材60)に一対の支持部が設けられ、本
件発明1の第一ウイング部材に相当する構成(取付部材50)を間に挟む構
5 成しか開示されておらず、甲3発明の構成を変更することを示唆する記載は
一切ない。
(4) よって、その余の原告の主張を検討するまでもなく、甲3発明から、ま
たは甲3発明に甲第4号証に記載された技術的事項を適用して、相違点9を
有する本件発明1に容易に想到し得たということはできない。このことは、
10 本件発明1に従属する本件発明3についても同様にいえる。
したがって、原告の取消事由2-1に関する主張は採用できない。
3 取消事由2-2(本件発明4についての甲3発明及び甲4から6までに記
載された技術的事項に基づく進歩性欠如の判断の誤り)について
前記のとおり、甲3発明において、第一カム部22及び第二カム部23が
15 アーム支持突起16・17を間に挟んで支持するような構成に変更することは
容易に想到し得たものではなく、甲第4号証にも同変更を示唆する記載は一切
ない。そして、甲第5号証及び第6号証においても、本件発明1の構成と異な
り、収容部材30(甲5)ないし回動アーム9(甲6。これらは本件発明1の
第二ウイング部材に相当する。)に一対の支持部が設けられ、カム部材20
20 (甲5)ないし取付ステム7(甲6。これらは本件発明1の第一ウイング部材
に相当する。)を間に挟む構成しか開示されておらず、甲3発明の前記構成を
変更することを示唆する記載は一切ない。
よって、その余の原告の主張を検討するまでもなく、甲3発明に甲第4号証
から第6号証までに記載された技術的事項を適用して、相違点9を有する本件
25 発明1に容易に想到し得たということはできない。このことは、本件発明1に
従属する本件発明4についても同様にいえる。
したがって、原告の取消事由2-2に関する主張も採用できない。
4 結論
以上のとおり、本件審決についての原告の取消事由に関する主張は採用でき
ず、そのほかに本件において本件審決を取り消すべき事由は認められない。
5 よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとお
り判決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官
長 谷 川 浩 二
裁判官
15 岩 井 直 幸
裁判官
安 岡 美 香 子
(別紙)
本件明細書等の記載事項(抜粋)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
5 【0001】
本発明は、例えば事務機器の本体に事務機器の原稿圧着板を開閉可能に連結する等、第一連
結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
10 従来、複写機、ファクシミリ、スキャナー等、オフィスで使用される事務機器の多くは、そ
の本体の上面に原稿読み取り部(コンタクトガラス)を具備するとともに、当該原稿読み取り
部を覆う原稿圧着板を具備する。原稿圧着板は、原稿読み取り部に載置された原稿を原稿読み
取り部に密着させるとともに原稿読み取り部に対する原稿の位置を保持するものである。
【0003】
15 事務機器の本体と原稿圧着板とを連結する器具としては、第一ウイング部材と、第一ウイン
グ部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、カム部と、当接部を備え
カム部に接近または離間する方向に移動可能なスライダと、スライダをカム部に接近する方向
に付勢することによりスライダの当接部をカム部に当接させる付勢部材、を具備するヒンジが
知られている(特許文献1参照)。
20 また、前記ヒンジには、第一ウイング部材がカム部を備え、第二ウイング部材が収容部を備
え、スライダが第二ウイング部材の収容部内に収容されつつ第一ウイング部材のカム部に接近
または離間する方向に移動可能に構成されるものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
25 【0005】
しかしながら、前記ヒンジには、スライダの当接部と第一ウイング部材のカム部との当接す
る部分から引いた作用線に対する回動軸からの最短距離(腕の長さ)を比較的長く構成される
ものがある。このような構成の場合、第二ウイング部材が閉状態の近傍においてはヒンジトル
クが高く、例えば、第二ウイング部材を開状態から閉状態とする際に作業者の意思に反して第
二ウイング部材が閉状態の手前で回動を停止して原稿圧着板が本体に接地しない場合があった。
5 このように、前記ヒンジでは、第二ウイング部材を開状態から閉状態とする動作をスムーズに
行うことができない場合があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、第二ウイング部材が閉状態の近傍に
おいてヒンジトルクを低下させて、第二ウイング部材を開状態から閉状態とする動作をスムー
10 ズに行うことができるヒンジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を
説明する。
15 【0008】
即ち、請求項1においては、カム部を備える第一ウイング部材と、一方端部に開口部を有し、
他方端部に底部を有する筒状の部材であり、前記開口部に繋がった収容部を備え、前記カム部
を前記開口部付近に位置させつつ、前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結さ
れる第二ウイング部材と、当接部を備え、前記収容部内に収容されつつ前記カム部に対して接
20 近する方向および離間する方向に移動可能なスライダと、前記スライダを前記接近する方向に
付勢することにより前記当接部を前記カム部に当接させる付勢部材と、を具備し、前記スライ
ダは、前記第二ウイング部材の回動時に、前記付勢部材による付勢により前記接近する方向に
移動し、及び、前記カム部と前記当接部との当接により前記離間する方向へ移動し、前記第一
ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部と前記カム部との当
25 接する部分が第二ウイング部材の収容部内に位置し、前記第二ウイング部材は、前記開口部の
縁部から前記スライダの移動方向に沿って突出した突出部を有し、前記第一ウイング部材は、
前記突出部を間に挟む一対の支持部を有し、前記突出部と、前記一対の支持部とには、前記回
動軸が挿入される貫通孔が設けられているものである。
【0009】
請求項2においては、前記カム部は、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材
5 が閉状態のとき、前記突出部と対向するように前記開口部から前記収容部内へ延びた構成であ
り、先端部が前記当接部と当接するものである。
【0010】
請求項3においては、前記回動軸の軸方向に垂直な前記第二ウイング部材の断面において、
前記スライダの移動方向に直交する幅方向に沿って前記収容部を挟む前記第二ウイング部材の
10 周壁部のうち、前記突出部が設けられた側は、他方側よりも、前記幅方向の長さが大きいもの
である。
【0011】
請求項4においては、前記当接部と前記カム部とは、互いの先端部からオフセットした位置
で当接し、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が閉状態のとき、前記当接部
15 と前記カム部との当接する部分が、少なくとも、前記スライダの移動方向と直交する方向に対
して20°の前記回動軸から引いた線よりも前記スライダが前記離間する方向側に位置するも
のである。
【発明の効果】
【0012】
20 本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、第二ウイング部材が閉状態の近傍においてヒンジトルクを低下させ
て、第二ウイング部材を開状態から閉状態とする動作をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
25 【図1】本発明の実施形態に係るヒンジを具備する複合機を示す側面図。
【図2】同じくヒンジの全開状態を示す側面図。
【図3】同じくヒンジの閉状態を示す斜視図。
【図4】同じくヒンジの閉状態を示す背面図。
【図5】同じくヒンジの閉状態を示す側面図。
【図6】同じくヒンジの固定部材を示す斜視図。
5 【図7】同じくヒンジの開状態を示す側面断面図。
【図8】同じくヒンジの閉状態を示す側面断面図。
【図9】同じくヒンジの閉状態を示す側面拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
10 以下では、図1から図11を用いて本発明に係るヒンジの一実施形態であるヒンジ100に
ついて説明する。
図1に示す如く、ヒンジ100は複合機1の本体2に原稿圧着板3を回動可能に連結する。
図2から図9に示す如く、ヒンジ100は、固定部材10と、回動部材20と、回動ピン3
0と、スライダ40と、一対の付勢部材50・50と、を具備する。
15 以下では便宜上、原稿圧着板3が本体2に対して閉じているとき(回動角度θ=0°のとき)
の複合機1の上下方向、前後方向および左右方向を基準として(原稿圧着板3が本体2に対し
て閉じているときの複合機1の上下方向、前後方向および左右方向をそれぞれヒンジ100の
上下方向、前後方向および左右方向に対応させて)ヒンジ100についてを説明する。
【0021】
20 固定部材10は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。固定部材10は上下
方向を長手方向とする略棒状の部材である。固定部材10は複合機1の本体2に固定される。
固定部材10は、左右一対の支持部11・11と、カム部12と、を備える。
【0022】
固定部材10の支持部11は、固定部材10の上後部において左部及び右部からそれぞれ上
25 方に突出する。固定部材10の支持部11は、回動ピン30を介して回動部材20を回動可能
に支持する。固定部材10の支持部11には、回動ピン30が挿入される貫通孔が形成される。
【0023】
固定部材10のカム部12は、固定部材10の上前部において上方に突出し、上端部が曲面
で構成される。固定部材10のカム部12の上端は、支持部11の上端(回動軸)よりも上方
に位置する。固定部材10のカム部12は、支持部11の前方(回動軸よりも前方)に配置さ
5 れ、カム部12の後端部と支持部11の前端部とが連続する。
【0024】
回動部材20は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。回動部材20は、回
動ピン30を介して固定部材10に回動可能に支持される。回動部材20は、複合機1の原稿
圧着板3に固定される。
10 回動部材20は、下部に開口部23を有し、上部に底部を有する略筒状の部材である。回動
部材20の前後方向の長さは、固定部材10の前後方向の長さよりも長く構成される。回動部
材20は、後面左右において後方に行くに従って縮幅される傾斜面で構成され、後面左右中央
において後方に突出するように形成される。
回動部材20は、突出部21と、スライダ収容部22と、を備える。
15 【0025】
回動部材20の突出部21は、後部左右中央の下端から下方に突出する。回動部材20の突
出部21は、回動部材20の開口部23の後下端縁部から回動部材20の開口部23の外側に
突出する。回動部材20の突出部21の前面は、回動部材20の内部後面から連接するように
して形成され、回動部材20の内部後面と面一に構成される。回動部材20の突出部21は、
20 固定部材10の一対の支持部11・11の間に挟まれるように配置される。回動部材20の突
出部21には、回動ピン30が挿入される貫通孔が形成される。
【0026】
回動部材20のスライダ収容部22は、本発明に係る収容部の実施の一形態である。回動部
材20のスライダ収容部22は、回動部材20の内部および突出部21の前面で囲まれる空間
25 で構成される。回動部材20のスライダ収容部22は、突出部21および回動ピン30よりも
前方に配置される。回動部材20のスライダ収容部22には、スライダ40が収容される。
【0027】
回動ピン30は本発明に係る「第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動軸(第二
ウイング部材を第一ウイング部材に回動可能に連結する回動軸)」の実施の一形態であり、概
ね円柱形状の部材である。回動ピン30は、固定部材10の支持部11の貫通孔及び回動部材
5 20の突出部21の貫通孔に挿通される。
【0028】
ここで、ヒンジ100では、回動部材20が固定部材10に最も近接して固定部材10に対
して回動部材20が閉じている状態(回動角度θ=0°)を閉状態とし、固定部材10に対し
て回動部材20が開いている状態を開状態とする。また、ヒンジ100では、回動部材20が
10 固定部材10に最も離間している状態(回動角度θ=60°)を全開状態とする。なお、ヒン
ジ100では、固定部材10に対して回動部材20が閉状態の時の回動角度θ、また、固定部
材10に対して回動部材20が全開状態の時の回動角度θについては、それぞれこのような角
度に限定するものではなく、仕様に応じて適宜設定することができる。
【0029】
15 スライダ40は、回動部材20の開口側または底部側、即ち、固定部材10のカム部12に
近接または離間する方向(回動部材20が閉状態において上下方向)に摺動可能に、回動部材
20のスライダ収容部22に収容される。スライダ40は、回動部材20が開く方向または閉
じる方向に回動したときに、回動部材20のスライダ収容部22に収容された状態で、回動部
材20の内面および突出部21の前面に当接した状態で移動可能に構成される。スライダ40
20 は、上部に開口部を有し、下部に底部を有する筒状の部材である。スライダ40は樹脂材料か
らなる。
スライダ40は、一対の付勢部材収容部41・41と、当接部42と、を備える。
【0030】
スライダ40の付勢部材収容部41は、スライダ40の内部の空間で構成される。スライダ
25 40の内部において左方の空間と右方の空間とを隔てる壁が立設されることによって、スライ
ダ40の内部の空間において左方と右方とにそれぞれ付勢部材収容部41が形成される。スラ
イダ40の左方と右方との付勢部材収容部41にはそれぞれ付勢部材50が収容される。
【0031】
スライダ40の当接部42は、固定部材10のカム部12に当接する。スライダ40当接部
42は、スライダ40の底部の下面中央から下方に突出する。スライダ40の当接部42は、
5 略半球状に形成される。
【0032】
付勢部材50は、金属製の巻きバネ(圧縮バネ)で構成される。一対の付勢部材50・50
は、スライダ40の付勢部材収容部41に左右に並べて収納されて、回動部材20内に配置さ
れる。付勢部材50の上端部は回動部材20の底部の下面に当接し、付勢部材50の下端部は
10 スライダ40の底部の上面に当接する。
付勢部材50は、その弾性力によって固定部材10のカム部12に近接する方向(回動部材
20が閉状態において下方)にスライダ40を付勢する。付勢部材50は、スライダ40を付
勢することによって、回動部材20が閉状態または閉状態においてもスライダ40の当接部4
2と固定部材10のカム部12とが当接した状態とし、固定部材10に対して回動部材20を
15 開く方向に付勢する。
付勢部材50の付勢力は、ヒンジ100または事務機1等の仕様に応じて適宜設定される。
付勢部材50は、例えば、固定部材10に対する回動部材20の回動角度θが所定の角度の範
囲にあるときには回動部材20の回動位置を保持し、所定の角度以上のときには回動部材20
が開く方向に回動し、また、所定の角度以下のときには回動部材20が閉じる方向に回動する、
20 付勢力を有する設定とされる。
【0033】
ここで、スライダ40の当接部42と固定部材10のカム部12とは、互いの先端部から若
干オフセットした位置(スライダ40の当接部42の先端部の方が、固定部材10のカム部1
2の先端部よりも若干前方の位置)で当接する。このような状態で、付勢部材50によってス
25 ライダ40がカム部12側に付勢されることから、スライダ40の当接部42と固定部材10
のカム部12との当接する部分(作用点)から引いた作用線X(付勢部材50によってスライ
ダ40がカム部12側に付勢されることによって生じる力の方向に引いた直線)は、側面視で
後下方に引かれる(図9参照)。
【0034】
このように構成されるヒンジ100では、固定部材10に対して回動部材20が閉状態にお
5 いては、スライダ40は回動部材20のスライダ収容部22内の比較的上部(回動部材20の
比較的底部側)に配置される。このとき、スライダ40の当接部42は、回動部材20の開口
部23から最も離間した位置に配置される。
そして、回動部材20が閉状態から開く方向に回動していくと(固定部材10に対する回動
部材20の回動角度θが大きくなっていくと)、付勢部材50によって付勢されることによっ
10 て、スライダ40が固定部材10のカム部12に近接する方向(回動部材20の開口部23側)
に移動していく。
また、回動部材20が開状態から閉じる方向に回動していくと(固定部材10に対する回動
部材20の回動角度θが小さくなっていくと)、固定部材10のカム部12に押し込まれるよ
うにして、スライダ40が固定部材10のカム部12に離間する方向(回動部材20の底部側)
15 に移動していく。
【0035】
また、固定部材10に対して回動部材20が閉状態のとき、固定部材10のカム部12の先
端部が、回動部材20のスライダ収容部22内に入り込んだ状態となる。つまり、回動部材2
0が閉状態のとき、スライダ40の当接部42と固定部材10のカム部12との当接する部分
20 が、回動部材20のスライダ収容部22内に位置し、また、回動ピン30の軸心よりも上方
(回動部材20の底部側)に位置する。このとき、スライダ40の当接部42と固定部材10
のカム部12との当接する部分は、前後方向(スライダ40の移動方向に対して直交する方向)
対して略40°の回動ピン30から引いた線上(40°よりも上方(スライダ40が固定部材
10のカム部12から離間する方向))に位置する。またこのとき、スライダ40の当接部4
25 2と固定部材10のカム部12との当接する部分は、回動部材20の開口部23から最も離間
した位置に配置される。
そして、回動部材20が閉状態から開く方向に回動していくと(固定部材10に対する回動
部材20の回動角度θが大きくなっていくと)、スライダ40の当接部42と固定部材10の
カム部12との当接する部分は、スライダ40が固定部材10のカム部12に近接する方向
(回動部材20の開口部23側)に変遷していく。固定部材10に対する回動部材20の回動
5 角度θ=50°以上となった状態で、スライダ40の当接部42と固定部材10のカム部12
との当接する部分は、回動部材20のスライダ収容部22外に位置する。
【0036】
このように、ヒンジ100では、固定部材10に対して回動部材20が閉状態のとき、スラ
イダ40の当接部42と固定部材10のカム部12との当接する部分が回動部材20のスライ
10 ダ収容部22内に位置することから、スライダ40の当接部42と固定部材10のカム部12
との当接する部分が回動部材20のスライダ収容部22外に位置するものに比べて、スライダ
40の当接部42と固定部材10のカム部12との当接する部分から引いた作用線Xに対する
回動ピン30(回動ピン30の軸心)からの最短距離Y(腕の長さ)を比較的短く構成するこ
とができる。
15 したがって、ヒンジ100によれば、回動部材20が閉状態の近傍においてヒンジトルクを
低下させることができ(図10参照)、例えば、固定部材10に対して回動部材20を開状態
から閉状態とする際に作業者の意思に反して複合機1の原稿圧着板3が本体2に接地しない状
態となることを抑制することができ、固定部材10に対して回動部材20を開状態から閉状態
とする動作をスムーズに行うことができる。
20 【0037】
固定部材10に対して回動部材20が閉状態のとき、スライダ40の当接部42と固定部材
10のカム部12との当接する部分から引いた作用線Xに対する回動ピン30(回動ピン30
の軸心)からの最短距離Yを比較的短く構成するにあたって、スライダ40の当接部42と固
定部材10のカム部12との当接する部分が、前後方向(スライダ40の移動方向に対して直
25 交する方向)に対して40°の回動ピン30から引いた線上に位置することに限定されない。
もっとも、固定部材10に対して回動部材20が閉状態のとき、スライダ40の当接部42
と固定部材10のカム部12との当接する部分から引いた作用線Xに対する回動ピン30から
の最短距離Yを比較的短く構成するにあたって、少なくとも、スライダ40の当接部42と固
定部材10のカム部12との当接する部分が、前後方向に対して20°の回動ピン30から引
いた線よりも上方(スライダ40が固定部材10のカム部12から離間する方向)に位置する
5 構成とすることが好ましい。
また、固定部材10に対して回動部材20が閉状態のとき、スライダ40の当接部42と固
定部材10のカム部12との当接する部分から引いた作用線Xに対する回動ピン30からの最
短距離Yを比較的短く構成するにあたって、スライダ40の当接部42と固定部材10のカム
部12との当接する部分が、前後方向に対して30°の回動ピン30から引いた線よりも上方
10 に位置する構成とすることがより好ましい。
【0040】
また、ヒンジ100では、付勢部材50はスライダ40の付勢部材収容部41に収納されて
回動部材20内に配置され、回動部材20は、固定部材10の一対の支持部11・11の間に
挟まれるように回動部20の突出部21が配置された状態で、固定部材10に対して回動可能
15 に支持される。このように構成されることから、ヒンジ100によれば、スライダ40および
付勢部材50が固定部材10内に配置されるものであって、固定部材10の一対の支持部1
1・11の間に挟まれるように回動部20の突出部21が配置された状態で回動部材20が固
定部材10に対して回動可能に支持される構成のものに比べて、回動ピン30周り(回動ピン
30左右方向の幅)の構成をコンパクトにすることができる。
20 【符号の説明】
【0041】
1 複合機
2 本体
3 原稿圧着版
25 10 固定部材
11 支持部
12 カム部
20 回動部材
21 突出部
22 スライダ収容部
5 23 開口部
30 回動ピン
40 スライダ
41 付勢部材収容部
42 当接部
10 50 付勢部材
【図1】
15 【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
以上
(別紙)
甲第3号証の記載事項(抜粋)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5 第一連結対象物と第二連結対象物とを回動可能に連結するヒンジであって、
前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のうちいずれか一方に固定される第一ウイン
グ部材と、
カム部を備え、前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のうちいずれか他方に固定さ
れ、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
10 前記第二ウイング部材に接近する方向である接近方向および前記第二ウイング部材から離間
する方向である離間方向に移動可能に前記第一ウイング部材に支持されるスライド部材と、
一端部が前記第一ウイング部材に当接するとともに他端部が前記スライド部材に当接し、前
記スライド部材を前記接近方向に付勢して前記スライド部材を前記カム部に当接させることに
より、前記第二ウイング部材が前記第一ウイング部材に対して回動するように前記第二ウイン
15 グ部材にトルクを付与する付勢部材と、
を具備し、
前記スライド部材は、
前記付勢部材の他端部に当接する受け部と、
前記カム部に当接するカム当接部と、
20 を備え、
前記カム当接部は前記受け部に固定され、または、前記受け部と一体的に成形され、
前記カム当接部は、前記受け部に対して、前記第一ウイング部材に対する第二ウイング部材
の回動軸の軸線方向にずれた位置に配置され、
前記カム当接部において前記カム部と当接する面は、前記受け部における前記接近方向側の
25 端部よりも前記離間方向寄りとなる位置に配置されるヒンジ。
【請求項2】
前記受け部は、前記カム部に対して、前記回動軸の軸線方向にずれた位置に配置され、
前記受け部における前記接近方向側の端部は、前記回動軸の軸線方向から見たときに前記カ
ム部に重なる請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
5 前記カム部は、前記第一連結対象物に対する第二連結対象物の回動軸の軸線方向に間隔を空
けて配置される第一カム部および第二カム部を有し、
前記カム当接部は、前記回動軸の軸線方向に間隔を空けて配置される第一カム当接部および
第二カム当接部を有し、
前記第一カム当接部は前記第一カム部に当接し、
10 前記第二カム当接部は前記第二カム部に当接し、
前記第二カム当接部は前記受け部を挟んで前記第一カム当接部の反対側となる位置に配置さ
れ、
前記第一カム当接部において前記第一カム部と当接する面および前記第二カム当接部におい
て前記第二カム部と当接する面は、いずれも前記受け部における前記接近方向側の端部よりも
15 前記離間方向寄りとなる位置に配置される請求項1に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記受け部は、前記回動軸の軸線方向において前記第一カム部および前記第二カム部で挟ま
れる位置に配置され、
前記受け部における前記接近方向側の端部が前記回動軸の軸線方向において前記第一カム部
20 および前記第二カム部で挟まれる空間に配置されることにより、前記受け部における前記接近
方向側の端部が前記回動軸の軸線方向から見たときに前記第一カム部および前記第二カム部に
重なる請求項3に記載のヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
25 【0001】
本発明は、例えば事務機器の本体に事務機器の原稿圧着板を開閉可能に連結する等、第一連
結対象物と第二連結対象物とを回動可能に連結するヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、スキャナー等、オフィスで使用される事務機器の多くは、そ
5 の本体の上面に設けられた原稿読み取り部(コンタクトガラス)、および当該原稿読み取り部
を覆う原稿圧着板を具備する。
原稿圧着板は、原稿読み取り部に載置された原稿を原稿読み取り部に密着させるとともに当
該原稿読み取り部に対する原稿の位置を保持するものであり、一般的には原稿圧着板の端部が
ヒンジにより事務機器の本体の上面の端部に回動可能に連結される。
10 【0003】
このような原稿圧着板は、原稿を原稿読み取り部に密着させるためにある程度の重量を要す
る。また、原稿圧着板に原稿自動送り装置(Auto Document Feeder;A
DF)が設けられている場合、原稿圧着板の重量は更に増大する。
従って、従来の事務機器の本体と原稿圧着板とを連結するヒンジは、事務機器の本体に固定
15 される取り付け部材と原稿圧着板に固定される支持部材との間にバネを介装し、当該バネの付
勢力で原稿圧着板の重量を支えることにより、事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度
(開閉角度)を任意の角度で保持し(フリーストップ機能)、ひいては作業者が原稿圧着板を
回動(開閉)させて原稿読み取り部へ原稿を載置する作業を容易にしている。例えば、特許文
献1に記載の如くである。
20 【0005】
しかし、特許文献1に記載のヒンジの場合、「スライダにおいてスプリングに当接する部分
(支持部材22の内周面の底部)」と「スライダにおいて取付部材に当接する部分(カム凸部
25e)」とは「支持部材に対するスライダの移動方向」に並んでいる。
そのため、スライダが「支持部材に対するスライダの移動方向」において長くなり(大きく
25 なり)、ひいてはスライダを収容する支持部材が「取付部材に対する支持部材の回動軸に垂直
な方向」において長くなる(大きくなる)。
原稿圧着板にADF等の他の部品を取り付ける場合、これらの他の部品とヒンジとの干渉を
回避する観点から、ヒンジを構成する部材のうち、原稿圧着板に取り付けられる部材の長さ
(回動軸に垂直な方向の長さ)を小さくすることが求められる。
【発明の概要】
5 【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材
の回動軸に垂直な方向、ひいては第一連結対象物に対する第二連結対象物の回動軸に垂直な方
10 向において小さいヒンジを提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を
説明する。
15 【0009】
即ち、請求項1においては、
第一連結対象物と第二連結対象物とを回動可能に連結するヒンジであって、
前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のうちいずれか一方に固定される第一ウイン
グ部材と、
20 カム部を備え、前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のうちいずれか他方に固定さ
れ、前記第一ウイング部材に回動可能に連結される第二ウイング部材と、
前記第二ウイング部材に接近する方向である接近方向および前記第二ウイング部材から離間
する方向である離間方向に移動可能に前記第一ウイング部材に支持されるスライド部材と、
一端部が前記第一ウイング部材に当接するとともに他端部が前記スライド部材に当接し、前
25 記スライド部材を前記接近方向に付勢して前記スライド部材を前記カム部に当接させることに
より、前記第二ウイング部材が前記第一ウイング部材に対して回動するように前記第二ウイン
グ部材にトルクを付与する付勢部材と、
を具備し、
前記スライド部材は、
前記付勢部材の他端部に当接する受け部と、
5 前記カム部に当接するカム当接部と、
を備え、
前記カム当接部は前記受け部に固定され、または、前記受け部と一体的に成形され、
前記カム当接部は、前記受け部に対して、前記第一ウイング部材に対する第二ウイング部材
の回動軸の軸線方向にずれた位置に配置され、
10 前記カム当接部において前記カム部と当接する面は、前記受け部における前記接近方向側の
端部よりも前記離間方向寄りとなる位置に配置される。
【0010】
請求項2においては、
前記受け部は、前記カム部に対して、前記回動軸の軸線方向にずれた位置に配置され、
15 前記受け部における前記接近方向側の端部は、前記回動軸の軸線方向から見たときに前記カ
ム部に重なるものである。
【0011】
請求項3においては、
前記カム部は、前記第一連結対象物に対する第二連結対象物の回動軸の軸線方向に間隔を空
20 けて配置される第一カム部および第二カム部を有し、
前記カム当接部は、前記回動軸の軸線方向に間隔を空けて配置される第一カム当接部および
第二カム当接部を有し、
前記第一カム当接部は前記第一カム部に当接し、
前記第二カム当接部は前記第二カム部に当接し、
25 前記第二カム当接部は前記受け部を挟んで前記第一カム当接部の反対側となる位置に配置さ
れ、
前記第一カム当接部において前記第一カム部と当接する面および前記第二カム当接部におい
て前記第二カム部と当接する面は、いずれも前記受け部における前記接近方向側の端部よりも
前記離間方向寄りとなる位置に配置される。
【0012】
5 請求項4においては、
前記受け部は、前記回動軸の軸線方向において前記第一カム部および前記第二カム部で挟ま
れる位置に配置され、
前記受け部における前記接近方向側の端部が前記回動軸の軸線方向において前記第一カム部
および前記第二カム部で挟まれる空間に配置されることにより、前記受け部における前記接近
10 方向側の端部が前記回動軸の軸線方向から見たときに前記第一カム部および前記第二カム部に
重なる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ヒンジを第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動軸に垂直な方向にお
15 いて小さくすることが出来る、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るヒンジの実施の一形態を具備する複合機を示す左側面図。
【図3】本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す右後上方からの斜視図。
20 【図5】(a)本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す平面図、(b)本発明に係るヒンジの
実施の一形態を示す底面図。
【図7】本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す左側面断面図(図4および図5の(a)に
おけるA-A断面図)。
【図8】本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す左側面断面図(図4および図5の(a)に
25 おけるB-B断面図)。
【図9】(a)ケースを示す右下後方からの斜視図、(b)ケースを示す背面図。
【図10】アームを示す左前上方からの斜視図。
【図11】(a)スライダを示す左前上方からの斜視図、(b)スライダを示す右後下方からの
斜視図。
【発明を実施するための形態】
5 【0015】
以下では、図面を参照し本発明に係るヒンジの実施の一形態であるヒンジ100について説
明する。
【0021】
図1から図8に示す如く、ヒンジ100はケース10、アーム20、回動ピン30、スライ
10 ダ40およびバネ50(図7参照)を具備する。
以下では、ヒンジ100を構成する各部材の詳細について説明する。
なお、以下では便宜上、図1において実線で示す如く複合機1の原稿圧着板3が本体2に対
して閉じているときの複合機1の上下方向、前後方向および左右方向を基準として(原稿圧着
板3が本体2に対して閉じているときの複合機1の上下方向、前後方向および左右方向と、原
15 稿圧着板3が本体2に対して閉じているときの複合機1が具備するヒンジ100の上下方向、
前後方向および左右方向と、を対応させて)説明を行う。
【0022】
以下では、主に図9を用いてケース10の詳細について説明する。
ケース10は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。
20 図9に示す如く、本実施形態のケース10は左右方向に比べて前後方向に短い概ね直方体形
状の部材であり、樹脂材料を一体成形することにより製造される。
【0023】
ケース10には収容室11が形成される。収容室11はケース10の内部に形成される空間
であり、ケース10の後面に(後方に)開口している。収容室11の内周面は概ね、上面、下
25 面、左側面、右側面および底面(前面)を有する。収容室11には後で詳述するスライダ40
およびバネ50が収容される(図7参照)。
【0024】
収容室11の内周面における上面の左右中央部には湾曲面11aが形成される。収容室11
の内周面における下面の左右中央部には湾曲面11bが形成される。
収容室11の内周面における左側面の上端部には摺動溝11cが形成される。摺動溝11c
5 は収容室11の内周面における左側面に開口し、かつ、収容室11の内周面における底面(前
面)から収容室11の開口部まで前後方向に切り通される。
収容室11の内周面における右側面の上端部には摺動溝11dが形成される。摺動溝11d
は収容室11の内周面における右側面に開口し、かつ、収容室11の内周面における底面(前
面)から収容室11の開口部まで前後方向に切り通される。
10 収容室11の内周面における底面(前面)の左右中央部には突起11eが形成される。
突起11eは前端部が収容室11の内周面における底面(前面)に連なり、後方に突出する
概ね円筒形状の突起である。
【0027】
ケース10にはアーム支持突起16・17が形成される。アーム支持突起16・17はそれ
15 ぞれケース10の後面の左右端部(収容室11の開口部の左側方および右側方となる位置)か
ら後方に突出する突起である。
アーム支持突起16には貫通孔16aが形成される。貫通孔16aはアーム支持突起16の
左側面から右側面まで左右方向に貫通する。
アーム支持突起17には貫通孔17aが形成される。貫通孔17aはアーム支持突起17の
20 左側面から右側面まで左右方向に貫通する。
ケース10を左右方向から見たとき、貫通孔16aおよび貫通孔17aは重なる(一直線に
並ぶ)。
【0028】
図1に示す如く、ケース10は原稿圧着板3の後端部に固定される。
25 より詳細には、原稿圧着板3の下面の後端部に形成された空間(不図示)にケース10を収
容し、位置決め突起12・13を原稿圧着板3の下面の後端部に形成された空間の上面に形成
された位置決め穴(不図示)に嵌装し、貫通孔14・15にネジを貫装し、当該ネジを原稿圧
着板3の下面の後端部に形成された空間の上面に形成されたネジ穴(不図示)に螺装する、と
いう一連の作業を行うことにより、ケース10が原稿圧着板3の後端部に固定される。
【0029】
5 以下では、主に図10を用いてアーム20の詳細について説明する。
アーム20は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。
図10に示す如く、本実施形態のアーム20は概ね上下方向に延びた形状の部材であり、樹
脂材料を一体成形することにより製造される。
本実施形態のアーム20はアーム本体21、第一カム部22および第二カム部23を備える。
10 第一カム部22および第二カム部23を合わせたものは本発明に係るカム部の実施の一形態
である(言い換えれば、本発明に係るカム部の実施の一形態は、第一カム部22および第二カ
ム部23を有する)。第一カム部22は本発明に係る第一カム部の実施の一形態である。第二
カム部23は本発明に係る第二カム部の実施の一形態である。
【0031】
15 第一カム部22はアーム本体21の上左端部に連なる部材であり、アーム本体21の前方お
よび上方に突出した形状を有する。
第一カム部22の前方から前上部を経て上部までの部分には滑らかな曲面が形成され、当該
曲面がカム面22aを成す。
第一カム部22には貫通孔22bが形成される。貫通孔22bは第一カム部22の後下部に
20 配置され、第一カム部22の左側面から右側面まで左右方向に貫通する。
【0032】
第二カム部23はアーム本体21の上右端部に連なる部材であり、アーム本体21の前方お
よび上方に突出した形状(本実施形態の場合、第一カム部22に対して左右対称となる形状)
を有する。
25 第二カム部23の前方から前上部を経て上部までの部分には滑らかな曲面が形成され、当該
曲面がカム面23aを成す。
第二カム部23には貫通孔23bが形成される。貫通孔23bは第二カム部23の後下部に
配置され、第二カム部23の左側面から右側面まで左右方向に貫通する。
アーム20を左右方向から見たとき、貫通孔22bおよび貫通孔23bは重なる(一直線に
並ぶ)。
5 図3、図5の(a)および図10に示す如く、第一カム部22および第二カム部23は左右
方向に間隔を空けて配置される。
【0034】
以下では、図2、図3および図5を用いて回動ピン30の詳細について説明する。
回動ピン30は本発明に係る「第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動軸」の実
10 施の一形態である。
図5の(a)に示す如く、回動ピン30は胴体部31および頭部32を有する。本実施形態
の回動ピン30は金属材料からなる。
【0037】
図5の(a)に示す如く、回動ピン30の胴体部31は、左方向から右方向に向かってケー
15 ス10のアーム支持突起16に形成された貫通孔16aおよびアーム20の第一カム部22に
形成された貫通孔22bに貫装され、次いで「アーム20の第一カム部22および第二カム部
23で挟まれる空間」を通り、続いてアーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23b
およびケース10のアーム支持突起17に形成された貫通孔17aに貫装される。
本実施形態では貫通孔16aおよび貫通孔17aの内径(直径)は胴体部31の外径(直径)
20 よりも僅かに小さく、かつ貫通孔22bおよび貫通孔23bの内径(直径)は胴体部31の外
径(直径)よりも僅かに大きいので、回動ピン30はケース10に対して回動ピン30の軸線
方向(本実施形態では、左右方向)に移動不能(ケース10から脱落不能)かつ回転不能に固
定されるとともにアーム20に回動可能に軸支される。
従って、回動ピン30はケース10とアーム20とを回動可能に連結し、ひいては、ヒンジ
25 100は本体2(の上面後端部)と原稿圧着板3(の下面後端部)とを回動可能に連結する。
【0040】
以下では、主に図11を用いてスライダ40の詳細について説明する。
スライダ40は本発明に係るスライド部材の実施の一形態である。
図11に示す如く、本実施形態のスライダ40は受け部41、第一カム当接部42および第
二カム当接部43を備える。本実施形態のスライダ40は樹脂材料を一体成形することにより
5 製造される(受け部41、第一カム当接部42および第二カム当接部43は一体的に成形され
る)。
受け部41は本発明に係る受け部の実施の一形態である。第一カム当接部42および第二カ
ム当接部43を合わせたものは本発明に係るカム当接部の実施の一形態である(本発明に係る
カム当接部の実施の一形態は、第一カム当接部42および第二カム当接部43を有する)。第
10 一カム当接部42は本発明に係る第一カム当接部の実施の一形態である。第二カム当接部43
は本発明に係る第二カム当接部の実施の一形態である。
【0041】
受け部41は前端部が開口し、かつ後端部が閉塞された概ね円筒形状の部分である。
受け部41にはバネ収容穴41aが形成される。バネ収容穴41aは受け部41の内周面お
15 よび底面(受け部41の後端部を閉塞する板状の部分の前側の板面)で囲まれ、受け部41の
前端面には開口するが、受け部41の後端面には開口しない(図7参照)。
【0042】
第一カム当接部42は受け部41の外周面の左端部に連なり、受け部41の外周面の左端部
から左側方に突出したブロック状の部分である。
20 第一カム当接部42の後面には後方に突出する突起が形成され、当該突起の表面(後面)が
第一カム当接面42aを成す。
図8および図11の(b)に示す如く、第一カム当接部42は受け部41の後端部よりも前
方寄りとなる位置に配置される。従って、第一カム当接面42aも受け部41の後端部よりも
前方寄りとなる位置に配置される。
25 第一カム当接部42の左上端部には摺動突起42bが形成される。摺動突起42bは前後方
向に延びた形状の突起(突条)である。
【0043】
第二カム当接部43は受け部41の外周面の右端部に連なり、受け部41の外周面の右端部
から右側方に突出したブロック状の部分である。
第二カム当接部43の後面には後方に突出する突起が形成され、当該突起の表面(後面)が
5 第二カム当接面43aを成す。
図11の(b)に示す如く、第二カム当接部43は受け部41の後端部よりも前方寄りとな
る位置に配置される。従って、第二カム当接面43aも受け部41の後端部よりも前方寄りと
なる位置に配置される。
第二カム当接部43の右上端部には摺動突起43bが形成される。摺動突起43bは前後方
10 向に延びた形状の突起(突条)である。
【0044】
第一カム当接部42および第二カム当接部43は左右方向に間隔を空けて配置される。
より詳細には、第二カム当接部43は受け部41を挟んで第一カム当接部42の反対側とな
る位置に配置される(第一カム当接部42は受け部41の左側方に配置され、第二カム当接部
15 43は受け部41の右側方に配置される)。
【0045】
図2、図7および図8に示す如く、スライダ40はケース10の収容室11に収容される。
図7に示す如く、スライダ40が収容室11に収容されたとき、受け部41の外周面の上端
部が湾曲面11aに当接し、受け部41の外周面の下端部が湾曲面11bに当接する。
20 図8に示す如く、スライダ40が収容室11に収容されたとき、第一カム当接部42の上面
が収容室11の内周面における上面の左半部に当接し、第一カム当接部42の下面が収容室1
1の内周面における下面の左半部に当接する。
同様に、スライダ40が収容室11に収容されたとき、第二カム当接部43の上面が収容室
11の内周面における上面の右半部に当接し、第二カム当接部43の下面が収容室11の内周
25 面における下面の右半部に当接する。
また、スライダ40が収容室11に収容されたとき、第一カム当接部42の左側面は収容室
11の内周面における左側面に当接し、摺動突起42bは摺動溝11cに嵌合する(図9、図
11参照)。
同様に、スライダ40が収容室11に収容されたとき、第二カム当接部43の右側面は収容
室11の内周面における右側面に当接し、摺動突起43bは摺動溝11dに嵌合する。
5 【0046】
従って、スライダ40が収容室11に収容されたとき、スライダ40はケース10に対して
「ケース10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向(図7においては、後方)」
および「ケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方向(図7においては、
前方)」には移動可能に支持される。
10 なお、以下では便宜上、「ケース10に支持されたスライダ40がケース10に回動可能に
連結されたアーム20に接近する方向」を「スライダ40の接近方向」と定義し、「ケース1
0に支持されたスライダ40がケース10に回動可能に連結されたアーム20から離間する方
向」を「スライダ40の離間方向」と定義し、「スライダ40の接近方向」および「スライダ
40の離間方向」を合わせたものを「スライダ40の移動方向」と定義する。
15 【0048】
以下では、図1および図7を用いてバネ50の詳細について説明する。
バネ50は本発明に係る付勢部材の実施の一形態である。
本実施形態のバネ50は金属材料からなる巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使
用されるバネ)である。
20 図7に示す如く、バネ50はケース10の収容室11に収容される。
ケース10の収容室11に収容されたバネ50の一端部(前端部)は収容室11の底面(前
面)に当接するとともに突起11eに嵌合し、バネ50の他端部(後端部)はスライダ40の
バネ収容穴41aに挿入されるとともにバネ収容穴41aの底面(受け部41の後端部を閉塞
する板状の部分の前側の板面)に当接する。
25 バネ50はスライダ40をケース10の収容室11の開口部から突出する方向、すなわち
「スライダ40の接近方向(図7においては、後方)」に付勢し、スライダ40の第一カム当
接部42の第一カム当接面42aをアーム20の第一カム部22のカム面22aに当接させ
(図8参照)、スライダ40の第二カム当接部43の第二カム当接面43aをアーム20の第
二カム部23のカム面23aに当接させる(図10、図11参照)。
その結果、バネ50の付勢力(圧縮される方向に弾性変形したバネ50が元の形状に戻ろう
5 とする力)はスライダ40を経てアーム20に伝達され、アーム20はケース10に対して左
側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され(図7、図8参照)、原稿圧着板3は本体2に
対して開く方向に付勢される(図1参照)。
このように、バネ50はアーム20がケース10に対して左側面視で反時計回りに回動する
ように(ひいては、原稿圧着板3が本体2に対して開く方向に回動するように)アーム20に
10 トルクを付与する。
【0049】
組み立てられたヒンジ100においては、以下の(1-1)~(1-4)の事項が成立する。
【0050】
(1-1)第一カム当接部42および第二カム当接部43は、受け部41に対して「回動ピ
15 ン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」にずれた位置に配置される(図5の(a)、
図11参照)。
【0051】
(1-2)第一カム当接面42a(第一カム当接部42において第一カム部22と当接する
面)は、「受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」より
20 も「スライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置される(図8参照)。
同様に、第二カム当接面43a(第二カム当接部43において第二カム部23と当接する面)
は、「受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」よりも
「スライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置される。
【0052】
25 (1-3)受け部41は、第一カム部22および第二カム部23に対して、「回動ピン30
の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」にずれた位置に配置される(図3、図5参照)。
より詳細には、受け部41は、「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」
において第一カム部22および第二カム部23で挟まれる位置に配置される(図3、図5参
照)。
【0053】
5 (1-4)受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)が
「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」において第一カム部22および
第二カム部23で挟まれる空間に配置されることにより、受け部41におけるスライダ40の
接近方向側の端部(受け部41の後端部)が「回動ピン30の軸線方向(本実施形態の場合、
左右方向)」から見たときに第一カム部22および第二カム部23に重なる。
10 【0055】
以上の如くヒンジ100を構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、第一カム当接部42および第二カム当接部43を受け部41に対して「回動ピン
30の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)」にずれた位置に配置することにより、スラ
イダ40を「従来のヒンジにおけるスライダ」に比べて「スライダ40の移動方向」において
15 小さくする(短くする)ことが可能である。
その結果として、スライダ40を支持するケース10(ひいてはヒンジ100)を回動ピン
30の軸線方向に垂直な方向において小さくすることが可能である。
また、第一カム当接面42aおよび第二カム当接面43aを受け部41の後端部よりも「ス
ライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置することにより、「従来のヒンジに
20 おけるスライダ」に比べてバネ50をよりアーム20に接近した位置(スライダ40の接近方
向寄りとなる位置)に配置することが可能であり、この点からもスライダ40を「従来のヒン
ジにおけるスライダ」に比べて「スライダ40の移動方向」において小さくする(短くする)
ことが可能である。
【符号の説明】
25 【0061】
1 複合機(事務機器)
2 本体(第一連結対象物)
3 原稿圧着板(第二連結対象物)
10 ケース(第一ウイング部材)
20 アーム(第二ウイング部材)
5 22 第一カム部
23 第二カム部
40 スライダ(スライド部材)
41 受け部
42 第一カム当接部
10 42a 第一カム当接面
43 第二カム当接部
43a 第二カム当接面
50 バネ(付勢部材)
30 回動ピン(回動軸)
15 100 ヒンジ
【図1】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
25 以上
(別紙)
甲3発明
「本体2と原稿圧着板23とを回動可能に連結するヒンジ100であって、前記原稿圧着板2
3に固定されるケース10と、
5 第一カム部22および第二カム部23を備え、前記本体2に固定され、前記ケース10に回
動可能に連結されるアーム20と、
前記アーム20に接近する方向である接近方向および前記アーム20から離間する方向であ
る離間方向に移動可能に前記ケース10に支持されるスライダ40と、
一端部が前記ケース10に当接するとともに他端部が前記スライダ40に当接し、前記スラ
10 イダ40を前記接近方向に付勢して前記スライダ40を前記第一カム部22および第二カム部
23に当接させることにより、前記アーム20が前記ケース10に対して回動するように前記
アーム20にトルクを付与するバネ50と、
を具備し、
前記スライダ40は、
15 前記バネ50の他端部に当接する受け部41と、
前記第一カム部22および第二カム部23にそれぞれ当接する第一カム当接部42および第
二カム当接部43と、
を備え、
前記第一カム当接部42および第二カム当接部43は前記受け部41に固定され、または、
20 前記受け部41と一体的に成形され、
前記第一カム当接部42および第二カム当接部43は、前記受け部41に対して、前記ケー
ス10に対するアーム20の回動軸の軸線方向にずれた位置に配置され、
前記第一カム当接部42および第二カム当接部43においてそれぞれ前記第一カム部22お
よび第二カム部23と当接する面は、前記受け部41における前記接近方向側の端部よりも前
25 記離間方向寄りとなる位置に配置されるヒンジ100であって、
ヒンジ100はケース10、アーム20、回動ピン30、スライダ40及びバネ50を具備
し、
ケース10には収容室11が形成され、収容室11はケース10の内部に形成される空間で
あり、ケース10の後面に開口しており、収容室11にはスライダ40及びバネ50が収容さ
れ、
5 前記開口がケース10の一方端部にあり、
ケース10にはアーム支持突起16・17が形成され、アーム支持突起16・17はそれぞ
れケース10の後面の左右端部から後方に突出する突起であり、アーム支持突起16には貫通
孔16aが、アーム支持突起17には貫通孔17aが形成され、
アーム支持突起16・17は、収容室11の開口の縁部からスライダ40の移動方向に沿っ
10 た位置に存在する部位であり、
ケース10は原稿圧着板3の後端部に固定され、
アーム20はアーム本体21、第一カム部22及び第二カム部23を備え、
第一カム部22はアーム本体21の上左端部に連なる部材であり、アーム本体21の前方及
び上方に突出した形状を有し、第一カム部22には貫通孔22bが形成され、
15 第二カム部23はアーム本体21の上右端部に連なる部材であり、アーム本体21の前方及
び上方に突出した形状(第一カム部22に対して左右対称となる形状)を有し、第二カム部2
3には貫通孔23bが形成され、第一カム部22及び第二カム部23は左右方向に間隔を空け
て配置され、
回動ピン30の胴体部31は、左方向から右方向に向かってケース10のアーム支持突起1
20 6に形成された貫通孔16a及びアーム20の第一カム部22に形成された貫通孔22bに貫
装され、次いで「アーム20の第一カム部22及び第二カム部23で挟まれる空間」を通り、
続いてアーム20の第二カム部23に形成された貫通孔23b及びケース10のアーム支持突
起17に形成された貫通孔17aに貫装され、回動ピン30はケース10とアーム20とを回
動可能に連結し、
25 スライダ40は受け部41、第一カム当接部42及び第二カム当接部43を備え、
受け部41は前端部が開口し、かつ後端部が閉塞された概ね円筒形状の部分であり、受け部
41にはバネ収容穴41aが形成され、バネ収容穴41aは受け部41の内周面及び底面で囲
まれ、受け部41の前端面に開口するが、受け部41の後端面に開口せず、
第一カム当接部42は受け部41の外周面の左端部に連なり、受け部41の外周面の左端部
から左側方に突出したブロック状の部分であり、
5 第二カム当接部43は受け部41の外周面の右端部に連なり、受け部41の外周面の右端部
から右側方に突出したブロック状の部分であり、
第一カム当接部42及び第二カム当接部43は左右方向に間隔を空けて配置され、
スライダ40は、ケース10の収容室11に収容され、
スライダ40が収容室11に収容されたとき、スライダ40はケース10に対して「ケース
10 10に回動可能に連結されたアーム20に接近する方向」及び「ケース10に回動可能に連結
されたアーム20から離間する方向」には移動可能に支持され、
バネ50はケース10の収容室11に収容され、
ケース10の収容室11に収容されたバネ50の一端部(前端部)は収容室11の底面(前
面)に当接するとともに突起11eに嵌合し、バネ50の他端部(後端部)はスライダ40の
15 バネ収容穴41aに挿入されるとともにバネ収容穴41aの底面(受け部41の後端部を閉塞
する板状の部分の前側の板面)に当接し、バネ50はスライダ40をケース10の収容室11
の開口部から突出する方向、すなわち「スライダ40の接近方向」に付勢し、スライダ40の
第一カム当接部42の第一カム当接面42aをアーム20の第一カム部22のカム面22aに
当接させ、スライダ40の第二カム当接部43の第二カム当接面43aをアーム20の第二カ
20 ム部23のカム面23aに当接させ、その結果、バネ50の付勢力(圧縮される方向に弾性変
形したバネ50が元の形状に戻ろうとする力)はスライダ40を経てアーム20に伝達され、
アーム20はケース10に対して左側面視で反時計回りに回動する方向に付勢され、原稿圧着
板3は本体2に対して開く方向に付勢され、バネ50はアーム20がケース10に対して左側
面視で反時計回りに回動するように(ひいては、原稿圧着板3が本体2に対して開く方向に回
25 動するように)アーム20にトルクを付与し、
第一カム当接面42a(第一カム当接部42において第一カム部22と当接する面)は、
「受け部41におけるスライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」よりも「ス
ライダ40の離間方向寄り(前方寄り)」となる位置に配置され、同様に、第二カム当接面4
3a(第二カム当接部43において第二カム部23と当接する面)は、「受け部41における
スライダ40の接近方向側の端部(受け部41の後端部)」よりも「スライダ40の離間方向
5 寄り(前方寄り)」となる位置に配置される、
ヒンジ100。」
以上
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